特許第6309848号(P6309848)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 帝人株式会社の特許一覧

特許63098481軸延伸多層積層フィルムおよびそれからなる光学部材
<>
  • 特許6309848-1軸延伸多層積層フィルムおよびそれからなる光学部材 図000003
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6309848
(24)【登録日】2018年3月23日
(45)【発行日】2018年4月11日
(54)【発明の名称】1軸延伸多層積層フィルムおよびそれからなる光学部材
(51)【国際特許分類】
   B32B 27/36 20060101AFI20180402BHJP
   G02B 5/30 20060101ALI20180402BHJP
【FI】
   B32B27/36
   G02B5/30
【請求項の数】10
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2014-147943(P2014-147943)
(22)【出願日】2014年7月18日
(65)【公開番号】特開2016-24313(P2016-24313A)
(43)【公開日】2016年2月8日
【審査請求日】2017年4月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003001
【氏名又は名称】帝人株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100169085
【弁理士】
【氏名又は名称】為山 太郎
(72)【発明者】
【氏名】清水 智子
(72)【発明者】
【氏名】大宅 太郎
(72)【発明者】
【氏名】岡田 悠哉
(72)【発明者】
【氏名】久保 耕司
【審査官】 増田 亮子
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2012/140807(WO,A1)
【文献】 国際公開第2012/173170(WO,A1)
【文献】 特表2008−517139(JP,A)
【文献】 特表2002−509043(JP,A)
【文献】 特開2013−7789(JP,A)
【文献】 特開2013−3410(JP,A)
【文献】 特開2012−45760(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00−43/00
G02B 5/26−5/30
C08G 63/189
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1層と第2層とが交互に積層された1軸延伸多層積層フィルムであって、1)該第1層はポリエステルを含む層であって、該ポリエステルを構成する繰り返し単位を基準としてエチレンナフタレート単位を80モル%以上100モル%以下の範囲で含有し、2)該第2層を形成するポリマーが2,6−ナフタレンジカルボン酸成分、エチレングリコール成分、およびトリメチレングリコール成分を共重合成分として含む共重合ポリエステルであることを特徴とする1軸延伸多層積層フィルム。
【請求項2】
該1軸延伸多層積層フィルムの下記式(1)で表される偏光度(P)が80%以上である、請求項1に記載の1軸延伸多層積層フィルム。
偏光度(P)={(Ts−Tp)/(Tp+Ts)}×100 ・・・(1)
(式(1)中、Tpは400〜800nmの波長範囲におけるP偏光の平均透過率、Tsは400〜800nmの波長範囲におけるS偏光の平均透過率をそれぞれ表す)
【請求項3】
該トリメチレングリコール成分は、第2層の共重合ポリエステルを構成する全ジオール成分の3モル%〜50モル%であり、第2層の共重合ポリエステルのガラス転移点が85℃以上である、請求項1または2に記載の1軸延伸多層積層フィルム。
【請求項4】
第2層の平均屈折率が1.55以上1.65以下である、請求項1〜3のいずれかに記載の1軸延伸多層積層フィルム。
【請求項5】
該第1層は、さらにジカルボン酸成分としてテレフタル酸成分を0モル%を超え、20モル%以下の範囲で含有する、請求項1〜4のいずれかに記載の1軸延伸多層積層フィルム。
【請求項6】
該1軸延伸多層積層フィルムの積層数が101層以上である請求項1〜5のいずれかに記載の1軸延伸多層積層フィルム。
【請求項7】
該1軸延伸多層積層フィルムの両表層に第2層の組成からなる厚さ5μm以上50μm以下の厚膜層をさらに有する、請求項1〜6のいずれかに記載の1軸延伸多層積層フィルム。
【請求項8】
該膜厚層の少なくともいずれかの面にさらに塗布層を有し、該塗布層がアクリル系バインダーを含む、請求項1〜7のいずれかに記載の1軸延伸多層積層フィルム。
【請求項9】
輝度向上部材あるいは反射型偏光板として用いられる、請求項1〜8のいずれかに記載の1軸延伸多層積層フィルム。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれかに記載の1軸延伸多層積層フィルムの少なくとも一方の面にプリズム層あるいは拡散層が積層された光学部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は1軸延伸多層積層フィルムおよびそれからなる光学部材に関し、さらに詳しくは多層構造のポリマーフィルムでありながら、一定の反射偏光性能と層間密着性とを備える1軸延伸多層積層フィルムおよびそれからなる光学部材に関する。
【背景技術】
【0002】
屈折率の低い層と屈折率の高い層とを交互に多数積層させたフィルムは、層間の構造的な光干渉によって、特定波長の光を選択的に反射または透過する光学干渉フィルムとすることができる。また、このような多層積層フィルムは、膜厚を徐々に変化させたり、異なる反射ピークを有するフィルムを貼り合せたりすることで金属を使用したフィルムと同等の高い反射率を得ることができ、金属光沢フィルムや反射ミラーとして使用することもできる。さらには、このような多層積層フィルムを1方向に延伸することで、特定の偏光成分のみを反射する偏光反射フィルムとしても使用でき、これらを液晶ディスプレイなどに使用することで、液晶ディスプレイなどの輝度向上フィルム等に使用できることが知られている(特許文献1、2、3、4など)。
しかしながら、従来検討されているような多層構造を用いた反射偏光性ポリマーフィルムは、多層ポリマー間の密着性が十分でないことがあり、加工などの際に多層部が剥離してしまうなどの問題があった。
【0003】
例えば、特許文献2などに記載されているポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート(以下、2,6−PENと称することがある)を高屈折率層に用い、熱可塑性エラストマーやテレフタル酸を30mol%共重合したPENを低屈折率層に用いた多層積層フィルムの場合、1軸延伸方向(X方向)の層間の屈折率差を大きくしてP偏光の反射率を高め、一方フィルム面内方向におけるX方向と直交する方向(Y方向)の層間の屈折率差を小さくしてS偏光の透過率を高めることで、一定レベルの偏光性能が発現している。
