(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6309557
(24)【登録日】2018年3月23日
(45)【発行日】2018年4月11日
(54)【発明の名称】空間移動群の温度および速度の測定装置および測定方法
(51)【国際特許分類】
G01J 5/00 20060101AFI20180402BHJP
G01J 5/60 20060101ALI20180402BHJP
【FI】
G01J5/00 101D
G01J5/60 D
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2016-37670(P2016-37670)
(22)【出願日】2016年2月29日
(65)【公開番号】特開2017-156138(P2017-156138A)
(43)【公開日】2017年9月7日
【審査請求日】2016年11月7日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成27年9月27日に第17回レーザー応用プラズマ計測国際シンポジウムにて公開
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成27年11月12日発行の第102回(2015年秋季)全国公演大会講演論文集の第55頁にて公開
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成27年9月13日開催の応用物理学会秋季学術講演会にて公開
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成27年9月10日発行の電気・情報関係学会九州支部連合大会講演論文集CD−ROMの第26頁にて公開
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成27年12月11日にウェブサイト(http://dx.doi.org/10.1088/1748−0221/10/12/C12011)にて公開
(73)【特許権者】
【識別番号】504145342
【氏名又は名称】国立大学法人九州大学
(73)【特許権者】
【識別番号】516061791
【氏名又は名称】株式会社プラズワイヤー
(74)【代理人】
【識別番号】100099508
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 久
(74)【代理人】
【識別番号】100182567
【弁理士】
【氏名又は名称】遠坂 啓太
(74)【代理人】
【識別番号】100195327
【弁理士】
【氏名又は名称】森 博
(74)【代理人】
【識別番号】100197642
【弁理士】
【氏名又は名称】南瀬 透
(72)【発明者】
【氏名】川口 保幸
(72)【発明者】
【氏名】山▲崎▼ 正文
(72)【発明者】
【氏名】村岡 克紀
(72)【発明者】
【氏名】山形 幸彦
【審査官】
小澤 瞬
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許第05180921(US,A)
【文献】
特開2004−177312(JP,A)
【文献】
特開平01−237459(JP,A)
【文献】
特開2001−318004(JP,A)
【文献】
特開2014−240801(JP,A)
【文献】
特開2003−166880(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01J 5/00−5/62
G01P 1/00−11/02
21/00−21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空間移動群からの放射光を集光するレンズと、
前記レンズを透過した光を複数の光に分割する光路分割手段と、
前記光路分割手段により分割された複数の光(以下、「分割光」と称す。)からそれぞれ相互に異なる特定波長域の光を検出する複数の光検出手段であり、1つの光検出手段を除いて少なくとも1つの光検出手段が、前記分割光の前記レンズの光軸に対応する位置から前記空間移動群の移動方向に対応する方向に特定のオフセット量だけオフセットした位置に配置された複数の光検出手段と、
前記オフセットした位置に配置された光検出手段の前記オフセット量と前記複数の光検出手段により取得された波形どうしの時間遅れとから前記空間移動群の移動速度を算出する速度演算手段と、
前記複数の光検出手段によりそれぞれ取得された波形から前記空間移動群の温度を算出する温度演算手段と
を含む空間移動群の温度および速度の測定装置。
【請求項2】
前記光路分割手段と前記複数の光検出手段との間に、前記光路分割手段により分割された分割光から特定波長域の光を取り出す分光手段をそれぞれ有する請求項1記載の空間移動群の温度および速度の測定装置。
【請求項3】
前記複数の光検出手段のうち少なくとも1つの光検出手段は、オフセット量を任意に調整可能な移動機構を有するものである請求項1または2に記載の空間移動群の温度および速度の測定装置。
【請求項4】
空間移動群からの放射光をレンズにより集光すること、
前記レンズを透過した光を光路分割手段により複数の光に分割すること、
