(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1および2のようなDC外部充電では、変圧器を含む電力変換器が配置されなくなるため、充電インレットおよびメインバッテリの間は、充電リレーによって電気的な遮断が確保される。したがって、外部充電の終了後には、ユーザによって充電ケーブルがインレットから取り外されることにより、インレットの電気接点が露出される。この状態で、充電リレーに溶着が発生していると、外部に露出したインレットにメインバッテリの電圧が印加されるケースが生じ得る。したがって、特許文献1および2にも記載されるように、充電リレーの溶着診断が重要となる。
【0006】
しかしながら、特許文献1および2では、外部充電中に電圧検出器に異常が発生すると、外部充電終了時に充電リレーの溶着診断を実行することができない。この結果、外部充電の完了時に充電リレーの溶着診断が未実行となると、安全面からは、充電リレーよりもメインバッテリ側でリレーをオフすることによって、確実に、インレットおよびメインバッテリの間を電気的に遮断することが必要となる。この結果、特許文献1および2の車両構成では、メインバッテリと走行系システムとの間に設けられた走行用リレー(システムメインリレー)をオフすることが必要となってしまうが、この状態では、車両を走行させることができず、ユーザにとって不便である。その一方で、車両側の電圧検出器を多重に設けると、コストアップの問題が生じる。
【0007】
この発明はこのような問題点を解決するためになされたものであって、この発明の目的は、車両で外部充電用の電圧検出器に異常が発生した場合でも、充電リレーの溶着診断を実行することが可能な車両の充電システムおよび車両を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明のある局面では、充電システムは、蓄電装置が搭載された車両と、蓄電装置を充電するための直流電力を供給する外部充電器とを備える。車両は、インレットと、第1および第2の充電ラインと、第1および第2の充電リレーと、第1の電圧検出器と、制御装置とを含む。インレットは、充電ケーブルのコネクタとの接続によって外部充電器に対して電気的に接続される第1および第2の接点を有するように構成される。第1の充電ラインは、第1の接点と蓄電装置の正極との間を電気的に接続するように構成される。第2の充電ラインと、第2の接点と蓄電装置の負極との間を電気的に接続するように構成される。第1の充電リレーは、第1の充電ラインに介挿接続される。第2の充電リレーは、第2の充電ラインに介挿接続される。第1の電圧検出器は、第1および第2の充電リレーよりもインレット側において、第1および第2の充電ライン間に接続される。制御装置は、第1および第2の充電リレーをオンオフするための制御指令を発生するとともに、第1の電圧検出器による検出値を受けるように構成される。外部充電器は、直流電力を供給するための第1および第2の給電ラインと、第2の電圧検出器とを含む。第1および第2の給電ラインは、充電ケーブルによる接続によってコネクタを経由してインレットの第1および第2の接点とそれぞれ電気的に接続される。第2の電圧検出器は、第1および第2の給電ライン間に接続される。制御装置は、充電ケーブルによって第1および第2の給電ラインとインレットとが電気的に接続されているケーブル接続状態において、第2の電圧検出器による検出値をさらに受けるように構成される。さらに、制御装置は、ケーブル接続状態で、第1および第2の充電リレーの少なくとも一方の充電リレーをオフするための制御指令を発生している状態において、第1の電圧検出器の異常時には、第2の電圧検出器による検出値に基づいて少なくとも一方の充電リレーの溶着有無を診断する。
【0009】
この発明の他の局面では、車両は、蓄電装置と、インレットと、第1および第2の充電ラインと、第1および第2の充電リレーと、第1の電圧検出器と、制御装置とを含む。インレットは、蓄電装置を充電するための直流電力を供給する外部充電器に対して、充電ケーブルのコネクタとの接続によって電気的に接続される第1および第2の接点を有するように構成される。第1の充電ラインは、第1の接点と蓄電装置の正極との間を電気的に接続するように構成される。第2の充電ラインは、第2の接点と蓄電装置の負極との間を電気的に接続するように構成される。第1の充電リレーは、第1の充電ラインに介挿接続される。第2の充電リレーは、第2の充電ラインに介挿接続される。第1の電圧検出器は、第1および第2の充電リレーよりもインレット側において、第1および第2の充電ライン間に接続される。