しかし、上述のポリマーの組合せでは、多層積層フィルムに後加工を行う際に、応力がかかること等が原因となって多層部に剥離が生じやすく、層間の密着性向上が望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平4−268505号公報
【特許文献2】特表平9−506837号公報
【特許文献3】特表平9−506984号公報
【特許文献4】国際公開第01/47711号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、高屈折率特性を有する層にポリエチレンナフタレート系ポリマーを用いた多層構造のポリマーフィルムでありながら、一定の偏光性能を備えるとともに層間の密着性が改善された1軸延伸多層積層フィルムおよびそれからなる光学部材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者等は、前記課題を解決するために鋭意検討した結果、従来の知見に加え、さらに低屈折率特性を有する層に特定のモノマー成分を含む共重合ポリエステルを用いることにより、一定の偏光性能を維持しながら層間密着性の改善を実現できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち本発明の目的は、第1層と第2層とが交互に積層された1軸延伸多層積層フィルムであって、1)該第1層はポリエステルを含む層であって、該ポリエステルを構成する繰り返し単位を基準としてエチレンナフタレート単位を80モル%以上100モル%以下の範囲で含有し、2)該第2層を形成するポリマーが2,6−ナフタレンジカルボン酸成分、エチレングリコール成分およびトリメチレングリコール成分を共重合成分として含む共重合ポリエステルである1軸延伸多層積層フィルムによって達成される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、本発明の1軸延伸多層積層フィルムは、高屈折率特性を有する層にポリエチレンナフタレート系ポリマーを用いた多層構造のポリマーフィルムでありながら、一定の偏光性能を備えるとともに層間の密着性が改善される。そのため、例えば偏光性能が求められる輝度向上部材、反射型偏光板などとして用いた場合に、他の部材との貼り合せ、液晶ディスプレイへの組み立て、使用時等に加わる外力によって層間剥離が生じないことから、より信頼性の高い輝度向上部材、液晶ディスプレイ用偏光板などを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の好ましい実施形態による液晶ディスプレイの概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の1軸延伸多層積層フィルムは、第1層と第2層とが交互に積層された1軸延伸多層積層フィルムであり、各層を構成する樹脂、偏光性能等、本発明の各構成について以下に詳述する。
【0011】
[1軸延伸多層積層フィルム]
本発明の1軸延伸多層積層フィルムは、第1層が第2層よりも相対的に高屈折率特性を有する層、第2層が第1層よりも相対的に低屈折率特性を有する層であり、それぞれの層に以下の特定の種類のポリエステルを用いることによって、かかる屈折率の関係が発現する。
【0012】
また、本発明において1軸延伸方向をX方向、フィルム面内においてX方向と直交する方向をY方向、フィルム面に対して垂直な方向をZ方向と称する。
本発明におけるP偏光とは、1軸延伸多層積層フィルムにおいて、フィルム面を反射面とし、1軸延伸方向(X方向)を含む入射面に対して平行な偏光成分と定義される。また本発明におけるS偏光とは、1軸延伸多層積層フィルムにおいて、フィルム面を反射面とし、1軸延伸方向(X方向)を含む入射面に対して垂直な偏光成分と定義される。
本発明において、延伸方向(X方向)の屈折率はnX、延伸方向と直交する方向(Y方向)の屈折率はnY、フィルム厚み方向(Z方向)の屈折率はnZと記載することがある。
【0013】
[第1層]
本発明の1軸延伸多層積層フィルムを構成する第1層はポリエステルを含む層であって、該ポリエステルを構成する繰り返し単位を基準としてエチレンナフタレート単位を80モル%以上100モル%以下の範囲で含有する。
【0014】
(第1のジカルボン酸成分)
第1層のポリエステルを構成するジカルボン酸成分としてナフタレンジカルボン酸成分を含有し、その含有量は該ポリエステルを構成するジカルボン酸成分を基準として80モル%以上100モル%以下である。
【0015】
ナフタレンジカルボン酸成分として、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、またはこれらの組み合わせから誘導される成分、もしくはそれらの誘導体成分が挙げられ、特に2,6−ナフタレンジカルボン酸もしくはその誘導体成分が好ましく例示される。
ナフタレンジカルボン酸成分の含有量の下限値は、好ましくは85モル%、より好ましくは90モル%である。また、ナフタレンジカルボン酸成分の含有量の上限値は、好ましくは100モル%未満、より好ましくは98モル%以下、さらに好ましくは95モル%以下である。
【0016】
また、第1層のポリエステルを構成するジカルボン酸成分として、ナフタレンジカルボン酸成分以外にさらに本発明の目的を損なわない範囲でテレフタル酸、イソフタル酸などを含有してもよく、中でもテレフタル酸が好ましい。含有量は0モル%を超え、20モル%以下の範囲であることが好ましい。また、かかる第2のジカルボン酸成分の含有量の下限はより好ましくは2モル%、さらに好ましくは5モル%であり、第2のジカルボン酸成分の含有量の上限はより好ましくは15モル%、さらに好ましくは10モル%である。第2のジカルボン酸成分が下限値に満たないと密着性が低下することがあり、上限値を超えると第2層との屈折率差を大きくすることができず、偏光度が低くなることがある。
【0017】
ナフタレンジカルボン酸成分を主成分として含有するポリエステルを用いることで、X方向に高屈折率を示すと同時に1軸配向性の高い複屈折率特性を実現でき、X方向について第2層との屈折率差を大きくすることができ、高偏光に寄与する。
一方、ナフタレンジカルボン酸成分の割合が下限値に満たないと、非晶性の特性が大きくなり、延伸フィルムにおける延伸方向(X方向)の屈折率nXと、Y方向の屈折率nYとの差異が小さくなるため、P偏光成分について十分な反射性能が得られないことがある。
【0018】
(ジオール成分)
第1層のポリエステルを構成するジオール成分として、エチレングリコール成分が用いられ、その含有量は該ポリエステルを構成するシオール成分を基準として80モル%以上100モル%以下であることが好ましく、より好ましくは85モル%以上100モル%以下、さらに好ましくは90モル%以上100モル%以下、特に好ましくは90モル%以上98重量%以下である。該ジオール成分の割合が下限値に満たない場合は、前述の1軸配向性が損なわれることがある。
【0019】
第1層のポリエステルを構成するジオール成分として、エチレングリコール成分以外にさらに本発明の目的を損なわない範囲でトリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコールなどを含有してもよい。
