特許第6309436号(P6309436)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6309436
(24)【登録日】2018年3月23日
(45)【発行日】2018年4月11日
(54)【発明の名称】容器殺菌装置
(51)【国際特許分類】
   B65B 55/08 20060101AFI20180402BHJP
   B65B 55/02 20060101ALI20180402BHJP
   B65B 55/04 20060101ALI20180402BHJP
   A61L 2/08 20060101ALI20180402BHJP
【FI】
   B65B55/08 A
   B65B55/02 E
   B65B55/04 C
   B65B55/08
   A61L2/08
【請求項の数】2
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-238853(P2014-238853)
(22)【出願日】2014年11月26日
(65)【公開番号】特開2016-98037(P2016-98037A)
(43)【公開日】2016年5月30日
【審査請求日】2016年12月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】309036221
【氏名又は名称】三菱重工機械システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100077
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 充
(74)【代理人】
【識別番号】100136010
【弁理士】
【氏名又は名称】堀川 美夕紀
(74)【代理人】
【識別番号】100130030
【弁理士】
【氏名又は名称】大竹 夕香子
(74)【代理人】
【識別番号】100203046
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 聖子
(72)【発明者】
【氏名】上田 敦士
(72)【発明者】
【氏名】青木 浩一
(72)【発明者】
【氏名】亘 紀子
(72)【発明者】
【氏名】田中 大輔
【審査官】 佐藤 正宗
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−024092(JP,A)
【文献】 特開平02−191461(JP,A)
【文献】 特開2011−245305(JP,A)
【文献】 特開2010−198824(JP,A)
【文献】 実開平02−080509(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2002/0063954(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0161032(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 55/08
A61L 2/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
殺菌光を出射する光源と、
一端に設けられ、前記光源が発光する前記殺菌光を受光する受光面と、他端に設けられ、前記受光面と対向する先端面と、前記受光面と前記先端面を繋ぐ側面と、を有する導光体と、を備え、
前記導光体は、前記受光面から前記先端面に向けて径が縮小される円錐台形状をなしており、
前導光体の前記側面は、傾斜角が段階的に異なるテーパー形状をなしている、
ことを特徴とする容器殺菌装置。
【請求項2】
前記光源は、前記殺菌光を前記受光面に向けて発光する発光部を有し、
前記導光体の前記受光面と前記発光部が対向した状態で、前記導光体と一体となっている、
ことを特徴とする請求項1に記載の容器殺菌装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、PETボトルのような容器又はボトル成形前のプリフォーム等の容器素材を殺菌する容器殺菌装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
容器または容器素材は、衛生面の観点から液体充填前に殺菌する必要がある。なお、以下、容器と容器素材の両者を容器と総称する。
容器殺菌装置としては、容器が搬送される近傍に光源としての紫外線発生ランプを設けて、光源から発光される紫外線を搬送容器の外側から照射して容器を殺菌する装置が知られている(例えば、特許文献1)。
