(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
成分(A)及び成分(A)以外の酸化チタンとの総和((A)+(A)以外の酸化チタン)に対する成分(A)の質量割合は、〔(A)/((A)+(A)以外の酸化チタン)〕×100(質量%)の値が、2〜100質量%である請求項1〜5のいずれか1項記載の粉末化粧料。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明で用いる成分(A)の酸化鉄被覆酸化チタンは、酸化チタンを酸化鉄で被覆したものであり、処理前の酸化チタンは、辺の大きさが0.05〜0.2μm、厚さが0.02〜0.1μmの粒子が集合及び/又は結合した扇状のルチル型酸化チタン粒子が更に凝集して形成され、その凝集粒子が球状であり、凝集粒子の粒径が0.1〜5μmであるルチル型酸化チタン凝集粒子である。
【0009】
ルチル型酸化チタン凝集粒子は、辺の大きさが0.05〜0.2μm、厚さが0.02〜0.1μmの粒子が集合及び/又は結合した扇状のルチル型酸化チタン粒子が更に凝集して形成されたものであるため、粒子表面には微細な空隙が無数に存在しており、この空隙に余分な皮脂や汗を徐々に吸収することで化粧持ちが良好となる。
【0010】
また、凝集粒子の形状は、肌への滑らかさを良好とする点から、球状である。ここでいう球状とは、毬藻状や毬栗状のものも含まれる。
凝集粒子の粒径は、肌への密着性に優れ、自然な仕上がりや、なめらかな感触が得られる点から、0.1〜1μmであり、0.1〜0.5μmが好ましく、0.2〜0.4μmがより好ましい。
本発明において、辺の大きさ、厚さは、電子顕微鏡観察で測定され、粒子径は、レーザー回折/散乱法による粒度分布測定機によって、測定できる。具体的には、レーザー回折/散乱法の場合、エタノールを分散媒として、レーザー回折散乱式粒度分布測定器(例えば、堀場製作所製、LA−920)により測定される。
【0011】
ルチル型酸化チタン凝集粒子は、例えば、10℃以下の温度で硫酸チタニル溶液をアルカリ中和して得られたオルソチタン酸に、10℃以下の温度で塩酸を添加してオルソチタン酸を完全に溶解した後、加熱して加水分解を行うことにより得ることができる。そのときのTiO
2濃度は50〜140g/Lが好ましく、70〜120g/Lがより好ましく、塩酸濃度は70〜170g/Lが好ましく、90〜160g/Lがより好ましい。また、加水分解の温度は25〜60℃が好ましく、30〜55℃がより好ましい。
また、ルチル型酸化チタン凝集粒子は、オルソチタン酸の他に四塩化チタン溶液やメタチタン酸をアルカリで処理したチタン酸のアルカリ塩を塩酸にて加水分解が起こらない温度において溶解した溶液を用いて加水分解を行っても得ることができる。
【0012】
このようにして得られるルチル型酸化チタン凝集粒子は、肌への密着性に優れ、きしみ感がなく、なめらかな感触が得られる点から、平均摩擦係数(MIU値)が0.2以上0.7未満であるのが好ましい。
ここで、平均摩擦係数(MIU値)は、例えば、カトーテック社製、摩擦感テスター KES−SEを使用し、測定粉末を人工皮革上に1mg/cm
2となるように指で均一に塗り広げ、荷重25gの条件で求めることができる。
【0013】
成分(A)は、このような酸化チタンを酸化鉄で被覆処理したものである。酸化鉄としては、黄酸化鉄、ベンガラ、黒酸化鉄が好ましく、ベンガラがより好ましい。
酸化鉄の処理量は、粉体の透過光の分光スペクトルの中で600〜700nmの赤色光の透過度をより一層高め、肌の色むらを見えにくくさせる点から、酸化チタンの質量に対して、0.1〜10質量%が好ましく、1〜7質量%がより好ましい。
【0014】
