(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6309813
(24)【登録日】2018年3月23日
(45)【発行日】2018年4月11日
(54)【発明の名称】コレクター式塗布具
(51)【国際特許分類】
A45D 34/04 20060101AFI20180402BHJP
B05C 17/00 20060101ALI20180402BHJP
【FI】
A45D34/04 525
B05C17/00
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-88205(P2014-88205)
(22)【出願日】2014年4月22日
(65)【公開番号】特開2015-2984(P2015-2984A)
(43)【公開日】2015年1月8日
【審査請求日】2017年2月2日
(31)【優先権主張番号】特願2013-106739(P2013-106739)
(32)【優先日】2013年5月21日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005957
【氏名又は名称】三菱鉛筆株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112335
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 英介
(74)【代理人】
【識別番号】100101144
【弁理士】
【氏名又は名称】神田 正義
(74)【代理人】
【識別番号】100101694
【弁理士】
【氏名又は名称】宮尾 明茂
(74)【代理人】
【識別番号】100124774
【弁理士】
【氏名又は名称】馬場 信幸
(72)【発明者】
【氏名】大場 茂樹
【審査官】
長清 吉範
(56)【参考文献】
【文献】
実開平6−53186(JP,U)
【文献】
国際公開第2001/043986(WO,A1)
【文献】
国際公開第2010/143325(WO,A1)
【文献】
実用新案登録第2509396(JP,Y2)
【文献】
米国特許第5904433(US,A)
【文献】
実開昭63−133375(JP,U)
【文献】
特許第4066545(JP,B2)
【文献】
登録実用新案第3137562(JP,U)
【文献】
実公平5−38867(JP,Y2)
【文献】
特開平6−166290(JP,A)
【文献】
特開2004−42292(JP,A)
【文献】
特開2000−153692(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45D 34/04
B05C 17/00
B43K 5/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
先軸と先軸の後部側の軸本体とが嵌合する軸体とを有し、軸体内の前部に櫛歯状に形成されたコレクターが配置され、軸体内の後部に収容空間内に塗布液が収容されるコレクター式塗布具において、
コレクターが先軸及び軸本体によって覆われて軸体内に保持される構造であり、径方向に沿って外周からコレクター内の中空部内周に渡って貫通孔を形成し、貫通孔の反対側に各インク一時貯留部と連通するインク縦溝を有することを特徴とするコレクター式塗布具。
【請求項2】
コレクターの後部の外径は前部の外径よりも太く、コレクターの複数枚毎のフィン同士の間には、先軸の内面に当接する厚肉の支持壁が形成され、支持壁によって段階的にコレクターの外径を異ならせると共に、筆記部にコレクター内の中芯を介して収容空間内の塗布液が誘導されるものであり、コレクター後端部から収容空間内に中芯が突出していないことを特徴とする請求項1記載のコレクター式塗布具。
【請求項3】
コレクターの前部の外周と、先軸内壁とは気密に接していると共に、コレクター前端の椀状部外周に接する前記先軸外周には空気置換孔が穿設形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のコレクター式塗布具。
【請求項4】
筆記部と当接するコレクター先端部に薄肉状の弾性突起を形成すると共に、筆記部にコレクター内の中芯を介して収容空間内の塗布液が誘導されるものであり、コレクター内の中空部に内側に向けて複数のリブを形成し、この中空部内に中芯が挿入されていることを特徴とする請求項1から3何れか1項記載のコレクター式塗布具。
