特許第6309754号(P6309754)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6309754
(24)【登録日】2018年3月23日
(45)【発行日】2018年4月11日
(54)【発明の名称】レーザレーダ装置
(51)【国際特許分類】
   G01S 7/481 20060101AFI20180402BHJP
   B60R 21/00 20060101ALI20180402BHJP
   G02B 26/12 20060101ALI20180402BHJP
【FI】
   G01S7/481 A
   B60R21/00 621D
   G02B26/12
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-267648(P2013-267648)
(22)【出願日】2013年12月25日
(65)【公開番号】特開2015-125007(P2015-125007A)
(43)【公開日】2015年7月6日
【審査請求日】2016年8月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(73)【特許権者】
【識別番号】000003609
【氏名又は名称】株式会社豊田中央研究所
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】磯野 雅史
(72)【発明者】
【氏名】松原 弘幸
【審査官】 請園 信博
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−009422(JP,A)
【文献】 特開2014−071038(JP,A)
【文献】 特開平11−326499(JP,A)
【文献】 特開2006−105742(JP,A)
【文献】 実開昭60−163417(JP,U)
【文献】 特開平05−182000(JP,A)
【文献】 特開2002−196273(JP,A)
【文献】 米国特許第04204122(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 21/00 − 21/13
21/34 − 21/38
G01B 11/00 − 11/30
G01C 1/00 − 15/14
G01S 7/48 − 7/51
17/00 − 17/95
G02B 26/10 − 26/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸(4d)に対する倒れ角がそれぞれ異なる複数のミラー面(4e)を有し、前記回転軸(4d)を中心として回転可能なポリゴンミラー(4b)と、
前記ポリゴンミラー(4b)に対して出射光を出射する光源(10)と、
前記ポリゴンミラー(4b)によって反射された入射光を受光する受信部(20)と、
前記受信部が受光した入射光に基づき出射光を反射した物標との相対関係を示す相対値を測定する制御部(30)と、
を備え、
前記ポリゴンミラー(4b)は、前記回転軸(4d)を中心とした回転時には、前記光源(10)から出射された出射光を前記ミラー面(4e)で反射して左右方向に走査させながら、出射光が当たるミラー面(4e)が変わる毎に出射光を走査する方向を上下に変化させ、出射光の照射方向から到来する入射光を出射に用いたミラー面(4e)で受光レンズ(4c)へ反射し、
前記複数のミラー面(4e)のうちの一つ以上(4e)(以下ミラー面A)の面積SAと他の前記ミラー面(4e)(以下ミラー面B)の面積SBとの間には「SA>SB」との関係が成り立つよう構成されており、
前記ポリゴンミラーの回転中心は前記ミラー面A上を通過すること
を特徴とするレーザレーダ装置(1)。
【請求項2】
請求項1に記載のレーザレーダ装置(1)において、
前記ミラー面A(4e)は、出射光の照射方向から到来する入射光を前記受光レンズ(4c)に反射するミラー面(4e)として構成されていること
を特徴とするレーザレーダ装置(1)
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のレーザレーダ装置(1)において、
前記ポリゴンミラー(4b)の前記回転軸(4d)に沿った方向の両方の端部のうちの一方の端部を前端部とし、他の端部を後端部とした場合に、当該ポリゴンミラー(4b)の前端部には、前記回転軸(4d)に直交する平面(4f)が形成されており、
前記平面(4f)は、その重心が当該ポリゴンミラーの回転中心から外れた箇所に位置すること
を特徴とするレーザレーダ装置(1)
【請求項4】
請求項1〜請求項3の何れか1項に記載のレーザレーダ装置(1)において、