第1層に用いられるポリエステルの融点は、好ましくは220〜290℃℃の範囲、より好ましくは230〜280℃℃の範囲、さらに好ましくは240〜270℃℃の範囲である。融点はDSCで測定して求めることができる。
該ポリエステルの融点が上限値を越えると、溶融押出して成形する際に流動性が劣り、吐出などが不均一化しやすくなることがある。一方、融点が下限値に満たないと、製膜性は優れるものの、ポリエステルの持つ機械的特性などが損なわれやすくなり、また本発明の屈折率特性が発現し難い。
【0020】
第1層に用いられるポリエステルのガラス転移温度(以下、Tgと称することがある。)は、好ましくは80〜120℃、より好ましくは82〜118℃、さらに好ましくは85〜118℃、特に好ましくは100〜115℃の範囲にある。Tgがこの範囲にあると、耐熱性および寸法安定性に優れ、また本発明の屈折率特性を発現し易い。かかる融点やガラス転移温度は、共重合成分の種類と共重合量、そして副生物であるジエチレングリコールの制御などによって調整できる。
かかるポリエステルを第1層に用いて1軸延伸を施すことにより、第1層のX方向の屈折率nXについて、1.80〜1.90の高屈折率特性が発現する。第1層におけるX方向の屈折率がかかる範囲にある場合、第2層との屈折率差が大きくなり、反射偏光性能を発揮することができる。
また、Y方向の1軸延伸後の屈折率nYとZ方向の1軸延伸後の屈折率nZとの差は0.05以下であることが好ましい。
【0021】
[第2層]
本発明において、1軸延伸多層積層フィルムの第2層を形成するポリマーとして、2,6−ナフタレンジカルボン酸成分、エチレングリコール成分およびトリメチレングリコール成分を共重合成分として含む共重合ポリエステルを用いることが必要である。
本発明における共重合成分とはポリエステルを構成するいずれかの成分であることを意味しており、従たる成分としての共重合成分に限定されず、主たる成分も含めて用いられる。
【0022】
反射偏光機能を発現するために、本発明の高屈折率層としてエチレンナフタレート単位を主成分とするポリエステルを第1層に用いており、第2層のポリマー成分が2,6−ナフタレンジカルボン酸成分を含まないと第1層との相溶性が低くなり、層間剥離が生じるため、第1層との層間密着性が低下する。
【0023】
第2層の共重合ポリエステルは、ジオール成分がエチレングリコール成分と、トリメチレングリコール成分の少なくとも2成分を必須成分として含む。このうち、エチレングリコール成分はフィルム製膜性などの観点より主たるジオール成分として用いられることが好ましい。
本発明における第2層の共重合ポリエステルは、さらにジオール成分としてトリメチレングリコール成分を含有する。トリメチレングリコール成分を含まないと、層構造の弾性が不足し、層間剥離が生じる。
かかる2,6−ナフタレンジカルボン酸成分は、第2層の共重合ポリエステルを構成する全カルボン酸成分の30モル%〜100モル%であることが好ましく、より好ましくは30モル%〜80モル%、さらに好ましくは40モル%〜70モル%である。2,6−ナフタレンジカルボン酸成分の含有量が下限に満たないと相溶性の観点から密着性が低下することがある。2,6−ナフタレンジカルボン酸成分の含有量の上限は特に制限されないが、第1層との屈折率の関係を調整するために他のジカルボン酸成分を共重合させてもよい。
【0024】
エチレングリコール成分は第2層の共重合ポリエステルを構成する全ジオール成分の50モル%〜95モル%であることが好ましく、より好ましくは50モル%〜90モル%、さらに好ましくは50モル%〜85モル%、特に好ましくは50モル%〜80モル%である。
トリメチレングリコール成分は、第2層の共重合ポリエステルを構成する全ジオール成分の3モル%〜50モル%であることが好ましく、さらに5モル%〜40モル%であることが好ましく、より好ましくは10モル%〜40モル%、特に好ましくは10モル%〜30モル%である。トリメチレングリコール成分の含有量が下限に満たないと層間密着性の確保が難しく、上限を超えると所望の屈折率とガラス転移温度の樹脂とすることができない。
【0025】
第2層を構成する共重合ポリエステルは、平均屈折率1.55以上1.65以下であることが好ましく、より好ましくは1.57以上1.64以下、さらに好ましくは1.59以上1.63以下、特に好ましくは1.60以上1.63以下、最も好ましくは1.60以上1.62以下である。また、第2層は光学等方性の層であることが好ましい。
【0026】
第2層についての平均屈折率は、第2層を構成する共重合ポリエステルを単独で溶融させ、ダイより押出して未延伸フィルムを作成し、1軸方向に(第2層の共重合ポリエステルのガラス転移温度)+20℃で5.5倍延伸を行って1軸延伸フィルムを作成し、得られたフィルムのX方向、Y方向、Z方向それぞれの方向について、メトリコン製プリズムカプラを用いて波長633nmにおける屈折率を測定し、それらの平均値を平均屈折率として規定したものである。
【0027】
また、光学等方性とは、これらX方向、Y方向、Z方向の屈折率の2方向間の屈折率差がいずれも0.05以下、好ましくは0.03以下であることをいう。
第2層がかかる平均屈折率を有し、しかも延伸によって各方向の屈折率差の小さい光学等方性材料であることにより、第1層と第2層の層間における延伸後のX方向の屈折率差が大きく、同時にY方向の層間の屈折率差が小さい屈折率特性を得ることができ、偏光性能が発現する。
本発明における第2層は、本発明の目的を損ねない範囲であれば、第2層の重量を基準として10重量%以下の範囲内で該共重合ポリエステル以外の熱可塑性樹脂を第2のポリマー成分として含有してもよい。
【0028】
本発明において、上述する第2層の共重合ポリエステルは、85℃以上のガラス転移温度を有することが好ましく、より好ましくは90℃以上150℃以下、さらに好ましくは90℃以上120℃以下、特に好ましくは93℃以上110℃以下である。第2層の共重合ポリエステルのガラス転移温度が下限に満たない場合、90℃での耐熱性が十分に得られないことがあり、該温度近辺での熱処理などの工程を含むときに第2層の結晶化や脆化によってヘーズが上昇し、偏光度の低下を伴うことがある。また、第2層の共重合ポリエステルのガラス転移温度が高すぎる場合には、延伸時に第2層のポリエステルも延伸による複屈折性が生じることがあり、それに伴い延伸方向において第1層との屈折率差が小さくなり、反射性能が低下することがある。
【0029】
上述した共重合ポリエステルの中でも、90℃×1000時間の熱処理で結晶化によるヘーズ上昇が全く起きない点から、非晶性の共重合ポリエステルであることが好ましい。ここでいう非晶性とは、示差熱量分析(DSC)において昇温速度20℃/分で昇温させたときの結晶融解熱量が0.1mJ/mg未満であることを指す。
第2層の共重合ポリエステルの具体例として、(1)ジカルボン酸成分として2,6−ナフタレンジカルボン酸成分を含み、ジオール成分としてエチレングリコール成分およびトリメチレングリコール成分を含む共重合ポリエステル、(2)ジカルボン酸成分として2,6−ナフタレンジカルボン酸成分およびテレフタル酸成分を含み、ジオール成分としてエチレングリコール成分およびトリメチレングリコール成分を含む共重合ポリエステル、が挙げられる。
