特許第6309871号(P6309871)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6309871
(24)【登録日】2018年3月23日
(45)【発行日】2018年4月11日
(54)【発明の名称】振動モータ
(51)【国際特許分類】
   H02K 33/02 20060101AFI20180402BHJP
   B06B 1/04 20060101ALI20180402BHJP
【FI】
   H02K33/02 A
   B06B1/04 Z
【請求項の数】11
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-200714(P2014-200714)
(22)【出願日】2014年9月30日
(65)【公開番号】特開2016-73104(P2016-73104A)
(43)【公開日】2016年5月9日
【審査請求日】2017年4月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000177151
【氏名又は名称】日本電産セイミツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】000232302
【氏名又は名称】日本電産株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110847
【弁理士】
【氏名又は名称】松阪 正弘
(74)【代理人】
【識別番号】100136526
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 勉
(74)【代理人】
【識別番号】100136755
【弁理士】
【氏名又は名称】井田 正道
(72)【発明者】
【氏名】森 然自
(72)【発明者】
【氏名】竹内 孝幸
【審査官】 上野 力
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−085438(JP,A)
【文献】 特開2012−058758(JP,A)
【文献】 特開平10−263476(JP,A)
【文献】 特開平6−12796(JP,A)
【文献】 特開平4−67365(JP,A)
【文献】 特開平3−46116(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 33/02
B06B 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下方向を向く中心軸に対して垂直に広がるベース部と、
前記ベース部の上方において上下方向を向いて固定される磁石部と、
前記磁石部の周囲に配置され、上下方向に振動する振動部と、
前記磁石部および前記振動部の上方および側方を覆い、前記ベース部に固定されるカバー部と、
前記カバー部の上部内面と前記振動部の上部との間に配置される弾性部材と、
可撓性を有し、前記ベース部の上面と前記振動部の下部とに固定される回路基板と、
を備え、
前記振動部は、
前記磁石部と径方向に対向するコイル部と、
前記コイル部に固定される質量部と、
を備え、
前記ベース部は、前記カバー部から径方向外方に突出するベース突出部を備え、
前記回路基板は、
前記カバー部と前記ベース部との間から前記カバー部の径方向外側へと突出し、前記ベース突出部の上面に固定される下側端子部と、
前記振動部の前記下部に固定され、前記コイル部に電気的に接続される上側端子部と、
前記カバー部の内部において前記下側端子部から周方向の両側に延び、前記上側端子部に周方向の両側から接続される2つの脚部と、
を備える、振動モータ。
【請求項2】
前記2つの脚部は、前記中心軸と前記ベース突出部の周方向中央とを含む平面に対して面対称である、請求項1に記載の振動モータ。
【請求項3】
前記2つの脚部は、
第1脚部と、
第2脚部と、
を備え、
前記第1脚部は、
前記下側端子部から周方向の一方側に延びる第1外周脚部と、
前記第1外周脚部から第1折り返し部にて折り返され、前記第1外周脚部の径方向内側にて周方向の他方側に延びる第1内周脚部と、
を備え、
前記第2脚部は、
前記下側端子部から周方向の前記他方側に延びる第2外周脚部と、
前記第2外周脚部から第2折り返し部にて折り返され、前記第2外周脚部の径方向内側にて周方向の前記一方側に延びる第2内周脚部と、
