特許第6309487号(P6309487)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6309487緊急事態発生に対応するためのインバータの運転制御システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6309487
(24)【登録日】2018年3月23日
(45)【発行日】2018年4月11日
(54)【発明の名称】緊急事態発生に対応するためのインバータの運転制御システム
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/48 20070101AFI20180402BHJP
【FI】
   H02M7/48 M
【請求項の数】9
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-121269(P2015-121269)
(22)【出願日】2015年6月16日
(65)【公開番号】特開2016-5433(P2016-5433A)
(43)【公開日】2016年1月12日
【審査請求日】2015年6月16日
(31)【優先権主張番号】10-2014-0072595
(32)【優先日】2014年6月16日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】593121379
【氏名又は名称】エルエス産電株式会社
【氏名又は名称原語表記】LSIS CO.,LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100165191
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 章
(74)【代理人】
【識別番号】100151459
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 健一
(72)【発明者】
【氏名】リ フ チン
(72)【発明者】
【氏名】キム チョン チャン
【審査官】 白井 孝治
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−147998(JP,A)
【文献】 実開昭54−068126(JP,U)
【文献】 特開2013−126371(JP,A)
【文献】 特開2006−174614(JP,A)
【文献】 特開2011−010513(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
7/42− 7/5395
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
インバータと、
前記インバータの基本運転のための第1の運転モードと、緊急事態発生に対応するための第2の運転モードを設定する上位制御機と、
前記第1の運転モードが設定されると、前記インバータの電圧測定値または電流測定値が第1の条件を満たす場合、前記インバータの動作を中断し、前記第2の運転モードが設定されると、前記インバータの電圧測定値または電流測定値が第1の条件を満たす場合でも、前記インバータの動作を継続的に維持するように、前記インバータの動作を制御し、前記第2の運転モードが設定されると、前記インバータの電圧測定値または電流測定値が第2の条件を満たす場合、前記インバータの動作を中断するように、前記インバータの動作を制御する制御部と、を含み、
前記インバータは、複数のインバータを含み、
前記制御部は、前記複数のインバータの各々に対応して設けられた複数の制御部を含み、
前記上位制御機は、前記複数のインバータの中から選択された一つ以上のインバータに対して前記第1の運転モードまたは前記第2の運転モードを設定し、
前記複数の制御部の各々は、該当インバータの動作を制御し、
前記上位制御機は、前記複数のインバータの各々によって駆動される負荷の全消費電力のうち、該当負荷が占める消費電力の比重に応じて、前記第1の運転モードまたは前記第2の運転モードを選択して設定する、緊急事態発生に対応するためのインバータの運転制御システム。
【請求項2】
前記第1の条件は、第2の条件に達していない電圧または電流過負荷、出力欠相、低電圧のうち一つ以上を含む、請求項1に記載の緊急事態発生に対応するためのインバータの運転制御システム。
【請求項3】
前記第2の条件は、過電流トリップの条件、過電圧トリップの条件のうち一つ以上を含む、請求項1に記載の緊急事態発生に対応するためのインバータの運転制御システム。
【請求項4】
前記過電流トリップの条件は、暗短絡による過電流トリップまたは出力過電流による過電流トリップが発生することを含む、請求項3に記載の緊急事態発生に対応するためのインバータの運転制御システム。