酸化チタンを酸化鉄で被覆処理する方法としては、通常の方法により行うことができる。例えば、苛性ソーダ水溶液を30〜35℃に加温し、前記ルチル型酸化チタン凝集粒子を分散させ、硫酸第二鉄を含む水溶液を添加・撹拌し、90℃で2時間程度反応させる。得られた複合化物を水洗・中和し、乾燥させる。粉砕した後、700℃で3時間程度、電気炉で焼成させることにより、成分(A)の酸化鉄被覆酸化チタンを得ることができる。得られた酸化鉄被覆酸化チタンは、必要に応じて、ふるいにかけた後、使用することができる。
【0015】
このようにして得られる成分(A)の酸化鉄被覆酸化チタンは、粉体の透過光の分光スペクトルの中で600〜700nmの赤色光の透過度をより一層高め、肌の色むらや肌のくすみを抑制する点から、比表面積5〜50m
2/gであり、10〜35m
2/gであるのが好ましい。
本発明において、比表面積(m
2/g)は、成分(A)を試料管に約0.8g採取し、120℃の温度で2時間真空乾燥後、自動比表面積・細孔分布測定装置トライスター3000(島津製作所社製)を用いて、をBET法にて測定することができる。
また、成分(A)の酸化鉄被覆酸化チタンは、粉体の透過光の分光スペクトルの中で600〜700nmの赤色光の透過度をより一層高め、肌の色むらや肌のくすみを抑制する点から、平均粒子径が0.1〜1μmであるのが好ましく、0.1〜0.5μmであるのがより好ましく、0.2〜0.4μmがさらに好ましく、0.25〜0.35μmがよりさらに好ましい。
【0016】
成分(A)は1種又は2種以上含有することができる。成分(A)の含有量は、粉体の透過光の分光スペクトルの中で600〜700nmの赤色光の透過度をより一層高め、肌の色むらや肌のくすみを抑制し、自然な透明感のある仕上がりを得る点から、全組成中に0.1質量%以上であり、0.3質量%以上が好ましく、0.5質量%以上がより好ましく、50質量%以下であり、15質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましい。また、成分(A)の含有量は、全組成中に0.1〜50質量%であり、0.3〜15質量%が好ましく、0.5〜5質量%がより好ましい。
【0017】
また、成分(A)及び成分(A)以外の酸化チタンとの総和((A)+(A)以外の酸化チタン)(酸化チタン総質量)に対する成分(A)の質量割合は、〔(A)/((A)+(A)以外の酸化チタン)〕×100(質量%)の値が、肌の色むらや肌のくすみを抑制し、自然な透明感のある仕上がりを得る点から、2質量%以上であるのが好ましく、3質量%以上がより好ましく、4質量%以上が更に好ましく、100質量%以下が好ましく、70質量%以下がより好ましく、40質量%以下が更に好ましい。また、〔(A)/((A)+(A)以外の酸化チタン)〕×100(質量%)の値は、2〜100質量%であるのが好ましく、3〜70質量%がより好ましく、4〜40質量%が更に好ましい。
【0018】
本発明で用いる成分(B)の窒化ホウ素は、通常の化粧料に用いられるものであれば特に制限されずに使用することができる。窒化ホウ素の形態としては、六方晶、ウルツ鉱型構造、立方晶、菱面体晶、乱層構造などのいずれでも良く、使用性の点から、六方晶のものが好ましい。
窒化ホウ素は、塗布時のすべりの良さの点から、平均粒子径が2〜15μmのものが好ましく、4〜10μmのものがより好ましい。
また、成分(B)の90質量%以上が、粒子径3〜9μmであるのが好ましく、成分(B)の90質量%以上が、粒子径4〜7μmであるのがより好ましい。
【0019】
成分(B)としては、SHP−3(平均粒子径5.3μm)、SHP−6(平均粒子径9.6μm)(以上、水島合金鉄社製)等の市販品を用いることができる。
【0020】
成分(B)は、1種又は2種以上を用いることができ、塗布時のすべりの良さの点から、含有量は、全組成中に3質量%以上であり、5質量%以上が好ましく、7質量%以上がより好ましく、35質量%以下であり、20質量%以下が好ましく、15質量%以下がより好ましい。また、成分(B)の含有量は、全組成中に3〜35質量%であり、5〜20質量%が好ましく、7〜15質量%がより好ましい。