制御装置は、第1および第2の充電リレーをオンオフするための制御指令を発生するとともに、第1の電圧検出器による検出値を受けるように構成される。充電ケーブルによってインレットが外部充電器と電気的に接続されているケーブル接続状態において、第1および第2の接点は、コネクタおよび充電ケーブルを経由して、直流電力を供給するための外部充電器の第1および第2の給電ラインと電気的に接続される。制御装置は、ケーブル接続状態で、第1および第2の充電リレーの少なくとも一方の充電リレーをオフするための制御指令を発生している状態において、第1の電圧検出器の異常時には、第1および第2の給電ライン間に接続された第2の電圧検出器による検出値に基づいて少なくとも一方の充電リレーの溶着有無を診断する。
【0010】
上記充電システムおよび車両によれば、外部充電中に、車両側において第1および第2の充電ライン間の電圧を検出するための第1の電圧検出器に異常が発生しても、第2の電圧検出器の検出値を用いることによって、インレットを外部に露出することなく第1および第2の充電リレーの溶着診断を実行ことができる。これにより、第1の電圧検出器を多重に設けることなく、充電リレーの溶着診断が未完であることによって生じるユーザの利便性低下を防止することができる。
【0011】
好ましくは、車両は、ロック機構をさらに備える。ロック機構は、制御装置からのロック指令に応じて、充電ケーブルのコネクタをインレットに対してロックするように構成される。制御装置は、蓄電装置の充電中においてロック機構によってコネクタをロックするとともに、第1および第2の充電リレーの溶着有無の診断終了後にロック機構によるロックを解除する。
【0012】
このような構成とすることにより、外部充電処理において、蓄電装置の充電中および、第1および第2の充電リレーの溶着診断中には、充電ケーブルをインレットに対してロックすることによって、蓄電装置と電気的に接続された状態のインレットが車両外部へ露出されることを回避できる。特に、第1の電圧検出器の異常時における溶着診断では、第2の電圧検出器と、第1および第2の充電ラインとの間の電気的接続を確実に保持することができる。
【0013】
さらに好ましくは、車両は、駆動装置と、第1および第2の電力線と、第1および第2のシステムメインリレーとをさらに含む。駆動装置は、蓄電装置からの電力を受けて車両駆動力を発生するように構成される。第1の電力線は、蓄電装置の正極と駆動装置との間を電気的に接続するように構成される。第2の電力線と、蓄電装置の負極と駆動装置との間を電気的に接続するように構成される。第1のシステムメインリレーは、第1の充電ラインおよび第1の電力線の接続ノードと蓄電装置の正極との間に介挿接続される。第2のシステムメインリレーは、第2の充電ラインおよび第2の電力線の接続ノードと蓄電装置の負極との間に介挿接続される。
【0014】
このように構成すると、第1および第2のシステムメインリレーのオフにより、インレットおよび蓄電装置の間を電気的に遮断することが可能な構成において、第1の電圧検出器に異常が生じても、インレットが外部に露出されない状態下で第1および第2の充電リレーの溶着診断の機会を確保することができる。これにより、充電リレーの溶着診断が未完了であることによる、システムメインリレーのオン制限の機会を減少することができる。この結果、システムメインリレーのオンが禁止されることによって車両が走行不能となる可能性が低下するので、ユーザ利便性の低下を防止することができる。
【0015】
さらに好ましくは、車両は、インレットを覆うための開閉機構を有するリッドをさらに含む。制御装置は、第1および第2の充電リレーの溶着有無の診断が異常終了した場合には、少なくともリッドの開放中には、第1および第2のシステムメインリレーのオンを禁止する。
【0016】
このように構成することにより、充電リレーの溶着診断が正常に終了しなかった場合には、リッドの開放による露出状態となっているインレットと蓄電装置との間に電気経路が形成されることを回避できるので、安全性を高めることができる。
【0017】
さらに好ましくは、制御装置は、ケーブル接続状態において、前外部充電器からの直流電力による蓄電装置の充電が終了すると、第1から第3の診断を実行する。第1の診断では、第1および第2の充電リレーの両方にオフ指令を発生した状態で第1または第2の電圧検出器の検出値に基づいて、第1および第2の充電リレーの両方に溶着が発生しているか否かが診断される。第2の診断では、第2の充電リレーにオフ指令を発生する一方で第1の充電リレーにオン指令を発生した状態で第1または第2の電圧検出器の検出値に基づいて、第2の充電リレーに溶着が発生しているか否かが診断される。第3の診断では、第1の充電リレーにオフ指令を発生する一方で第2の充電リレーにオン指令を発生した状態で第1または第2の電圧検出器の検出値に基づいて、第1の充電リレーに溶着が発生しているか否かが診断される。
