(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6309558
(24)【登録日】2018年3月23日
(45)【発行日】2018年4月11日
(54)【発明の名称】配向勾配のブロックベースヒストグラムを使用してオブジェクトを検出する方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
G06T 7/00 20170101AFI20180402BHJP
【FI】
G06T7/00 300G
【請求項の数】20
【外国語出願】
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-53678(P2016-53678)
(22)【出願日】2016年3月17日
(65)【公開番号】特開2017-111784(P2017-111784A)
(43)【公開日】2017年6月22日
【審査請求日】2016年9月2日
(31)【優先権主張番号】4688/MUM/2015
(32)【優先日】2015年12月14日
(33)【優先権主張国】IN
(73)【特許権者】
【識別番号】510337621
【氏名又は名称】タタ コンサルタンシー サービシズ リミテッド
【氏名又は名称原語表記】TATA Consultancy Services Limited
(74)【代理人】
【識別番号】100130111
【弁理士】
【氏名又は名称】新保 斉
(72)【発明者】
【氏名】プラタープ、プルゴル レディ
(72)【発明者】
【氏名】ナニクマール、カンチャーラ
(72)【発明者】
【氏名】ニランジャナ、アルムガム
(72)【発明者】
【氏名】ラーフル、クマール シング
(72)【発明者】
【氏名】カーティカ、クマラン
【審査官】
村松 貴士
(56)【参考文献】
【文献】
特開2015−191568(JP,A)
【文献】
山崎俊彦,画像の特徴抽出:Histogram of Oriented Gradients (HoG),映像情報メディア学会誌,(社)映像情報メディア学会,2010年 3月 1日,第64巻,第3号,p.322−329
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 7/00 − 7/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
配向勾配のブロックベースヒストグラムを使用してオブジェクトを検出する方法であって、
少なくとも1つの目的オブジェクトタイプの1つ以上のオブジェクトを含む映像列の少なくとも1つのフレームを表す少なくとも1つの画像をハードウェアプロセッサにより受信する工程と;
各々が前記フレーム内の少なくとも1つの関心領域を含む1つ以上のブロックを、前記ハードウェアプロセッサにより前記フレームから抽出する工程と;
前記1つ以上のブロック内の少なくとも1つの関心領域内で各画素の強度及び角度値を計算する工程と;
第1メモリ装置内に、前記1つ以上のブロックに対応する前記強度及び前記角度値を記憶する工程と;
前記1つ以上のブロックに対応する前記強度及び前記角度値を対応する配列に変換し、1つ以上の配列を得る工程と;
前記1つ以上の配列を規格化し、1式の規格化配列を得て、前記1式の規格化配列を第2メモリ装置に移植し、集合配列を得る工程と;
(i)前記第2メモリ装置から得た前記集合配列の各数値と(ii)前記第2メモリ装置から得た特定の特徴ベクトルとを前記第1メモリ装置内で比較する工程と;
前記比較に基づいてオブジェクトを検出する工程とを含む
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記第1メモリ装置は内部メモリである
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記強度は前記第1メモリ装置の第1バッファに記憶し、前記角度値は前記第1メモリ装置の第2バッファに記憶する
請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記1つ以上の配列を規格化し、ブロックベース手法による勾配法のヒストグラムを使用して前記1式の規格化配列を得る
請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記第2メモリ装置は外部メモリである
