(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御部は、投影表示中において前記第2レーザ光の検出処理を実行し、前記光拡散部の前記所定領域に不具合が生じていると判断した場合には、前記投影表示の中止処理として、投影表示の終了処理を実行する、請求項1記載の投影表示装置。
前記制御部は、投影表示前及び投影表示後の少なくとも一方において前記第2レーザ光の検出処理を実行し、前記光拡散部の前記所定領域に不具合が生じていると判断した場合には、前記投影表示の中止処理として、投影表示の開始禁止処理を実行する、請求項1記載の投影表示装置。
前記所定領域における前記光拡散部の入射面上の位置、前記所定領域における前記光拡散部の出射面上の位置、又は前記出射面から前記光拡散部の出射側に離れた位置において、前記第1レーザ光を透過させ、前記第2レーザ光を反射する光選択部を更に備え、
前記光検出部は、前記光選択部によって反射された前記第2レーザ光を検出する、請求項1〜5のいずれか一項記載の投影表示装置。
前記光検出部は、前記光拡散部の前記所定領域を透過して拡散され且つ前記第1レーザ光の光路外を進行した前記第2レーザ光を検出する、請求項1〜5のいずれか一項記載の投影表示装置。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図において同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
[第1実施形態]
【0018】
図1に示されるように、投影表示装置1は、光源2と、走査用駆動ミラー(駆動反射部)3と、光拡散部4と、光選択部5と、光検出部6と、を備えている。投影表示装置1は、例えば自動車に搭載されるレーザ走査型プロジェクションディスプレーであり、自動車のフロントガラス100に映像を投影表示する。光源2は、投影表示用の第1レーザ光L1及び検査用の第2レーザ光L2を出射する。走査用駆動ミラー3は、光源2から出射された第1レーザ光L1及び第2レーザ光L2を反射して光拡散部4の所定領域にて走査する。光拡散部4は、走査用駆動ミラー3によって走査された第1レーザ光L1を透過させて拡散する。光選択部5は、光拡散部4の出射面上の位置において、第1レーザ光L1を透過させ、第2レーザ光L2を反射する。光検出部6は、光選択部5によって反射された第2レーザ光L2を検出する。
【0019】
投影表示装置1は、平面ミラー11,12と、凹面ミラー13と、筐体14と、を更に備えている。平面ミラー11,12及び凹面ミラー13は、投影表示用の光L0(すなわち、光拡散部4の所定領域で拡散された第1レーザ光L1のうち、映像を構成する光)をフロントガラス100に導く。筐体14は、投影表示装置1を構成する各部を収容している。
【0020】
図2に示されるように、光源2は、複数の第1出射部21a,21b,21cと、第2出射部22と、を有している。第1出射部21a,21b,21cは、それぞれ、例えば、赤色レーザダイオード、緑色レーザダイオード、青色レーザダイオードであり、投影表示用の第1レーザ光L1を出射する。各第1出射部21a,21b,21cから出射される第1レーザ光L1の波長域は、可視域である。第2出射部22は、例えば、赤外線レーザダイオードであり、光拡散部4の所定領域の状態を把握するための検査用の第2レーザ光L2を出射する。第2出射部22から出射される第2レーザ光L2の波長域は、赤外域である。このように、第1レーザ光L1の波長域と第2レーザ光L2の波長域とは、互いにずれている。
【0021】
第1出射部21cから出射された第1レーザ光L1は、ミラー15cによって反射されて光路A上を進行し、走査用駆動ミラー3に至る。第1出射部21bから出射された第1レーザ光L1は、ミラー15bによって反射されて光路A上を進行し、ミラー15cを透過して走査用駆動ミラー3に至る。第1出射部21aから出射された第1レーザ光L1は、ミラー15aによって反射されて光路A上を進行し、ミラー15b,15cを透過して走査用駆動ミラー3に至る。第2出射部22から出射された第2レーザ光L2は、ミラー16によって反射されて光路A上を進行し、ミラー15a,15b,15cを透過して走査用駆動ミラー3に至る。ミラー15a,15b,15cは、例えば、ダイクロイックミラーである。
【0022】
走査用駆動ミラー3は、光路A上に配置されている。走査用駆動ミラー3は、例えば、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)技術によって製造された電磁駆動式の光学ミラーである。走査用駆動ミラー3は、ミラー3aを揺動させることで、光路A上を進行してきた第1レーザ光L1及び第2レーザ光L2を反射して光拡散部4の所定領域Rにて走査する。