【請求項5】
軸本体の前後方向の略中央部に中間壁を形成し、前記中間壁の径方向の中央には前後に突起が突出形成されたことを特徴とする請求項1から4何れか1項記載のコレクター式塗布具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粘度の低い化粧液を収容したコレクター式の塗布具、特にスタイリッシュな外観を重要視するアイライナーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コレクター式の塗布具は周知の技術であるが、市場の多様性によって持ち運びやデザイン性を重視することから細身の塗布具が好ましくなっている。
【0003】
コレクター式の塗布具はインクタンクに中綿を用いた塗布具と比較して使い始めから使い終わりまで安定した流出量を得ることができるが、インクの保持量や空気置換を必要とすることからコレクターはある程度の大きさを必要とするため、細身の塗布具としては不適であった。
【0004】
そこで、外径が細いことを課題として解決を図ったコレクター式の塗布具が開示されている(実公平8−10405号(特許文献1))。
【0005】
なお、小型化に関し、コレクター式の筆記具でコレクターのフィン間の距離が0.1mm〜0.5mmのものが開示されている(特開2005−7740号(特許文献2)の段落〔0017〕参照)。
【0006】
また、コレクターの外径が直径7mm〜8mm、全長20mm〜28mmである筆記具が開示されている(特開
平10−119479号(特許文献3)の段落〔0015〕、〔0016〕参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実公平8−10405号公報
【特許文献2】特開2005−7740号公報
【特許文献3】特開平10−119479号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、特許文献1のコレクター式塗布具では、インクタンクを接続する必要があることによる結果、コレクターが太くなってしまう問題がある。
【0009】
さらに、細軸のコレクター式塗布具は直流漏れや吹き出しの問題があり、また大型のコレクターにすると塗布量が著しく減少して塗布できる距離が短くなってしまう。
【0010】
すなわち、特許文献3のように、外径9mm未満の細軸の粘度の低い塗布液を収容した塗布具は実現することが困難であった。
【0011】
そこで、本発明は細軸の塗布具でありながら塗布液漏れを解消したコレクター式塗布具を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、先軸と先軸の後部側の軸本体とが嵌合する軸体とを有し、軸体内の前部に櫛歯状に形成されたコレクターが配置され、軸体内の後部に収容空間内に塗布液が収容されるコレクター式塗布具において、
コレクターが先軸及び軸本体によって覆われて軸体内に保持される構造であることを特徴とするコレクター式塗布具である。
【0013】
本発明において、コレクターの後部の外径は前部の外径よりも太いことが好適である。
また、コレクターの複数枚毎のフィン同士の間には、先軸の内面に当接する厚肉の支持壁が形成され、支持壁によって段階的にコレクターの外径を異ならせることが好適である。
【0014】
本発明において、コレクターの前部の外周と、先軸内壁とは気密に接していることが好適である。
【0015】
本発明において、筆記部にコレクター内の中芯を介して収容空間内の塗布液が誘導されるものであり、コレクター後端部から収容空間内に中芯が突出していないことが好適である。
【0016】
本発明において、筆記部と当接するコレクター先端部に薄肉状の弾性突起を形成したことが好適である。
【0017】
本発明において、筆記部にコレクター内の中芯を介して収容空間内の塗布液が誘導されるものであり、コレクター内の中空部に内側に向かう複数のリブを形成し、この中空部内に中芯が挿入されていることが好適である。また、中空部は貫通孔に連通し、貫通孔の反対側に各インク一時貯留部と連通するインク縦溝を有することが望ましい。
【発明の効果】
【0018】
