特許第6309849号(P6309849)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許63098491軸延伸多層積層フィルム、それからなる液晶ディスプレイ用偏光板、液晶ディスプレイ用光学部材および液晶ディスプレイ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6309849
(24)【登録日】2018年3月23日
(45)【発行日】2018年4月11日
(54)【発明の名称】1軸延伸多層積層フィルム、それからなる液晶ディスプレイ用偏光板、液晶ディスプレイ用光学部材および液晶ディスプレイ
(51)【国際特許分類】
   B32B 27/36 20060101AFI20180402BHJP
   G02B 5/30 20060101ALI20180402BHJP
   G02F 1/1335 20060101ALI20180402BHJP
   C08G 63/199 20060101ALI20180402BHJP
   C08G 63/672 20060101ALI20180402BHJP
【FI】
   B32B27/36
   G02B5/30
   G02F1/1335 510
   C08G63/199
   C08G63/672
【請求項の数】15
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2014-147944(P2014-147944)
(22)【出願日】2014年7月18日
(65)【公開番号】特開2016-24314(P2016-24314A)
(43)【公開日】2016年2月8日
【審査請求日】2017年4月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003001
【氏名又は名称】帝人株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100169085
【弁理士】
【氏名又は名称】為山 太郎
(72)【発明者】
【氏名】大宅 太郎
(72)【発明者】
【氏名】清水 智子
(72)【発明者】
【氏名】岡田 悠哉
(72)【発明者】
【氏名】久保 耕司
【審査官】 増田 亮子
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2012/140807(WO,A1)
【文献】 国際公開第2012/173170(WO,A1)
【文献】 特表2008−517139(JP,A)
【文献】 特表2002−509043(JP,A)
【文献】 特開2013−7789(JP,A)
【文献】 特開2013−3410(JP,A)
【文献】 特開2012−45760(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00−43/00
G02B 5/26−5/30
C08G 63/199
C08G 63/189
C08G 63/672
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1層と第2層とが交互に積層された1軸延伸多層積層フィルムであって、1)該第1層はポリエステルを含む層であって、該ポリエステルを構成する繰り返し単位を基準としてエチレンナフタレート単位を50モル%以上100モル%以下の範囲で含有し、2)該第2層を形成するポリマーが2,6−ナフタレンジカルボン酸成分、エチレングリコール成分、脂環族ジオール成分およびトリメチレングリコール成分を共重合成分として含む共重合ポリエステルであることを特徴とする1軸延伸多層積層フィルム。
【請求項2】
該1軸延伸多層積層フィルムの下記式(1)で表される偏光度(P)が99.5%以上である、請求項1に記載の1軸延伸多層積層フィルム。
偏光度(P)={(Ts−Tp)/(Tp+Ts)}×100 ・・・(1)
(式(1)中、Tpは400〜800nmの波長範囲におけるP偏光の平均透過率、Tsは400〜800nmの波長範囲におけるS偏光の平均透過率をそれぞれ表す)
【請求項3】
該第1層は、さらにジカルボン酸成分として下記式(A)で表される成分を0モル%を超え、50モル%以下の範囲で含有する、請求項1または2に記載の1軸延伸多層積層フィルム。
【化1】
(式(A)中、Rは炭素数2〜10のアルキレン基を表わす)
【請求項4】
該第1層は、さらにジカルボン酸成分として下記式(B)で表される成分を0モル%を超え、50モル%以下の範囲で含有する、請求項1または2に記載の1軸延伸多層積層フィルム。
【化2】
(式(B)中、Rはビフェニル基を表す)
【請求項5】
前記脂環族ジオール成分がスピログリコール、トリシクロデカンジメタノールおよびシクロへキサンジメタノールからなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項1〜4のいずれかに記載の1軸延伸多層積層フィルム。
【請求項6】
該第2層を形成する共重合ポリエステルがさらに下記式(A)で表されるジカルボン酸成分を含有する、請求項1〜5のいずれかに記載の1軸延伸多層積層フィルム。
【化3】
(式(A)中、Rは炭素数2〜10のアルキレン基を表わす)
【請求項7】
該1軸延伸多層積層フィルムの積層数が251層以上である請求項1〜6のいずれかに記載の1軸延伸多層積層フィルム。
【請求項8】
液晶セルと隣接する液晶ディスプレイ偏光板として用いられる、請求項1〜7のいずれかに記載の1軸延伸多層積層フィルム。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれかに記載の1軸延伸多層積層フィルムからなる液晶ディスプレイ用偏光板。
【請求項10】
請求項9に記載の液晶ディスプレイ用偏光板からなる第1の偏光板、液晶セル、および第2の偏光板がこの順で積層されてなる液晶ディスプレイ用光学部材。
【請求項11】
請求項10に記載の液晶ディスプレイ用光学部材であって、ただし第1の偏光板が吸収型偏光板と積層された構成を除く液晶ディスプレイ用光学部材。
【請求項12】
第2の偏光板が吸収型偏光板である請求項10または11に記載の液晶ディスプレイ用光学部材。
【請求項13】
第1の偏光板、液晶セル、および第2の偏光板が積層されてなり、第1の偏光板および第2の偏光板が請求項9に記載の液晶ディスプレイ用偏光板からなる、液晶ディスプレイ用光学部材。
【請求項14】
光源と請求項10〜13のいずれかに記載の液晶ディスプレイ用光学部材とを備え、第1の偏光板が光源側に配置されてなる液晶ディスプレイ。
【請求項15】
光源と第1の偏光板との間にさらに反射型偏光板を有していない請求項14に記載の液晶ディスプレイ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は1軸延伸多層積層フィルム、それからなる液晶ディスプレイ用偏光板、液晶ディスプレイ用光学部材および液晶ディスプレイに関し、さらに詳しくは多層構造のポリマーフィルムでありながら、反射偏光性能と層間密着性とを備える1軸延伸多層積層フィルム、それからなる液晶ディスプレイ用偏光板、液晶ディスプレイ用光学部材および液晶ディスプレイに関する。
【背景技術】
【0002】
テレビ、パソコン、携帯電話等に用いられる液晶表示装置(LCD)は、液晶セルの両面に偏光板を配置した液晶パネルによって光源から射出される光の透過量を調整することにより、その表示を可能としている。液晶セルに貼り合わされる偏光板として一般的に光吸収タイプの2色性直線偏光板と呼ばれる吸収型偏光板が用いられており、ヨウ素を含むPVAをトリアセチルセルロース(TAC)で保護した偏光板が広く用いられている。
【0003】
このような吸収型の偏光板は、透過軸方向の偏光を透過し、透過軸と直交方向の偏光の殆どを吸収するため、光源装置から出射された光の約50%がこの吸収型偏光板で吸収され、光の利用効率が低下することが指摘されている。そこで、透過軸と直交方向の偏光を有効利用するために、輝度向上フィルムと呼ばれる反射型の偏光子を光源と液晶パネルの間に用いる構成が検討されており、かかる反射型の偏光子の一例として光学干渉を用いたポリマータイプのフィルムが検討されている(特許文献1など)。
【0004】
一方、液晶セルに貼りあわされる偏光板についても、外光を利用した反射表示やバックライトを利用した透過表示など、表示装置に利用する光の種類や目的などに応じて、吸収型偏光板と反射型偏光板とを組み合わせた種々の積層構成が検討されるようになっている。
例えば特許文献2には、液晶層に電解を印加して液晶のリタデーション値を変化させて液晶層に入射する偏光の位相差を一定量シフトさせる液晶表示装置において、液晶層の両側に用いる偏光板の一例として光源側に複屈折性を有するフィルムを3層以上積層した平面状多層構造の反射型偏光板、また液晶層を介した反対側に吸収型偏光板を開示している。
【0005】
また特許文献3には、可撓性を有する基板間に液晶を挟持した液晶セルの両側に配置する偏光板として吸収型偏光板と反射型偏光板を用いる際、各偏光板の温度変化に伴う伸縮量が相違するために生じる反りを解消するため、これら偏光板を組み合わせ、特定の積層構成にすることで反りを解消することが提案されている。そして反射型偏光板の一例として複屈折性の誘電体多層膜を用いることが記載されており、具体的には輝度上昇フィルムが開示されている。