【0023】
図3に示されるように、光拡散部4は、光路Aの延長線上に配置されている。光拡散部4は、例えば、マトリックス状に配列された複数のマイクロレンズを有するマイクロレンズアレイであり、走査用駆動ミラー3によって走査された投影表示用の第1レーザ光L1を透過させて拡散する。光拡散部4の入射面4aは、平坦面となっている。光拡散部4の出射面4bは、複数のマイクロレンズに対応した複数の凸面によって構成されている。
【0024】
光選択部5は、光拡散部4側の面5a及びその反対側の面5bが光拡散部4の出射面4bにおける複数の凸面に沿うように、光拡散部4の出射面4bに形成されている。光選択部5は、例えば、光拡散部4の出射面4bにコーティングされた光選択膜であり、投影表示用の第1レーザ光L1の波長域の光を透過させ且つ検査用の第2レーザ光L2の波長域の光を反射する機能を有している。光選択部5は、光拡散部4の出射面4bのうち、少なくとも第1レーザ光L1が走査される所定領域Rに設けられている。
【0025】
図2に示されるように、光検出部6は、光選択部5によって反射された検査用の第2レーザ光L2を検出することができる位置に配置されている。光検出部6は、例えば赤外線検出器である。
【0026】
投影表示装置1は、筐体7を更に備えている。筐体7は、光源2、ミラー15a,15b,15c,16及び走査用駆動ミラー3を収容している。筐体7には、走査用駆動ミラー3によって走査された第1レーザ光L1及び第2レーザ光L2を外部に出射するための窓部7aが設けられている。なお、光検出部6は、光拡散部4と対向するように、筐体7の外表面に取り付けられている。つまり、光検出部6は、走査用駆動ミラー3と光拡散部4との対向方向において、走査用駆動ミラー3と光拡散部4との間に配置されている。このように、光検出部6は、筐体7の外側に配置されている。
【0027】
投影表示装置1は、制御部8を更に備えている。制御部8は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等で構成されており、投影表示装置1の各部を制御する。制御部8は、投影表示処理、第2レーザ光L2の検出処理及び投影表示の終了処理を実行する。なお、制御部8は、筐体7に収容されていてもよいし、或いは、筐体7の外側に配置されていてもよい。
【0028】
制御部8による処理の一例(投影表示中において第2レーザ光L2の検出処理を実行する例)について、
図4を参照しつつ説明する。
【0029】
まず、制御部8は、投影表示開始の入力信号を受信すると、複数の第1出射部21a,21b,21c及び第2出射部22のそれぞれの出力を開始させる(ステップS1)。これにより、複数の第1出射部21a,21b,21c及び第2出射部22のそれぞれから第1レーザ光L1及び第2レーザ光L2が出射される。
【0030】
ステップS1と略同時に、制御部8は、走査用駆動ミラー3の動作を開始させ(ステップS2)、更に、ステップS1,S2と略同時に、制御部8は、光検出部6の動作を開始させる(ステップS3)。これにより、走査用駆動ミラー3では、ミラー3aの揺動が開始され、光源2から出射された第1レーザ光L1及び第2レーザ光L2が光拡散部4の所定領域Rにて走査される。
【0031】
このとき、各第1出射部21a,21b,21cから出射される投影表示用の第1レーザ光L1の比率が、光拡散部4の所定領域R内における第1レーザ光L1の走査位置に応じて変化させられる。これにより、投影表示用の光L0(すなわち、光拡散部4の所定領域Rで拡散された第1レーザ光L1のうち、映像を構成する光)は、平面ミラー11,12及び凹面ミラー13によってフロントガラス100に導かれ、フロントガラス100での反射を介して、映像として運転者の眼に届く。
【0032】
その一方で、走査用駆動ミラー3によって走査された検査用の第2レーザ光L2は、光拡散部4の所定領域Rによって拡散され、光選択部5によって反射される。光選択部5によって反射された第2レーザ光L2は、再び光拡散部4を透過して、光検出部6によって検出される。
【0033】
ここで、制御部8は、第2レーザ光L2の光量に関する検出値を光検出部6から受信する。当該検出値は、光拡散部4の所定領域R内における第2レーザ光L2の走査位置に対応付けられている。そして、制御部8は、当該検出値に基づいて光拡散部4の所定領域Rの状態を判断する(ステップS4)。より具体的には、制御部8は、光拡散部4の所定領域R内における第2レーザ光L2の走査位置に対応付けて、第2レーザ光L2の光量に関する基準値を記憶している。制御部8は、光拡散部4の所定領域R内における第2レーザ光L2の走査位置に応じて、当該位置に対応する検出値と基準値とを比較する。制御部8は、基準値から所定範囲内に検出値が存在していた場合には、光拡散部4の所定領域Rの状態が正常であると判断し、投影表示処理を継続する(ステップS5)。
