特許第6309458号(P6309458)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6309458N−ビニルアミド及びヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート又は(メタ)アクリルアミドを含むシリコーンヒドロゲル
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6309458
(24)【登録日】2018年3月23日
(45)【発行日】2018年4月11日
(54)【発明の名称】N−ビニルアミド及びヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート又は(メタ)アクリルアミドを含むシリコーンヒドロゲル
(51)【国際特許分類】
   C08F 290/06 20060101AFI20180402BHJP
   C08F 226/02 20060101ALI20180402BHJP
   C08F 226/06 20060101ALI20180402BHJP
   C08F 230/08 20060101ALI20180402BHJP
   C08F 212/14 20060101ALI20180402BHJP
   C08F 220/20 20060101ALI20180402BHJP
   G02C 7/04 20060101ALI20180402BHJP
【FI】
   C08F290/06
   C08F226/02
   C08F226/06
   C08F230/08
   C08F212/14
   C08F220/20
   G02C7/04
【請求項の数】29
【全頁数】71
(21)【出願番号】特願2014-548882(P2014-548882)
(86)(22)【出願日】2012年12月20日
(65)【公表番号】特表2015-507668(P2015-507668A)
(43)【公表日】2015年3月12日
(86)【国際出願番号】US2012070895
(87)【国際公開番号】WO2013096597
(87)【国際公開日】20130627
【審査請求日】2015年11月13日
(31)【優先権主張番号】61/579,693
(32)【優先日】2011年12月23日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/579,683
(32)【優先日】2011年12月23日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】13/720,261
(32)【優先日】2012年12月19日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】510294139
【氏名又は名称】ジョンソン・アンド・ジョンソン・ビジョン・ケア・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Johnson & Johnson Vision Care, Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】アリ・アザーム
(72)【発明者】
【氏名】バンダーラーン・ダグラス・ジー
(72)【発明者】
【氏名】フォード・ジェームズ・ディー
(72)【発明者】
【氏名】ジョスリン・スコット・エル
【審査官】 小出 直也
(56)【参考文献】
【文献】 特表2010−533232(JP,A)
【文献】 特表2010−510550(JP,A)
【文献】 特表2009−530686(JP,A)
【文献】 特表2005−518826(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F 6/00−246/00
290/00−290/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリコーンヒドロゲルであって、
(a)式IのN−ビニルアミドモノマー、式II〜IVのビニルピロリドン、式VのN−ビニルピペリドンからなる群から選択される、37〜70重量%の少なくとも1つの遅反応性モノマーであって、
前記少なくとも1つの遅反応性モノマーは、式II〜IVのビニルピロリドン、および式VのN−ビニルピペリドンからなる群から選択されるモノマーを少なくとも含み、
【化1】
式中、Rが、H又はメチルであり、
、R、R、R、R、R10、及びR11が独立して、H、CH、CHCH、CHCHCH、C(CHからなる群から選択され、
及びRが独立して、CH、CHCH、及びC(CHからなる群から選択され、
が、H、メチル、エチルから選択され、
が、CH=CH、CCH=CH、及びCH=CHCHから選択される、少なくとも1つの遅反応性モノマーと、
(b)20〜60重量%の式VIIの少なくとも1つのモノ(メタ)アクリルオキシアルキルポリジアルキルシロキサンモノマー、又は式VIIIのスチリルポリジアルキルシロキサンモノマーであって、
【化2】
式中、R12が、H又はメチルであり、
Xが、O又はNR16であり、
各R14が独立して、フッ素で置換され得るC〜Cアルキル、又はフェニルであり、
15が、C〜Cアルキルであり、
13が、エーテル基、ヒドロキシル基、カルバメート基、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される基で更に官能基化され得る二価アルキレン基であり、
aが3〜50であり、
16が、H、1つ又は2つ以上のヒドロキシル基で更に置換され得るC1〜4アルキルから選択される、式VIIの少なくとも1つのモノ(メタ)アクリルオキシアルキルポリジアルキルシロキサンモノマー、又は式VIIIのスチリルポリジアルキルシロキサンモノマーと、
(c)式IXの少なくとも1つのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートモノマー、又は式Xのスチリル化合物であって、
【化3】
式中、Rが、H又はメチルであり、
XがOであり
17が、C〜Cモノ若しくはジヒドロキシ置換アルキル、及び1〜10個の反復単位を有するポリ(エチレングリコール)から選択され、
前記遅反応性モノマーに対して前記少なくとも1つのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートモノマーが、0.15〜0.4のモル比を形成するモルパーセントで存在する、
但し、前記少なくとも1つのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートモノマーが、2−ヒドロキシブチルメタクリレート、又はジメチルヒドロキシエチルメタクリレートである場合には、前記ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートモノマーは前記反応混合物中のヒドロキシル基のシリコンに対するモル比が0.19となる濃度で存在する、式IXの少なくとも1つのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートモノマー、又は式Xのスチリル化合物と、
(d)少なくとも1つの架橋モノマーと、を含む、反応混合物から形成され、
前記反応混合物は、前記反応混合物中の反応性成分の100グラム当たり0.000415〜0.0156モルの前記少なくとも1つの架橋モノマーを含む、シリコーンヒドロゲル。
【請求項2】
請求項1に記載のシリコーンヒドロゲルであって、
(a)式IのN−ビニルアミドモノマー、式II又はIVのビニルピロリドンからなる群から選択される、39〜70重量%の少なくとも1つの遅反応性モノマーであって、
【化4】
式中、Rが、H又はメチルであり、
、R、R、R10、及びR11が独立して、H、CH、CHCH、CHCHCH、C(CHからなる群から選択され、
が、CH、CHCH、及びC(CHからなる群から選択され、
が、H、メチル、エチルから選択され、
が、CH=CH、CCH=CH、及びCH=CHCHから選択される、少なくとも1つの遅反応性モノマーと、
(b)式VIIの少なくとも1つのモノ(メタ)アクリルオキシアルキルポリジアルキルシロキサンモノマーであって、
【化5】
式中、R12が、H又はメチルであり、
Xが、O又はNR16であり、
各R14が独立して、フッ素で置換され得るC〜Cアルキル、又はフェニルであり、
15が、C〜Cアルキルであり、
13が、エーテル基、ヒドロキシル基、カルバメート基、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される基で更に官能基化され得る二価アルキレン基であり、
aが3〜50であり、
16が、H、1つ又は2つ以上のヒドロキシル基で更に置換され得るC1〜4アルキルから選択される、式VIIの少なくとも1つのモノ(メタ)アクリルオキシアルキルポリジアルキルシロキサンモノマーと、
(c)式IXの少なくとも1つのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートモノマーであって、
【化6】
式中、Rが、H又はメチルであり、
Xが、Oであり
17が、C〜Cモノ若しくはジヒドロキシ置換アルキル、及び1〜10個の反復単位を有するポリ(エチレングリコール)から選択され、前記遅反応性モノマーに対して前記少なくとも1つのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートモノマーが、0.15〜0.4のモル比を形成するモルパーセントで存在する、式IXの少なくとも1つのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートモノマーと、
(d)少なくとも1つの架橋モノマーと、を含む、反応混合物から形成される、シリコーンヒドロゲル。
【請求項3】
各Rが独立して、エチル基及びメチル基から選択される、請求項1又は2に記載のシリコーンヒドロゲル。
【請求項4】
13が、エーテル、ヒドロキシル、及びこれらの組み合わせで置換され得るC〜Cアルキレン基からなる群から選択される、請求項1〜3のいずれか一項に記載のシリコーンヒドロゲル。
【請求項5】
式VIIのR16が、H又はメチルである、請求項1〜4のいずれか一項に記載のシリコーンヒドロゲル。
【請求項6】
12及び各R14がメチルである、請求項1〜5のいずれか一項に記載のシリコーンヒドロゲル。
【請求項7】
少なくとも1つのR14が、3,3,3−トリフルオロプロピルである、請求項1〜5のいずれか一項に記載のシリコーンヒドロゲル。
【請求項8】
が、メチレンである、請求項1〜7のいずれか一項に記載のシリコーンヒドロゲル。
【請求項9】
aが5〜15である、請求項1〜8のいずれか一項に記載のシリコーンヒドロゲル。
【請求項10】
前記遅反応性モノマーが、前記式II若しくはIVのビニルピロリドン、又は前記式IのN−ビニルアミドモノマーから選択され、R及びR中に4以下の炭素原子の総数を有する、請求項1〜9のいずれか一項に記載のシリコーンヒドロゲル。
【請求項11】
前記遅反応性モノマーが、式III又はIVのビニルピロリドンから選択され、Rがメチルであり、Rが水素であり、RがCH=CHであり、R10及びR11がHである、請求項1〜10のいずれか一項に記載のシリコーンヒドロゲル。
【請求項12】
前記遅反応性モノマーが、N−ビニルピロリドン、N−ビニルアセトアミド、1−メチル−3−メチレン−2−ピロリドン、1−メチル−5−メチレン−2−ピロリドン、5−メチル−3−メチレン−2−ピロリドン、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1、2、4〜7、又は9のいずれか一項に記載のシリコーンヒドロゲル。
【請求項13】
式IXまたは式Xにおける、が、H又はメチルであり、Xが酸素であり、R17が、C〜Cモノ又はジヒドロキシ置換アルキル、及び1〜10個の反復単位を有するポリ(エチレングリコール)から選択されるか、または、
式IXまたは式Xにおける、がメチルであり、Xが酸素であり、R17が、C〜Cモノ又はジヒドロキシ置換アルキル、及び2〜20個の反復単位を有するポリ(エチレングリコール)から選択される、請求項1〜12のいずれか一項に記載のシリコーンヒドロゲル。
【請求項14】
aが7〜30である、請求項1〜8又は10〜13のいずれか一項に記載のシリコーンヒドロゲル。
【請求項15】
式VIIのR16が、H又はメチルである、請求項1〜14のいずれか一項に記載のシリコーンヒドロゲル。
【請求項16】
前記式VIIの少なくとも1つのモノ(メタ)アクリルオキシアルキルポリジアルキルシロキサンモノマーが、モノメタクリルオキシプロピル末端モノ−n−ブチル末端ポリジメチルシロキサン、モノメタクリルオキシプロピル末端モノ−n−メチル末端ポリジメチルシロキサン、モノメタクリルオキシプロピル末端モノ−n−ブチル末端ポリジエチルシロキサン、モノメタクリルオキシプロピル末端モノ−n−メチル末端ポリジエチルシロキサン、N−(2,3−ジヒドロキシプロパン)−N’−(プロピルテトラ(ジメチルシロキシ)ジメチルブチルシラン)アクリルアミド、α−(2−ヒドロキシ−1−メタクリルオキシプロピルオキシプロピル)−ω−ブチル−オクタメチルペンタシロキサン、及びこれらの混合物からなる群から選択されるモノメタクリルオキシアルキルポリジメチルシロキサンメタクリレートである、請求項1〜3、8、10〜13のいずれか一項に記載のシリコーンヒドロゲル。
【請求項17】
式IXまたは式Xにおける、が、H又はメチルであり、Xが酸素であり、R17が、C〜Cモノ又はジヒドロキシ置換アルキル、及び1〜10個の反復単位を有するポリ(エチレングリコール)から選択される、請求項1〜16のいずれか一項に記載のシリコーンヒドロゲル。
【請求項18】
式IXまたは式Xにおける、がメチルであり、Xが酸素であり、R17が、C〜Cモノ又はジヒドロキシ置換アルキル、及び2〜20個の反復単位を有するポリ(エチレングリコール)から選択される、請求項1〜16のいずれか一項に記載のシリコーンヒドロゲル。
【請求項19】
17が、2−ヒドロキシエチル、2,3−ジヒドロキシプロピル、2−ヒドロキシプロピルである、請求項1〜18のいずれか一項に記載のシリコーンヒドロゲル。
【請求項20】
前記式IXの少なくとも1つのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートモノマーが、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、1−ヒドロキシプロピル−2−(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−プロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1〜16のいずれか一項に記載のシリコーンヒドロゲル。
【請求項21】
前記(a)のモノマーがN−ビニルピロリドン(NVP)であり、前記(b)のモノマーがモノメタクリルオキシプロピル末端モノ−n−ブチル末端ポリジメチルシロキサン(mPDMS)であり、前記(c)のモノマーが2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)であり、
少なくとも60のDkを有し、Dkは、明細書中の「酸素透過係数(Dk)」の項目に記載される方法に従って測定される、請求項1〜20のいずれか一項に記載のシリコーンヒドロゲル。
【請求項22】
前記(a)のモノマーがN−ビニルピロリドン(NVP)であり、前記(b)のモノマーがモノメタクリルオキシプロピル末端モノ−n−ブチル末端ポリジメチルシロキサン(mPDMS)であり、前記(c)のモノマーが2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)であり、
少なくとも55%の含水率を有する、請求項1〜21のいずれか一項に記載のシリコーンヒドロゲル。
【請求項23】
前記(a)のモノマーがN−ビニルピロリドン(NVP)であり、前記(b)のモノマーがモノメタクリルオキシプロピル末端モノ−n−ブチル末端ポリジメチルシロキサン(mPDMS)であり、前記(c)のモノマーが2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)であり、
80°未満の前進接触角を有し、前記前進接触角は、明細書中の「前進接触角」の項目に記載される方法に従って測定される、請求項1〜22のいずれか一項に記載のシリコーンヒドロゲル。
【請求項24】
前記(a)のモノマーがN−ビニルピロリドン(NVP)であり、前記(b)のモノマーがモノメタクリルオキシプロピル末端モノ−n−ブチル末端ポリジメチルシロキサン(mPDMS)であり、前記(c)のモノマーが2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)であり、
50%未満のヘイズ(%)を有し、ヘイズ(%)は、明細書中の「ヘイズ値の測定」の項目に記載される方法に従って測定される、請求項1〜23のいずれか一項に記載のシリコーンヒドロゲル。
【請求項25】
前記(a)のモノマーがN−ビニルピロリドン(NVP)であり、前記(b)のモノマーがモノメタクリルオキシプロピル末端モノ−n−ブチル末端ポリジメチルシロキサン(mPDMS)であり、前記(c)のモノマーが2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)であり、
827kPa(120psi)未満の弾性率を有し、弾性率は、明細書中の「弾性率」の項目に記載される方法に従って測定される、請求項1〜24のいずれか一項に記載のシリコーンヒドロゲル。
【請求項26】
前記式IXの少なくとも1つのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートモノマーが、2,3−ジヒドロキシプロピルメタクリレート(GMMA)を含み、前記反応混合物が、希釈剤としてt−アミルアルコールを更に含む、請求項1〜19又は21〜25のいずれか一項に記載のシリコーンヒドロゲル。
【請求項27】
前記反応混合物が、前記式VIIまたは式VIIIのシロキサンモノマー及び前記ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートと反応する少なくとも2つの反応性基を有する少なくとも1つの第1の架橋剤と、前記遅反応性モノマーと反応する少なくとも2つの反応性基を有する少なくとも1つの第2の架橋剤を更に含む、請求項1〜19又は21〜25のいずれか一項に記載のシリコーンヒドロゲル。
【請求項28】