しかしながら、従来検討されているような複屈折性の多層構造を用いた反射偏光性ポリマーフィルム(例えば特許文献4〜6)は、多層ポリマー間の密着性が十分とはいえず、加工などの際に多層部が剥離してしまうことがあった。
【0006】
例えば、特許文献5などに記載されているポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート(以下、2,6−PENと称することがある)を高屈折率層に用い、熱可塑性エラストマーやテレフタル酸を30mol%共重合したPENを低屈折率層に用いた多層積層フィルムの場合、1軸延伸方向(X方向)の層間の屈折率差を大きくしてP偏光の反射率を高め、一方フィルム面内方向におけるX方向と直交する方向(Y方向)の層間の屈折率差を小さくしてS偏光の透過率を高めることで、一定レベルの偏光性能が発現している。
しかし、上述のポリマーの組合せでは、偏光板として使用するには偏光度が十分とはいえず、層間の密着性に関しても不十分であった。
【0007】
本発明者らは、より偏光度の高い反射偏光板として使用可能な多層構造の反射偏光性ポリマーフィルムとして、特許文献7において、液晶セルに隣接する偏光板として使用でき、吸収型偏光板を代替可能な多層構造のポリマーフィルムからなる反射型偏光板を検討し、ある特定のポリマーを高屈折率層として用い、1軸配向させることにより、従来の多層構造の反射型偏光板よりも偏光性能を高めたフィルムを提案している。
しかしながら、特許文献7で提案されている反射偏光フィルムは97〜98%前後の高偏光度を実現しているものの、層間の密着性がいまだ十分とはいえず、さらなる改善が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特表平9−507308号公報
【特許文献2】特開2005−316511号公報
【特許文献3】特開2009−103817号公報
【特許文献4】特開平4−268505号公報
【特許文献5】特表平9−506837号公報
【特許文献6】国際公開第01/47711号パンフレット
【特許文献7】特開2012−13919号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、高屈折率特性を有する層にポリエチレンナフタレート系ポリマーを用いた多層構造のポリマーフィルムでありながら、偏光性能を備えるとともに層間の密着性が改善された1軸延伸多層積層フィルムおよび液晶ディスプレイ偏光板用反射偏光フィルム、それからなる液晶ディスプレイ用偏光板、液晶ディスプレイ用光学部材および液晶ディスプレイを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者等は、前記課題を解決するために鋭意検討した結果、従来の知見に加え、さらに低屈折率特性を有する層に特定の共重合成分を含む共重合ポリエステルを用いることにより、偏光性能を維持しながら層間密着性の改善を実現できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
すなわち本発明の目的は、第1層と第2層とが交互に積層された1軸延伸多層積層フィルムであって、1)該第1層はポリエステルを含む層であって、該ポリエステルを構成する繰り返し単位を基準としてエチレンナフタレート単位を50モル%以上100モル%以下の範囲で含有し、2)該第2層を形成するポリマーが2,6−ナフタレンジカルボン酸成分、エチレングリコール成分、脂環族ジオール成分およびトリメチレングリコール成分を共重合成分として含む共重合ポリエステルであるである1軸延伸多層積層フィルムによって達成される。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、本発明の1軸延伸多層積層フィルムは、高屈折率特性を有する層にポリエチレンナフタレート系ポリマーを用いた多層構造のポリマーフィルムでありながら、偏光性能を備えるとともに層間の密着性が改善される。そのため、例えば偏光性能が求められる輝度向上部材、高度な偏光度が求められる液晶ディスプレイの偏光板などに用いた場合に、他の部材との貼り合せ、液晶ディスプレイへの組み立て、使用時等に加わる外力によって層間剥離が生じないことから、より信頼性の高い輝度向上部材、液晶ディスプレイ用偏光板を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の1軸延伸多層積層フィルムのフィルム面を反射面とし、延伸方向(X方向)を含む入射面に対して平行な偏光成分(P偏光成分)、および延伸方向(X方向)を含む入射面に対して垂直な偏光成分(S偏光成分)の波長に対する反射率のグラフの一例である。
図2】本発明の好ましい実施形態による液晶ディスプレイの概略断面図である。
図3】ジカルボン酸成分が2,6−ナフタレンジカルボン酸から誘導される成分と6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸から誘導される成分とからなり、ジオール成分がエチレングリコールである共重合ポリエステルについて、ジカルボン酸成分の比率を変えた場合のガラス転移点を表している。
図4】ジカルボン酸成分が2,6−ナフタレンジカルボン酸から誘導される成分と6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸から誘導される成分とからなり、ジオール成分がエチレングリコールである共重合ポリエステルについて、ジカルボン酸成分の比率を変えた場合の融点を表している。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の1軸延伸多層積層フィルムは、第1層と第2層とが交互に積層された1軸延伸多層積層フィルムであり、各層を構成する樹脂、偏光性能等、本発明の各構成について以下に詳述する。
【0015】
[1軸延伸多層積層フィルム]
本発明の1軸延伸多層積層フィルムは、第1層が第2層よりも相対的に高屈折率特性を有する層、第2層が第1層よりも相対的に低屈折率特性を有する層であり、それぞれの層に以下の特定の種類のポリエステルを用いることによって、かかる屈折率の関係が発現する。
また、本発明において1軸延伸方向をX方向、フィルム面内においてX方向と直交する方向をY方向、フィルム面に対して垂直な方向をZ方向と称する。
本発明におけるP偏光とは、1軸延伸多層積層フィルムにおいて、フィルム面を反射面とし、1軸延伸方向(X方向)を含む入射面に対して平行な偏光成分と定義される。また本発明におけるS偏光とは、1軸延伸多層積層フィルムにおいて、フィルム面を反射面とし、1軸延伸方向(X方向)を含む入射面に対して垂直な偏光成分と定義される。
本発明において、延伸方向(X方向)の屈折率はnX、延伸方向と直交する方向(Y方向)の屈折率はnY、フィルム厚み方向(Z方向)の屈折率はnZと記載することがある。
【0016】
[第1層]
本発明の1軸延伸多層積層フィルムを構成する第1層はポリエステルを含む層であって、該ポリエステルを構成する繰り返し単位を基準としてエチレンナフタレート単位を50モル%以上100モル%以下の範囲で含有する。
【0017】
(第1のジカルボン酸成分)
第1層のポリエステルを構成するジカルボン酸成分としてナフタレンジカルボン酸成分を含有し、その含有量は該ポリエステルを構成するジカルボン酸成分を基準として50モル%以上100モル%以下である。
ナフタレンジカルボン酸成分として、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、またはこれらの組み合わせから誘導される成分、もしくはそれらの誘導体成分が挙げられ、特に2,6−ナフタレンジカルボン酸もしくはその誘導体成分が好ましく例示される。
【0018】
ナフタレンジカルボン酸成分の含有量の下限値は、好ましくは55モル%、より好ましくは60モル%、さらに好ましくは65モル%である。また、ナフタレンジカルボン酸成分の含有量の上限値は、好ましくは100モル%未満、より好ましくは95モル%以下、さらに好ましくは90モル%以下、特に好ましくは80モル%以下、最も好ましくは70モル%以下である。
【0019】
ナフタレンジカルボン酸成分を主成分として含有するポリエステルを用いることで、X方向に高屈折率を示すと同時に1軸配向性の高い複屈折率特性を実現でき、X方向について第2層との屈折率差を大きくすることができ、高偏光に寄与する。
一方、ナフタレンジカルボン酸成分の割合が下限値に満たないと、非晶性の特性が大きくなり、延伸フィルムにおける延伸方向(X方向)の屈折率nXと、Y方向の屈折率nYとの差異が小さくなるため、P偏光成分について十分な反射性能が得られないことがある。
【0020】
(ジオール成分)
第1層のポリエステルを構成するジオール成分として、エチレングリコール成分が用いられ、その含有量は該ポリエステルを構成するシオール成分を基準として50モル%以上100モル%以下であることが好ましく、より好ましくは75モル%以上100モル%以下、さらに好ましくは90モル%以上100モル%以下、特に好ましくは90モル%以上98重量%以下である。該ジオール成分の割合が下限値に満たない場合は、前述の1軸配向性が損なわれることがある。