【0034】
その一方で、制御部8は、基準値から所定範囲外に検出値が存在していた場合には、光拡散部4の所定領域Rの状態として、光拡散部4の所定領域Rに不具合が生じていると判断し、投影表示の終了処理を実行する(ステップS6)。制御部8は、投影表示の中止処理の一形態である投影表示の終了処理として、各第1出射部21a,21b,21cに第1レーザ光L1の出射を停止させる。これにより、投影表示が強制終了される。このように、制御部8は、光拡散部4の所定領域R内における第2レーザ光L2の走査位置に関連付けて不具合を把握する。つまり、制御部8は、光拡散部4の所定領域R内において不具合が生じたか否かだけではなく、光拡散部4の所定領域Rに不具合が生じた場合に、その不具合が生じた所定領域R内における位置を把握する。
【0035】
以上、説明したように、投影表示装置1では、光選択部5が、所定領域Rにおける光拡散部4の出射面4b上の位置において、検査用の第2レーザ光L2を反射する。そのため、光選択部5によって反射された第2レーザ光L2は、光拡散部4の所定領域Rの状態が反映されたものとなる。したがって、投影表示装置1によれば、光選択部5によって反射された第2レーザ光L2を検出することで、光拡散部4の所定領域Rの状態を判断することができる。そして、光拡散部4の所定領域Rの状態として、光拡散部4の所定領域Rに不具合が生じていると判断され場合に、投影表示の中止処理として、投影表示の終了処理が実行される。これにより、光拡散部4の所定領域Rに生じた不具合に起因して第1レーザ光L1が適切に拡散されないまま投影表示が継続されることが防止される。よって、投影表示装置1によれば、投影表示を見る者の眼に負担が与えられるのを防止することができる。更に、走査用駆動ミラー3を用いることで、投影表示用の第1レーザ光L1のスキャンラインに沿って検査用の第2レーザ光L2を走査することが可能である。特に、同一の走査用駆動ミラー3を用いているので、投影表示用の第1レーザ光L1と同一のスキャンライン上に検査用の第2レーザ光L2を走査することが可能である。これにより、光拡散部4の所定領域Rに生じた傷等の不具合のうち、スキャンラインから外れた位置で生じた不具合(すなわち、投影表示に影響のない不具合)を許容しつつ、スキャンライン上に生じた不具合(すなわち、投影表示に影響のある不具合)を効率良く且つ確実に把握することができる。したがって、この投影表示装置1によれば、光拡散部4の所定領域Rに生じた傷等の不具合のうち、特に、投影表示に影響のある不具合が生じていると判断した場合に、投影表示の中止処理を実行することができる。
【0036】
また、制御部8は、投影表示中において第2レーザ光L2の検出処理を実行し、光拡散部4の所定領域Rに不具合が生じていると判断した場合には、投影表示の中止処理として、投影表示の終了処理を実行する。これにより、投影表示中に光拡散部4の所定領域Rに不具合が生じた場合に、直ちにその投影表示を終了させ、投影表示を見る者の眼に負担が与えられるのを防止することができる。
【0037】
また、制御部8は、投影表示の終了処理として、光源2に第1レーザ光L1の出射を停止させる。これにより、投影表示中に光拡散部4の所定領域Rに不具合が生じた場合に、投影表示を確実に終了させることができる。
【0038】
また、投影表示装置1は、所定領域Rにおける光拡散部4の出射面4b上の位置において、第1レーザ光L1を透過させ、第2レーザ光L2を反射する光選択部5を備えている。そして、光検出部6は、光選択部5によって反射された第2レーザ光L2を検出する。これにより、第1レーザ光L1の光路と第2レーザ光L2の光路とが分けられるため、光検出部6を配置する位置の自由度を高くすることができる。
[第2実施形態]
【0039】
第2実施形態の投影表示装置1は、光源2及び光選択部5の構成において、第1実施形態の投影表示装置1と相違している。
図5に示されるように、光源2は、第2出射部22を有していない。また、光選択部5は、第1出射部21a,21b,21cのいずれか1つから出射されるレーザ光の一部を投影表示用の第1レーザ光L1として透過させ且つ当該レーザ光の残部を検査用の第2レーザ光L2として反射する機能を有する光学部材である。
【0040】