少なくとも1つのヒドロキシル基及び速反応性反応基を含む全ての成分が、0.16〜0.4のヒドロキシルのシリコンに対するモル比を提供するのに十分な濃度で存在する、請求項1〜27のいずれか一項に記載のシリコーンヒドロゲル。
【請求項29】
前記ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートモノマーが、0.13〜0.35のHO:Si比を提供するのに十分な濃度で存在する、請求項1〜28のいずれか一項に記載のシリコーンヒドロゲル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2012年12月19日出願の米国特許出願第13/720,261号の表題「SILICONE HYDROGELS COMPRISING N−VINYL AMIDES AND HYDROXYALKYL(METH)ACRYLATES OR(METH)ACRYLAMIDES」、2011年12月23日出願の米国仮特許出願第61/579693号の表題「SILICONE HYDROGELS COMPRISING N−VINYL AMIDES AND HYDROXYALKYL(METH)ACRYLATES OR(METH)ACRYLAMIDES」、及び2011年12月23日出願の米国仮特許出願第61/579693号の表題「SILICONE HYDROGELS HAVING A STRUCTURE FORMED VIA CONTROLLED REACTION KINETICS」の優先権を主張するものであり、これらの内容は、参照により組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、n−ビニルアミド及びヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート又は(メタ)アクリルアミドを含むシリコーンヒドロゲルに関する。
【背景技術】
【0003】
シリコーンヒドロゲル製ソフトコンタクトレンズのコンタクトレンズは、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)(HEMA)などの非シリコーン材料から作られたソフトレンズと比較して改善された酸素透過性を提供する。シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズを作製する初期の試みは、不良な湿潤性、高弾性率、不良な透明性、加水分解の不安定性、又は多くのこれらのシリコーンヒドロゲルを作製するために使用された高コストの原材料によって妨げられた。様々な溶液は、これらの欠陥のそれぞれについて幾分か成功したことが証明されているが、安価な市販のモノマーから作製することができ、優れた湿潤性(表面改質の必要なく)、低弾性率、良好な透明性、及び加水分解安定性を有するシリコーンヒドロゲルの必要性が依然として存在する。
【0004】
ポリ(N−ビニルピロリドン)(PVP)及び非環式ポリアミドなどの重合湿潤剤を含有するシリコーンヒドロゲル製剤が開示されている。しかしながら、これらのポリマーは、非常に大きく、特殊な相溶化成分の使用を必要とし、受託製造される必要がある。相溶化成分の例としては、2−プロペン酸,2−メチル−,2−ヒドロキシ−3−[3−[1,3,3,3−テトラメチル−1−[(トリメチルシリル)オキシ]ジシロキサニル]プロポキシ]プロピルエステル(SiGMA)が挙げられる。
【0005】
湿潤性シリコーンヒドロゲルレンズを形成する代替手段は、典型的には、モノマー混合物の約25〜55%(重量)の量で、シリコーンヒドロゲルポリマーを作製するために使用されるモノマー混合物にモノマーN−ビニルピロリドン(NVP)を組み込むことである。このような材料は、米国特許第4,136,250号、同第4,153,641号、同第4,260,725号、及び同第6,867,245号に記載されている。これらの参考文献に記載される材料は、概して、架橋剤として作用する多官能性シリコーンモノマー又はマクロマーを組み込み、それによって、最終ポリマーの弾性率を増加させる。米国特許第4,139,513号は、2−プロペン酸,2−メチル−2−ヒドロキシ−3−[3−[1,3,3,3−テトラメチル−1−[(トリメチルシリル)オキシ]ジシロキサニル]プロポキシ]プロピルエステル(SiGMA)を使用して、NVP及びHEMAを含む製剤からレンズを形成することができることを開示している。SiGMAは、開示されるシリコーンの唯一の源である。しかしながら、これらのモノマー中の比較的低いシリコーン含量のため、最終ポリマー中の酸素透過性の所望のレベルは達成することが困難である。官能基を製剤に相溶化することを含まないシリコーンを組み込む方法を示唆し得る開示はない。
【0006】
米国特許第2010/0048847号は、モノメタクリルオキシアルキルポリジメチルシロキサンメタクリレートと約52% NVP、HEMA、及びTRISとの配合物、並びに希釈剤としてエタノールと酢酸エチルとの配合物を用いて作られている、シリコーンヒドロゲルを開示している。開示されているポリマーは、ヘイズ(の度合いを変化させるもの)であるが、曇りは、少なくとも約1.5%メタクリル酸(MAA)の添加によって軽減され得ることが本明細書に開示された。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、「The role of ionic hydrophilic monomers in silicone hydrogels for contact lens application」、Lai,Y.,Valint,P.,and Friends,G.;213th ACS National Meeting,San Francisco,April 13〜17,1997に開示されているように、MAAなどのアニオン性モノマーの添加は、シリコーンヒドロゲルにおいて、加水分解の不安定性を引き起こし得る。このため、mPDMSなどのモノメタクリルオキシアルキルポリジメチルシロキサンメタクリレートとNVPとの組み合わせから低弾性率を有する透明な加水分解に安定な湿潤性のある(表面処理なしで)シリコーンヒドロゲルを形成することが依然として所望される。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、約30〜約70重量%の少なくとも1つの遅反応性モノマーと、少なくとも1つのモノ(メタ)アクリルオキシアルキルポリジアルキルシロキサンモノマーと、少なくとも1つのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート又は(メタ)アクリルアミドモノマーと、少なくとも1つの架橋モノマーと、を含む組成物に関し、前記少なくとも1つのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート又は(メタ)アクリルアミドモノマー及び前記遅反応性モノマーは、約0.15〜0.4のモル比を形成するモルパーセントで存在する。
【0009】
具体的には、本発明は、シリコーンヒドロゲルであって、
(a)式IのN−ビニルアミドモノマー、式II〜IVのビニルピロリドン、又は式VのN−ビニルピペリドンからなる群から選択される、約37〜約70重量%の少なくとも1つの遅反応性モノマーであって、
【化1】
式中、Rが、H又はメチルであり、
、R、R、R、R、R10、及びR11が独立して、H、CH、CHCH、CHCHCH、C(CHからなる群から選択され、
及びRが独立して、CH、CHCH、及びC(CH)からなる群から選択され、
が、H、メチル、エチルから選択され、
が、CH=CH、CCH=CH、及びCH=CHCHから選択される、約37〜約70重量%の少なくとも1つの遅反応性モノマーと、
(b)式VIIのモノ(メタ)アクリルオキシアルキルポリジアルキルシロキサンモノマー、又は式VIIIのスチリルポリジアルキルシロキサンモノマーであって、
【化2】
式中、R12が、H又はメチルであり、
Xが、O又はNR16であり、
各R14が独立して、フッ素で置換され得るC〜Cアルキル、又はフェニルであり、
15が、C〜Cアルキルであり、
13が、エーテル基、ヒドロキシル基、カルバメート基、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される基で更に官能基化され得る二価アルキル基であり、
aが3〜50であり、
16が、H、1つ又は2つ以上のヒドロキシル基で更に置換され得るC1〜4から選択される、式VIIのモノ(メタ)アクリルオキシアルキルポリジアルキルシロキサンモノマー、又は式VIIIのスチリルポリジアルキルシロキサンモノマーと、
(c)式IXの少なくとも1つのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート若しくは(メタ)アクリルアミドモノマー、又は式Xのスチリル化合物であって、
【化3】
式中、Rが、H又はメチルであり、
XがO又はNR16であり、R16がH、又は少なくとも1つのOHで更に置換され得るC〜Cアルキルであり、
17が、C〜Cモノ若しくはジヒドロキシ置換アルキル、及び1〜10個の反復単位を有するポリ(エチレングリコール)から選択され、前記少なくとも1つのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート若しくは(メタ)アクリルアミドモノマー及び前記遅反応性モノマーが、約0.15〜0.4のモル比を形成するモルパーセントで存在する、式IXの少なくとも1つのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート若しくは(メタ)アクリルアミドモノマー、又は式Xのスチリル化合物と、
(d)少なくとも1つの架橋モノマーと、を含む、又はこれらからなる、又は本質的にこれらからなる、反応混合物から形成される、シリコーンヒドロゲルに関する。
【0010】
本発明はまた、シリコーンヒドロゲルであって、
(a)式IのN−ビニルアミドモノマー、式II又はIVのビニルピロリドンからなる群から選択される、約39〜約70重量%の少なくとも1つの遅反応性モノマーであって、
【化4】
式中、Rが、H又はメチルであり、
、R、R、R10、及びR11が独立して、H、CH、CHCH、CHCHCH、C(CHからなる群から選択され、
が、CH、CHCH、及びC(CH)からなる群から選択され、
が、H、メチル、エチルから選択され、
が、CH=CH、CCH=CH、及びCH=CHCHから選択される、約39〜約70重量%の少なくとも1つの遅反応性モノマーと、
(b)式VIIの少なくとも1つのモノ(メタ)アクリルオキシアルキルポリジアルキルシロキサンモノマーとであって、
【化5】
式中、R12が、H又はメチルであり、
Xが、O又はNR16であり、
各R14が独立して、フッ素で置換され得るC〜Cアルキル、又はフェニルであり、
15が、C〜Cアルキルであり、
13が、エーテル基、ヒドロキシル基、カルバメート基、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される基で更に官能基化され得る二価アルキル基であり、
aが3〜50であり、
16が、H、1つ又は2つ以上のヒドロキシル基で更に置換され得るC1〜4から選択される、式VIIの少なくとも1つのモノ(メタ)アクリルオキシアルキルポリジアルキルシロキサンモノマーと、
(c)式IXの少なくとも1つのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート又は(メタ)アクリルアミドモノマーであって、
【化6】
式中、Rが、H又はメチルであり、
XがO又はNR16であり、R16が、H、又は少なくとも1つのOHで更に置換され得るC1〜アルキルであり、
17が、C〜Cモノ若しくはジヒドロキシ置換アルキル、及び1〜10個の反復単位を有するポリ(エチレングリコール)から選択され、前記少なくとも1つのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート若しくは(メタ)アクリルアミドモノマー及び前記遅反応性モノマーが、約0.15〜0.4のモル比を形成するモルパーセントで存在する、式IXの少なくとも1つのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート又は(メタ)アクリルアミドモノマーと、
(d)少なくとも1つの架橋モノマーと、を含む、又はこれらからなる、又は本質的にこれらからなる、反応混合物から形成される、シリコーンヒドロゲルも提供する。
【0011】
本発明のシリコーンヒドロゲルは、生物医療用器具、眼科用器具、及び特にコンタクトレンズを作製するために有用である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】レンズ組立体の略図である。
図2】動態評価のために使用される二重コンパートメント硬化ボックスの略図である。
図3図2に示される硬化ボックスのコンパートメント2の略図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は、約37〜約70重量%の少なくとも1つの遅反応性親水性モノマーと、少なくとも1つの少なくとも1つのモノ(メタ)アクリルオキシアルキルポリジアルキルシロキサンモノマーと、1つのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート又は(メタ)アクリルアミドモノマーと、少なくとも1つの架橋モノマーと、を含む組成物に関し、前記少なくとも1つのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート又は(メタ)アクリルアミドモノマー及び前記遅反応性親水性モノマーは、約0.15〜0.4のモル比を形成するモルパーセントで存在する。
【0014】
驚くことには、本発明の製剤が、バランスのとれた所望の特性を有するヒドロゲルを形成することが見出されている。これらの製剤は、一連の希釈剤を用いて、希釈剤を用いずに作製され得、また、光を用いて硬化され得る。
【0015】
本明細書で使用するとき、「希釈剤」は、反応性組成物の希釈剤を指す。生体医療用器具の部分を形成するのに、希釈剤は反応しない。
【0016】
本明細書で使用するとき、「相溶化剤」は、選択された反応性成分を可溶化することができる化合物を意味する。相溶化剤は、約5000ダルトン未満、別では、約3000ダルトン未満の数平均分子量を有する。本発明の相溶化剤は、水素結合、分散力、これらの組み合わせなどによって可溶化する。したがって、これらの方法のうちのいずれかで高分子量親水性ポリマーと相互作用する任意の官能基が、相溶化剤として使用され得る。本発明の相溶化剤は、得られた眼科用器具のその他の所望の特性を低下させないくらいの量で使用され得る。この量は、使用される高分子量親水性ポリマーの量に一部依存することになる。1種の相溶化剤は、少なくとも1つのシリコーン及び少なくとも1つのヒドロキシル基を含む。このような成分は、「シリコーン含有相溶化成分」と称され、国際公開第03/022321号及び同第03/022322号に開示されている。
【0017】
本明細書で使用するとき、「生体医療用器具」は、哺乳類組織又は体液中又は上で、より具体的には、ヒト組織又は体液上で使用するように設計されているいずれかの物品である。これらの器具の例には、カテーテル、インプラント、ステント、並びに、眼内レンズ、涙点プラグ、及びコンタクトレンズ等の眼科用器具が挙げられるが、これらに限定されない。生体医療用器具は、眼科用器具、具体的にはコンタクトレンズ、最も具体的にはシリコーンヒドロゲル製のコンタクトレンズであり得る。
【0018】
本明細書で使用するとき、用語「眼科用製品」、「レンズ」、及び「眼科用器具」は、眼の中又はその上に存在する器具を指す。これらの器具は、光学補正、創傷手当て、薬物送達、診断機能、美容補強若しくは美容作用、グレア低減、紫外線遮断、又はこれらの特性の組み合わせを提供することができる。眼科用器具の非限定例として、レンズ、涙点プラグなどが挙げられる。レンズ(コンタクトレンズ)という用語は、ソフトコンタクトレンズ、ハードコンタクトレンズ、眼内レンズ、オーバーレイレンズ、眼内挿入物、及び光学挿入物を含むが、これらに限定されない。
【0019】
本明細書で使用するとき、「反応混合物」は、一緒に混合し、反応させて、本発明のシリコーンヒドロゲルを形成する反応性成分及び非反応性成分(希釈剤を含む)を指す。反応性成分は、希釈剤、及びポリマーの構造の一部にならない任意の更なる加工助材を除く、反応混合物中の全てである。
【0020】
本明細書で使用するとき、「(メタ)」は、任意のメチル置換を指す。したがって、「(メタ)アクリレート」などの用語は、メタクリル及びアクリルラジカルの両方を示す。
【0021】
本明細書における百分率は全て、特に指定しない限り重量パーセントである。
【0022】
本明細書で使用するとき、語句「表面処理なしの」又は「表面処理されていない」は、本発明の器具の外面が器具の湿潤性を改善するために別に処理されるのではないことを意味する。本発明により先行することのできる処理は、プラズマ処理、グラフティング、コーティングなどを含む。しかし、湿潤性の改善以外の性質を提供するコーティング剤は、抗菌コーティング剤及び着色剤の塗布又は他の美容補強などであるが、それらに限定されず、本発明の器具に塗布することができる。
【0023】
本明細書で使用するとき、「シリコーンマクロマー」及びシリコーン「プレポリマー」は、約2000を超える分子量を有する単及び多官能性のシリコーン含有化合物を意味する。
【0024】
本明細書で使用するとき、「ヒドロキシル含有成分」は、少なくとも1つのヒドロキシル基を含有する任意の成分である。
【0025】
本明細書で使用するとき、「一価反応性基」は、フリーラジカル及び/又はカチオン重合を受けることができる基である。フリーラジカル反応性基の非限定例としては、(メタ)アクリレート、スチリル、ビニル、ビニルエーテル、C1〜6アルキル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、C1〜6アルキル(メタ)アクリルアミド、N−ビニルラクタム、N−ビニルアミド、C2〜12アルケニル、C2〜12アルケニルフェニル、C2〜12アルケニルナフチル、C2〜6アルケニルフェニルC1〜6アルキル、O−ビニルカルバメート及びO−ビニルカーボネートが挙げられる。カチオン反応性基の非限定例としては、ビニルエーテル又はエポキシド基及びこれらの混合物が挙げられる。フリーラジカル反応性基の非限定例としては、(メタ)アクリレート、アクリルオキシ、(メタ)アクリルアミド、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0026】
