(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6309512
(24)【登録日】2018年3月23日
(45)【発行日】2018年4月11日
(54)【発明の名称】特定のイオン液体を含んでなる組成物
(51)【国際特許分類】
H01G 11/60 20130101AFI20180402BHJP
H01G 11/62 20130101ALI20180402BHJP
H01M 10/0568 20100101ALI20180402BHJP
H01M 10/0569 20100101ALI20180402BHJP
【FI】
H01G11/60
H01G11/62
H01M10/0568
H01M10/0569
【請求項の数】10
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-517762(P2015-517762)
(86)(22)【出願日】2013年6月20日
(65)【公表番号】特表2015-526890(P2015-526890A)
(43)【公表日】2015年9月10日
(86)【国際出願番号】EP2013062880
(87)【国際公開番号】WO2013190039
(87)【国際公開日】20131227
【審査請求日】2016年6月6日
(31)【優先権主張番号】1255918
(32)【優先日】2012年6月22日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】502124444
【氏名又は名称】コミッサリア ア レネルジー アトミーク エ オ ゼネルジ ザルタナテイヴ
(73)【特許権者】
【識別番号】513307184
【氏名又は名称】ユニヴェルシテ フランソワ−ラブレー
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】特許業務法人 信栄特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ガリアノ,エルヴェ
(72)【発明者】
【氏名】アヌティ,メリエム
(72)【発明者】
【氏名】タンペルマン,ローレ
【審査官】
田中 晃洋
(56)【参考文献】
【文献】
特開2006−269946(JP,A)
【文献】
国際公開第2005/036573(WO,A1)
【文献】
特開2011−184421(JP,A)
【文献】
特表2007−517364(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01G 11/60
H01G 11/62
H01M 10/0568
H01M 10/0569
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記構造式で表されるピロリジニウムカチオンと硝酸塩アニオンとの組合せからなるイオン液体を含んでなり、かつラクトン溶媒、カーボネート溶媒、ニトリル溶媒、及びそれらの混合物から選択される溶媒を含んでなる組成物。
【化1】
【請求項2】
前記溶媒がラクトン溶媒である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記ラクトン溶媒が、γ−ブチロラクトン、β−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン、γ−カプロラクトン、及びそれらの混合物から選択される、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
前記溶媒が、γ−ブチロラクトンである、請求項1乃至3のいずれかに記載の組成物。
【請求項5】
前記イオン液体が、前記組成物の全質量を基準として少なくとも20質量%の量で存在し、かつ80質量%までの範囲に及び得る、請求項1乃至4のいずれかに記載の組成物。
【請求項6】
前記組成物の全質量を基準として50質量%の量の、請求項1に定義された通りのイオン性液体;及び
前記組成物の全質量を基準として50質量%の量の、γ−ブチロラクトン
を含んでなる、請求項1乃至5のいずれかに記載の組成物。
【請求項7】
電解液である、請求項1乃至6のいずれかに記載の組成物。
【請求項8】