【請求項5】
電圧検出部と、
電流検出部と、をさらに含み、
前記インバータは、入力される交流電源を整流して出力する整流部と、前記整流部から入力された出力電圧を平滑させて直流リンク電圧を出力する平滑部と、及び、前記平滑部から入力された前記直流リンク電圧を交流電圧に変換して出力するインバータ部と、を含み、
前記電圧検出部は、前記インバータの平滑部に連結され、前記直流リンク電圧の値を測定し、
前記電流検出部は、前記インバータ部の出力端子に連結され、前記インバータの出力電流を測定する、請求項1〜のいずれか一項に記載の緊急事態発生に対応するためのインバータの運転制御システム。
【請求項6】
前記制御部の制御を受けて、前記第1の運転モードまたは前記第2の運転モードに応じる運転情報と、各運転モードで発生した故障情報とを格納するメモリをさらに含む、請求項1〜のいずれか一項に記載の緊急事態発生に対応するためのインバータの運転制御システム。
【請求項7】
前記上位制御機は、前記複数のインバータの各々によって駆動される負荷の種類や重要度に応じて、前記第1の運転モードまたは前記第2の運転モードを選択して設定する、請求項1〜のいずれか一項に記載の緊急事態発生に対応するためのインバータの運転制御システム。
【請求項8】
前記上位制御機は、前記複数のインバータの各々に設定される運転モードを、該当インバータの運転前に予め設定する、請求項1〜のいずれか一項に記載の緊急事態発生に対応するためのインバータの運転制御システム。
【請求項9】
前記上位制御機は、前記複数のインバータの各々に設定される運転モードを、該当インバータの運転中に緊急事態発生時、または全負荷に基づいて動的に設定する、請求項1〜のいずれか一項に記載の緊急事態発生に対応するためのインバータの運転制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、緊急事態発生に対応するためのインバータの運転制御システムに関し、詳細には、緊急事態時にインバータが連続運転をしなければならない場合、インバータが軽い故障を無視して連続運転ができるようにする、緊急事態発生に対応のためのインバータの運転制御システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
インバータ(invertor)は、モータの速度及びトルクを制御することができる装置である。モータの速度制御方式には様々なものがあるが、代表的な方法は、1次電圧制御方式と周波数変換方式がある。インバータは、効率制御、力率制御などに用いられたり、予備電源、コンピュータ用の無停電電源、直流送電などに応用されて用いられることもできる。
【0003】
インバータの使用目的は、プロセス制御、工場の自動化及び省エネのためである。例えば、加熱炉の送風機(blower)の場合、インバータが、製品の種類や生産量に応じて送風機の速度を調整することができる。インバータが送風機の風量を調節することにより、加熱炉内の温度を最適な温度に調節することができるだけでなく、製品の質的向上を図ることができる。このようにすることで、大きな省エネの効果をもたらすことができる。現在、瞬時停電などが発生した場合、インバータを効率的に制御するための技術に対する研究が活発に進められている。
【0004】
従来の場合、インバータは、運転中に故障が発生する場合、直ちに運転を中止し、故障が回復されると、運転を再開している。
【0005】
しかし、インバータが消防用ポンプ、トンネルの換気ファンなどを駆動する場合、インバータに軽い故障が発生するたびに動作が停止されると、緊急事態時に大きな事故を引き起こすことができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、緊急事態時にインバータが連続運転をしなければならない場合、インバータが軽い故障を無視して連続運転ができるようにする緊急事態発生に対応するためのインバータの運転制御システムを提供することにある。
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、以上で言及した課題に制限されず、言及されていない別の課題は、以下の記載から提案される実施例が属する技術分野における通常の知識を有する者であれば明確に理解することができる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一側面によれば、インバータと、インバータの基本運転のための第1の運転モードと、緊急事態発生に対応するための第2の運転モードを設定する上位制御機と、及び、第1の運転モードが設定されると、インバータの電圧測定値または電流測定値が第1の条件を満たす場合、インバータの動作を中断し、第2の運転モードが設定されると、インバータの電圧測定値または電流測定値が第1の条件を満たす場合でも、インバータの動作を継続的に維持するようにインバータの動作を制御する制御部と、を含む緊急事態発生に対応するためのインバータの運転制御システムが提供される。
