特許第6309462号(P6309462)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6309462
(24)【登録日】2018年3月23日
(45)【発行日】2018年4月11日
(54)【発明の名称】印刷システム及び印刷方法
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/01 20060101AFI20180402BHJP
【FI】
   B41J2/01 209
   B41J2/01 305
   B41J2/01 401
   B41J2/01 451
【請求項の数】11
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-560296(P2014-560296)
(86)(22)【出願日】2013年2月20日
(65)【公表番号】特表2015-509452(P2015-509452A)
(43)【公表日】2015年3月30日
(86)【国際出願番号】EP2013053321
(87)【国際公開番号】WO2013131746
(87)【国際公開日】20130912
【審査請求日】2016年2月5日
(31)【優先権主張番号】1250206-8
(32)【優先日】2012年3月5日
(33)【優先権主張国】SE
(73)【特許権者】
【識別番号】391053799
【氏名又は名称】テトラ ラバル ホールディングス アンド ファイナンス エス エイ
(74)【代理人】
【識別番号】100151105
【弁理士】
【氏名又は名称】井戸川 義信
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100089037
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ペータ・エーマン
【審査官】 島▲崎▼ 純一
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−002017(JP,A)
【文献】 特開2010−149500(JP,A)
【文献】 特開2002−103597(JP,A)
【文献】 特開2004−216793(JP,A)
【文献】 特表2005−513283(JP,A)
【文献】 特開2006−35770(JP,A)
【文献】 米国特許第6120142(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01 − 2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の並列するウエブ(140)を含む基材(14)に審美的文字及び/又は情報伝達的文字の繰り返しパターンを印刷するための印刷システムであって、
少なくとも2つの重なり合ったノンインパクト方式印刷ユニット(210)であって、前記印刷ユニット(210)それぞれが、最大印刷幅(X)を規定する横方向長さを有している、前記印刷ユニット(210)と、
前記印刷ユニット(210)それぞれに接続されている制御装置(220)であって、前記横方向長さの開始位置と終了位置との間に延在している実際の印刷幅(Y)を設定するように構成されている前記制御装置(220)と、
を備えている前記印刷システムにおいて、
前記制御装置(220)が、前記基材(14)の2つの隣り合っているウエブ(140)の接続部分によって形成されている非印刷領域(142)であって、2つの前記印刷ユニット(210)が重なり合った領域内において横方向に配置されている前記非印刷領域(142)の横方向部分に関する情報を受信することによって、前記基材(14)が印刷システムを通過する間に前記実際の印刷幅(Y)を決定及び設定するように構成されており、これにより、第1の印刷ユニット(210)の終了位置と重なっている印刷ユニット(210)の開始位置とが、前記非印刷領域(142)に配置され、前記実際の印刷幅(Y)が重複しないことを特徴とする印刷システム。
【請求項2】
前記制御装置(220)が、複数の前記非印刷領域(142)の横方向位置を受容するように、且つ、2つの前記印刷ユニット(210)が重なり合った領域内に配置されている単一の非印刷領域(142)の横方向位置を選択するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の印刷システム。