前記ポリゴンミラー(4b)の前記回転軸(4d)に沿った方向の両方の端部のうちの一方の端部を前端部とし、他の端部を後端部とした場合に、前記回転軸(4d)は、当該ポリゴンミラー(4b)の前端部からは突出しないよう構成されていること
を特徴とするレーザレーダ装置(1)
【請求項5】
請求項1〜請求項4の何れか1項に記載のレーザレーダ装置(1)において、
前記ポリゴンミラー(4b)の前記回転軸(4d)に沿った方向の両方の端部のうちの一方の端部を前端部とし、他の端部を後端部とした場合に、前記回転軸(4d)に直交する面と前記ミラー面A(4e)とがなす角度αと、前記回転軸(4d)に直交する面と前記ミラー面B(4e)とがなす角度βとの間には、当該ポリゴンミラー(4b)の前端側が相対的に上側になるとともに当該ポリゴンミラー(4b)の後端側が相対的に下側になる場合には前記角度αの値が前記角度βの値よりも大きく、当該ポリゴンミラー(4b)の前端側が相対的に下側になるとともに当該ポリゴンミラー(4b)の後端側が相対的に上側になる場合には前記角度αの値が前記角度βの値よりも小さくなること
を特徴とするレーザレーダ装置(1)
【請求項6】
請求項1〜請求項5の何れか1項に記載のレーザレーダ装置(1)において、
前記ミラー面A(4e)は、前記複数のミラー面(4e)の半数以下であること
を特徴とするレーザレーダ装置(1)
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自車両の前方に位置する物標を検出し、これらの物標と自車両との相対距離や相対速度を測定する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ポリゴンミラーに高反射率面と低反射率面とを形成することにより、反射波の強度が高すぎるときには低反射率面を使用して受光信号が所定の閾値を上回らないようにする点が記載されている。
【0003】
また、特許文献2には、ポリゴンミラーに当たる角度により受光量を変化させる点、水平方向の走査には別途ガルバノミラーを用いる点が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−77379号公報
【特許文献2】特開2011−257193号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記特許文献1,2に記載の技術には、次のような問題があった。
まず、特許文献1に記載の技術では、反射波の強度が高すぎるときに低反射率面を使用して受光量を下げるため、近距離に存在する物体を検出する場合には好適であるが、遠距離に存在する物体を検出するために受光量を上げるという要請には応えることができないという問題があった。
【0006】
また、特許文献2に記載の技術では、ポリゴンミラーに当たる角度により受光量を変化させるため、受光量を下げることが可能であり、近距離に存在する物体を検出する場合には好適であるが、遠距離に存在する物体を検出するために受光量を上げるという要請には応えることができないという問題があった。また、特許文献2に記載の技術では、水平方向の走査には別途ガルバノミラーを用いるため、構成が複雑になるという問題があった。
【0007】
本発明は、このような課題に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、簡単な構成で、遠距離に存在する物体を精度良く検出するとともに、より遠距離に存在する物体の検出を可能とする技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するためになされた本発明によれば、複数のミラー面(4e)のうちの一つ以上(4e)(以下ミラー面A)の面積SAと他のミラー面(4e)(以下ミラー面B)の面積SBとの間には次の式(1)の関係が成り立つよう構成されている。
【0009】
SA>SB・・・式(1)
このことにより、ミラー面A(5b)がミラー面B(5b)よりも多くの入射光を受光することができるので、このミラー面A(5b)を用いれば、遠距離に存在する物体を検出するために受光量を上げることができる。また、特許文献2に記載の技術とは異なり、ガルバノミラーなどの構成を備える必要がなく、構造が複雑になることはない。
【0010】
したがって、本発明によれば、簡単な構成で、遠距離に存在する物体を精度良く検出するとともに、より遠距離に存在する物体の検出を可能とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本実施形態のレーザレーダ装置の使用状況を示す概略図である。