第1層のポリエステルを構成するジオール成分として、エチレングリコール成分以外にさらに本発明の目的を損なわない範囲でトリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコールなどを含有してもよい。
【0021】
(第2のジカルボン酸成分)
第1層を構成するポリエステルには、さらに第2のジカルボン酸成分が用いられることが好ましく、下記式(A)で表される成分を、0モル%を超え、50モル%以下含有するか、
【化1】
(式(A)中、Rは炭素数2〜10のアルキレン基を表わす)
あるいは下記式(B)で表される成分を、0モル%を超え、50モル%以下含有することが好ましい。
【化2】
(式(B)中、Rはビフェニル基を表す)
【0022】
第2のジカルボン酸成分の含有量は、第1層のポリエステルを構成するジカルボン酸成分を基準として表され、その下限は好ましくは5モル%、より好ましくは10モル%、さらに好ましくは20モル%、特に好ましくは30モル%である。また、第2のジカルボン酸成分の含有量の上限は、好ましくは45モル%、より好ましくは40モル%、さらに好ましくは35モル%である。
以下に、下記式(A)で表される成分をさらに含む芳香族ポリエステル(I)(以下、芳香族ポリエステル(I)と称することがある)、下記式(B)で表される成分をさらに含む芳香族ポリエステル(II)(以下、芳香族ポリエステル(II)と称することがある)について説明する。
【0023】
(芳香族ポリエステル(I))
第1層を形成するポリエステルの1つとして、下記の特定構造の芳香族系共重合成分をジカルボン酸成分に有する芳香族ポリエステル(I)が例示される。
本発明において芳香族ポリエステル(I)を構成するジカルボン酸成分の好ましい例として、50モル%以上100モル%未満のナフタレンジカルボン酸成分と、0モル%を超え50モル%以下の下記式(A)で表される成分を特定量ずつ含有することが好ましい。
【0024】
【化3】
(式(A)中、Rは炭素数2〜10のアルキレン基を表わす)
【0025】
かかる共重合成分を含むポリエステルを用いることにより、偏光性能をより高めることができる。一方、式(A)で示される成分の割合が上限値を超える場合は非晶性の特性が大きくなり、延伸フィルムにおけるX方向の屈折率nとY方向の屈折率nとの差異が小さくなるため、X方向における第1層と第2層との層間の屈折率差を大きくできず、P偏光成分について十分な反射性能が得られないことがある。
式(A)で表される成分について、式中、Rは炭素数2〜10のアルキレン基を表している。かかるアルキレン基として、エチレン基、トリメチレン基、イソプロピレン基、テトラメチレン基、ヘキサメチレン基、オクタメチレン基等が挙げられ、特にエチレン基が好ましい。
【0026】
式(A)で表される成分の含有量の下限値は、好ましくは5モル%、より好ましくは10モル%、さらに好ましくは20モル%、特に好ましくは30モル%である。また、式(A)で表される成分の含有量の上限値は、より好ましくは45モル%、さらに好ましくは40モル%、特に好ましくは35モル%である。
式(A)で表される酸成分は、6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸、6,6’−(トリメチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸、あるいは6,6’−(ブチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸から誘導される成分が好ましい。これらの中でも式(A)におけるRの炭素数が偶数のものが好ましく、特に6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸から誘導される成分が好ましい。
【0027】
本発明において好適な芳香族ポリエステル(I)の態様として、特に、ナフタレンジカルボン酸成分が2,6−ナフタレンジカルボン酸から誘導される成分であり、式(A)で表されるジカルボン酸成分が6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸から誘導される成分であり、ジオール成分がエチレングリコールであるポリエステルが好ましい。
【0028】
延伸によるX方向の高屈折率化には、ナフタレンジカルボン酸成分をはじめ、式(A)で表される成分など、芳香族環を有する成分が主として影響する。また式(A)で表される成分を含む場合、延伸によりY方向の屈折率が低下しやすくなる。具体的には式(A)で表される成分が2つの芳香環がアルキレン鎖を介してエーテル結合でつながっている分子構造であるため、1軸延伸したときにこれら芳香環が面方向でない方向に回転しやすくなり、第1層のY方向の屈折率が延伸により低下しやすくなる。
一方、本発明における芳香族ポリエステル(I)のジオール成分は脂肪族系であるため、ジオール成分が第1層の屈折率特性に与える影響は本発明のジカルボン酸成分にくらべて小さい。
【0029】
芳香族ポリエステル(I)は、P−クロロフェノール/1,1,2,2−テトラクロロエタン(重量比40/60)の混合溶媒を用いて35℃で測定した固有粘度が0.4〜3dl/gであることが好ましく、さらに好ましくは0.4〜1.5dl/g、特に好ましくは0.5〜1.2dl/gである。
芳香族ポリエステル(I)の融点は、好ましくは200〜260℃の範囲、より好ましくは205〜255℃の範囲、さらに好ましくは210〜250℃の範囲である。融点はDSCで測定して求めることができる。
【0030】
該ポリエステルの融点が上限値を越えると、溶融押出して成形する際に流動性が劣り、吐出などが不均一化しやすくなることがある。一方、融点が下限値に満たないと、製膜性は優れるものの、ポリエステルの持つ機械的特性などが損なわれやすくなり、また本発明の屈折率特性が発現し難い。
一般的に共重合体は単独重合体に比べて融点が低く、機械的強度が低下する傾向にある。しかし、ナフタレンジカルボン酸成分および式(A)の成分を含有する共重合体である場合、ナフタレンジカルボン酸成分のみを有する単独重合体、あるいは式(A)の成分のみを有する単独重合体に比べて融点が低いものの機械的強度は同程度であるという優れた特性を有する。
【0031】
芳香族ポリエステル(I)のガラス転移点(以下、Tgと称することがある。)は、好ましくは80〜120℃、より好ましくは82〜118℃、さらに好ましくは85〜118℃の範囲にある。Tgがこの範囲にあると、耐熱性および寸法安定性に優れたフィルムが得られる。かかる融点やガラス転移点は、共重合成分の種類と共重合量、そして副生物であるジエチレングリコールの制御などによって調整できる。
【0032】
ナフタレンジカルボン酸成分が2,6−ナフタレンジカルボン酸から誘導される成分であり、式(A)で表されるジカルボン酸成分が6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸から誘導される成分であり、ジオール成分がエチレングリコールであるポリエステルについて、ジカルボン酸成分の比率を変えた場合のガラス転移点と融点をそれぞれ図3図4に示す。
ナフタレンジカルボン酸成分および式(A)で表される成分を含む場合の芳香族ポリエステル(I)の製造方法は、例えば国際公開第2008/153188号パンフレットの第9頁に記載されている方法に準じて製造することができる。
【0033】
(芳香族ポリエステル(I)の屈折率特性)
かかる特定の共重合成分を含む芳香族ポリエステル(I)を第1層に用いて1軸延伸を施す場合、第1層のX方向の屈折率nXが1.80〜1.90の高屈折率特性を有する。第1層におけるX方向の屈折率がかかる範囲にある場合、第2層との屈折率差が大きくなり、十分な反射偏光性能を発揮することができる。
また、Y方向の1軸延伸後の屈折率nYとZ方向の1軸延伸後の屈折率nZとの差は0.05以下であることが好ましい。
【0034】
(芳香族ポリエステル(II))
本発明の第1層を構成するポリエステルとして、芳香族ポリエステル(I)以外に以下の芳香族ポリエステル(II)の態様も好ましく例示される。
具体的には、芳香族ポリエステル(I)の式(A)で表される成分に代わり、ジカルボン酸成分として下記式(B)で表される成分を用い、0モル%を超え50モル%以下の範囲で含有する芳香族ポリエステルが挙げられる。
【0035】
【化4】
(式(B)中、Rはビフェニル基を表す)
【0036】
芳香族ポリエステル(II)を構成するジカルボン酸成分およびジオール成分のうち、式(B)で表される成分以外の構成については、芳香族ポリエステル(I)と同じものを用いることができ、それらの含有量も芳香族ポリエステル(I)に準じる。
【0037】
[第2層]
本発明において、1軸延伸多層積層フィルムの第2層を形成するポリマーとして、2,6−ナフタレンジカルボン酸成分、エチレングリコール成分、脂環族ジオール成分およびトリメチレングリコール成分を共重合成分として含む共重合ポリエステルを用いることが必要である。
本発明における共重合成分とは共重合ポリエステルを構成するいずれかの成分であることを意味しており、従たる成分としての共重合成分に限定されず、主たる成分も含めて用いられる。
反射偏光機能を発現するために、本発明の高屈折率層としてエチレンナフタレート単位を所定量含むポリエステルを第1層に用いており、第2層のポリマー成分が2,6−ナフタレンジカルボン酸成分を含まないと第1層との相溶性が低くなり、層間剥離が生じるため、第1層との層間密着性が低下する。