少なくとも1つのセルを含んでなるエネルギー貯蔵装置であって、前記セルが、セパレータによって互いに分離された正電極と負電極とを含んでなり、前記セパレータが、電解液として、請求項1乃至7のいずれかに定義された組成物を含んでなる、前記エネルギー貯蔵装置。
【請求項9】
スーパーキャパシタである、請求項8に記載のエネルギー貯蔵装置。
【請求項10】
前記正電極及び前記負電極が炭素を主成分とする、請求項8又は9に記載のエネルギー貯蔵装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定のイオン液体と、特定の有機溶媒タイプとの間の、オリジナルの組合せの結果として生じる新規な組成物に関する。該イオン液体は、それ自体が特定のカチオンと特定のアニオンとの間の組合せである。
【0002】
これらの組成物は、導電率、粘度、熱安定性(特に広範囲の温度、例えば−60℃と+150℃との間)の点で、優れた特性を有する。
【0003】
それ故、これらの組成物がスーパーキャパシタなどのエネルギー貯蔵装置の電解液として用途を見出し得ることは至極当然である。
【背景技術】
【0004】
電気エネルギーの可逆的貯蔵を可能にする3つの大型のエネルギー貯蔵装置:通常の誘電体キャパシタ、蓄電池又は2次電気化学ジェネレータ、及びスーパーキャパシタ、がある。
【0005】
スーパーキャパシタは、オンボードエネルギーの分野及びポータブルエネルギーのそれの双方にとり、まさに特別興味深い。
【0006】
動作の観点からは、スーパーキャパシタは、そこから「電気化学二重層キャパシタ」(EDLCという頭字語でも公知)という英語での名称が時に生じた、電気化学二重層の原理に基づき稼働しており、即ち、言い換えれば、電解液で含浸され、かつ絶縁性で、イオン伝導を確保する多孔質の膜によって分離された、2つの多孔質電極の表面付近において、電解液からイオンを分布させることによるエネルギー貯蔵の原理に基づいている。
【0007】
それ故、スーパーキャパシタの基本的なセルは、総じて以下の要素:
−正電極;
−電気二重層を形成する、正電極/電解液界面;
−前記電解液で含浸された絶縁性で多孔質の膜;
−負電極;及び
−電気二重層を形成する、負電極/電解液界面
に相当し得る。
【0008】
それぞれが電気化学二重層を形成するこれら2つの界面の存在の故に、スーパーキャパシタは概略的に、一方が正電極をもち他方が負電極をもつ、2つのキャパシタの直列結合物とみなされ得る。これらのキャパシタの双方は、該スーパーキャパシタの端子に電流を印加することにより生成され、このことが双方の電極−電解液界面に電荷領域を生じ、それ故エネルギーは、電気化学的にではなく静電的に貯蔵される。
【0009】
3つの大型のスーパーキャパシタ:
−炭素系スーパーキャパシタであり、活性炭を主成分とする2つの電極を従来通りに組合せるもので、「電気化学二重層を備えたスーパーキャパシタ」という名称でも知られ、また正及び負極が同等であることから、非常に多くの場合対称型システムとして記載される;
−金属酸化物系スーパーキャパシタであり、貴金属酸化物(例えば、RuO
2及びIrO
2)を主成分とする電極の表面における、プロトン化反応によるエネルギー貯蔵の原理に基づき稼働するもので、このタイプのスーパーキャパシタは、貴金属の使用により誘導されるコストの故に、依然として高い付加価値を付けて市場に供される;
−電池電極をスーパーキャパシタ電極と組合せたスーパーキャパシタであり、このことは、それらが二つの異なる電極を含んでなることから、これらのスーパーキャパシタに「ハイブリッドシステム」という名称、又はさらに「非対称型ハイブリッドシステム」という名称をもたらす
が存在する。
【0010】
スーパーキャパシタによって提供される貯蔵エネルギー及び電力は、印加可能な定格電圧の二乗に依存することが公知であり、このことは言い換えれば、スーパーキャパシタの性能が、スーパーキャパシタの端子に印加可能な定格電圧の増加に働きかけることにより大いに改善され得ることを意味する。
【0011】
それ故、スーパーキャパシタの端子の最大電位差は、電解液の性質により、また所与の電気化学的ウィンドウ内で安定して残るその適性に基づき条件付けられる。とりわけ、電解液は広い電気化学的ウィンドウにわたり安定している一方で、以下の特性:
−良好なイオン伝導率;
−高い温度範囲;及び
−イオンの良好な移動を可能にするようにする比較的低い粘度