を備える、請求項1または2に記載の振動モータ。
【請求項4】
前記上側端子部が前記下側端子部の径方向内側に位置する、請求項3に記載の振動モータ。
【請求項5】
前記第1折り返し部と前記第2折り返し部とが周方向に離間する、請求項3または4に記載の振動モータ。
【請求項6】
前記第1折り返し部の一部と前記第2折り返し部の一部とは、周方向に接続される、請求項3または4に記載の振動モータ。
【請求項7】
前記2つの脚部は、前記磁石部を中心とする円環状またはC字状の中央開口部を備える、請求項1ないし6のいずれかに記載の振動モータ。
【請求項8】
前記回路基板は、
前記上側端子部から周方向の両側に延び、前記磁石部の周囲において前記振動部の前記下部に固定される上側固定部をさらに備える、請求項1ないし7のいずれかに記載の振動モータ。
【請求項9】
前記2つの脚部の外縁は、前記中心軸と前記ベース突出部の周方向中央とを含む平面に対して面対称である2つの直線部を有する、請求項1ないし8のいずれかに記載の振動モータ。
【請求項10】
前記2つの脚部のそれぞれは、前記下側端子部と前記上側端子部とを電気的に接続する配線を備える、請求項1ないし9のいずれかに記載の振動モータ。
【請求項11】
前記2つの脚部のそれぞれの前記配線は、
前記下側端子部と前記上側端子部とを接続する主配線と、
前記主配線から分岐して前記回路基板の外縁に至る分岐配線と、
を備える、請求項10に記載の振動モータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振動モータに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、移動体通信装置等の無音報知デバイスや他の用途として、径方向に配置されたコイルおよびマグネットの相互作用によって振動部を上下方向に振動させる振動モータが用いられている。このような振動モータでは、米国特許出願公開第2013/0082546号明細書や特開2013−85438号公報等に開示されているように、振動部に含まれるコイルに電力を供給するために、可撓性を有する回路基板がコイルに接続される。
【0003】
米国特許出願公開第2013/0082546号明細書の線形振動モータでは、段落0049〜0054に記載されているように、回路基板180の固定部183がケース100に固定されており、固定部183から1本の弾性部185が螺旋状に延びる。弾性部185の他端には電力印加部187が形成されており、電力印加部187はコイル120に固定される。
【特許文献1】米国特許出願公開第2013/0082546号明細書
【特許文献2】特開2013−85438号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、米国特許出願公開第2013/0082546号明細書の線形振動モータにおいて振動部が上下に振動する際には、回路基板の螺旋状の弾性部が変形する。振動部が固定部から離れる方向である上向きに移動する際には、回路基板により振動部に対して下向きの力が付与される。回路基板の弾性部は1本であるため、振動部は、コイルから弾性部が延びる方向に捻られつつ下向きに引っ張られる。このように、振動部を水平軸回りに回転させるように捻る力が加えられると、振動部が傾き、振動部の振動が阻害されるおそれがある。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、振動部を上下方向に滑らかに移動可能とすることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一の実施形態に係る例示的な振動モータは、上下方向を向く中心軸に対して垂直に広がるベース部と、前記ベース部の上方において上下方向を向いて固定される磁石部と、前記磁石部の周囲に配置され、上下方向に振動する振動部と、前記磁石部および前記振動部の上方および側方を覆い、前記ベース部に固定されるカバー部と、前記カバー部の上部内面と前記振動部の上部との間に配置される弾性部材と、可撓性を有し、前記ベース部の上面と前記振動部の下部とに固定される回路基板と、を備える。前記振動部は、前記磁石部と径方向に対向するコイル部と、前記コイル部に固定される質量部と、を備える。前記ベース部は、前記カバー部から径方向外方に突出するベース突出部を備える。前記回路基板は、前記カバー部と前記ベース部との間から前記カバー部の径方向外側へと突出し、前記ベース突出部の上面に固定される下側端子部と、前記振動部の前記下部に固定され、前記コイル部に電気的に接続される上側端子部と、前記カバー部の内部において前記下側端子部から周方向の両側に延び、前記上側端子部に周方向の両側から接続される2つの脚部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明では、振動部を上下方向に滑らかに移動可能とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、一の実施形態に係る振動モータの平面図である。
