(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、カチオン性ポリマーおよびアニオン性ポリマーを含有する組成物は、長期的な外観や粘度の安定性が悪いという問題があったために、それほど検討が進んでいなかった。また、上記特許文献に記載の処方では、セット力とツヤ感は得られるものの、手および髪でのベタつき感が残るという問題がある。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、セット力やツヤ感を損なうことなく、手や髪での瑞々しさ(ベタつきのなさ)、および髪へのなじみやすさに優れるジェル状毛髪用組成物を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
発明者らの鋭意検討の結果、カチオン性ポリマーとアニオン性ポリマーを含有するジェル状毛髪用組成物において、カチオン性ポリマーおよびアニオン性ポリマーの含有比を特定の範囲にすることによって、手で剤がくずれる感触が得られ、これに伴ってベタつき感のないジェル状毛髪用組成物が得られることを見出し、本発明に至った。すなわち、本発明は、
(A)アニオン性ポリマー、
(B)カチオン性ポリマー、および
(C)水、
を含有するジェル状毛髪用組成物であって、
(A)アニオン性ポリマーの含有量が、ジェル状毛髪用組成物100質量%に対して、0.2質量%以上1.0質量%未満であり、
(A)アニオン性ポリマーに対する(B)カチオン性ポリマーの比が0.17以上1.80以下であり、
ジェル状毛髪用組成物の粘度が、(A)アニオン性ポリマーのみを(C)水に溶解又は分散させ、中和した状態の粘度の1.0倍より大きく8.0倍以下であり、
25℃におけるpHが、5.50以上8.20以下である。
【0006】
(A)アニオン性ポリマーは、アクリル酸・メタクリル酸アルキルエステル共重合体であることが好ましい。
【0007】
(B)カチオン性ポリマーのカチオン化窒素含有量は、0.9〜2.5%であることが好ましい。
【0008】
ジェル状毛髪用組成物の粘度は、12000mPa・s以上170000mPa・s以下であることが好ましい。
【0009】
(A)アニオン性ポリマーの含有量は、0.3質量%以上0.8質量%以下であることが好ましい。
なお、カチオン性ポリマー、アニオン性ポリマーおよびジェル状毛髪用組成物の粘度は、ビスメトロン粘度計(BH型 芝浦システム社製)により、6番のスピンドルを用い、回転数10rpmの条件で、30℃における粘度(mPa・s)を測定した値とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明のジェル状毛髪用組成物は、セット力やツヤ感を損なうことなく、手での剤のくずれやすさ、手での瑞々しさ、および髪へのなじみやすさに優れる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明のジェル状毛髪用組成物について詳細に説明する。
【0012】
(A):アニオン性ポリマー
アニオン性ポリマーは、化粧料原料として使用することができるものであれば特に限定されないが、増粘効果を有するものが好ましく、例えば、カルボキシビニルポリマーが好ましい。カルボキシビニルポリマーとして、アクリル酸・メタクリル酸アルキルエステル共重合体が好ましい。アクリル酸・メタクリル酸アルキルエステル共重合体とは、カルボキシル基に由来する親水性部分と、アルキル基に由来する親油性部分とを併せ持つ共重合体である。アクリル酸・メタクリル酸アルキルエステル共重合体は、ジェル状毛髪用組成物の毛髪への付着性や耐塩性を良好にすることができる。
【0013】
カルボキシビニルポリマーの具体例として、例えば、CARBOPOL940、941、980、981(以上、Lubrizol Advanced Materials社製)等のカルボキシビニルポリマー;PEMULEN TR−1、TR−2、Carbopol ETD2020 polymer、1342 polymer、1382 polymer、Ultrez 20 polymer、 Ultrez 21 polymer(以上、Lubrizol Advanced Materials社製)等のアクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体;ACULYN 22、23(以上、ISP社製)等のアクリル酸アルキル・メタクリル酸アルキルポリオキシエチレンエステル共重合体;STRUCTUREシリーズ(以上、NSC社製)等のアクリル酸アルキル・イタコン酸アルキルポリオキシエチレンエステル共重合体;STABILEZEシリーズ(以上、ISP社製)等のメチルビニルエーテル・無水マレイン酸・デカジエン共重合体が挙げられる。