【0018】
このように構成することにより、外部充電の実行時には、蓄電装置の充電終了後におけるケーブル接続状態において、車両の電圧センサの異常有無にかかわらず、充電リレーの両側溶着および、溶着発生の充電リレーを特定した片側溶着の検出を一括して実行することができる。
【発明の効果】
【0019】
この発明によれば、車両の外部充電システム内の電圧検出器に異常が発生した場合でも、充電リレーの溶着診断を実行することが可能な車両の充電システムおよび車両を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、以下では、図中の同一または相当部分には同一符号を付して、その説明は原則的に繰返さないものとする。
【0022】
図1は、本発明の実施の形態に従う車両および当該車両を外部充電するための充電システムの構成を示すブロック図である。
【0023】
図1を参照して、本実施の形態に従う充電システムは、車両100および外部充電器200を備える。外部充電器200および車両100は、充電ケーブル300を経由して電気的に接続される。
【0024】
外部充電器200は、系統電源500からの交流電力を、車両100の車載蓄電装置を充電するための直流電力に変換して出力する。たとえば、外部充電器200は、DC急速充電用の充電スタンドである。当該充電スタンドは、商用電源(100VAC,200VAC等)の一般的なコンセントに比べて許容電流値が大きいため、AC充電に比べて充電時間を短縮できる。以下では、外部充電器200を「充電スタンド200」とも称する。
【0025】
充電スタンド200は、電力線220と、AC/DC変換器250と、電圧センサ240と、給電ラインPL0,NL0と、制御装置260とを含む。
【0026】
電力線220は、系統電源500と電気的に接続される。電力線220は、系統電源500からの交流電力をAC/DC変換器250へ伝達する。AC/DC変換器250は、電力線220上の交流電力を、車載蓄電装置を充電するための直流電力に変換する。AC/DC変換器250による電力変換は、力率改善のためのAC/DC変換と、電圧レベル調整のためのDC/DC変換との組み合わせによって実行されてもよい。AC/DC変換器250から出力された直流電力は、正極側の給電ラインPL0および負極側の給電ラインNL0によって供給される。
【0027】
電圧センサ240は、給電ラインPL0,NL0の間に設けられて、給電ラインPL0,NL0間の電圧(VDC2)を検出する。電圧センサ240による検出電圧VDC2は、制御装置260へ出力される。
【0028】
制御装置260は、電子制御ユニット(ECU)で構成されて、充電スタンド200の動作を制御する。たとえば、制御装置260は、外部充電中におけるAC/DC変換器250の出力を制御する。また、制御装置260は、電圧センサ240による検出電圧VDC2を受ける。
【0029】
充電ケーブル300は、車両100のインレット7と電気的に接続可能に構成されたコネクタ8を含む。コネクタ8は、充電スタンド200の給電ラインPL0およびNL0とそれぞれ電気的に接続された、正極側および負極側の電気的接点を有する。インレット7は、正極側の接点7aおよび負極側の接点7bを有する。たとえば、コネクタ8およびインレット7が嵌合等の機械的な連結を伴って接続されることにより、コネクタ8およびインレット7の電気的接点(正極/負極)同士が電気的に接続される。これにより、インレット7の接点7aおよび給電ラインPL0の間の電気的な接続、ならびに、接点7bおよび給電ラインNL0との間の電気的な接続が確保される。
【0030】
以下では、このように充電ケーブル300のコネクタ8がインレット7に接続されることにより、インレット7の接点7a,7bが充電スタンド200の給電ラインPL0,NL0それぞれに電気的に接続された状態を、「ケーブル接続状態」とも称することとする。
【0031】
次に、充電スタンド200によって充電される車両側の構成について説明する。
車両100は、蓄電装置110と、システムメインリレーSMR−B,SMR−Gと、駆動装置135と、動力伝達ギア140と、駆動輪150と、制御装置160と、表示装置170と、ユーザ入力装置180と、電力線PL1,NL1と、充電ラインPL2,NL2と、インレット7と、充電リレーDCR−B、DCR−Gとを備える。駆動装置135は、PCU(Power Control Unit)120と、モータジェネレータ130とを備える。