請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記1つ以上のブロックの配向は垂直である
請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記集合配列及び前記特定の特徴ベクトルの各数値又は数値ブロックはダイレクトメモリアクセス(DMA)によって前記第1メモリ装置に移植する
請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記比較に基づいて前記オブジェクトを検出する工程には、前記比較に基づいて差を推定する工程;及び前記差が所定の閾値を上回るときに前記オブジェクトを検出する工程が含まれる
請求項1に記載の方法。
【請求項9】
デジタル画像内オブジェクトを検出するための情報処理システムであって、
第1メモリ装置と;
第2メモリ装置と;
前記第1メモリ装置及び前記第2メモリ装置に通信可能に接続されたハードウェアプロセッサであって、命令により;
少なくとも1つの目的オブジェクトタイプの1つ以上のオブジェクトを含む映像列の少なくとも1つのフレームを表す少なくとも1つの画像をハードウェアプロセッサにより受信し;
各々が前記フレーム内の少なくとも1つの関心領域に対応している1つ以上のブロックを、前記ハードウェアプロセッサにより前記フレームから抽出し;
前記少なくとも1つの関心領域内で各画素の強度及び角度値を計算し;
第1メモリ装置内に前記強度及び前記角度値を記憶し;
前記強度及び前記角度値を配列に変換し;
前記1つ以上の配列を規格化し、1式の規格化配列を得て、前記1式の規格化配列を第2メモリ装置に移植し、集合配列を得て;
(i)前記第2メモリ装置から得た前記集合配列の各数値と(ii)前記第2メモリ装置から得た特定の特徴ベクトルとを前記第1メモリ装置内で比較し;
前記比較に基づいてオブジェクトを検出するよう構成されたハードウェアプロセッサとを備える
ことを特徴とするシステム。
【請求項10】
前記第1メモリ装置は内部メモリである
請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記強度は前記第1メモリ装置の第1バッファに記憶し、前記角度値は前記第1メモリ装置の第2バッファに記憶する
請求項9に記載のシステム。
【請求項12】
前記配列を規格化し、ブロックベース手法による勾配法のヒストグラムを使用して規格化配列を得る
請求項9に記載のシステム。
【請求項13】
前記第2メモリ装置は外部メモリである
請求項9に記載のシステム。
【請求項14】
前記集合配列及び前記特定の特徴ベクトルの各数値又は数値ブロックはダイレクトメモリアクセス(DMA)によって前記第1メモリ装置に移植する
請求項9に記載のシステム。
【請求項15】
前記1つ以上のブロックの配向は垂直である
請求項9に記載のシステム。
【請求項16】
前記ハードウェアプロセッサは、前記比較に基づいて差を推定し、前記差が所定の閾値を上回るときに前記オブジェクトを検出するよう構成されている
請求項9に記載のシステム。
【請求項17】
下記プログラムが格納され、持続的機械読込み可能な情報記憶媒体であって、そのプログラムが1つ以上のハードウェアプロセッサにより実行されたときに:
少なくとも1つの目的オブジェクトタイプの1つ以上のオブジェクトを含む映像列の少なくとも1つのフレームを表す少なくとも1つの画像をハードウェアプロセッサにより受信し;
各々が前記フレーム内の少なくとも1つの関心領域を含む1つ以上のブロックを、前記ハードウェアプロセッサにより前記フレームから抽出し;
前記1つ以上のブロック内の前記少なくとも1つの関心領域内で各画素の強度及び角度値を計算し;
第1メモリ装置内に、前記1つ以上のブロックに対応する前記強度及び前記角度値を記憶し;
前記1つ以上のブロックに対応する前記強度及び前記角度値を1つ以上の配列に対応する配列に変換し;
前記1つ以上の配列を規格化し、1式の規格化配列を得て、前記1式の規格化配列を第2メモリ装置に移植し、集合配列を得て;
(i)前記第2メモリ装置から得た前記集合配列の各数値と(ii)前記第2メモリ装置から得た特定の特徴ベクトルとを前記第1メモリ装置内で比較し;
前記比較に基づいてオブジェクトを検出することを誘起する、プログラムの格納された
ことを特徴とする情報記憶媒体。
【請求項18】
前記第1メモリ装置は内部メモリである
請求項17に記載の情報記憶媒体。
【請求項19】