図2】(a)は本実施形態のレーザレーダ装置の全体構成を示す概略図であり、(b)はその光学部品の構成を示す概略図である。
図3】本実施形態のポリゴンミラーの構成を示す概略図である。
図4】本実施形態のポリゴンミラーの構成を示す概略図である。
図5】本実施形態のポリゴンミラーにおける変形割合と受光効率との関係を示すグラフである。
図6】本実施形態のポリゴンミラーにおける受光距離と受光量との関係を示すグラフである。
図7】別実施形態のポリゴンミラーの構成を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に本発明の実施形態を図面とともに説明する。
[1.レーザレーダ装置1の構成の説明]
本実施形態のレーザレーダ装置1は、図1に示すように、例えば自車両の室内に設置され、自車両の前方に位置する先行車などの他車両や歩行者、車線、障害物といった物標を検出し、これらの物標と自車両との相対距離や相対速度を測定する測距装置として構成されている。
【0013】
このため、レーザレーダ装置1は、図2(a)に示すように、レーザ光を照射する光源としての発光部10と、発光部10によるレーザ光の照射方向から到来するレーザ光の反射光を受光する受信部20と、受信部20による受信信号に基づいて、レーザ光を反射した物標との相対関係を示す相対値(相対距離や相対速度など)を測定する制御部30と、発光部10により出射されるレーザ光の走査および入射される反射光を受信部20に導く光路の調整を行う光学部品40と、光学部品40を駆動する駆動部50と、を備え、これら発光部10、受信部20、制御部30、光学部品40および駆動部50が筐体2に収容されることにより構成されている。なお、筐体2には、レーザ光を筐体2の外部(自車両の前方)に出射し、筐体2の外部(自車両の前方)から到来する反射光を入射するためのスリット2aと、スリット2aの上方に後述する校正用のレーザ光を光学部品40に向けて反射する角度を有するコーナー部2bとが設けられている。
【0014】
[2.光学部品40および駆動部50の構成の説明]
次に、光学部品40および駆動部50の各構成について図2(b)を参照しながら説明する。
【0015】
光学部品40は、発光部10の後方に位置する反射ミラー4aと、反射ミラー4aの上方に位置するポリゴンミラー4bと、反射ミラー4aの後方に位置し、受信部20の前方に位置する受光レンズ4cとによって構成される。
【0016】
なお、本実施形態では、ポリゴンミラー4bは、そのミラー面4eが下向きになる姿勢で配置されており、他の構成もこれに合わせた配置となっている。
反射ミラー4aは、発光部10から出射されたレーザ光(出射光)を反射し、出射光の光路を進行方向に対して上方に変化させることによって、出射光をポリゴンミラー4bに導くとともに、ポリゴンミラー4bを介して入射されたレーザ光(入射光)を反射し、入射光の光路を進行方向に対して後方に変化させることによって、入射光を受光レンズ4cに導くように配置されている。
【0017】
受光レンズ4cは、反射ミラー4aを介して入射されたレーザ光(入射光)を集束させることによって、入射光を受信部20に導くように配置されている。
ポリゴンミラー4bは、回転軸に対する倒れ角がそれぞれ異なる複数のミラー面4eを有し、駆動部50によって駆動されると、一定の回転速度で回転軸4dを中心に回転するよう構成されている。そして、ポリゴンミラー4bは、回転軸4dを中心とした回転時には、光源としての発光部10から反射ミラー4aを介して出射されたレーザ光(出射光)を左右方向(ヨー方向)に走査させながら、出射光が当たるミラー面4eが変わる毎に出射光を上下方向(ピッチ方向)に走査させ、出射光の照射方向から到来する入射光を出射に用いたミラー面4eで受光レンズ4cへ反射するよう構成されている。
【0018】
なお、本実施形態のポリゴンミラー4bは、3面ポリゴンであり、三つのミラー面4eのうちの一つが遠方から到来する入射光を受光レンズ4cに反射する遠距離用のミラー面4e(ミラー面A)として構成され、他の二つのミラー面4eが近くから到来する入射光を受光レンズ4cに反射する近距離用のミラー面4e(ミラー面B)として構成されている(図3参照)。また、ポリゴンミラー4bの前端部には、回転軸4dに直交する平面(前端面)4fが形成されている。そして、ポリゴンミラー4bにおいては、三つのミラー面4eの走査角度が均等となるよう構成されているが、ポリゴンミラー4bの前端部の前端面4fの重心が当該ポリゴンミラー2bの回転中心から外れた箇所に位置しており、遠距離用のミラー面4eと近距離用のミラー面4eの面積比は2倍以上(図4の例では2:0.7)に設定されており、遠距離用のミラー面4eの面積SAが近距離用のミラー面4eの面積SBよりも大きく(SA>SB)なっている(図4参照)。