【0021】
本発明において、成分(A)及び(B)の質量割合(A)/(B)は、肌の色むらや肌のくすみを抑制し、肌が白浮きすることなく、自然な透明感のある仕上がりが得られ、塗布後、時間が経過しても、肌の色むらやくすみを抑制し続ける点から、0.02以上が好ましく、0.03以上がより好ましく、0.04以上が更に好ましく、5以下が好ましく、2以下がより好ましく、0.7以下が更に好ましい。また、成分(A)及び(B)の質量割合(A)/(B)は、0.02〜5が好ましく、0.03〜2がより好ましく、0.04〜0.7が更に好ましい。
これらの効果は、600〜700nmの赤色光の透過度の高い成分(A)と成分(B)窒化ホウ素を併用することで、肌の皮丘へ均一に付着させることが期待できる。さらに、肌の皮丘への密着性に優れるので、肌の皮溝やしわに落ちることがなく、肌の色むらやくすみを継続的に抑制することができる。
【0022】
本発明の粉末化粧料は、更に、(C)比表面積10〜100m
2/gの微粒子酸化亜鉛を含有することができ、化粧持ちに優れ、良好な使用感を得ることができる。
成分(C)の微粒子酸化亜鉛は、比表面積15〜95m
2/gであるのが好ましい。また、化粧持ち、塗布時の使用感に優れる点から、平均粒子径は、5〜40nmであるのが好ましく、10〜30nmがより好ましい。
【0023】
成分(C)の微粒子酸化亜鉛は、そのまま使用することができるが、必要に応じて、シリコーン、金属石鹸、レシチン、N−アシルアミノ酸、フッ素化合物等によって、撥水及び/又は撥油処理を行ったものを用いることもできる。化粧崩れを防ぎ、化粧料中の微粒子酸化亜鉛の分散性を向上させる点から、シリコーン処理したものが好ましく、メチルハイドロジェンポリシロキサンを用いたシリコーン処理をするのがより好ましい。これらの処理は、通常の方法により行うことができる。
【0024】
成分(C)は、1種又は2種以上を用いることができ、化粧持ちに優れ、良好な使用感を得る点から、含有量は、全組成中に0.1質量%以上が好ましく、0.5質量%以上がより好ましく、1質量%以上が更に好ましく、20質量%以下が好ましく、12質量%以下がより好ましく、8質量%以下が更に好ましい。また、成分(C)の含有量は、全組成中に0.1〜20質量%が好ましく、0.5〜12質量%がより好ましく、1〜8質量%が更に好ましい。
【0025】
本発明において、成分(A)及び(C)の質量割合(A)/(C)は、肌の色むらや肌のくすみを抑制し、肌が白浮きすることなく、自然な透明感のある仕上がりが得られ、塗布後、時間が経過しても、肌の色むらやくすみを抑制し続ける点から、0.01以上が好ましく、0.05以上がより好ましく、0.1以上が更に好ましく、20以下が好ましく、4以下がより好ましく、1.3以下が更に好ましい。また、成分(A)及び(C)の質量割合(A)/(C)は、0.01〜20が好ましく、0.05〜4がより好ましく、0.1〜1.3が更に好ましい。
【0026】
本発明の粉末化粧料は、更に、成分(A)、(B)及び(C)以外の粉体を含有することができる。かかる成分(A)、(B)及び(C)以外の粉体としては、通常の化粧料に用いられる体質顔料、着色顔料であれば制限されず、例えば、ケイ酸、無水ケイ酸、ケイ酸マグネシウム、セリサイト、タルク、マイカ、カオリン、ベンガラ、クレー、ベントナイト、雲母、チタン被膜雲母、ベンガラ被覆雲母チタン、ベンガラ・黒酸化鉄被覆雲母チタン、コンジョウ被覆雲母チタン、酸化チタン被覆ホウケイ酸、オキシ塩化ビスマス、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化チタン、成分(C)以外の酸化亜鉛、酸化アルミニウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