【0030】
かかる共重合ポリエステルは、o−クロロフェノール溶液を用いて35℃で測定した固有粘度が0.50〜0.70dl/gであることが好ましく、さらに好ましくは0.55〜0.65dl/gである。
第2層に用いられる共重合ポリエステルは、共重合成分としてトリメチレングリコール成分を用いるため、製膜性が低下することがあり、該共重合ポリエステルの固有粘度を上述の範囲とすることで製膜性をより高めることができる。第2層として上述する共重合ポリエステルを用いる場合の固有粘度は、製膜性の観点からはより高い方が好ましいものの、上限を超える範囲では第1層のポリエステルとの溶融粘度差が大きくなり、各層の厚みが不均一になることがある。
【0031】
(偏光度)
本発明の1軸延伸多層積層フィルムは、下記式(1)で表される偏光度(P)が80%以上であることが好ましく、さらに85%以上であることが好ましい。
偏光度(P)={(Ts−Tp)/(Tp+Ts)}×100 ・・・(1)
(式(1)中、Tpは400〜800nmの波長範囲におけるP偏光の平均透過率、Tsは400〜800nmの波長範囲におけるS偏光の平均透過率をそれぞれ表す)
【0032】
本発明における偏光度の測定は、偏光度測定装置を用いて測定することができる。
上式(1)で特定される偏光度が高いほど、反射偏光成分の透過を抑制し、その直交方向の透過偏光成分の透過率が高いことを意味しており、偏光度がより高いほど反射偏光成分のわずかな光漏れも低減できる。本発明の1軸延伸多層積層フィルムがかかる偏光度を有することにより、輝度向上部材などの反射偏光特性が求められる用途に用いることができる。また、99.5%以上の偏光度を有する場合は、従来は吸収型偏光板でなければ適用が難しかったコントラストの高い液晶ディスプレイの偏光板として、反射偏光板単独で適用することができる。
かかる偏光度特性は第1層と第2層を構成するポリマーとして上述した種類のものを用い、1軸延伸によってX方向、Y方向、Z方向の層間の屈折率を特定の関係にすることで得られる。
【0033】
(S偏光平均透過率)
本発明の1軸延伸多層積層フィルムの400〜800nmの波長範囲におけるS偏光の平均透過率Tsは60%以上であることが好ましく、より好ましくは70%以上、さらに好ましくは75%以上、特に好ましくは80%以上である。
本発明におけるS偏光平均透過率は、1軸延伸多層積層フィルムにおいて、フィルム面を反射面とし、1軸延伸方向(X方向)を含む入射面に対して垂直な偏光成分について、入射角0度での該入射偏光に対する波長400〜800nmの平均透過率を表している。
該S偏光平均透過率が下限に満たないと、輝度向上部材、反射型偏光板などに用いた場合、反射偏光成分をフィルムで吸収せずに光源側に反射させ、再度その光を有効活用する光リサイクル機能を考慮しても、輝度向上効果の優位性が十分ではないことがある。
【0034】
[バッファ層・中間層、および最外層]
本発明の1軸延伸多層積層フィルムは、かかる第1層、第2層以外に、中間層および/または最外層を含んでいてもよい。中間層および/または最外層は層厚みが5μm以上50μm以下の厚さであることが好ましく、かかる中間層を第1層と第2層の交互積層構成の内部に有していてもよい。
該中間層は本発明において内部厚膜層などと称することがあるが、本発明において交互積層構成の内部に存在する厚膜の層を指す。また本発明において、多層積層フィルムの製造の初期段階で101層以上の交互積層体の両側に厚膜の層(厚み調整層、バッファ層と称することがある)を形成し、その後ダブリングにより積層数を増やす方法が好ましく用いられるが、その場合はバッファ層同士が2層積層されて中間層が形成される方法が好ましく、かかる方法によって得られる一番外側の厚膜の層を中間層に代えて最外層と称する。
【0035】
かかる厚みの中間層を第1層と第2層の交互積層構成の一部に有する場合、偏光機能に影響をおよぼすことなく、第1層および第2層を構成する各層厚みを均一に調整しやすくなる。かかる厚みの中間層は、第1層、第2層のいずれかと同じ組成、またはこれらの組成を部分的に含む組成であってもよく、層厚みが厚いため、反射特性には寄与しない。一方、透過する偏光には影響することがあるため、層中に粒子を含める場合は粒子の説明で述べる粒子濃度の範囲内であることが好ましい。
【0036】
該中間層の厚さが下限に満たないと交互積層構成部の層構成に乱れが生じることがあり、反射性能が低下することがある。一方、該中間層の厚さが上限を超えると、積層後の1軸延伸多層積層フィルム全体の厚みが厚くなり、薄型の液晶ディスプレイの偏光板や輝度向上部材として用いた場合に省スペース化しにくいことがある。また、1軸延伸多層積層フィルム内に複数の中間層を含む場合には、それぞれの中間層の厚みがかかる範囲内にあることが好ましい。
さらに1軸延伸多層積層フィルムの両表層に、第2層の組成からなる上述の厚さの厚膜層(最外層)を有する場合、第1層よりも相対的に低いガラス転移点の最外層がクッション材として機能し、1軸延伸多層積層フィルムに対する外的応力の一部を緩和でき、さらに層間の剥離を抑制できるため好ましい。
【0037】
中間層に用いられるポリマーは、本発明の1軸延伸多層積層フィルムの製造方法を用いて多層構造中に存在させることができれば、第1層あるいは第2層と異なる樹脂を用いてもよいが、層間接着性の観点より、第1層、第2層のいずれかと同じ組成か、これらの組成を部分的に含む組成であることが好ましい。
該中間層の形成方法は特に限定されないが、例えば1軸延伸多層積層フィルムの製造方法欄において説明する、ダブリングを行う前の交互積層体の両側に厚膜の層(バッファ層)を設け、それをレイヤーダブリングブロックと呼ばれる分岐ブロックを用いて2分割し、それらを再積層することで内部厚膜層(中間層)を1層設けることができる。同様の手法で3分岐、4分岐することにより中間層を複数設けることもできる。
【0038】
[塗布層]
本発明において、1軸延伸多層積層フィルムの最外層の少なくともいずれかの面にさらに塗布層を有し、該塗布層がアクリル系バインダーを含むことが好ましい。
また、塗布層厚みは密着性確保の観点で0.02〜0.50μmであることが好ましく、さらに0.02〜0.20μmであることが好ましい。
【0039】
一般にポリエチレンテレフタレートフィルム上に易接着塗布層を設ける場合、バインダー成分としてガラス転移点が30℃以上100℃未満のポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂などが用いられることが多く、さらに塗布層に粒子を添加することで、同時に巻き取り性も確保できる。
本発明の1軸延伸多層積層フィルムの場合、第2層の組成からなる厚膜層を多層積層の最外層として設ける態様が多層積層の製造上の観点で好ましいものの、該第2層が無配向状態であることなどから、さらにその表層に塗布層を設けるにあたり、第2層を構成するポリエステルと相溶性の高いポリエステル樹脂および/またはウレタン樹脂をもちいると、塗膜が第2層を構成するポリエステルと混合してしまうため、塗布層に粒子を添加しても巻き取り性が十分に確保できないことがある。