図2図2は、振動モータの側面図である。
図3図3は、振動モータの縦断面図である。
図4図4は、振動モータの分解側面図である。
図5図5は、振動モータの分解斜視図である。
図6図6は、回路基板の平面図である。
図7図7は、回路基板の側面図である。
図8図8は、回路基板の斜視図である。
図9図9は、回路基板の平面図である。
図10図10は、回路基板を形成するための原板の一部を示す平面図である。
図11図11は、他の回路基板の平面図である。
図12図12は、他の回路基板の平面図である。
図13図13は、他の回路基板の平面図である。
図14図14は、他の回路基板の平面図である。
図15図15は、他の回路基板の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書では、振動モータ1の中心軸J1方向における図3の上側を単に「上側」と呼び、下側を単に「下側」と呼ぶ。なお、上下方向は、実際の機器に組み込まれたときの位置関係や方向を示すものではない。また、中心軸J1に平行な方向を「上下方向」と呼び、中心軸J1を中心とする径方向を単に「径方向」と呼び、中心軸J1を中心とする周方向を単に「周方向」と呼ぶ。
【0010】
図1は、本発明の例示的な一の実施形態に係る振動モータ1を示す平面図である。図2は、振動モータ1の側面図である。図3は振動モータ1の縦断面図である。図4は振動モータ1の分解側面図である。図5は振動モータ1の分解斜視図である。図3では、細部の断面における平行斜線を省略している。
【0011】
振動モータ1は、線形共振アクチュエータ(LRA:Linear Resonant Actuator)である。振動モータ1は、例えば、携帯電話等の移動体通信装置の無音報知デバイスとして用いられる。
【0012】
振動モータ1は、カバー部11と、ベース部12と、を含む。カバー部11は、有蓋略円筒状である。ベース部12は、上下方向を向く中心軸J1に対して垂直に広がる。カバー部11は、ベース部12に固定される。ベース部12は、カバー部11の下部の開口を塞ぐ。カバー部11およびベース部12は、金属製である。カバー部11とベース部12とは、溶接にて接続される。
【0013】
ベース部12は、中心軸J1に略垂直な方向に延びるベース突出部121を含む。ベース突出部121は、カバー部11から径方向外方に突出する。カバー部11の下端縁には、周方向に延びる複数の切り欠き111が設けられる。ベース突出部121は、1つの切り欠き111から径方向外方に突出する。換言すれば、ベース突出部121の径方向内側の端部は、1つの切り欠き111内に位置する。カバー部11に複数の切り欠き111が設けられることにより、カバー部11にベース部12を固定する際に、ベース突出部121と1つの切り欠き111との位置合わせを容易とすることができる。
【0014】
振動モータ1は、磁石部13と、振動部14と、弾性部材15と、回路基板16と、を含む。磁石部13は、中心軸J1を中心とする略円柱状の部材である。磁石部13は、ベース部12の上方において上下方向を向いて固定される。例えば、磁石部13の下端部が、ベース部12の上面に接着剤等を介して固定される。あるいは、磁石部13の上端部が、カバー部11の天蓋部の下面に接着剤等を介して固定される。磁石部13は、2つの磁石131と、ポールピース132と、を含む。2つの磁石131はそれぞれ、上下方向を向く略円柱状の部材である。2つの磁石131は、上下方向に配列される。ポールピース132は、略円板状または略円柱状の部材であり、2つの磁石131の間に位置する。ポールピース132の上端は上側の磁石131の下端に接触し、ポールピース132の下端は下側の磁石131の上端に接触する。
【0015】