【0014】
本発明で使用されるアクリル酸・メタクリル酸アルキルエステル共重合体は、ジェル状毛髪用組成物の透明性、および粘度安定性を確保する観点から、メタクリル酸ユニットのアルキル基の炭素数が10〜30であるものが好ましい。
市販のアクリル酸・メタクリル酸アルキルエステル共重合体としては、PEMULEN TR−1、PEMULEN TR−2(商品名、Lubrizol Advanced Materials社製)などを挙げることができる。
本発明では、アニオン性ポリマーを一種のみ配合してもよく、二種以上を混合して配合してもよい。
【0015】
アニオン性ポリマーの組成物中の含有量は、ジェル状毛髪用組成物100質量%に対して、0.2質量%以上1.0質量%未満である。より好ましくは0.3質量%以上0.8質量%以下である。0.2質量%以上1.0質量%未満とすることにより、ベタつきが無く、瑞々しさを得ることができる。
【0016】
(B)カチオン性ポリマー
本発明のジェル状毛髪用組成物は、毛髪を固着させ、かつツヤ感を与える観点からカチオン性ポリマーを含む。本発明に用いられるカチオン性ポリマーとしては、公知のものを適宜選択することができる。例えば、ビニルピロリドン・N,N−ジメチルアミノエチルメタクリル酸共重合体ジエチル硫酸塩、塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド共重合体、ポリ塩化ジメチルメチレンピペリジニウム、塩化O−[2−ヒドロキシ−3−(トリメチルアンモニオ)プロピル]ヒドロキシエチルセルロース、ビニルピロリドン・N,N−ジメチルアミノエチルメタクリル酸共重合体ジエチル硫酸塩、塩化O−〔2−ヒドロキシ−3−(トリメチルアンモニオ)プロピルグァーガム、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン・2−ヒドロキシー3−メタクリロイルオキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリド共重合体、塩化O−(2−ヒドロキシ−3−(トリメチルアンモニオ)プロピル)ローカストビーンガム、塩化ヒドロキシプロピルトリモニウムでんぷん、ビニルピロリドン・メタクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル・アクリル酸ステアリル・ジアクリル酸トリプロピレングリコール共重合体等が挙げられる。なかでもビニルピロリドン・N,N−ジメチルアミノエチルメタクリル酸共重合体ジエチル硫酸塩、
塩化O−[2−ヒドロキシ−3−(トリメチルアンモニオ)プロピル]ヒドロキシエチルセルロースが好ましい。
【0017】
カチオン性ポリマーの市販品としては、例えば、コスカットGA468(大阪有機化学工業株式会社製)、H.C.ポリマー1S(M)、1NなどのH.C.ポリマーシリーズ(大阪有機株式会社製)、ガフコート755−S(アイエスピー・ジャパン株式会社製)、HCポリマー1N(大阪有機化学工業株式会社製)、ポリマーJR−400(ユニオン・カーバイド日本株式会社製)、ラボールガムCG−M(DSP五協フード&ケミカル株式会社製)、Lipidure C(日本油脂株式会社製)等が挙げられる。本発明では、カチオン性ポリマーを一種のみ配合してもよく、二種以上を混合して配合してもよい。
【0018】
カチオン性ポリマーの分子量は、10万以上150万以下が好ましい。
【0019】
カチオン性ポリマーのカチオン化窒素含有量は、0.9〜2.5%であることが好ましい。
カチオン化窒素含有量が0.9%〜2.5%であるものうち、第4級窒素含有セルロースエーテル誘導体、第4級窒素含有グァーガム、ビニルピロリドン/N,Nジメチルアミノエチルメタクリル酸共重合体ジエチル硫酸塩を用いることが特に好ましい。
【0020】
カチオン性ポリマーのジェル状毛髪用組成物における含有量は、ジェル状毛髪用組成物100質量%に対して、例えば0.3質量%以上の範囲で、後述のカチオン性ポリマー/アニオン性ポリマーの比が、0.17以上1.80以下となるように選択される。
【0021】
(アニオン性ポリマーに対するカチオン性ポリマーの比)