本発明では、これらの成分は、反応における特定の時点で反応させるために選択される。例えば、「速反応性」成分は、主に、反応の開始時に重合させるために選択されるが、遅反応性親水性モノマーは、主に、反応の終了時に重合させるために選択される。速反応性成分には、シリコーン含有成分、ヒドロキシアルキルモノマー、及び幾つかの架橋剤が含まれる。一実施形態において、遅反応性成分は、最速のシリコーン含有モノマーよりも少なくとも約2倍を超える動態半減期を有する。動態半減期は、本明細書に記載されるように測定され得る。動態半減期は、特定の製剤と比較されることを認識されるべきである。
【0027】
遅反応性基の例には、(メタ)アクリルアミド、ビニル、アリル、及びこれらの組み合わせ、並びに少なくとも1つの親水性基が含まれる。別の実施形態において、遅反応性基は、N−ビニルアミド、O−ビニルカルバメート、O−ビニルカルボネート、N−ビニルカルバメート、O−ビニルエーテル、O−2−プロペニルから選択され、ビニル基又はアリル基は、メチル基で更に置換され得る。更に別の実施形態において、遅反応性基は、N−ビニルアミド、O−ビニルカルボネート、及びO−ビニルカルバメートから選択される。
【0028】
速反応性基の例には、(メタ)アクリレート、スチリル、メタアクリアミド、及びこれらの混合物が含まれる。概して、(メタ)アクリレートは、(メタ)アクリルアミドよりも速く、アクリルアミドは、(メタ)アクリルアミドよりも速い。
【0029】
本明細書を通じて、化学構造が与えられるところはどこでも、構造上の置換基に対して開示される代替物は、任意の組み合わせで組み合わせられ得ることが認識されるべきである。したがって、ある構造が、置換基R及びRを含有した場合、これらのそれぞれは、潜在的基の3つのリストを含有し、9つの組み合わせが開示されている。同一物が、特性の組み合わせに対して適用される。
【0030】
本発明は、バランスのとれた所望の特性を示すシリコーンヒドロゲルに関する。本発明のシリコーンヒドロゲルは、3つの成分の少なくとも1つの遅反応性モノマー、少なくとも1つのシリコーン含有モノマー、少なくとも1つのヒドロキシアルキルモノマーの組み合わせ及び少なくとも1つの架橋剤から形成され得る。出願者は、遅反応性モノマーの量、及び遅反応性モノマーのヒドロキシアルキルモノマーに対する比を制御することによって、優れた湿潤性、透明性、眼の上での性能を示すシリコーンヒドロゲルが形成され得ることを見出している。出願者はまた、本発明のシリコーンヒドロゲルの作製で用いるのに特に適している一群の希釈剤も見出している。これらの製剤は、光開始の硬化によく適している。
【0031】
反応混合物の第1の成分は、式IのN−ビニルアミドモノマー、式II〜IVのビニルピロリドン、式Vのn−ビニルピペリドンから選択される遅反応性成分であって、
【化7】
式中、Rが、H又はメチルであり、好ましくは、RがHであり、
、R、R、R、R、R10、及びR11が独立して、H、CH、CHCH、CHCHCH、C(CHから選択され、
及びRが独立して、CH、CHCH、及び−C(CH)から選択され、
が、H、メチル、エチルから選択され、
が、CH=CH、CCH=CH、及びCH=CHCHから選択される、遅反応性成分である。
【0032】
及びR中の炭素原子の総数は、4以下であり得る。R及びRは、メチルであり得る。
【0033】
遅反応性親水性モノマーは、式IのN−ビニルアミドモノマー、又は式II若しくはIVのビニルピロリドンから選択され得る。好ましくは、Rはメチルであり、Rは水素であり、RはCH=CHであり、R10及びR11はHである。
【0034】
遅反応性親水性モノマーは、N−ビニルピロリドン(NVP)、1−メチル−3−メチレン−2−ピロリドン、1−メチル−5−メチレン−2−ピロリドン、5−メチル−3−メチレン−2−ピロリドン、N−ビニル−N−メチルアセトアミド(VMA)、N−ビニル−N−エチルアセトアミド、N−ビニル−N−エチルホルムアミド、N−ビニルホルムアミド、N−2−ヒドロキシエチルビニルカルバメート、N−カルボキシビニル−β−アラニン(VINAL)、N−カルボキシビニル−α−アラニン、及びこれらの混合物を含む、エチレングリコールビニルエーテル(EGVE)、ジ(エチレングリコール)ビニルエーテル(DEGVE)、N−ビニルラクタムから選択され得る。
【0035】
遅反応性親水性モノマーは、NVP、VMA、及び1−メチル−5−メチレン−2−ピロリドンから選択され得る。遅反応性親水性モノマーは、NVPを含み得る。
【0036】
遅反応性親水性モノマーは、得られたポリマーに湿潤性をもたらす量で存在する。湿潤性は、接触角によって測定され得、所望の接触角は、約80°未満、約70°未満、又は約60°未満である。遅反応性親水性モノマーは、約30〜約75重量%、約37〜約75重量%、約30〜約70重量%、約37〜約70重量%、又は約39〜約60重量%の量で存在し得、全て、全ての反応性成分に基づく。
【0037】
少なくとも1つのシリコーン含有モノマーは、単官能基であり、(a)(メタ)アクリレート、ステリル、(メタ)アクリルアミド、及びこれらの混合物から選択される速反応性基と、(b)ポリジアルキルシロキサン鎖と、を含む。シリコン含有モノマーは、(メタ)アクリレート、ステリル、(メタ)アクリルアミド、及びこれらの混合物から選択される速反応性基を含み得る。少なくとも1つのシリコーン含有モノマーはまた、少なくとも1つのフッ素も含有し得る。シリコーン含有成分は、式VIIのモノ(メタ)アクリルオキシアルキルポリジアルキルシロキサン及びモノ(メタ)アクリルアミドアルキルポリジアルキルシロキサンモノマー又は式VIIIのスチリルポリジアルキルシロキサンモノマーから選択され得、
【化8】
式中、R12が、H又はメチルであり、
Xが、O又はNR16であり、
各R14が独立して、フッ素、ヒドロキシル、若しくはエーテルで置換され得るフェニル又はC〜Cアルキルであるか、又は各R14が独立して、エチル基及びメチル基から選択され得る。全てのR14はメチルであり、
15が、C〜Cアルキルであり、
13が、エーテル基、ヒドロキシル基、カルバメート基、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される基、エーテル、ヒドロキシルで置換され得るC〜Cアルキレン基、又はエーテル、ヒドロキシル、及びこれらの組み合わせで置換され得るC若しくはC〜Cアルキレン基で更に官能基化され得る、二価アルキル基であり、
aは、2〜50、又は5〜15である。
【0038】
16は、H、1つ又は2つ以上のヒドロキシル基で更に置換され得るC1〜4アルキルから選択され、H又はメチルである。
【0039】
12及び各R14はメチルであり得る。
【0040】
少なくとも1つのR14は、3,3,3−トリフルオロプロピルであり得る。
【0041】
好適なシリコーン含有モノマーの例には、モノメタクリルオキシプロピル末端モノ−n−ブチル末端ポリジメチルシロキサン、モノメタクリルオキシプロピル末端モノ−n−メチル末端ポリジメチルシロキサン、モノメタクリルオキシプロピル末端モノ−n−ブチル末端ポリジエチルシロキサン、モノメタクリルオキシプロピル末端モノ−n−メチル末端ポリジエチルシロキサン、N−(2,3−ジヒドロキシプロパン)−N’−(プロピルテトラ(ジメチルシロキシ)ジメチルブチルシラン)アクリルアミド、α−(2−ヒドロキシ−1−メタクリルオキシプロピルオキシプロピル)−ω−ブチル−デカメチルペンタシロキサン、及びこれらの混合物からなる群から選択されるモノメタクリルオキシアルキルポリジメチルシロキサンメタクリレートが含まれる。
【0042】
シリコーン含有成分は、モノメタクリルオキシプロピル末端モノ−n−ブチル末端ポリジメチルシロキサン、モノメタクリルオキシプロピル末端モノ−n−メチル末端ポリジメチルシロキサン、N−(2,3−ジヒドロキシプロパン)−N’−(プロピルテトラ(ジメチルシロキシ)ジメチルブチルシラン)アクリルアミド、α−(2−ヒドロキシ−1−メタクリルオキシプロピルオキシプロピル)−ω−ブチル−デカメチルペンタシロキサン、及びこれらの混合物からなる群から選択され得る。
【0043】
シリコーン含有成分は、米国特許出願第13/048469号、米国特許第20110237766号のアクリルアミドシリコーン、具体的には、以下の一般式(s1)〜(s6)に示されるシリコーンモノマーから選択され得る。
【化9】
式中、mは、4〜12、好ましくは4〜10である。
【0044】
1つ又は2つ以上の重合性基を含む更なるシリコーン含有成分もまた、含まれ得る。本明細書で開示された反応性基を有する任意の更なる開示されたシリコーン成分が含まれ得る。例には、SiMAAなどの分枝状シロキサン鎖を示すシリコーン含有モノマーが含まれる。
【0045】
少なくとも1つのシリコーン含有成分は、所望の酸素透過性を提供するのに十分な量で反応混合物中に存在する。約70バーラーを超える、約80バーラーを超える、約90バーラーを超える、又は約100バーラーを超える酸素透過係数が達成され得ることは、本発明の利点である。好適な量は、シリコーン含有モノマーがより少ないモノマーを必要とするより長い鎖を有するシリコーン含有モノマー中に含まれるシロキサン鎖の長さに依存することになる。量には、約20〜約60重量%、幾つかの実施形態においては、約30〜約55重量%が含まれる。
【0046】
反応混合物中のシリコンの総量(希釈剤を除く)は、約9〜14重量%及び約9〜13重量%であり得る。約70、約80、約90、及び更には約100バーラーを超える酸素透過係数を有するシリコーンヒドロゲルが、ほんの少しの量(14重量%未満)のシリコンで形成され得ることが、本出願の利点である。
【0047】
反応混合物は、実質的にTRISを含み得ず、実質的にシリコーン含有マクロマーもプレポリマーも含み得ない。反応混合物は、TRISを含み得ない。
【0048】
本発明の反応混合物は、式IXのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート若しくは(メタ)アクリルアミドモノマー又は式Xのステリル化合物から選択される、少なくとも1つのヒドロキシアルキルモノマーを更に含み、
【化10】
式中、Rが、H又はメチルであり、
Xが、O又はNR16であり、R16が、H、少なくとも1つのOH、メチル、又は2−ヒドロキシエチルで更に置換され得るC〜Cアルキルであり、
17が、C〜Cモノ又はジヒドロキシ置換アルキル、及び1〜10個の反復単位を有するポリ(エチレングリコール)、2−ヒドロキシエチル、2,3−ジヒドロキシプロピル、2−ヒドロキシプロピルから選択される。
【0049】
好ましくは、Rが、H又はメチルであり、Xが酸素であり、Rが、C〜Cモノ又はジヒドロキシ置換アルキル、及び1〜10個の反復単位を有するポリ(エチレングリコール)から選択される。好ましくは、Rがメチルであり、Xが酸素であり、Rが、C〜Cモノ又はジヒドロキシ置換アルキル、及び2〜20個の反復単位を有するポリ(エチレングリコール)から選択される。好ましくは、Rがメチルであり、Xが酸素であり、Rが、C〜Cモノ又はジヒドロキシ置換アルキルから選択される。一実施形態において、少なくとも1つのヒドロキシル基は、Rアルキル基の末端上にある。
【0050】
好適なヒドロキシアルキルモノマーの例には、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、1−ヒドロキシプロピル−2−(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−プロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、ビス−(2−ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、2,3−ジヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド、及びこれらの混合物が含まれる。
【0051】
ヒドロキシアルキルモノマーは、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、グリセロールメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、ヒドロキシブチルメタクリレート、3−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−プロピルメタクリレート、及びこれらの混合物からなる群から選択され得る。
【0052】
ヒドロキシアルキルモノマーは、2−ヒドロキシエチルメタクリレートを含み得、別の実施形態において、3−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−プロピルメタクリレートを含む。代替として、反応性ヒドロキシアルキルモノマーは、グリセロールメタクリレートを含む。
【0053】
ヒドロキシル含有成分は、シリコーン含有モノマーと同じ反応性官能基を有し得る。
【0054】
ヒドロキシアルキルモノマーは、少なくとも約0.15又は約0.15〜約0.4のヒドロキシル基の遅反応性親水性モノマーに対するモル比を形成するモルパーセントで存在する。これは、ヒドロキシアルキルモノマー中のヒドロキシル基のモル数(遅反応性親水性モノマー及びシリコーン含有モノマーにおける任意のヒドロキシル基を含む)を、モノマー混合物の所与の質量当たりの遅反応性親水性モノマーのモル数で割ることによって計算される。この場合、HO−mPDMS、HEMA、EGVE、及びNVPを含む反応混合物については、HO−mPDMS、HEMA、及びEGVEのそれぞれにおけるヒドロキシル基が計数され得る。希釈剤(使用される場合)中に存在する任意のヒドロキシル基は、計算には含まれない。より低量のヒドロキシアルキルモノマーが、約50%未満又は約30%未満の最終レンズに対するヘイズ値を提供するために選択され得る。
【0055】
反応混合物中のヒドロキシル基のシリコンに対するモル比(HO:Si)は、約0.16〜約0.4である。モル比は、反応混合物の成分中のヒドロキシル基(遅反応性親水性モノマーの一部である任意のヒドロキシル又は希釈剤以外)のモル濃度を、シリコンのモル濃度で割ることによって計算される。ヒドロキシアルキルモノマー及び任意のヒドロキシル含有シリコーン成分の両方が、計算に含まれる。したがって、HO−mPDMS、HEMA、EGVE、及びNVPを含む反応混合物のHO:Si比を計算する際、HO−mPDMS、HEMAのそれぞれにおけるヒドロキシル基のみがHO:Siを計算する際に計数され得る。
【0056】
非シリコーン含有成分中のヒドロキシル基(遅反応性親水性モノマーの一部である任意のヒドロキシル又は希釈剤以外)のシリコンに対するモル比は、約0.13〜約0.35であり得る。したがって、HO−mPDMS、HEMA、EGVE、及びNVPを含む反応混合物のHO非Si:Siの比を計算する際、HEMAにおけるヒドロキシル基のみが、HO非Si:Siの比を計算する際に計数され得る。
【0057】
当然のことながら、最小量のヒドロキシル成分は、ヒドロキシアルキルモノマーにおけるヒドロキシル基の数、シリコーン含有成分における親水性官能基の量、分子量、及び存在又は不在を含む、多くの要因によって異なるであろう。例えば、HEMAがヒドロキシアルキルモノマーとして使用され、mPDMSが唯一のシリコーン含有モノマーとして約38重量%の量で使用される場合、少なくとも約8重量%のHEMA(0.16 HO:Si)が、所望のヘイズ値を提供するために含まれる。しかしながら、より少ない量のmPDMSが使用される(約20%)場合、約2又は3%より少ないHEMAが、約50%を下回るヘイズ値を有するシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズを提供する。同様に、製剤が相当量のヒドロキシル含有シリコーン成分(例68〜73のように約20重量%を超えるようなHO−mPDMSなど)を含み、約7重量%ほどの低い量(0.13 HO:Si、又は0.24 HO合計:Si)のHEMAが、所望のヘイズ値を提供し得る。
【0058】
約60、80、又は100バーラーを超えるDk値が望ましい場合、所望のヘイズ値を達成するのに必要とされるものをはるかに超える過剰のヒドロキシアルキルモノマーは望ましくない。
【0059】
反応混合物は、更なる親水性モノマーを更に含み得る。ヒドロゲルを調製するために使用される任意の親水性モノマーが使用され得る。例えば、アクリル基(CH=CROX、式中、Rが水素又はC1〜6アルキルであり、XがO又はNである)又はビニル基(−C=CH)を含有するモノマーが使用され得る。更なる親水性モノマーの例は、N,N−ジメチルアクリルアミド、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、メタクリル酸、アクリル酸、これらの組み合わせなどである。更なる親水性モノマーが、本明細書で定義されるように、遅反応性親水性モノマーではない場合、本発明の製剤中のそれらの濃度が、約80°よりも大きい接触角を有するレンズを提供しない濃度に限定され得る。本明細書で使用するとき、「中間の」半減期は、最遅反応性シリコーン成分よりも20%〜70%速いものである。例えば、(N,N−ジメチルアクリルアミドなど)更なる親水性モノマーが、ビニル含有モノマーの半減期とシリコーン成分の半減期との間にある動態半減期を有する場合、更なる親水性モノマーの量は、約3重量%を下回るように限定される。レンズが表面改質される場合、より多くの量の更なるモノマーが含まれ得る。
【0060】
本発明の反応混合物は、少なくとも1つの架橋剤を更に含んでよい。架橋剤は、2つ又は3つ以上の重合性二重結合を有するモノマーである。好適な架橋剤には、エチレングリコールジメタクリレート(「EGDMA」)、トリメチロールプロパントリメタクリレート(「TMPTMA」)、グリセロールトリメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート(ポリエチレングリコールは、例えば最大で約5000の分子量を有することが好ましい)、並びに、2つ又は3つ以上の末端メタクリレート部分を含有する上記エンドキャップ化ポリオキシエチレンポリオールのような他のポリアクリレート及びポリメタクリレートエステルが含まれる。架橋剤は、通常の量、例えば、反応混合物中の反応性成分の100グラム当たり約0.000415〜約0.0156モルで用いられ得る。親水性モノマー及び/又はシリコーン含有モノマーが、架橋剤として作用する場合、反応混合物への更なる架橋剤の追加は任意である。架橋剤として作用でき、存在する場合に反応混合物への追加架橋剤の添加を必要としない親水性モノマーの例には、2つ又は3つ以上の末端メタクリレート部分を含有する上記ポリオキシエチレンポリオールが含まれる。