【0019】
また、ポリゴンミラー4bは、筐体2内部において、当該ポリゴンミラー4bの前端側が下側になるとともに当該ポリゴンミラー4bの後端側が上側になる姿勢(当該ポリゴンミラー4bのミラー面4eおよび前端面4fが下向きになる姿勢)に配置されており(図2参照)、前端面4fと遠距離用のミラー面4eとがなす角度αが、前端面4fと近距離用のミラー面4eとがなす角度βよりも大きくなるよう設定されている(図3参照)。また、ポリゴンミラー4bにおいては、回転軸4dが当該ポリゴンミラー4bの前端部からは突出しないよう構成されている(図3参照)。
【0020】
駆動部50は、図示しないモータおよび駆動回路によって構成され、制御部30からの指令に従った方向にレーザ光を照射させるように、ポリゴンミラー4bを回転軸4dを介して駆動する。
【0021】
[3.発光部10、受信部20および制御部30の構成の説明]
次に、発光部10、受信部20および制御部30の構成について図2(b)を参照しながら説明する。
【0022】
発光部10は、図示しない半導体レーザダイオードおよび駆動回路によって構成され、制御部30からの指令に従ったタイミング(周期)でレーザ光を照射する。
受信部20は、受光した光量を示す電気的信号を制御部30に供給する。
【0023】
制御部30は、CPU,ROM,RAMを有する周知のマイクロコンピュータ(以下「マイコン部」という)30aと、受信部20から供給される受信信号の強度(信号レベル)を測定し、その測定結果をマイコン部30aに伝達する信号処理部30bとを備えて構成される。なお、制御部30は、マイコン部30aではなく、FPGAやロジックICなどのハードウェアによって各種処理を行う構成でもよい。
【0024】
マイコン部30aでは、CPUが、ROMに記憶されたプログラムに基づいて、RAMを作業エリアとして用い、レーザ光を反射した物標との距離を測定する測距処理を実行する。なお、プログラムは、ROMに限らず、CPUにて読み取り可能なあらゆる形態の記録媒体に記録されて用いられる。この記録媒体としては、例えば、持ち運び可能な半導体メモリ(例えばUSBメモリ、メモリカード(登録商標)等)などが含まれる。
【0025】
また、マイコン部30aは、駆動部50にレーザ光の照射方向を示す指令(照射方向指令)を出力することにより駆動部50を制御し、発光部10にレーザ光の照射タイミングを示す指令(照射タイミング指令)を出力することにより発光部10を制御するように構成されている。
【0026】
そして、マイコン部30aは、自車両のバッテリから電源が供給された状態で、例えばユーザの操作によって立ち上げられると、測距処理を開始する。なお、測距処理を行う際には、マイコン部30aは、筐体2のスリット2aを抜けて自車両の外部(前方)にレーザ光を照射させる照射方向指令を駆動部50に出力し、発光部10に所定のタイミングで照射タイミング指令を出力することにより、レーザ光を自車両の前方に照射させる。そして、測距処理では、レーザ光を照射したタイミング(照射タイミング指令を出力したタイミング)と、そのレーザ光の照射方向から到来するレーザ光の反射光を受光したタイミング(受信部20から増倍後の受信信号を入力したタイミング)との時間差に基づいて、レーザ光を反射した物標と自車両との距離を測定する。また、駆動部50に出力した照射方向指令が、レーザ光の照射方向(つまり、物標の方位)を示すため、物標との距離(相対距離)および物標の方位によって、自車両に対する物標の位置を特定することができ、同一の物標の位置を連続的に検出することによって、物標の移動方向や速度(相対速度)を測定することができる。
【0027】
[4.実施形態の効果]
次に、本実施形態の効果について説明する。
(1)図5は、本実施形態のポリゴンミラー4bにおける変形割合と受光効率との関係を示すグラフである。ここでは、対称系のポリゴンミラーをベースに外径はそのままで、ポリゴンミラー4bを非対称にしていった場合の変形割合と受光効率を計算してグラフにしている。このグラフが示すように、ポリゴンミラー4bにおける変形割合を増加させると遠距離用のミラー面4eの受光効率(受光量)がそれにつれて増加し、一方、近距離用のミラー面4eの受光効率(受光量)がそれにつれて減少するのがわかる。
【0028】
(2)また、図6は、本実施形態のポリゴンミラー4bにおける受光距離と受光量との関係をグラフにしたものである。従来の(対称系の)ポリゴンミラーでは物標の検出に適切な光量の範囲(適正光量範囲)に対して、遠距離からの受光量が大幅に少なく、近距離からの受光量が大幅に多い状態にあった。これに対して、本実施形態のポリゴンミラー4bを使用することで、遠距離からの受光量および近距離からの受光量の双方を上記適正光量範囲に近づけることができ、遠距離での物標検出の能力および近距離での物標検出の能力を共に向上させることができる。