振動部14は、中心軸J1を中心とする略円筒状の部材である。振動部14は、磁石部13の周囲に全周に亘って配置される。振動部14の内径は、磁石部13の外径よりも大きい。振動部14は、磁石部13と接触することなく、磁石部13に沿って上下方向に振動する。磁石部13および振動部14の上方および側方は、カバー部11により覆われる。
【0016】
振動部14は、コイル部41と、質量部42と、ヨーク43と、を含む。コイル部41は、中心軸J1を中心とする略円筒状の部材である。コイル部41は、磁石部13と径方向に対向する。コイル部41の内周面は、磁石部13の外周面と所定の間隙を挟んで径方向に対向する。
【0017】
ヨーク43は、円筒部431と、フランジ部432と、を含む。円筒部431は、中心軸J1を中心とする略円筒状である。フランジ部432は、中心軸J1を中心とする略円環状である。フランジ部432は、円筒部431の上端部から径方向外方に広がる。円筒部431とフランジ部432とは一繋がりの部材である。ヨーク43は、コイル部41の径方向外側に位置する。円筒部431の内周面は、コイル部41の外周面に固定される。円筒部431は、例えば、接着剤を介してコイル部41に固定される。フランジ部432は、例えば、円筒部431の下端部から径方向外方に広がってもよく、設けられなくてもよい。
【0018】
質量部42は、中心軸J1を中心とする略円筒状の部材である。質量部42は、いわゆる分銅である。質量部42は、ヨーク43の円筒部431およびコイル部41の径方向外側に位置する。質量部42の内周面は、ヨーク43の円筒部431の外周面に固定される。質量部42の上面には、ヨーク43のフランジ部432の下面が接触する。質量部42は、例えば、接着剤や両面テープを介して、または、圧入によってヨーク43に固定される。質量部42は、ヨーク43を介して、コイル部41に間接的に固定される。
【0019】
弾性部材15は、上下方向の力を付与されることにより、上下方向に弾性変形可能な部材である。弾性部材15は、例えば、板状のバネ材を螺旋状に巻いたものである。弾性部材15は、例えば、外形が略円錐台状の竹の子バネであり、径方向内側に向かうに従って下方に突出する。弾性部材15は、カバー部11の上部内面と振動部14の上部との間に配置される。弾性部材15の上端部は、カバー部11の上部内面である天蓋部下面に固定される。弾性部材15の上端部は、例えば、溶接によりカバー部11に固定される。弾性部材15の下端部は、振動部14に固定される。弾性部材15の下端部は、例えば、溶接により質量部42の上面に固定される。
【0020】
回路基板16は、電源からの電流をコイル部41に供給する。回路基板16は、可撓性を有するフレキシブル基板(FPC:Flexible printed circuits)である。回路基板16は、比較的薄く、かつ、柔らかい部材である。回路基板16は、ベース部12と振動部14との間に配置され、ベース部12の上面と振動部14の下面とに固定される。回路基板16は、例えば、接着剤を介してベース部12および振動部14に固定される。
【0021】
振動モータ1では、回路基板16を介してコイル部41に電流が流されると、コイル部41およびヨーク43に磁界が発生する。当該磁界および磁石部13の磁界により、振動部14を上下方向に移動させる力が発生する。振動部14は、弾性部材15により上下方向に支持されるため、磁界から受ける力と弾性部材15の復元力とにより上下方向に振動する。
【0022】
図6は、回路基板16の平面図である。図6では、回路基板16の形状の理解を容易にするために、回路基板16に平行斜線を付す。図11ないし図15においても同様である。図7は、回路基板16の側面図である。図8は、回路基板16の斜視図である。回路基板16は、下側端子部61と、上側端子部62と、2つの脚部63,64と、を含む。以下の説明では、脚部63および脚部64をそれぞれ、「第1脚部63」および「第2脚部64」とも呼ぶ。換言すれば、2つの脚部63,64は、第1脚部63と、第2脚部64と、を含む。
【0023】
図2および図3に示すように、下側端子部61は、カバー部11とベース部12との間からカバー部11の径方向外側へと突出する。下側端子部61は、ベース突出部121の上面に固定される。下側端子部61は、図示しない電源と電気的に接続される。図3に示すように、上側端子部62は、振動部14の下部に固定される。上側端子部62は、例えば、質量部42の下面に接着剤等を介して固定される。上側端子部62は、コイル部41と電気的に接続される。第1脚部63および第2脚部64は、カバー部11の内部において下側端子部61から斜め上方に延び、上側端子部62に接続される。下側端子部61、2つの脚部63,64および上側端子部62は、一繋がりの部材である。