しかしながら、特許文献1の装置では、紫外線が容器を構成する材料を透過しにくいために、容器の外側から紫外線を照射したのでは、容器の内側の面に殺菌に足りるだけの紫外線が届きにくい。また、光源から出射される紫外線は、光源から距離が離れるにしたがって拡散してしまい、殺菌効果が減衰する。したがって、光源から容器までの距離が離れていると、殺菌に有効な紫外線が届かないために、容器の内面を十分に殺菌するのに時間を要してしまう。
【0003】
そこで、紫外線の容器への照射形態の異なる容器殺菌装置として、集光装置により紫外線を集光し、円柱状の導光体を介して集光された紫外線を容器内面に照射して殺菌する装置が提案されている(特許文献2)。特許文献2の装置は、導光体を容器の内部に挿入し、その状態で導光体を介して容器の内面に紫外線を照射することを意図している。特許文献2の装置は、集光された光を導くとともに出射する導光体を容器の内部に挿入するので、光の出射面から容器の内面までの距離を短くできる利点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−252312号公報
【特許文献2】特開平10−24092号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、紫外線照射による容器の殺菌において、紫外線を容器の内面の全域にムラなく照射することが必要である。ところが、特許文献2の装置では、ムラのない紫外線の照射は困難である。つまり、特許文献2のように円柱状の導光体では、導光体の一方の端部から入力され光は、導光体の内部を反射しながら他方の端部に達し、この端部だけから出射される。したがって、特許文献2の装置では、容器の底面には紫外線を十分に照射できるものの、側面に殺菌に足りる紫外線を照射するのは難しい。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、簡易な構成でありながらも、容器の内面における底面に加えて側面にもムラなく紫外線を照射することのできる、容器の殺菌装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を採用している。
すなわち、本発明に係る容器殺菌装置は、殺菌光を出射する光源と、一端に設けられ、光源が発光する殺菌光を受光する受光面と、他端に設けられ、受光面と対向する先端面と、受光面と先端面を繋ぐ側面と、を有する導光体と、を備え、導光体は、側面の少なくとも一部に、受光面よりも径が軸方向に沿って縮小される領域を有することを特徴とする。
【0008】
このような構成によれば、先端面だけではなく、側面から殺菌光を出射させることができるので、容器の内面における底面及び側面をムラなく殺菌することができる。
【0009】
本発明の容器殺菌装置において、導光体は、受光面から先端面に向けて円錐台形状をなしている。
これにより、受光面から導入された殺菌光が側面から均一に出射されるため、容器の側面を短時間で効果的に殺菌することができる。
より均一にするために、導光体の側面を、傾斜角が段階的に異なるテーパー形状にする。つまり、軸方向の位置に応じて傾斜角を変えることにより、側面から殺菌光をより均一に出射させることができる。
【0010】
本発明の容器殺菌装置において、光源は、殺菌光を受光面に向けて発光する発光部を有し、導光体の受光面と発光部が対向した状態で、導光体と一体となっていることが好ましい。
これにより、受光部からの殺菌光が導光体内へ効率よく伝わる。
また、殺菌光発生器と導光体とを一つのユニットとして扱うことができるため、殺菌ラインへの組み付けが容易になる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、導光体について、受光面よりも径が軸方向に沿って縮小される領域を有するという簡易な構成でありながらも、容器の底面に加えて側面にもムラなく紫外線を照射することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施形態に係る容器殺菌装置の構成概要を示す図である。
図2】(a)は図1の容器殺菌装置の導光体を示し、上段が側面図、下段が背面図であり、(b)は(a)の導光体による紫外線UVの挙動を示し、(c)は円柱状の導光体による紫外線UVの挙動を示している。
図3図1の容器殺菌装置を用いて容器を殺菌する手順を示す図である。
図4】本実施形態の導光体の変形例を示し、(a)〜(d)の各々において、左側が側面図、右側が背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明の実施形態に係る容器殺菌装置1について、図面を参照して説明する。