【0029】
(3)そして、本実施形態のレーザレーダ装置1によれば、ポリゴンミラー4bにおける遠距離用のミラー面4eと近距離用のミラー面4eの面積比が2倍以上に設定されており、このように遠距離用のミラー面4eの面積SAが近距離用のミラー面4eの面積SBよりも大きくなっていることから(SA>SB)、遠距離用のミラー面4eが近距離用のミラー面4eよりも多くの入射光を受光することができるので、この遠距離用のミラー面4eを用いれば、遠距離に存在する物体を検出するために受光量を上げることができる。また、特許文献2に記載の技術とは異なり、ガルバノミラーなどの構成を備える必要がなく、構造が複雑になることはない。したがって、簡単な構成で、遠距離に存在する物体を精度良く検出するとともに、より遠距離に存在する物体の検出を可能とすることができる。
【0030】
[5.他の実施形態]
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、以下のような様々な態様にて実施することが可能である。
【0031】
(1)上記実施形態のポリゴンミラー4bは、当該ポリゴンミラー4bの前端側が下側になるとともに当該ポリゴンミラー4bの後端側が上側になる姿勢(当該ポリゴンミラー4bのミラー面4eおよび前端面4fが下向きになる姿勢)に配置されており(図2参照)、前端面4fと遠距離用のミラー面4eとがなす角度αが、前端面4fと近距離用のミラー面4eとがなす角度βよりも大きくなるよう設定されているが、これには限られず、当該ポリゴンミラー4bの前端側が上側になるとともに当該ポリゴンミラー4bの後端側が下側になる姿勢(当該ポリゴンミラー4bのミラー面4eおよび前端面4fが上向きになる姿勢)に配置され、前端面4fと遠距離用のミラー面4eとがなす角度αが、前端面4fと近距離用のミラー面4eとがなす角度βよりも小さくなるよう設定してもよい。
【0032】
(2)また、遠距離用のミラー面4eの数量については全ミラー面4eの半数以下であればよく、例えばポリゴンミラー4bが4面ポリゴンまたは5面ポリゴンである場合には、遠距離用のミラー面4eの数量を2つ以下に設定し、ポリゴンミラー4bが6面ポリゴンである場合には、遠距離用のミラー面4eの数量を3つ以下に設定するといった具合である。
【0033】
(3)例えば、ポリゴンミラー4bが4面ポリゴンである場合には、図7に例示するように、四つのミラー面4eのうちの二つが遠距離用のミラー面4eとして構成され、他の二つのミラー面4eが近距離用のミラー面4eとして構成されるが、四つのミラー面4eの走査角度が均等となり、ポリゴンミラー4bの前端面4fの重心が回転軸4dから外れた箇所に位置するよう構成されるといった具合である。このポリゴンミラー4bにおいては、回転軸4dが当該ポリゴンミラー4bの前端部からは突出しないよう構成されている。さらに、このポリゴンミラー4bにおいては、当該ポリゴンミラー4bの前端側が下側になるとともに当該ポリゴンミラー4bの後端側が上側になる姿勢(当該ポリゴンミラー4bのミラー面4eおよび前端面4fが下向きになる姿勢)に配置されており、前端面4fと遠距離用のミラー面4eとがなす角度αが、前端面4fと近距離用のミラー面4eとがなす角度βよりも大きくなるよう設定されている。なお、ポリゴンミラー4bを、当該ポリゴンミラー4bの前端側が上側になるとともに当該ポリゴンミラー4bの後端側が下側になる姿勢(当該ポリゴンミラー4bのミラー面4eおよび前端面4fが上向きになる姿勢)に配置し、前端面4fと遠距離用のミラー面4eとがなす角度αが、前端面4fと近距離用のミラー面4eとがなす角度βよりも小さくなるよう設定してもよい。
【0034】
また、ミラー面4eの面積は2段階だけではなく、すべてのミラー面4eの面積を変えても良い。これは、検知距離範囲は、俯角によって連続的に変わるので、ポリゴンミラー4bのミラー面4eも、俯角に合わせて面積を変えるとよい。
【符号の説明】
【0035】
1…レーザレーダ装置、2…筐体、2a…スリット、2b…コーナー部、4a…反射ミラー、4b…ポリゴンミラー、4c…受光レンズ、4d…回転軸、4e…ミラー面、4f…平面(前端面)、10…発光部、20…受信部、30…制御部、30a…マイコン部、30b…信号処理部、40…光学部品、50…駆動部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7