【0024】
図6ないし図8に示すように、2つの脚部63,64は、下側端子部61から周方向の両側に延び、上側端子部62に周方向の両側から接続される。第1脚部63は、第1外周脚部631と、第1内周脚部632と、第1折り返し部633と、を含む。第1外周脚部631は、下側端子部61から第1折り返し部633へと周方向の一方側に延びる。第1内周脚部632は、第1折り返し部633にて第1外周脚部631から折り返される。第1内周脚部632は、第1外周脚部631の径方向内側にて、第1折り返し部633から上側端子部62へと周方向の他方側に延びる。図6では、上述の周方向の一方側が反時計回り方向であり、周方向の他方側が時計回り方向である。
【0025】
第2脚部64は、第2外周脚部641と、第2内周脚部642と、第2折り返し部643と、を含む。第2外周脚部641は、下側端子部61から第2折り返し部643へと周方向の他方側に、すなわち、時計回り方向に延びる。第2内周脚部642は、第2折り返し部643にて第2外周脚部641から折り返される。第2内周脚部642は、第2外周脚部641の径方向内側にて、第2折り返し部643から上側端子部62へと周方向の一方側に、すなわち、反時計回り方向に延びる。
【0026】
上側端子部62は、下側端子部61の径方向内側に位置する。換言すれば、上側端子部62と下側端子部61とは、周方向の同じ位置にて径方向に対向する。2つの脚部63,64は、中心軸J1とベース突出部121(図5参照)の周方向中央とを含む平面に対して面対称である。図5に示すように、ベース突出部121の外形と、回路基板16の下側端子部61の外形とはほぼ同じである。このため、2つの脚部63,64は、中心軸J1と下側端子部61の周方向中央とを含む平面に対しても面対称である。
【0027】
図6および図8に示すように、第1脚部63の第1折り返し部633と第2脚部64の第2折り返し部643とは、周方向に互いに接続される。換言すれば、第1折り返し部633および第2折り返し部643はそれぞれ、1つの共通折り返し部の一部である。これにより、回路基板16の中央部に、中心軸J1を中心とする略円形の開口661が設けられる。開口661は、第1内周脚部632、第1折り返し部633、第2折り返し部643、第2内周脚部642および上側端子部62により囲まれる。第1内周脚部632、第1折り返し部633、第2折り返し部643および第2内周脚部642をまとめて「中央開口部651」と呼ぶと、中央開口部651は上側端子部62と共に開口661を形成する。2つの脚部63,64は、略C字状の中央開口部651を含む。図5に示すように、回路基板16の開口661の略中心には磁石部13が位置する。すなわち、図6および図8に示す中央開口部651は、磁石部13を中心とする部材である。
【0028】
図9は、回路基板16の平面図である。下側端子部61は、2つの下側端子611を含む。上側端子部62は、2つの上側端子621を含む。2つの脚部63,64のそれぞれは、下側端子部61と上側端子部62とを電気的に接続する配線67を備える。2つの脚部63,64のそれぞれの配線67は、主配線671と、分岐配線672と、を含む。主配線671は、下側端子部61と上側端子部62とを接続する。詳細には、第1脚部63の主配線671は、図9中の上側の下側端子611から、第1外周脚部631、第1折り返し部633および第1内周脚部632を経由して、図9中の上側の上側端子621に至る。第2脚部64の主配線671は、図9中の下側の下側端子611から、第2外周脚部641、第2折り返し部643および第2内周脚部642を経由して、図9中の下側の上側端子621に至る。
【0029】
第1脚部63の分岐配線672は、第1折り返し部633にて主配線671から分岐して回路基板16の外縁に至る。第2脚部64の分岐配線672は、第2折り返し部643にて主配線671から分岐して回路基板16の外縁に至る。図9に示す例では、2つの分岐配線672は、中心軸J1を挟んで下側端子部61とは反対側の回路基板16の外縁に至る。
【0030】
