(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ロック軸は、前記カム面に当接する各端部が前記ロック軸の軸線方向に沿って突没自在に設けられ、これらの端部が突出状態においていずれかの前記係止面に係止して前記マット面を所定の前記取付角度に固定するとともに、没入状態において前記カム面から離脱して前記マット面を回動可能な状態とすることを特徴とする請求項2に記載の医療台。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一般に、手術台と分娩台とを兼用する医療台は、医師などによる手技を行いやすいように、通常の病室等に設置されるベッドと比較してマットレス幅が狭くなっている。しかしながら、このような医療台には、分娩台として分娩時の手技や手術時などの対応が容易であることに加えて、陣痛時や回復時に妊産婦が台上で待機する際などにおける安全性、快適性も望まれる。また、分娩直後のカンガルーケアにおける安全性も求められる。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、分娩や手術の際に邪魔にならず、妊産婦が安全かつ快適に待機可能な医療台を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、床上に配置されるベースと、このベースの上部に取り付けられ、対象者の背部を支える背板面を有する背板部と、この背板部の前記背板面に連続するマット面を有し、前記背板部の長手方向に沿う両側部の少なくとも一方に対して着脱可能であるサイドサポート板と、前記背板部に対する前記サイドサポート板の着脱機構部と、前記背板部の前記背板面に対する前記マット面の取付角度を変更可能であるとともに任意の前記取付角度での前記マット面の固定が可能な角度変更機構部とを備え
、前記着脱機構部は、前記背板部の前記側部に前記長手方向に沿って互いに離間して配置固定され、それぞれ前記長手方向に略直交する方向に延びる第1係止軸および第2係止軸と、前記サイドサポート板に備えられ、前記長手方向に延びる固定フレーム部と、この固定フレーム部に、前記長手方向に沿って互いに離間して配置固定され、前記長手方向に略平行な一方向に向かって開放し前記第1係止軸に係合する第1係止溝を有する第1取付金具、および前記第1係止溝と同方向に向かって開放し前記第2係止軸に係合する第2係止溝を有する第2取付金具と、前記第1係止溝に係合した前記第1係止軸を係合状態に保持する固定状態と、前記第1係止溝に対する前記第1係止軸の移動を許容する固定解除状態とに切換可能なロック部材とで構成される医療台である。
【0009】
この医療台によれば、サイドサポート板が着脱自在に設けられ、背板部の背板面に対してマット面が所定の取付角度をなすように固定可能であるので、例えば背板面に対してマット面が略垂直をなすように固定すれば、対象者が背板部から落下するのを防止することができる。背板面に対してマット面が例えば45°程度をなすように傾斜させて固定すれば、対象者への圧迫感を解消しつつ背板部から落下するのを防止したり、産婦に新生児を安定して抱かせたりことができる。また背板面に対してマット面が略平行をなすように固定すれば、背板面の狭さを補う補助として、背板面を拡大して快適性を向上させたり、血管確保等の処置をしやすくしたりすることができる。また、サイドサポート板を取り外せば、分娩時の手技や手術時などに邪魔にならず、対応が容易である。
【0011】
この場合、第1係止軸および第2係止軸に対して第1取付金具の第1係止溝および第2取付金具の第2係止溝を溝の開放方向に沿ってスライドさせることにより係合または解除が可能であり、サイドサポート板を容易に着脱することができる。また、ロック部材が第1係止軸の移動を固定することにより、背板部に対してサイドサポート板を確実に固定することができる。
【0012】
また、この医療台において、前記角度変更機構部は、前記背板部に取り付けられる固定構造部と、この固定構造部に対して回動可能な回動構造部とで構成され、前記回動構造部は、前記マット面を備え、前記長手方向に略平行に延びる回動フレーム支持軸によって回動可能に支持される回動フレーム部と、前記回動フレーム支持軸の両端部においてそれぞれ前記回動フレーム部に固定され、前記回動フレーム支持軸を中心として前記回動フレーム部と一体に回動可能であり、前記回動フレーム支持軸の軸線に平行なカム面を有する一対のカム部材とで構成され、前記固定構造部は、前記着脱機構部によって前記背板部に取り付けられる固定フレーム部と、この固定フレーム部に取り付けられた前記回動フレーム支持軸と、前記固定フレーム部に取り付けられ、前記長手方向に平行に延び、各前記カム部材の前記カム面が外周面に当接されるロック軸とで構成され、前記カム部材の前記カム面には、前記マット面が所定の前記取付角度となる回動位置において前記ロック軸を係止させる係止面が複数設けられていることが好ましい。