前記強度は前記第1メモリ装置の第1バッファに記憶し、前記角度値は前記第1メモリ装置の第2バッファに記憶する
請求項17に記載の情報記憶媒体。
【請求項20】
前記1つ以上の配列を規格化し、ブロックベース手法による勾配法のヒストグラムを使用して前記1式の規格化配列を得る
請求項17に記載の情報記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照及び優先権:
本出願は2015年12月14日付けの特許文献1の優先権を請求するものであり、その全体は参照により本明細書に援用される。
【0002】
本明細書の実施形態は概して、勾配のブロックベースヒストグラムを使用してメディアファイル内のオブジェクトを検出する画像処理システム及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
オブジェクト検出システムは自動ナビゲーションの分野で多数の用途があるため近年注目が高まっている。従来のオブジェクト検出システム及び方法には比較的大量の計算資源が必要であることは一般的な見解である。計算資源の利用が比較的大量であることに加えて、従来のオブジェクト検出システムの検出速度は遅い傾向にある。本技術分野ではオブジェクト検出速度は最も重要な事項である。ほとんどの状況で、車両の運転者は瞬時に決断しなければならない。このような状況においては、システムが少ない計算資源を利用してほぼ瞬時に特定のオブジェクトを検出し、通知することが長年必要とされてきた。センサにより画像を取得し、上記画像での関心領域において検出するオブジェクトは多数の方法を経て決定する。これらのシステムは車両用電子機器に容易に接続することが可能である。
【0004】
交通標識検出は先進運転者支援システム(ADAS)に不可欠である。ADASに関し、特定の実施形態において、交通標識は交通規則以外に道路条件及び状態を示す。交通標識が設置された道路上を通行するとき、運転者及び歩行者は同様にこれらの警告メカニズムを利用できる。交通標識、車両、動物等の存在をより迅速に検出すれば、軌道修正のための時間をより多く取ることが可能となる。
【0005】
配向勾配のヒストグラム(HOG)はオブジェクトを検出するための画像処理で使用される特徴記述子である。これはオブジェクト、具体的には車両を画像/映像列で検出する際に利用される一般的な技術である。従来のシステムはソフトウェア内に配向勾配法のヒストグラムをインプリメントするものであり、操作が低速度であることが特徴的である。いくつかの実施形態では、車両を検出する際のリアルタイムな性能を達成するため、従来のオブジェクト検出システムはフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)上で操作する。しかし、FPGA上でのこの従来のインプリメンテーションはシステムの柔軟性を失わせ、車両用電子機器との統合に適していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】インド特許出願第4688/MUM‐2015号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の基本的な理解を提供するため、本開示のいくつかの実施形態の簡単な概要を以下に示す。本概要は本発明の広範囲な概観ではない。本概要は本発明の主要/重要な要素を特定し、あるいは本発明の範囲を規定することを意図するものではない。その唯一の目的は、以下に提示された詳細な説明の前置きとして簡略化した形で本発明のいくつかの実施形態を提示することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本明細書のブロック図は本対象の原理を組み入れた例示的システムの概念図を表すものであることは当業者に当然理解されている。同様に、全てのフローチャート、フロー図、状態遷移図、擬似コード等には、コンピュータ読込み可能媒体内で実質的に表されて計算装置又はプロセッサに実行され得る多様なプロセスが表され、ここではこのような計算装置又はプロセッサが明確に示されていてもそうでなくてもそのように考えられることも理解されているものとする。
【0009】