【0032】
ユーザ入力装置180は、車室内に設けられて、ユーザからの指示入力を受け付ける。表示装置170は、文字および/または画像の表示によってユーザに情報を通知するための画面を有する。なお、表示装置170およびユーザ入力装置180は、タッチパネルの採用により、一体的に構成されてもよい。
【0033】
蓄電装置110は、充放電可能に構成された電力貯蔵要素であり、代表的には、リチウムイオン電池やニッケル水素電池等の二次電池によって構成される。あるいは、二次電池に代えて、電気二重層キャパシタ等の他の素子を蓄電装置110として用いてもよい。
【0034】
蓄電装置110は、車両100の駆動力を発生させるための電力を供給する。また、蓄電装置110は、モータジェネレータ130で発電された電力を蓄電する。以下では、蓄電装置110を、メインバッテリ110とも称する。
【0035】
メインバッテリ110の正極は、システムメインリレーSMR−Bを経由して、ノードND1と接続される。ノードND1は、正極側の電力線PL1および充電ラインPL2と電気的に接続される。同様に、メインバッテリ110の負極は、システムメインリレーSMR−Gを経由して、ノードND2と接続される。ノードND2は、負極側の電力線NL1および充電ラインNL2と電気的に接続される。システムメインリレーSMR−B,SMR−Gのオンオフは、制御装置160からの指令に応じて制御される。
【0036】
PCU120は、電力線PL1,NL1およびモータジェネレータ130の間に接続されて、システムメインリレーSMR−B,SMR−Gのオン時に、メインバッテリ110およびモータジェネレータ130の間で双方向の電力変換を実行する。たとえば、PCU120には、図示しないコンバータおよびインバータが含まれる。
【0037】
モータジェネレータ130は交流回転電機であり、たとえば、永久磁石が埋設されたロータを備える永久磁石型同期電動機によって構成される。モータジェネレータ130が出力するトルクは、減速機や動力分割機構によって構成される動力伝達ギア140を介して駆動輪150に伝達されて、車両100を走行させる。モータジェネレータ130は、車両100の回生制動動作時には、駆動輪150の回転力によって発電することができる。
【0038】
モータジェネレータ130が力行動作して車両駆動力を発生する際には、PCU20は、メインバッテリ110からの直流電力を、正トルクを発生するための交流電力に変換して、モータジェネレータ130へ出力する。一方で、車両100の減速時にモータジェネレータ130が回生制動を行う際には、PCU20は、モータジェネレータ130によって発電された交流電力を直流電力に変換して、メインバッテリ110へ出力する。PCU120における電力変換は、制御装置160からのインバータおよびコンバータの制御信号によって制御される。このように、PCU120およびモータジェネレータ130を含む駆動装置135は、メインバッテリ110の電力によって車両駆動力を発生するように構成される。
【0039】
制御装置160は、図示しない、CPU(Central Processing Unit)、記憶装置および入出力バッファを含むように構成されて、各センサ等からの入力信号やユーザ入力装置180への入力指示に応じて、車両100の動作を制御する。なお、制御装置160による制御については、ソフトウェアによる処理に限られず、専用のハードウェア(電子回路)で処理することも可能である。
【0040】
次に、車両100の外部充電のための構成について説明する。
インレット7の接点7aおよび7bは、正極側の充電ラインPL2および負極側の充電ラインNL2とそれぞれ電気的に接続される。充電ラインPL2は、メインバッテリ110の正極側のノードND1と電気的に接続される。充電ラインNL2は、メインバッテリ110の負極側のノードND2と電気的に接続される。
【0041】
充電ラインPL2には、正極側の充電リレーDCR−Bが介挿接続され、充電ラインNL2には、負極側の充電リレーDCR−Gが介挿接続される。充電リレーDCR−B,DCR−Gのオンオフは、制御装置160からの指令に応じて制御される。
【0042】
電圧センサ6は、充電リレーDCR−B,DCR−Gよりもインレット7側において、充電ラインPL2およびNL2の間に設けられる。電圧センサ6は、充電ラインPL2,NL2間の直流電圧(VDC1)を検出する。電圧センサ6による検出電圧VDC1は、制御装置160へ出力される。