図1に示すように、容器殺菌装置1は、電源2と、電源2から電力の供給を受けて紫外線UVを出射する光源5と、光源5からの紫外線UVを受光するとともに導く導光体10と、を備えており、光源5は導光体10の軸方向の一方の端部にある受光面11に、締め付け具、接着などの適宜の手段により、一体化された構成とされている。ただし、光源5と受光面11との間に、空隙が設けられていても差し支えない。
この容器殺菌装置1は、殺菌処理に際して、導光体10が、把持具3で支持された容器20の口部21を通過して、容器20の内部に挿入され、その過程で電源2からの電力供給を受けて光源5が殺菌光としての紫外線UVを発光する。この紫外線UVは、導光体10を介して、容器20の底面23及び側面25という直交する二つの面に向けて照射され、容器20の内面を殺菌する。なお、底面23及び側面25は、容器20の内面を構成する。
【0014】
本実施形態における光源5は、紫外線発光ダイオード(UV−LED)により構成され、図2(a)に示すように、発光部6から波長100〜285nmの紫外線が発光される。
光源5は、発光部6が導光体10の受光面11に対向して配置される。発光部6は、円板状の形態をなしており、受光面11に向けた一方向に向けて紫外線UVからなる面状光を発光する。
【0015】
次に、導光体10は、図2(a)に示すように、中心軸C方向の一端に光源5から出射される紫外線UVを受光する受光面11と、中心軸C方向の他端であって、受光面11に対向する先端面13と、受光面11と先端面13を繋ぐ側面15と、を有している。
また、導光体10は、円錐台形状をなしており、円錐台における上面、下面及び側面が、それぞれ、受光面11、先端面13及び側面15をなしている。よって、受光面11及び先端面13は、中心軸Cに直交しており、側面15は、受光面11から先端面13にかけて、半径が漸次縮小するテーパー形状をなしている。中心軸Cに対する側面15の傾斜角は、容器20の長さに応じて定められる。
導光体10には、光の減衰が少ない石英ガラスが用いられるのが好ましい。
【0016】
次に、受光面11にて受光された紫外線UV(破線矢印で示している)の導光体10における挙動を、図2(b)を参照して説明する。
受光面11から入射された紫外線UVは、側面15において、導光体10の内部に反射される成分と、側面15から外部に出射される成分とがあり、これを受光面11の側から先端面13の側にかけて無数に繰り返され、この過程において、紫外線UVは、受光面11の側から先端面13の側にかけて、側面15からほぼ均等に出射される。最後まで側面15で反射された紫外線UVの成分は、導光体10の先端である先端面13から出射される。こうして、導光体10は、先端面13及び側面15から、換言すると、受光面11を除く外周面の全域から、ムラなく紫外線UVが出射される。
【0017】
図2(c)は、円柱状、つまり、半径が中心軸C方向に一定な導光体100を用いた場合の、紫外線UVの挙動を示している。受光面101から入射された紫外線UVは、側面105において、導光体100の内部への全反射を繰り返しながら先端面103に達するが、この過程で外部に出射されることはなく、入射された紫外線UVの全ての成分が先端面103から出射される。このように、円柱状の導光体100を用いると、紫外線UVは、導光体10の先端である先端面103だけから出射されるので、出射される紫外線UVにはムラがある。
【0018】
次に、図3を参照して、容器殺菌装置1を用いて容器20の内面を殺菌する方法を説明する。
当該殺菌方法は、容器20に導光体10を挿入する第一工程(図3(a),(b))と、光源5から発光した殺菌光を容器内面に照射する照射する第二工程(図3(c))と、容器20から導光体10を抜き出す第三工程(図3(c),(d))とを含んでいる。
【0019】
第一工程では、容器20の外部に配置されていた導光体10を、容器20の開口する口部21を介して容器20の内部に挿入し、所定の位置まで降下することにより、殺菌準備状態とする。この殺菌準備状態においては、未だ光源5を発光させない。また、導光体10の大部分が容器20の内部に挿入されるが、光源5は容器20の外部に留まっている。
なお、ここでは導光体10を降下させる例を示したが、導光体10の位置を固定して容器20を上昇させることにより、または、容器20を上昇させる一方、導光体10を降下させることにより、導光体10を容器20の内部に挿入して殺菌準備状態としてもよい。
【0020】
次に、第二工程では、電源2から電力を供給することによって光源5を発光させる。そうすると、導光体10の受光面11から入射した紫外線UVは、導光体10の内部を導かれながら、前述した要領で、側面15から導光体10の外部に出射されるのに加えて、先端面13に到達した紫外線UVは先端面13から外部に出射される。側面15から出射される紫外線UVは、専ら容器20の側面25の殺菌に供され、また、先端面13から出射される紫外線UVは、専ら容器20の底面23の殺菌に供される。これにより、紫外線UVを容器20の内面にムラなく照射することができ、容器20の内面を漏れなく殺菌することができる。