【請求項3】
前記制御装置(220)によって受容される前記非印刷領域(142)の横方向位置が、第1の位置から第2の位置に至るまで延在している横方向距離によって表わされており、
前記第1の印刷ユニット(210)の前記終了位置が、前記非印刷領域(142)の前記第1の位置に対応しており、
前記重なっている印刷ユニット(210)の前記開始位置が、前記非印刷領域(142)の前記第2の位置に対応していることを特徴とする請求項1又は2に記載の印刷システム。
【請求項4】
前記印刷ユニット(210)それぞれの前記最大印刷幅(X)が、1000mmより小さく、
前記印刷システム全体の印刷幅(Z)が、1000mmより大きいことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の印刷システム。
【請求項5】
前記基材(14)の前記ウエブ(140)それぞれの幅が、100mm〜400mmとされ、
前記非印刷領域(142)の幅が、5mm〜50mmとされることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の印刷システム。
【請求項6】
前記印刷ユニット(210)それぞれが、インクジェットプリンタとされることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の印刷システム。
【請求項7】
前記基材(14)が、ロール供給されることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の印刷システム。
【請求項8】
前記基材(14)が、後に流動食料用包装材料に変換するためのカートン基材とされることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の印刷システム。
【請求項9】
印刷可能な基材の処理経路に沿って連なって配置されている、複数の請求項1〜8のいずれか一項に記載の印刷システムを備えている印刷機において、
前記印刷システムそれぞれが、繰り返しパターンの特定の色及び/又は部分を前記印刷可能な基材に印刷するように構成されていることを特徴とする印刷機。
【請求項10】
前記印刷可能な基材のウエブ(140)それぞれには、印刷すべき独特な画像が形成されており、
前記印刷システム(20a〜20d,200)が、対応する前記ウエブ(140)に前記独特な画像を印刷するようにプログラムされていることを特徴とする請求項9に記載の印刷機。
【請求項11】
複数の並列するウエブを含む基材に審美的文字及び/又は情報伝達的文字の繰り返しパターンを塗布するように構成されている印刷システムを提供するための方法であって、
重なり合って配置されている少なくとも2つのノンインパクト方式印刷ユニットであって、前記印刷ユニットそれぞれが最大印刷幅を規定する横方向長さを有している、前記印刷ユニットを準備するステップと、
i)前記基材の2つの隣り合っているウエブの間における接続部分によって形成されている非印刷領域であって、2つの前記印刷ユニットの重なり合った部分において横方向に配置されている前記非印刷領域の横方向部分に関する情報を受信することによって、及び、ii)第1の印刷ユニットの終了位置と重なっている印刷ユニットの開始位置とが前記非印刷領域に配置され、前記実際の印刷幅(Y)が重複しないように、前記印刷ユニットそれぞれの実際の印刷幅を決定することによって、前記基材が印刷システムを通過する間に前記印刷ユニットそれぞれの前記実際の印刷幅を決定及び設定するために前記印刷ユニットそれぞれに制御装置を接続するステップであって、前記実際の印刷幅が前記横方向長さの開始位置と終了位置との間に延在している、前記ステップと、
を備えていることを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷システムに関する。さらに、本発明は、並列配置された複数のウエブを含む基材に審美的文字及び/又は情報伝達的文字の繰り返しパターンを施すための印刷システム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