【0038】
第2層の共重合ポリエステルは、ジオール成分がエチレングリコール成分、脂環族ジオール成分、トリメチレングリコール成分の少なくとも3成分を必須成分として含む。このうち、エチレングリコール成分はフィルム製膜性などの観点より主たるジオール成分として用いられることが好ましい。
本発明における第2層の共重合ポリエステルは、さらにジオール成分としてトリメチレングリコール成分を含有する。トリメチレングリコール成分を含まないと、層構造の弾性が不足し、層間剥離が生じる。
さらに本発明における第2層の共重合ポリエステルは脂環族ジオール成分を含有する。脂環族ジオール成分を含有することにより、特にY方向について第1層の屈折率特性に応じて層間屈折率差をより小さくすることが可能となり、偏光性能を高めることができる。同時に十分な耐熱性を発現しうるガラス転移点を得ることができる。
該脂環族ジオール成分として、スピログリコール、トリシクロデカンジメタノールおよびシクロへキサンジメタノールからなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましく例示される。
【0039】
かかる2,6−ナフタレンジカルボン酸成分は、第2層の共重合ポリエステルを構成する全カルボン酸成分の30モル%〜100モル%であることが好ましく、さらに30モル%〜80モル%であることが好ましい。2,6−ナフタレンジカルボン酸成分の含有量が下限に満たないと相溶性の観点から密着性が低下する。2,6−ナフタレンジカルボン酸成分の含有量の上限は特に制限されないが、第1層との屈折率の関係を調整するために他のジカルボン酸成分を共重合させてもよい。
【0040】
エチレングリコール成分は第2層の共重合ポリエステルを構成する全ジオール成分の50モル%〜92モル%であることが好ましく、さらに50モル%〜80モル%であることが好ましい。
脂環族ジオール成分は、第2層の共重合ポリエステルを構成する全ジオール成分の3モル%〜40モル%であることが好ましく、さらに3モル%〜30モル%であることが好ましい。脂環族ジオール成分の含有量が下限に満たないと、所望の屈折率とガラス転移点の樹脂とすることが難しく、上限を超えると密着性確保が難しくなる。
トリメチレングリコール成分は、第2層の共重合ポリエステルを構成する全ジオール成分の5モル%〜47モル%であることが好ましく、さらに10モル%〜40モル%であることが好ましい。トリメチレングリコール成分の含有量が下限に満たないと密着性の確保が難しく、上限を超えると所望の屈折率とガラス転移点の樹脂とすることができない。
【0041】
第2層を構成する共重合ポリエステルは、平均屈折率1.50以上1.65以下であることが好ましく、より好ましくは1.53以上1.63以下、さらに好ましくは1.55以上1.61以下、特に好ましくは1.58以上1.60以下である。また、第2層は光学等方性の層であることが好ましい。
第2層についての平均屈折率は、第2層を構成する共重合ポリエステルを単独で溶融させ、ダイより押出して未延伸フィルムを作成し、1軸方向に(第2層の共重合ポリエステルのガラス転移温度)+20℃で5倍延伸を行って1軸延伸フィルムを作成し、得られたフィルムのX方向、Y方向、Z方向それぞれの方向について、メトリコン製プリズムカプラを用いて波長633nmにおける屈折率を測定し、それらの平均値を平均屈折率として規定したものである。
また、光学等方性とは、これらX方向、Y方向、Z方向の屈折率の2方向間の屈折率差がいずれも0.05以下、好ましくは0.03以下であることをいう。
【0042】
第2層がかかる平均屈折率を有し、しかも延伸によって各方向の屈折率差の小さい光学等方性材料であることにより、第1層と第2層の層間における延伸後のX方向の屈折率差が大きく、同時にY方向の層間の屈折率差が小さい屈折率特性を得ることができ、偏光性能を高度に高めることができ、好ましい。
さらに第1層の共重合成分として式(A)あるいは式(B)で表される成分を用いた場合、各方向の層間の屈折率差について前記X方向、Y方向の特徴のみならず、Z方向の屈折率差も小さくなり、さらに斜めからの入射角よる色相ずれを低減でき、好ましい。
本発明における第2層は、本発明の偏光度に影響を及ぼさない範囲であれば、第2層の重量を基準として10重量%以下の範囲内で該共重合ポリエステル以外の熱可塑性樹脂を第2のポリマー成分として含有してもよい。
【0043】
本発明において、上述する第2層の共重合ポリエステルは、70℃以上のガラス転移点を有することが好ましく、より好ましくは70℃以上150℃以下、さらに好ましくは70℃以上120℃以下、特に好ましくは75℃以上110℃以下である。第2層の共重合ポリエステルのガラス転移点が下限に満たない場合、十分な耐熱性が得られないことがあり、ガラス転移点近辺あるいはさらに高い温度での熱処理などの工程を含むときに第2層の結晶化や脆化によってヘーズが上昇し、偏光度の低下を伴うことがある。また、第2層の共重合ポリエステルのガラス転移点が高すぎる場合には、延伸時に第2層のポリエステルも延伸による複屈折性が生じることがあり、それに伴い延伸方向において第1層との屈折率差が小さくなり、反射性能が低下することがある。
かかる屈折率特性を有する共重合ポリエステルの中でも、高熱処理で結晶化によるヘーズ上昇が全く起きない点から、非晶性の共重合ポリエステルであることが好ましい。ここでいう非晶性とは、示差熱量分析(DSC)において昇温速度20℃/分で昇温させたときの結晶融解熱量が0.1mJ/mg未満であることを指す。
【0044】
第2層の共重合ポリエステルの具体例として、(1)ジカルボン酸成分として2,6−ナフタレンジカルボン酸成分を含み、ジオール成分としてエチレングリコール成分、トリメチレングリコール成分およびスピログリコール成分を含む共重合ポリエステル、(2)ジカルボン酸成分として2,6−ナフタレンジカルボン酸成分およびテレフタル酸を含み、ジオール成分としてエチレングリコール成分、トリメチレングリコール成分およびスピログリコール成分を含む共重合ポリエステル、が挙げられる。また、上述の共重合成分に加え、さらにジカルボン酸成分として下記式(A)で表される成分を含有する共重合ポリエステルも好ましく例示される。
【0045】
【化5】
(式(A)中、Rは炭素数2〜10のアルキレン基を表わす)
【0046】
かかるアルキレン基として、エチレン基、トリメチレン基、イソプロピレン基、テトラメチレン基、ヘキサメチレン基、オクタメチレン基等が挙げられ、特にエチレン基が好ましい。
第2層の共重合ポリエステルは、o−クロロフェノール溶液を用いて35℃で測定した固有粘度が0.55〜0.75dl/gであることが好ましく、さらに好ましくは0.60〜0.70dl/gである。
【0047】
第2層の共重合ポリエステルは、共重合成分として脂環族ジオール成分などを用いるため、未延伸方向における引き裂き強度が低下することがあり、該共重合ポリエステルの固有粘度を上述の範囲とすることで耐引き裂き性を高めることができる。第2層として上述する共重合ポリエステルを用いる場合の固有粘度は、耐引き裂き性の観点からはより高い方が好ましいものの、上限を超える範囲では第1層の芳香族ポリエステルとの溶融粘度差が大きくなり、各層の厚みが不均一になることがある。
【0048】
(偏光度)
本発明の1軸延伸多層積層フィルムは、下記式(1)で表される偏光度(P)が90.0%以上であることが好ましく、さらに95.0%以上であることが好ましい。また、かかる偏光度は、99.0%以上であることがさらに好ましく、特に好ましくは99.5%以上、最も好ましくは99.9%以上である。
偏光度(P)={(Ts−Tp)/(Tp+Ts)}×100 ・・・(1)
(式(1)中、Tpは400〜800nmの波長範囲におけるP偏光の平均透過率、Tsは400〜800nmの波長範囲におけるS偏光の平均透過率をそれぞれ表す)
【0049】
本発明における偏光度の測定は、偏光度測定装置を用いて測定することができる。
上式(1)で特定される偏光度が高いほど、反射偏光成分の透過を抑制し、その直交方向の透過偏光成分の透過率が高いことを意味しており、偏光度が高いほど反射偏光成分のわずかな光漏れも低減できる。本発明の1軸延伸多層積層フィルムが98.0%以上の偏光度を有することにより、輝度向上部材などの用途として好適に用いることができる。また、99.5%以上の偏光度を有することにより、従来は吸収型偏光板でなければ適用が難しかったコントラストの高い液晶ディスプレイの偏光板として、反射偏光板単独で適用することができる。
【0050】
かかる偏光度特性は第1層と第2層を構成するポリマーとして上述した種類のものを用い、1軸延伸によってX方向、Y方向、Z方向の層間の屈折率を特定の関係にすることで得られる。さらに99.5%以上の高偏光度を得るためには、第1層のポリエステルのうち、芳香族ポリエステル(I)、あるいは芳香族ポリエステル(II)を用い、これらのポリエステルの第2のジカルボン酸成分を10モル%以上とし、さらに1軸延伸後に所定の範囲でトーアウト(再延伸)および熱固定処理を行うことにより、1軸延伸多層積層フィルムの配向特性を高度に制御でき、かかる高偏光度が得られる。
【0051】
(S偏光平均透過率)