1態様では、プロセッサインプリメント方法を提供する。プロセッサインプリメント方法には、少なくとも1つの目的オブジェクトタイプの1つ以上のオブジェクトを含む映像列の少なくとも1つのフレームを表す少なくとも1つの画像をハードウェアプロセッサにより受信する工程;各々がフレーム内の少なくとも1つの関心領域を含む1つ以上のブロックを、ハードウェアプロセッサによりフレームから抽出する工程;1つ以上のブロック内の少なくとも1つの関心領域内で各画素の強度及び角度値を計算する工程;第1メモリ装置内に強度及び角度値を記憶する工程;強度及び角度値を配列に変換する工程;1つ以上の配列を規格化し、1式の規格化配列を得て、1式の規格化配列を第2メモリ装置に移植し、集合配列を得る工程;(i)第2メモリ装置内の集合配列中の各数値と(ii)第2メモリ装置から得た特定の特徴ベクトルとを第1メモリ装置内で比較する工程;ならびに、その比較に基づいてオブジェクトを検出する工程が含まれる。目的のオブジェクトタイプは、交通標識、車両、歩行者、動物など多様な形態の中の1つであるが、これらに限定されるものではない。第1メモリ装置は内部メモリである。強度は第1メモリ装置の第1バッファに記憶し、角度は第1メモリ装置の第2バッファに記憶する。ブロックベースの手法で、勾配法のヒストグラムを利用して配列を規格化し、規格化配列を得る。第2のメモリ装置は外部メモリである。1つ以上のブロックの配向は垂直である。1態様では、集合配列及び特定の特徴ベクトルのブロックはダイレクトメモリアクセス(DMA)によって第1メモリ装置に移植する。比較に基づいたオブジェクトを検出する工程には、比較に基づいて差を推定する工程;及び差が所定の閾値より大きい場合にオブジェクトを検出する工程が含まれる。
【0010】
別の態様では、第1メモリ装置;第2メモリ装置;ハードウェアプロセッサによって少なくとも1種の目的のオブジェクトタイプの1つ以上のオブジェクトを含む映像列の少なくとも1つのフレームを表す少なくとも1つの画像を命令により受信するよう構成され、第1メモリ装置及び第2メモリ装置に通信可能に接続されたハードウェアプロセッサ;を備えるデジタル画像内オブジェクトを検出するための情報処理システムはフレームから1つ以上のブロックを抽出し、ここでは、1つ以上のブロックの各々は、ハードウェアプロセッサによりフレーム内の少なくとも1つの関心領域に対応し;少なくとも1つの関心領域内の全画素の強度及び角度値を計算し;第1メモリ装置内の強度及び角度値を記憶し;その強度及び角度値を配列に変換し;1式の規格化配列を得るために1つ以上の配列を規格化し、第2メモリ装置内に1式の規格化配列を移植し、第2メモリ装置内に集合配列を得て;(i)第2メモリ装置内の集合配列中の各数値と(ii)第2メモリ装置から得た特定の特徴ベクトルとを第1メモリ装置内で比較し;その比較に基づいてオブジェクトを検出する。1例のインプリメンテーションでは、比較及び得られたオブジェクトの検出のため、ダイレクトメモリアクセス(DMA)により、特定の特徴ベクトルに付随した数値の集合配列から各数値又は複数の数値のブロックを内部メモリに移動させる。
【0011】
本明細書の実施形態は、図面を参照することで以下の詳細な説明から理解がより深まる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本開示の実施形態に従った配向勾配法のブロックベースヒストグラムを使用してオブジェクトを検出するシステムのブロック図
【
図2】本開示の実施形態に従った配向勾配法のブロックベースヒストグラムを使用してオブジェクトを検出する方法を説明するフロー図
【
図3】本開示の実施形態に従ったフレーム内の関心領域におけるブロック表示の1例の説明図
【発明を実施するための形態】
【0013】
添付図面において図示され、以下の説明において詳述されている非限定的な実施形態を参照して、本明細書の実施形態ならびにその多様な特徴及び有益な詳細を更に詳しく説明する。本明細書で使用される例は単に、本明細書中の実施形態が実行され得る方法の理解を促し、更に当業者が本明細書中の実施形態を実施できるように意図されたものである。従って本例は本明細書の実施形態の範囲を限定するものではない。
【0014】
記述では、本実施形態を作成して使用することが当業者なら誰でも可能になるように本明細書の対象が説明されている。対象の実施形態の範囲は特許請求の範囲に定義され、これには当業者が思い付く他の改変も含まれ得る。このような他の改変は、それらが特許請求の範囲の文言と差異のない同様の要素を有する場合、又は特許請求の範囲の文言とわずかしか異ならない同等の要素を有する場合に、特許請求の範囲内に包含されることを意図している。
【0015】
