(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1、特許文献2、及び特許文献4の襟芯はポリエステル製であるが、低弾性薄板と高弾性薄板とを組み合わせることについては開示されておらず、着心地については配慮されていない。
【0007】
最近では、襟芯としてポリエチレン樹脂の芯材が使用されている。しかし、ポリエチレン樹脂は耐熱性が低いため、当該芯材はアイロンによる加熱で折れ曲がりやすい。また、当該芯材はコシが弱く洗濯、クリーニング、アイロン掛けの際に負荷される応力によっても折れ曲がりやすい。
【0008】
特許文献3については、可撓性を有する素材で襟芯を構成することが記載されているが、具体的にいかなる素材を使用するのかが記載されておらず襟芯の耐久性等については不明である。同様に特許文献6においても襟芯の詳細は不明である。特許文献5には襟芯を使用することが記載されていない。
【0009】
本発明は、アイロン掛け等による熱や曲げ応力に対して変形し難く、着心地のよいシャツを作製することが可能な襟芯を提供することを目的とする。そして、洗濯、クリーニング、アイロン掛け等による熱や曲げ応力によって変形し難く、着心地のよい襟を備えたシャツを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
ポリエチレン又はポリプロピレンからなる低弾性薄板とポリエステルからなり低弾性薄板に比較してコシのある高弾性薄板とを重ねてなる襟芯であって、低弾性薄板は、低弾性薄板と高弾性薄板とを重ねた状態の平面視において、高弾性薄板の外縁に対して低弾性薄板の外縁が突出した部分を有する襟芯、及び当該襟芯を襟羽根部分に固定してなるシャツにより、上記の課題を解決する。襟芯は低弾性薄板の外縁が高弾性薄板から突出した部分を有するため、着用者の首や胸部などに低弾性版の外縁が高弾性薄板よりも先に接触する。このため、シャツの襟周りにおいて着心地を軟らかくすることができる。一方で高弾性薄板はポリエステルからなるので、洗濯やクリーニングの際に負荷される応力やアイロン等の加熱、加圧に対して襟芯を折れ曲がったり変形したりしにくくすることができる。
【0011】
襟芯は、襟芯先端部分の左右の端部において高弾性薄板の外縁に対して低弾性薄板の外縁が突出した形状であることが好ましい。襟芯の先端は、着用者の体に触れやすく、また力も集中しやすい。襟芯先端部分の左右の端部において低弾性薄板の外縁が突出するようにすることで、シャツの着用者にとって襟周りの着心地が軟らかいものとなる。襟芯の基端部分も、着用者の体に触れやすく、また力が集中しやすい。同様の理由から、襟芯は、襟芯基端部分の左右の端部において高弾性薄板の外縁に対して低弾性薄板の外縁が突出した形状であることが好ましい。
【0012】
襟芯は、襟羽根の基端部から襟羽根の剣先部分にかけて設けられた閉じたポケットに収納することが好ましい。これにより襟芯の位置ずれを防止して襟先が真っ直ぐに張った状態を長期に維持することが可能になる。このとき、剣先部分に第1固定具を設け、シャツの前身頃の剣先部分に対応する位置に第2固定具を設けることが好ましい。第1固定具及び第2固定具によって剣先の位置を固定し、閉じたポケットに収納された襟芯によって襟羽根の端部が真っ直ぐに張った状態とすることで、襟が美しく起立した状態を維持することができる。このとき、第1固定具及び第2固定具を隠し釦とすることで、襟元をフォーマルでスマートに見せることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の襟芯を使用すれば、熱や曲げ応力に対して変形し難く、しかも着心地のよいシャツを提供することが可能になる。熱や曲げ応力に対して変形し難いので、美しい襟元の形状を長期にわたって保つことが可能である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図面を参照しつつ本発明を実施するための形態について説明する。