をもつ必要があることも分かっている。
【0012】
現在、スーパーキャパシタには3つのタイプの電解液:
−水中に溶解された塩からなる、水系電解液;
−有機溶媒中に溶解された塩からなる、有機系電解液;
−室温で液体塩からなる、イオン液体
が使用されている。
【0013】
水系電解液については、それらが酸性(例えば、硫酸溶液)であろうと塩基性(例えば、カリウム溶液)であろうと、印加可能な定格電圧の範囲は、水分解を理由に約1Vに制限されており、このことが、通常の電圧(例えば、12V)を得るために、いくつかのスーパーキャパシタユニットの複雑な配置を用いて取り掛かることを必要とする。さらに、水系媒体中ではある塩の溶解性が低いことから利用可能な温度範囲が制限され、このことが、−20℃未満の温度におけるこれらの電解液の使用を妨げる。
【0014】
有機系電解液については、それらは水系電解液よりも大きい電気化学的安定性のウィンドウを有する。これらの電解液の構造へ侵入するのに一般に使用される有機溶媒は、アセトニトリルである。この溶媒は非常に粘度が高いというわけではなく、塩とともに非常に良く溶解し、かつ高度に解離性である。
【0015】
さらに:
−それは酸化及び還元条件の双方の下で高度に安定しており;
−それは双極子モーメントを有しており、このことがイオンの溶媒和を可能にし;かつ
−それは高いドナー数及び高いアクセプター数の双方を有しており、このことは、それがルイス酸及びルイス塩基の双方として挙動できることを保証する。
【0016】
しかしながら、これらの電解液は、それらが高コストであることから、費用対効果が非常に高いわけではなく、また、その蒸気圧が高いある有機溶媒の使用は、それらがリサイクルすることが困難であり得ること、及びその使用の間に周囲大気中に蒸発し得ることから、深刻な環境問題をもたらす。
【0017】
イオン液体については、理想的にはそれらには、何ら測定可能な蒸気圧をもたず、かつ高い熱安定性をもち、このことが、それらによる、有機溶媒が直面する環境及び安全性の問題(これが揮発性、蒸発、及び引火性又は爆発の危険の点においてであろうとなかろうと)の抑制をもたらす。
【0018】
しかしながらイオン液体は、有意な粘度を、またそれ故に低いイオン伝導率を有し得るものであり、このことが室温での高い抵抗を引き起こす。
【0019】
したがって、これらが水系電解液であれ、有機系電解液であれ、又はイオン液体であれ、これらの電解液の性質に固有の欠点が常に現れ、現今では、電気化学的安定性、イオン伝導率、温度安定性、及び粘度の点において、いずれの有利な特性も併せ持つ電解液は存在しない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0020】
上述のギャップを埋める目的で、本発明者らはリチウム電池用の電解液として使用され得る新規な組成物を開発した。この組成物は、ピロリジニウムカチオンと硝酸塩アニオンとの組合せからなるイオン液体を含んでなり、かつラクトン溶媒、カーボネート溶媒、ニトリル溶媒、及びそれらの混合物から選択される溶媒を含んでなる。
【0021】
ラクトン溶媒は、γ−ブチロラクトン、β−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン、及びγ−カプロラクトンから選択され得る。好ましくは、この溶媒はγ−ブチロラクトンである。
【0022】
カーボネート溶媒は、プロピレンカーボネートなどのアルキレンカーボネートであり得る。
【0023】
ニトリル溶媒は、アセトニトリルなどのニトリル官能基を含んでなるニトリル溶媒、及び/又は、アジポニトリル及び/又はグルタロニトリルなどの2つのニトリル官能基を含んでなるニトリル溶媒であり得る。
【0024】
本発明の組成物においては、上述のイオン液体は、該組成物の全質量を基準として少なくとも20質量%の量で存在でき、かつ80質量%までの範囲に及び得る。
【0025】
一例として、特に有効な組成物は:
−該組成物の全質量を基準として50質量%の量の、上記に定義されたイオン性液体;及び
−該組成物の全質量を基準として50質量%の量の、γ−ブチロラクトン
を含んでなる組成物である。
【0026】
本発明の組成物は、広範囲の温度にわたり高い導電率を有する。
【0027】