【0061】
架橋剤として作用でき、存在する場合に反応混合物への架橋モノマーの追加を必要としないシリコーン含有モノマーの例として、α,ω−ビスメタクリルオキシプロピル(bismethacryloypropyl)ポリジメチルシロキサンが挙げられる。
【0062】
反応混合物はまた、親水性成分の反応速度に応じて複数の架橋剤を含有することもできる。遅反応性官能基(例えば、ジ−ビニル、トリ−ビニル、ジ−アリル、トリ−アリル)を有する超遅反応性親水性成分(例えば、VMA、EGVE、DEGVE)又は遅反応性官能基と速反応性官能基(例えば、HEMAVc)との組み合わせを用いて、最終ヒドロゲル中の遅反応性モノマーのポリマーの保持を改善する速反応性官能基((メタ)アクリレート)を有する架橋剤が組み合わせられ得る。
【0063】
反応混合物はまた、少なくとも2つの架橋剤、シリコーン成分及びヒドロキシルアルキル(メタ)アクリレートと反応する少なくとも2つの速反応性基を有する少なくとも1つの第1の架橋剤、並びに遅反応性親水性モノマーと反応する少なくとも2つの遅反応性基を有する少なくとも1つの第2の架橋剤も含み得る。速反応性及び遅反応性架橋剤のこの混合物は、特に、レンズの表面上に、改善された弾力性及び回復性のある最終ポリマーを提供する。好適な第1の架橋剤の例には、EGDMA、TEGDMA、及びこれらの組み合わせなどの(メタ)アクリレート官能基のみを有するものが含まれる。好適な第2の架橋剤の例には、シアヌル酸トリアリル(TAC)などのビニル官能基のみを有するものが含まれる。混合物が使用される場合、この反応混合物中の全ての架橋剤の好適な総量はそれぞれ、希釈剤を含まない、約0.10重量%〜約2重量%、又は約0.1〜約1重量%を含む。この反応混合物中の全ての架橋剤の総量は、重合性成分100g当たり0.7〜約6.0ミリモル、反応性成分100g当たり約0.7〜約4.0ミリモルであり得る。速反応性及び遅反応性架橋剤はそれぞれ、重合性成分100g当たり約0.3〜約2.0ミリモル、及び反応性成分100g当たり約0.4〜約2.0ミリモルの量で存在する。
【0064】
反応混合物はまた、少なくとも1つの紫外線吸収化合物を含み得る。シリコーンヒドロゲルが眼科用器具として使用される場合、得られたシリコーンヒドロゲルが紫外線を吸収するように、反応混合物中に反応性紫外線吸収化合物を組み込むことが望ましい場合がある。好適な紫外線吸収剤は、2−(2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−ヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシフェニルトリアジン、オキサニリド、シアノアクリレート、サリチル酸塩、及び4−ヒドロキシベンゾエート由来であり得、これらは、(メタ)アクリレートなどの反応性重合性基を組み込むために更に反応させ得る。重合性基を含む紫外線吸収剤の具体例には、2−(2’−ヒドロキシ−5−メタクリルイルオキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール(Norbloc)、2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾールの5−ビニル及び5−イソプロペニル誘導体、並びに2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール又は2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−1,3−2H−ジベンゾトリアゾールの4−アクリレート又は4−メタクリレート、これらの混合物などが含まれる。紫外線吸収剤が含まれる場合、約0.5〜約4重量%、又は約1重量%〜約2重量%の量で含まれ得る。
【0065】
重合開始剤は、反応混合物中に含まれるのが好ましい。本発明の反応混合物は、少なくとも1つの熱性、光開始剤、又はこれらの混合物を含む。光開始剤の使用は、約30分未満、約20分未満、又は約15分未満の所望の硬化時間(本質的に完全な硬化に達するまでの時間)を提供する。好適な光開始剤系には、芳香族α−ヒドロキシケトン、アルコキシオキシベンゾイン、アセトフェノン、アシルホスフィンオキシド、ビスアシルホスフィンオキシド、及び三級アミン+ジケトン、これらの混合物などが含まれる。光開始剤の具体例としては、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4−4−トリメチルペンチルホスフィンオキシド(DMBAPO)、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキシド(Irgacure 819)、2,4,6−トリメチルベンジルジフェニルホスフィンオキシド及び2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ベンゾインメチルエステル、並びにカンファーキノンとエチル4−(N,N−ジメチルアミノ)ベンゾエートとの組み合わせがある。市販の可視光開始剤系としては、Irgacure 819、Irgacure 1700、Irgacure 1800、Irgacure 819、Irgacure 1850(いずれもチバ・スペシャルティ・ケミカルズ社(Ciba Specialty Chemicals)より)及びLucirin TPO開始剤(BASF社より入手可能)が挙げられる。市販の紫外光開始剤としては、Darocur 1173及びDarocur 2959(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社(Ciba Specialty Chemicals))が挙げられる。使用することができるこれら及び他の光開始剤は、Volume III,Photoinitiators for Free Radical Cationic & Anionic Photopolymerization,2nd Edition、J.V.Crivello & K.Dietliker著;G.Bradley編;John Wiley and Sons;New York;1998において開示されており、これは、参照により本明細書に組み込まれる。好適な熱性開始剤には、過酸化ラウリル、過酸化ベンゾイル、過炭酸イソプロピル、アゾビスイソブチロニトリルなどが含まれる。この開始剤は、反応混合物の重合を開始するのに有効な量、例えば反応性モノマー100重量部に対し、約0.1〜約2重量部の量で反応混合物中に用いられる。
【0066】
反応混合物はまた、少なくとも1つの希釈剤を含み得るか、又は「純粋」なままであり得る。希釈剤が使用される場合、選択された希釈剤は、反応混合物中の成分を可溶化すべきである。当然のことながら、この選択された親水性及び疎水性成分の特性は、所望の相溶化をもたらすであろう希釈剤の特性に影響を与え得る。例えば、反応混合物が中程度の極性の成分のみを含有する場合、中程度のδpを有する希釈剤が使用され得る。しかし、反応混合物が高い極性の成分を含有する場合、希釈剤は高いδpを有する必要があり得る。しかし、希釈剤がより疎水性になると、希釈剤を水で置換する上で必要な処理工程では、水以外の溶媒の使用が必要となるであろう。これは、望ましくないことであるが、製造工程の複雑性及びコストを高めてしまうことになる。したがって、加工の簡便性に必要なレベルを有する成分への所望の適合性を与える希釈剤を選択することは重要である。
【0067】
使用される希釈剤のタイプ及び量はまた、得られたポリマー及び物品の特性に影響を与える。最終物品のヘイズ値、湿潤性、及び弾性率は、相対的に疎水性希釈剤を選択すること及び/又は使用される希釈剤の濃度を低減させることによって改善され得る。
【0068】
本発明の器具を調製するのに有用である希釈剤には、エーテル、エステル、アミド、アルコール、カルボン酸、及びこれらの組み合わせなどの極性希釈剤が含まれる。アミド、カルボン酸、及びアルコールは、好ましい希釈剤であり、二級及び三級アルコールは、より好ましい希釈剤である。
【0069】
本発明のための希釈剤として有用なアルコールの例には、以下の式を有するものが含まれ、
【化11】
式中、R、R’、及びR”は独立して、H、直鎖状、分枝状、又は環状の一価のアルキルから選択され、これは、ハロゲン、エーテル、エステル、アリール、アミン、アミド、アルケン、アルキン、カルボン酸、アルコール、アルデヒド、ケトン等を含む1つ又は2つ以上の基と任意に置換され得る1〜10個の炭素を有しているか、あるいはR、R’及びR”のうち、いずれかつ2つ又は3つ全てはともに結合して、上述したように置換され得る1〜10個の炭素を有するアルキルなどの1つ又は2つ以上の環状構造を形成することができるが、但し、R、R’、又はR”のうちの1つ以下がHであるものとする。
【0070】
R、R’、及びR”は独立して、H、又は1〜7個の炭素を有する非置換の直鎖状、分枝状、若しくは環状のアルキル基から選択されることが好ましい。R、R’、及びR”は独立して、1〜7個の炭素を有する非置換の直鎖状、分枝状、若しくは環状のアルキル基から選択されることが更に好ましい。好ましい希釈剤は、希釈剤が高分子量であればあるほど、揮発性及び燃焼性が低下するため、全部で、4つ又は5つ以上、より好ましくは、5つ又は6つ以上の炭素を有し得る。R、R’、及びR”のうちの1つがHである場合、この構造は、二級アルコールを形成する。R、R’、及びR”のいずれもHでない場合、この構造は、三級アルコールを形成する。三級アルコールは、二級アルコールよりも好ましい。希釈剤は、その炭素の総数が5個以下である場合に、不活性であり、かつ、水によって容易に置換可能であることが好ましい。
【0071】
有用な二級アルコールの例には、2−ブタノール、2−プロパノール、メントール、シクロヘキサノール、シクロペンタノール及びエクソノルボルネオール(exonorborneol)、2−ペンタノール、3−ペンタノール、2−ヘキサノール、3−ヘキサノール、3−メチル−2−ブタノール、2−ヘプタノール、2−オクタノール、2−ノナノール、2−デカノール、3−オクタノール、ノルボルネオール(norborneol)等が含まれる。
【0072】
有用な三級アルコールの例には、tert−ブタノール、tert−アミル、アルコール、2−メチル−2−ペンタノール、2,3−ジメチル−2−ブタノール、3−メチル−3−ペンタノール、1−メチルシクロヘキサノール、2−メチル−2−ヘキサノール、3,7−ジメチル−3−オクタノール、1−クロロ−2−メチル−2−プロパノール、2−メチル−2−ヘプタノール、2−メチル−2−オクタノール、2,2−メチル−2−ノナノール、2−メチル−2−デカノール、3−メチル−3−ヘキサノール、3−メチル−3−ヘプタノール、4−メチル−4−ヘプタノール、3−メチル−3−オクタノール、4−メチル−4−オクタノール、3−メチル−3−ノナノール、4−メチル−4−ノナノール、3−メチル−3−オクタノール、3−エチル−3−ヘキサノール、3−メチル−3−ヘプタノール、4−エチル−4−ヘプタノール、4−プロピル−4−ヘプタノール、4−イソプロピル−4−ヘプタノール、2,4−ジメチル−2−ペンタノール、1−メチルシクロペンタノール、1−エチルシクロペンタノール、1−エチルシクロペンタノール、3−ヒドロキシ−3−メチル−1−ブテン、4−ヒドロキシ−4−メチル−1−シクロペンタノール、2−フェニル−2−プロパノール、2−メトキシ−2−メチル−2−プロパノール、2,3,4−トリメチル−3−ペンタノール、3,7−ジメチル−3−オクタノール、2−フェニル−2−ブタノール、2−メチル−1−フェニル−2−プロパノール、及び3−エチル−3−ペンタノールなどが含まれる。
【0073】
有用なカルボン酸の例には、1つ又は2つのカルボン酸基及び任意にフェニル基を有する、C〜C16、カルボン酸が含まれる。具体例には、酢酸、デカン酸、ドデカン酸、オクタン酸、ベンジル酸、これらの組み合わせなどが含まれる。
【0074】
単独のアルコール、又は上述のアルコールのうちの2つ若しくは3つ以上の混合物、又は上述の構造に従う2つ若しくは3つ以上のアルコールの混合物は、本発明のポリマーを作製するために、希釈剤として使用することができる。
【0075】
希釈剤は、少なくとも4個の炭素を有する二級及び三級アルコールから選択され得る。好適な例には、tert−ブタノール、tert−アミルアルコール、2−ブタノール、2−メチル−2−ペンタノール、2,3−ジメチル−2−ブタノール、3−メチル−3−ペンタノール、3−エチル−3−ペンタノール、3,7−ジメチル−3−オクタノールが含まれる。少なくとも4個の炭素原子を有する二級及び三級アルコールが、比較的低い量でさえ、最終ポリマーの弾性率に有益な影響を及ぼすことが見出されている。t−アミルアルコールなどのこれらのアルコールは、20〜20重量%ほどの低い量でさえ、得られたポリマーの弾性率を約20%低下させることができる。
【0076】
希釈剤はまた、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、ノナノール、デカノール、tert−ブチルアルコール、3−メチル−3−ペンタノール、イソプロパノール、t−アミルアルコール、乳酸エチル、乳酸メチル、乳酸イソプロピル、3,7−ジメチル−3−オクタノール、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルプロピオンアミド、Nメチルピロリジノン、及びこれらの混合物からも選択され得る。本発明に有用な追加の希釈剤は、米国特許第6,020,445号、同第20100280146号に開示され、参照することにより本明細書に組み込まれる。
【0077】
希釈剤は、t−アミルアルコール、3−メチル−3−ペンタノール、3,7−ジメチル−3−オクタノール、デカン酸、及びこれらの組み合わせなどから選択され得る。
【0078】
希釈剤は、加工条件で水溶性であり得、かつ、短時間で、レンズから容易に水で洗い出され得る。好適な水溶性希釈剤には、1−エトキシ−2−プロパノール、1−メチル−2−プロパノール、t−アミルアルコール、トリプロピレングリコールメチルエーテル、イソプロパノール、1−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルプロピオンアミド、乳酸エチル、ジプロピルグリコールメチルエーテル、これらの混合物などが含まれる。水溶性の希釈剤の使用は、成型後のプロセスを、水のみを用いて又は実質的な成分としての水を含む水溶液を用いて、行うことが可能になる。
【0079】
希釈剤は、反応混合物中の全成分の合計の、約40重量%までの量で使用され得る。希釈剤(複数可)は、反応混合物中の全成分の合計の約30重量%未満、又は約5〜約20重量%の量で使用され得る。
【0080】
希釈剤はまた、得られたポリマーの弾性率を低下させ、レンズの硬化効率及び残渣の低減を改善する更なる成分も含み得る。反応混合物の粘度を増加及び/又は遅反応性親水性モノマーとの水素結合の度合いを増加させることができる成分が望ましい。好適な成分には、ポリアミド、PVP及びそのコポリマーなどのポリラクタム、ポリオール、及びグリセリン、ホウ酸、ホウ酸グリセロールエステル、ポリアルキレングリコールなどのポリオール含有成分、これらの組み合わせなどが含まれる。
【0081】
好適なポリラクタムには、NVP及び親水性モノマーからの反復単位を含むPVP及びコポリマーが含まれる。一実施形態において、ポリラクタムはPVPから選択され、ポリアミドはDMAを含む。
【0082】
ポリアミド又はポリラクタムが使用される場合、それらは約K12〜K120(約3900〜約3,000,000ダルトンM)又はK30〜K90(約42,000〜約1,300,000ダルトンM)の分子量を有する。
【0083】
好適なポリアルキレングリコールには、約350まで、また任意には、約200gm/mol未満の分子量を有するポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコールが含まれる。
【0084】
使用される場合、ポリオール及びポリオール含有成分は、約5重量%未満、及び約0.2〜約5重量%の量で使用される。本発明の希釈剤及び共希釈剤はまた、光硬化の終了時ポリマー中に残留する残渣も低減する。これは、直径を含む、より一貫した特性を有するレンズを提供する。硬化の終了時に存在する残渣遅反応性親水性成分は、レンズの約2重量%未満((残渣成分の重量/硬化ポリマーの重量)100%)、約1重量%未満、場合によっては、約0.8重量%未満であり得る。残渣の低減はまた、約0.05mm未満変化し得る、レンズの直径を含むより一貫したレンズ特性をもたらす。
【0085】
反応混合物には、薬剤、抗微生物化合物、反応性発色剤、顔料、共重合性及び非重合性色素、離型剤、及びこれらの組み合わせなどが挙げられるが、これらに限定されない、更なる成分を含有してもよい。
【0086】
反応混合物中の遅反応性親水性モノマーの範囲は、約40〜70重量パーセントを含む。ヒドロキシアルキルモノマーは、約0.15〜約0.4のヒドロキシアルキルモノマーの遅反応性親水性モノマーに対するモル比を提供するのに好適な量で存在する。シリコーン含有成分(複数可)の好適な範囲は、反応混合物中の反応性成分の約20〜約60重量%、又は約30〜約55重量%である。反応混合物はまた、約0.2〜約3重量%の架橋モノマー、約0〜約3重量%の紫外線吸収モノマー(全て、全ての反応性成分の重量%に基づく)、及び特許請求の範囲の希釈剤のうちの1つ又は2つ以上の約20〜約60重量%(反応性及び非反応性の両方の全ての成分の重量%)を含む。当然のことながら、前述の範囲は、任意の置換において組み合わせられ得る。
【0087】
好適には、ヒドロキシアルキルモノマーは、GMMAを含み、希釈剤は、t−アミルアルコールを含む。
【0088】
本発明の反応混合物は、振盪又は攪拌などの当業者に周知のいずれかの方法で形成でき、周知法によるポリマー物品又は器具の形成に使用できる。
【0089】
例えば、本発明の生体医療用器具は、反応性成分及び希釈剤を重合開始剤と混合し、適切な条件下で硬化させることによって調製して、生成物を形成し、その後、木摺打ち、切断などによって適切な形状に形成することができる。別法として、反応混合物は、型に入れた後に硬化させ、適当な物品とすることができる。
【0090】
