【実施例】
【0025】
次に、実施例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
1.評価方法
【0026】
(1)耐ブロッキング性試験
50mm×50mmに切り出したフィルム積層体2枚を、樹脂層面と非樹脂層面とが接触するように重ね、ステンレス平板に挟んで平らな面に置き、10kgのおもりをのせて60℃で24時間以上静置した後、おもりとステンレス平板を取り除き、フィルム面のブロッキング状態を、以下の基準で評価した。
○:ブロッキングが見られる。
×:ブロッキングが見られない。
【0027】
(2)インキ密着性
ヒューレット・パッカード社製 Indigo WS6600を用いて、印刷後、セロテープ(登録商標)剥離試験にて、インキ密着性を、以下の基準で評価した。印刷機使用時にはプライミング工程部(プライミングステーション)を不使用とした。
○:剥がれなし。
×:剥がれあり。
【0028】
(3)ガラス転移温度、融点
樹脂10mgをサンプルとして用いて、示差走査型熱量計(PerkinElmer社製 Pyris1 DSC)を用いて昇温速度20℃/分で260℃まで昇温し、昇温曲線中のガラス転移に由来する2つの折曲点温度の中間値をガラス転移温度とし、吸熱ピークのトップを融点とした。
【0029】
(4)酸価
変性ポリエステル樹脂水性分散体または変性ポリオレフィン樹脂水性分散体10gを120℃で加熱し、固形分として樹脂を取り出した。
変性ポリエステル樹脂水性分散体から樹脂を取り出した場合、変性ポリエステル樹脂0.5gを精秤し、水/1,4-ジオキサン=1/9(体積比)50mLに室温で溶解し、クレゾールレッドを指示薬として0.1Nの水酸化カリウムメタノール溶液で滴定し、中和に消費された変性ポリエステル樹脂1gあたりの水酸化カリウムのmg数(mgKOH/g)を酸価とした。
また、変性ポリオレフィン樹脂水性分散体から樹脂を取り出した場合、変性ポリオレフィン樹脂0.5gを精秤し、テトラヒドロフラン50mLに室温で溶解し、クレゾールレッドを指示薬として0.1Nの水酸化カリウムメタノール溶液で滴定し、中和に消費された変性ポリオレフィン樹脂1gあたりの水酸化カリウムのmg数(mgKOH/g)を酸価とした。
【0030】
2.塗工液
(1)変性ポリエステル樹脂水性分散体
1.KZA−6034(ユニチカ社製エリーテル、ガラス転移温度72℃)
2.KZA−5034(ユニチカ社製エリーテル、ガラス転移温度67℃)
3.KA−0134(ユニチカ社製エリーテル、ガラス転移温度41℃)
4.Z−565(呉応化学社製プラスコート、ガラス転移温度64℃)
5.Z−690(呉応化学社製プラスコート、ガラス転移温度110℃)
(2)変性ポリオレフィン樹脂水性分散体
1.SB−1010(ユニチカ社製アローベース、融点83℃)
2.SA−1200(ユニチカ社製アローベース、融点100℃)
3.SE−1200(ユニチカ社製アローベース、融点93℃)
(3)架橋剤
1.サイメル325(日本サイテックインダストリーズ社製、メラミン系)
(4)界面活性剤
1.オルフィンE1004(日信化学工業社製、アセチレングリコール系)
【0031】
参考例1
KZA−6034を固形分濃度が12質量%になるように純水で希釈し、塗工液を作製した。
ポリエチレンテレフタレート樹脂(日本エステル社製、固有粘度0.6)を、Tダイを備えた押出機(75mm径、L/Dが45の緩圧縮タイプ単軸スクリュー)を用いて、シンリンダー温度260℃、Tダイ温度280℃でシート状に押出し、表面温度25℃に調節された冷却ロール上に密着させて急冷し、厚み120μmの未延伸フィルムを得た。続いて、90℃で縦方向に3.4倍延伸させた後、グラビアロール式コーターに導き、メイヤーバー法と組み合わせることにより、上記塗工液を、乾燥後の樹脂層厚みが0.2μmになるように塗布した。その後、温度90℃で2秒間予熱した後、横方向に3.5倍の倍率で延伸し、横方向弛緩率を2%として、フィルム積層体を得た。得られたフィルム積層体の基材の厚みは12μmであった。
得られたフィルム積層体の評価結果を表1に示す。
【0032】
実施例2〜
4、実施例6、比較例1〜6
、参考例1、5
塗工液の各成分の配合比を表1に示すように変更する以外は、
参考例1と同様の操作をおこない、フィルム積層体を得た。
得られたフィルム積層体の評価結果を表1に示す。
【0033】
【表1】
【0034】
実施例
2〜4、6のフィルム積層体は、インキ密着性に優れていた。また、耐ブロッキング性にも優れていた。
比較例1、2、5のフィルム積層体は、樹脂層に用いた樹脂のガラス転移温度または融点が、本発明で規定する範囲よりも低かったため、耐ブロッキング性が不良であった。
比較例3、4、6のフィルム積層体は、樹脂層に用いた樹脂のガラス転移温度または融点が、本発明で規定する範囲よりも高かったため、インキ密着性が不良であった。