【0013】
この場合、角度変更機構部により、回動フレーム支持軸を中心として回動フレーム部を回動させることができるとともに、マット面が所定の取付角度となるようにサイドサポート板を固定することができる。
【0014】
また、この医療台において、前記ロック軸は、前記カム面に当接する各端部が前記ロック軸の軸線方向に沿って突没自在に設けられ、これらの端部が突出状態においていずれかの前記係止面に係止して前記マット面を所定の前記取付角度に固定するとともに、没入状態において前記カム面から離脱して前記マット面を回動可能な状態としてもよい。この場合、例えばロック軸の軸線方向に沿って伸縮するバネにより結合された2本のロッドなどによりロック軸の形成が可能である。
【発明の効果】
【0015】
本発明の医療台によれば、分娩や手術の際に邪魔にならず、妊産婦が安全かつ快適に待機可能な医療台を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明に係る医療台であって、背板面に対してマット面が略平行となるようにサイドサポート板を固定した状態を示す斜視図である。
【
図2】本発明に係る医療台であって、背板面に対してマット面が約45°をなすようにサイドサポート板を傾斜させた中間位置に固定した状態を示す斜視図である。
【
図3】本発明に係る医療台であって、背板面に対してマット面が略垂直となるようにサイドサポート板を固定した状態を示す斜視図である。
【
図4】本発明に係る医療台であって、サイドサポート板を背板部から取り外した状態を示す斜視図である。
【
図5】本発明に係る医療台のサイドサポート板を分解した状態を示す斜視図である。
【
図6】本発明に係る医療台のサイドサポート板の構造を示す部分断面図である。
【
図7】本発明に係る医療台の着脱機構部において、ロック部材によって第1係止軸と第1係止溝との係合の固定状態を示す、
図6におけるA部を拡大した部分断面図である。
【
図8】本発明に係る医療台の着脱機構部において、ロック部材による第1係止軸と第1係止溝との係合の固定解除状態の第1取付金具近傍を示す、
図6におけるA部を拡大した部分断面図である。
【
図9】本発明に係る医療台の着脱機構部において、第2係止軸と第2係止溝とが係合した状態の第2取付金具近傍を示す、
図6におけるB部を拡大した部分断面図である。
【
図10】本発明に係る医療台において、マット面の取付角度を変更するための角度変更機構部を示す、
図6におけるC−C線に沿う部分断面矢視図である。
【
図11】本発明に係る医療台において、マット面の取付角度を変更するための角度変更機構部を示す、
図6におけるC−C線に沿う部分断面矢視図である。
【
図12】本発明に係る医療台において、マット面の取付角度を変更するための角度変更機構部を示す、
図6におけるC−C線に沿う部分断面矢視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の医療台に係る実施形態について説明する。本実施形態の医療台10は、
図1〜
図4に示すように、床上に配置されるベース20と、このベース20の上部に取り付けられ、妊産婦などの対象者の背部を支える背板面30aを有する背板部30と、この背板部30の背板面30aに連続するマット面41aを有し、背板部30の長手方向Xに沿う両側部31の少なくとも一方に対して着脱可能であるサイドサポート板40と、背板部30に対するサイドサポート板40の着脱機構部100と、背板部30の背板面30aに対するマット面41aの取付角度を変更可能であるとともに任意の取付角度でのマット面41aの固定が可能な角度変更機構部110とを備える。
【0018】
また、ベース20上にはさらに、背板部30に隣接して対象者の臀部を支える腰板21と、この腰板21に隣接して対象者の脚部を支える補助台22とが取り付けられており、必要に応じて背板面30aの傾斜角度や高さを変更することができる。さらに、例えば、対象者の左右の脚を開脚状態でそれぞれ支持する左右一対の支脚器(図示せず)が腰板21の両側部に取り付けられる場合もある。
【0019】