図1は、本発明の襟芯の一実施形態である。この襟芯1は、襟の表地側に位置するポリエステル樹脂からなる1枚の高弾性薄板11と、襟の裏地側に位置するポリエチレン樹脂からなる1枚の低弾性薄板12とからなる。この実施形態は低弾性薄板1枚と高弾性薄板1枚とからなる襟芯であるが、低弾性薄板及び高弾性薄板の枚数は特に限定されない。
図2においては、説明の便宜から高弾性薄板11にはハッチングを付して示した(
図3ないし
図5において同じ。)。
図3ないし5は、襟芯2の別の実施形態であるが、同様にポリエステルからなる1枚の高弾性薄板13、15、17と、ポリエチレンからなる低弾性薄板14、16、18とからなる。各実施形態の低弾性薄板は、ポリプロピレン樹脂から構成してもよい。
【0016】
ポリエステルは、ポリエチレンやポリプロピレンに比較して、耐熱性が高く、引張弾性率が高い。ポリエステルを襟芯として使用することで、シャツを洗濯又はクリーニングする際に負荷される応力やアイロンによる熱や応力などに対してシャツの襟芯を曲りにくくすることができる。一方でポリエステルは、ポリエチレンやポリプロピレンに比較してコシが強いため、シャツの襟元周りの着心地が硬くなるし、襟芯によって襟の生地が摩耗したり破れやすくなったりする。例えば、襟芯が胸や首に接触して着用者に不快感を与えることがある。特に第1ボタンを留めてネクタイを締めたときなどは顕著である。そこで、実施形態に示す襟芯1、2、3、4では、ポリエチレン又はポリプロピレンからなる低弾性薄板12、14、16、18をポリエステルからなる高弾性薄板11、13、15、17と重ねて、平面視において高弾性薄板の外縁に対して低弾性版の外縁を突出させることで襟周りの着心地が軟らかくなるようにしている。低弾性薄板の外縁は、高弾性薄板の外縁よりも外側に突出しているため、着用者の体に高弾性薄板よりも先に接触して、低弾性薄板の外縁部分が曲がる。これによって、シャツの着心地を軟らかくする。また、襟芯による襟の生地の摩耗を低減する。
【0017】
図1及び
図2の襟芯1の場合は、襟芯先端部分の左右の端部において低弾性薄板12の外縁が高弾性薄板11の外縁に対して突出した形状となっている。これによって、襟芯の先端部分の左右の端部が着用者の胸部を圧迫することを防止することができる。
図3の襟芯2のように、襟芯2の基端部分の左右の端部において低弾性薄板14の外縁が高弾性薄板13の外縁に対して突出する形状としてもよい。これによって、襟芯2の基端部分の左右の端部が着用者の首を圧迫することを防止することができる。
【0018】
図2の襟芯1は、高弾性薄板11及び低弾性薄板12共に、基端部分を円弧状とし先端部分を先細部分19、20(テーパー部分)を有する円弧状とした短冊状の薄板である。ただし、低弾性薄板12の先端側の円弧の半径は高弾性薄板11の先端側の円弧の半径よりも大きくして、余部21を構成している。
図3の襟芯2は、短冊状であり、先端部分は
図2の襟芯と同様である。低弾性薄板14の基端部分は円弧状とし、高弾性薄板13の基端部分は先細部分22を有する円弧状とし、低弾性薄板14の基端側の円弧の半径を高弾性薄板13の基端側の円弧の半径よりも大きくして、余部23を構成している。
図4の襟芯3は、短冊状であり、先端部分および基端部分共に
図3の基端部分の形状と同様にして余部23を構成している。
図5の襟芯は、短冊状であり、基端部分及び先端部分は
図4の襟芯と同様であるが、左右側面にさらに余部24を有する。
【0019】
上記の各実施形態の襟芯は、
図6に模式的に示したように、例えば、襟羽根25の基端部26から剣先27にかけて設けられた閉じたポケット28に収納して使用する。
図6では襟芯1を固定したシャツ5の一例を示す。
図6及び