図1ないし図5に示す振動モータ1では、振動部14が上下方向に振動する際には、回路基板16が振動部14に追随して変形する。振動部14が上向きに、すなわち、ベース部12から離れる方向に移動する際には、回路基板16により振動部14に対して下向きの力が付与される。回路基板16は、上述のように、下側端子部61から周方向の両側に延び、上側端子部62に周方向の両側から接続される2つの脚部63,64を含む。このため、振動部14のうち上側端子部62が固定される部位は、周方向の両側から下向きに引っ張られる。これにより、振動部14を上下方向に垂直な水平軸回りに回転させるように捻る力が、回路基板16から振動部14に加えられることを、脚部が1つである場合に比べて抑制することができる。その結果、振動部14を上下方向に滑らかに移動可能とすることができる。
【0031】
2つの脚部63,64は、中心軸J1とベース突出部121の周方向中央とを含む平面に対して面対称である。これにより、回路基板16から振動部14に加えられる力も、当該平面に対しておよそ面対称となる。その結果、上述の振動部14を捻る力が回路基板16から加えられることをさらに抑制することができる。
【0032】
図6および図8に示すように、第1脚部63では、第1外周脚部631が、下側端子部61から周方向の一方側に延びる。また、第1内周脚部632が、第1外周脚部631から第1折り返し部633にて折り返され、第1外周脚部631の径方向内側にて周方向の他方側に延びる。第2脚部64でも同様に、第2外周脚部641が、下側端子部61から周方向の他方側に延びる。また、第2内周脚部642が、第2外周脚部641から第2折り返し部643にて折り返され、第2外周脚部641の径方向内側にて周方向の一方側に延びる。
【0033】
これにより、回路基板16の径方向における大型化を抑制しつつ、第1脚部63および第2脚部64を長くすることができる。このため、回路基板16が上下方向に比較的大きく変形可能となる。その結果、振動部14の上下方向における振動が、回路基板16により阻害されることを抑制または防止することができる。また、振動部14が上向きに移動する際に回路基板16から振動部14に加えられる力を減少させることができる。したがって、振動部14を上下方向にさらに滑らかに移動可能とすることができる。
【0034】
回路基板16では、さらに、上側端子部62が下側端子部61の径方向内側に位置する。これにより、第1脚部63および第2脚部64を、より一層長くすることができる。その結果、振動部14を上下方向により一層滑らかに移動可能とすることができる。
【0035】
2つの脚部63,64は、磁石部13を中心とするC字状の中央開口部651を含む。振動モータ1を組み立てる際には、磁石部13が、中央開口部651の径方向内側の開口661に挿入される。これにより、振動モータ1の組み立てにおいて、磁石部13に対する回路基板16の位置決めを容易に行うことができる。
【0036】
中央開口部651は、磁石部13を中心とする略円環状であってもよい。この場合、上側端子部62は、例えば、略円環状の中央開口部651から径方向外方に突出する。振動モータ1を組み立てる際には、磁石部13が、略円環状の中央開口部651の径方向内側の開口661に挿入される。このように、2つの脚部63,64が、磁石部13を中心とする円環状の中央開口部651を含むことにより、上記と同様に、振動モータ1の組み立てにおいて、磁石部13に対する回路基板16の位置決めを容易に行うことができる。
【0037】
図1ないし図5に示す振動モータ1を組み立てる際には、例えば、振動部14に回路基板16の上側端子部62が固定された後、回路基板16の下側端子部61がベース突出部121に固定される。上述のように、回路基板16の2つの脚部63,64は、下側端子部61から周方向の両側に延び、上側端子部62に周方向の両側から接続される。このため、振動部14に固定された回路基板16において、下側端子部61が周方向に移動することが、脚部が1つである場合に比べて抑制される。その結果、下側端子部61をベース突出部121に固定する際に、下側端子部61の周方向への位置ずれを抑制することができる。
【0038】
図9に示すように、2つの脚部63,64のそれぞれは、下側端子部61と上側端子部62とを電気的に接続する配線67を備える。これにより、2つの脚部63,64のそれぞれの幅が大きくなることを抑制することができる。その結果、回路基板16の径方向における大型化を抑制することができる。各脚部63,64の幅は、例えば、約0.5mmである。
【0039】