そのため、第2層の組成からなる厚膜層を多層積層の最外層として設け、その少なくともいずれかの面にさらに塗布層を設ける場合、かかる最外層との密着性と巻き取り性を高めるために、塗布層がアクリル系バインダーを含むことが好ましく、さらに所定サイズの粒子を含有することが好ましい。
またさらに後述するようにプリズム層あるいは拡散層を本発明の1軸延伸多層積層フィルムの少なくとも一方の面に積層する場合、プリズム層として一般的に無溶剤型UV硬化性アクリル樹脂が用いられるため、プリズム層との密着性の観点からも、塗布層がアクリル系バインダーを含むことが好ましい。
【0040】
アクリル系バインダーの種類は特に限定されないが、アクリル共重合体が好ましく、主成分はメチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレートなどで構成されることが好ましい。かかる主成分は1種のみならず複数の成分を用いてもよく、構成比を変更することでガラス転移点を調整することができる。これらの中でも、ガラス転移点の調整がしやすいことから、メチルアクリレート‐エチルアクリレート共重合体が好ましい。
【0041】
さらに、上述のアクリル成分に、密着性向上成分もしくは自己架橋成分として、水酸基、カルボキシル基、ニトリル基、アミド基、シアノ基などを含むアクリル成分を従たる共重合成分として添加することが好ましい。
従たる共重合成分の(メタ)アクリレートとしては、例えば以下に例示されるものを用いることができる。すなわち、アクリル酸、メタクリル酸、2−ヒドロキシルアクリレート、2−ヒドロキシルメタクリレート、2−ヒドロキシルエチルアクリレート、2−ヒドロキシルブチルアクリレート、アクリルアミド、メタクリルアミド、エチルアクリルアミド、ブチルアクリルアミド、ジメチルアクリルアミド、ジエチルアクリルアミド、ヒドロキシジエチルアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、アクリロニトリル、メタアクリルニトリル、アクリロイルモルホリン、オキセタンメタクリレートなどがあげられる。
その中でも、アクリロニトリル、N−メチロールアクリルアミド、2−ヒドロキシルエチルアクリレートなどが好ましい。
【0042】
無溶剤であるプリズム層との密着性を確保する観点と、水性塗液の粘度を低減する観点から、アクリル系バインダーは水性エマルジョンであることが好ましい。
かかるエマルジョンの粒径は、20〜80nmの範囲であることが好ましい。エマルジョンの粒径が80nmを超えると塗膜の透明性が低下することがある。一方で、エマルジョンの粒径が20nmに満たないと水溶性のアクリル系バインダーに近くなり、プリズム層との密着性が低下することがある。
【0043】
また、水性塗液を薄膜状に塗布するため、塗布層の組成物には界面活性剤を添加することが好ましい。
界面活性剤は、エマルジョンの分散性向上および安定化させる一方で、プリズム層との密着性が低下することがある。そのため、界面活性剤の含有量は効果を発現する範囲内で最小限の使用量にとどめることが好ましく、具体的には水性塗液の重量を基準として0.02〜0.30重量%の添加量にとどめることが好ましい。
【0044】
界面活性剤として、アニオン型界面活性剤、カチオン型界面活性剤、ノニオン型界面活性剤等を用いることができる。中でもプリズム層との密着性向上の観点より、ポリオキシアルキレンフェニルエーテルが好ましく、例えばポリオキシエチレントリベンジルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンジスチレン化エーテルなどが挙げられる。
かかる塗布層組成物の添加量は、固形分換算で組成物重量に対して1重量%以上10重量%以下であることが好ましい。1重量%未満だと塗膜の安定性が低下することがあり、塗布筋やハジキなどの塗布欠点が発生しやすくなり、10重量%より大きいとプリズムと塗布層との密着性が低下することがある。
【0045】
本発明における塗布層はさらに粒子を含むことが好ましい。塗布層がアクリル系バインダーを含み、さらに粒子を含むことにより、本発明の第2層の組成からなる最外層を有する場合でも巻き取り性が向上する。
かかる粒子として、シリカ粒子などの不活性無機粒子、アクリル粒子などの不活性有機粒子、もしくは有機無機複合粒子を添加することが好ましい。また平均粒径100nm以上1000nm以下の粒子(以下、大粒子と称することがある)を用いることが好ましい。平均粒径が100nm未満の粒子では巻取り性が十分に発現しないことがある。また平均粒径が1000nmより大きいと塗布層の透明性が低下することがある。
塗布層に用いられる前記粒子の添加量は、塗布層組成物の固形物全成分を100重量%とした際、0.1重量%以上3.0重量%以下とすることが好ましい。添加量が0.1重量%未満だと巻取り性が十分に発現しないことがあり、3.0重量%より多いと塗布層の透明性が低下することがある。
【0046】
また、上述の平均粒径の粒子に加え、さらに平均粒径10nm以上80nm以下の粒子(以下、小粒子と称することがある)を0.5重量%以上5.0重量%以下の範囲で添加することが好ましい。かかる小粒子の添加量が0.5重量%未満だと巻取り性の向上効果が十分に発現しないことがあり、一方で小粒子の添加量が5重量%より多いと透明性が低下することがある。小粒子に用いられる粒子の種類は、大粒子と同様、シリカ粒子を代表する不活性無機粒子、アクリル粒子を代表とする不活性有機粒子、もしくは有機無機複合粒子のいずれかであることが好ましく、さらに大粒子と同じ種類のものを用いることがより好ましい。
【0047】
[1軸延伸多層積層フィルムの積層構成]
(積層数)
本発明の1軸延伸多層積層フィルムは、上述の第1層および第2層が交互に合計101層以上積層されていることが好ましい。積層数が100層以下であると、延伸方向(X方向)を含む入射面に対して平行な偏光成分の平均反射率特性について、波長400〜800nmにわたり一定の平均反射率が得られないことがある。
積層数の上限値は、生産性およびフィルムのハンドリング性など観点から2001層以下が好ましいが、目的とする平均反射率特性が得られれば生産性やハンドリング性の観点からさらに積層数を減らしてもよく、例えば1001層、501層、301層であってもよい。目的とする反射特性を満たす範囲内で、より少ない積層数とすることにより、本発明で得られる光学部材の厚みをより薄くすることができる。
【0048】
(各層厚み)
第1層および第2層の各層の厚みは0.01μm以上0.5μm以下であることが好ましい。また第1層の各層の厚みは、より好ましくは0.01μm以上0.1μm以下、第2層の各層の厚みは、より好ましくは0.01μm以上0.3μm以下である。各層の厚みは透過型電子顕微鏡を用いて撮影した写真をもとに求めることができる。
本発明における1軸延伸多層積層フィルムは、輝度向上部材や液晶ディスプレイ等の反射型偏光板として用いる場合、その反射波長帯は可視光域から近赤外線領域であることが好ましく、第1層および第2層の各層の厚みをかかる範囲とすることにより、かかる波長域の光を層間の光干渉によって選択的に反射することが可能となる。一方、層厚みが0.5μmを超えると反射帯域が赤外線領域になる。他方、層厚みが0.01μm未満であると、ポリエステル成分が光を吸収し反射性能が得られなくなる。