化鉄、群青、酸化クロム、水酸化クロム、カラミン及びカーボンブラック、これらの複合体等の無機粉体;ポリアミド、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリウレタン、ビニル樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂、フッ素樹脂、ケイ素樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、シリコーン樹脂、ジビニルベンゼン・スチレン共重合体、シルクパウダー、セルロース、長鎖アルキルリン酸金属塩、N−モノ長鎖アルキルアシル塩基性アミノ酸、これらの複合体等の有機粉体;さらに、上記無機粉体と有機粉体との複合粉体などが挙げられる。
【0027】
本発明で用いる成分(A)、(B)及び(C)以外の粉体は、そのまま用いることができるほか、必要に応じて、シリコーン、金属石鹸、レシチン、N−アシルアミノ酸、フッ素化合物、アルキルアルコキシシラン、トリデカフルオロオクチルトリエトキシシラン等によって、撥水及び/又は撥油処理を行ったものを用いることもできる。化粧崩れを防ぐ点から、シリコーン処理、アルキルアルコキシシシラン処理、トリデカフルオロオクチルトリエトキシシラン処理したものが好ましく、メチルハイドロジェンポリシロキサンを用いたシリコーン処理;オクチルトリエトキシシラン、オクチルトリメトキシシランを用いたアルキルアルコキシシシラン処理、トリデカフルオロオクチルトリエトキシシラン処理するのがより好ましい。これらの処理は、通常の方法により行うことができる。
【0028】
撥水及び/又は撥油処理の処理量は、成分(A)、(B)及び(C)以外の粉体によって異なるが、撥水性及び撥油性が十分に発現し、感触や流動性が良好になる点から、成分(A)、(B)及び(C)以外の粉体100質量%に対して、0.05質量%以上が好ましく、0.1質量%以上がより好ましく、1質量%以上がさらに好ましく、50質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましく、6質量%以下がさらに好ましい。
【0029】
本発明の粉末化粧料は、固形化する場合において、更に、25℃で液体の油剤を含有することができ、成型性の向上、粉取れ、使用感に優れ、肌の白浮きを防止することができる。ここで、25℃で液体とは、25℃における粘度が10000mPa・s 以下であることをいう。粘度は、B型粘度計、ローターNo.4、12rpm、1分で測定される。
かかる油剤としては、通常の化粧料に用いられるものであれば良く、例えば、流動パラフィン、軽質イソパラフィン、流動イソパラフィン、スクワラン、スクワレン等の直鎖又は分岐の炭化水素油;ホホバ油、オリーブ油等の植物油;液状ラノリン等の動物油;脂肪酸エステル、多価カルボン酸エステル、脂肪酸多価アルコールエステル、ヒドロキシ脂肪酸エステル、その他、メトキシケイ皮酸オクチル、パラジメチルアミノ安息香酸オクチル、dl−α−トコフェロール、ニコチン酸dl−α−トコフェロール等のエステル油;ジメチルポリシロキサン、ジメチルシクロポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、高級アルコール変性オルガノポリシロキサン等のシリコーン油;フルオロポリエーテル、パーフルオロアルキルエーテルシリコーン等のフッ素油などが挙げられる。
なかでも、粉体とのなじみが良く、成型性を確保する点から、直鎖又は分岐の炭化水素油、脂肪酸エステル、多価カルボン酸エステルが好ましく、パラメトキシケイ皮酸エチルヘキシル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコールが好ましい。
【0030】