所定の殺菌時間が経過したならば、電源2からの電力の供給を停止して、光源5の発光を止める。
【0021】
第三工程では、内部に挿入された導光体10を容器20から抜き出す。
この抜き出しは、第一工程の挿入と同様に、導光体10及び容器20の一方又は双方を昇降させることにより行うことができる。
以上により、一連の工程による容器20の殺菌が完了する。
【0022】
以上に説明した構成により、本実施形態によれば、以下の作用及び効果を奏する。
光源5により一方向に発光された紫外線UVは、受光面11から入射され、導光体10の内部を先端面13に向けて導かれる。紫外線UVは、導光体10の内部を通過する過程において、受光面11よりも半径が漸次縮小される側面15に達すると、導光体10の外部へ出射される。これにより、紫外線UVを容器20の側面25に照射することができる。また、先端面13まで達した紫外線UVは、容器20の底面23に照射される。
さらに、受光面11から先端面13にかけて連なる側面15を漸次縮径するテーパー形状とすることで、先端面13から出射される紫外線UVを、中心軸C方向及び周方向にわたって、均一な面状光として出射、放出することができる。
以上により、容器殺菌装置1によると、紫外線UVを容器20の内面に均一にムラなく照射することができ、容器20の内面を均一に殺菌することができる。
【0023】
また、光源5の発光部6と導光体10の受光面11とが密着し、他の導光部材を介在させないことにより、発光部6から発光された紫外線UVを受光面11へ直接導入できるので、光源5で発光した光量のロスを少なくできる。
【0024】
また、導光体10を容器20の所定位置まで挿入した状態で、光源5は容器20の外部に留まっている。したがって、容器20が加熱されているような場合に、光源5が受ける熱的なダメージを最小限に抑えることができる。
【0025】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されることなく、その発明の技術的思想を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、上記実施形態では、受光面11よりも径が縮小される一例として円錐台形状の導光体10を示したが、他の形態を採用することができる。
【0026】
例えば、図4(a)に示すように、側面15を曲線状に径が縮小される導光体10にすることができるし、また、図4(b)に示すように、側面15を段階的に傾斜角θ1,θ2が変わるテーパー面を備える導光体10にすることができる。
これら図4に示される導光体10のように、導光体10の径が受光面11から先端面13の少なくとも一部に受光面11における径よりも小さい部分を有していれば、実施形態と同様に、側面15から容器20の側面25に紫外線UVを照射できるという効果を奏することができる。
また、以上で説明した導光体は、円錐台を基本とする形状を有しているが、角錐台又は角錐台の変形した形状としてもよい。
【0027】
また、実施形態では、導光体10を石英ガラスとして説明したが、例えば、サファイア、フッ化カルシウム、合成石英のように光量の減衰が少ない別の物質を用いてもよい。
【0028】
また、実施形態では、光源5を紫外線発光ダイオード(UV−LED)として説明したが、無電極ランプや紫外線蛍光管のように殺菌光を出す別の光源を用いてもよい。
【0029】
さらに、実施形態では、光源5と導光体10とが密着して一体化している例を説明したが、光源5と導光体10とが離れていてもよい。この場合には、光源5と導光体10の間を光ファイバ、その他の導光部材で繋ぐとよい。
【0030】
さらにまた、実施形態では、導光体10を容器20に挿入する第一工程及び導光体10を容器20から抜き出す第三工程には、光源5を発光させていないが、導光体10を容器20に挿入する過程及び抜き出す過程の一方又は双方において、光源を発光させることができる。
【0031】
上記した容器殺菌装置及び方法は、殺菌光を発光する殺菌光発生器と導光体を、容器に殺菌光発生器を挿入せずに容器内面を殺菌できるので、簡易な装置で効果的に容器内面を殺菌できる。
【符号の説明】
【0032】
1 容器殺菌装置
2 電源
3 把持具
5 光源
6 発光部
10 導光体
11 受光面
13 先端面
15 側面
20 プリフォーム
21 口部
23 底面
25 側面
100 導光体
101 受光面
103 先端面
105 側面
C 中心軸
UV 紫外線
図1
図2
図3
図4