紙基材に工業的に印刷するための様々な手法が周知されている。幾つかの目的を達成させるために、既知の手法を2つの区分に、すなわちインパクト印刷及びノンインパクト印刷に分類することが適切である。
【0003】
インパクト印刷の例としては、フレキソ印刷、輪転グラビア印刷やオフセット印刷が挙げられる。これら例示した印刷は、ステロタイプ(cliche)と呼称される場合があるマスター画像を必要とする点において共通する。ステロタイプは、インクによって印刷すべき画像を表わすパターンで少なくとも部分的に覆われている。その後に、ステログラフは、直接又は間接に関わらず、1つの又は幾つかの圧胴(compression cylinder)を介して印刷されるべき基材に対して押圧される。基材とは、例えば紙、フィルム、ラミネートや厚紙である。一般に、インパクトプリンタは、印刷のために静的画像を必要とする大型高速印刷システムに設けられている。
【0004】
一方、ノンインパクト印刷手法は、印刷すべき基材と直接接触する印刷機を必要としない。従って、当該区分における一の周知の手法を説明するためのインクジェット印刷機は、基材から所定距離で離隔して配置されており、デジタル制御されるので、高解像度の動的画像を提供することができる。
【0005】
食料品包装に関連する技術分野において、インパクト印刷手法は、高品質の静的画像を印刷する際に高速且つ堅実に動作するので、今まで選択されてきた。従来、最終段階のロール供給包装システムにおけるウエブの幅が並列配置された10個のウエブを同時に印刷することができる幅の全体の一部分にすぎない場合であっても、最大2mの幅を有する印刷機によって大型プリントは実行されていた。一般に、充填設備で包装材料として後に利用するための基材の製造の最終段階において、ロール供給された基材は単一ウエブに切断される。
【0006】
それにも関わらず、インパクト印刷機は、食料品包装産業において包装材料として後に利用するためのカートン基材に例えば装飾層を印刷する場合に利用されるが、莫大な量の資源を必要とする。ステロタイプの製造は、多大なコストを必要とすると共に高コストであり、高価な現像用化学薬品の利用に依存する。さらに、通常、工業的大量生産の用途で利用される場合にこのようなシステム全体の高コスト化の原因となる接着テープによって、ステロタイプは固定される。
【0007】
従って、食料品包装材料の製造において、インパクト印刷機をノンインパクト印刷機に交換することは優位である。印刷プロセスにおける時間及びコストを低減することができるが、運転停止及びステロタイプの交換をする必要なく、印刷すべき画像を急速に変更可能とされるからである。しかしながら、十分に幅が広いノンインパクト印刷機を提供することは容易ではないので、紙全体に対応するためには幾つかの印刷機ユニットを互いに隣接させて配置する必要があった。また、このことは、2つの印刷機ユニットが重なり合った印刷済画像をシームレスに連続させるためのアルゴリズムである、いわゆるスティッチを必要とする。さらに、基材の部分それぞれの正しい位置を確保するために、非常に大きい張力を基材に作用させる必要がある。しかしながら、例えば紙等のような基材の場合には、このような張力を作用させることは、印刷の質を低下させることのみならず、基材が損傷する危険性を高めることになる。張力が基材から除荷されると、印刷されたパターンが変形するからである。ヒトの目は画像画素の不整合を非常に高精度で検知するので、効果的且つ堅実な方法でノンインパクト印刷機ユニットを重ね合せる解決策を提供することは有益である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、好ましくは、本発明は、特許請求の範囲に規定されるシステムを提供することによって、本発明の属する技術分野における1つ以上の上述の欠点及び単独又は組み合わせの不利益を軽減、緩和、又は解消させ、少なくとも上述の課題を解決することである。
【0009】
本発明の技術的思想は、重なり合った印刷機ユニットそれぞれを制御し、印刷機ユニットの重なりを制御する場合にカートン基材の隣り合うウエブ同士の間に設けられている特定の目的のための非印刷領域の位置を利用することである。
【0010】
本発明のさらなる技術的思想は、2つの隣り合う印刷機ユニットが重なり合った部分が特定の目的のための印刷されていない領域に発生するように、印刷機ユニットそれぞれの動作中の横方向幅を制御することである。