コンタクトレンズの生産における反応混合物の加工には、スピンキャスティング及び静鋳造法(static casting)を含めた様々なプロセスが既知である。スピンキャスト法については米国特許第3,408,429号及び同第3,660,545号に開示されており、静止キャスト法については米国特許第4,113,224号及び同第4,197,266号に開示されている。本発明のポリマーを含むコンタクトレンズの製造方法は、シリコーンヒドロゲルを直接成形することによるものであり、この方法は経済的であり、かつ含水レンズの最終的な形状の正確な制御を可能とするものであり得る。この方法の場合、最終の所望のシリコーンヒドロゲル、すなわち、水膨潤ポリマー、の形状を有する型に反応混合物を入れ、モノマーが重合する条件に当該反応混合物を供し、それによって、ポリマー/希釈剤混合物を所望の最終製品の形状にする。
【0091】
図1を参照すると、コンタクトレンズなどの眼科用レンズ100、及び眼科用レンズ100の形成に用いられる成形型部品101〜102の図が示される。成形型部品は、背面成形型部品101及び前面成形型部品102を含み得る。本明細書で使用するとき、用語「前面成形型部品」は、その凹面104が、眼科用レンズの前面を形成するのに用いられるレンズ形成面である、成形型部品を指す。同様に、用語「背面成形型部品」は、その凸面105が、眼科用レンズ100の背面を形成するレンズ形成面を形成する成形型部品101を指す。成形型部品101及び102は凹凸状であり、好ましくは、成形型部品101〜102の凹凸部の最上端縁部周囲を囲む平面環状フランジを含み得る。
【0092】
典型的には、成形型部品101〜102は「サンドイッチ」状に配置される。前面成形型部品102は、成形型部品の凹面104が上向きの状態で底部にある。背面成形型部品101は、背面成形型部品101の凸面105が前面成形型部品102の凹部に一部突出している状態で、前面成形型部品102の上部に対称的に配置され得る。背面成形型部品101は、その凸面105が前面成形型部品102の凹面104の外側縁部に、その周囲全体に嵌合するような寸法であり、それにより、眼科用レンズ100が形成される封止された型穴の形成が助けられ得る。
【0093】
成形型部品101〜102は、熱可塑性樹脂で作製され得、重合開始用の化学線に対して、少なくとも一部、及び場合によっては、全部が透過するようになっており、型穴中で反応混合物の重合を開始する上で有効な強度及び波長の化学線は、成形型部品101〜102を貫通できる。
【0094】
例えば、成形型部品の製造に好適な熱可塑性樹脂には、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリオレフィン(ポリエチレン及びポリプロピレンなど)、スチレンとアクリロニトリル若しくはブタジエンとのコポリマー又は混合物、ポリアクリロニトリル、ポリアミド、ポリエステル、環状オレフィンコポリマー(Ticonaから入手可能なTopas、又はZeonから入手可能なZeonorなど)、上記の任意のコポリマー又は配合物、又はその他の既知の材料を含めることができる。
【0095】
レンズ100を形成するための反応混合物の重合の後、レンズ表面103は、典型的には成形型部品表面104に付着するであろう。本発明の工程は、表面103の成形型部品表面からの取り外しを容易にする。第1の成形型部品101は、離型プロセスにおいて第2の成形型部品102から分離され得る。レンズ100は、硬化プロセス中に第2の成形型部品102(すなわち、前側曲線成形型部品)に付着し、分離後、レンズ100が前側曲線成形型部品102から取り外されるまで、第2の成形型部品102に付着した状態で残る。代替として、レンズ100は、第1の成形型部品101に付着し得る。
【0096】
レンズ100は、溶媒との接触又は乾燥放出を含む任意のプロセスによって成形型から取り外され得る。例えば、離型後、付着されるレンズ100及び成形型部品は、水溶液と接触され得る。水溶液を、水溶液の沸点を下回る任意の温度まで加熱してよい。加熱は、爆発の可能性を最小限に抑える加熱交換単位で、又は液体を加熱するための任意の他の実現可能な手段若しくは装置によって達成され得る。
【0097】
本明細書で使用するとき、加工には、成形型からレンズを取り外す工程と、希釈剤を水溶液で除去又は交換する工程とが含まれる。これらの工程は、別々に、又は単一の工程若しくはステージで行われてもよい。加工温度は、約30℃〜水溶液の沸点、例えば、約30℃〜約95℃、又は約50℃〜約95℃の任意の温度であってよい。
【0098】
この水溶液は主に水である。水溶液は、少なくとも約70重量%の水、少なくとも約90重量%の水、又は少なくとも約95%の水であってよい。この水溶液は、ホウ酸緩衝生理食塩水、ホウ酸ナトリウム溶液、重炭酸ナトリウム溶液などのコンタクトレンズ包装用溶液であってもよい。水溶液はまた、添加剤、例えば、界面活性剤、防腐剤、取り出し助剤、抗菌剤、薬学的及び栄養学的成分、潤滑剤、湿潤剤、塩類、緩衝剤、これらの混合物なども含んでよい。水溶液中に含めてよい添加剤の特定例として、Tween 80(ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート)、Tyloxapol、オクチルフェノキシ(オキシエチレン)エタノール、アンホテリック(amphoteric)10、EDTA、ソルビン酸、DYMED、グルコン酸クロルヘキシジン(chlorhexadine gluconate)、過酸化水素、チメロサール、polyquad、ポリヘキサメチレンビグアニド、これらの混合物などが挙げられる。様々な領域が用いられる場合、異なる添加剤を異なる領域で含めてよい。添加剤は、0.01重量%〜10重量%の様々な量であるが、累積的に約10重量%未満の量で、水和溶液に添加してよい。
【0099】
眼科用レンズ100の水溶液への曝露は、洗浄、噴霧、浸漬、水浸、又は前述の任意の組み合わせといった任意の方法で達成することができる。例えば、レンズ100は、水和塔内で脱イオン水を含む水溶液で洗浄され得る。
【0100】
水和塔を用いて、レンズ100を含む前側曲線成形型部品102を、パレット又はトレイ内に配置し、垂直方向に積み重ねることができる。この水溶液がレンズ100全体に流下するように、この溶液を、積み重ねたレンズ100の上部に導入することができる。また、塔に沿った様々な位置にこの溶液を導入することもできる。レンズ100を徐々により新しい溶液に曝すように、トレイを上方に移動させてよい。
【0101】
代替として、眼科用レンズ100を、水溶液中に浸漬させても、水浸させてもよい。
【0102】
接触工程は、最大約12時間、最大約2時間、又は約2分間〜約2時間継続してよいが、接触工程の長さは、任意の添加剤を含むレンズ材料、この水溶液又は溶媒に用いられる材料、及び溶液の温度によって異なる。十分な処理時間により、典型的にはコンタクトレンズが収縮し、成形型部品からレンズが取り出される。接触時間を長くすると、浸出がより大きくなる。
【0103】
使用される水溶液の量は、レンズ1枚当たり約1mL超、幾つかの実施形態において、レンズ1枚当たり約5mL超の任意の量であってよい。
【0104】
分離又は離型後、フレームの一部となり得る前面曲線上のレンズは、これらが前面曲線から取り出されると、コンタクトレンズを受け入れるための個々の凹状の溝が付けられたカップと嵌合する。このカップはトレイの一部であってよい。例として、それぞれ32枚のレンズを搭載するトレイを挙げることができ、このトレイ20枚はマガジン内に積み重ねることができる。
【0105】
代替として、レンズを、水溶液中に水浸させてもよい。マガジンを積み重ね、次いで、水溶液の入ったタンク内に下ろすことができる。この水溶液もまた、上述のその他添加剤を含んでよい。
【0106】
本明細書で使用するとき、透明性とは、視認できるヘイズが実質的にないことを意味する。透明なレンズは、約100%未満、約50%未満、又は約20%未満のヘイズ値を有する。
【0107】
好適な酸素透過係数としては、約40バーラーを超える、幾つかの実施形態において、約60バーラーを超える、又は少なくとも約100バーラーであるものが挙げられる。
【0108】
また、生体医療用器具、特に眼科用器具及びコンタクトレンズは、約80°未満、約75°未満、又は約70°未満の平均接触角(前進)を有する。本発明の物品は、上記の酸素透過係数、含水率、及び接触角の組み合わせを有し得る。上記の範囲のすべての組み合わせは、本発明の範囲に含まれるものとみなされる。
【0109】
Hansen溶解度パラメーター
Hansen溶解度パラメーターδpは、Bartonの「CRC Handbook of Solubility Par.」第1版、1983年、85〜87頁に記載される原子団寄与法、及び表13、14を使用して計算できる。
【0110】
ヘイズ値の測定
水和した試験レンズを、周囲温度でホウ酸緩衝食塩水を透明な20×40×10mmガラスセル中に入れて平坦な黒い背景の上に置き、光ファイバーランプ(電力設定4〜5.4で設定された直径0.5”(1.27cm)光ガイドを有するDolan−Jenner製のPL−900光ファイバーライト又はTitan Tool Supply Co.製の光ファイバーライト)を用いて、レンズセルに垂直に66°の角度で下から照明し、レンズプラットフォームから14mm上に配置されたビデオカメラ(Navitar TV Zoom 7000ズームレンズを備えるDVC 1300C:19130 RGBカメラ)を用いて、レンズセルに垂直にレンズの画像を上から撮影することによって、ヘイズ値を測定した。バックグラウンド散乱は、EPIX XCAP V 2.2ソフトウェアを使用して、ブランクセルの画像を控除することによって、レンズの散乱から控除する。控除された散乱光画像を、中央10mmのレンズ上で統合した後、ヘイズ値100で適宜設定される(ヘイズ値0として設定されるレンズはない)、−1.00ジオプターCSI Thin Lens(登録商標)と比較することによって定量的に分析する。5個のレンズを分析し、結果を平均して、ヘイズ値を標準CSIレンズのパーセンテージとして生成する。レンズは、(上述のCSIの)約150%未満、場合によっては、約100%未満のヘイズ値を有する。
【0111】
代替として、−1.00ジオプターCSI Thin Lenses(登録商標)の代わりに、一連の水分散液のストックラテックス球(0.49μmポリスチレンラテックス球として市販されている−Ted Pella,Inc.からの認可されたナノ粒子サイズの標準品、製品番号610−30)が標準品として使用され得る。一連の校正試料を、脱イオン水中で調製した。異なる濃度のそれぞれの溶液を、キュベット(2mm経路長)内に設置し、溶液のヘイズを上記の方法を用いて測定した。
【0112】
【表1】
平均GS=平均グレースケール
【0113】
補正因子は、濃度に対する平均GSのプロットの傾斜(47.1)を実験的に得られた標準曲線の傾斜で割り、この比にレンズに対して測定された散乱値をかけることによって得られ、GS値を得た。
【0114】
「CSIヘイズ値」は、以下の通りに計算され得る。
CSIヘイズ値=100×(GS−BS)/(217−BS)
GSがグレースケールである場合、BSは、バックグラウンド散乱である。
【0115】
含水率
コンタクトレンズの含水率を以下のように測定した。1組3枚のレンズ3組をパッキング溶液中で24時間静置する。各レンズを吸湿拭き取りシートで拭き取り、秤量する。レンズを1.4kPa(0.4インチHg)以下の圧力で、60℃で4時間乾燥させる。乾燥したレンズを秤量する。含水率は以下のように計算する。
【数1】
【0116】
各試料について含水率の平均及び標準偏差を計算して報告する。
【0117】
弾性率
弾性率は、初期ゲージ高さにまで下げられたロードセルを備えた一定速度移動タイプの引張試験機のクロスヘッドを使用して測定した。好適な試験機には、Instronモデル1122が含まれる。長さ1.33cm(0.522インチ)、「耳」幅0.701cm(0.276インチ)、及び「首」幅0.541cm(0.213インチ)の犬用の骨形状の試料をグリップに載置し、破断するまで5.1cm/分(2インチ/分)のひずみ定速で引張する。試料の初期標点距離(Lo)及び破断時の試料長(Lf)を測定する。各組成物の12個の標本を測定し、平均を報告する。伸び率は、[(Lf−Lo)/Lo]×100である。応力/ひずみ曲線の初期線状部分で引っ張り係数を測定する。
【0118】
前進接触角
本明細書に報告された全ての接触角は前進接触角である。前進接触角を以下のように測定した。幅約5mmの中央ストリップをレンズから裁断することによって、各セットから4個の試料を準備し、パッキング溶液中で平衡させた。試料を生理食塩水中に浸漬したり、引き出したりしながら、レンズ表面とホウ酸緩衝生理食塩水との間の濡れ抵抗力を、Wihelmy微量天秤を使用して23℃で測定した。以下の等式を使用した。
F=2γpcosθ 又は θ=cos−1(F/2γp)
式中、Fは濡れ抵抗力であり、γはプローブ液体の表面張力であり、pはメニスカスにおける試料の周囲であり、θは接触角である。前進接触角は、試料をパッキング溶液中に浸漬させる濡れ実験の一部から得られる。各試料を4回循環させ、結果を平均してレンズの前進接触角を得た。
【0119】
酸素透過係数(Dk)
Dkは以下のようにして測定される。直径4mmの金陰極及び銀リング陽極からなるポーラログラフィー酸素センサ上にレンズを配置し、次いでメッシュ支持体で上面を覆う。レンズを加湿した2.1% Oの雰囲気に曝す。レンズを通って拡散する酸素をセンサによって測定する。複数のレンズを互いに重ねて厚さを増加させるか、更に厚いレンズを使用する。厚さの値が大きく異なる4個の試料のL/Dkを測定し、厚さに対してプロットする。回帰直線勾配(regressed slope)の逆数が試料のDkである。参照値は、この方法を使用して市販のコンタクトレンズについて測定した値である。Bausch & Lombより販売されるバラフィルコンAレンズは約79バーラーの測定値を示す。Etafilconレンズは、20〜25バーラーの測定値を示す(1バーラー=10−10(気体のcm×cm)/(ポリマーのcm×秒×cmHg))。
【0120】
リゾチームの取り込み
リゾチームの取り込みは、以下のように測定した:リゾチームの取り込み試験に使用されたリゾチーム溶液は、1.37g/Lの重炭酸ナトリウム及び0.1g/LのD−ブドウ糖を補ったホスフェート生理食塩水緩衝液に、2mg/mLの濃度で溶解させたニワトリの卵白(Sigma、L7651)からのリゾチームを含んでいた。
【0121】
各実施例について、3枚のレンズがそれぞれのタンパク質溶液を使用して試験され、3枚が対照溶液としてのPBS(リン酸緩衝生理食塩水)を使用して試験された。試験レンズを、滅菌ガーゼの上で包装溶液を除去するために拭い、減菌鉗子を使用して、各ウェルが2mLのリゾチーム溶液を含む、減菌した24個のウェルの細胞培養プレート(ウェル当たり1枚のレンズ)へ、無菌状態で移動させた。各レンズを溶液中に完全に浸した。対照として、コンタクトレンズを含まない1つのウェルに2mLのリゾチーム溶液を入れた。
【0122】
レンズを含むプレート及びタンパク質溶液のみを含む対照用プレート及びPBS中のレンズは、蒸発と脱水を防ぐためパラフィルムで覆い、軌道振とう器に乗せ、35℃で、100rpmで攪拌し、72時間処理した。72時間の処理期間の後、レンズを約200mLのPBSを含む3個の別々のバイアル瓶に浸し3〜5回洗浄した。レンズを紙タオルの上で拭い過剰のPBS溶液を除去し、減菌した円錐形のチューブに移した(チューブ当たり1枚のレンズ)。各チューブは、各レンズの組成から予想されるリゾチーム取り込み量の推定を基に決められる量のPBSを含んでいた。検査される各チューブのリゾチーム濃度は、製造業者が述べている(0.05マイクログラム〜30マイクログラム)アルブミン標準レンジ内であることが必要である。レンズ当たり100μg未満のリゾチームレベルを取り込むことが分かっている試料は、5倍に希釈した。レンズ(Etafilcon Aレンズなど)当たり500μgを超えるリゾチームレベルを取り込むことが分かっている試料は、20倍に希釈した。
【0123】
Etafilcon以外の全ての試料に対して、1mLのアリコートのPBSを使用した。Etafilcon Aレンズに対しては、20mLを使用した。各対照レンズについては、ウェルプレートがリゾチーム溶液の代わりにPBSを含むこと以外は、同じように処理した。
【0124】
リゾチームの取り込みは、オンレンズ・ビシンコニン酸法により、QP−BCAキット(Sigma、QP−BCA)を使用し、製造業者の説明する手順により測定し(標準前処理はキットに記載されている)、リゾチーム溶液に浸したレンズについて測定した光学密度から、PBSに浸したレンズについて測定した光学密度(バックグラウンド)を減じて計算した。
【0125】
光学密度は、562nmの光学密度が読み取れる、SynergyII Microのプレートリーダにより測定した。
【0126】
リポカリンの取り込みは、次の溶液及び方法を使用して測定した。リポカリン溶液は、1.37g/Lの重炭酸ナトリウム及び0.1g/LのD−ブドウ糖を補ったホスフェート生理食塩水緩衝液(Sigma、D8662)に、2mg/mLの濃度で溶解させたウシのミルク(Sigma、L3908)からのBラクトグロブリン(リポカリン)を含んでいた。
【0127】
各実施例について、3枚のレンズがリポカリン溶液を使用して試験され、3枚が対照溶液としてのPBSを使用して試験された。テストレンズを、滅菌ガーゼの上で包装用溶液を除去するために拭い、減菌鉗子を使用して、各ウェルが2mLのリポカリン溶液を含む、減菌した24個のウェルの細胞培養プレート(ウェル当たり1枚のレンズ)へ、無菌状態で移動させた。各レンズを溶液中に完全に浸した。対照レンズは、リポカリンの代わりに、浸漬液としてPBSを使用して準備した。リポカリン溶液中に浸したレンズを含むプレート及びPBS中に浸した対照レンズを含むプレートは、蒸発と脱水を防ぐためパラフィルムで覆い、軌道振とう器に乗せ、35℃で、100rpmで攪拌し、72時間処理した。72時間の処理期間の後、レンズを約200mLのPBSを含む3個の別々のバイアル瓶に浸し3〜5回洗浄した。レンズを紙タオルの上で拭い、過剰のPBS溶液を除去し、各ウェルが1mLのPBS溶液を含む、減菌した24個のウェルプレートに移した。
【0128】
リポカリンの取り込みは、オンレンズ・ビシンコニン酸法により、QP−BCAキット(Sigma、QP−BCA)を使用し、製造業者の説明する手順により測定し(標準前処理はキットに記載されている)、リポカリン溶液に浸したレンズについて測定した光学密度から、PBSに浸したレンズについて測定した光学密度(バックグラウンド)を減じて計算した。光学密度は、562nmの光学密度が読み取れる、SynergyII Microのプレートリーダにより測定した。
【0129】
ムチンの取り込みは、次の溶液及び方法を使用して測定した。ムチン溶液は、1.37g/Lの重炭酸ナトリウム及び0.1g/LのD−ブドウ糖を補ったホスフェート生理食塩水緩衝液(Sigma、D8662)に、2mg/mLの濃度で溶解させたウシの顎下腺(Sigma、M3895−type 1−S)からのムチンを含んでいた。