【0043】
充電リレーDCR−B,DCR−Gがオンされ、さらに、システムメインリレーSMR−B,SMR−Bがオンされると、インレット7およびメインバッテリ110の間で電力の伝送が可能な状態となる。
【0044】
なお、少なくともケーブル接続状態において、充電スタンド200の制御装置260と、車両100の制御装置160とは、所定の通信規格であるCAN(Controller Area Network)あるいはPLC(Power Line Communication)等に従って通信可能である。これにより、少なくともケーブル接続状態において、制御装置160および260の間で、データや信号を相互に送受信することが可能である。
【0045】
インレット7には、さらに、盗難防止あるいは安全面の目的から、充電ケーブル300のコネクタ8に対するロック機構190がさらに設けられている。ロック機構190は、制御装置160からのロック指令に基づいて、充電ケーブル300のコネクタ8をインレット7から取外せないようにロックする。
【0046】
一方で、ロック機構190は、制御装置160からのロック解除指令に応じて、ロック状態を解除する。ロック状態が解除されると、充電ケーブル300のコネクタ8がインレット7から取外し可能な状態となる。なお、ユーザ操作によってロック機構190のロック状態を解除するための操作スイッチ(図示せず)をさらに設けてもよい。すなわち、上記操作スイッチ、あるいは、ユーザ入力装置180へのユーザ入力に応じて、制御装置160がロック機構190へのロック指令およびロック解除指令を生成してもよい。このように、ロック機構190によるロック状態の形成およびその解除は、制御装置160によって自動的に解除されてもよく、ユーザ操作に応じて解除されてもよい。
【0047】
車両100の充電は、車両を走行できない状態(パーキングレンジに設定された状態、または車両の走行システムが停止された状態(Ready−OFF状態))で実行される。ユーザは、車両100を上記の走行できない状態としてから充電ケーブル300のコネクタ8をインレット7に挿入することによって。外部充電可能な状態を形成することができる。なお、充電中は、制御装置160からのロック指令に従って、ロック機構190によって充電ケーブル300のコネクタ8がインレット7から外れないようにロックされる。
【0048】
図1の構成において、車両100の電圧センサ6は、「第1の電圧検出器」に対応し、充電スタンド200の電圧センサ240は、「第2の電圧検出器」に対応する。また車両100において、充電ラインPL2およびNL2は、「第1の充電ライン」および「第2の充電ライン」に対応し、電力線PL1およびNL1は「第1の電力線」および「第2の電力線」にそれぞれ相当する。また、インレット7の接点7aおよび7bは「第1の接点」および「第2の接点」にそれぞれ対応する。
【0049】
また、充電スタンド200において、給電ラインPL0およびNL0は、「第1の給電ライン」および「第2の給電ライン」にそれぞれ相当する。さらに、また、充電リレーDCR−BおよびDCR−Gはは「第1の充電リレー」および「第2の充電リレー」にそれぞれ対応する。
【0050】
図2は、インレット7を設ける充電口の配置箇所の配置例を説明する概念図である。
図2を参照して、充電口700は、たとえば、車体900の車両後方の側面に設けられる。ただし、充電口700が設けられる位置は特に車両後方の側面の位置に限定されるものではなく、たとえば、車体900の車両前方の側面、車体900の後面もしくは車体900の前面であってもよい。
【0051】
充電口700は、車体900の内側に形成され、受電部を収納する内部空間を含む。内部空間は、車体900の外側に向けて開口して形成される。充電口700は、図示しない開閉機構を有するリッド704を含む。
【0052】
図3は、インレット7の収容部の構成を示す図である。
図3を参照して、インレット収容部703は、通常は、閉状態のリッド704に覆われて外部から見えないようになっている。インレット収容部703は、リッド704の内側に、インレット7と、ロック機構190の本体部191およびロックピン192とを収容する。インレット収容部703に、ロック機構190によるロック状態を形成および解除するための操作スイッチ706を設けることができる。
【0053】
図2および
図3に示されたように、外部充電時には、リッド704を開放して、露出されたインレット7に対して、充電ケーブル300のコネクタ8がユーザによって着脱されることになる。
【0054】