例えば、青色レーザダイオードである第1出射部21cから出射されるレーザ光の一部が投影表示用の第1レーザ光L1として利用され、当該レーザ光の残部が検査用の第2レーザ光L2として利用される。これは、赤色レーザダイオード及び緑色レーザダイオードに比べ、投影表示に必要とされる光量よりも多くの光量を青色レーザダイオードが出射可能だからである。
【0041】
このように、第2実施形態の投影表示装置1では、第1レーザ光L1の波長域と第2レーザ光L2の波長域とは、互いに重なっている。また、第1レーザ光L1の波長域及び第2レーザ光L2の波長域は、可視域である。
【0042】
第2実施形態の投影表示装置1においても、第1実施形態の投影表示装置1と同様に、制御部8によって、投影表示処理、第2レーザ光L2の検出処理及び投影表示の終了処理が実行される。よって、第2実施形態の投影表示装置1よっても、投影表示を見る者の眼に負担が与えられるのを防止することができる。
【0043】
また、第2実施形態の投影表示装置1の光源2では、第1出射部21a,21b,21cのいずれか1つが、第1レーザ光L1及び第2レーザ光L2を含むレーザ光を出射する。これにより、検査用の第2レーザ光L2を専用で出射する第2出射部22が不要となり、光源2を簡易な構成とすることができる。
[第3実施形態]
【0044】
第3実施形態の投影表示装置1は、光選択部5が設けられていない点、及び光検出部6が光拡散部4に対して光源2の反対側に配置されている点で、第2実施形態の投影表示装置1と相違している。
図6に示されるように、第3実施形態の投影表示装置1は、光選択部5を備えていない。また、光検出部6は、光拡散部4の出射側において、投影表示用の光L0の光路を避けるように配置されている。
【0045】
複数の第1出射部21a,21b,21cのそれぞれから出射されたレーザ光は、光拡散部4の所定領域Rにて走査され、光拡散部4の所定領域Rを透過して拡散される。光拡散部4の所定領域Rで拡散されたレーザ光の一部である第1レーザ光L1は、投影表示用の光L0として運転者の目に届く。その一方で、光拡散部4の所定領域Rで拡散されたレーザ光の残部である第2レーザ光L2は、検査用の光として、第1レーザ光L1(投影表示用の光L0)の光路外を進行し、光検出部6によって検出される。光検出部6は、光源2から出射されたレーザ光が所定領域R内のいずれの位置を走査された場合であっても、第2レーザ光L2を検出することができる位置に配置されている。
【0046】
このように、第3実施形態の投影表示装置1では、複数の第1出射部21a,21b,21cのそれぞれから出射されたレーザ光の一部である第1レーザ光L1が影表示用の光L0として利用され、当該レーザ光の残部である第2レーザ光L2が検査用の光として利用される。
【0047】
第3実施形態の投影表示装置1においても、第1実施形態の投影表示装置1と同様に、制御部8によって、投影表示処理、第2レーザ光L2の検出処理及び投影表示の終了処理が実行される。よって、第3実施形態の投影表示装置1よっても、投影表示を見る者の眼に負担が与えられるのを防止することができる。
【0048】
また、第3実施形態の投影表示装置1では、光検出部6は、光拡散部4の所定領域Rを透過して拡散され且つ第1レーザ光L1の光路外を進行した第2レーザ光L2を検出する。これにより、第1レーザ光L1の光路と第2レーザ光L2の光路とを分けるための光学部材が不要となるため、投影表示装置1を簡易な構成とすることができる。
【0049】
なお、第3実施形態の投影表示装置1の変形例として、第1実施形態の投影表示装置1と同様に、光源2は、複数の第1出射部21a,21b,21cと、第2出射部22と、を有していてもよい。この場合、第1出射部21a,21b,21cは、それぞれ、例えば、赤色レーザダイオード、緑色レーザダイオード、青色レーザダイオードであり、投影表示用の第1レーザ光L1を出射する。各第1出射部21a,21b,21cから出射されるレーザ光の波長域は、可視域である。第2出射部22は、例えば、赤外線レーザダイオードであり、光拡散部4の所定領域Rの状態を把握するための検査用の第2レーザ光L2を出射する。第2出射部22から出射されるレーザ光の波長域は、赤外域である。
【0050】
複数の第1出射部21a,21b,21cのそれぞれから出射された第1レーザ光L1は、光拡散部4の所定領域Rにて走査され、光拡散部4の所定領域Rを透過して拡散される。光拡散部4の所定領域Rで拡散された第1レーザ光L1は、投影表示用の光L0として運転者の目に届く。その一方で、第2出射部22から出射された第2レーザ光L2は、光拡散部4の所定領域Rにて走査され、光拡散部4の所定領域Rを透過して拡散される。光拡散部4の所定領域Rで拡散された第2レーザ光L2の一部は、第1レーザ光L1の光路外を進行して、光検出部6によって検出される。