【0009】
制御部は、第2の運転モードの設定時、インバータの電圧測定値または電流測定値が第2の条件を満たすと、インバータの動作を中断させる制御動作を行うことができる。
【0010】
第1の条件は、指令喪失、第2の条件に達していない電圧または電流過負荷、出力欠相、低電圧、またはfanトリップの発生のうち一つ以上であってもよい。
【0011】
第2の条件は、インバータだけでなく、インバータに連結された機器に2次被害を与えることができる故障信号の発生を含む。
【0012】
第2の条件は、過電流トリップの条件、過電圧トリップの条件、ハードウェアの故障条件、設定された外部状況の故障条件のうち一つ以上を含む。
【0013】
前記過電流トリップの条件は、暗短絡による過電流トリップまたは出力過電流による過電流トリップが発生することを含む。
【0014】
ハードウェアの故障条件は、電流検出回路の故障または制御部の故障を含む。
【0015】
インバータの運転制御システムは、電圧検出部と、電流検出部とをさらに含むことができ、インバータは、入力される交流電源を整流して出力する整流部と、整流部から入力された出力電圧を平滑させて直流リンク電圧を出力する平滑部、及び、平滑部から入力された直流電圧を交流電圧に変換して出力するインバータ部を含み、電圧検出部は、インバータの平滑部に連結されて直流リンク電圧の値を測定し、電流検出部は、インバータ部の出力端子に連結されてインバータの出力電流を測定することができる。
【0016】
インバータは、複数のインバータを含み、制御部は、複数のインバータの各々に対応して設けられた複数の制御部を含み、及び上位制御機は、複数のインバータの中から選択された一つ以上のインバータに対して第1の運転モードまたは第2の運転モードを設定するように構成される。複数の制御部の各々は、該当インバータに対して、上位制御機から第1の運転モードが設定されると、該当インバータの電圧測定値または電流測定値が第1の条件を満たす場合、該当インバータの動作を中断し、第2の運転モードが設定されると、該当インバータの電圧測定値または電流測定値が第1の条件を満たす場合でも、該当インバータの動作を継続的に維持するように、該当インバータの動作を制御することができる。
【0017】
緊急事態発生に対応するためのインバータの運転制御システムは、制御部の制御を受けて、第1の運転モードまたは第2の運転モードに応じた運転情報と、各運転モードで発生した故障情報とを格納するメモリをさらに含む。
【0018】
インバータは、複数のインバータを含み、制御部は、複数のインバータの各々に対応して設けられた複数の制御部を含み、及び、上位制御機は、複数のインバータの中から選択された一つ以上のインバータに対して第1の運転モードまたは第2の運転モードを設定し、複数の制御部の各々は、該当インバータの動作を制御するように構成される。
【0019】
インバータは、複数のインバータを含み、上位制御機は、複数のインバータの中から選択された一つ以上のインバータに対して第1の運転モードまたは第2の運転モードを設定し、及び、制御部は、上位制御機から複数のインバータに対して、個別の運転モードを設定され、設定された運転モードに応じて、それぞれのインバータの動作を制御するように構成される。
【0020】
上位制御機は、複数のインバータの各々によって駆動される負荷の種類に応じて、第1の運転モードまたは第2の運転モードを選択して設定することができる。
【0021】
上位制御機は、複数のインバータの各々によって駆動される負荷の種類や重要度に応じて、第1の運転モードまたは第2の運転モードを選択して設定できる。
【0022】
上位制御機は、複数のインバータの各々によって駆動される負荷の全消費電力のうち、該当負荷が占める消費電力の比重に応じて、第1の運転モードまたは第2の運転モードを選択して設定することができる。
【0023】
上位制御機は、複数のインバータの各々に設定される運転モードを、該当インバータの運転前に予め設定することができる。
【0024】
上位制御機は、複数のインバータの各々に設定される運転モードを、該当インバータの運転中に緊急事態発生時、または全負荷に基づいて動的に設定することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によると、緊急事態時にインバータが連続運転をしなければならない場合、別の外部入力信号を介してインバータが軽い故障を無視して連続運転が可能であることにより、緊急事態発生時にインバータの運転停止によって引き起こされる事故の危険性を未然に防止することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の一実施形態に係る緊急事態発生に対応するためのインバータの運転制御システムの構成ブロック図である。