図7において閉じたポケット28を破線で示した。これにより襟芯1の位置ずれを防止して襟羽根25の端部の基端側から先端側(剣先27の付け根から剣先27の先端)が真っ直ぐに張った状態を長期に維持することが可能になる。閉じたポケット28の基端は襟羽根25の基端部26から少しは離れた部分に位置させてあり、襟芯が着用者の首を圧迫しないようになっている。
【0020】
図6のシャツ5では、低弾性薄板12の長さと高弾性薄板11の長手方向の長さを同じにした襟芯1を略同形の閉じたポケット28に収納している。略同形とは襟芯1に無理な力が加わらない程度の遊びをもたせた状態である。このため、高弾性薄板11の位置が低弾性薄板12に対して長さ方向に対してずれにくい。高弾性板11が長さ方向にずれにくいので襟の端部を安定して支えて真っ直ぐに張った状態を維持することができる。長さ方向に直交する方向に対しては余部を備えているので高弾性薄板12が着用者の体を圧迫することを防止することができる。
【0021】
図6のシャツ5では、左右の剣先27の部分にそれぞれ第1固定具29を設け、シャツ5の前身頃の対応する位置に第2固定具30を設けている。第1固定具29及び第2固定具30によって剣先27の位置を固定すると、襟芯の効果と相まって襟羽根25の端部の基端側から先端側が真っ直ぐに張った状態で襟が美しく起立した状態を長期にわたって維持することができる。特にネクタイを締めない状態において第1ボタンを外した状態で襟を美しく見せることができる。
【0022】
図6のシャツ5では、第1固定具29及び第2固定具30は、隠し釦から構成している。より具体的には、襟先部分の裏側にスナップボタンの雄側を縫着して、シャツの前身頃の襟先部分に対応する位置にスナップボタンの雌側を縫着している。スナップボタンの雄雌は相互に入れ替え可能である、襟先部分の裏側に雌側を逢着して、前身頃に雄側を縫着してもよい。隠し釦は、襟芯の効果と相まって剣先27が真っ直ぐに張った状態を長期にわたって維持し、フォーマルで清潔感のある襟に見せることができる。
【0023】
図6のシャツ5は、襟台31、襟羽根25に芯地を使用している。芯地は、襟芯の効果と相まって襟全体が起立した立体的な状態を長期にわたって維持して襟元を美しく見せることができる。
図8に
図7のAA部分の端面図を示したように、襟羽根25の端部付近は、2枚の芯地32、33が入っている。この芯地32、33は、シャツ5の裏地34及び表地35に比較して、コシのある織布などで構成すればよい。
図6のシャツ5ではシャツの裏地34及び表地35に比較して厚手で単位面積当たりの糸の打ち込み本数が多い織布を使用している。襟羽根25の端部付近は、厚手の芯地32と薄手の芯地33の間にホットメルト接着剤を適用し、熱圧着して積層芯地36としている。
図7においては、二点鎖線で積層芯地36と芯地32の境界を示した。
【0024】
図7及び
図8に示したように、裏地34の上に低弾性薄板12及び高弾性薄板11を重ねて、襟羽根25と同じ形状に裁断したポケット形成用の中地37を低弾性薄板12及び高弾性薄板11の上に重ねて、低弾性薄板12の縁に沿って遊びをもたせた状態で糸38で縫ってある。糸38によって閉じたポケット28を形成し、その中に低弾性薄板12及び高弾性薄板11が収納されている。上記の中地37に積層芯地36、表地35を記載した順に重ねて、表地35及び積層芯地36の端部と中地37及び裏地34の端部とをそれぞれ内側に折り返して糸39で縫って襟羽根25としている。なお、
図8は、襟を折り返した状態の端面図であるので上下が逆さまの状態となっている。
【0025】
図9のBB部分の端面図に示したように襟羽根25の内側では、裏地34、積層芯地36、表地35が記載した順に重なっており、表地35及び積層芯地36の端部と裏地34の端部とをそれぞれ内側に折り返して左右の端部が糸39で縫着されている。積層芯地36は、襟羽根25の端部付近では2枚として剣先を含む襟の端部が立った状態を維持して、襟羽根25の内側では1枚として首回りの着心地が過度に硬くならないようにしてある。