【0049】
(最大層厚みと最小層厚みの比率)
本発明における1軸延伸多層積層フィルムは、第1層および第2層におけるそれぞれの最大層厚みと最小層厚みの比率がいずれも2.0以上5.0以下であることが好ましく、より好ましくは2.0以上4.0以下、さらに好ましくは2.0以上3.5以下、特に好ましくは2.0以上3.0以下である。かかる層厚みの比率は、具体的には最小層厚みに対する最大層厚みの比率で表わされる。第1層、第2層におけるそれぞれの最大層厚みと最小層厚みは、透過型電子顕微鏡を用いて撮影した写真をもとに求めることができる。
多層積層フィルムは、層間の屈折率差、層数、層の厚みによって反射する波長が決まるが、積層された第1層および第2層のそれぞれが一定の厚みでは、特定の波長のみしか反射することができず、延伸方向(X方向)を含む入射面に対して平行な偏光成分の平均反射率特性について、波長400〜800nmの幅広い波長帯にわたって均一に平均反射率を高めることができないため、厚みの異なる層を用いることが好ましい。
【0050】
一方、最大層厚みと最小層厚みの比率が上限値を超える場合は、反射帯域が400〜800nmよりも広がり、延伸方向(X方向)を含む入射面に対して平行な偏光成分の反射率の低下を伴うことがある。
第1層および第2層の層厚みは、段階的に変化してもよく、連続的に変化してもよい。このように積層された第1層および第2層のそれぞれが変化することで、より広い波長域の光を反射することができる。
本発明の1軸延伸多層積層フィルムにおける多層構造を積層する方法は特に限定されないが、例えば、第1層用ポリエステルを138層、第2層用ポリエステルを137層に分岐させた第1層と第2層が交互に積層され、その流路が連続的に2.0〜5.0倍までに変化する多層フィードブロック装置を使用する方法が挙げられる。
【0051】
(第1層と第2層の平均層厚み比)
本発明における1軸延伸多層積層フィルムは、第1層の平均層厚みに対する第2層の平均層厚みの比が0.5倍以上4.0倍以下の範囲であることが好ましい。第1層の平均層厚みに対する第2層の平均層厚みの比の下限値は、より好ましくは0.8である。また、第1層の平均層厚みに対する第2層の平均層厚みの比の上限値は、より好ましくは3.0である。最も好適な範囲は、1.1以上3.0以下である。
第1層の平均層厚みに対する第2層の平均層厚みの比を最適な厚み比にすることにより、多重反射による光漏れをより改良できる。ここでいう最適な厚み比とは、(第1層の延伸方向の屈折率)×(第1層の平均層厚み)で表される値と、(第2層の延伸方向の屈折率)×(第2層の平均層厚み)で表される値(光学厚さ)とが均等になる厚みであり、本発明の各層の屈折率特性から換算すると、第1層の平均層厚みに対する第2層の平均層厚みの比の好ましい範囲は1.1〜3.0程度である。
【0052】
[1軸延伸フィルム]
本発明の1軸延伸多層積層フィルムは、目的とする反射偏光フィルムとしての光学特性を得るために、少なくとも1軸方向に延伸されている。本発明における1軸延伸には、1軸方向にのみ延伸したフィルムの他、2軸方向に延伸されたフィルムであって、一方向により延伸されたフィルムも含まれる。1軸延伸方向(X方向)は、フィルム長手方向、幅方向のいずれの方向であってもよい。また、2軸方向に延伸されたフィルムであって、一方向により延伸されたフィルムの場合は、より延伸される方向(X方向)はフィルム長手方向、幅方向のいずれの方向であってもよく、延伸倍率の低い方向は、1.03〜1.20倍程度の延伸倍率にとどめることが偏光性能を高める点で好ましい。2軸方向に延伸され、一方向により延伸されたフィルムの場合、偏光や屈折率との関係での「延伸方向」とは、より延伸された方向を指す。
延伸方法としては、棒状ヒータによる加熱延伸、ロール加熱延伸、テンター延伸など公知の延伸方法を用いることができるが、ロールとの接触によるキズの低減や延伸速度などの観点から、テンター延伸が好ましい。
【0053】
[第1層と第2層の層間の屈折率特性]
第1層と第2層のX方向の屈折率差は0.10〜0.45であることが好ましい。X方向の屈折率差がかかる範囲にあることにより、反射特性を効率よく高めることができ、より少ない積層数で高い反射率を得ることができるので好ましい。
また、第1層と第2層のY方向の屈折率差は0.05以下であることが好ましい。Y方向の層間の屈折率差がかかる範囲にあることにより、偏光性能が高まり好ましい。
【0054】
[フィルム厚み]
本発明の1軸延伸多層積層フィルムのフィルム厚みは15μm以上200μm以下であることが好ましく、さらに35μm以上150μm以下であることが好ましい。
【0055】
[1軸延伸多層積層フィルムの製造方法]
つぎに、本発明の1軸延伸多層積層フィルムの製造方法について詳述する。
本発明の1軸延伸多層積層フィルムは、第1層を構成するポリマーと第2層を構成するポリマーとを溶融状態で交互に重ね合わせて合計で101層以上の交互積層体を作成し、その両面に厚膜の層(バッファ層)を設け、レイヤーダブリングと呼ばれる装置を用いて該バッファ層を有する交互積層体を例えば2〜4分割し、該バッファ層を有する交互積層体を1ブロックとしてブロックの積層数(ダブリング数)が2〜4倍になるように再度積層する方法で積層数を増やすことができる。かかる方法により、多層構造の内部にバッファ層同士が2層積層された中間層と、バッファ層1層からなる最外層を両面に有する1軸延伸多層積層フィルムを得ることができる。
かかる交互積層体は、各層の厚みが段階的または連続的に2.0〜5.0倍の範囲で変化するように積層される。
【0056】
上述した方法で所望の積層数に積層化された多層未延伸フィルムは、製膜方向、またはそれに直交する幅方向の少なくとも1軸方向(フィルム面に沿った方向)に延伸される。延伸温度は、第1層のポリマーのガラス転移点の温度(Tg)〜(Tg+20)℃の範囲で行うことが好ましい。従来よりも低めの温度で延伸を行うことにより、フィルムの配向特性をより高度に制御することができる。
【0057】
延伸倍率は2〜7.0倍で行うことが好ましく、さらに好ましくは4.5〜6.5倍である。かかる範囲内で延伸倍率が大きいほど、第1層および第2層における個々の層の面方向のバラツキが延伸による薄層化により小さくなり、多層延伸フィルムの光干渉が面方向に均一化され、また第1層と第2層の延伸方向の屈折率差が大きくなるので好ましい。このときの延伸方法は、棒状ヒータによる加熱延伸、ロール加熱延伸、テンター延伸など公知の延伸方法を用いることができるが、ロールとの接触によるキズの低減や延伸速度などの観点から、テンター延伸が好ましい。
【0058】
また、かかる延伸方向と直交する方向(Y方向)にも延伸処理を施し、2軸延伸を行う場合は、1.03〜1.20倍程度の延伸倍率にとどめることが好ましい。Y方向の延伸倍率をこれ以上高くすると、偏光性能が低下することがある。
また、延伸後にさらに(Tg)〜(Tg+30)℃の温度で熱固定を行いながら、5〜15%の範囲で延伸方向にトーアウト(再延伸)させることにより、得られた1軸延伸多層積層フィルムの配向特性を高度に制御することができる。