図2】本発明の一実施形態に係る緊急事態発生に対応するためのインバータ運転モードの設定を説明するための図である。
図3】本発明の一実施形態に係る緊急事態発生に対応するためのインバータの運転制御システムにおいて、第1モードが設定されたときのインバータの運転制御方法を説明するためのフローチャートである。
図4】本発明の一実施形態に係る緊急事態発生に対応するためのインバータの運転制御システムにおいて、第2のモードが設定されたときのインバータの運転制御方法を説明するためのフローチャートである。
図5】本発明の他の一実施形態に係る緊急事態発生に対応するためのインバータの運転制御システムの構成ブロック図である。
図6】本発明のまた他の一実施形態に係る緊急事態発生に対応するためのインバータの運転制御システムの構成ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下では、本発明の具体的な実施例を図面と共に詳細に説明する。しかし、本発明の思想が提示される実施例に制限されるものではなく、また他の構成要素の追加、変更、削除などによって退化的な他の発明や、本発明の思想の範囲内に含まれる他の実施例を容易に提案することができる。
【0028】
本発明で使用される用語は、できるだけ、現在広く使用されている一般的な用語を選択したが、特定な場合、出願人が任意に選定した用語もあり、この場合、該当する発明の説明部分で詳細にその意味を記載したため、単純な用語の名称ではない用語が有する意味として本発明を把握しなければならないことを明らかにするところである。
【0029】
つまり、以下の説明において、単語「含む」は、列挙されたものとは異なる構成要素またはステップの存在を排除しない。
【0030】
図1は、本発明の一実施形態に係る緊急事態発生に対応するためのインバータの運転制御システムの構成ブロック図である。
【0031】
図1を参照すると、インバータの運転制御システム100は、インバータ110、誘導電動機120、電圧検出部130、電流検出部140、制御部150、上位制御機160、及びメモリ170を含んで構成される。
【0032】
インバータ110は、整流部111、平滑部112、インバータ部113を含んで構成される。
【0033】
整流部111は、入力された交流電源を整流し、出力する。平滑部112は、整流部111から入力された出力電圧を平滑させ、直流リンク電圧を出力する。平滑部112は、キャパシターを含んで実現できる。インバータ部113は、平滑部112から入力された直流リンク電圧を交流電圧に変換し、出力する。
【0034】
インバータ110は、制御部150の制御により動作が制御され、誘導電動機120を駆動させる。
【0035】
誘導電動機120は、インバータ部113から出力された交流電圧によって動作される。
【0036】
電圧検出部130は、直流リンク電圧の値を測定する。電圧検出部130は、過電圧を検出することができる。
【0037】
電流検出部140は、インバータ部113と誘導電動機120で設けられ、回路に流れる過電流を検出することができる。
【0038】
制御部150は、電圧検出部130と電流検出部140に検出された電圧値と電流値に基づいてインバータ部113を制御するための制御信号を生成し、生成された制御信号をインバータ110に伝送する。
【0039】
上位制御機160は、緊急事態時にインバータ110が連続運転をしなければならない場合、インバータ110が軽い故障を無視して連続運転ができるように、制御部150に緊急運転モードを設定することができる。
【0040】
制御部150は、上位制御機160の設定動作に応じて、インバータ110の運転モードを基本運転モードまたは緊急運転モードに設定し、インバータ110の動作を制御する。
【0041】
このために、上位制御機160は、インバータ110の基本運転のための第1の運転モードと、緊急事態発生に対応するための第2の運転モードを設定することができる。
【0042】
制御部150は、上位制御機160によって第1の運転モードが設定されると、インバータ110の電圧測定値または電流測定値が第1の条件を満たす場合、インバータ110の動作を中断させる。
【0043】
一方、制御部150は、上位制御機160によって第2の運転モードが設定されると、インバータの電圧測定値または電流測定値が第1の条件を満たす場合でも、インバータの動作を継続的に維持するようにインバータ110の動作を制御する。
【0044】
制御部150は、第2の運転モードが設定される場合、インバータ110の電圧測定値または電流測定値が第2の条件を満たすと、インバータの動作を中断させる制御動作を行う。