ジェル状毛髪用組成物のアニオン性ポリマーに対するカチオン性ポリマーの比である、カチオン性ポリマー/アニオン性ポリマーは、0.17以上1.80以下である。0.17以上であることにより、セット力とツヤ感を得ることができる。1.80以下であることにより、組成物を手の平にとって伸び広げた際に、手で剤が崩れる感触が得られ、瑞々しさに優れ、ベタつきが抑えられる。
【0022】
(ジェル状毛髪用組成物のpH)
本発明のジェル状毛髪用組成物の25℃におけるpHは、透明なジェルを得る観点、および瑞々しさを得る観点から、5.50以上8.20以下である。なお、pHはpH計等、公知の方法で測定することができる。
【0023】
(pH調整剤)
ジェル状毛髪用組成物は、pHを調整する。pH調整剤としてのアルカリとしては、特に限定されるものではないが、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、トリエタノールアミン、アミノメチルプロパノール(AMP)、アミノメチルプロパンジオール等が好ましく用いられる。より好ましくはアミノメチルプロパノール(AMP)である。
【0024】
(ジェル状毛髪用組成物の粘度)
ジェル状毛髪用組成物の粘度は、(A)アニオン性ポリマーのみを(C)水に溶解又は分散させ中和した状態の粘度の1.0倍より大きく8.0倍以下である。1.0倍以上であることによりジェルの弾力性を得ることができる。8.0倍以下であることにより、瑞々しさを得ることができる。アニオン性ポリマーの粘度に対するジェル状毛髪用組成物の粘度の比は、アニオン性ポリマー単独の粘度に対する、そのカチオン性ポリマーを含有した組成物の粘度の比である。
ジェル状毛髪用組成物の粘度は、12000mPa・s以上170000mPa・s以下であることが好ましく、12000mPa以上60000mPa以下がより好ましい。
【0025】
本発明において、さらにノニオン性ポリマーおよび/または両性ポリマーを含有させることにより、手でのべたつきが生じることを抑えつつ、セット力を向上させることができる。例えば、ポリマーとしてアニオン性ポリマーのみを含有する毛髪組成物に、ノニオン性ポリマーや両性ポリマーを含有させた場合、セット力は向上するものの、べたつきも生じてしまう。
【0026】
(ノニオン性ポリマー、両性ポリマー)
ノニオン性ポリマーとしては、例えば、ノニオン性のものとして、ポリビニルピロリドン〔ルビスコールK17、ルビスコールK30、ルビスコールK90(以上、BASF社製)、PVP K(ISP社製)〕、ビニルピロリドン・酢酸ビニル共重合体〔PVP/VA S−630、PVP/VA E−735、PVP/VA E−335(以上、ISP社製)、ルビスコールVA73W、ルビスコール37E(以上、BASF社製)、PVA−6450(大阪有機化学工業(株)製)〕、ビニルメチルエーテル・マレイン酸アルキル共重合体〔ガントレッツA−425、ガントレッツES−225、ガントレッツES−335(いずれもISP社製)〕、ビニルピロリドン・メタクリルアミド・ビニルイミダゾール共重合体〔ルビセットクリア(BASF社製)〕などが挙げられる。
【0027】
両性ポリマーとしては、例えば、アクリル酸オクチルアミド・アクリル酸ヒドロキシプロピルプロピル・メタクリル酸ブチルアミノエチル共重合体(AMPHOMER SH30、AMPHOMER LV−71(日本エヌエスシー株式会社製))、メタクリロイルオキシエチルカルボキシベタイン・メタクリル酸アルキル共重合体(ユカフォーマーR205、ユカフォーマー301、ユカフォーマーSM、ユカフォーマー104Dなど(三菱化学株式会社製)、RAMレジン−1000、RAMレジン−2000、RAMレジン−3000、RAMレジン−4000(大阪有機化学工業株式会社製))、塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリル酸共重合体(マーコート280、マーコート295(ナルコ社製))、塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド・アクリル酸共重合体(マーコートプラス3330、マーコートプラス3331(ナルコ社製))等が挙げられる。
【0028】
(その他の成分)