25℃で液体の油剤は、1種又は2種以上を用いることができ、成型性の向上、粉取れ、使用感に優れ、肌の白浮きを防止する点から、含有量は、全組成中に2質量%以上が好ましく、3質量%以上がより好ましく、5質量%以上がさらに好ましく、15質量%以下が好ましく、11質量%以下がより好ましく、9質量%以下がさらに好ましい。また、25℃で液体の油剤の含有量は、全組成中に2〜15質量%が好ましく、3〜11質量%がより好ましく、5〜9質量%がさらに好ましい。
【0031】
本発明の粉末化粧料は、前記成分のほか、通常の化粧料に用いられる成分、例えば、界面活性剤、防腐剤、酸化防止剤、色素、増粘剤、pH調整剤、香料、紫外線吸収剤、保湿剤、血行促進剤、冷感剤、制汗剤、殺菌剤、皮膚賦活剤などを含有することができる。
【0032】
本発明の粉末化粧料は、通常の方法に従って製造することができる。
本発明の粉末化粧料は、例えば、パウダーファンデーション、フェイスパウダー、白粉、ほほ紅、アイシャドウ等のメイクアップ化粧料などとして好適である。なかでも、パウダーファンデーションが好ましい。
粉末化粧料の製剤としては、固形状、粉末状が好ましく、なかでも固形状が好ましい。
上述した実施形態に関し、本発明は、更に以下の組成物を開示する。
【0033】
<1>次の成分(A)及び(B):
(A)比表面積5〜50m
2/gの酸化鉄被覆酸化チタン 0.1〜50質量%、
(B)窒化ホウ素 3〜35質量%、
を含有し、成分(A)において、処理前の酸化チタンが、辺の大きさが0.05〜0.2μm、厚さが0.02〜0.1μmの粒子が集合及び/又は結合した扇状のルチル型酸化チタン粒子が更に凝集して形成され、その凝集粒子が球状であり、凝集粒子の粒径が0.1〜1μmであるルチル型酸化チタン凝集粒子である粉末化粧料。
【0034】
<2>成分(A)において、酸化チタンは、好ましくは、黄酸化鉄、ベンガラ、黒酸化鉄であって、ベンガラがより好ましい前記<1>記載の粉末化粧料。
<3>酸化鉄の処理量が、好ましくは、酸化チタンの質量に対して、0.1〜10質量%であって、1〜7質量%がより好ましい前記<1>又は<2>記載の粉末化粧料。
<4>成分(A)の酸化鉄被覆酸化チタンが、好ましくは、比表面積10〜35m
2/gである前記<1>〜<3>のいずれか1記載の粉末化粧料。
<5>成分(A)の酸化鉄被覆酸化チタンが、好ましくは、平均粒子径0.1〜0.5μmであって、0.2〜0.4μmがより好ましく、0.25〜0.35μmがさらに好ましい前記<1>〜<4>のいずれか1記載の粉末化粧料。
<6>成分(A)の含有量が、好ましくは、0.3質量%以上であって、0.5質量%以上がより好ましく、15質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましい前記<1>〜<5>のいずれか1記載の粉末化粧料。
【0035】
<7>成分(A)及び成分(A)以外の酸化チタンとの総和((A)+(A)以外の酸化チタン)(酸化チタン総質量)に対する成分(A)の質量割合は、〔(A)/((A)+(A)以外の酸化チタン)〕×100(質量%)の値が、好ましくは、2質量%以上であって、3質量%以上がより好ましく、4質量%以上が更に好ましく、100質量%以下が好ましく、70質量%以下がより好ましく、40質量%以下が更に好ましい前記<1>〜<6>のいずれか1記載の粉末化粧料。
<8>成分(B)の窒化ホウ素が、好ましくは、平均粒子径が2〜15μmであって、4〜10μmがより好ましい前記<1>〜<7>のいずれか1記載の粉末化粧料。
<9>成分(B)の窒化ホウ素が、好ましくは、その90質量%以上が、粒子径3〜9μmであって、4〜7μmがより好ましい前記<1>〜<8>のいずれか1記載の粉末化粧料。
<10>成分(B)の含有量が、好ましくは、全組成中に5質量%以上であって、7質量%以上がより好ましく、20質量%以下が好ましく、15質量%以下がより好ましい前記<1>〜<9>のいずれか1記載の粉末化粧料。