【0045】
ここで、第1の条件は、指令喪失、第2の条件に達していない電圧または電流過負荷、出力欠相、低電圧、またはfanトリップの発生を含むことができる。
【0046】
第2の条件は、インバータだけでなく、インバータに連結された機器に2次被害を与えることができる故障信号の発生を含む。第2の条件は、例えば、過電流トリップの条件、過電圧トリップの条件、ハードウェアの故障条件、設定された外部状況の故障条件を含むことができる。
【0047】
過電流トリップ条件は、暗短絡による過電流トリップが発生する場合を含むことができる。たとえば、インバータ部113を構成するIGBTモジュールの定格電流の130%を超える場合、過電流トリップが発生することができる。
【0048】
過電流トリップの条件は、出力過電流による過電流トリップが発生することを含むことができる。例えば、インバータ部113の定格電流の250%以上となる場合に該当できる。
【0049】
過電圧トリップは、インバータ部113の定格電圧を超える電圧が印加されたときに発生され得る。
【0050】
ハードウェアの故障条件は、電流検出回路の故障または制御部の故障を含むことができる。
【0051】
設定された外部状況の故障条件は、上位制御機160に付設されているセンサーを介して感知される各種警報を含むことができる。
【0052】
メモリ170は、制御部150の制御を受けて、第1の運転モードまたは第2の運転モードに応じる運転情報と、各運転モードで発生した故障情報とを格納する。また、制御部150の要請がある場合、保存された運転情報と故障情報を制御部150に提供する。インバータメーカーはメモリ170に格納された運転情報と故障情報を参照して、各運転モードでの故障履歴を把握することができる。
【0053】
図2は、本発明の一実施形態に係る緊急事態発生に対応するためのインバータ運転モードの設定を説明するための図である。
【0054】
図2を参照すると、制御部150に電源が投入されると、制御部150は、インバータのパラメータの初期化を行う(S1)。
【0055】
制御部150は、上位制御機160から緊急運転モードの設定信号が入力されたか否かを判断する(S2)。
【0056】
S2ステップの判断結果、上位制御機160から緊急運転モードの設定信号が入力された場合、制御部150は、インバータの運転モードを緊急運転モードに設定する(S3)。
【0057】
S2ステップの判断結果、上位制御機160から緊急運転モードの設定信号が入力されていない場合、制御部150は、インバータの運転モードを基本運転モードに設定する(S4)。
【0058】
制御部150は、設定された運転モードに応じて、基本運転モードまたは緊急運転モードを実行し、インバータ110を制御して電動機を稼動させる(S5)。
【0059】
図3は、本発明の一実施形態に係る緊急事態発生に対応するためのインバータの運転制御システムにおいて、第1モードが設定されたときのインバータの運転制御方法を説明するためのフローチャートである。
【0060】
図3を参照すると、制御部150は、上位制御機160から運転指令を受け取る(S11)。制御部150は、インバータ部113に運転のための制御信号を出力する(S12)。インバータ部113は、制御部150の制御信号に応じて運転動作を行い、誘導電動機120を駆動させる(S13)。
【0061】
電圧検出部130は、インバータ110の直流リンク電圧値を検出する(S14)。
【0062】
電流検出部140は、インバータ110の出力電流値を検出する(S15)。
【0063】
制御部140は、測定された直流リンク電圧の値が、出力電流値が第1の条件を満たす故障が発生したか否かを判断する(S16)。
【0064】
判断の結果、電圧測定値または電流測定値が第1の条件を満たす故障が発生した場合、制御部150は、インバータ部113に運転停止のための制御信号を出力し、インバータ110の動作を中断させる(S17)。
【0065】
判断の結果、電圧測定値または電流測定値が第1の条件を満たす故障が発生していない場合、制御部150は、インバータ110の運転状態をそのまま維持する(S18)。
【0066】
図4は、本発明の一実施形態に係る緊急事態発生に対応するためのインバータの運転制御システムにおいて、第2のモードが設定されたときのインバータの運転制御方法を説明するためのフローチャートである。
【0067】
図4を参照すると、制御部150は、上位制御機160から運転指令を受け取る(S21)。制御部150は、インバータ部113に運転のための制御信号を出力する(S22)。インバータ部113は、制御部150の制御信号に応じて運転動作を行い、誘導電動機120を駆動させる(S23)。
【0068】