本発明の塗布具によれば、コレクター式塗布具において、コレクターを先軸及び軸本体とで保持することによって、先軸からコレクターを突出させてコレクターのインク貯留量を確保できるため、コレクターの本来の性能を生かしつつ細軸の塗布具を実現することができる。
【0019】
なお、本発明において、コレクターの後部の外径は前部の外径よりも太いものとすることによって、コレクターの本来の性能を生かしつつ細軸の塗布具を実現することができる。また、コレクターの複数枚毎のフィン同士の間には、先軸の内面に当接する厚肉の支持壁を形成し、支持壁を介して段階的にコレクターの外径を異ならせることによって、先軸のテーパ形状を容易とし、また支持壁を利用して成形時の際の離型性を向上させることができる。
【0020】
また、本発明において、コレクターの前部の外周と、先軸内壁とは気密に接することで先軸内部を塗布液貯留部の容積を増やしつつ、塗布部からの塗布液漏洩を防ぐことができる。
【0021】
また、本発明において、コレクター後端部から中芯という毛管部材が収容空間内に突出していないものにすることによって、軸内の塗布液量を増やすことができる。
【0022】
また、本発明において、筆記部と当接するコレクター先端部に薄肉状の弾性突起を形成し筆記部の後端面に円周状に当接することで、前記弾性突起の弾性力によって筆記部を柔軟な力で固定することができる。
【0023】
また、本発明において、コレクターの中空部に内側に向けて複数のリブを突出等して形成し、この中空部内に中芯が挿入されているリブによって中芯を保持することで中空部と中芯との間に空間を設け、したがって、この空間によって空気置換が容易になるようにして、塗布液の塗出能力の向上に寄与することができる。
【0024】
なお、本発明により、細軸にしても従来の太軸と同様の性能を有する塗布具、特にアイライナーを実現できる。塗布具をアイライナーとした場合、スタイリッシュな外観を備え、コレクター式にすることで使い終わりまで濃く、クッキリとしたアイラインを描くことができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係るコレクター式塗布具の説明図であって、(a)が全体斜視図、(b)が全体断面図である。
【
図2】同コレクター式塗布具のキャップを外した状態の説明図であって、(a)が全体斜視図、(b)が全体断面図である。
【
図3】同コレクター式塗布具の筆記部側の部品図であって、(a)がスリット側から見た側面図、(b)が同縦断面図、(c)が(a)から90°回転させた状態の側面図、(d)が同縦断面図である。
【
図4】同コレクター式塗布具の先軸の部品図であって、(a)が前面図、(b)が斜視図、(c)が側面図、(d)が縦断面図、(e)が後面図である。
【
図5】同コレクター式塗布具のコレクターの部品図であって、(a)が前面図、(b)が側面図、(c)が縦断面図、(d)がスリット側からの側面図、(e)が(d)の状態の縦断面図、(f)が後面図である。
【
図6】同コレクター式塗布具のコレクターの斜視図であって、(a)が前方からの斜視図、(b)が後方からの斜視図である。
【
図7】本発明の他の実施形態(第2の実施形態)に係るコレクター式塗布具の説明図であって、(a)が全体側面図、(b)が全体縦断面図である。
【
図8】
図7に係るコレクター式塗布具のキャップを外した状態の説明図であって、(a)が全体側面図、(b)が全体縦断面図、(c)が筆記部からコレクターにかけての部分の拡大縦断面図である。
【
図9】本発明のさらに他の実施形態(第3の実施形態)に係るコレクター式塗布具の説明図であって、(a)が全体側面図、(b)が全体縦断面図である。
【
図10】
図9に係るコレクター式塗布具のキャップを外した状態の説明図であって、(a)が全体側面図、(b)が全体縦断面図、(c)が(b)のC−C線に沿う横断面図、(d)が筆記部からコレクターにかけての部分の拡大縦断面図である。
【
図11】同コレクター式塗布具のコレクターの部品図であって、(a)が(e)のA−A線に沿う横断面図、(b)が(e)のB−B線に沿う横断面図、(c)が前面図、(d)が側面図、(e)が縦断面図、(f)がスリット側からの側面図、(g)が(f)の状態の縦断面図、(h)が後面図である。
【
図12】同コレクター式塗布具のコレクターの斜視図であって、(a)が前方からの斜視図、(b)が後方からの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の実施形態について、図面を参照して以下に説明する。