【0036】
<11>成分(A)及び(B)の質量割合(A)/(B)が、好ましくは、0.02以上であって、0.03以上がより好ましく、0.04以上が更に好ましく、5以下が好ましく、2以下がより好ましく、0.7以下が更に好ましい前記<1>〜<10>のいずれか1記載の粉末化粧料。
<12>更に、(C)比表面積10〜100m
2/gの微粒子酸化亜鉛を含有することができ、比表面積15〜95m
2/gがより好ましい前記<1>〜<11>のいずれか1記載の粉末化粧料。
<13>成分(C)が、好ましくは、平均粒子径5〜40nmであって、10〜30nmがより好ましい前記<12>記載の粉末化粧料。
<14>成分(C)の微粒子酸化亜鉛が、好ましくは、撥水及び/又は撥油処理を行ったものであり、シリコーン処理がより好ましく、メチルハイドロジェンポリシロキサンを用いたシリコーン処理をするのがさらに好ましい前記<12>又は<13>記載の粉末化粧料。
【0037】
<15>成分(C)の含有量が、好ましくは、全組成中に0.1質量%以上であって、0.5質量%以上がより好ましく、1質量%以上が更に好ましく、20質量%以下が好ましく、12質量%以下がより好ましく、8質量%以下が更に好ましい前記<12>〜<14>のいずれか1記載の粉末化粧料。
<16>成分(A)及び(C)の質量割合(A)/(C)が、好ましくは、0.01以上であって、0.05以上がより好ましく、0.1以上が更に好ましく、20以下が好ましく、4以下がより好ましく、1.3以下が更に好ましい前記<12>〜<15>のいずれか1記載の粉末化粧料。
<17>更に、成分(A)、(B)及び(C)以外の粉体を含有することができ、撥水及び/又は撥油処理を行ったものでも良い前記<1>〜<16>のいずれか1記載の粉末化粧料。
【0038】
<18>更に、25℃で液体の油剤を含有することができ、好ましくは、直鎖又は分岐の炭化水素油、脂肪酸エステル、多価カルボン酸エステルであって、パラメトキシケイ皮酸エチルヘキシル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコールがより好ましい前記<1>〜<17>のいずれか1記載の粉末化粧料。
<19>25℃で液体の油剤の含有量が、好ましくは、全組成中に2質量%以上であって、3質量%以上がより好ましく、5質量%以上がさらに好ましく、15質量%以下が好ましく、11質量%以下がより好ましく、9質量%以下がさらに好ましい前記<18>記載の粉末化粧料。
【実施例】
【0039】
製造例1
(1)ルチル型酸化チタン凝集粒子の製造:
160g/Lの炭酸ナトリウム溶液中に洗浄メタチタン酸を硫酸で溶解した硫酸チタニル溶液を、液温が10℃を超えないようにゆっくりと滴下し、pHが10.0になった時、硫酸チタニルの滴下を止めた。この中和で得られたオルソチタン酸の白色沈殿をろ過し、十分洗浄した。
次に、10℃以下に冷却しながら濃塩酸中に洗浄したオルソチタン酸ケーキを添加し、オルソチタン酸が完全に溶解するまで撹拌した。このオルソチタン酸の塩酸溶解液を、TiO
2濃度80g/L、塩酸濃度100g/Lに調整し、撹拌しながら加温して55℃に液温を合わせ、20時間撹拌して加水分解を行った。得られたルチル型酸化チタンを中和・洗浄・乾燥し、ルチル型酸化チタン粒子を得た。
得られた粒子を透過型電子顕微鏡で観察したところ、辺の大きさが0.06〜0.12μm、厚さが0.02〜0.06μmの扇状ルチル型酸化チタン粒子が凝集した、平均粒子径0.3μmの球状ルチル型酸化チタン凝集粒子であり、摩擦感テスターによる平均摩擦係数は0.54であった。
【0040】
(2)ベンガラ被覆酸化チタンの製造:
苛性ソーダ水溶液を加温(30〜35℃)溶解し、(1)で得られたルチル型酸化チタン凝集粒子100kgを分散させ、硫酸第二鉄液(41.5%)19.0kgを含む水溶液を添加・撹拌し、90℃、2時間反応させる。得られた複合化物を水洗・中和し、乾燥させる。粉砕後、700℃、3時間電気炉で焼成させた後、ふるいをかけ、ベンガラ3質量%被覆酸化チタンを得た。
得られたベンガラ3質量%被覆酸化チタンは、平均粒子径0.3μm、比表面積19m
2/gであった。
【0041】
製造例2
苛性ソーダ水溶液を加温(30〜35℃)溶解し、製造例1(1)で得られたルチル型酸化チタン凝集粒子100kgを分散させ、硫酸第二鉄液(41.5%)6.2kgを含む水溶液を添加・撹拌し、90℃、2時間反応させる。得られた複合化物を水洗・中和し、乾燥させる。粉砕後、700℃、3時間電気炉で焼成させた後、ふるいをかけ、ベンガラ1質量%被覆酸化チタンを得た。
得られたベンガラ1質量%被覆酸化チタンは、平均粒子径0.3μmであった。また、比表面積は、5〜50m
2/gであった。
【0042】
製造例3
苛性ソーダ水溶液を加温(30〜35℃)溶解し、製造例1(1)で得られたルチル型酸化チタン凝集粒子100kgを分散させ、硫酸第二鉄液(41.5%)46.3kgを含む水溶液を添加・撹拌し、90℃、2時間反応させる。得られた複合化物を水洗・中和し、乾燥させる。粉砕後、700℃、3時間電気炉で焼成させた後、ふるいをかけ、ベンガラ7質量%被覆酸化チタンを得た。
得られたベンガラ7質量%被覆酸化チタンは、平均粒子径0.3μmであった。また、比表面積は、5〜50m
2/gであった。
【0043】
製造例4
160g/Lの炭酸ナトリウム溶液中に洗浄メタチタン酸を硫酸で溶解した硫酸チタニル溶液を、液温が10℃を超えないようにゆっくりと滴下し、pHが10.0になった時、硫酸チタニルの滴下を止めた。この中和で得られたオルソチタン酸の白色沈殿をろ過し、十分洗浄した。
次に、10℃以下に冷却しながら濃塩酸中に洗浄したオルソチタン酸ケーキを添加し、オルソチタン酸が完全に溶解するまで撹拌した。このオルソチタン酸の塩酸溶解液を、TiO
2濃度80g/L、塩酸濃度100g/Lに調整し、撹拌しながら加温し55℃に液温を合わせ、20時間撹拌して加水分解を行った。得られたルチル型酸化チタンを中和・洗浄・乾燥し、ルチル型酸化チタン粒子を得た。
得られた粒子は、辺の大きさが0.06〜0.12μm、厚さが0.02〜0.06μmの扇状ルチル型酸化チタン粒子が凝集した、平均粒子径0.3μm、比表面積63m
2/gの球状ルチル型酸化チタン凝集粒子であり、摩擦感テスターによる平均摩擦係数は0.54であった。
【0044】
実施例1〜9、比較例1〜4
表1に示す組成の粉末化粧料(パウダーファンデーション)を製造した。得られた粉末化粧料について、「肌の色むらのなさ」、「肌のくすみのなさ」、「白浮きのなさ」、「厚塗り感のない仕上り」、「自然な仕上り」、塗布から3時間経過後の「肌の色むらのなさ」及び「肌のくすみのなさ」、並びに、塗布中の「のびの良さ」を評価した。結果を表1に併せて示す。
【0045】
(製造方法)
成分(A)、(B)及び(C)を含むすべての粉体成分を混合・粉砕した後、油相成分を加えて混合し、得られた混合物をさらに粉砕機で粉砕した。ここで得られた粉砕物を、容器に充填し、充填量10.0g、成型圧1500kgで成型して、粉末化粧料(パウダーファンデーション)を得た。
【0046】
(評価方法)
5名の専門パネラーが、各粉末化粧料(パウダーファンデーション)をスポンジで肌に塗布した直後の「肌の色むらのなさ」、「肌のくすみのなさ」、「白浮きのなさ」、「厚塗り感のない仕上り」、「自然な仕上り」、塗布から3時間経過後の「肌の色むらのなさ」及び「肌のくすみのなさ」を評価した。また、塗布中の「のびの良さ」を評価した。結果を5名の積算値で示す。
【0047】
(1)塗布直後の肌の色むらのなさ:
4;塗布後の肌に色むらが見られない。
3;塗布後の肌にほとんど色むらが見られない。
2;塗布後の肌に少し色むらが見られる。