電圧検出部130は、直流リンク電圧値を検出する(S24)。
【0069】
電流検出部140は、インバータ部113の出力電流値を検出する(S25)。
【0070】
制御部140は、測定された直流リンク電圧の値が、出力電流値が第1の条件を満たす故障が発生したか否かを判断する(S26)。
【0071】
S26ステップの判断結果、電圧測定値または電流測定値が第1の条件を満たす故障が発生した場合、電圧測定値または電流測定値が第2の条件を満たす故障発生であるか否かを判断する(S27)。
【0072】
S27ステップの判断結果、インバータ110の電圧測定値または電流測定値が第2の条件を満たすと、制御部150は、インバータ部113に運転停止のための制御信号を出力し、インバータ110の動作を中断させる(S28)。
【0073】
S27ステップの判断結果、電圧測定値または電流測定値が第2の条件を満たす故障が発生していない場合、制御部150は、インバータ110の運転状態をそのまま維持する(S29)。
【0074】
S26ステップの判断結果、電圧測定値または電流測定値が第1の条件を満たす故障が発生していない場合、制御部150は、インバータ110の運転状態をそのまま維持する(S29)。
【0075】
図5は、本発明の他の一実施形態に係る緊急事態発生に対応するためのインバータの運転制御システムの構成ブロック図である。
【0076】
図5を参照すると、インバータの運転制御システム200は、複数のインバータ210a〜210n、複数の負荷220a〜220n、複数の制御部250a〜250n、上位制御機260を含んで構成できる。
【0077】
複数のインバータ210a〜210nの各々は、図1に示された整流部111、平滑部112、インバータ部113に対応する構成要素を含んで構成され、便宜上、図示していない。
【0078】
複数のインバータ210a〜210nの各々は、複数の制御部250a〜250nの各々の制御によって動作が制御され、複数の負荷220a〜220nの各々を駆動させる。
【0079】
複数の負荷220a〜220nの各々は、複数のインバータ210a〜210nから出力された交流電圧によって、それぞれ動作される。複数の負荷220a〜220nは、例えば、モータ、送風機、消防用ポンプ、トンネルの換気ファンを含むことができる。
【0080】
図5には示されていないが、インバータの運転制御システム200は、図1に示された電圧検出部130、電流検出部140に対応する各構成要素を含み、複数のインバータ210a〜210n、及び複数の負荷220a〜220nの各々に流れる過電圧または過電流を検出することができる。
【0081】
複数の制御部250a〜250nの各々は、複数の電圧検出部及び電流検出部によって検出された電圧値と電流値に基づいて、複数のインバータ210a〜210nを制御するための制御信号を生成し、生成された制御信号を複数のインバータ210a〜210nに伝送することができる。
【0082】
上位制御機260は、緊急事態時に複数のインバータ210a〜210nのうち少なくとも一つ以上が連続運転をしなければならない場合、該当インバータ210a〜210nが軽い故障を無視して連続運転ができるように、複数の制御部250a〜250nのうち、該当制御部250a〜250nに緊急運転モードを設定することができる。
【0083】
上位制御機260は、緊急事態時に複数のインバータ210a〜210nのうち、緊急運転モードを設定した制御部250a〜250nを除いた残りの制御部250a〜250nには、基本運転モードを設定することができる。
【0084】
これにより、複数の制御部250a〜250nのうち基本運転モードが設定された制御部は、上位制御機260の設定動作に応じて、複数のインバータ210a〜210nのうち該当インバータの運転モードを基本運転モードに設定し、インバータの動作を制御する。
【0085】
一方、複数の制御部250a〜250nのうち緊急運転モードが設定された制御部は、上位制御機260の設定動作に応じて、複数のインバータ210a〜210nのうち該当インバータの運転モードを緊急運転モードに設定し、インバータの動作を制御する。
【0086】
上位制御機260は、複数のインバータ210a〜210nの各々によって駆動される負荷の種類に応じて、基本運転モードまたは緊急運転モードを選択して設定することができる。
【0087】
上位制御機260は、複数のインバータ210a〜210nの各々によって駆動される負荷の種類や重要度に応じて、基本運転モードまたは緊急運転モードを選択して設定することができる。
【0088】
上位制御機260は、複数のインバータ210a〜210nの各々によって駆動される負荷の全消費電力のうち、該当負荷が占める消費電力の比重に応じて、基本運転モードまたは緊急運転モードを選択して設定することができる。
【0089】