前記光路分割手段により分割された複数の光(以下、「分割光」と称す。)から複数の光検出手段によりそれぞれ相互に異なる特定波長域の光を検出するに際し、1つの光検出手段を除いて少なくとも1つの光検出手段が前記分割光の前記レンズの光軸に対応する位置から前記空間移動群の移動方向に対応する方向に特定のオフセット量だけオフセットした位置に配置された複数の光検出手段により検出すること、
前記オフセットした位置に配置された光検出手段の前記オフセット量と前記複数の光検出手段により取得された波形どうしの時間遅れとから前記空間移動群の移動速度を算出すること、
前記複数の光検出手段によりそれぞれ取得された波形から前記空間移動群の温度を算出すること
を含む空間移動群の温度および速度の測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶射飛翔粒子などの空間移動群の温度および速度を瞬時に測定可能な測定装置および測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
溶射技術分野において、溶射皮膜の品質を管理するため、溶射飛翔粒子の温度および速度の測定が行われている。従来、溶射飛翔粒子の速度を測定する装置として、Oseir社のSprayWatch(非特許文献1参照。)や、TECNAR社のAccuraSpray−G3C(非特許文献2参照。)等の光学測定器が用いられている。これらの光学測定器は、空間移動群からの放射光を移動方向に任意に固定された光検出センサーにより温度と速度を検出するものである。
【0003】
また、溶射飛翔粒子の温度を測定する装置として、例えば特許文献1に記載の放射温度測定装置が開発されている。この放射温度測定装置は、2波長のみ透過する光学フィルタを通して、2波長のみ市販の3CCDカメラにより取り込み、3CCDカメラで生成した2波長のスペクトル強度の画像を解析することによりプラズマ中に注入された粉末材料粒子の温度、速度、粒径を同時に測定するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−315159号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】“SprayWatch”,[online],Oseir Ltd.,[平成27年11月27日検索],インターネット<URL:http://www.oseir.com/>
【非特許文献2】“AccuraSpray−G3C”,[online],TECNAR,[平成27年11月27日検索],インターネット<URL:http://tecnar.com/index.php/accuraspray-g3c>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記非特許文献1,2等の装置では、センサー位置が固定されているため、移動しながら温度が変化するような溶射飛翔粒子などの空間移動群の温度測定では、正確な値を算出できないという問題がある。また、速度測定についても、数m/s〜数百m/sの広い範囲に対応することは難しく、測定範囲が限定されてしまうという問題がある。
【0007】
一方、特許文献1に記載の装置は市販の3CCDカメラを用いる測定法であるが、仮に温度は正確に検出できるとしても、速度については3CCDカメラで取得した画像から個々の粒子毎に移動距離を読み取る画像処理手法であるため、抽出する光の軌跡、いわゆる線の長さに大きくばらつきがある場合、複数の軌跡を解析する必要が生じるなど算出時間が長く必要となる。また、放射光の速度と言うには正確性にも欠けるという問題がある。
【0008】
そこで、本発明においては、溶射飛翔粒子などの空間移動群の雰囲気内状態内の温度および速度を瞬時に測定可能な光学測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の空間移動群の温度および速度の測定装置は、空間移動群からの放射光を集光するレンズと、レンズを透過した光を複数の光に分割する光路分割手段と、光路分割手段により分割された複数の光(以下、「分割光」と称す。)からそれぞれ相互に異なる特定波長域の光を検出する複数の光検出手段であり、
1つの光検出手段を除いて少なくとも1つの光検出手段が、分割光
のレンズの光軸
に対応する位置から
空間移動群の移動方向に対応する方向に特定のオフセット量だけオフセットした位置に配置された複数の光検出手段と、
オフセットした位置に配置された光検出手段のオフセット量と複数の光検出手段により取得された波形どうしの時間遅れとから空間移動群の移動速度を算出する速度演算手段と、複数の光検出手段によりそれぞれ取得された波形から空間移動群の温度を算出する温度演算手段とを含むものである。
【0010】
また、本発明の空間移動群の温度および速度の測定方法は、空間移動群からの放射光をレンズにより集光すること、レンズを透過した光を光路分割手段により複数の光に分割すること、光路分割手段により分割された複数の光(分割光)から複数の光検出手段によりそれぞれ相互に異なる特定波長域の光を検出するに際し、
1つの光検出手段を除いて少なくとも1つの光検出手段が分割光
のレンズの光軸
に対応する位置から
空間移動群の移動方向に対応する方向に特定のオフセット量だけオフセットした位置に配置された複数の光検出手段により検出すること、
オフセットした位置に配置された光検出手段のオフセット量と複数の光検出手段により取得された波形どうしの時間遅れとから空間移動群の移動速度を算出すること、複数の光検出手段によりそれぞれ取得された波形から空間移動群の温度を算出することを含むことを特徴とする。