【0011】
食料品材料の製造では、好ましくは、非印刷領域が、包装ブランク又は包装チューブの長手方向端部の両方に沿って設けられている。包装ブランク又は包装チューブが長手方向端部に沿って密閉されているからである。従って、ロール供給基材には一の隠された領域が存在するが、隠された領域に印刷する必要は無い。しかしながら、内側シール端部に印刷することも、シール特性に悪影響を与える場合がある。通常、非印刷領域が紙ロールのウエブ同士の間に位置する領域に設けられているので、非印刷領域は、幾つかの重なり合った印刷機ユニットを位置合わせする場合に利用される。
【0012】
本発明の第1の実施態様では、複数の並列するウエブを含む基材に審美的文字及び/又は情報伝達的文字の繰り返しパターンを印刷するための印刷システムが提供される。印刷システムは、少なくとも2つの重なり合ったノンインパクト方式印刷ユニットであって、印刷ユニットそれぞれが、最大印刷幅を規定する横方向長さを有している、印刷ユニットと、印刷ユニットそれぞれに接続されている制御装置であって、横方向長さの開始位置と終了位置との間に延在している実際の印刷幅を設定するように構成されている制御装置とを備えており、制御装置が、基材の2つの隣り合っているウエブの接続部分によって形成されている非印刷領域であって、2つの印刷ユニットが重なり合った領域内において横方向に配置されている非印刷領域の横方向部分を受容することによって実際の印刷幅を決定するように構成されており、これにより、第1の印刷ユニットの終了位置と重なっている印刷ユニットの開始位置とが、非印刷領域に配置されている。
【0013】
制御装置が、複数の非印刷領域の横方向位置を受容するように、且つ、2つの印刷ユニットが重なり合った領域内に配置されている単一の非印刷領域の横方向位置を選択するように構成されている。
【0014】
制御装置によって受容される非印刷領域の横方向位置が、第1の位置から第2の位置に至るまで延在している横方向距離によって表わされており、第1の印刷ユニットの終了位置が、非印刷領域の第1の位置に対応しており、重なっている印刷ユニットの開始位置が、非印刷領域の第2の位置に対応している。
【0015】
印刷ユニットそれぞれの最大印刷幅が、1000mmより小さく、印刷システム全体の印刷幅が、1000mmより大きい。
【0016】
基材のウエブそれぞれの幅が、100mm〜400mmとされ、非印刷領域の幅が、5mm〜50mmとされる。
【0017】
印刷ユニットそれぞれが、インクジェットプリンタとされる。基材が、後に流動食料用包装材料に変換するためのカートン基材とされる。
【0018】
第2の実施態様では、印刷機が提供される。印刷機は、印刷可能な基材の処理経路に沿って連なって配置されている、第1の実施態様における印刷システムを備えており、印刷システムそれぞれが、繰り返しパターンの特定の色及び/又は部分を印刷可能な基材に印刷するように構成されている。
【0019】
印刷可能な基材のウエブそれぞれには、印刷すべき独特な画像が形成されており、印刷システムが、対応するウエブに独特な画像を印刷するようにプログラムされている。
【0020】
第3の態様では、複数の並列するウエブを含む基材に審美的文字及び/又は情報伝達的文字の繰り返しパターンを塗布するように構成されている印刷システムを提供するための方法が提供される。当該方法は、重なり合って配置されている少なくとも2つのノンインパクト方式印刷ユニットであって、印刷ユニットそれぞれが、最大印刷幅を規定する横方向長さを有している、印刷ユニットを準備するステップと、i)基材の2つの隣り合っているウエブの間における接続部分によって形成されている非印刷領域であって、2つの印刷ユニットの重なり合った部分において横方向に配置されている非印刷領域の横方向部分を受容することによって、及び、ii)第1の印刷ユニットの終了位置と重なっている印刷ユニットの開始位置とが非印刷領域に配置されているように、印刷ユニットそれぞれの実際の印刷幅を決定することによって、印刷ユニットそれぞれの実際の印刷幅を決定するために印刷ユニットそれぞれに制御装置を接続するステップであって、実際の印刷幅が横方向長さの開始位置と終了位置との間に延在している、ステップとを備えている。
【0021】