本発明において上述の塗布層を設ける場合、1軸延伸多層積層フィルムへの塗布は任意の段階で実施することができるが、フィルムの製造過程で実施することが好ましく、延伸前のフィルムに対して塗布することが好ましい。
【0059】
[輝度向上部材]
本発明の1軸延伸多層積層フィルムは、第1層、第2層それぞれに上述の組成のポリエステルを用い、交互に多層に積層し、一方向に延伸することにより、一方の偏光成分を選択的に反射し、該偏光成分と垂直方向の偏光成分を選択的に透過させる性能を奏するため、液晶ディスプレイなどの輝度向上部材として用いることができる。輝度向上部材として用いた場合に良好な輝度向上率が得られ、透過しなかった偏光成分を光源側に反射させることによって光を再利用できる。
また、本発明の1軸延伸多層積層フィルムの少なくとも一方の面にプリズム層あるいは拡散層を積層してもよい。その際、上述した塗布層を介してプリズム層あるいは拡散層が積層されることが好ましい。
【0060】
本発明の1軸延伸多層積層フィルムを用いてプリズム層などの部材と貼り合わせ、ユニット化することにより、組み立て時の部材数を低減でき、また液晶ディスプレイの厚みをより薄くすることができる。また、本発明の1軸延伸多層積層フィルムを用いてこれらの部材と貼り合せることにより、加工時などに加わる外力による層間剥離を抑制できるため、より信頼性の高い輝度向上部材を提供できる。
本発明の1軸延伸多層積層フィルムを輝度向上部材として用いる場合、図1に示すような構成で液晶ディスプレイ装置に用いることができる。
具体的には、液晶ディスプレイの光源5と、偏光板1/液晶セル2/偏光板3で構成される液晶パネル6との間に輝度向上部材4を配置する態様の液晶ディスプレイ装置が例示される。プリズム層をさらに設ける場合は液晶パネル6側にプリズム層を配置することが好ましい。
【0061】
[液晶ディスプレイ偏光板]
本発明の1軸延伸多層積層フィルムのうち、99.5%以上の高偏光度を有するものについて、吸収型偏光板を併用することなく、単独で液晶セルに隣接して用いられる液晶ディスプレイの偏光板として用いることができる。
本発明には、本発明の液晶ディスプレイ用偏光板からなる第1の偏光板、液晶セル、および第2の偏光板がこの順で積層された液晶ディスプレイ用光学部材(液晶パネル)も発明の一態様として含まれる。
従来は液晶セルの両側の偏光板として、吸収型偏光板を少なくとも有することにより高い偏光性能が得られていたところ、本発明の1軸延伸多層積層フィルムを用いた偏光板であれば、従来の多層積層フィルムでは到達できなかった高偏光性能が得られるため、吸収型偏光板に代えて液晶セルと隣接して用いられる偏光板として用いることができる。
【実施例】
【0062】
以下に、本発明の実施例を挙げて説明するが、本発明は以下に示した実施例に制限されるものではない。
なお、実施例中の物性や特性は、下記の方法にて測定または評価した。
【0063】
(1)偏光度
得られた1軸延伸多層積層フィルムを偏光度測定装置(日本分光株式会社製「VAP7070S」)を用いて偏光度を測定した。
偏光フィルタの透過軸をフィルムの延伸方向(X方向)と合わせるように配置した場合の測定値をP偏光とし、偏光フィルタの透過軸をフィルムの延伸方向と直交するように配置した場合の測定値をS偏光としたときの偏光度(P,単位%)は以下の式(1)で表される。
偏光度(P)={(Ts−Tp)/(Tp+Ts)}×100 ・・・(1)
(式(1)中、Tpは400〜800nmの波長範囲におけるP偏光の平均透過率、Tsは400〜800nmの波長範囲におけるS偏光の平均透過率をそれぞれ表す)
なお、測定光の入射角は0度に設定して測定を行った。
【0064】
(2)層間密着性
プリズムレンズのパターンを形成したガラス型に、下記組成からなる紫外線硬化型アクリル樹脂を流し込み、その上に得られたポリエステルフィルムの塗布層面を該樹脂側にして密着させ、ガラス製の型の面側の30cmの距離から紫外線ランプ(照射強度80W/cm、6.4KW)を用いて30秒間照射し樹脂を硬化させ、頂角90度、ピッチ50μm、高さが30μmのプリズムレンズ層を形成して輝度向上シートを得た。得られた輝度向上シートの加工面に、碁盤目のクロスカット(1mmのマス目を100個)を施し、その上に24mm幅のセロハンテープ(ニチバン社製)を貼り付け、90°の剥離角度で急激に剥がした後、剥離面を観察し、下記の基準で評価した。
【0065】
<紫外線硬化型アクリル樹脂>
エチレンオキシド変性ビスフェノールAジメタクリレート(日立化成工業社製FA−321M) 46重量%
ネオペンチルグリコール変性トリメチロールプロパンジアクリレート(日本化薬化学工業社製R−604) 25重量%
フェノキシエチルアクリレート(大阪有機化学工業社製ビスコート192) 27重量%
2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン(メルク社製Darocur1173) 2重量%
<密着性評価基準>
◎:剥離面積が0%以上5%未満 (接着力が極めて良好)
○:剥離面積が5%以上20%未満 (接着力が良好)
×:剥離面積が20%以上 (接着力が不良)
【0066】
(3)ポリマーの融点(Tm)およびガラス転移点(Tg)
各層試料を10mgサンプリングし、DSC(TAインスツルメンツ社製、商品名:DSC Q400)を用い、20℃/min.の昇温速度で、各層を構成するポリマーの融点およびガラス転移点を測定する。
【0067】
(4)ポリマーの特定ならびに共重合成分および各成分量の特定
フィルムの各層について、H−NMR測定よりポリマー成分ならびに共重合成分および各成分量を特定した。
【0068】
(5)各方向の延伸後の平均屈折率
各層を構成する個々の樹脂について、それぞれ溶融させてダイより押出し、キャスティングドラム上にキャストしたフィルムをそれぞれ用意した。また、得られたフィルムを(樹脂のガラス転移温度)+20℃にて一軸方向に5.5倍延伸した延伸フィルムを用意した。得られたキャストフィルムと延伸フィルムについて、それぞれ延伸方向(X方向)とその直交方向(Y方向)、厚み方向(Z方向)のそれぞれの屈折率(それぞれnX、nY、nZとする)を、メトリコン製プリズムカプラを用いて波長633nmで測定して求めた。第2層を構成するポリエステルの平均屈折率については、延伸後のそれぞれの方向の屈折率の平均値を平均屈折率とした。
【0069】
(6)各層の厚み
1軸延伸多層積層フィルムをフィルム長手方向2mm、幅方向2cmに切り出し、包埋カプセルに固定後、エポキシ樹脂(リファインテック(株)製エポマウント)にて包埋した。包埋されたサンプルをミクロトーム(LEICA製ULTRACUT UCT)で幅方向に垂直に切断し、5nm厚の薄膜切片にした。透過型電子顕微鏡(日立S−4300)を用いて加速電圧100kVにて観察撮影し、写真から各層の厚みを測定した。
1μm以上の厚さの層について、多層構造の内部に存在しているものを中間層、最表層に存在しているものを最外層とし、それぞれの厚みを測定した。また中間層が複数存在する場合は、それらの平均値より中間層厚みを求めた。