本発明の1軸延伸多層積層フィルムの400〜800nmの波長範囲におけるS偏光の平均透過率Tsは60%以上であることが好ましく、より好ましくは70%以上、さらに好ましくは75%以上、特に好ましくは80%以上である。
本発明におけるS偏光平均透過率は、1軸延伸多層積層フィルムにおいて、フィルム面を反射面とし、1軸延伸方向(X方向)を含む入射面に対して垂直な偏光成分について、入射角0度での該入射偏光に対する波長400〜800nmの平均透過率を表している。
該S偏光平均透過率が下限に満たないと、反射型偏光板として用いた場合、反射偏光を偏光板で吸収せずに光源側に反射させ、再度その光を有効活用する光リサイクル機能を考慮しても、吸収型偏光板と較べて輝度向上効果の優位性が十分ではないことがある。
【0052】
[バッファ層・中間層]
本発明の1軸延伸多層積層フィルムは、かかる第1層、第2層以外に、中間層を含んでいてもよい。中間層は層厚みが2μm以上30μm以下の厚さであることが好ましく、かかる中間層を第1層と第2層の交互積層構成の内部に有していてもよい。
該中間層は本発明において内部厚膜層などと称することがあるが、本発明において交互積層構成の内部に存在する厚膜の層を指す。また本発明において、多層積層フィルムの製造の初期段階で300層以下の交互積層体の両側に厚膜の層(厚み調整層、バッファ層と称することがある)を形成し、その後ダブリングにより積層数を増やす方法が好ましく用いられるが、その場合はバッファ層同士が2層積層されて中間層が形成される方法が好ましい。
【0053】
かかる厚みの中間層を第1層と第2層の交互積層構成の一部に有する場合、偏光機能に影響をおよぼすことなく、第1層および第2層を構成する各層厚みを均一に調整しやすくなる。かかる厚みの中間層は、第1層、第2層のいずれかと同じ組成、またはこれらの組成を部分的に含む組成であってもよく、層厚みが厚いため、反射特性には寄与しない。一方、透過する偏光には影響することがあるため、層中に粒子を含める場合は粒子の説明で述べる粒子濃度の範囲内であることが好ましい。
該中間層の厚さが下限に満たないと交互積層構成部の層構成に乱れが生じることがあり、反射性能が低下することがある。一方、該中間層の厚さが上限を超えると、積層後の1軸延伸多層積層フィルム全体の厚みが厚くなり、薄型の液晶表示装置の偏光板や輝度向上部材として用いた場合に省スペース化しにくいことがある。また、1軸延伸多層積層フィルム内に複数の中間層を含む場合には、それぞれの中間層の厚みがかかる範囲内にあることが好ましい。
【0054】
中間層に用いられるポリマーは、本発明の1軸延伸多層積層フィルムの製造方法を用いて多層構造中に存在させることができれば、第1層あるいは第2層と異なる樹脂を用いてもよいが、層間接着性の観点より、第1層、第2層のいずれかと同じ組成であることが好ましく、またはこれらの組成を部分的に含む組成であってもよい。
該中間層の形成方法は特に限定されないが、例えば1軸延伸多層積層フィルムの製造方法欄において説明する、ダブリングを行う前の300層以下の範囲の交互積層体の両側に厚膜の層(バッファ層)を設け、それをレイヤーダブリングブロックと呼ばれる分岐ブロックを用いて2分割し、それらを再積層することで内部厚膜層(中間層)を1層設けることができる。同様の手法で3分岐、4分岐することにより中間層を複数設けることもできる。
【0055】
[1軸延伸多層積層フィルムの積層構成]
(積層数)
本発明の1軸延伸多層積層フィルムは、上述の第1層および第2層が交互に合計251層以上積層されていることが好ましい。積層数が251層未満であると、延伸方向(X方向)を含む入射面に対して平行な偏光成分の平均反射率特性について、波長400〜800nmにわたり一定の平均反射率が得られないことがある。
積層数の上限値は、生産性およびフィルムのハンドリング性など観点から2001層以下が好ましいが、目的とする平均反射率特性が得られれば生産性やハンドリング性の観点からさらに積層数を減らしてもよく、例えば1001層、501層、301層であってもよい。
【0056】
(各層厚み)
第1層および第2層の各層の厚みは0.01μm以上0.5μm以下であることが好ましい。また第1層の各層の厚みは、より好ましくは0.01μm以上0.1μm以下、第2層の各層の厚みは、より好ましくは0.01μm以上0.3μm以下である。各層の厚みは透過型電子顕微鏡を用いて撮影した写真をもとに求めることができる。
本発明における1軸延伸多層積層フィルムは、液晶ディスプレイの反射型偏光板や輝度向上部材として用いる場合、その反射波長帯は可視光域から近赤外線領域であることが好ましく、第1層および第2層の各層の厚みをかかる範囲とすることにより、かかる波長域の光を層間の光干渉によって選択的に反射することが可能となる。一方、層厚みが0.5μmを超えると反射帯域が赤外線領域になる。他方、層厚みが0.01μm未満であると、ポリエステル成分が光を吸収し反射性能が得られなくなる。
【0057】
(最大層厚みと最小層厚みの比率)
本発明における1軸延伸多層積層フィルムは、第1層および第2層におけるそれぞれの最大層厚みと最小層厚みの比率がいずれも2.0以上5.0以下であることが好ましく、より好ましくは2.0以上4.0以下、さらに好ましくは2.0以上3.5以下、特に好ましくは2.0以上3.0以下である。かかる層厚みの比率は、具体的には最小層厚みに対する最大層厚みの比率で表わされる。第1層、第2層におけるそれぞれの最大層厚みと最小層厚みは、透過型電子顕微鏡を用いて撮影した写真をもとに求めることができる。
多層積層フィルムは、層間の屈折率差、層数、層の厚みによって反射する波長が決まるが、積層された第1層および第2層のそれぞれが一定の厚みでは、特定の波長のみしか反射することができず、延伸方向(X方向)を含む入射面に対して平行な偏光成分の平均反射率特性について、波長400〜800nmの幅広い波長帯にわたって均一に平均反射率を高めることができないため、厚みの異なる層を用いることが好ましい。
【0058】
一方、最大層厚みと最小層厚みの比率が上限値を超える場合は、反射帯域が400〜800nmよりも広がり、延伸方向(X方向)を含む入射面に対して平行な偏光成分の反射率の低下を伴うことがある。
第1層および第2層の層厚みは、段階的に変化してもよく、連続的に変化してもよい。このように積層された第1層および第2層のそれぞれが変化することで、より広い波長域の光を反射することができる。
本発明の1軸延伸多層積層フィルムにおける多層構造を積層する方法は特に限定されないが、例えば、第1層用ポリエステルを138層、第2層用ポリエステルを137層に分岐させた第1層と第2層が交互に積層され、その流路が連続的に2.0〜5.0倍までに変化する多層フィードブロック装置を使用する方法が挙げられる。
【0059】
(第1層と第2層の平均層厚み比)
本発明における1軸延伸多層積層フィルムは、第1層の平均層厚みに対する第2層の平均層厚みの比が0.5倍以上4.0倍以下の範囲であることが好ましい。第1層の平均層厚みに対する第2層の平均層厚みの比の下限値は、より好ましくは0.8である。また、第1層の平均層厚みに対する第2層の平均層厚みの比の上限値は、より好ましくは3.0である。最も好適な範囲は、1.1以上3.0以下である。
第1層の平均層厚みに対する第2層の平均層厚みの比を最適な厚み比にすることにより、多重反射による光漏れをより改良できる。ここでいう最適な厚み比とは、(第1層の延伸方向の屈折率)×(第1層の平均層厚み)で表される値と、(第2層の延伸方向の屈折率)×(第2層の平均層厚み)で表される値(光学厚さ)とが均等になる厚みであり、本発明の各層の屈折率特性から換算すると、第1層の平均層厚みに対する第2層の平均層厚みの比の好ましい範囲は1.1〜3.0程度である。
【0060】
[1軸延伸フィルム]
本発明の1軸延伸多層積層フィルムは、目的とする反射偏光フィルムとしての光学特性を得るために、少なくとも1軸方向に延伸されている。本発明における1軸延伸には、1軸方向にのみ延伸したフィルムの他、2軸方向に延伸されたフィルムであって、一方向により延伸されたフィルムも含まれる。1軸延伸方向(X方向)は、フィルム長手方向、幅方向のいずれの方向であってもよい。また、2軸方向に延伸されたフィルムであって、一方向により延伸されたフィルムの場合は、より延伸される方向(X方向)はフィルム長手方向、幅方向のいずれの方向であってもよく、延伸倍率の低い方向は、1.05〜1.20倍程度の延伸倍率にとどめることが偏光性能を高める点で好ましい。2軸方向に延伸され、一方向により延伸されたフィルムの場合、偏光や屈折率との関係での「延伸方向」とは、より延伸された方向を指す。
延伸方法としては、棒状ヒータによる加熱延伸、ロール加熱延伸、テンター延伸など公知の延伸方法を用いることができるが、ロールとの接触によるキズの低減や延伸速度などの観点から、テンター延伸が好ましい。
【0061】
[第1層と第2層の層間の屈折率特性]
第1層と第2層のX方向の屈折率差は0.10〜0.45であることが好ましい。X方向の屈折率差がかかる範囲にあることにより、反射特性を効率よく高めることができ、より少ない積層数で高い反射率を得ることができるので好ましい。
また、第1層と第2層のY方向の屈折率差は0.05以下であることが好ましい。Y方向の層間の屈折率差がかかる範囲にあることにより、偏光性能が高まり好ましい。
【0062】
[フィルム厚み]