【0027】
(第1の実施形態)
図1は本発明の第1の実施形態に係るコレクター式塗布具の全体説明図、
図2は該コレクター式塗布具のキャップを外した状態説明図、
図3は同コレクター式塗布具の筆記部側の部品図、
図4は先軸の部品図、
図5はコレクターの部品図、
図6はコレクターの斜視図である。
【0028】
図1〜
図3に示すように、第1の実施形態に係るコレクター式塗布具は、先軸10と該先軸10の後部側の軸本体12とが嵌合する軸体14とを有し、軸体14の前部に枚葉部が軸方向に複数配列された態様の櫛歯状に形成されたコレクター16が配置され、軸体14内の後部の収容空間14a内に塗布液が収容されるコレクター式塗布具である。
【0029】
前記軸体14の後部の軸本体12は、内部が連通し前後に開口したパイプ状に形成されている。前記軸体の後部でもある軸本体12の後部には、尾栓14bが嵌合して軸本体12の後部が閉鎖されており、該尾栓14bの前端とコレクター16後端とで挟まれた軸体14内空間(軸本体12内空間でもある)が収容空間14aになっている。
この収容空間14a内には、中綿等の含浸体を配置せず、直接塗布液が収容されており、また、該塗布液の攪拌をするための攪拌体(ボール等)14cが配置されている。
先軸10、軸本体12、コレクター16、キャップ20等は樹脂成形品とすることができる。また、攪拌体14cは、金属製、樹脂製等のボール材を用いることができる。
【0030】
前記コレクター16は、先軸10及び軸本体12によって覆われて保持される構造である。
【0031】
そして、先軸10の前端部の開口から、先細のテーパ状を呈した筆体からなる筆記部18が突出しており、その筆記部18を覆うキャップ20が前記先軸10に着脱自在に嵌合する構造である。前記先軸10はほぼ円錐側面形状を呈して先細く形成されており、該先軸10の先端角度は、筆記部18の先端角度と略同角度に形成することが望ましい。
【0032】
筆記部18は、樹脂繊維、天然繊維束、樹脂製多孔質体からなる先細の筆体である。筆記部18は、後端部がフランジ状に拡径しており、この拡径した箇所が先軸10内に係合して抜け止めされている。なお、筆記部18は、筆体が好適であるが、その他、塗布液を塗布する各種塗布体を使用することができる。
【0033】
キャップ20内には、筆記部18の気密性を高めるため覆うカップ状のインナーキャップ20aが前後動可能に配置され、このインナーキャップ20aを後方に付勢するスプリング20bが配置されている。
【0034】
中空の先細く形成された先軸10の内部には、筆記部18の後方に蛇腹状のコレクター16が配設されており、このコレクター16の中空部16d内に中芯22が貫通して配置されている。中芯22は、樹脂繊維束、天然繊維束、樹脂製多孔質体等の毛管部材から構成できる。
【0035】
中芯22においては、コレクター16の後端部から軸体14の収容空間14a内に中芯22が突出していない(
図1、
図2参照)。コレクター16の後端面に中芯22の後端面がほぼ一致している。中芯22を一致させることで、収容空間14a内に中芯22の後端が突出することがなく、収容空間14a内の容積を確保することができる。また、収容空間14a内に中芯22の後端が突出することがないので、攪拌体14cが収容空間14a内に設けた場合、攪拌体14cが収容空間14a内で動いても中芯22に衝突せず中芯22を変形させることないので、十分に塗布液を浸透することができる。
【0036】
先軸10の外周面には、前端部がテーパ形状で、中央部にキャップ20嵌着時の位置決め用のフランジ10aが外径方向に突出形成され、フランジ10aの前方にキャップ20嵌着用の突部10b1が、後方に軸本体12嵌着用の突部10b2が膨出形成されている。また、先軸10の突部10b1の前方には、周面を内外に貫通する空気置換孔10cが穿設形成されている(
図3参照)。
【0037】
コレクター16は、
図5、
図6に示すように、軸方向の前部には、前端に椀状部16aが形成される。また、コレクター16において、該軸方向の前部から中央部には、複数の櫛歯状のフィンが間隙を置いて配列された前側一時貯留部16bが形成される。また、前記コレクター16の前記軸方向の後部には、後側一時貯留部16cが形成されている。