図8に示したように、襟台31は、裏地40、芯地41、襟羽根25、及び表地42を記載した順に重ねて、表地42の端部と裏地40及び芯地41の端部とをそれぞれ内側に折り返して糸43で縫って襟台31の形状としている。襟台31では芯地を1枚として首回りの着心地が過度に硬くならないようにしてある。
【0026】
図6のシャツ5では、カフスにも襟台31と同じ構成の芯地を1枚入れてある。また、前身頃の胸部に設けたポケット生地の上端部分にシャツ5の生地と同色でアルファベットのDの文字の刺繍が施してある。人と対面したときに襟から胸元を経てカフスに視線が流れることが多く、襟、ポケット、及びカフスの3点は特に目につきやすい。
図6のシャツ5では襟を真っ直ぐに張った状態を維持すると共に、カフスの芯地によって袖口も張った状態を維持し、ポケットの刺繍も相まって、清潔な印象を与えることができる。ポケットの刺繍は、刺繍に目が行きやすくなるという心理的な効果を利用しており、ポケットに物を入れても目立ちにくい。
【0027】
高弾性薄板を構成するポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレートなどが使用可能である。このようなポリエルテル類を150〜200℃程度の高温で加熱したりフィルムを延伸したりして結晶化した結晶化ポリエステルを使用することが好ましい。ポリエステルとしては、例えば、引張弾性率(JIS K 7113)が280〜430kgf/mm
2のものを使用することが好ましい。さらに、熱変形温度(JIS K 7206)が120〜270℃であるものを使用することが好ましく、200〜270℃であるものを使用することがより好ましい。
【0028】
低弾性薄板を構成するポリエチレンとしては、低密度から高密度のポリエチレンを使用すればよい。高密度ポリエチレンや超高分子量ポリエチレンについては引張弾性率の小さいものを使用することが好ましい。ポリプロピレンについても引張弾性率を基に使用するものを選択することができる。ポリエチレン及びポリプロピレンとしては、例えば、引張弾性率(JIS K 7113)が9〜240kgf/mm
2のものを使用することが好ましく、9〜120kgf/mm
2のものを使用することがより好ましい。ポリプロピレンは、ポリエチレンに比較して耐ヒンジ特性が強く折り曲げに対して強い点で好ましい。
【0029】
以下、本発明の実施例を挙げてより詳細に説明する。
[実施例1]
厚さ0.25mm、密度0.91、融点105℃、引張弾性率(JIS K 7113)24kgf/mm
2、熱変形温度(JIS K 7206)56.3℃の低密度ポリエチレンのシートから
図2の形状の低弾性薄板を切り出した。厚さ0.5mm、密度1.39、融点245℃、引張弾性率(JIS K 7113)380kgf/mm
2、熱変形温度220℃の結晶性ポリエチレンテレフタレートのシートから
図2の形状の高弾性薄板を切り出した。
【0030】
上記のようにして得た低弾性薄板1枚及び高弾性薄板1枚を低弾性薄板が着用者の胸側になるようにして
図2のように重ねて、
図6のように左右の襟羽根の基端部から剣先に設けた閉じたポケットによって固定した。
【0031】
〔実施例2〕
厚さ0.1mmの低密度ポリエチレンのシートから低弾性薄板を切り出したこと、厚さ0.2mmの結晶性ポリエチレンテレフタレートのシートから高弾性薄板を切り出したこと、そしてこの低弾性薄板2枚と高弾性薄板2枚とを低弾性薄板2枚が着用者の胸側になるようにして
図6のように左右の襟羽根の先端部分に閉じたポケットによって固定したこと以外は実施例1と同様にしてシャツを作製した。
【0032】
〔実施例3〕
厚さ0.2mm、密度0.94、融点120℃、引張弾性率(JIS K 7113)43kgf/mm
2、熱変形温度(JIS K 7206)62℃の高密度ポリエチレンのシートから