【0130】
各実施例について、3枚のレンズがムチン溶液を使用して試験され、3枚が対照溶液としてPBSを使用して試験された。テストレンズを、滅菌ガーゼの上で包装用溶液を除去するために拭い、減菌鉗子を使用して、各ウェルが2mLのムチン溶液を含む、減菌した24個のウェルの細胞培養プレート(ウェル当たり1枚のレンズ)へ、無菌状態で移動させた。各レンズを溶液中に完全に浸した。対照レンズは、リポカリンの代わりに、浸漬液としてPBSを使用して準備した。
【0131】
ムチン溶液中に浸したレンズを含むプレート及びPBS中に浸した対照レンズを含むプレートは、蒸発と脱水を防ぐためパラフィルムで覆い、軌道振とう器に乗せ、35℃で、100rpmで攪拌し、72時間処理した。72時間の処理期間の後、レンズを約200mLのPBSを含む3個の別々のバイアル瓶に浸し3〜5回洗浄した。レンズを紙タオルの上で拭い、過剰のPBS溶液を除去し、各ウェルが1mLのPBS溶液を含む、減菌した24個のウェルプレートに移した。
【0132】
ムチンの取り込みは、オンレンズ・ビシンコニン酸法により、QP−BCAキット(Sigma、QP−BCA)を使用し、製造業者の説明する手順により測定し(標準前処理はキットに記載されている)、ムチン溶液に浸したレンズについて測定した光学密度から、PBSに浸したレンズについて測定した光学密度(バックグラウンド)を減じて計算した。光学密度は、562nmの光学密度が読み取れる、SynergyII Microのプレートリーダにより測定した。
【0133】
動態
成分についての動態半減期が、以下の通りに決定され得る。それぞれの動態実施例のための成分を、20mLの琥珀色のホウケイ酸ガラス製シンチレーションバイアル(Wheaton 320製、カタログ番号#80076−576又は同等物)中で秤量した。バイアルを覆い(PTFEライナー付緑色キャップ、Qorpakを用いて、供給元番号#5205/100、カタログ番号#16161−213)、全ての固体が溶解し、均一な混合物が得られるまで、ジャーローラー上で回転させた。
【0134】
脱気
反応性モノマー混合物を、真空下で脱気し、7〜10分間黄色光下、真空を中断した後、窒素で逆充填した。バイアルを素早く覆い、図2に示されるように、ゲート付開き口7を介して窒素硬化ボックスの2つのコンパートメントのうちのコンパートメント1に設置した。コンパートメント1の状態は、室温で、<0.5%酸素であった(連続的に窒素パージを用いる)。
【0135】
窒素硬化ボックス−コンパートメント2
両方のコンパートメント内の酸素レベルは、連続的/一定の窒素パージによって維持された。コンパートメント2内の温度は、ヒーター(COY,Laboratory Products Inc.)で維持された。窒素硬化ボックスは、それぞれの動態研究を行う前に最低4時間平衡化させた。(蓋のきつく閉まった琥珀色のバイアル内の)脱気した反応混合物を、平衡化期間中コンパートメント1内に設置した。
【0136】
光源及び強度設定
図3に示されるように、それぞれ、2本の蛍光灯(Philips TLK 40W/03、58cm)を備えた2つの蛍光灯照明器具(Lithonia Lighting蛍光照明器具(ガス管照明器具)、60cm×10.5cm)を並列に配置した。硬化強度を、光源に対して棚(図2及び3に示される)の高さを調節することによって弱小化した。所与の棚高さでの強度が、図3に示されるように、試料の位置と一致する、鏡面上に目盛り付き放射計/光度計のセンサを設置することによって測定された。このセンサを、4つのランプ配置において、2番目と3番目のランプとの間の空隙下に直接設置した。
【0137】
目盛り付き(少数点以下4桁)化学てんびんを用いて、蓋(ポリエチレン挿入のある白色蓋)付きの透明なホウケイ酸ガラス製シンチレーションバイアル(Wheaton 986541)の重量が決定された。蓋付きのバイアルを、窒素硬化ボックスのコンパートメント1に移した。この蓋を外し、目盛り付きの10〜100μLのEppendorfピペットを用いて、100μLの反応性モノマー混合物をバイアルに移した。バイアルは蓋をきつく閉め、ドア6を介してコンパートメント2に素早く移動し、図2に示されるように、鏡面上4に設置した。試料を、4つのランプ配置において、2番目と3番目とのランプの間の空隙下に直接設置した。光源3を作動させ、試料を特定の時間曝露させた。光源を4〜5mW/cmで設定したが、試料が到達する実際の強度は、試料のガラス製バイアル上の蓋により、0.7〜1.3mW/cmである。曝露した後、光源3を消し、バイアル(蓋付き)を再度秤量して、試料重量の違いによって決定した。目盛り付きの500〜5000μLのEppendorfピペットを用いて、10mLのHPLCグレードのメタノールをバイアルに添加した。
【0138】
反応性モノマー混合物のアリコート(100μL)を、別々のホウケイ酸ガラス製シンチレーションバイアルにピペット注入し、上記の上記手順を行って、最短時点(分):0、0.25、0.50、0.75、1、2、4、6、8、10で試料を生成した。
【0139】
硬化ポリマーを、一晩室温で優しく振盪することによってメタノール中に抽出した。
【0140】
以下の手順を用いて、抽出物を、紫外線検出(HPLC/UV)による高速液体クロマトグラフィーによって残渣成分のために分析した。
【0141】
抽出物中のmPDMSの定量化を、外部校正基準(約6〜11、n=6のオリゴマーの反応を用いて)に対して行い、典型的には、1μg/mL〜800μg/mLの範囲を網羅した。抽出物中のmPDMSの濃度が、校正範囲外であった場合、抽出物をメタノールで希釈し、より正確な定量化のために校正範囲内の濃度の状態にした。
【0142】
クロマトグラフィー条件
カラム:Agilent Zorbax Eclipse XDB18、4.6×50mm×1.8μm
カラム温度:30℃
紫外検出器:217nm
注入量:20μL
移動相
溶離剤A:脱イオン
溶離剤B:アセトニトリル
溶離剤C:イソプロパノール
流量:1mL/分
【0143】
【表2】
【0144】
抽出物中のmPDMS以外の成分の定量化を、それぞれの成分に対して外部校正基準(約6〜11)に対して行い、典型的には、1μg/mL〜800μg/mLの範囲を網羅した。抽出物中の成分の濃度が、校正範囲外であった場合、抽出物をメタノールで適切に希釈し、より正確な定量化のために校正範囲内の濃度の状態にした。
【0145】
クロマトグラフィー条件
カラム:Agilent Zorbax Eclipse Plus 18、4.6×75mm×1.8μm
カラム温度:30℃
紫外検出器:217nm
注入量:5μL
移動相
溶離剤A:0.05% HPOを含む脱イオン水
溶離剤B:0.05% HPOを含むアセトニトリル
溶離剤C:メタノール
流量:1mL/分
【0146】
【表3】
【0147】
計算
1.それぞれの時点で、以下の値を決定した。
試料抽出物中のそれぞれの成分の濃度(μg/mL)
以下のように、試料重量のパーセントとして表される、試料抽出物中のそれぞれの成分の濃度
成分の割合(%)=[(μg/mL抽出物の体積希釈係数10−6g/μg)/(試料重量(g))]100
(Tは、100%未反応の成分を表した)に対するパーセントとして表される、存在する未反応の成分のパーセント
での割合(%)=(Tで測定された割合(%)/Tで測定された割合(%))100
2.上で計算された成分の割合(%)を用いて、μモル/gのそれぞれの成分の濃度を以下のように計算する。
μモル/g=(成分の割合(%)10)/(成分の分子量)
3.ステップ2においてμモル/gで決定されたそれぞれの成分の濃度を用いて、時間での濃度を、
Log[A]/[A]として表し、
式中、[A]は、x分での成分Aの濃度であり、
[A]は、0分(T)での成分Aの濃度であり、
式Log[A]/[A]は、それぞれの時点に対して決定された。
【0148】
一次速度式は、それぞれの成分に対する重合反応速度及び半減期の両方を決定するために仮定された。以下の等式を、重合速度
Log[A]/[A]=−kt/2.303
及び半減期
ln[A]/[0.5A]=kt1/2又はt1/2=0.693/kを計算するために使用した。
それぞれの成分のために、Log[A]/[A]対時間(分)のプロットを生成した。典型的には、線状の成長(より短い硬化時間)に最良に対応するデータポイント(x,y)をプロットし、データを一次方程式に当てはめた。
【0149】
傾斜を用いて、それぞれの成分の動態速度定数(k)を以下の等式から評価した。
k(分−1)=傾斜−2.303
【0150】
それぞれの成分の半減期(分)を、以下の等式から評価した。
1/2=0.693/k
【0151】
それぞれの成分に対して評価された半減期は、それぞれの時点で、Tに対するそれぞれの成分のパーセントに対して生成されたデータと比較された。典型的には、それぞれの成分のために、50%の消費に到達するのにかかった時間が一次反応則に基づいて半減期に近づいた。2つが著しく異なる場合(典型的には、約1分間未満の半減期に対して約30%、約2.5分間未満であるが、1分間を超える半減期に対して25%、及び2.5分間を超える半減期に対して20%)、データポイント(x,y)は、測定された値に伴って、より一貫した(20%以内)半減期(一次考察に基づいて)を提供し得る動態速度定数(k)を生成するために再評価された。
【0152】
以下の実施例は本発明を更に説明するものであるが発明を限定するものではない。これらの例は、本発明を実施する方法を示唆するものにすぎない。コンタクトレンズ、並びに他の専門分野に精通した当業者は、本発明を実行する他の方法を見出すことができる。しかしながら、これらの方法は本発明の範囲に含まれるものとみなされる。
【0153】
実施例で用いられるその他材料の一部は以下の通りに特定される。
【実施例】
【0154】
以下の実施例では以下の略記を使用する。
【0155】
【表4-1】
【0156】
【表4-2】
成例4の実施例で調製される、イオンアミドを含有するビニルエーテル
【0157】
BAE(ホウ酸エステル)を以下の通りに形成した。
1.24部の5%(重量)溶液のエチレンジアミン四酢酸、299部(重量)のグリセロール、及び100部(重量)のホウ酸を、反応フラスコに添加した。混合物を90℃まで撹拌しながら加熱した。混合物を155分間撹拌する場合、水蒸気を除去して、真空を適用して、800Pa(6トール)未満まで減圧した。267Pa(2トール)未満まで減圧し、反応を2時間継続するか、混合物の水の割合(%)が、カールフィッシャー試験を用いて、0.2%未満まで軽減されるまで、必要に応じて長時間行った。
【0158】
BAGE(ホウ酸グリセロールエステル)を、以下の通りに形成した。
上記のように調製されたBAEに、35〜40℃で60分間撹拌しながら、624部(重量)のグリセロールを添加した。
【0159】
例C
80%反応性成分/20%希釈剤の混合物において、表1に列挙される成分を希釈剤(50%エタノール/50%酢酸エチル)と混合することによって、反応混合物を形成した。反応混合物を、周囲温度で約17(±3)分間真空を適用することによって脱気した。次いで、反応混合物を、熱可塑性コンタクトレンズ成形型(Zeonorで作られた前側曲線、ポリプロピレンで作られた後側曲線)に投与し、窒素雰囲気下、Philips TL 20W/03T蛍光灯を用いて、4〜5mW/cmで、45℃で約20分間硬化させた。得られたレンズを、周囲温度で、除イオン水を用いて前側曲線成形型から取り出し、ホウ酸緩衝食塩水を含有するバイアルに少なくとも24時間移し、次いで、122℃で30分間加圧滅菌器で処理した。得られたレンズは、曇りがあったが、親指と人さし指との間でこすると、潤滑性を感じた。
【0160】
ヘイズの割合(%)を測定し、これらの結果を表1に列挙する。
【0161】
(例1及び2)
以下の表1に示されるように、HEMAを増量し、NVPを減量することを除いては、例Cが繰り返された。レンズを、機械力を用いて、前側曲線成形型から取り外し、周囲温度で脱イオン水で抽出し、加圧した。両レンズは、親指と人さし指との間でこすると、潤滑性を感じた。ヘイズの割合(%)を両レンズについて測定し、以下の表1に示す。
【0162】
【表5】
【0163】
例C1のレンズは、259%のヘイズ値を示し、非常に曇っていたが、例1及び2のレンズはそれぞれ、22%及び15%の劇的に改善されたヘイズ値を有した。例Cのレンズは、とても曇っていたため、コンタクトレンズとして使用することができなかった。
【0164】
(例3〜13)
一連のレンズ製剤は、以下の成分から形成された。
38.5重量%のmPDMS
58.25重量%のNVP及びHEMAを(表2に示される個々の量)組み合わせた。
2% Norbloc
1重量%のTEGDMA
0.25 CGI 819
【0165】
反応性成分を、80重量%の反応性成分:20重量%の希釈剤の比で、希釈剤(50% TAA/50% DA)と混合した。反応混合物を鋳造し、例1及び2に記載されるプロセスに従って、レンズに硬化した。レンズを、50/50イソプロパノール/水中で放出し、70/30イソプロパノール/水で抽出し、その後、脱イオン水中で平衡化した。レンズを、ホウ酸緩衝食塩水が入っているバイアルに少なくとも24時間移し、次いで、122℃で30分間加圧滅菌器で処理した。レンズの特性を測定し、以下の表2に報告する。
【0166】
【表6】

1 モル比
NW=湿潤性なし
【0167】
3〜5に見られるように、約8重量%未満のHEMAを含有する反応混合物から作られたレンズは、コンタクトレンズには適さない非常に高いヘイズ値(>約200%)を示したが、約9〜22重量%のHEMAを有するレンズは、並外れて良好なヘイズ値(9〜44%)を示した。約40重量%未満のNVPを有する反応混合物から形成されたレンズが、不良な湿潤性及び撥水性を示したことも留意すべきである。
【0168】
3〜13は、製剤中のヒドロキシル基のシリコンに対するモル比の制御により、低いヘイズ値を有するレンズを作り出すことを示す。例3〜13の製剤では、HO:Siにおける所望の範囲は、約0.16〜約0.4である。
【0169】
3〜13はまた、HEMAの量を増加させると、ヒドロゲル中のシリコーン含有成分及びシリコンの量が同一のままであっても、レンズのDkは減少することも示す。したがって、Dkを最大限にすることが望ましい場合、HEMAは、透明なレンズを提供するのに十分な量、例えば、約50%未満のヘイズ値を有するものに制限される。例3〜13では、これは、低いヘイズ値及び約90%を超えるDk値の両方を示す約9〜約16重量%のHEMA濃度(例6〜9)であり得る。
【0170】
他の報告されたレンズの特性(前進接触角、含水率、機械、及びDk)に見られるように、所望の範囲の特性を有するレンズは、本出願の教示を用いて作製され得る。
【0171】
(例14〜17)
HEMAを、以下の表3に示されるヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートモノマーに置き換えることを除いては、例8が繰り返された。HPMAはまた、低いヘイズの割合(%)(16%)も示した。しかしながら、HBMA及びDMHEMAは、500%を上回る許容できないヘイズの割合(%)を示した。
【0172】
【表7】
【0173】
(例17〜22)
ヒドロキシルアルキル(メタ)アクリレート及びNVPの量が、約0.2のヒドロキシルアルキル(メタ)アクリレート:NVPのモル比を提供するように変更することを除いては、例8が繰り返された。GMMAは、2つのヒドロキシル基を有する。したがって、GMMAの2つの異なる濃度を有する製剤は、例21(13.23重量% GMMA、0.408の比、両方のヒドロキシルを計数)及び例22(6.62重量% GMMA、0.204、2つのヒドロキシルを計数)が調製された。
【0174】
20及び21は、レンズに硬化されなかった曇りのある反応混合物を生成する。例17〜19及び22は、例8に記載される手順に従ってレンズに鋳造された透明な反応混合物を生成した。レンズの特性を測定した。製剤及びレンズの特性を以下の表4に示す。
【0175】
18及び19を例15及び16とそれぞれ比較すると、例15及び16については0.16、例18及び19については0.19のHO:Si比の小さな変化が、500%超から15%以下までヘイズ値を低下させたことが見られ得る。したがって、例3〜13と同様に、ヒドロキシルアルキルモノマー及びHO:比の非常に小さな変化が、ヘイズ値に劇的な減少をもたらす。
【0176】
21及び22を比較すると、GMMAのモル量が両方のヒドロキシルから成るように調節された場合、透明なレンズが形成されたことが見られ得る。ヒドロキシアルキルモノマーとしてHEAAを含んだ例20は、HEAAが2つの極性基、アミド基及びヒドロキシル基を含み、例17〜19及び21〜22に使用されるヒドロキシルアルキルメタクリレートよりも多い極性のあるHEAAを作製するため、湿潤性レンズを提供しなかったと考えられる。HEAAの極性の増加は、mPDMSとの適合性の問題を生じると考えられる。しかしながら、HEAAは、SiMAA、OH−mPDMS、N−(2,3−ジヒドロキシプロパン)−N’−(プロピルテトラ(ジメチルシロキシ)ジメチルブチルシラン)アクリルアミドなどのより極性シリコーンと作用する可能性がある。したがって、様々なヒドロキシルアルキル(メタ)アクリレート化合物は、本発明のヒドロゲルを形成するために使用することができる。
【0177】
【表8】

NT=未試験
【0178】
(例23〜24)
NVPを、DMA(例24)又はVMA(例23)のいずれかと置き換えたことを除いては、例8が繰り返された。例23は、不十分に硬化された。レンズを離型するのは困難であり、べとつき、粘着性を感じた。例24のレンズは、十分に硬化され、とても透明であったが、撥水性があった。これらの結果及び他のレンズの特性を以下の表5に要約する。
【0179】
【表9】

NT=湿潤性なし
【0180】
(例25〜30)
ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートHEMAを、シリコーン含有ヒドロキシル(アルキル)メタクリレートSiMAA、SA−2、又はHO−mPDMSと置き換えた。例1に記載されるように、表6に示されるレンズ製剤を調製し、硬化させ、加圧滅菌器で処理した。製剤のそれぞれは、透明な反応性混合物を形成した。例26〜28のレンズは、明らかに曇っていたが、例28は、許容される前進動的接触角(72°)を示した。これらのレンズについて更なる特性は測定されなかった。驚くことには、例26及び27によって示されるように、mPDMSなどのヒドロキシル基を含まないシリコーンが存在した場合、SiMAAは、ヒドロキシルアルキル(メタ)アクリレートの全てを置き換えるのには不十分な相溶剤であった。しかしながら、例29及び30に示されるように、SiMAAが使用される唯一のシリコーンであった場合、透明なレンズは、ヒドロキシルアルキル(メタ)アクリレートを用いることなく作製され得た。しかしながら、これらのレンズは、比較的低いDk値、50バーラー未満、及び比較的高い弾性率を示した。例27及び28は、HO−mPDMS及びSA2が、製剤中の唯一のシリコーンであった場合でさえ、透明なレンズを形成するには不十分であったことも示す。例26〜30のレンズのHO:Si比を、Siを含まないヒドロキシル含有成分のみを用いて計算する場合、例26〜30のそれぞれについての比は、0である。
【0181】
【表10】
【0182】
【表11】
【0183】
(例31〜40)
以下の表7に示されるように、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート及びシリコーン含有ヒドロキシル(アルキル)メタクリレートの両方を含有する更なる製剤を作製した。それぞれの製剤に対して反応性成分を、20重量%の希釈剤(50:50のEtOHとEtOACとの配合)で配合した。
【0184】
【表12】
【0185】
31、32、36、及び39は全て、シリコーン成分の量及び種類、不良な希釈剤、エタノール/酢酸エチルで与えられる不十分なレベルのヒドロキシルアルキル(メタ)アクリレート(5.75重量%)のため、極めて曇りがあった(100%を超えるヘイズ値)。例34もまた、極めて曇りがあり、その特性は測定されなかった。例31及び39は、最もシリコンを含有し、最低のHO:Si比、最高のヘイズ値であった。例32は、例39と同じ量のHEMA(5.75重量%)を有するが、20重量%のmPDMS及び20重量%のHO−mPDMSを含む。この製剤への20重量%のHo−MPDMSの添加は、0.11から0.25にHO:Si比を増加させ、259から163にヘイズ値を50%減少させる。HO−mPDMSを用いた全てのmPDMSの置き換え(40%、例36)は、HO:Si比を増加させ、(259%)から163%にヘイズ値を減少させ、実質的な減少であるが、依然として望ましくない曇りがある。SiMAA又はHO−mPDMSなどのヒドロキシル含有シリコーンによるmPMDS又はTRISの置き換えは、ヘイズ値を減少させたが、バランスのとれた他の所望の特性を有する透明なレンズを形成するには十分ではなかった。したがって、SiMAA又はHO−mPDMSなどのシリコーン含有ヒドロキシル成分は、透明性においてヒドロキシアルキルモノマーと同じ影響を及ぼさない。有用な相溶化剤であることが開示されている相当な量のヒドロキシル官能化シリコーンでさえも、透明なレンズを形成しなかった。
【0186】
60(5.75重量%のHEMA、20.5重量%のmPDMS、及び0.19のHO:Si)は、ヘイズ値の7%を示した。例68〜73(6.75% HEMA、16.5重量%のmPDMS、及び27.5 HO−mPDMSを含有し、0.24のHO:Siを有する)は、2〜17%の範囲に及ぶヘイズ値を有する。したがって、非シリコーン含有ヒドロキシアルキルモノマーの濃度及びHO:Si比の小さい変化は、より低い限界で得られたヒドロゲルの透明性を劇的に改善することができる。また、本発明で開示されたものなどの極性希釈剤は、例34及び36にあるようなより低い濃度でヘイズ値を改善することができる。
【0187】
残りの例は、劇的に改善されたヘイズ値(100%未満のヘイズ値)を示した。例38のレンズは、64%のヘイズ値によって示されるように幾つかのヘイズ値を示し、非湿潤性でもあった。例31〜40は、シリコーン含有ヒドロキシルアルキル(メタ)アクリレートを用いてでさえも、ヒドロキシルアルキル(メタ)アクリレートのN−ビニルアミドモノマーへのモル量は、所望の透明性のレベルを有するレンズを生成するために維持されなければならないことを示す。
【0188】
(例41〜48)
更なる反応混合物は、使用される希釈剤系、及び以下の表8に示されるように、シロキサン成分を変化させて作製した。全ての混合物は、80重量%の反応性成分及び20重量%の希釈剤を用いて形成された。レンズは、上の例1に記載される手順に従って、成形、硬化、処理、及び滅菌された。レンズの特性を測定し、表8に示す。
【0189】
【表13】

NT=未試験
【0190】
【表14】

**配合物は混和しなかった
【0191】
45及び47の配合物は混和せず、レンズに鋳造されなかった。これらの例は、多様な希釈剤を使用して、本発明のレンズを形成し得ることを示す。これらの例はまた、二級アルコールが、光硬化されると、透明性及び弾性率を含むバランスのとれた所望の特性を製剤に提供することも示す。酢酸エチル/エタノール希釈剤は、TRISが反応混合物中に含まれなかった場合、混和性配合物を形成しなかった。TRIS、酢酸エチル/エタノール希釈剤を用いてでさえ、例41のレンズは、例42〜44よりも高く、より可変なヘイズ値(50+19)を示し、7〜12%のヘイズ値を示した。
【0192】
(例49〜53)
以下の表10に列挙される成分を有する一連のレンズ製剤が、形成された。反応性成分を、80重量%の反応性成分:20重量%の希釈剤の比で、希釈剤(TAA)と混合した。反応混合物を、周囲温度で約17(±3)分間真空を適用することによって脱気した。次いで、反応混合物を、熱可塑性コンタクトレンズ成形型(Zeonorで作られた前側曲線、ポリプロピレンで作られた後側曲線)に投与し、窒素雰囲気下、Philips TL 20W/03T蛍光灯を用いて、4〜5mW/cmで、45℃で約20分間硬化させた。レンズを、50/50イソプロパノール/水中で放出し、70/30イソプロパノール/水で抽出し、その後、脱イオン水中で平衡化した。レンズを、ホウ酸緩衝食塩水が入っているバイアルに少なくとも24時間移し、次いで、122℃で30分間加圧滅菌器で処理した。レンズの特性を測定し、以下の表11に報告する。
【0193】
【表15】
【0194】
【表16】
【0195】
レンズは全て、優れたヘイズ値及び前進接触角及び望ましい低弾性率を示した。65〜110バーラーの酸素透過係数の範囲を有する材料が生成された。
【0196】
54〜58のレンズを、リポカイン、ムチン、及びリゾチームの取り込みについて測定した。リゾチーム活性の割合(%)も測定した。結果を下記の表12に示す。
【0197】
【表17】
【0198】
表12のデータに示されるように、例54〜58のレンズが、望ましく低いリポカリン及びムチンの取り込みを示した。また、大部分のリゾチームが活性形態の状態であった。
【0199】
(例59〜67)
以下の表13に列挙される成分を有する一連のレンズ製剤が、形成された。反応性成分を、80重量%の反応性成分:20重量%の希釈剤の比で、希釈剤(1:1 TAA:デカン酸)と混合した。反応混合物を、周囲温度で約17(±3)分間真空を適用することによって脱気した。次いで、反応混合物を、熱可塑性コンタクトレンズ成形型(Zeonorで作られた前側曲線、ポリプロピレンで作られた後側曲線)に投与し、窒素雰囲気下、Philips TL 20W/03T蛍光灯を用いて、4〜5mW/cmで、45℃で約20分間硬化させた。レンズを、50/50イソプロパノール/水中で放出し、70/30イソプロパノール/水で抽出し、その後、脱イオン水中で平衡化した。レンズを、ホウ酸緩衝食塩水が入っているバイアルに少なくとも24時間移し、次いで、122℃で30分間加圧滅菌器で処理した。レンズの特性を測定し、以下の表14に報告する。
【0200】
【表18】
【0201】
【表19】
【0202】
表14のデータから見られるように、本発明は、非常に低いヘイズ値を有するコンタクトレンズを生成する広範な製剤を提供する。シリコーン成分mPDMSは、約50重量%までの量で含まれ得、依然として、バランスのとれた所望の含水率、前進接触角、及び酸素透過係数を有するコンタクトレンズを生成する。例64のレンズの特性は試験されなかった。全ての製剤は、本発明の範囲内でHO:Siを有した。
【0203】
(例68〜73)
反応混合物を、表15に列挙される成分を混合することによって形成し、周囲温度で約17(±3)分間真空を適用することによって脱気した。反応性成分の量を、希釈剤を含まない、反応性成分の重量%として列挙する。反応混合物を表16に列挙される希釈剤と混合して、反応混合物を形成した。次いで、反応混合物(75μL)を、室温及び<0.1% Oで、投与する前の最低12時間、室温でNボックス(コンパートメント1、図1)内で脱気した熱可塑性コンタクトレンズ成形型(FC−Zeonor、BCポリプロピレン)に投与した。BCを、FC成形型上に置いて、パレット中に8つのBC/FC組立体を生成した。8つのパレットを調製し、硬化コンパートメント(コンパートメント2)に移動し、鏡面上に置いた。水晶板(12.50mm×6.25mm×0.50mm)をそれぞれのパレット上に置き、レンズを、4〜5mW/cmの強度、<0.1% O、及び62〜65℃で20分間硬化させた。
【0204】
全てのレンズにおける成形型を、手動で離型した(レンズがFC内に残った)。レンズを前側曲線の背面上に押圧することによって乾燥放出した。レンズを脱イオン水に抽出した。
【0205】
全てのレンズをレンズバイアル中のホウ酸緩衝包装溶液中で保存し、122℃で30分間滅菌した。レンズの特性を表17に示す。
【0206】
【表20】
【0207】
これらの実施例の製剤についてのHO:Si比は、0.24であった。
【0208】
【表21】
【0209】
【表22】
【0210】
68は、非常に低いヘイズ値(9%)及び前進接触角(40°)を示したが、136の弾性率を示し、これは、場合によっては、所望されるよりも高い。例69〜73では、様々な希釈剤混合物を評価して、レンズ特性におけるそれらの影響を決定した。例69〜73のそれぞれでは、10%の希釈剤を共希釈剤として異なる多価アルコールと共に添加した。例70〜73から見られるように、多価アルコールの混入は、得られたレンズの弾性率を約40%まで減少させた。例68及び69のレンズは、硬化終了時それらの高レベルの抽出物により、レンズ直径の所望の偏差よりも高かったことを示した。例70〜73は、共希釈剤としての多価成分の混入が抽出物のレベル及びレンズ直径の偏差を減少させ得ることを示す。
【0211】
(例74〜79)
反応混合物を、表18に列挙される成分を混合することによって形成し、周囲温度で約17(±3)分間真空を適用することによって脱気した。次いで、反応混合物(75μL)を、室温及び<0.1% Oで、投与する前の最低12時間、室温でNボックス(コンパートメント1、図1)内で脱気した熱可塑性コンタクトレンズ成形型(FC−Zeonor、BCポリプロピレン)に投与した。BCをFC成形型上に置き、レンズをコンパートメント2に移動し、4〜5mW/cmの強度、<0.1% O、及び62〜65℃で20分間硬化させた。
【0212】
全てのレンズにおける成形型を、機械的に分離し、離型した(レンズがFC内に残った)。レンズを前側曲線の背面上に押圧することによって乾燥放出した。レンズを脱イオン水に抽出した。
【0213】
全てのレンズをレンズバイアル中のホウ酸緩衝包装溶液中で保存し、122℃で30分間滅菌した。レンズの特性を表19に示す。
【0214】
【表23】
【0215】
【表24】
【0216】
74は、希釈剤を含まず、望ましく低いヘイズ値及び前進接触角を示した。例75〜79は、5重量%の希釈剤を含み、例76〜79が共希釈剤として0.5〜2.5重量%のBAGEを含有した。例76及び77は、例74の希釈剤を含まない製剤及び唯一の希釈剤としてt−アミルアルコールを含有した例75の両方と比較して、所望の前進接触角、及び弾性率の減少を示した。例76〜79はまた、硬化終了時安定した直径及び低残渣NVPを示した。
【0217】
(例80〜86)
表20に列挙される反応性成分を、表21に列挙される希釈剤と混合した。例74〜79に記載されるように、得られた反応混合物を、レンズ成形型に分配、硬化、及び処理した。レンズの特性を測定し、以下の表22に示す。
【0218】
【表25】
【0219】
【表26】
【0220】
【表27】
【0221】
少量のPVP(反応混合物中の全ての成分に基づいて0.1〜2.5重量%)を希釈剤に添加した。約0.5〜2.5重量%のPVPの量(実施例P〜R)は、前進接触角に悪影響を及ぼすことなく、弾性率を減少させた。弾性率の減少は、少量の添加したPVPに基づくものであり、使用されたPVP(分子量、K90)が、強粘液体であるという事実は、驚くべきことである。概して、反応混合物の粘度の増加は、弾性率を増加させる傾向がある。
【0222】
87〜89及び例C
それぞれの反応混合物を、表23に列挙される成分を混合することによって形成し、周囲温度で約17(±3)分間真空を適用することによって脱気した。次いで、反応混合物(75μL)を、室温及び<0.1% Oで、投与する前の最低12時間、室温でNボックス(コンパートメント1、図1)内で脱気した熱可塑性コンタクトレンズ成形型(FC−Zeonor、BCポリプロピレン)に投与した。BCをFC成形型上に置き、レンズをコンパートメント2に移動し、4〜5mW/cmの強度、<0.1% O、及び62〜65℃で20分間硬化させた。
【0223】
この成形型を機械的に分離し、離型した(レンズがFC内に残った)。レンズを前側曲線の背面上に押圧することによって乾燥放出した。レンズを脱イオン水に抽出し、レンズバイアル中のホウ酸緩衝包装溶液中で平衡化し、122℃で30分間滅菌した。
【0224】
レンズの特性を測定し、以下の表24に示す。
【0225】
【表28】
【0226】
【表29】
【0227】
88及び89は、遅反応性親水性モノマーではない、少量の非ヒドロキシル含有親水性モノマーが湿潤性を失うことなく、本発明の製剤に組み込まれ得ることを示す。
【0228】
(例90〜105)
レンズの特性における架橋剤の効果は、表25の塩基性製剤、表26に示される架橋剤の種類、量、及びNVPの濃度、反応性成分(希釈剤を含まない)の濃度を用いて、100重量%まで添加して評価された。
【0229】
【表30】
【0230】
【表31】
【0231】
反応混合物を、周囲温度で約17(±3)分間真空を適用することによって脱気した。次いで、反応混合物(75μL)を、室温及び<0.5% Oで、投与する前の最低12時間、室温でNボックス(コンパートメント1、図1)内で脱気した熱可塑性コンタクトレンズ成形型(FC−Zeonor、BCポリプロピレン)に投与した。BCをFC成形型上に置き、レンズをコンパートメント2に移動し、4〜5mW/cmの強度、<0.1% O、及び62〜65℃で20分間硬化させた。
【0232】
成形型を手動で離型(レンズがFC内に残った)し、レンズを50/50 iPA/HO(8つのパレット、1つのパレット当たり8つのレンズ)、1Lの溶液中に1時間放出した。
【0233】
レンズを、
25/75 iPA/HO(10分間)、HO(30分間)、HO(10分間)、HO(10分間)の順序で、PS中に「ステップダウン」し、レンズバイアル中のホウ酸緩衝包装溶液中で保存し、122℃で30分間滅菌した。
【0234】
折り畳みなどの機械的応力から回復するレンズの能力を評価した。2つの長方形のガラス製プレート(12.5cm×6.3cm×0.5cm(約113g))間に折り畳まれた未滅菌のレンズを5分間置くことによって、それぞれのレンズにしわを形成した。続いて、レンズを滅菌し、DL2(17.5X)及びOptimecを使用して視覚的に検査して、回復のレベルを判別した。
【0235】
・しわ/応力の度合いの増加を、2、3、4、又は5トッププレートを使用することによって未滅菌のレンズにおいて形成した。応力試験の結果を表27〜30に示す。
【0236】
3つの市販のレンズ、ACUVUE OASYS with HYDRACLEAR Plus、Biofinity、及びClaritiレンズに対する応力試験値を対照として示す。
【0237】
レンズの特性を測定し、以下の表31に示す。
【0238】
【表32】

G=良好(検出可能な線なし)
DL=決定的な線
【0239】
【表33】

G=良好(検出可能な線なし)
FL=薄い線
VFL=非常に薄い線
【0240】
【表34】

G=良好(検出可能な線なし)
FL=薄い線
【0241】
【表35】
【0242】
【表36】
【0243】
(例106〜112)
以下の表32に示されるように、EGDMA及びTACの混合物を用いて、例90〜93が繰り返された。レンズの回復を表33に示し、レンズの特性を表34に示す。
【0244】
【表37】
【0245】
【表38】
【0246】
【表39】
【0247】
(例112〜117)
表35に示される製剤及び例96に記載されるプロセスを用いて、レンズを作製した。レンズの特性を測定し、表36に示す。
【0248】
【表40】
【0249】
【表41】
【0250】
(例118〜120)
反応混合物を、表37に列挙される成分を20重量%の50:50のTAAとデカン酸との混合物と混合することによって形成し、周囲温度で約17(±3)分間真空を適用することによって脱気した。次いで、反応混合物(75μL)を、室温及び<0.1% Oで、投与する前の最低12時間、室温でNボックス(コンパートメント1、図1)内で脱気した熱可塑性コンタクトレンズ成形型(FC−Zeonor、BCポリプロピレン)に投与した。BCをFC成形型上に置き、レンズをコンパートメント2に移動し、4〜5mW/cmの強度、<0.1% O、及び62〜65℃で20分間硬化させた。
【0251】
レンズを、50/50 IPA/水中で放出し、70/30 IPA/水中で抽出し、その後、脱イオン水中で平衡化した。レンズを、ホウ酸緩衝食塩水が入っているバイアルに少なくとも24時間移し、次いで、122℃で30分間加圧滅菌器で処理した。レンズの特性を測定し、以下の表38に報告する。
【0252】
【表42】
【0253】
【表43】
【0254】
成例2 2−ヒドロキシブチルメタクリレート(HBMA)の調製
72グラムの1,2−エポキシブタン(Aldrich)と、0.85gの4−メトキシフェノール(Aldrich)と、6.5gの水酸化カリウムとの配合物を、添加漏斗及び熱電対温度計を装備した500mLの丸底フラスコ中で撹拌した。172gのメタクリル酸をこの添加漏斗を介して添加し、75℃までゆっくりと配合し、空気下で一晩撹拌し、次いで88℃まで4時間上昇させた。この混合物を冷却し、700mLの2.0N NaOHを分液漏斗中で混合物に添加した。上層をホウ酸緩衝食塩水で3回洗浄した。エチルエーテル(200mL)を、合わせた食塩水洗浄液に添加して任意の生成物を抽出した。合わせた有機層をNaSO上で乾燥させた。NaSOを濾過し、この生成物を蒸留した(90〜98℃/約533Pa(約4mm Hg))。17.5gの生成物を回収し、これに4mgの4−メトキシフェノールを添加した。H NMR:6.1ppm(1H,m),5.5(1H,m),4.8(0.25H m),4.2(0.64H,dd,8.1及び11.7Hz),4.0(0.64Hz,dd,6.9及び11.4Hz),3.6−3.8 1.26H,m),2.3(OH,br s),1.9(3H,m),1.4−1.7(2H,m),0.9(3H,m)、2−ヒドロキシ−1−プロピルメタクリレートと1−ヒドロキシ−2−プロピルメタクリレートとの配合物と一致する。