本発明ジェル状組成物は本発明の効果を損なわない範囲で、可溶化剤(エタノール、イソプロパノール、ブタノール等)、多価アルコール類(エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、イソプレングリコール等)、糖類(ソルビトール、マルチトール、キシリトール、グルコース、フルクトース、マンニトール、イノシトール等)、ヒアルロン酸等の高分子類、酸化防止剤、紫外線吸収剤、防腐剤、キレート剤、香料、色剤、増粘剤、金属封鎖剤(エデト酸塩等)、pH調整剤を適宜配合できる。
【0029】
本発明のジェル状毛髪用組成物は、毛髪用化粧料の基材として用いることが可能である。例えば、ヘアトリートメント、スタイリング剤として用いることができる。
【0030】
(製造方法)
本発明のジェル状毛髪用組成物は、例えば次のようにして製造することができる。
カチオン性ポリマー及びアルカリ(pH調整剤)を水に添加し水溶液を精製した後、アニオン性ポリマーを添加する。なお、添加に際しては、必要に応じ、攪拌しながら行うのが好ましい。
【実施例】
【0031】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0032】
ジェル状毛髪用組成物を、表1から表7に示す処方で、以下の手順により調整した。
(調整法)
カチオン性ポリマーを精製水に添加し、混合してカチオン性ポリマーの水溶液を作製した。次いで、この水溶液に中和剤を添加した。なお、添加に際しては、必要に応じ、攪拌しながら行った。最後に、カチオン性ポリマーの水溶液に、アニオン性ポリマーを添加してジェル状毛髪用組成物を得た。この組成物の粘度は、経時的に変動することがなく安定性に優れていた。
【0033】
[実施例1〜4、比較例1〜4]
アニオン性ポリマーの含有量を一定にしてカチオン性ポリマーの含有量を変化させて、カチオン性ポリマー/アニオン性ポリマーの比率が異なるジェル状毛髪用組成物を作製した。ジェル状毛髪用組成物のpHは6〜6.5になるようにpH調整剤によって調整した。処方と評価結果を表1に示す。
【0034】
[実施例5〜15、比較例5〜比較例15]
カチオン性ポリマーおよびアニオン性ポリマー含有量を変化させてカチオン性ポリマー/アニオン性ポリマーの比率が異なるジェル状毛髪用組成物を作製した。
ジェル状毛髪用組成物のpHは6〜6.5になるようにpH調整剤によって調整した。
処方と評価結果を表2、表3、および表4に示す。
【0035】
[実施例16〜
23、比較例16〜比較例20]
カチオン性ポリマーおよびアニオン性ポリマーの含有量を一定にし、カチオン性ポリマー/アニオン性ポリマーの比率を固定して、pH調整剤によってpHが異なるジェル状毛髪用組成物を作製した。処方と評価結果を表5および表6に示す。
【0036】
[実施例
24〜
26、比較例21、22]
窒素含有率の異なるカチオン性ポリマーを用いた。処方と評価結果を表7に示す。
【0037】
実施例および比較例における評価試験方法および評価基準は以下のとおりである。
<粘度測定>
ビスメトロン粘度計(BH型 芝浦システム社製)により、6番のスピンドルを用い、回転数10rpmの条件で、30℃における粘度(mPa・s)を測定した。
【0038】
<剤のくずれやすさ>
10名の専門パネラーによる使用テストを行い、手で基剤を伸ばしたとき崩れやすさを下記評価点基準に基づいて官能評価し、その評価点の合計を下記評価基準に基づいて評価した。B以上が剤のくずれやすさがあると判断した。
【0039】
(評価点基準)
5点:認められる
4点:やや認められる
3点:わずかに認められる
2点:あまり認められない
0点:ない
【0040】
(評価基準)
A:合計点が40点以上
B:合計点が30点以上
C:合計点が20点以上30点未満
D:合計点が10点以上20点未満
E:合計点が10点未満
【0041】
<手での瑞々しさ(ベタつきのなさ)>
10面の専門パネラーによる使用テストを行い、手に基剤を伸ばしたときの瑞々しさを下記評価点基準に基づいて官能評価し、その評価点の合計を下記評価基準に基づいて評価した。B以上を瑞々しさがあると判断した。
【0042】
(評価点基準)
5点:認められる
4点:やや認められる
3点:わずかに認められる
2点:あまり認められない
0点:ない
【0043】
(評価基準)
A:合計点が40点以上
B:合計点が25点以上40点未満
C:合計点が10点以上25点未満
D:合計点が10点未満
【0044】
<髪へのなじみやすさ>
10名の専門パネラーによる使用テストを行い、手に伸ばした基剤を髪へ塗布する際のなじみやすさを下記評価点基準に基づいて官能評価し、その評価点の合計を下記評価基準に基づいて評価した。B以上を髪へのなじみやすさがあると判断した。