図1から理解されるように、システムメインリレーSMR−BおよびSMR−Gがオンされた状態で、充電リレーDCR−Bおよび/またはDCR−Gに溶着が発生していると、露出されたインレット7に対して、メインバッテリ110の電圧が印加されるおそれがある。したがって、ケーブル接続状態となって外部充電が実行された場合には、外部充電の終了後、充電ケーブル300がインレット7から取外される前に、充電リレーの溶着診断を実行する必要がある。
【0055】
そして、充電リレーの溶着診断が正常に完了して、充電リレーDCR−BおよびDCR−Gの両方に溶着が発生していないことが確認されるまでは、インレット7が露出されるような状態とならないように配慮することが安全面から望まれる。
【0056】
一方で、特許文献1および2にも開示されるように、充電リレーの溶着診断では、充電リレーDCR−Bおよび/またはDCR−Gにオフ指令を発生した状態において、電圧が正常に遮断されているかどうかを、電圧センサ6による検出電圧VDC1に基づいて判定される。したがって、電圧センサ6の異常発生時には、充電リレーの溶着診断が実行できない。
【0057】
このため、電圧センサ6の異常により、外部充電終了時に溶着診断が正常に完了しない場合には、安全面からは、システムメインリレーSMR−B,SMR−Gのオンを禁止することが必要となる。しかしながら、システムメインリレーSMR−B,SMR−Gのオンを禁止すると、車両100の走行が不能となるため、ユーザの利便性上大きな問題が生じる。
【0058】
したがって、本実施の形態に従う車両および充電システムでは、車両側の電圧センサ6の異常時に対応できるように、以下に説明するような充電リレーの溶着診断を実行する。
【0059】
図4は、本発明の実施の形態に従う充電システムによる車両の外部充電の制御処理を説明するためのフローチャートである。
【0060】
図4に示されるように、車両100の制御装置160および充電スタンド200の制御装置260の間で相互に情報およびデータを送受信することにより、外部充電シーケンスが進められる。
【0061】
図4を参照して、制御装置160は、ステップS100により、インレット7に対する充電ケーブル300の接続を検出する。制御装置160は、充電ケーブルの接続が検出されると(S100のYES判定時)には、ステップS110に処理を進めて、充電開始のための準備を実行する。一方で、充電ケーブルの接続が検出されない場合(S100のNO判定時)には、以降の処理は実行されない。
【0062】
制御装置160は充電ケーブル300の接続を検知すると、当該情報が制御装置260へ送信される。これにより、制御装置260は、ステップS200により、充電スタンド200の車両100への接続を検知して(S200がYES判定)、ステップS210に処理を進める。制御装置260は、ステップS210により、充電スタンド200による車両100への充電準備を実行する。
【0063】
制御装置160によるステップS110では、システムメインリレーSMR−B,SMR−Gおよび充電リレーDCR−BおよびDCR−Gのオン、ならびに、充電スタンド200に対する充電条件(最大電圧、電池容量、最大充電時間等)の送信が行われる。好ましくは、ロック機構190に対して、充電ケーブル300をロックするためのロック指令が出力される。
【0064】
制御装置260によるステップS210では、車両100から送信された充電条件に基づいて、充電スタンド200による充電が可能かどうかの適否が判定される。さらに、充電スタンド200からのデータとして、最大電圧、最大電流等の充電情報が、制御装置160へ送信される。
【0065】
制御装置160は、充電スタンド200による充電が可能であり、かつ、充電開始準備(S110)が完了すると、ステップS120に処理を進めて、充電開始要求を発生する。充電開始要求は、制御装置260へ送信される。
【0066】
制御装置260は、車両100への充電準備(S210)の完了後、ステップS220により、車両100からの充電開始要求(S120)が送信されたかどうかを判定する。制御装置260は、充電開始要求が送信されると(S220のYES判定時)には、ステップS230に処理を進める。ステップS230では、AC/DC変換器250が作動することによって、充電スタンド200からメインバッテリ110を充電するための直流電力が出力される。一方で、充電開始要求が送信されるまでの間(S220のNO判定時)、直流電力の出力(S230)は開始されない。
【0067】
ケーブル接続状態では、充電スタンド200のAC/DC変換器250からの直流電力が、給電ラインPL0,NL0、充電ケーブル300、コネクタ8、インレット7を経由して、車両100の充電ラインPL2,NL2に供給される。