図面全体を通じて一貫して類似の参照用語が対応の特徴を意味する図面、特に
図1〜3を参照すると、好ましい実施形態が示されており、これらの実施形態は以下の例示的なシステム及び/又は方法の文脈で説明している。
【0016】
上記説明は多様な実施形態を参照して述べている。本出願が関係する技術分野及び技法における通常の技術を有する者は、説明した構成及び操作方法の修正及び変更が原理、精神及び範囲から大きく逸脱することなく行われる。
【0017】
図1は、本開示の実施形態に従った配向勾配法のブロックベースのヒストグラムを用いてオブジェクトを検出する情報処理システム100の概略図を図示している。システム100は撮像した画像又はオブジェクト列102、及び撮像した画像/オブジェクト列内のフレーム102aを備える。フレーム102aは更に複数のブロックに分割する。このようなブロック102bを1つ記述する。ブロック102bは関心領域を表し、限定するものではないが車両、交通信号又は人間のエンティティのうちの少なくとも1つを含む目的のオブジェクトが検出対象である。
【0018】
ブロック102bの関心領域内の各画素の強度及び角度値を計算し、個々の配列、例えば内部メモリ104内の強度配列104a及び角度配列104bに記憶する。強度及び角度値は、規格化配列104cに変換し、内部メモリ104に記憶する。全画素に対してこのように得られた規格化配列を集合させる。1式の規格化配列を第2メモリ装置に移植する。1式の規格化配列によりこのように得られた集合配列106bを、外部メモリ106である第2メモリ装置内に記憶する。
【0019】
外部メモリ106は集合配列106b及び特定の特徴ベクトル106aを記憶するレポジトリとして機能する。概して特徴ベクトルは、全体的なエンティティを考慮に入れて特徴づける複数の要素を含んでいる。1実施形態に従って、そのエンティティは画像内の画素又はオブジェクト全体を表すことが可能である。別の実施形態では、特徴には色成分、長さ、面積、真円度、勾配度、勾配方向、又は単純なグレースケール強度のうちの1つ以上が挙げられる。1実施形態では、v=[R;G;B]は画素又は画像オブジェクトの色成分を含む特徴ベクトルを説明するものである。
【0020】
特定の実施形態では、特定の特徴ベクトルに関するトレーニングデータセットはサポートベクターマシン(SVM)を使用してオフラインで作成する。サポートベクターマシンとは、データを分析し、パターンを認識する学習技法(単数又は複数)に関連する教師あり学習モデルを指す。
【0021】
図1を参照して説明すると、
図2は、本明細書に開示される実施形態に従って、
図1のシステム100によりインプリメントされた配向勾配のブロックベースヒストグラムを使用してオブジェクトを検出する方法を図示するフロー図である。工程202では、画像又は映像列を画像取得装置により取得する。あるいは、画像又は映像配列をデータソースから(例えば、外部記憶装置から)取得してもよい。1例のインプリメンテーションでは、解像度(640×480)画素の映像を取得する。このようにして取得した映像列の各フレームは、計算を最適化するため複数のブロックに分割する。工程204では、1つ以上のブロックをフレームから抽出する。1実施形態では、(16×16)画素のブロックを抽出する。このように抽出した1つ以上のブロックは、少なくとも1つの目的のオブジェクトが検出される少なくとも1つの関心領域を含む。工程206では、1つのブロック内の各画素の強度及び角度値を計算する。工程208では、工程206で計算した1つのブロック内の各画素の強度及び角度値を内部メモリ104に記憶する。1例のインプリメンテーションでは、勾配及び角度値はそれぞれ短文字型(short char)及び符号無し文字型(unsigned char)タイプの勾配バッファ及び角度バッファに記憶する。勾配及び角度バッファは内部メモリ104にある。従来の方法では、画像全体の勾配及び角度の計算は1回のみであるのに対して、本開示の実施形態は画像の垂直方向で全ブロックに対して計算を行う1つの技法を提案している。ブロックの配向が垂直であるため、内部メモリ104内の勾配及び配向値を記憶するバッファサイズは従来の方法と比較して小さい。工程210では、強度及び角度値は単一の配列に変換する。工程212では、単一の配列を規格化する。規格化した配列は外部メモリ装置106に移植する。1例のインプリメンテーションでは、外部メモリ装置106はダブルデータレート(DDR)メモリである。