【0011】
本発明の測定装置および測定方法では、空間移動群からの放射光を集光して複数の光に分割し、この分割光からそれぞれ相互に異なる特定波長域の光を複数の光検出手段により検出する際、
1つの光検出手段を除いて少なくとも1つの光検出手段が、分割光
のレンズの光軸
に対応する位置から
空間移動群の移動方向に対応する方向に特定のオフセット量だけオフセットした位置に配置された複数の光検出手段により検出することで、このオフセット量と複数の光検出手段により取得された波形どうしの時間遅れとから空間移動群の移動速度を算出するとともに、複数の光検出手段によりそれぞれの波形から空間移動群の温度を算出することが可能となり、温度および速度を瞬時に測定することが可能となる。
【0012】
ここで、光路分割手段と複数の光検出手段との間には、光路分割手段により分割された分割光から特定波長域の光を取り出す分光手段をそれぞれ有する構成とすることができる。これにより、複数の光検出手段によりそれぞれ特定波長域の光を検出するのに必要な波長域を予め切り出して、それぞれの光検出手段により特定波長域の光を検出することが可能となる。
【0013】
また、複数の光検出手段のうち少なくとも1つの光検出手段は、オフセット量を任意に調整可能な移動機構を有するものであることが望ましい。本発明の測定装置では、温度のみ測定する場合には複数の光検出手段により取得する波形は空間移動群の同一点から取得することが望ましいが、他方、速度を測定するためには複数の光検出手段により取得する波形は、それぞれの波形の相関が取れる範囲内で空間移動群のなるべく離れた点から取得することが望ましい。この相反する要求を満たすため、本発明の測定装置では、オフセット量を任意に調整可能な移動機構を有する構成とすることで、最適なオフセット量に調整して温度および速度を高精度に測定することが可能となる。
【発明の効果】
【0014】
(1)空間移動群からの放射光をレンズにより集光し、レンズを透過した光を光路分割手段により複数の光に分割し、光路分割手段により分割された複数の光から複数の光検出手段によりそれぞれ相互に異なる特定波長域の光を検出するに際し、
1つの光検出手段を除いて少なくとも1つの光検出手段が分割光
のレンズの光軸
に対応する位置から
空間移動群の移動方向に対応する方向に特定のオフセット量だけオフセットした位置に配置された複数の光検出手段により検出し、分割光の光軸からずれた位置に配置された光検出手段のオフセット量と複数の光検出手段により取得された波形どうしの時間遅れとから空間移動群の移動速度を算出し、複数の光検出手段によりそれぞれ取得された波形から空間移動群の温度を算出する構成により、溶射飛翔粒子などの空間移動群の雰囲気内状態内の温度および速度を瞬時に測定することが可能となる。
【0015】
(2)複数の光検出手段のうち少なくとも1つの光検出手段が、オフセット量を任意に調整可能な移動機構を有することにより、測定対象である空間移動群に応じて最適なオフセット量に調整して温度および速度を高精度に測定することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の実施の形態における空間移動群の温度および速度の測定装置の概略構成図である。
【
図2】
図1の2つのAPDによりそれぞれ取得される波形を示す説明図である。
【
図3】実際に溶射飛翔粒子群を測定したAPDの波形を示す図である。
【
図4】2つのAPDの強度比と温度の関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は本発明の実施の形態における空間移動群の温度および速度の測定装置の概略構成図、
図2は
図1の2つのAPDによりそれぞれ取得される波形を示す説明図である。
【0018】
図1に示すように、本発明の実施の形態における空間移動群Dの温度および速度の測定装置1は、溶射飛翔粒子などの空間移動群Dからの放射光を集光するレンズ2と、レンズ2を透過した光を透過光と反射光との2つの光に分割する光路分割手段としてのダイクロイックフィルタ(以下、「DCF」と称す。)3と、DCF3により分割された2つの光(分割光)からそれぞれ相互に異なる特定波長域の光を検出する2つの光検出手段としてのアバランシェフォトダイオード(以下、「APD」と称す。)4a,4bと、APD4a,4bによりそれぞれ取得された波形から空間移動群の速度および温度をそれぞれ算出する速度演算手段5および温度演算手段6とを有する。
【0019】
DCF3は、薄膜による光の干渉を利用して特定波長域の光を反射し、残りの波長域を透過する光フィルタである。すなわち、DCF3では、透過光と反射光とでそれぞれ相互に異なる特定波長域の光に分割することが可能であり、ハーフミラーのように必要とする波長域の光を大きく減じることがない。なお、本実施形態においては、DCF3とAPD4a,4bとの間に、DCF3により分割された分割光から特定波長域の光を取り出す分光手段としての干渉フィルタ(以下、「IF」と称す。)7a,7bを配置して、さらに必要な波長域の光のみを切り出すようにしている。
【0020】
なお、APD4a,4bのうち一方のAPD4aは、分割光の光軸Oから特定のオフセット量X
1だけオフセットした位置に配置されている。APD4aは、このオフセット量X
1を任意に調整可能な移動機構8を有している。APD4aの位置をオフセット量X