当該実施態様、特徴、及び利点、並びに他の実施態様、特徴、及び利点は、添付図面を参照しつつ、本発明の実施例についての以下の説明から明らかとなり理解することができるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】一の実施例における幾つかの印刷システムを含む印刷機の概略的な側面図である。
図2】一の実施例における印刷機システムの上面図である。
図3図2に表わす印刷機システムの概略図である。
図4図2に表わす印刷機システムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1は、一の実施例における工業用印刷機10を表わす。従って、印刷機10は、例えば100m/minのような高速度で、例えば装飾層や生産履歴管理に関連する機能パターンのような審美的文字及び/又は情報伝達的文字の繰り返しパターンを基材に施すように構成されている。この目的を達成するために、基材は、後に流動食料用包装材料のコア層を形成するカートン基材とされ、200m/minの速度で印刷される。
【0024】
図面の左端には、基材ロール12が設けられている。基材ロール12は、後に食料包装材料に転換させるのに適しているカートン基材のロールである。当該食料包装材料は、標準的な流動食料充填装置で利用される。基材は、並列配置された複数のウエブを含んでいるが、ウエブの一般的な数量は、2枚〜10枚である。後に1リットルのパッケージを形成する場合には、通常、ウエブは約300mmの幅を有している。従って、一般に、基材の幅は最大2mである。
【0025】
基材ロール12を回転させる際に、基材14は、ロール12から連続的に巻回解除されるので、印刷機10を通じて輸送される。例えば送り込む際に基材を駆動、停止、延伸、又は案内するような様々な目的を達成させるために、多数の胴16が基材の搬送経路に沿って設けられている。
【0026】
基材は、横方向に位置合わせされていると共に重なり合っている多数のノンインパクト印刷機を含む、第1の印刷システム20aを通過する。第1の印刷システム20aに含まれるノンインパクト印刷機の配列は、基材14の幅全体を横断して印刷するために、基材14の幅全体に対応している。
【0027】
ノンインパクト印刷機によって印刷された画像が動的に且つリアルタイムで変更されるように、ノンインパクト印刷機それぞれは制御される。
【0028】
第1の印刷システム20aを通過した後に、基材は、インクが第1の印刷システム20aの下流に配置された第2の印刷システム20bに送り込まれる前に、インクを乾燥させるために、任意の乾燥セクション30を通じて送り込まれる。
【0029】
第2の印刷システム20bは、印刷すべきインクの色を除けば、第1の印刷システム20aと同一である。また、第3の印刷システム20c及び第4の印刷システム20dは、第1〜第4の印刷システム20a〜20dそれぞれがシアンC,マゼンダM,イエローY,ブラックKのうち一の色に関連するように設けられている。この種の色表現すなわちCMYKは、一般に多色印刷と呼称されている。
【0030】
第4の印刷システム20dに次いで任意の乾燥機30を通過した後に、基材は最終ロール40に巻き付けられる。加工された材料が流動食料用包装を形成するのに適するように積層材料及びさらなる材料が基材に結合される加工システムにおいて、最終ロール40は後処理される場合がある。
【0031】
図2は、第1〜第4の印刷システム20a〜20dのうち一の印刷システムの詳細図であり、当該一の印刷システムには参照符号200が付されている。印刷システム200は、移動中の基材14の搬送方向に対して並列配置されており、基材14の一方の横方向端部から基材14の反対側の横方向端部に至るまで延在している。好ましくは、印刷システム200は、基材14の搬送方向に対して垂直に配置されている。
【0032】
印刷システム200は、幾つかの印刷ユニット210を含んでおり、印刷ユニット210は、印刷ユニット210それぞれが基材14の幅の一部分に対応するにすぎないように重なり合って配置された状態で設けられている。従って、装飾層を基材14の幅全体に設けるために、すべての印刷ユニット210を動作させる必要がある。
【0033】