図3の形状の低弾性薄板を切り出した。
【0033】
厚さ0.2mm、密度1.38、融点245℃、引張弾性率(JIS K 7113)320kgf/mm
2、熱変形温度(JIS K 7206)205℃の結晶性ポリエチレンテレフタレートのシートから
図3の形状の高弾性薄板を切り出した。
【0034】
上記のようにして得た低弾性薄板1枚及び高弾性薄板1枚を低弾性薄板が着用者の胸側になるようにして
図2のように重ねて、
図6のように左右の襟羽根の先端部分に閉じたポケットによって固定してシャツを作製した。
【0035】
〔実施例4〕
厚さ0.1mm、密度0.91、融点168℃、引張弾性率(JIS K 7113)140kgf/mm
2、熱変形温度(JIS K 7206)63℃のポリプロピレンのシートから
図2の形状の低弾性薄板を切り出して、
図2の形状の低弾性薄板を得た。これ以外は実施例1のシャツと同様にしてシャツを作製した。
【0036】
〔比較例1〕
実施例1に示した芯材に替えて、厚さ0.25mm、密度0.91、融点105℃、引張弾性率(JIS K 7113)24kgf/mm
2、熱変形温度(JIS K 7206)56.3℃の低密度ポリエチレンのシートから切り出した短冊状の芯材を1枚使用したこと以外は実施例1と同様にしてシャツを作製した。
【0037】
〔比較例2〕
厚さ0.5mm、密度1.39、融点245℃、引張弾性率(JIS K 7113)380kgf/mm
2、熱変形温度(JIS K 7206)220℃の結晶性ポリエチレンテレフタレートのシートから切り出した短冊状の芯材を1枚使用したこと以外は実施例1と同様にしてシャツを作製した。
【0038】
実施例1ないし4及び比較例1及び2のシャツについて、市販の洗濯機によって洗濯し、それを乾燥機にかけて、160℃でアイロン掛けを行った。これを50回繰り返し後の襟の外観と着心地を確認した。結果を表1に示す。
【0040】
表1に示したように実施例1ないし4のシャツでは、襟の剣先が真っ直に張った状態で、襟が美しく起立した状態が維持されていた。ネクタイを締めずに第1ボタンを空けた状態では
図10の外観が維持されており、襟芯が着用者の体を圧迫するようなこともなく軟らかい着心地であった。ネクタイを締めた状態では
図11の状態が維持されており、やはり襟芯が着用者の身体を圧迫するような感じは感じられず着心地は良好であった。また、芯材による襟周りの生地の摩耗も見られなかった。
【0041】
比較例1のシャツは、着心地は軟らかいものであったが、襟の剣先が襟の内側に湾曲した状態となってしまった。襟芯の状態を手で触って確かめたところ、内側に折れ曲がっていた。比較例2のシャツが張った状態は維持されていたものの、襟芯が着用者の胸を圧迫するような感じがして着心地が硬いものであった。比較例2のシャツの剣先の裏地を見ると襟芯によって裏地が少し破れていた。
【0042】
以上のように、実施例1ないし4の襟芯によれば、シャツの着心地を損なうことなく、剣先が真っ直ぐに張った状態を維持することができる。実施例1ないし4のシャツは、襟台及び襟羽根に1枚の芯地を備えており、襟羽根の先端部分には芯地を2枚備えている。このため、襟芯の効果と相まって襟全体が美しく起立した状態を維持することができる。さらに、実施例1ないし4のシャツは襟先部分に隠し釦を備えており、剣先の先端の位置が固定されている。
図10に示したように、隠し釦と襟芯によって、剣先が襟羽根の基端部から延びる角度を調節して剣先が略鉛直方向に真っ直ぐに延びるようにして位置を固定し、襟元をスマートに見せることが可能になる。他方、隠し釦を外すと
図12のようになり、ややラフな印象となる。シャツは、繰り返しクリーニング又は洗濯されるため襟芯が曲り易く、購入当初の形状を維持することが容易でないが、実施例1ないし4の襟芯によれば洗濯やクリーニングを繰り返しても購入当初の襟の形状を維持することが可能であり、襟周りの着心地も優れている。