[第4実施形態]
【0051】
第4実施形態の投影表示装置1は、光選択部5に代えて光選択部17が設けられている点、並びに、光検出部6が光拡散部4の所定領域R及び光選択部17を透過した第2レーザ光L2を検出する点で、第2実施形態の投影表示装置1と相違している。
図7に示されるように、光選択部17は、光拡散部4に対して光源2の反対側に配置されている。より具体的には、光選択部17は、光拡散部4の出射面4bから光拡散部4の出射側に離れた位置に配置されている。光選択部17は、光拡散部4の所定領域Rで拡散されたレーザ光の一部を反射し、当該レーザ光の残部を透過させる機能を有している。光検出部6は、光選択部17に対して光拡散部4の反対側に配置されている。光検出部6は、光拡散部4の所定領域Rで拡散されて光選択部17を透過したレーザ光を検出する。
【0052】
複数の第1出射部21a,21b,21cのそれぞれから出射されたレーザ光は、光拡散部4の所定領域Rにて走査され、光拡散部4の所定領域Rを透過して拡散される。光拡散部4の所定領域Rで拡散されたレーザ光の一部である第1レーザ光L1は、光選択部17によって反射され、投影表示用の光L0として運転者の目に届く。その一方で、光拡散部4の所定領域Rで拡散されたレーザ光の残部である第2レーザ光L2は、光選択部17を透過し、検査用の光として、光検出部6によって検出される。
【0053】
このように、第4実施形態の投影表示装置1では、複数の第1出射部21a,21b,21cのそれぞれから出射されたレーザ光の一部である第1レーザ光L1が投影表示用の光L0として利用され、当該レーザ光の残部である第2レーザ光L2が検査用の光として利用される。
【0054】
第4実施形態の投影表示装置1においても、第1実施形態の投影表示装置1と同様に、制御部8によって、投影表示処理、第2レーザ光L2の検出処理及び投影表示の終了処理が実行される。よって、第4実施形態の投影表示装置1によっても、投影表示を見る者の眼に負担が与えられるのを防止することができる。
【0055】
また、第4実施形態の投影表示装置1は、光拡散部4の出射面4bから光拡散部4の出射側に離れた位置において、第1レーザ光L1を反射し、第2レーザ光L2を透過させる光選択部17を備えている。そして、光検出部6は、光選択部17を透過した第2レーザ光L2を検出する。これにより、第1レーザ光L1の光路と第2レーザ光L2の光路とが分けられるため、光検出部6を配置する位置の自由度を高くすることができる。
【0056】
なお、第4実施形態の投影表示装置1の変形例として、第1実施形態の投影表示装置1と同様に、光源2は、複数の第1出射部21a,21b,21cと、第2出射部22と、を有していてもよい。この場合、第1出射部21a,21b,21cは、それぞれ、例えば、赤色レーザダイオード、緑色レーザダイオード、青色レーザダイオードであり、投影表示用の第1レーザ光L1を出射する。各第1出射部21a,21b,21cから出射されるレーザ光の波長域は、可視域である。第2出射部22は、例えば、赤外線レーザダイオードであり、光拡散部4の所定領域Rの状態を把握するための検査用の第2レーザ光L2を出射する。第2出射部22から出射されるレーザ光の波長域は、赤外域である。
【0057】
複数の第1出射部21a,21b,21cのそれぞれから出射された第1レーザ光L1は、光拡散部4の所定領域Rにて走査され、光拡散部4の所定領域Rを透過して拡散される。光拡散部4の所定領域Rで拡散された第1レーザ光L1は、光選択部17によって反射され、投影表示用の光L0として運転者の目に届く。その一方で、第2出射部22から出射された第2レーザ光L2は、光拡散部4の所定領域Rにて走査され、光拡散部4の所定領域Rを透過して拡散される。光拡散部4の所定領域Rで拡散された第2レーザ光L2の一部は、光選択部17を透過し、光検出部6によって検出される。
【0058】
以上、本発明の第1〜第4実施形態について説明したが、本発明は、上記各実施形態に限定されるものではない。
【0059】
例えば、走査用駆動ミラー3は、MEMS技術によって製造された電磁駆動式の光学ミラーに限定されず、ガルバノミラーであってもよい。また、駆動方式についても、電磁駆動式に限定されず、静電、圧電、又は熱等のその他の方式であってもよい。また、投影表示装置1は、第1レーザ光L1用の走査用駆動ミラー3と、第2レーザ光L2用の走査用駆動ミラー3と、を別々に備えていてもよい。
【0060】