工程214では、集合配列の各数値又は数値ブロックを特定の特徴ベクトルと比較する。1例のインプリメンテーションでは、集合配列及び特定の特徴ベクトルの各数値又は数値ブロックをダイレクトメモリアクセス(DMA)により外部メモリから内部メモリに移植する。工程216では、集合配列と特定の特徴ベクトルとの各数値又は数値ブロックの比較に基づいてオブジェクトを検出する。1実施形態では、集合配列と特定の特徴ベクトルとの各数値又は数値ブロック間の差が閾値を上回れば、オブジェクトが検出されることが推測される。同様に、別の状況では、集合配列と特定の特徴ベクトルとの各数値又は数値ブロック間の差が閾値を下回れば、オブジェクトが検出されていないことが推測される。
【0022】
更に別のインプリメンテーションでは、規格化ベクトルは特定の特徴ベクトルと乗じ、出力を総計する。集合配列の各数値又は数値ブロックを特定の閾値と比較する。差が閾値を上回ればオブジェクトが検出されることが推測される。差が閾値を下回れば、オブジェクトが検出されていないことが推測される。
【0023】
図3は本開示の実施形態に従って、フレーム内の(300×210)画素の関心領域におけるブロック表示の図解例を表している。1実施形態に従って、メディアファイルが検討される。(640×480)が測定されたフレームをメディアファイルから抽出する。1つの例示的な実施形態では、(300×210)画素が測定されたフレームの一部を関心領域(ROI)302と指定する。配向勾配手法のブロックベースヒストグラムを考慮に入れて(16×16)画素のサイズのブロック304を区画する。この場合のROI302の幅は300であり、実施形態の1例では重複した画素は合計で8画素である。更に、水平方向のブロック数は、(i)関心領域幅と代表ブロック幅の差と、(ii)オブジェクト検出を考慮した連続ブロックの重複した画素数との比率に1を加算することで計算する。更に、垂直方向のブロック数は、(i)関心領域高さと代表ブロック高さの差と、(ii)オブジェクト検出を考慮した連続ブロックの重複した画素数との比率に1を加算することで計算する。
水平方向又は垂直方向のブロック数は本明細書に示された式により求められる
水平方向ブロック数=(ROI幅−代表ブロック幅/重複画素)+1
垂直方向ブロック数=(ROI高さ−代表ブロック高さ/重複画素)+1
関心領域幅が300画素である1状況では、ブロック幅は16画素であり、8画素重複していることを考えると、水平ブロック数は36である。同様に、関心領域高さが210画素である1状況では、ブロック高さは16画素であり、8画素重複していることを考えると、垂直ブロック数は36である。
(300−16)/8+1=36ブロック
(210−16)/8+1=25ブロック
【0024】
ヒストグラム規格化のプロセスにおいてフレームを複数のブロックに分割する上記の技術的な方法により、処理及びオブジェクト検出の速度が高まる。更に、この構成におけるブロックの配向は垂直である。垂直ブロックのみを考えているため、勾配及び角度値を記憶するためのバッファサイズは従来の手法と比較すると最小である。最小のバッファサイズは勾配及び角度値を内部メモリに記憶するのに好適である。更に、計算に必要なサイクル数も削減され、それにより操作速度が高まる。計算資源の利用を削減することでコンピュータシステム内のハードウェア資源が最適化されるため、結果として処理速度が高まる。
【0025】
しかし、保護の範囲はこのようなプログラムまで、更にそこにメッセージを持つコンピュータ読込み可能な手段にまで拡大されることが認識されており;プログラムがサーバ、携帯機器又は好適なプログラム可能機器上で動作する場合、このようなコンピュータ読込み可能な記憶手段には、本方法における1つ以上の工程のインプリメンテーションのためのプログラムコード手段が含まれる。ハードウェア装置はプログラム可能な装置であればどのような種類でもよく、これには例えばサーバ、パーソナルコンピュータ等、又はそれらの任意の組み合わせなど、あらゆる種類のコンピュータが挙げられる。また当該装置には、例えば特定用途向け集積回路(ASIC)、又は少なくとも1つのマイクロプロセッサ、及びソフトウェアモジュールが設置された少なくとも1つのメモリなどのハードウェア手段にもなり得る手段が挙げられる。従って当該手段にはハードウェア手段及びソフトウェア手段の両方が含まれ得る。本明細書に記載した方法の実施形態はハードウェアにもソフトウェアにもインプリメントできる。当該装置にはソフトウェア手段も挙げられる。あるいは当該実施形態は、例えば複数のCPUを使用して、異なるハードウェア装置にインプリメントしてもよい。