図2に表わすように、基材14は、複数のウエブ140a〜140hを含んでいる。ウエブ140a〜140hそれぞれが、後に充填装置で形成される予定の特定の包装の寸法に対応する幅を有している。単一の基材ロール12から様々な包装を製造することを望む場合には、ウエブ140a〜140hそれそれには、印刷システム200によって独自の画像が印刷される。ウエブ140a〜140hの数量は、自由に選択可能とされるが、一般に5個〜10個である。ウエブ140a〜140hの幅は一般に100mm〜400mmであり、記載14の幅全体は一般に1600mmである。
【0034】
ウエブ140a〜140hは、互いから所定距離で離隔して配置されており、所定距離は、基材の搬送方向に延在している非印刷領域142として定義されている。好ましくは、非印刷領域142は、一定の幅を有しているが、他の形状であっても良い。一般に、非印刷領域142の正確な形状は、製造すべき最終的な包装に依存する。非印刷領域142は、後に形成される包装の長手方向シールの形状及び構成を表わすからである。従って、非印刷領域142の形状は、最終的な包装に対応する基材14の長さそれぞれを再現している。このことは、一般に、画像が基材14に印刷される場合に当て嵌まる。言い換えれば、印刷システム200は、周期的な画像を基材14に提供する。それにも関わらず、印刷システム200も、基材を搬送する際に動的画像が生成されるように再プログラミング可能とされる。
【0035】
図3は、印刷システム200のさらなる詳細図である。印刷ユニット210それぞれが、ハウジング212と印刷ノズル列214とを含んでいる。好ましくは、横方向及び垂直方向の両方において印刷ユニット210が基材14と位置合わせされるように、ハウジング212は印刷機10のサポートに固定されている。印刷ノズル列214は横方向に延在しており、印刷ノズル列214の最大印刷幅はXとされる。
【0036】
さらに、印刷ユニット210それぞれが、制御装置220に接続されており、制御装置220は、印刷すべき画像のデジタル表現を格納可能とされ、印刷ユニット210のノズルそれぞれを制御可能とされる。従って、特定数のノズルのみを作動させることによって、特定の画像を印刷しようとする場合には、制御装置220は、特定のノズルの作動に応じて、信号を当該特定の印刷ユニット210に伝送する。
【0037】
印刷ユニット210が重なり合った配置で設けられているので、印刷システム200全体の最大印刷幅Zは、印刷ユニット210それぞれの最大印刷幅Xの3倍より僅かに小さい。例えば印刷ユニット210それぞれの最大印刷幅Xが600mmである場合には、基材全体の幅は1600mmであり、重複部分はそれぞれ100mmである。
【0038】
しかしながら、2つの隣り合っている印刷ユニット210が同一の画像の一部分を印刷すべき場合には、すなわち基材14の同一のウエブに印刷すべき場合には、様々な印刷された部分を互いにステッチする必要がある。ステッチは、デジタル印刷の分野では良く知られており、シームレスな画像を得るために、複雑なアルゴリズムとフィードバックループとを必要とする。印刷ユニット210の幅が例えば約600mmのように比較的大きいので、垂直方向又は横方向において印刷ユニット210同士の間には何らかの位置不整合が生じ、これにより視覚的な欠損が画像内に且つ印刷ユニット210が重なり合った領域に発生する。
【0039】
上述の実施例では、以下においてさらに説明するように、印刷ユニット210の実際の印刷幅を制御するためにウエブ142同士の間に形成された非印刷領域142を利用することによって、この問題は解決される。
【0040】
図4は、移動する基材14に対する図2及び図3に表わす印刷システム200を表わす。当該実施例では、制御装置220は、印刷ユニット210それぞれの実際の印刷幅Yを設定するように構成されている。実際の印刷幅Yは、印刷ユニット210それぞれの最大印刷幅Xより小さい。
【0041】
従って、制御装置220は、2つの目的、すなわちi)所望の画像を基材に提供するための印刷ユニットの印刷ノズルそれぞれを制御すること、及び、ii)印刷ユニット210の実際の印刷幅Yを制御することを達成するように機能する。これら目的を達成するために、制御装置220は、制御装置220に接続されている内部デジタルメモリ又は外部デジタルメモリを具備する2つ以上のコントローラに分割されている場合がある。さらに、制御装置220は、ケーブルを介して直接的に又は無線若しくは例えばインターネットを介して間接的に、印刷ユニット210に接続されている場合がある。