また、光拡散部4は、光を拡散する機能を有する光学部材であれば、マイクロレンズアレイに限定されない。一例として、フロスト型拡散板、オパール型拡散板等を光拡散部4として用いることができる。
【0061】
また、第1及び第2実施形態の投影表示装置1では、光選択部5は、所定領域Rにおける光拡散部4の出射面4b上の位置に設けられている。しかしながら、光選択部5は、所定領域Rにおける光拡散部4の出射面4b上の位置に限られず、例えば、光拡散部4の出射面4bから光拡散部4の出射側に離れた位置に設けられていてもよい。光選択部5が所定領域Rにおける光拡散部4の出射面4b上の位置に設けられている場合、及び光選択部5が光拡散部4の出射面4bから光拡散部4の出射側に離れた位置に設けられている場合のいずれの場合にも、光選択部5によって反射された第2レーザ光L2は、所定領域Rにおける光拡散部4の入射面4a及び出射面4bの状態、並びに、所定領域Rにおける光拡散部4の内部の状態が反映されたものとなる。
【0062】
また、光選択部5は、所定領域Rにおける光拡散部4の入射面4a上の位置に設けられていてもよい。この場合には、光選択部5によって反射された第2レーザ光L2は、所定領域Rにおける光拡散部4の入射面4aの状態が反映されたものとなる。なお、この場合において、光選択部5は、第2レーザ光L2を反射する機能に加え、第2レーザ光L2を拡散する機能を有する光学部材であることが好ましい。これにより、第2レーザ光L2が所定領域R内におけるいずれの位置を走査された場合にも、所定領域Rにおける光拡散部4の入射面4aに生じた不具合を把握することができる。
【0063】
このように、本発明の一側面の投影表示装置では、光検出部が光拡散部の所定領域を介した第2レーザ光を検出することができる構成であれば、いかなる構成であってもよい。ここで、「光拡散部の所定領域を介した第2レーザ光」とは、例えば第2レーザ光L2が光拡散部4の所定領域Rを透過する等、光拡散部の所定領域の状態が反映された第2レーザ光を意味する。したがって、光検出部6によって検出される第2レーザ光L2が、光拡散部4の所定領域Rの状態が反映されたものとなる構成であれば、光選択部5はどのような位置に配置されていてもよいし、第3実施形態のように、光選択部5が設けられていなくてよい。つまり、本発明の一側面の投影表示装置では、光検出部6が、光拡散部4の所定領域Rを介した第2レーザ光L2を検出することができれば、光選択部5の有無等を問わず、いかなる構成であってもよい。
【0064】
また、第1及び第2実施形態の投影表示装置1では、光検出部6は、筐体7の外側に配置されているが、光検出部6は、筐体7の内側に配置されていてもよい。これにより、光検出部6を保護することができる。
【0065】
具体的には、
図8に示されるように、ミラー18が、光路A上において、ミラー15cと走査用駆動ミラー3との間に配置されており、光検出部6が、ミラー18に臨むように筐体7内に配置されていてもよい。ここで、ミラー18は、例えば光路A上に設けられたスルーホールを有するミラーである。これにより、走査用駆動ミラー3に向かって光路A上を進行する第1レーザ光L1及び第2レーザ光L2は、ミラー18のスルーホールに通過する。その一方で、再び筐体7内に戻ってきた第2レーザ光L2は、ミラー18によって反射され、光検出部6によって検出される。再び筐体7内に戻ってきた第2レーザ光L2は、光拡散部4の所定領域Rによって拡散されているので、走査用駆動ミラー3に向かう第1レーザ光L1及び第2レーザ光L2とは光軸がずれている。このため、再び筐体7内に戻ってきた第2レーザ光L2は、ミラー18のスルーホール以外の部分で反射される。なお、上述したようなミラー18は、光路A上において、ミラー15aとミラー15bとの間、又はミラー15bとミラー15cとの間に、配置されていてもよい。ただし、ミラー15cと走査用駆動ミラー3との間に配置されていると、他に配置された場合と比べて、光検出部6において第2レーザ光L2の光量を十分に確保することができるため、光拡散部4の所定領域Rに生じた傷等の不具合を確実に把握することができる。
【0066】
また、光検出部6は、筐体7の内側において、窓部7aに臨む位置に配置されていてもよい(
図2及び
図5参照)。この場合、光検出部6は、光選択部5によって反射された第2レーザ光L2のうち、窓部7aを透過する第2レーザ光L2を確実に検出することができる。
【0067】
また、光検出部6は、光路Aの延長上において、ミラー16に対して走査用駆動ミラー3の反対側に配置されていてもよい(