【0038】
また、コレクター16内には中芯22が設けられるが、実施形態では、コレクター16の軸中心付近に壁部が形成され、その壁部中心を貫通して、中空部16dが当該壁部内に形成されている。この中空部16dを形成する壁部外周に塗布液一時貯留用のフィン(前側一時貯留部16及び後ろ側一時貯留部16c)が外径方向に展開する複数の薄板状に形成された枚葉体である。当該壁部には、中空部16dとフィンの間隙との間で塗布液を流通可能とする貫通孔24が径方向に沿って外周から中空部16d内周に渡って形成されている。
前記貫通孔24は、支持壁28に隣接して形成される。詳しくは、貫通孔24が、支持壁28とそれに最も近いフィンとの間の壁部に形成されている。
また、インク縦溝(スリット)26の形成箇所との関係では、前記貫通孔24は、コレクター16の軸を挟んでインク縦溝26の反対側に形成されている。
【0039】
また、コレクター16には、前側一時貯留部16bから後側一時貯留部16cにかけて、塗布液をフィン間隙内に誘導するための前記のインク縦溝(スリット)26が、後端部に露出して(軸体14の収容空間14a内に露出可能に)形成されている。
【0040】
また、前側一時貯留部16b及び後側一時貯留部16cの複数枚毎のフィン同士の間には、先軸10の内面に当接する厚肉の支持壁28で適宜に仕切られている。
【0041】
具体的には、前側一時貯留部16b及び後側一時貯留部16cのフィンの枚数は、全体で40〜60枚で、そのうち、前側一時貯留部16bが比率75〜85%で、後側一時貯留部16cの比率が15〜25%の枚数とする。フィン同士の間隔は、0.15〜0.3mmとすることができる。
【0042】
また、収容空間14a内に収容可能量が0.7(ml)となっている。軸体14の外径8.5(mm)コレクター16の径6.0(mm)となっている。
【0043】
前記の前側一時貯留部16bは、前記椀状部16aと同径に形成され、
図3に示すように、先軸10内に嵌入している。また、前記後側一時貯留部16cは、前側一時貯留部16bよりも外径が大径に形成され、
図3に示すように、先軸10の後端から突出した位置に形成され、
図1等に示されるよう、軸本体12の内壁面に隣接するように配置されている。
【0044】
(第2の実施形態)
図7は本発明の他の実施形態(第2の実施形態)に係るコレクター式塗布具の全体説明図、
図8は該コレクター式塗布具のキャップを外した状態説明図である。
図7〜
図8に示す第2の実施形態に係るコレクター式塗布具では、
図1〜
図6に示した前記第1の実施形態と同様部分に同一符号を付する。
【0045】
この第2の実施形態に係るコレクター式塗布具が
図1に示した第1の実施形態に係るコレクター式塗布具と異なる構成は、
図7、
図8に示すように、軸体14後部の軸本体12の前後方向の略中央部に中間壁30を形成した点である。
当該中間壁30の形成によって軸体14と尾栓14bとの間から塗布液の流出を防ぐことができる。なお、前記中間壁30には、径方向中央に前後に突起が突出形成されており、軸本体12に後部から嵌入する尾栓14bの前端面に凹所が形成されていて、前記後側の突起が凹所で逃げるように形成されている。
【0046】
また、前記異なる構成としては、コレクター16の先端部(前端部)、具体的には、椀状部16aの前端面には、円周を描く位置に薄肉状の弾性突起32を前方向きに突出形成したものである。この弾性突起32は、筆記部18の後端面に円周状に当接して、前記弾性突起32の弾性力によって筆記部18を柔軟な力で固定するものである。
【0047】
また、コレクター16の前部外周が、先軸10内壁とは気密に接している。具体的には、コレクター16の前部に形成された椀状部16aの外周面部は、先軸10内面に空気置換孔10cに近傍しかつその前方位置に凹凸嵌合する等して当接する気密部(シール部)34を形成する。気密部34は、空気置換孔10cの前方に位置するので空気置換孔10cを通った外気がコレクター16の椀状部16aより前の筆記部18側に流通せず、したがって、当該筆記部18が乾きにくくなる。もちろん、コレクター16の前側一時貯留部16bや後側一時貯留部16cに外気が充分流通できるようにしている。
【0048】
(第3の実施形態)
図9は、本発明のさらに他の実施形態(第3の実施形態)に係るコレクター式塗布具の全体説明図、