【0255】
成例3ジメチルヒドロキシエチルメタクリレートの調製
HBMAに対するものと同じ手順を使用したが、1,2−エポキシプロパンの代わりに1,2−エポキシ−2−メチルプロパンを用いた。この生成物を、47〜48°/53〜80Pa(0.4〜0.6mm Hg)で蒸留することによって単離した。H NMR:6.1ppm(1H,s),5.5(1H,m),4.0(2H,s),2.1(OH,br s),1.9(3H,s),1.2(6H,m)、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピルメタクリレート(ジメチルヒドロキシエチルメタクリレート)と一致する。
【0256】
成例4:Vinalの調製
4.82gのビニルクロロホルメートを、74mLのアセトニトリル中の8.19gのβ−アラニン(Aldrich)に添加した。得られた混合物を、2時間還流し、次いで、室温まで冷却し、2時間静置した。それを濾過し、減圧下で溶媒を除去した。この粗生成物を30mLの蒸留水に溶解し、酢酸エチルで3回洗浄した。合わせた酢酸エチル洗浄液を50mLの脱イオン水で洗浄した。溶媒を、合わせた酢酸エチル洗浄液から蒸発させて、綿毛の黄色っぽい固体として4.5gの生成物を得た。H NMR:7.1ppm(dd,1H),5.4ppm(br s,OH),4.7ppm(dd,1H),4.4ppm(dd,1H),3.5ppm(q,2H),2.6ppm(t,2H)。
【0257】
〔実施の態様〕
(1) シリコーンヒドロゲルであって、
(a)式IのN−ビニルアミドモノマー、式II〜IVのビニルピロリドン、式VのN−ビニルピペリドンからなる群から選択される、約30〜約70重量%の少なくとも1つの遅反応性モノマーであって、
【化12】
式中、Rが、H又はメチルであり、
、R、R、R、R、R10、及びR11が独立して、H、CH、CHCH、CHCHCH、C(CHからなる群から選択され、
及びRが独立して、CH、CHCH、及びC(CH)からなる群から選択され、
が、H、メチル、エチルから選択され、
が、CH=CH、CCH=CH、及びCH=CHCHから選択される、約30〜約70重量%の少なくとも1つの遅反応性モノマーと、
(b)式VIIの少なくとも1つのモノ(メタ)アクリルオキシアルキルポリジアルキルシロキサンモノマー、又は式VIIIのスチリルポリジアルキルシロキサンモノマーであって、
【化13】
式中、R12が、H又はメチルであり、
Xが、O又はNR16であり、
各R14が独立して、フッ素で置換され得るC〜Cアルキル、又はフェニルであり、
15が、C〜Cアルキルであり、
13が、エーテル基、ヒドロキシル基、カルバメート基、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される基で更に官能基化され得る二価アルキル基であり、
aが3〜50であり、
16が、H、1つ又は2つ以上のヒドロキシル基で更に置換され得るC1〜4から選択される、式VIIの少なくとも1つのモノ(メタ)アクリルオキシアルキルポリジアルキルシロキサンモノマー、又は式VIIIのスチリルポリジアルキルシロキサンモノマーと、
(c)式IXの少なくとも1つのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート若しくは(メタ)アクリルアミドモノマー、又は式Xのスチリル化合物であって、
【化14】
式中、Rが、H又はメチルであり、
XがO又はNR16であり、R16がH、又は少なくとも1つのOHで更に置換され得るC〜Cアルキルであり、
17が、C〜Cモノ若しくはジヒドロキシ置換アルキル、及び1〜10個の反復単位を有するポリ(エチレングリコール)から選択され、前記少なくとも1つのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート若しくは(メタ)アクリルアミドモノマー及び前記遅反応性モノマーが、約0.15〜0.4のモル比を形成するモルパーセントで存在する、式IXの少なくとも1つのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート若しくは(メタ)アクリルアミドモノマー、又は式Xのスチリル化合物と、
(d)少なくとも1つの架橋モノマーと、を含む、反応混合物から形成される、シリコーンヒドロゲル。
(2) シリコーンヒドロゲルであって、
(a)式IのN−ビニルアミドモノマー、式II又はIVのビニルピロリドンからなる群から選択される、約39〜約70重量%の少なくとも1つの遅反応性モノマーであって、
【化15】
式中、Rが、H又はメチルであり、
、R、R、R10、及びR11が独立して、H、CH、CHCH、CHCHCH、C(CHからなる群から選択され、
が、CH、CHCH、及びC(CH)からなる群から選択され、
が、H、メチル、エチルから選択され、
が、CH=CH、CCH=CH、及びCH=CHCHから選択される、約39〜約70重量%の少なくとも1つの遅反応性モノマーと、
(b)式VIIの少なくとも1つのモノ(メタ)アクリルオキシアルキルポリジアルキルシロキサンモノマーであって、
【化16】
式中、R12が、H又はメチルであり、
Xが、O又はNR16であり、
各R14が独立して、フッ素で置換され得るC〜Cアルキル、又はフェニルであり、
15が、C〜Cアルキルであり、
13が、エーテル基、ヒドロキシル基、カルバメート基、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される基で更に官能基化され得る二価アルキル基であり、
aが3〜50であり、
16が、H、1つ又は2つ以上のヒドロキシル基で更に置換され得るC1〜4から選択される、式VIIの少なくとも1つのモノ(メタ)アクリルオキシアルキルポリジアルキルシロキサンモノマーと、
(c)式IXの少なくとも1つのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート又は(メタ)アクリルアミドモノマーであって、
【化17】
式中、Rが、H又はメチルであり、
Xが、O又はNR16であり、R16が、H、又は少なくとも1つのOHで更に置換され得るC〜Cアルキルであり、
17が、C〜Cモノ若しくはジヒドロキシ置換アルキル、及び1〜10個の反復単位を有するポリ(エチレングリコール)から選択され、前記少なくとも1つのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート若しくは(メタ)アクリルアミドモノマー及び前記遅反応性モノマーが、約0.15〜0.4のモル比を形成するモルパーセントで存在する、式IXの少なくとも1つのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート又は(メタ)アクリルアミドモノマーと、
(d)少なくとも1つの架橋モノマーと、を含む、反応混合物から形成される、シリコーンヒドロゲル。
(3) 各Rが独立して、エチル基及びメチル基から選択される、実施態様1又は2に記載のシリコーンヒドロゲル。
(4) 全てのRがメチルである、実施態様3に記載のシリコーンヒドロゲル。
(5) R13が、エーテル、ヒドロキシル、及びこれらの組み合わせで置換され得るC〜Cアルキレン基からなる群から選択される、実施態様1〜4のいずれかに記載のシリコーンヒドロゲル。
【0258】
(6) R13が、エーテル、ヒドロキシル、及びこれらの組み合わせで置換され得るC又はC〜Cアルキレン基からなる群から選択される、実施態様5に記載のシリコーンヒドロゲル。
(7) R16が、H又はメチルである、実施態様1〜6のいずれかに記載のシリコーンヒドロゲル。
(8) R12及び各R14がメチルである、実施態様1〜7のいずれかに記載のシリコーンヒドロゲル。
(9) 少なくとも1つのR14が、3,3,3−トリフルオロプロピルである、実施態様1〜7のいずれかに記載のシリコーンヒドロゲル。
(10) Rが、メチル又は2−ヒドロキシエチルである、実施態様1〜9のいずれかに記載のシリコーンヒドロゲル。
【0259】
(11) aが5〜15である、実施態様1〜10のいずれかに記載のシリコーンヒドロゲル。
(12) 前記遅反応性親水性モノマーが、前記式II若しくはIVのビニルピロリドン、又は前記式IのN−ビニルアミドモノマーから選択され、R及びR中に4以下の炭素原子の総数を有する、実施態様1〜11のいずれかに記載のシリコーンヒドロゲル。
(13) 前記遅反応性親水性モノマーが、式III又はIVのビニルピロリドンから選択され、Rがメチルであり、Rが水素であり、RがCH=CHであり、R10及びR11がHである、実施態様1〜12のいずれかに記載のシリコーンヒドロゲル。
(14) 前記遅反応性親水性モノマーが、エチレングリコールビニルエーテル(EGVE)、ジ(エチレングリコール)ビニルエーテル(DEGVE)、N−ビニルピロリドン(NVP)、1−メチル−3−メチレン−2−ピロリドン、1−メチル−5−メチレン−2−ピロリドン、5−メチル−3−メチレン−2−ピロリドン、1−エチル−5−メチレン−2−ピロリドン、N−メチル−3−メチレン−2−ピロリドン、5−エチル−3−メチレン−2−ピロリドン、1−n−プロピル−3−メチレン−2−ピロリドン、1−n−プロピル−5−メチレン−2−ピロリドン、1−イソプロピル−3−メチレン−2−ピロリドン、1−イソプロピル−5−メチレン−2−ピロリドン、N−ビニル−N−メチルアセトアミド(VMA)、N−ビニル−N−エチルアセトアミド、N−ビニル−N−エチルホルムアミド、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルイソプロピルアミド、アリルアルコール、N−ビニルカプロラクタム、N−2−ヒドロキシエチルビニルカルバメート、N−カルボキシ−β−アラニンN−ビニルエステル、N−カルボキシビニル−β−アラニン(VINAL)、N−カルボキシビニル−α−アラニン、及びこれらの混合物から選択される、実施態様1、2、5〜9、又は11のいずれかに記載のシリコーンヒドロゲル。
(15) 前記遅反応性親水性モノマーが、N−ビニルピロリドン、N−ビニルアセトアミド、1−メチル−3−メチレン−2−ピロリドン、1−メチル−5−メチレン−2−ピロリドン、5−メチル−3−メチレン−2−ピロリドン、及びこれらの混合物からなる群から選択される、実施態様14に記載のシリコーンヒドロゲル。
【0260】
(16) 前記遅反応性親水性モノマーが、NVP、VMA、及び1−メチル−5−メチレン−2−ピロリドンからなる群から選択される、実施態様15に記載のシリコーンヒドロゲル。
(17) 前記遅反応性親水性モノマーがNVPを含む、実施態様16に記載のシリコーンヒドロゲル。
(18) Rが、H又はメチルであり、Xが酸素であり、Rが、C〜Cモノ又はジヒドロキシ置換アルキル、及び1〜10個の反復単位を有するポリ(エチレングリコール)から選択される、実施態様1〜17のいずれかに記載のシリコーンヒドロゲル。
(19) Rがメチルであり、Xが酸素であり、Rが、C〜Cモノ又はジヒドロキシ置換アルキル、及び2〜20個の反復単位を有するポリ(エチレングリコール)から選択される、実施態様1〜17のいずれかに記載のシリコーンヒドロゲル。
(20) aが7〜30である、実施態様1〜10又は12〜19のいずれかに記載のシリコーンヒドロゲル。
【0261】
(21) R16が、H又はメチルである、実施態様1〜20のいずれかに記載のシリコーンヒドロゲル。
(22) 前記モノメタクリルオキシアルキルポリジメチルシロキサンメタクリレートが、モノメタクリルオキシプロピル末端モノ−n−ブチル末端ポリジメチルシロキサン、モノメタクリルオキシプロピル末端モノ−n−メチル末端ポリジメチルシロキサン、モノメタクリルオキシプロピル末端モノ−n−ブチル末端ポリジエチルシロキサン、モノメタクリルオキシプロピル末端モノ−n−メチル末端ポリジエチルシロキサン、N−(2,3−ジヒドロキシプロパン)−N’−(プロピルテトラ(ジメチルシロキシ)ジメチルブチルシラン)アクリルアミド、α−(2−ヒドロキシ−1−メタクリルオキシプロピルオキシプロピル)−ω−ブチル−オクタメチルペンタシロキサン、及びこれらの混合物からなる群から選択される、実施態様1〜4、10、12〜19のいずれかに記載のシリコーンヒドロゲル。
(23) 前記モノメタクリルオキシアルキルポリジメチルシロキサンメタクリレートが、モノメタクリルオキシプロピル末端モノ−n−ブチル末端ポリジメチルシロキサン、モノメタクリルオキシプロピル末端モノ−n−メチル末端ポリジメチルシロキサン、N−(2,3−ジヒドロキシプロパン)−N’−(プロピルテトラ(ジメチルシロキシ)ジメチルブチルシラン)アクリルアミドからなる群から選択される、実施態様22に記載のシリコーンヒドロゲル。
(24) Rが、H又はメチルであり、Xが酸素であり、Rが、C〜Cモノ又はジヒドロキシ置換アルキル、及び1〜10個の反復単位を有するポリ(エチレングリコール)から選択される、実施態様1〜23のいずれかに記載のシリコーンヒドロゲル。
(25) Rがメチルであり、Xが酸素であり、Rが、C〜Cモノ又はジヒドロキシ置換アルキル、及び2〜20個の反復単位を有するポリ(エチレングリコール)から選択される、実施態様1〜23のいずれかに記載のシリコーンヒドロゲル。
【0262】
(26) Rが、2−ヒドロキシエチル、2,3−ジヒドロキシプロピル、2−ヒドロキシプロピルである、実施態様1〜25のいずれかに記載のシリコーンヒドロゲル。
(27) 前記ヒドロキシアルキルモノマーが、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、1−ヒドロキシプロピル−2−(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−プロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、ビス−(2−ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、2,3−ジヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド、及びこれらの混合物からなる群から選択される、実施態様1〜23のいずれかに記載のシリコーンヒドロゲル。
(28) 前記ヒドロキシアルキルモノマーが、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、グリセロールメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、ヒドロキシブチルメタクリレート、3−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−プロピルメタクリレート、及びこれらの混合物からなる群から選択される、実施態様27に記載のシリコーンヒドロゲル。
(29) 前記ヒドロキシアルキルモノマーが、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、3−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−プロピルメタクリレート、グリセロールメタクリレート、及びこれらを含む混合物を含む、実施態様28に記載のシリコーンヒドロゲル。
(30) 少なくとも約60のDkを更に含む、実施態様1〜29のいずれかに記載のシリコーンヒドロゲル。
【0263】
(31) 少なくとも約80のDkを更に含む、実施態様30に記載のシリコーンヒドロゲル。
(32) 少なくとも約55%の含水率を更に含む、実施態様1〜31のいずれかに記載のシリコーンヒドロゲル。
(33) 少なくとも約60%の含水率を更に含む、実施態様32に記載のシリコーンヒドロゲル。
(34) 約80°未満の前進接触角(advancing contact angle)を更に含む、実施態様1〜33のいずれかに記載のシリコーンヒドロゲル。
(35) 約50%未満のヘイズ(%)を更に含む、実施態様1〜34のいずれかに記載のシリコーンヒドロゲル。
【0264】
(36) 約10%未満のヘイズ(%)を更に含む、実施態様35に記載のシリコーンヒドロゲル。
(37) 約827kPa(120psi)未満の弾性率(modulus)を更に含む、実施態様1〜36のいずれかに記載のシリコーンヒドロゲル。
(38) 約689kPa(100psi)以下の弾性率を更に含む、実施態様1〜37のいずれかに記載のシリコーンヒドロゲル。
(39) 前記ヒドロキシアルキルモノマーが、GMMAを含み、前記反応混合物が、希釈剤としてt−アミルアルコールを更に含む、実施態様1〜26又は30〜38のいずれかに記載のシリコーンヒドロゲル。
(40) 前記反応混合物が、少なくとも1つの遅反応性架橋剤及び少なくとも1つの速反応性架橋剤を更に含む、実施態様1〜26又は30〜38のいずれかに記載のシリコーンヒドロゲル。
【0265】
(41) 前記少なくとも1つの遅反応性架橋剤及び少なくとも1つの速反応性架橋剤がそれぞれ、重合性成分100g当たり約0.3〜約2.0ミリモルの量で前記反応混合物中に存在する、実施態様40に記載のシリコーンヒドロゲル。
(42) 前記少なくとも1つの遅反応性架橋剤及び少なくとも1つの速反応性架橋剤がそれぞれ、約0.1〜約0.2重量%の量で前記反応混合物中に存在する、実施態様41に記載のシリコーンヒドロゲル。
(43) 少なくとも1つのヒドロキシル基及び速反応性反応基を含む全ての成分が、約0.16〜約0.4のヒドロキシルのシリコンに対するモル比を提供するのに十分な濃度で存在する、実施態様1〜42のいずれかに記載のシリコーンヒドロゲル。
(44) 前記ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート又は(メタ)アクリルアミドモノマーが、0.13〜0.35のHO:Si比を提供するのに十分な濃度で存在する、実施態様1〜43のいずれかに記載のシリコーンヒドロゲル。
(45) 前記反応混合物が、約37〜約70重量%の遅反応性モノマーを含む、実施態様1又は2に記載のシリコーンヒドロゲル。
図1
図2
図3