また、得られた各層の厚みをもとに、第1層における最小層厚みに対する最大層厚みの比率、第2層における最小層厚みに対する最大層厚みの比率をそれぞれ求めた。
また得られた各層の厚みをもとに、第1層の平均層厚み、第2層の平均層厚みをそれぞれ求め、第1層の平均層厚みに対する第2層の平均層厚みを算出した。
なお、第1層と第2層の厚みを求めるに際し、中間層および最外層は第1層と第2層から除外した。
【0070】
(7)フィルム全体厚み
フィルムサンプルをスピンドル検出器(安立電気(株)製K107C)にはさみ、デジタル差動電子マイクロメーター(安立電気(株)製K351)にて、異なる位置で厚みを10点測定し、平均値を求めフィルム厚みとした。
【0071】
(8)輝度向上効果(輝度向上率)
VA型液晶ディスプレイパネル(シャープ製AQUOS LC−20E90 2011年製)を用いて、プリズムフィルムと上側の拡散フィルムを取り除き、得られたプリズム層付輝度向上フィルムと置き換え、白色表示したときの液晶ディスプレイ画面の正面輝度をオプトデザイン社製FPD視野角測定評価装置(ErgoScope88)で測定し、置き換える前の構成に対する輝度の上昇率を算出し、輝度向上効果を下記の基準で評価した。
◎:輝度向上効果が150%以上
○:輝度向上効果が120%以上、150%未満
×:輝度向上効果が120%未満
【0072】
(9)90℃耐久性
1軸延伸多層積層フィルムを厚さ10mmの透明光学ガラスに粘着フィルムを介して貼り付け、初期の偏光度を測定した。加熱用オーブン(エスペック(株)社製、型番SH241)で、90℃500時間処理したのち、フィルムを取り出し、1時間室温に放置し、偏光度測定をした。90℃耐久性は下記の基準で評価した。
◎:初期対比、耐久性後の偏光度低下率が2%未満
○:初期対比、耐久性後の偏光度低下率が2%以上4%未満
×:初期対比、耐久性後の偏光度低下率が4%以上
【0073】
[実施例1]
第1層用ポリエステルとして、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル、テレフタル酸ジメチル、そしてエチレングリコールを、チタンテトラブトキシドの存在下でエステル交換反応を行い、さらに引き続いて重縮合反応を行って、酸成分の95モル%が2,6−ナフタレンジカルボン酸成分(表中、PENと記載)、酸成分の5モル%がテレフタル酸成分(表中、DMTと記載)、グリコール成分がエチレングリコールである共重合ポリエステル(DMT5PEN)(固有粘度0.64dl/g)を準備した。
また、第2層用ポリエステルとして、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル、テレフタル酸ジメチル、そしてエチレングリコールとトリメチレングリコールを、チタンテトラブトキシドの存在下でエステル交換反応を行い、さらに引き続いて重縮合反応を行って、酸成分の50モル%が2,6−ナフタレンジカルボン酸成分(表中、PENと記載)、酸成分の50モル%がテレフタル酸成分(表中、DMTと記載)、グリコール成分の15モル%がトリメチレングリコールである共重合ポリエステル(DMT50C3G15PEN)(固有粘度0.63dl/g)を準備した。
【0074】
準備した第1層用ポリエステルを170℃で5時間乾燥、第2層用ポリエステルを85℃で8時間乾燥後、それぞれ第1、第2の押出機に供給し、300℃まで加熱して溶融状態とし、第1層用ポリエステルを138層、第2層用ポリエステルを137層に分岐させた後、第1層と第2層が交互に積層され、かつ第1層と第2層におけるそれぞれの最大層厚みと最小層厚みが最大/最小で3.1倍、3.0倍まで連続的に変化するような多層フィードブロック装置を使用して、第1層と第2層が交互に積層された総数275層の積層状態の溶融体とし、その積層状態を保持したまま、その両側に第3の押出機から第2層用ポリエステルと同じポリエステルを3層フィードブロックへと導き、総数275層の積層状態の溶融体の積層方向の両側にバッファ層をさらに積層した。両側のバッファ層の合計が全体の47%となるよう第3の押出機の供給量を調整した。その積層状態を更にレイヤーダブリングブロックにて、2分岐して1:1の比率で積層し、内部に中間層、最表層に2つの最外層を含む全層数553層の積層状態を保持したままダイへと導き、キャスティングドラム上にキャストして、第1層と第2層の平均層厚み比が1.0:1.3になるように調整し、全層数553層の未延伸多層積層フィルムを作成した。
この未延伸の多層積層フィルムの片面に固形分濃度4%で下記に示すアクリルバインダー組成の塗液Aを、延伸乾燥後の塗布厚みが0.1μmとなるようにロールコーターで均一に塗布した。
この未延伸の多層積層フィルムを130℃の温度で幅方向に5.5倍に延伸した。得られた1軸延伸多層積層フィルムの厚みは85μmであった。
【0075】
[実施例2〜4、比較例1〜2]
表1に示すとおり、各層の樹脂組成や層厚み、延伸条件を変更した以外は実施例1と同様にして、1軸延伸多層積層フィルムを得た。このようにして得られた1軸延伸多層積層フィルムの各層の樹脂構成、各層の特徴を表1に、1軸延伸多層積層フィルムの物性を表1に示す。
【0076】
[塗液A]
(アクリルバインダー)
メチルメタクリレート60モル%/エチルアクリレート30モル%/2−ヒドロキシエチルアクリレート5モル%/N−メチロールアクリルアミド5モル%で構成されている(Tg=40℃)。四つ口フラスコに、イオン交換水302部を仕込んで窒素気流中で60℃まで昇温させ、次いで重合開始剤として過硫酸アンモニウム0.5部、亜硫酸水素ナトリウム0.2部を添加し、更にモノマー類である、メチルメタクリレート46.7部、エチルアクリレート23.3部、2−ヒドロキシエチルアクリレート4.5部、N−メチロールアクリルアミド3.4部の混合物を3時間にわたり、液温が60〜70℃になるよう調整しながら滴下した。滴下終了後も同温度範囲に2時間保持しつつ、撹拌しながら反応を継続させ、次いで冷却して固形分が25重量%のアクリルの水分散体を得た。
(界面活性剤) ポリオキシエチレントリベンジルフェニルエーテル
(粒子) アクリル真球状粒子(平均粒子径:150nm:株式会社日本触媒製、商品名「エポスターMX−100W」)
これらを以下の組成比で調合した。
アクリルバインダー:界面活性剤:粒子=89重量%:10重量%:1重量%(固形分換算での添加量)
【0077】
【表1】
【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明の1軸延伸多層積層フィルムは、高屈折率特性を有する層にポリエチレンナフタレート系ポリマーを用いた多層構造のポリマーフィルムでありながら、一定の偏光性能を備えるとともに層間の密着性が改善される。そのため、例えば偏光性能が求められる輝度向上部材、反射型偏光板などに用いた場合に、他の部材との貼り合せ、液晶ディスプレイへの組み立て、使用時等に加わる外力によって層間剥離が生じないことから、より信頼性の高い輝度向上部材、液晶ディスプレイ用偏光板などを提供できる。
【符号の説明】
【0079】
1 偏光板
2 液晶セル
3 偏光板
4 輝度向上部材
5 光源
6 液晶パネル
図1