本発明の1軸延伸多層積層フィルムのフィルム厚みは15μm以上200μm以下であることが好ましく、さらに50μm以上180μm以下であることが好ましい。
【0063】
[1軸延伸多層積層フィルムの製造方法]
つぎに、本発明の1軸延伸多層積層フィルムの製造方法について詳述する。
本発明の1軸延伸多層積層フィルムは、第1層を構成するポリマーと第2層を構成するポリマーとを溶融状態で交互に重ね合わせて合計で300層以下の交互積層体を作成し、その両面に膜厚の層(バッファ層)を設け、レイヤーダブリングと呼ばれる装置を用いて該バッファ層を有する交互積層体を例えば2〜4分割し、該バッファ層を有する交互積層体を1ブロックとしてブロックの積層数(ダブリング数)が2〜4倍になるように再度積層する方法で積層数を増やすことができる。かかる方法により、多層構造の内部にバッファ層同士が2層積層された中間層を有する1軸延伸多層積層フィルムを得ることができる。
【0064】
かかる交互積層体は、各層の厚みが段階的または連続的に2.0〜5.0倍の範囲で変化するように積層される。
上述した方法で所望の積層数に積層化された多層未延伸フィルムは、製膜方向、またはそれに直交する幅方向の少なくとも1軸方向(フィルム面に沿った方向)に延伸される。延伸温度は、第1層のポリマーのガラス転移点の温度(Tg)〜(Tg+20)℃の範囲で行うことが好ましい。従来よりも低めの温度で延伸を行うことにより、フィルムの配向特性をより高度に制御することができる。
【0065】
延伸倍率は2〜5.8倍で行うことが好ましく、さらに好ましくは4.5〜5.5倍である。かかる範囲内で延伸倍率が大きいほど、第1層および第2層における個々の層の面方向のバラツキが延伸による薄層化により小さくなり、多層延伸フィルムの光干渉が面方向に均一化され、また第1層と第2層の延伸方向の屈折率差が大きくなるので好ましい。このときの延伸方法は、棒状ヒータによる加熱延伸、ロール加熱延伸、テンター延伸など公知の延伸方法を用いることができるが、ロールとの接触によるキズの低減や延伸速度などの観点から、テンター延伸が好ましい。
【0066】
また、かかる延伸方向と直交する方向(Y方向)にも延伸処理を施し、2軸延伸を行う場合は、1.05〜1.20倍程度の延伸倍率にとどめることが好ましい。Y方向の延伸倍率をこれ以上高くすると、偏光性能が低下することがある。
また、延伸後にさらに(Tg)〜(Tg+30)℃の温度で熱固定を行いながら、5〜15%の範囲で延伸方向にトーアウト(再延伸)させることにより、得られた1軸延伸多層積層フィルムの配向特性を高度に制御することができる。
【0067】
[液晶ディスプレイ偏光板用フィルム]
本発明の1軸延伸多層積層フィルムのうち、99.5%以上の高偏光度を有するものについて、吸収型偏光板を併用することなく、単独で液晶セルに隣接して用いられる液晶ディスプレイの偏光板として用いることができる。
【0068】
[液晶ディスプレイ用光学部材]
本発明には、本発明の液晶ディスプレイ用偏光板からなる第1の偏光板、液晶セル、および第2の偏光板がこの順で積層された液晶ディスプレイ用光学部材も発明の一態様として含まれる。かかる光学部材は液晶パネルとも称される。かかる光学部材は図2における5に相当し、第1の偏光板は3、液晶セルは2、第2の偏光板は1に相当する。
従来は液晶セルの両側の偏光板として、吸収型偏光板を少なくとも有することにより高い偏光性能が得られていたところ、本発明の1軸延伸多層積層フィルムを用いた偏光板であれば、従来の多層積層フィルムでは到達できなかった高偏光性能が得られるため、吸収型偏光板に代えて液晶セルと隣接して用いられる偏光板として用いることができるものである。
【0069】
すなわち、本発明の特徴は、第1の偏光板として本発明の1軸延伸多層積層フィルムからなる偏光板を液晶セルの一方において単独で用いることにあり、好ましくは第1の偏光板が吸収型偏光板と積層された構成は除かれる。
液晶セルの種類は特に限定されず、VAモード、IPSモード、TNモード、STNモードやベンド配向(π型)など、任意のタイプのものを用いることができる。その中でも本発明は一般的に斜め45°方位からの視野角特性の要求が高いVAモードやIPSモードに使用されるのが特に好ましい。
【0070】
また、第2の偏光板の種類は特に限定されず、吸収型偏光板、反射型偏光板のいずれも用いることができる。第2の偏光板として反射型偏光板を用いる場合、本発明の液晶ディスプレイ用偏光板を用いることが好ましい。
本発明の液晶ディスプレイ用光学部材は、第1の偏光板、液晶セル、および第2の偏光板がこの順で積層されることが好ましく、これらの各部材同士は直接積層されてもよく、また粘着層や接着層と称される層間の接着性を高める層(以下、粘着層と称することがある)、保護層などを介して積層されてもよい。
【0071】
[液晶ディスプレイ用光学部材の形成]
液晶セルに偏光板を配置する方法としては、両者を粘着層によって積層することが好ましい。粘着層を形成する粘着剤は特に制限されないが、例えばアクリル系重合体、シリコーン系ポリマー、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、ポリエーテル、フッ素系やゴム系等のポリマーをベースポリマーとするものを適宜選択して用いることができる。特に、アクリル系粘着剤のように透明性に優れ、適度な濡れ性と凝集性と接着性の粘着特性を有し、耐候性や耐熱性等に優れるものが好ましい。また、粘着層は異なる組成又は種類の層を複数設けてもよい。
液晶セルと偏光板とを積層する際の作業性の観点において、粘着層は、予め偏光板、あるいは液晶セルの一方または両方に付設しておくことが好ましい。粘着層の厚みは、使用目的や接着力等に応じて適宜決定でき、一般には1〜500μmであり、5〜200μmが好ましく、特に10〜100μmが好ましい。
【0072】
(離型フィルム)
また、粘着層の露出面に対しては、実用に供するまでの間、その汚染防止等を目的として離型フィルム(セパレータ)が仮着されてカバーされることが好ましい。これにより、通例の取扱状態で粘着層に接触することを防止できる。離型フィルムとしては、例えばプラスチックフィルム、ゴムシート、紙、布、不織布、ネット、発泡シートや金属箔、それらのラミネート体などを、必要に応じシリコーン系や長鎖アルキル系、フッ素系や硫化モリブデンなどの剥離剤でコート処理したものを用いうる。
【0073】
[液晶ディスプレイ]
本発明には、光源と本発明の液晶ディスプレイ用光学部材とを備え、第1の偏光板が光源側に配置されてなる液晶ディスプレイも発明の一態様として含まれる。
図2に本発明の実施形態の1つである液晶ディスプレイの概略断面図を示す。液晶ディスプレイは光源4および液晶パネル5を有し、さらに必要に応じて駆動回路等を組込んだものである。液晶パネル5は、液晶セル2の光源4側に第1の偏光板3を備える。また、液晶セル2の光源側と反対側、すなわち、視認側に第2の偏光板1を備えている。液晶セル2としては、例えばVAモード、IPSモード、TNモード、STNモードやベンド配向(π型)などの任意なタイプのものを用いうる。本発明はVAモードやIPSモードに使用されるのが特に好ましい。
【0074】
本発明の液晶ディスプレイは、液晶セル2の光源側に、高偏光性能を有する本発明の液晶ディスプレイ用偏光板からなる第1の偏光板3を配置することによって、従来の吸収型偏光板に代えて単独で液晶セルと貼り合せて用いることができ、しかも99.5%以上の非常に高い偏光性能を備える場合、液晶ディスプレイの明輝度/暗輝度より求められるコントラストに関し、液晶テレビで実用的に求められる程度の非常に高いレベルのコントラストを得ることができる。
【0075】
本発明の液晶ディスプレイ用偏光板からなる第1の偏光板は、従来の吸収型偏光板に匹敵する99.5%以上の高い偏光性能と、透過されない偏光を反射させて再利用できる輝度向上フィルムとしての機能とを備えるため、光源4と第1の偏光板3との間にさらに輝度向上フィルムとよばれる反射型偏光板を用いる必要がなく、輝度向上フィルムと液晶セルに隣接して用いられる偏光板の機能を一体化させることができるため、部材数を減らすことができる。
また、通常は図2に示すように、液晶セル2の視認側に第2の偏光板1が配置される。第2の偏光板1は特に制限されず、吸収型偏光板など公知のものを用いることができる。外光の影響が非常に少ない場合には、第2の偏光板として第1の偏光板と同じ種類の反射型偏光板を用いてもかまわない。また、液晶セル2の視認側には、第2の偏光板以外にも、例えば光学補償フィルム等の各種の光学層を設けることができる。
【0076】
[液晶ディスプレイの形成]
液晶ディスプレイ用光学部材(液晶パネル)と光源とを組合せ、さらに必要に応じて駆動回路等を組込むことによって本発明の液晶ディスプレイが得られる。また、これら以外にも液晶ディスプレイの形成に必要な各種部材を組合せることができるが、本発明の液晶ディスプレイは光源から射出される光を第1の偏光板に入射させるものであることが好ましい。
【0077】
一般に液晶ディスプレイの光源は、直下方式とサイドライト方式に大別されるが、本発明の液晶ディスプレイにおいては、方式の限定なく使用可能である。