振動モータ1の製造では、1枚の原板から複数の回路基板16が打ち抜かれて形成される。図10は、回路基板16を形成するための原板91の一部を示す平面図である。原板91には、複数の回路要素92が連続した連続回路93が設けられる。各回路要素92は、回路基板16の配線67、下側端子611および上側端子621になる予定の部位である。
【0040】
図10では、連続回路93を太破線および実線にて示し、回路基板16の輪郭を二点鎖線にて示す。図10では、各回路要素92において、配線67、下側端子611および上側端子621等になる予定の部位に、それぞれ同符号を付す。以下の説明では、配線67、下側端子611および上側端子621等になる予定の部位をそれぞれ、単に、配線67、下側端子611および上側端子621等と呼ぶ。連続回路93では、一の回路要素92の分岐配線672が、隣接する回路要素92の下側端子611を介して主配線671と接続される。
【0041】
振動モータ1の製造では、回路基板16が原板91から打ち抜かれるよりも前に、各配線67の導通検査が行われる。上述のように、各配線67は主配線671および分岐配線672を含み、複数の配線67は分岐配線672により接続される。このため、複数の配線67の導通検査等をまとめて行うことができる。これにより、回路基板16の製造を簡素化することができる。また、上記導通検査等では、電極端子を分岐配線672に接触させる。これにより、回路基板16として使用される際に上側端子部62への電流供給に利用される主配線671が、電極端子の接触により汚損することを防止することができる。
【0042】
図11ないし図15は、他の好ましい回路基板16a,16b,16c,16d,16eを示す平面図である。以下の回路基板16a〜16eの説明において、特に言及のない構成は、上述の回路基板16の構成と同様の形状および構造を有する。
【0043】
図11に示す回路基板16aでは、第1折り返し部633と第2折り返し部643とが周方向に離間する。これにより、図6のように第1折り返し部633と第2折り返し部643とが周方向に接続される場合に比べて、第1折り返し部633および第2折り返し部643のそれぞれの剛性を小さくすることができる。このため、第1脚部63および第2脚部64がそれぞれ、上下方向に変形しやすくなる。その結果、振動部14を上下方向により一層滑らかに移動可能とすることができる。
【0044】
図12および図13に示す回路基板16b,16cでは、第1折り返し部633の一部と第2折り返し部643の一部とが、周方向に接続される。換言すれば、第1折り返し部633と第2折り返し部643とが、径方向の一部のみにて接続される。
【0045】
図12に示す回路基板16bでは、第1折り返し部633の径方向内側の部位が、第2折り返し部643の径方向内側の部位に接続される。第1折り返し部633の径方向外側の部位は第2折り返し部643には接続されず、第2折り返し部643の径方向外側の部位は第1折り返し部633には接続されない。第1折り返し部633および第2折り返し部643をまとめて「共通折り返し部」と呼ぶと、共通折り返し部の径方向外側の部位には、切り欠き662が設けられる。これにより、第1折り返し部633および第2折り返し部643のそれぞれの剛性を小さくすることができる。このため、第1脚部63および第2脚部64がそれぞれ、上下方向に変形しやすくなる。その結果、振動部14を上下方向により一層滑らかに移動可能とすることができる。
【0046】
図13に示す回路基板16cでは、第1折り返し部633の径方向内側および径方向外側の部位がそれぞれ、第2折り返し部643の径方向内側および径方向外側の部位に接続される。第1折り返し部633の径方向中央部は第2折り返し部643には接続されず、第2折り返し部643の径方向中央部は第1折り返し部633には接続されない。換言すれば、共通折り返し部の中央部に開口663が設けられる。これにより、第1折り返し部633および第2折り返し部643のそれぞれの剛性を小さくすることができる。このため、第1脚部63および第2脚部64がそれぞれ、上下方向に変形しやすくなる。その結果、振動部14を上下方向により一層滑らかに移動可能とすることができる。
【0047】