1;塗布後の肌に色むらが見られる。
【0048】
(2)塗布直後の肌のくすみのなさ:
4;塗布後の肌にくすみが見られない。
3;塗布後の肌にほとんどくすみが見られない。
2;塗布後の肌に少しくすみが見られる。
1;塗布後の肌にくすみが見られる。
【0049】
(3)塗布直後の白浮きのなさ:
4;塗布後の肌に白浮きが見られない。
3;塗布後の肌にほとんど白浮きが見られない。
2;塗布後の肌に少し白浮きが見られる。
1;塗布後の肌に白浮きが見られる。
【0050】
(4)塗布直後の厚塗り感のない仕上り:
4;塗布後の肌に厚塗り感が見られない。
3;塗布後の肌にほとんど厚塗り感が見られない。
2;塗布後の肌に少し厚塗り感が見られる。
1;塗布後の肌に厚塗り感が見られる。
【0051】
(5)塗布直後の自然な仕上り:
4;塗布後の肌が自然に仕上がっている。
3;塗布後の肌にやや自然に仕上がっている。
2;塗布後の肌にあまり自然に仕上がっていない。
1;塗布後の肌に自然に仕上がっていない。
【0052】
(6)塗布から3時間経過後の色むらのなさ:
4;3時間経過後の肌に色むらが見られない。
3;3時間経過後の肌にほとんど色むらが見られない。
2;3時間経過後の肌に少し色むらが見られる。
1;3時間経過後の肌に色むらが見られる。
【0053】
(7)塗布から3時間経過後のくすみのなさ:
4;3時間経過後の肌にくすみが見られない。
3;3時間経過後の肌にほとんどくすみが見られない。
2;3時間経過後の肌に少しくすみが見られる。
1;3時間経過後の肌にくすみが見られる。
【0054】
(8)塗布中ののびの良さ:
4;塗布中ののびが良い。
3;塗布中ののびがやや良い。
2;塗布中ののびがあまり良くない。
1;塗布中ののびが良くない。
【0055】
【表1】
【0056】
実施例10(固形ファンデーション)
(組成)
(1)ベンガラ3質量%被覆酸化チタン(製造例1)
(平均粒子径0.3μm、比表面積19m
2/g) 15.0(質量%)
(2)トリデカフルオロオクチルトリエトキシシラン3質量%処理酸化チタン
(平均粒子径0.25μm) 10.0
(3)窒化ホウ素
(平均粒子径5μm、粒子径4.5〜7.5μm) 11.0
(4)メチルハイドロジェンポリシロキサン6質量%処理微粒子酸化亜鉛
(住友大阪セメント社製、SI01-6 ZNO-510(H)、比表面積25m
2/g)
4.0
(5)トリデカフルオロオクチルトリエトキシシラン3質量%処理黄酸化鉄
1.6
(6)トリデカフルオロオクチルトリエトキシシラン3質量%処理ベンガラ
0.5
(7)トリデカフルオロオクチルトリエトキシシラン3質量%処理黒酸化鉄
0.1
(8)トリデカフルオロオクチルトリエトキシシラン3質量%タルク
(平均粒子径7〜11μm) バランス
(9)トリデカフルオロオクチルトリエトキシシラン3質量%マイカ
(平均粒子径19μm) 10.0
(10)トリデカフルオロオクチルトリエトキシシラン3質量%セリサイト
(平均粒子径約10μm) 15.0
(11)球状ナイロンパウダー
(住化エンバイロメンタルサイエンス社製、HK-5000、平均粒子径6〜9μm)
7.0
(12)球状シリコーンパウダー
(信越化学工業社製、KSP-100、平均粒子径5μm) 8.0
(13)ジカプリン酸ネオペンチルグリコール 3.0
(14)パラメトキシケイ皮酸エチルヘキシル 4.0
合計 100
【0057】
(製造方法)
粉体成分(1)〜(12)を混合・粉砕した後、油相成分(13)〜(14)を加えて混合し、得られた混合物をさらに粉砕機で粉砕した。ここで得られた粉砕物を、容器に充填し、充填量10.0g、成型圧1500kgで成型して、固形ファンデーションを得た。
【0058】
実施例10で得られた固形ファンデーションは、肌のくすみを抑え、肌が白浮きすることなく、肌の色むらを自然にカバーし、塗布後、肌の色むらやくすみを継続的に抑制する。