1だけオフセットした位置に配置することで、レンズ2によりAPD4a,4bにそれぞれ集光しようとする測定点D
1,D
2の間隔X
2を任意に設定することが可能である。このレンズ2が集光しようとする測定点D
1,D
2の間隔X
2はレンズ2の倍率による。例えば、測定しようとする空間移動群Dがレンズ2の左方A=200mmにあり、レンズ2の通過後、APD4aまでの距離がB=50mmにあるとすれば、倍率はB/A=1/4であり、測定点D
1,D
2の間隔X
2を16mmとする場合、オフセット量X
1は4mmとなる。
【0021】
速度演算手段5は、APD4aのオフセット量X1と
図2に示すようにAPD4a,4bにより取得された波形どうしの時間遅れΔτとから空間移動群Dの移動速度Vを算出する。具体的には、空間移動群の移動速度Vは測定点D
1,D
2の間隔X
2と時間遅れΔτの比で算出され、
空間移動群Dの移動速度V〔m/s〕=X
2/Δτ ・・・式(1)
である。
【0022】
図3は実際にオフセット量X
1を4mmとし、測定点D
1,D
2の間隔X
2を16mmとして95%アルミニウム−5%マグネシウムのプラズマ溶射飛翔粒子群を測定したAPD4a,4bの波形を示している。
図3の例では、空間移動群Dの移動速度V〔m/s〕は、V=X
2/Δτ=16〔mm〕/200〔μs〕=80〔m/s〕となる。
【0023】
温度演算手段6は、APD4a,4bによりそれぞれ取得された波形から空間移動群Dの温度(平均的粒子温度)Tを算出する。具体的には、平均的粒子温度TはAPD4aとAPD4bの積分比で算出され、
平均的粒子温度T〔K〕=S
1/S
2 ・・・式(2)
である。
【0024】
図4は
図3のAPD4a,4bの波形の強度比を横軸に、APD4a,4bで測定された温度を縦軸に示したものである。APD4a,4bは、一般的に2色温度計で用いられる下記プランクの式を基に標準光源を用いて校正された値を示す。
上記速度演算手段5および温度演算手段6は、コンピュータにより実現される。
【0025】
以上のように、本実施形態における測定装置1によれば、レンズ2により空間移動群Dからの放射光を集光してDCF3により複数の光に分割し、この分割光からそれぞれ相互に異なる特定波長域の光をAPD4a,4bにより検出する際、一方のAPD4aが、分割光の光軸Oから特定のオフセット量X1だけオフセットした位置に配置されているため、このオフセット量X1とAPD4a,4bにより取得された波形どうしの時間遅れとから空間移動群Dの移動速度を算出するとともに、APD4a,4bによりそれぞれの波形から空間移動群の温度を算出することが可能となり、温度および速度を瞬時に測定することが可能となる。
【0026】
また、このAPD4aは、オフセット量X1を任意に調整可能な移動機構8を有することにより、測定対象である空間移動群Dに応じて最適なオフセット量に調整して温度および速度を高精度に測定することが可能となっている。
【0027】
なお、本実施形態においては、DCF3によりレンズを透過した光を2つの光に分割しているが、3つ以上の複数の光に分割する構成とすることも可能である。この場合、光検出手段も3つ以上とし、少なくとも1つの光検出手段を分割光の光軸から特定のオフセット量だけオフセットした位置に配置する。これにより、3つ以上の複数の光の波形から温度および速度を測定することが可能となる。
【0028】
また、光路分割手段としてのDCF3に代えて、ダイクロイックミラー、ダイクロックプリズム、ハーフミラーやハーフプリズム等の一般的な光路分割素子を用いることも可能である。要するに、レンズ2を透過した光を複数の光に分割するものであれば良い。また、光ファイバーを用いて光路を分割するものでも良い。
【0029】
また、光検出手段としてのAPD4a,4bに代えて、フォトダイオード、フォトレジスタ、光依存性抵抗、CCDイメージセンサ、CMOSイメージセンサ、光電管や光電子倍増管等の一般的な光検出器を用いることも可能である。要するに、光の強度を、線形性を有したまま数値化できるものであれば良い。また、利用する波長域は赤外線域でも良いため、焦電検出器、ゴーレイセル、ボロメータ、サーミスタや熱電対などの検出器を用いることも可能である。
【0030】
なお、光路分割手段としてDCF3やダイクロイックミラーを用いる場合、光路は特定波長域に分割されているため、光検出手段は同一特性のものを使用することも可能である。また、DCF3やダイクロイックミラーのように光路分割手段によりそれぞれ必要な波長域の光に分割できる場合には、光路分割手段が分光手段を兼ねるため、IF7a,7bを省略することも可能である。あるいは、分光手段を兼ねた光検出手段、すなわち、特定波長域の光を検出可能な光検出器を用いることも可能である。例えば、分光感度の異なる複数のフォトダイオードを使用したり、フォトダイオードと焦電検出器とを組み合わせたりすることも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明の空間移動群の温度および速度の測定装置および測定方法は、溶射飛翔粒子の他、爆発現象や内燃機関のピストン内の燃焼ガス解析などのような移動しながら発光する物体などの空間移動群の測定に有用である。
【符号の説明】
【0032】
1 測定装置
2 レンズ
3 ダイクロイックフィルタ(DCF)
4a,4b アバランシェフォトダイオード(APD)
5 速度演算手段
6 温度演算手段
7a,7b 干渉フィルタ(IF)
8 移動機構