図14に示す回路基板16dでは、2つの脚部63,64の外縁、すなわち、第1外周脚部631の外縁および第2外周脚部641の外縁が、中心軸J1とベース突出部121の周方向中央とを含む平面に対して面対称である2つの直線部635,645を有する。2つの直線部635,645は、中心軸J1と下側端子部61の周方向中央とを含む平面に対しても面対称である。これにより、直線部635と直線部636との間の距離である回路基板16dの幅を小さくすることができる。このように、回路基板16dを小型化することにより、原板91から回路基板16dを打ち抜いて形成する際に、1枚の原板91から形成される回路基板16dの数を増加させることができる。なお、回路基板16dでは、第1外周脚部631の内縁および第2外周脚部641の内縁も、中心軸J1とベース突出部121の周方向中央とを含む平面に対して面対称である2つの直線部636,646を有する。
【0048】
図15に示す回路基板16eは、上側固定部68をさらに備える。上側固定部68は、上側端子部62から周方向の両側に延びる。上側固定部68は、第1内周脚部632および第2内周脚部642の径方向内側に位置する。図15に示す例では、上側固定部68は略C字状であり、中心軸J1を中心とする略円形の開口664を上側端子部62と共に形成する。回路基板16eの開口664の略中心には磁石部13が位置する。上側固定部68は、磁石部13の周囲において振動部14の下部に固定される。このように、上側端子部62に加えて上側固定部68も振動部14に固定されることにより、回路基板16eと振動部14とを強固に固定することができる。回路基板16eでは、例えば、上側固定部68の上面全体が、接着剤等を介して振動部14の下面に固定される。
【0049】
上述の振動モータ1では、様々な変更が可能である。
【0050】
例えば、回路基板16では、第1折り返し部633および第2折り返し部643は設けられなくてもよい。また、上側端子部62は、必ずしも下側端子部61の径方向内側に位置する必要はない。上側端子部62は、例えば、中心軸J1を挟んで下側端子部61とは反対側に位置してもよい。この場合、第1脚部63および第2脚部64はそれぞれ、下側端子部61から上側端子部62に向かって周方向に約180度だけ延びる。回路基板16a〜16eにおいても同様である。
【0051】
回路基板16,16a〜16eでは、2本の配線67が、2つの脚部63,64のうちどちらか一方に設けられてもよい。
【0052】
回路基板16,16a〜16eでは、2つの上側端子621は、必ずしも1つの上側端子部62に設けられる必要はない。例えば、第1脚部63の先端に1つの上側端子621を有する端子部が設けられ、第2脚部64の先端に、当該端子部に隣接するとともにもう1つの上側端子621を有するもう1つの端子部が設けられてもよい。この場合、上側端子部62は、当該2つの端子部を含む。
【0053】
磁石部13、振動部14および弾性部材15の構造および形状は、適宜変更されてよい。例えば、振動部14では、ヨーク43が省略され、質量部42の内周面にコイル部41が直接的に固定されてもよい。
【0054】
振動モータ1における各部材の取り付けや固定は、間接的であってもよい。例えば、回路基板16,16a〜16eは、ベース部12上に固定されるのであれば、回路基板16,16a〜16eとベース部12との間に他の部材が介在してもよい。磁石部13のカバー部11またはベース部12への固定、カバー部11とベース部12との固定等も、他の部材が介在してもよい。
【0055】
上記実施の形態および各変形例における構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わされてよい。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明に係る振動モータは、様々な用途の振動モータとして利用可能である。好ましくは、携帯電話等の移動体通信装置の無音報知デバイスとして用いられる。
【符号の説明】
【0057】
1 振動モータ
11 カバー部
12 ベース部
13 磁石部
14 振動部
15 弾性部材
16,16a〜16e 回路基板
41 コイル部
42 質量部
61 下側端子部
62 上側端子部
63 (第1)脚部
64 (第2)脚部
67 配線
68 上側固定部
121 ベース突出部
631 第1外周脚部
632 第1内周脚部
633 第1折り返し部
635,645 直線部
641 第2外周脚部
642 第2内周脚部
643 第2折り返し部
651 中央開口部
671 主配線
672 分岐配線
J1 中心軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15