図10は該コレクター式塗布具のキャップを外した状態説明図、
図11は該コレクター式塗布具のコレクターの部品図、
図12は該コレクターの斜視図である。
図7〜
図8に示した第2実施形態に係るコレクター式塗布具と同様部分に同一符号を付している。
【0049】
この第3の実施形態に係るコレクター式塗布具が、
図7〜
図8に示した第2の実施形態に係るコレクター式塗布具と異なる構成は、
図9、
図10に示すように、尾栓14bが第2の実施形態のものより短く、軸体14と尾栓14bとの嵌合が軸体14の後端部のみで当該尾栓14bの嵌合がしている点と、コレクター16の軸中心の中空部16dと中芯22との保持において、空間36が設けられている点である。
【0050】
図10に示すように、コレクター16に中空部16dを形成する壁部には、周方向にほぼ等間隔で三本のリブ(リブの本数は三本以上の複数が好ましい)38が当該壁部の内面から軸中心に向けて突出形成されている。
【0051】
前記中空部16dに中芯22に装着された状態では、前記の三本のリブ38の突出端が中芯22に接して支持することによって当該中芯22が座屈しないように保持する。具体的には、リブ38は、コレクター16に中空部16dを形成する壁部の内周面に、当該中空部16dの軸中心に向かって、高さ及び幅が小さく突出し、かつ、コレクター16の長さ方向に長く(点状や破線状に短くして複数並べてもよい)形成されている。この三本のリブ38によって、中空部16d内周面と中芯22外周面との間に空間36を設けることによって空気置換を容易とし、液の塗出性能を向上させることができる。
【0052】
コレクター16の後端部には、
図11、
図12に示すように、周方向に見てスリット26の反対側には、切り欠き16eが形成され、前記中空部16dに連続している。コレクター16の組み付け状態で、コレクター16の後端部は、軸体14の収容空間14aに面しており、スリット26と共に切り欠き16eも塗布液に接している。
【0053】
空気置換の際には、塗布具外部の空気(外気)は、先軸10の空気置換孔10cから先軸10内周とコレクター16外周との間を通って、貫通孔24を通り前記リブ38間の空間36に至る。
この空間36を通る空気は、前記切り欠き16e等のコレクター16の後端部から軸体14の収容空間14aに流通する。
この形態では、液の流通であるスリット26と空気置換(気液置換)である貫通孔24がコレクター16内で異なる位置としている。
したがって、実施形態のコレクター式塗布具の使用によって収容空間14a内の塗布液が少なくなっていくと、上記空間36を通った通気が収容空間14a内に通じてスムースな空気置換(気液置換)ができる。
【0054】
また、中芯22の支持に関して、リブ38を三本またはそれ以上を形成することによって、中空部16dの内周面にほぼ等間隔で配置形成して中芯22の曲がりやずれを少なくすることができる。なお、中芯22が空間36を形成して曲がりが少なく支持できれば、リブ38は適宜間隔で形成できることはもちろんである。
【0055】
以上の第1の実施形態〜第3の実施形態に係るコレクター式塗布具によれば、コレクター16を先軸10及び軸本体12とで保持することによって、先軸10からコレクター16を突出させてコレクター16のインク貯留量を確保できるため、コレクター16の本来の性能を生かしつつ細軸のコレクター式塗布具を実現することができる。
【0056】
なお、本発明により、細軸にしても従来の太軸と同様の性能を有するコレクター式塗布具、特にアイライナーを実現できる。アイライナーとした場合、スタイリッシュな外観を備え、コレクター式にすることで使い終わりまで濃く、クッキリとしたアイラインを描くことができる。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明は一般の塗布具でも利用可能だが、特に粘度の低いアイライナー液などに利用することができる。
【符号の説明】
【0058】
10 先軸
12 軸本体
14 軸体
14a 収容空間
16 コレクター
16a 椀状部
16b 前側一時貯留部
16c 後側一時貯留部
16d 中空部
18 筆記部
20 キャップ
22 中芯
24 貫通孔
26 インク縦溝(スリット)
28 支持壁
30 中間壁
32 コレクターの弾性突起
34 コレクターの気密部
38 リブ