上位制御機260は、複数のインバータ210a〜210nの各々に設定される運転モードを、該当インバータの運転前に予め設定することができる。
【0090】
上位制御機260は、複数のインバータ210a〜210nの各々に設定される運転モードを、該当インバータの運転中に緊急事態発生時、または全負荷に基づいて動的に設定することができる。
【0091】
図6は、本発明のまた他の一実施形態に係る緊急事態発生に対応するためのインバータの運転制御システムの構成ブロック図である。
【0092】
図6を参照すると、インバータの運転制御システム300は、複数のインバータ310a〜310n、複数の負荷320a〜320n、制御部350、上位制御機360を含んで構成できる。
【0093】
複数のインバータ310a〜310nの各々は、図1に示された整流部111、平滑部112、インバータ部113に対応する構成要素を含んで構成され、便宜上、図示していない。
【0094】
複数のインバータ310a〜310nは、制御部350の制御によって動作が制御され、複数の負荷320a〜320nの各々を駆動させる。
【0095】
複数の負荷320a〜320nの各々は、複数のインバータ310a〜310nから出力された交流電圧によって、それぞれ動作される。複数の負荷320a〜320nは、例えば、モータ、送風機、消防用ポンプ、トンネルの換気ファンを含むことができる。
【0096】
図6には示されていないが、インバータの運転制御システム300は、図1に示された電圧検出部130、電流検出部140に対応する各構成要素を含み、複数のインバータ310a〜310n、及び複数の負荷320a〜320nの各々に流れる過電圧または過電流を検出することができる。
【0097】
制御部350は、複数の電圧検出部及び電流検出部によって検出された電圧値と電流値に基づいて、複数のインバータ310a〜310nを制御するための制御信号を生成し、生成された制御信号を複数のインバータ310a〜310nに伝送することができる。
【0098】
上位制御機360は、緊急事態時に複数のインバータ310a〜310nのうち少なくとも一つ以上が連続運転をしなければならない場合、該当インバータ310a〜310nが軽い故障を無視して連続運転ができるように、制御部350に緊急運転モードを設定することができる。
【0099】
上位制御機360は、緊急事態時に複数のインバータ310a〜310nのうち、緊急運転モードを設定したインバータを除いた残りのインバータに対しては制御部350に基本運転モードを設定することができる。
【0100】
これにより、制御部350は、上位制御機360の設定動作に応じて、複数のインバータ310a〜310nの中から基本運転モードを設定するように選択された該当インバータの運転モードを基本運転モードに設定し、インバータの動作を制御する。
【0101】
一方、制御部350は、上位制御機360の設定動作に応じて、複数のインバータ310a〜310nの中から緊急運転モードを設定するように選択された該当インバータの運転モードを緊急運転モードに設定し、インバータの動作を制御する。
【0102】
上位制御機360は、複数のインバータ310a〜310nの各々によって駆動される負荷の種類に応じて、基本運転モードまたは緊急運転モードを選択して設定することができる。
【0103】
上位制御機360は、複数のインバータ310a〜310nの各々によって駆動される負荷の種類や重要度に応じて、基本運転モードまたは緊急運転モードを選択して設定することができる。
【0104】
上位制御機360は、複数のインバータ310a〜310nの各々によって駆動される負荷の全消費電力のうち、該当負荷が占める消費電力の比重に応じて、基本運転モードまたは緊急運転モードを選択して設定することができる。
【0105】
上位制御機360は、複数のインバータ310a〜310nの各々に設定される運転モードを、該当インバータの運転前に予め設定することができる。
【0106】
上位制御機360は、複数のインバータ310a〜310nの各々に設定される運転モードを、該当インバータの運転中に緊急事態発生時、または全負荷に基づいて動的に設定することができる。
【0107】
以上で、本発明に係る具体的な実施例について説明したが、本発明の範囲から逸脱しない範囲内で様々な変形が可能であることは勿論のことである。したがって、本発明の範囲は、説明された実施例に限定されて定められてはならず、後述する特許請求の範囲だけでなく、この特許請求の範囲と均等のものによって定められるべきである。
【符号の説明】
【0108】
100 インバータの運転制御システム
110 インバータ
120 誘導電動機
130 電圧検出部
140 電流検出部
150 制御部
160 上位制御機
170 メモリ
図1
図2
図3
図4
図5
図6