さらにこの医療台10は、背板部30の両側部31の少なくとも一方に、着脱機構部100によってサイドサポート板40を装着可能であるとともに、角度変更機構部110によって背板面30aに対するマット面41aの取付角度を変更して固定することが可能である。
図1〜
図3にサイドサポート板40が装着された各状態の医療台10、
図4にサイドサポート板40が取り外された状態の医療台10を示す。
【0020】
図1に示すように、背板面30aとマット面41aとが略平行で平らに連続する取付角度でマット面41aが固定されている状態では、背板面30aの狭さを補う部分としてマット面41aを使用でき、また血管確保などの処置をしやすくすることなどもできる。
【0021】
図2に示すように、背板面30aとマット面41aとが例えば略45°をなす取付角度でマット面41aが傾斜した中間位置に固定されている状態では、対象者への圧迫感を解消しつつ、背板部30からの落下を防止することができる。
【0022】
図3に示すように、背板面30aとマット面41aとが略垂直をなす取付角度でマット面41aが固定されている状態では、対象者が背板面30aから落下するのを確実に防止することができる。
【0023】
図4に示すように、サイドサポート板40が背板部30から取り外された状態では、分娩時の手技や手術時などに邪魔にならず、対応が容易である。
【0024】
次に、この医療台10においてサイドサポート板40に関する構成について、より具体的に説明する。背板部30に装着されるサイドサポート板40は、
図5および
図6に示すように、長手方向Xに延びる固定フレーム部50と、固定フレーム部50に対して回動可能に支持された回動フレーム部60と、回動フレーム部60に取り付けられるマット本体41とを備え、背板部30の側部31に対して固定フレーム部50が着脱機構部100により着脱可能となっている。
【0025】
着脱機構部100は、背板部30の側部31に長手方向Xに沿って互いに離間して配置固定され、それぞれ長手方向Xに略直交する方向に延びる第1係止軸101および第2係止軸102(
図4参照)と、これら第1係止軸101および第2係止軸102に固定されて支持されることにより背板部30の側部31に固定されたレール部103(
図4参照)と、サイドサポート板40に備えられた固定フレーム部50(
図5,6参照)と、この固定フレーム部50に固定された第1取付金具51および第2取付金具52(
図5〜
図9参照)と、背板部30に対するサイドサポート板40の装着を固定状態と固定解除状態とに切り替えるロック部材53(
図6〜
図8参照)とで構成される。
【0026】
第1取付金具51と第2取付金具52とは、長手方向Xに沿って離間して配置され、固定フレーム部50の両端部近傍に固定されている。第1取付金具51には、長手方向Xに略平行な一方向に向かって開放し第1係止軸101に係合する第1係止溝51aが形成されている(
図7、
図8)。第2取付金具52には、第1係止溝51aと同方向に向かって開放し第2係止軸102に係合する第2係止溝52aが形成されている(
図9)。
【0027】
この着脱機構部100において、第1取付金具51の第1係止溝51aと第1係止軸101との係脱、および第2取付金具52の第2係止溝52aと第2係止軸102との係脱は、第1係止溝51aおよび第2係止溝52aの開放方向(すなわち長手方向X)に沿って、サイドサポート板40をスライドさせることにより行われる。
【0028】
ロック部材53は、第1取付金具51に対して軸部材53aを中心として回転可能に取り付けられており、板バネ53bによって
図7および
図8に示すように右回りに回転付勢されている。これによりロック部材53は、第1係止溝51a内に第1係止軸101をスライド挿入する際、
図8に二点鎖線で示すように第1係止軸101によって押されて板バネ53bの付勢力に反して回転して固定解除状態となり、第1係止軸101の挿入を妨げずに第1係止溝51a内に移動させることができる。そして、第1係止溝51a内に第1係止軸101が挿入された状態では、ロック部材53は板バネ53bによって付勢されて回転してこれらの係合状態を保持する固定状態となり(
図7)、サイドサポート板40が背板部30に対して確実に取り付けられる。
【0029】
さらに、サイドサポート板40を背板部30から取り外す際は、ロック部材53の押圧面53cを押して、板バネ53bの付勢力に反して軸部材53bを中心としてロック部材53を図の左回りに回転させることにより、ロック部材53による第1係止軸101の固定が解除されて固定解除状態となり、第1係止溝51aから第1係止軸101を抜き出すことが可能になる(