図2参照)。ここで、ミラー16は、入射した第2レーザ光L2の一部(例えば50%)を反射し且つ入射した第2レーザ光L2の残部(例えば50%)を透過させる機能を有する光学部材である。これにより、第2出射部22から出射された第2レーザ光L2の一部は、ミラー16によって反射されて光路A上を進行する。その一方で、再び筐体7内に戻ってきた第2レーザ光L2の一部は、ミラー16を透過し、光検出部6によって検出される。
【0068】
また、光検出部6は、第2レーザ光L2の波長域に感度を有する光検出器であればよい。例えば、第2実施形態の投影表示装置1では、第1レーザ光L1の波長域及び第2レーザ光L2の波長域が可視域であるため、可視域に感度を有する光検出器を光検出部6として用いることができる。また、光検出部6は、半導体光検出器であってもよい。
【0069】
また、投影表示装置1は、シャッタ19を更に備えていてもよい。制御部8は、投影表示の中止処理の一形態である投影表示の終了処理として、
図9に示されるように、走査用駆動ミラー3によって走査された第1レーザ光L1の光路上にシャッタ19を配置させてもよい。シャッタ19は、走査用駆動ミラー3によって走査された第1レーザ光L1の光路上に進退可能である。この場合にも、投影表示中に光拡散部4の所定領域Rに不具合が生じた場合に、投影表示を確実に終了させることができる。なお、シャッタ19は、光拡散部4の所定領域Rを透過した第1レーザ光L1の光路上(すなわち、投影表示用の光L0の光路上)に進退可能であってもよい。
【0070】
また、制御部8は、投影表示の終了処理として、各第1出射部21a,21b,21cに第1レーザ光L1の出力を低下させてもよい。また、制御部8は、投影表示の終了処理として、光拡散部4の所定領域R外に第1レーザ光L1が入射するように、走査用駆動ミラー3を動作させてもよい。この場合、第1レーザ光L1が投影表示装置1の外側に漏れないように、例えば、光拡散部4の所定領域R外に非透過処理が施されることが好ましい。
【0071】
制御部8による処理の第1変形例(投影表示前において第2レーザ光L2の検出処理を実行する例)について、
図10を参照しつつ説明する。
【0072】
まず、制御部8は、投影表示開始の入力信号を受信すると、第2出射部22の出力を開始させる(ステップS11)。これにより、第2出射部22から第2レーザ光L2が出射される。
【0073】
ステップS11と略同時に、制御部8は、走査用駆動ミラー3の動作を開始させ(ステップS12)、更に、ステップS11,S12と略同時に、制御部8は、光検出部6の動作を開始させる(ステップS13)。これにより、走査用駆動ミラー3では、ミラー3aの揺動が開始され、光源2から出射された第2レーザ光L2が光拡散部4の所定領域Rにて投影表示用の第1レーザ光L1のスキャンラインに沿って走査される。
【0074】
このとき、走査用駆動ミラー3によって走査された検査用の第2レーザ光L2は、光拡散部4の所定領域Rによって拡散され、光選択部5によって反射される。光選択部5によって反射された第2レーザ光L2は、再び光拡散部4を透過して、光検出部6によって検出される。
【0075】
ここで、制御部8は、第2レーザ光L2の光量に関する検出値を光検出部6から受信する。当該検出値は、光拡散部4の所定領域R内における第2レーザ光L2の走査位置に対応付けられている。そして、制御部8は、当該検出値に基づいて光拡散部4の所定領域Rの状態を判断する(ステップS14)。より具体的には、制御部8は、光拡散部4の所定領域R内における第2レーザ光L2の走査位置に対応付けて、第2レーザ光L2の光量に関する基準値を記憶している。制御部8は、光拡散部4の所定領域R内における第2レーザ光L2の走査位置に応じて、当該位置に対応する検出値と基準値とを比較する。制御部8は、基準値から所定範囲内に検出値が存在していた場合には、光拡散部4の所定領域Rの状態が正常であると判断し、投影表示処理を実行する(ステップS15)。
【0076】
制御部8は、投影表示処理の実行として、複数の第1出射部21a,21b,21cのそれぞれの出力を開始する。これにより、投影表示用の光L0が、平面ミラー11,12及び凹面ミラー13によってフロントガラス100に導かれ、フロントガラス100での反射を介して、映像として運転者の眼に届く。
【0077】
その一方で、制御部8は、基準値から所定範囲外に検出値が存在していた場合には、光拡散部4の所定領域Rの状態として、光拡散部4の所定領域Rに不具合が生じていると判断し、投影表示の開始禁止処理を実行する(ステップS16)。制御部8は、投影表示の開始禁止処理として、投影表示開始の入力信号を受信した場合であっても、各第1出射部21a,21b,21cに第1レーザ光L1の出射を開始させない。
【0078】