【0045】
(評価点基準)
5点:認められる
4点:やや認められる
3点:わずかに認められる
2点:あまり認められない
0点:ない
【0046】
(評価基準)
A:合計点が40点以上
B:合計点が25点以上40点未満
C:合計点が10点以上25点未満
【0047】
<セット力>
10名の専門パネラーによる使用テストを行い、髪へ塗布した後のセット性を下記評価点基準に基づいて官能評価し、その評価点の合計を下記評価基準に基づいて評価した。C以上をセット力があると判断した。
【0048】
(評価点基準)
5点:認められる
4点:やや認められる
3点:わずかに認められる
2点:あまり認められない
0点:ない
【0049】
(評価基準)
A:合計点が40点以上
B:合計点が25点以上40点未満
C:合計点が10点以上25点未満
D:合計点が10点未満
【0050】
<外観(透明性)>
各試料の外観(透明性)を目視により観察し評価した。B以上を透明性があると判断した。
【0051】
(評価基準)
A:かなり透明である
B:やや透明である
C:やや濁りがある
D:かなり濁りがある
【0052】
<経時安定性>
50℃で1ヶ月保管した試作品と試作直後の粘度及び外観(透明性)を比較して評価した。
【0053】
(外観評価基準)
A:良い
B:あまり良くない
C:悪い
【0054】
(粘度評価基準)
粘度は、製造直後の粘度と、50℃下で1ヶ月間保管したサンプルの粘度を比較し評価した。
粘度比=粘度(50℃1ヶ月保管)/粘度(製造直後)
A:粘度比が0.5以上1.5未満
B:粘度比が0.25以上0.5未満、および1.5以上2未満
C:粘度比がAおよびBの範囲以外
【0055】
以下に表1から表7を示す。
【0056】
【表1】
【0057】
【表2】
【0058】
【表3】
【0059】
【表4】
【0060】
【表5】
【0061】
【表6】
【0062】
【表7】
【0063】
上記表1から表7中の材料の詳細は以下の通りである。
(カチオン性ポリマー)
・商品名「H.C.ポリマー1S(M)」(大阪有機化学工業株式会社製)
・商品名「HCポリマー1N」(大阪有機化学工業株式会社製)
・商品名「ポリマーJR−400」(ユニオンカーバイド社製)
・商品名「ラボールガムCG−M」(DSP五協フード&ケミカル株式会社製)
・商品名「コスカットGA468」(大阪有機株式会社製)
・商品名「マーコート550L」(Lubrizol Advanced Materials社製)
【0064】
(アニオン性ポリマー)
商品名「PEMULEN TR−1」(Lubrizol Advanced Materials社製)
【0065】
(中和剤)
商品名「AMP−ULTRA PC1000」(ANGUS Chemical Company社製)
商品名「りん酸 国産1級」(国産化学株式会社製)
【0066】
表1に示すように、本発明のジェル状毛髪用組成物は、セット力を損なうことなく、剤のくずれやすさ、手での瑞々しさ、髪へのなじみやすさに優れ、かつ経時安定性にも優れることがわかる。
表2〜表4から、カチオン性ポリマー/アニオン性ポリマーの比率が0.17以上1.80以下であっても、アニオン性ポリマーの含有量が0.2質量%未満では、髪へのなじみやすさが劣り、1.0質量%以上では、剤のくずれやすさ、および手での瑞々しさが劣る。本発明のジェル状毛髪用組成物は、比較例によるジェル状毛髪用組成物に比べて、剤のくずれやすさ、手での瑞々しさ、および髪へのなじみやすさの全ておいて優れることがわかる。
また、表5および表6から、pHが5.50未満では透明性に劣り、pHが8.20を超えると剤のくずれやすさが劣ることがわかる。
またさらに、表7から、本発明のジェル状毛髪用組成物には、N含有率が異なるカチオン性ポリマーにおいても適用可能であることがわかる。
【解決手段】(A)アニオン性ポリマー、(B)カチオン性ポリマー、および(C)水を含有するジェル状毛髪用組成物であって、(A)アニオン性ポリマーの含有量を、ジェル状毛髪用組成物100質量%に対して、0.2質量%以上1.0質量%未満とし、(A)アニオン性ポリマーに対する(B)カチオン性ポリマーの比を0.17以上1.80以下とし、ジェル状毛髪用組成物の粘度を、(A)アニオン性ポリマーのみを(C)水に溶解又は分散させ、中和した状態の粘度の1.0倍より大きく8.0倍以下とし、25℃におけるpHを、5.50以上8.20以下とする。