図8)。
【0030】
このような第1取付金具51における第1係止溝51aと第1係止軸101との係脱と同時に、固定フレーム部50の他端部に取り付けられた第2取付金具52においても、第2係止溝52aと第2係止軸102との係脱が行われる。第2取付金具52は、
図9に示すように、第1係止溝51aと同方向に向かって開放し第2係止軸102に係合する第2係止溝52aを有し、この第2係止溝52a内に第2係止軸102を係合させることができ、すなわち固定フレーム部50の端部を第2係止軸102に支持させることができる。これによりサイドサポート板40は、固定フレーム部50の両端部が支持された状態で、背板部30に装着される。
【0031】
このように着脱機構部100によって背板部30の側部31に装着されたサイドサポート板40において、マット本体41のマット面41aは、角度変更機構部110によって背板面30aに対する角度が変更可能である。角度変更機構部110は、背板部30に取り付けられる固定構造部70と、固定構造部70に対して回動可能な回動構造部80とで構成される。
【0032】
角度変更機構部110の回動構造部80は、長手方向Xに略平行な回動フレーム支持軸81によって回動可能に支持される回動フレーム部60と、回動フレーム部60の両端部においてそれぞれ回動フレーム部60に固定されて一体に回動可能であり、回動フレーム支持軸81の軸線に平行なカム面83を有する一対のカム部材82とで構成される。
【0033】
回動フレーム部60は、
図5および
図6に示すように、回動フレーム支持軸81に支持されたD字状の枠体61と、この枠体61を挟むように取り付けられるマット本体41およびフレームカバー42とを備えている。マット本体41とフレームカバー42とは、それぞれ対向する面に固定された面ファスナー43によって互いに固定されることにより、枠体61に対して着脱自在に取り付けられる。なお、これらマット本体41およびフレームカバー42は、一体に形成されていてもよく、また枠体61に対して固定し着脱しない構造としてもよい。
【0034】
角度変更機構部110の固定構造部70は、着脱機構部100によって背板部30に取り付けられる固定フレーム部50と、この固定フレーム部50に取り付けられた回動フレーム支持軸81と、固定フレーム部50に取り付けられ、長手方向Xに平行(すなわち回動フレーム支持軸81に平行)に延び、各カム部材82のカム面83が外周面に当接されるロック軸71とで構成される。各カム部材82のカム面83には、マット面41aが所定の取付角度となる回動位置においてロック軸71を係止させる複数の係止面(第1係止面83a、第2係止面83b、第3係止面83c)が設けられている(
図10〜
図12)。
【0035】
なお、固定フレーム部50は、前述した着脱機構部100においては背板部30に対してサイドサポート板40を取り付けるための構造として機能し、この角度変更機構部110においては回動フレーム部60を回動可能に支持する構造として機能する。
【0036】
固定フレーム部50は、
図6に示すように、長手方向Xに沿って延びる断面コ字状のボトムプレート54Aおよびカバープレート54Bを互いに組み合わせて固定されることにより内部に空間が設けられているプレート部54と、プレート部54の両端部に固定された第1取付金具51および第2取付金具52とを備えている。これら第1取付金具51および第2取付金具52に、回動フレーム支持軸81が固定されている。
【0037】
回動フレーム部60を支持する構造として、固定フレーム部50の各端部に取り付けられた第1取付金具51および第2取付金具52には、
図7および
図9に示すように、ロック軸71を回動自在に支持する軸受71bおよび回動フレーム支持軸81がそれぞれ固定されている。
【0038】
ロック軸71は、
図6に示すように、固定フレーム部50のプレート部54の内部に収められ、ロック軸71の軸線方向に沿って伸縮可能に組み合わされた2本のロッド72と、これらロッド72間に配置されロック軸71の軸線方向に沿って各ロッド72同士を互いに離間させるように圧縮されたコイルバネ73とを備え、各ロッド72に固定されたグリップ74を離間あるいは図に二点鎖線で示すように接近させることにより、ロック軸71の全長を変化させ、両端部71aをロック軸71の軸線方向に突出あるいは没入させることができる。