このようにして得られた液晶ディスプレイは、例えば、パソコンモニター,ノートパソコン,コピー機等のOA機器、携帯電話,時計,デジタルカメラ,携帯情報端末(PDA),携帯ゲーム機等の携帯機器、ビデオカメラ,テレビ,電子レンジ等の家庭用電気機器、バックモニター,カーナビゲーションシステム用モニター,カーオーディオ等の車載用機器、商業店舗用インフォメーション用モニター等の展示機器、監視用モニター等の警備機器、介護用モニター,医療用モニター等の介護・医療機器等、種々の用途に用いることができる。
【実施例】
【0078】
以下に、本発明の実施例を挙げて説明するが、本発明は以下に示した実施例に制限されるものではない。
なお、実施例中の物性や特性は、下記の方法にて測定または評価した。
【0079】
(1)P偏光およびS偏光の平均透過率、偏光度
得られた1軸延伸多層積層フィルムを偏光度測定装置(日本分光株式会社製「VAP7070S」)を用いてP偏光の透過率、S偏光の透過率、および偏光度を測定した。
偏光フィルタの透過軸をフィルムの延伸方向(X方向)と合わせるように配置した場合の測定値をP偏光とし、偏光フィルタの透過軸をフィルムの延伸方向と直交するように配置した場合の測定値をS偏光としたときの偏光度(P,単位%)は以下の式(1)で表される。
偏光度(P)={(Ts−Tp)/(Tp+Ts)}×100 ・・・(1)
(式(1)中、Tpは400〜800nmの波長範囲におけるP偏光の平均透過率、Tsは400〜800nmの波長範囲におけるS偏光の平均透過率をそれぞれ表す)
なお、測定光の入射角は0度に設定して測定を行った。
【0080】
(2)層間密着性
得られた1軸延伸多層積層フィルムを用い、碁盤目のクロスカット(1mmのマス目を100個)を施し、その上に24mm幅のセロハンテープ(ニチバン社製)を貼り付け、90°の剥離角度で急激に剥がした後、剥離面を観察し、下記の基準で評価した。
◎:剥離面積が0%以上5%未満 (接着力が極めて良好)
○:剥離面積が5%以上20%未満 (接着力が良好)
×:剥離面積が20%を超える (接着力が不良)
【0081】
(3)ポリマーの融点(Tm)およびガラス転移点(Tg)
各層試料を10mgサンプリングし、DSC(TAインスツルメンツ社製、商品名:DSC Q400)を用い、20℃/min.の昇温速度で、各層を構成するポリマーの融点およびガラス転移点を測定する。
【0082】
(4)ポリマーの特定ならびに共重合成分および各成分量の特定
フィルムの各層について、H−NMR測定よりポリマー成分ならびに共重合成分および各成分量を特定した。
【0083】
(5)各方向の延伸前、延伸後の屈折率および平均屈折率
各層を構成する個々の樹脂について、それぞれ溶融させてダイより押出し、キャスティングドラム上にキャストしたフィルムをそれぞれ用意した。また、得られたフィルムを(樹脂のガラス転移温度)+20℃にて一軸方向に5倍延伸した延伸フィルムを用意した。得られたキャストフィルムと延伸フィルムについて、それぞれ延伸方向(X方向)とその直交方向(Y方向)、厚み方向(Z方向)のそれぞれの屈折率(それぞれnX、nY、nZとする)を、メトリコン製プリズムカプラを用いて波長633nmで測定して求め、延伸前、延伸後の屈折率とした。
第1層を構成するポリエステルの平均屈折率については、延伸前のそれぞれの方向の屈折率の平均値を平均屈折率とした。また第2層を構成するポリエステルの平均屈折率については、延伸後のそれぞれの方向の屈折率の平均値を平均屈折率とした。
【0084】
(6)各層の厚み
1軸延伸多層積層フィルムをフィルム長手方向2mm、幅方向2cmに切り出し、包埋カプセルに固定後、エポキシ樹脂(リファインテック(株)製エポマウント)にて包埋した。包埋されたサンプルをミクロトーム(LEICA製ULTRACUT UCT)で幅方向に垂直に切断し、5nm厚の薄膜切片にした。透過型電子顕微鏡(日立S−4300)を用いて加速電圧100kVにて観察撮影し、写真から各層の厚みを測定した。
1μm以上の厚さの層について、多層構造の内部に存在しているものを中間層、最表層に存在しているものを最外層とし、それぞれの厚みを測定した。また中間層が複数存在する場合は、それらの平均値より中間層厚みを求めた。
また、得られた各層の厚みをもとに、第1層における最小層厚みに対する最大層厚みの比率、第2層における最小層厚みに対する最大層厚みの比率をそれぞれ求めた。
また得られた各層の厚みをもとに、第1層の平均層厚み、第2層の平均層厚みをそれぞれ求め、第1層の平均層厚みに対する第2層の平均層厚みを算出した。
なお、第1層と第2層の厚みを求めるに際し、中間層および最外層は第1層と第2層から除外した。
【0085】
(7)フィルム全体厚み
フィルムサンプルをスピンドル検出器(安立電気(株)製K107C)にはさみ、デジタル差動電子マイクロメーター(安立電気(株)製K351)にて、異なる位置で厚みを10点測定し、平均値を求めフィルム厚みとした。
【0086】
(8)輝度向上効果
VA型液晶ディスプレイパネル(シャープ製AQUOS LC−20E90 2011年製)を用いて、その中の下側偏光板(光源側偏光板)と光学補償フィルムを取り除き、多層積層フィルムサンプルと置き換え、白色表示したときの液晶ディスプレイ画面の正面輝度をオプトデザイン社製FPD視野角測定評価装置(ErgoScope88)で測定し、比較例1に対する輝度の上昇率を算出し、輝度向上効果を下記の基準で評価した。
○:輝度向上効果が160%以上
△:輝度向上効果が140%以上、160%未満
×:輝度向上効果が140%未満
【0087】
(9)コントラスト
パソコンの表示ディスプレイとして得られた液晶ディスプレイを用い、パソコンにより白色および黒画面を表示したときの液晶ディスプレイ画面の正面輝度をオプトデザイン社製FPD視野角測定評価装置(ErgoScope88)で測定し、白画面より明輝度を、また黒画面より暗輝度をそれぞれ求め、明輝度/暗輝度より求められるコントラストを以下の基準で評価した。
◎: コントラスト(明輝度/暗輝度) 2000以上
○: コントラスト(明輝度/暗輝度) 1000以上2000未満
×: コントラスト(明輝度/暗輝度) 1000未満
【0088】
[比較例1]
(偏光子の作成)
ポリビニルアルコールを主成分とする高分子フィルム[クラレ製 商品名「9P75R(厚み:75μm、平均重合度:2,400、ケン化度99.9モル%)」]を周速の異なるロール間で染色しながら延伸搬送した。まず、30℃の水浴中に1分間浸漬させてポリビニルアルコールフィルムを膨潤させつつ搬送方向に1.2倍に延伸した後、30℃のヨウ化カリウム濃度0.03重量%、ヨウ素濃度0.3重量%の水溶液中で1分間浸漬することで、染色しながら搬送方向に、全く延伸していないフィルム(原長)を基準として3倍に延伸した。次に60℃のホウ酸濃度4重量%、ヨウ化カリウム濃度5重量%の水溶液中に30秒間浸漬しながら、搬送方向に原長基準で6倍に延伸した。次に、得られた延伸フィルムを70℃で2分間乾燥することで偏光子を得た。なお、偏光子の厚みは30μm、水分率は14.3重量%であった。
【0089】
(接着剤の作成)
アセトアセチル基を有するポリビニルアルコール系樹脂(平均重合度1200、ケン化度98.5モル%、アセトアセチル化度5モル%)100重量部に対して、メチロールメラミン50重量部を30℃の温度条件下で純水に溶解し、固形分濃度3.7重量%の水溶液を調製した。この水溶液100重量部に対して、正電荷を有するアルミナコロイド(平均粒子径15nm)を固形分濃度10重量%で含有する水溶液18重量部を加えて接着剤水溶液を調製した。接着剤溶液の粘度は9.6mPa・sであり、pHは4〜4.5の範囲であり、アルミナコロイドの配合量は、ポリビニルアルコール系樹脂100重量部に対して74重量部であった。
【0090】
(吸収型偏光板の作成)
厚み80μm、正面レターデーション0.1nm、厚み方向レターデーション1.0nmの光学等方性素子(富士フィルム製商品名「フジタック ZRF80S」の片面に、上記のアルミナコロイド含有接着剤を、乾燥後の厚みが80nmとなるように塗布し、これを上記の偏光子の片面に両者の搬送方向が平行となるようにロール・トゥー・ロールで積層した。続いて、偏光子の反対側の面にも同様にして光学等方性素子(富士フィルム製商品名「フジタック ZRF80S」)の片面に上記のアルミナコロイド含有接着剤を乾燥後の厚みが80nmとなるように塗布したものを、これらの搬送方向が平行となるようにロール・トゥー・ロールで積層した。その後55℃で6分間乾燥させて偏光板を得た。この偏光板を「偏光板X」とする。
【0091】
(液晶パネルの作成)
VAモードの液晶セルを備え、直下型のバックライトを採用した液晶テレビ(シャープ製AQUOS LC−20E90 2011年製)から液晶パネルを取り出し、液晶セルの上下に配置されていた偏光板および光学補償フィルムを取り除いて、該液晶セルのガラス面(表裏)を洗浄した。続いて、上記液晶セルの光源側の表面に、元の液晶パネルに配置されていた光源側偏光板の吸収軸方向と同じ吸収軸方向となるように、アクリル系粘着剤を介して上記の偏光板Xを液晶セルに配置した。
次いで、液晶セルの視認側の表面に、元の液晶パネルに配置されていた視認側偏光板の吸収軸方向と同じ吸収軸方向となるように、アクリル系粘着剤を介して上記の偏光板Xを液晶セルに配置した。このようにして、液晶セルの一方主面に偏光板X、他方主面に偏光板Xが配置された液晶パネルを得た。
【0092】
(液晶ディスプレイの作成)
上記の液晶パネルを元の液晶テレビに組込み、液晶テレビの光源を点灯させ、パソコンにて白画面および黒画面を表示して、液晶ディスプレイの輝度を評価した。