これにより、不具合が生じた光拡散部4の所定領域Rによって投影表示が開始されるのを禁止し、投影表示を見る者の眼に負担が与えられるのを防止することができる。なお、制御部8は、投影表示開始の入力信号を受信する毎に第2レーザ光L2の検出処理を毎回実行する必要はなく、例えば、投影表示開始の入力信号を複数回受信する毎に第2レーザ光L2の検出処理を1回実行してもよい。
【0079】
次に、制御部8による処理の第2変形例(投影表示後において第2レーザ光L2の検出処理を実行する例)について、
図11を参照しつつ説明する。
【0080】
まず、制御部8は、投影表示処理を終了する(ステップS21)。制御部8は、投影表示処理の終了として、複数の第1出射部21a,21b,21cのそれぞれの出力を停止させ、走査用駆動ミラー3の動作を停止させる。
【0081】
続いて、制御部8は、第2出射部22の出力を開始させる(ステップS22)。これにより、第2出射部22から第2レーザ光L2が出射される。
【0082】
ステップS22と略同時に、制御部8は、走査用駆動ミラー3の動作を開始させ(ステップS23)、更に、ステップS22,S23と略同時に、制御部8は、光検出部6の動作を開始させる(ステップS24)。これにより、走査用駆動ミラー3では、ミラー3aの揺動が開始され、光源2から出射された第2レーザ光L2が光拡散部4の所定領域Rにて投影表示用の第1レーザ光L1のスキャンラインに沿って走査される。なお、制御部8は、投影表示処理の終了時において、走査用駆動ミラー3の動作を停止させずに、ステップS23まで走査用駆動ミラー3の動作を継続させていてもよい。
【0083】
これにより、走査用駆動ミラー3によって走査された検査用の第2レーザ光L2は、光拡散部4の所定領域Rによって拡散され、光選択部5によって反射される。光選択部5によって反射された第2レーザ光L2は、再び光拡散部4を透過して、光検出部6によって検出される。
【0084】
ここで、制御部8は、第2レーザ光L2の光量に関する検出値を光検出部6から受信する。当該検出値は、光拡散部4の所定領域R内における第2レーザ光L2の走査位置に対応付けられている。そして、制御部8は、当該検出値に基づいて光拡散部4の所定領域Rの状態を判断する(ステップS25)。より具体的には、制御部8は、光拡散部4の所定領域R内における第2レーザ光L2の走査位置に対応付けて、第2レーザ光L2の光量に関する基準値を記憶している。制御部8は、光拡散部4の所定領域R内における第2レーザ光L2の走査位置に応じて、当該位置に対応する検出値と基準値とを比較する。制御部8は、基準値から所定範囲内に検出値が存在していた場合には、光拡散部4の所定領域Rの状態が正常であると判断し、そのまま処理を終了させる。
【0085】
その一方で、制御部8は、基準値から所定範囲外に検出値が存在していた場合には、光拡散部4の所定領域Rの状態として、光拡散部4の所定領域Rに不具合が生じていると判断し、投影表示の開始禁止処理を実行する(ステップS26)。制御部8は、投影表示の開始禁止処理として、投影表示開始の入力信号を受信した場合であっても、各第1出射部21a,21b,21cに第1レーザ光L1の出射を開始させない。
【0086】
これにより、不具合が生じた光拡散部4の所定領域Rによって投影表示が開始されるのを禁止し、投影表示を見る者の眼に負担が与えられるのを防止することができる。なお、制御部8は、投影表示処理を終了する毎に第2レーザ光L2の検出処理を毎回実行する必要はなく、例えば、投影表示処理を複数回終了する毎に第2レーザ光L2の検出処理を1回実行してもよい。
【0087】
なお、上記各実施形態の投影表示装置1においては、投影表示前又は投影表示後に上記第2レーザ光L2の検査処理等を行う際に、光源2から出射されるレーザ光が投影表示装置1の外部に出射され、投影表示を見る者の眼に負担が与えられるおそれがある。このため、投影表示装置1は、光L0の光路上に進退可能なシャッタを更に備えていることが好ましい。これにより、第2レーザ光L2を確実に検出するためにレーザ光の出射光量を上げた場合であっても、シャッタを光L0の光路上に位置させることによって、投影表示を見る者の眼に負担が与えられるのを防止することができる。
【0088】
なお、制御部8は、投影表示の中止処理の一形態である投影表示の開始禁止処理として、例えば、投影表示開始の入力信号を受信しても、走査用駆動ミラー3を動作させない処理を実行したり、上述したシャッタ19を第1レーザ光L1の光路上から移動させない処理を実行したりする。
【0089】
また、上述した投影表示装置1は、車載タイプに限定されず、ヘルメット内蔵タイプ、眼鏡タイプ等、様々な場面で用いることができる。