図6において、ロック軸71の両端部71aが突出した状態を実線で、両端部71aが没入した状態を二点鎖線で示す。
【0039】
また、ロック軸71の端部71aには、
図6〜
図9に示すように、各カム部材82のカム面83に当接しない細径部71cと、この細径部71cよりも大径で先端側が最も細いテーパ状のテーパ部71dとが設けられている。
【0040】
第1取付金具51および第2取付金具52のそれぞれに固定された回動フレーム支持軸81には、
図7〜
図9に示すように、軸受81aを介して各カム部材82が回動自在に取り付けられている。これらのカム部材82には回動フレーム部60が固定されており、カム部材82の角度が固定されることによって、回動フレーム部60が所定の取付角度で固定される。各カム部材82の角度は、カム部材82の回転位置に応じて、第1取付金具51に固定された水平時固定プレート75Aまたはロック軸71の端部71a(テーパ部71d)がカム面83に当接することにより固定される。
【0041】
つまり、ロック軸71は、カム面83に当接する各端部71aがロック軸71の軸線方向に沿って突没自在に設けられ、これらの端部71aが突出状態においてカム面83の第2係止面83bまたは第3係止面83cのいずれかに係止してカム部材82すなわちマット面41a(回動フレーム部60)を所定の取付角度に固定するとともに、グリップ74の操作による没入状態においてカム面83の第2係止面83bまたは第3係止面83cから離脱してマット面41a(回動フレーム部60)を回動可能な状態とする。
【0042】
まず、マット面41aが背板面31aに対して略水平となるように回動フレーム部60を固定するには、各グリップ74を互いに引き寄せることによりロック軸71の全長を短縮させて端部71aを没入状態としてカム部材82とロック軸71との係合状態を解除し、回動フレーム部60を回転させる。これにより、
図10に示すように、カム面83の第1係止面83aが水平時固定プレート75Aに当接して、回動フレーム部60の角度が保持される。このときロック軸71の端部71aは、テーパ部71dの軸線方向端面がカム部材82の側面に当接することにより没入した状態で固定されており、細径部71cはカム面83に当接していない。
【0043】
次いで、マット面41aが背板面31aに対して傾斜するように略水平状態から回動フレーム部60を回転させると、
図11に示すように、ロック軸71のテーパ部71dとカム部材82の第2係止面83bとが係合し、この位置でカム部材82の回転が停止され、マット面41aが傾斜した状態で保持される。このとき、ロック軸71はコイルバネ73によって伸張するように付勢されているので、カム面83が所定角度に回転されるとカム部材82の側面による規制が解除され、第2係止面83bに対してテーパ部71dが係合するまで端部71aが突出する。したがって、マット面41aを略水平状態から傾斜状態(中間位置)に移行させる際には、グリップ74を操作する必要はない。
【0044】
さらに、マット面41aが背板面31aに対して略直角とする際は、各グリップ74を互いに引き寄せてロック軸71の端部71aを没入させ、カム部材82とロック軸71との係合状態を解除して回動フレーム部60を回転させ、
図12に示すように、カム部材82の第3係止面83cとロック軸71の端部71a(テーパ部71d)を係合させることにより、回動フレーム部60の角度を保持させる。
【0045】
以上説明したように、本発明の医療台によれば、サイドサポート板が背板部に対して着脱自在であるとともに、背板部の背板面に対してマット面が所定の取付角度をなすように固定可能であるので、分娩時や手術時などにはサイドサポート板を取り外すことにより医師や処置者が妊産婦に近づくことができ、妊産婦が台上で待機する際などにはサイドサポート板を装着することにより背板部の面積を拡大することができ、さらに背板部の背板面に対するサイドサポート板のマット面の角度を変更することにより、圧迫感を抑えながら妊産婦の落下を防止することなどが可能である。
【0046】
なお、本発明は前記実施形態の構成のものに限定されるものではなく、細部構成においては、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。例えば、前記実施形態では背板面に対するマット面の角度を略水平(平行)、約45°、略垂直の3段階に固定可能としたが、傾斜状態(中間位置)のマット面の角度は45°に限定される必要はなく、カム部材においてカム面の係止面の形成角度を変更することにより、任意の角度に設定することができる。