【0093】
[実施例1]
2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル、6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸、そしてエチレングリコールを、チタンテトラブトキシドの存在下でエステル化反応およびエステル交換反応を行い、さらに引き続いて重縮合反応を行って、固有粘度0.63dl/gで、酸成分の70モル%が2,6−ナフタレンジカルボン酸成分、酸成分の30モル%が6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸成分(表中、ENAと記載)、グリコール成分がエチレングリコールである芳香族ポリエステル(表中、ENA30PENと記載)を第1層用ポリエステルとし、第2層用ポリエステルをとして2,6−ナフタレンジカルボン酸75mol%、テレフタル酸25mol%、エチレングリコール62mol%、トリメチレングリコール33mol%、スピログリコール5mol%からなる共重合ポリエステル(固有粘度0.70dl/g)を準備した。
【0094】
準備した第1層用ポリエステルを170℃で5時間乾燥、第2層用ポリエステルを85℃8時間乾燥後、それぞれ第1、第2の押出機に供給し、300℃まで加熱して溶融状態とし、第1層用ポリエステルを138層、第2層用ポリエステルを137層に分岐させた後、第1層と第2層が交互に積層され、かつ第1層と第2層におけるそれぞれの最大層厚みと最小層厚みが最大/最小で3.1倍、3.0倍まで連続的に変化するような多層フィードブロック装置を使用して、第1層と第2層が交互に積層された総数275層の積層状態の溶融体とし、その積層状態を保持したまま、その両側に第3の押出機から第2層用ポリエステルと同じポリエステルを3層フィードブロックへと導き、総数275層の積層状態の溶融体の積層方向の両側にバッファ層をさらに積層した。両側のバッファ層の合計が全体の23%となるよう第3の押出機の供給量を調整した。その積層状態を更にレイヤーダブリングブロックにて、3分岐して1:1:1の比率で積層し、内部に2つの中間層、最表層に2つの最外層を含む全層数829層の積層状態を保持したままダイへと導き、キャスティングドラム上にキャストして、第1層と第2層の平均層厚み比が1.0:2.6になるように調整し、全層数829層の未延伸多層積層フィルムを作成した。
この多層未延伸フィルムを115℃の温度で幅方向に5.0倍に延伸し、さらに115℃で同方向に15%延伸しながら120℃で3秒間熱固定処理を行った。得られた1軸延伸多層積層フィルムの厚みは105μmであった。
【0095】
(液晶パネルの形成)
前記比較例1において、光源側の第1の偏光板として偏光板Xに代えて、得られた反射偏光フィルムを用いた以外は比較例1と同様にして、液晶セルの光源側主面に得られた反射偏光フィルム(第1の偏光板)、視認側主面に偏光板X(第2の偏光板)が配置された液晶パネルを得た。
【0096】
(液晶ディスプレイの作成)
上記の液晶パネルを元の液晶ディスプレイに組込み、液晶ディスプレイの光源を点灯させ、パソコンにて白画面および黒画面の輝度を評価した。
このようにして得られた1軸延伸多層積層フィルムの各層の樹脂構成、各層の特徴を表1に、1軸延伸多層積層フィルムの物性および液晶ディスプレイの物性を表2に示す。
【0097】
[実施例2〜4]
表1に示すとおり、各層の樹脂組成や層厚み、延伸条件を変更した以外は実施例1と同様にして、1軸延伸多層積層フィルムを得た。このようにして得られた1軸延伸多層積層フィルムの各層の樹脂構成、各層の特徴を表1に、1軸延伸多層積層フィルムの物性および液晶ディスプレイの物性を表2に示す。
実施例2では、第1層用ポリエステルにENA40PEN(酸成分の60モル%が2,6−ナフタレンジカルボン酸成分、酸成分の40モル%が6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸成分、グリコール成分がエチレングリコールである芳香族ポリエステル)を用い、第2層用ポリエステルとして表3に示す共重合ポリエステル樹脂Bを用い、延伸温度120℃、延伸倍率5.1倍に条件を変更した以外は実施例1と同様にして、1軸延伸多層積層フィルムを得た。
【0098】
実施例3では、第1層ポリエステルにENA35PEN(酸成分の65モル%が2,6−ナフタレンジカルボン酸成分、酸成分の35モル%が6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸成分、グリコール成分がエチレングリコールである芳香族ポリエステル)を用い、第2層用ポリエステルとして表3に示す共重合ポリエステル樹脂Cを用い、延伸温度130℃、延伸倍率5.8倍で幅方向に延伸し、さらに130℃で同方向に10%延伸しながら130℃で3秒間熱固定処理を行った以外は実施例1と同様にして、1軸延伸多層積層フィルムを得た。
実施例4では、第1層ポリエステルにBB30PEN(酸成分の70モル%が2,6−ナフタレンジカルボン酸成分、酸成分の30モル%がジフェニルジカルボン酸成分、グリコール成分がエチレングリコールである芳香族ポリエステル)を用い、第2層用ポリエステルとして表3に示す共重合ポリエステル樹脂Dを用い、延伸温度125℃、延伸倍率4.6倍で幅方向に延伸し、さらに125℃で同方向に10%延伸しながら125℃で3秒間熱固定処理を行った以外は実施例1と同様にして、1軸延伸多層積層フィルムを得た。
【0099】
また前記比較例1において、光源側の第1の偏光板として偏光板Xに代えて、得られた1軸延伸多層積層フィルムを用いた以外は比較例1と同様にして、液晶セルの光源側主面に得られた1軸延伸多層積層フィルム(第1の偏光板)、視認側主面に偏光板X(第2の偏光板)が配置された液晶パネルを得た。
上記の液晶パネルを元の液晶ディスプレイに組込み、液晶ディスプレイの光源を点灯させ、パソコンにて白画面および黒画面の輝度を評価した。
【0100】
[比較例2]
第1層用ポリエステルにENA35PEN(酸成分の65モル%が2,6−ナフタレンジカルボン酸成分、酸成分の35モル%が6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸成分、グリコール成分がエチレングリコールである芳香族ポリエステル)を用い、第2層用ポリエステルとして表3に示す共重合ポリエステル樹脂Eを用い、延伸温度135℃、延伸倍率6.0倍で幅方向に延伸し、さらに135℃で同方向に15%延伸しながら120℃で3秒間熱固定処理を行った以外は実施例1と同様にして、1軸延伸多層積層フィルムを得た。
【0101】
また前記比較例1において、光源側の第1の偏光板として偏光板Xに代えて、得られた1軸延伸多層積層フィルムを用いた以外は比較例1と同様にして、液晶セルの光源側主面に得られた1軸延伸多層積層フィルム(第1の偏光板)、視認側主面に偏光板X(第2の偏光板)が配置された液晶パネルを得た。
上記の液晶パネルを元の液晶ディスプレイに組込み、液晶ディスプレイの光源を点灯させ、パソコンにて白画面および黒画面の輝度を評価した。
得られた1軸延伸多層積層フィルムの物性および液晶ディスプレイの物性を表2に示す。
【0102】
[比較例3]
第1層用ポリエステルにENA21PEN(酸成分の79モル%が2,6−ナフタレンジカルボン酸成分、酸成分の21モル%が6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸成分、グリコール成分がエチレングリコールである芳香族ポリエステル)を用い、第2層用ポリエステルとして表3に示す共重合ポリエステル樹脂Fを用い、延伸温度120℃、延伸倍率5.2倍で幅方向に延伸し、さらに120℃で同方向に15%延伸しながら120℃で3秒間熱固定処理を行った以外は実施例1と同様にして、1軸延伸多層積層フィルムを得た。
【0103】
また前記比較例1において、光源側の第1の偏光板として偏光板Xに代えて、得られた1軸延伸多層積層フィルムを用いた以外は比較例1と同様にして、液晶セルの光源側主面に得られた1軸延伸多層積層フィルム(第1の偏光板)、視認側主面に偏光板X(第2の偏光板)が配置された液晶パネルを得た。
上記の液晶パネルを元の液晶ディスプレイに組込み、液晶ディスプレイの光源を点灯させ、パソコンにて白画面および黒画面の輝度を評価した。
得られた1軸延伸多層積層フィルムの物性および液晶ディスプレイの物性を表2に示す。
【0104】
【表1】
【0105】
【表2】
【0106】
【表3】
【産業上の利用可能性】
【0107】
本発明の1軸延伸多層積層フィルムは、高屈折率特性を有する層にポリエチレンナフタレート系ポリマーを用いた多層構造のポリマーフィルムでありながら、偏光性能を備えるとともに層間の密着性が改善される。そのため、例えば偏光性能が求められる輝度向上部材、高度な偏光度が求められる液晶ディスプレイの偏光板などに用いた場合に、他の部材との貼り合せ、液晶ディスプレイへの組み立て、使用時等に加わる外力によって層間剥離が生じないことから、より信頼性の高い輝度向上部材、液晶ディスプレイ用偏光板を提供できる。
【符号の説明】
【0108】
1 第2の偏光板
2 液晶セル
3 第1の偏光板
4 光源
5 液晶パネル
図1
図2
図3
図4