【0026】
本明細書の実施形態にはハードウェア及びソフトウェア要素が含まれ得る。ソフトウェアにインプリメントした実施形態にはファームウェア、常駐ソフトウェア、マイクロコード等が含まれるがこれらに限定されるものではない。本明細書に記載の様々なモジュールによって実行される機能は他のモジュール又は他のモジュールの組み合わせでインプリメントしてもよい。この説明の便宜上、コンピュータ使用可能又はコンピュータ読込み可能媒体は、命令実行システム、機器又は装置を用いて、又はそれらと組み合わせて使用するためのプログラムを備え、記憶し、通信し、伝送し、又は輸送することが可能な機器であればどのようなものでもよい。
【0027】
当該媒体は、電子、磁気、光学、電磁、赤外線もしくは半導体システム(又は機器もしくは装置)、又は伝送媒体とすることが可能である。コンピュータ読込み可能媒体の例としては、半導体もしくは固体メモリ、磁気テープ、リムーバブルフロッピーディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読込み専用メモリ(ROM)、硬質磁器ディスク、及び光ディスクが挙げられる。現在、光ディスクの例としては、コンパクトディスク読込み専用メモリ(CD‐ROM)、読込み/書込みコンパクトディスク(CD‐R/W)及びDVDが挙げられる。
【0028】
プログラムコードを記憶及び/又は実行するのに適したデータ処理システムは、メモリ要素に直接、又はシステムバスを介して間接的に接続した少なくとも1つのプロセッサを備えると考えられている。メモリ要素には、プログラムコードの実際の実行中に使用するローカルメモリ、大容量記憶装置、及び回数削減のために少なくとも数個のプログラムコードの一時的な記憶領域を提供するキャッシュメモリが挙げられ、上記コードは実行中にコードを大容量記憶装置から回収する必要がある。
【0029】
入力/出力(I/O)装置(キーボード、ディスプレイ、位置指示装置等が挙げられるがこれらに限定されるものではない)は直接、又はI/Oコントローラを介してシステムに接続することが可能である。ネットワークアダプタはシステムに接続し、データ処理システムが個人又は公共ネットワークを仲介して他のデータ処理システム、遠隔プリンタ又は記憶装置に接続できるようにしてもよい。モデム、ケーブルモデム及びイーサネットカードは現在利用可能なタイプのネットワークアダプタの一部に過ぎない。
【0030】
実施形態を実施するための代表的なハードウェア環境には、本明細書の実施形態に従った情報処理/コンピュータシステムのハードウェア構成が挙げられる。本明細書のシステムは少なくとも1つのプロセッサ又は中央処理ユニット(CPU)を備える。CPUはランダムアクセスメモリ(RAM)、読込み専用メモリ(ROM)、及び入力/出力(I/O)アダプタなどの様々な装置にシステムバスを介して相互接続する。I/Oアダプタは、ディスクユニット、テープ駆動装置、又はシステムで読込み可能な他のプログラム記憶装置などの周辺機器に接続可能である。システムはプログラム記憶装置上の本発明の命令を読み込み、本明細書の実施形態の方法を実行するためにこれらの命令に従うことが可能である。
【0031】
システムには更に、キーボード、マウス、スピーカ、マイク、及び/又はタッチスクリーン装置(図示せず)などの他のユーザインターフェース装置をバスに接続してユーザの入力情報を収集するユーザインターフェースアダプタが備えられる。また、通信アダプタはデータ処理ネットワークにバスを接続し、ディスプレイアダプタは、例えばモニタ、プリンタ又は送信機などの出力デバイスとして組み入れることが可能なディスプレイ装置にバスを接続する。
【0032】
上記説明は多様な実施形態を参照して述べている。本出願が関係する技術分野及び技法における通常の技術を有する者は、説明した構成及び操作方法の修正及び変更が原理、精神及び範囲から大きく逸脱することなく行われる。
【符号の説明】
【0033】
100 情報処理システム
102 撮像した画像/オブジェクト列
102a フレーム
102b ブロック
104 内部メモリ
104a 強度配列
104b 角度配列
104c 規格化配列
106 外部メモリ
106a 特徴ベクトル
106b 集合配列
302 関心領域
304 ブロック