【0042】
印刷ユニット210それぞれの実際の印刷幅Yを決定するために、制御装置220は、ウエブ140の位置及び大きさ並びに非印刷領域142のみならず、印刷すべき基材14に関する情報を受信するための入力チャネルを有している。従って、制御装置220は、内部に格納された座標系を有しており、基材14の位置は、印刷ユニット210の位置と同様に当該座標系で表わされている。
【0043】
最も左側に位置する印刷ユニット210をはじめとして、実際の印刷幅Y1は、最大印刷幅Xの一部分として設定されている。制御装置220は、基材14の左側端部が印刷すべきでない領域142を含んでいるという情報を受信すると、これにより第1の印刷ユニット210の横方向長さにおける開始位置が、非印刷領域142が終了する位置として設定される。基材14の右側に対して横方向に移動する場合には、2つの隣り合う印刷ユニット210が重なり合った位置に非印刷領域142が存在するまで、多数のウエブ140が通過する。従って、制御装置220は、印刷ユニットが重なり合った領域に存在する非印刷領域142が開始する位置において、第1の印刷ユニットの印刷幅の終了位置を設定する。さらに、印刷ユニット210の横方向長さの一部分が、当該開始位置及び終了位置それぞれの遠位に配置されており、制御装置220によって不動作として設定される。従って、第1の印刷ユニット210は、図4に表わすウエブ140a〜140cに印刷する。
【0044】
従って、中央の印刷ユニット210の実際の印刷幅Y2は、第1の印刷ユニット210の実際の印刷幅Y1の終端である非印刷領域142の最も右側の端部すなわち第2の位置として当該開始位置が設定されるように決定及び設定される。中央の印刷ユニット210の実際の印刷幅Y2の終了位置は、中央の印刷ユニット210と最も右側の印刷ユニット210とが重なり合った領域内において横方向に配置されている非印刷領域の開始位置として設定される。従って、中央の印刷ユニット210は、ウエブ140d〜140fに印刷するように制御される。
【0045】
最も右側の印刷ユニット210は、最も左側の印刷ユニット210及び中央の印刷ユニット210と同様に制御される。従って、基材14の最も右側の端部が非印刷領域142を含んでいる場合には、実際の印刷幅Y3の終了位置が設定される。
【0046】
上述の技術的思想、すなわち画像の重なりが非印刷領域にのみ発生するように、重なり合っているが独立した印刷ユニット210の実際の印刷幅を制御することは、複雑なアルゴリズム及び先進的なハードウエア構成に対する必要性を低減させる。
【0047】
特定の実施例では、基材が印刷機を通過する間に、ウエブ140及び/又は非印刷領域142の位置及び大きさが動的に変更される。制御装置220の実時間ソフトウエアによって、このような状況が上述と同様の態様で良好に管理可能とされる。様々な印刷ユニット210の実際の印刷幅が、制御装置からの要求に即座に決定及び設定されるからである。従って、上述の印刷システムは、非印刷領域の側部それぞれに形成された少なくとも2つのウエブ140を具備する基材に、動的又は静的に関わらず、2つ以上の印刷ユニットが画像の印刷を提供するあらゆる状況において利用可能とされる。ここで、非印刷領域は、印刷ユニット同士が重なり合った領域内において横方向に配置されている。従って、上述の印刷システムは、4つ以上の重なり合った印刷ユニットを含む印刷システムに拡張可能とされる。
【0048】
特定の実施例について説明したが、言うまでもなく、特許請求の範囲に規定される技術的範囲から逸脱することなく、当該印刷システムに対して様々な改良を加えることができる。
【符号の説明】
【0049】
10 印刷機
12 基材ロール
14 基材
20a 第1の印刷システム
20b 第2の印刷システム
20c 第3の印刷システム
20d 第4の印刷システム
30 乾燥セクション(乾燥機)
40 最終ロール
140a ウエブ
140b ウエブ
140c ウエブ
140d ウエブ
140e ウエブ
140f ウエブ
140g ウエブ
140h ウエブ
142 非印刷領域
200 印刷システム
210 印刷ユニット
212 ハウジング
214 印刷ノズル列
220 制御装置
図1
図2
図3
図4