例えば、50質量%のイオン性液体と、50質量%のγ−ブチロラクトンとを含んでなる組成物については、導電率はそれぞれ−10℃、25℃、及び80℃の温度において、10mS・cm
−1、33mS・cm
−1、及び68mS・cm
−1の値を有する。
【0028】
本発明の組成物はまた、−60℃から130℃までに及ぶ温度範囲といった、広範囲の温度にわたり非常に安定である。
【0029】
本発明の組成物は、それ故、上述の有機溶媒の長所(強い導電率及び低い粘度)と、イオン液体のそれ(実質的な温度安定性及び低い蒸気圧)とを集約する。
【0030】
本発明の組成物は、当業者の手の届く範囲内の単純な調製法によって調製され得る。
【0031】
したがって、該組成物は以下の一連の工程:
−該組成物の構成成分(即ち、イオン液体及びラクトン溶媒)の各々を計量する工程;
−前記成分を混合することにより、該組成物を形成する工程
によって調製され得る。
【0032】
イオン液体は、ピロリジンと硝酸との間の、ブレンステッド(Br
φnsted)機構による単純な酸−塩基反応により、予め調製され得る。
【0033】
上述の特性を考慮すれば、本発明の組成物は、イオン液体の存在の故に、それらを電解液として、特に、好ましくはスーパーキャパシタタイプの、エネルギー貯蔵装置において使用されるのに特に好適にする、電解質混合物を形成する。
【0034】
それ故本発明はまた、例えば、添付書類として添付された単一の図面の特定の実施態様によって例示された通りの、少なくとも1つのセル1を含んでなるスーパーキャパシタタイプのエネルギー貯蔵装置に関する。該セルは、セパレータ7によって互いに分離された正電極3と負電極5とを含んでなる。該セパレータは、電解液として、本発明によるイオン液体又は組成物を含んでなる。
【0035】
正電極及び負電極は、炭素、特に活性炭を主成分とし得る。この場合、このタイプの電極を含んでなるスーパーキャパシタは、対称型システムとして記載され得る。
【0036】
正電極及び負電極はまた、金属酸化物を主成分とし得る。
【0037】
本発明による組成物は、各電極−セパレータ界面において、電気化学二重層を形成する。
【0038】
本発明による組成物は、通常の電解液では壊れることになる非常に低い温度においても高い性能を有する(例えば、上述の50/50組成物については、25℃で112F・g
−1対−40℃で120F・g
−1)。
【0039】
それらは硫酸を主成分とする電解液よりも腐食性が低い。
【0040】
それらはまた、環境問題(特に溶媒が大気中に放出される際)及び安全性の問題(これらの溶媒にはしばしば引火性の危険がある)をもつ揮発性有機溶媒を用いた電解液に対し、代替物を形成する。
【0041】
本発明はここに、以下に例示としてかつ限定するものとしてではなく示された、実施例を参照して記載される。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【
図1】本発明によるスーパーキャパシタセルを示す図である。
【
図2】実施例2の組成物について、粘度η(mPa・sで)対温度T(℃で)の時間依存性変化を例示するグラフである。
【
図3】導電率C(mS・cm
−1で)対温度T(℃で)における時間依存性変化を例示するグラフである。
【
図4】炭素/炭素対称型スウェージロック(Swagelok)システムにおける実施例2の組成物の、5mV/sにおける、異なる温度(−40、20、及び50℃)に関するサイクリックボルタモグラム(−40、20、及び50℃に対しそれぞれ曲線a、b、及びc)である。
【
図5】炭素/炭素対称型スウェージロックシステムにおける実施例2の組成物の、異なる掃引速度(2mV/s、5mV/s、10mV/s、20mV/s、50mV/s、及び100mV/s、)に関するサイクリックボルタモグラム(それぞれ曲線a、b、c、d、e、及びf)である。
【
図6】炭素/炭素対称型スウェージロックシステムにおける実施例2の組成物の、5mV/sで−40℃における、0から2Vまでの電位範囲にわたるサイクリックボルタモグラムである。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0043】
本実施例は、本発明の組成物を調製するための主成分として使用される、ピロリジニウム硝酸塩タイプのイオン液体の調製を例示する。
本イオン液体の調製は、以下の反応スキームによって例示され得る。
【0044】
【化1】
【0045】
これを行うため、ピロリジン(26.78g;0.37mol)を、氷浴中に浸されかつコンデンサを載置された三つ口フラスコに投入する。温度を制御するために温度計を使用する。68%硝酸溶液(34.54g;0.37mol)を、滴下漏斗により三つ口フラスコに滴下添加し、この添加は激しい撹拌を維持しながら30分間行う。次に続く酸−塩基反応は、発熱反応である。上述の氷浴は、反応媒体の温度を25℃未満の値に維持できるようにする。添加が完了すれば、室温で2時間撹拌を維持した後、水と異相共沸混合物を形成できる1,2−ジクロロエタン233gを添加する。水を除去するため、混合物を上述の異相共沸混合物の沸点に達するまで(即ち、73℃)常圧下で蒸留する。残留する1,2−ジクロロエタンは最終的に減圧下に蒸発され、引き換えに高粘度の透明な液体が残る。この液体が、上述のイオン液体に相当し、液体窒素トラップの使用により、真空中で2日間乾燥される。
【0046】
該イオン液体は、25℃で45mS・cm
−1の、及び80℃で105mS・cm
−1の導電率を有する。それはまた、25℃で6mPa・sに近く、かつ80℃では1.5mPa・sに等しい粘度、即ち、水のそれに近い粘度を有する。
【実施例2】
【0047】
本実施例は、本発明による組成物、さらに具体的には、50質量%の実施例1において調製されたイオン液体と、50質量%のγ−ブチロラクトンとを含んでなる組成物の、物理化学的性質の研究に関する。
【0048】
それ故、前記組成物の粘度及び導電率の、温度に対する時間依存性変化が測定され、その結果は添付書類として添付された
図2及び3に移されている。
【0049】
粘度η(mPa・sで)対温度T(℃で)の時間依存性変化を例示している
図2から、温度が上昇するや否や該組成物の粘度が有意に低下することが明確に現れる。
【0050】
導電率C(mS・cm
−1で)対温度T(℃で)の時間依存性変化を例示している
図3から、本発明の組成物が−10から80℃までの温度範囲にわたり、10mS・cm
−1より大きい導電率値を有することが明らかになる。
【0051】
該組成物の熱安定性もまた、示差走査熱量測定により検査された。
−60℃から100℃までの温度範囲内では何ら転移が観察されないことが明らかになり、このことは、この温度範囲内でのこの組成物の安定性を立証している。
【0052】
電気化学的挙動もまた、市販の活性炭上で、サイクリックボルトアンペロメトリーにより、炭素/炭素対称型スウェージロックシステムにおける5mV/sでの異なる温度(−40、20、及び50℃)に関するサイクリックボルタモグラム(−40、20、及び50℃についてそれぞれ曲線a、b、及びc)からなる
図4によって立証される通り、異なる温度において、また炭素/炭素対称型スウェージロックシステムにおける20℃での異なる走査速度(2mV/s、5mV/s、10mV/s、20mV/s、50mV/s、及び100mV/s、)に関するサイクリックボルタモグラム(2mV/s、5mV/s、10mV/s、20mV/s、50mV/s、及び100mV/sについてそれぞれ曲線a、b、c、d、e、及びf)からなる
図5によって立証される通り、異なる走査速度において検査された。
【0053】
図4は、本発明の組成物が温度の変化によって乱されないことを明白に示している。−40℃では、この組成物は−20℃におけると同様の電気化学的挙動を有する。
図4及び5は、それ故、印加されたストレスに関わらず、本発明の組成物の強い容量特性を開示することに寄与している。
【0054】
本発明による組成物のサイクル特性の研究はまた、炭素/炭素対称型スウェージロックシステムにおける、5mV/sで−40℃における0から2Vまでの電位範囲にわたるサイクリックボルタモグラムからなる
図6によって立証される通り、特に−40℃での極端な温度において実施された。この動作電圧範囲にわたってサイクル特性を維持することは、この温度においては注目すべきものであり、他の水系及び有機系電解液で得られる結果よりも明らかに優れている。
【0055】
異なる動作電圧について定電流モードで測定された静電容量を、以下の表に示す。このように、動作温度の変化が本発明による組成物を乱さないことが明らかとなる。
【表1】