【0068】
充電ラインPL2,NL2に供給された直流電力は、充電リレーDCR−B,DCR−G、充電ラインPL2,NL2およびシステムメインリレーSMR−B,SMR−Gを経由してメインバッテリ110に伝送される。これにより、メインバッテリ110が外部充電される(S130)。メインバッテリ110の充電中においても、制御装置160および260の間で、AC/DC変換器250からの電圧・電流値、および、メインバッテリ110の充電制御を調整するための要求等が送受信される。
【0069】
制御装置260は、ステップS240により、車両100から充電停止要求が送信されたか否かを判定する。充電終了要求が送信されるまでの間(S240のNO判定時)、ステップS230による、メインバッテリ110を充電するための直流電力の出力が継続される。
【0070】
制御装置160は、ステップS140により、メインバッテリ110の充電終了条件が成立したかどうかを判定する。たとえば、メインバッテリ110のSOC(State of Charge)、現在時刻(充電終了時刻)、充電時間等といった、充電条件または時刻条件等によって充電終了条件は予め定められる。充電終了条件が成立するまでの間(S140のNO判定時)、ステップS130によるメインバッテリ110の充電が継続される。
【0071】
制御装置160は、充電終了条件が成立すると(S140のYES判定時)、ステップS145により、直流電力の供給停止を指示するための充電終了要求を発生する。充電終了要求は、制御装置260へ送信される。
【0072】
制御装置260は、車両100から充電終了要求が送信されると(S240のYES判定時)、ステップS250に処理を進めて、AC/DC変換器250からの直流電力の出力を停止する。これにより、ケーブル接続状態は維持されたままで、給電ラインPL0,NL0および充電ラインPL2,NL2には、電流が流れていない状態となる。この状態で、制御装置160は、ステップS150に処理を進めて、充電リレーの溶着診断を実行する。
【0073】
一方で、制御装置260は、車両100からの充電停止要求に応じて直流電力の出力を停止(S250)した後においても、車両100から外部充電シーケンスの終了が送信されるまで、一定時間待機する(ステップS260)。AC/DC変換器250からの電力出力停止後も、ケーブル接続状態が維持されているため、制御装置160および260の間では継続的に情報およびデータが送受信される。したがって、ステップS260による一定時間の待機中においても、制御装置260から制御装置160へ、充電スタンド200の電圧センサ240による検出電圧VDC2が送信される。
【0074】
次に、
図5を用いて、充電リレーの溶着診断処理の詳細についてさらに説明する。
図5に示したフローチャートは、
図4のステップS150の処理の詳細を示すものである。
【0075】
図5を参照して、制御装置160は、ステップS151により、充電スタンド200からの電力供給が停止されているかどうかを判定する。たとえば、メインバッテリ110に設けられた電流センサ(図示せず)による検出値に基づいて、ステップS151の判定は実行される。
【0076】
制御装置160は、充電スタンド200からの電力供給の停止が確認されると(S151のYES判定時)、ステップS152に処理を進めて、車両側の電圧センサ6が正常であるかどうかを判定する。ステップS152の判定は、たとえば、車両100の自己診断機能によるダイアグコードに基づいて実行することができる。すなわち、自己診断によって、電圧センサ6の異常が検知されているときには、ステップS152はNO判定とされる。
【0077】
制御装置160は、電圧センサ6の正常時(S152のYES判定時)には、ステップS154に処理を進めて、診断フラグFLG=1に設定する。一方で、電圧センサ6に異常が発生しているとき(S152のNO判定時)には、制御装置160は、ステップS156に処理を進めて診断フラグFLG=0に設定する。これにより、外部充電中に電圧センサ6に異常が発生した場合には、診断フラグFLG=0に設定される。
【0078】
制御装置160は、診断フラグFLGが設定されると、ステップS158により、診断カウント値をN=1に初期設定する。さらに、制御装置160は、ステップS160〜S174の処理により、診断カウント値Nに従うパターンの溶着診断を実行する。
【0079】
図6は、本実施の形態に従う充電リレーの溶着診断のパターン一覧を示す図表であり、
図7には、各パターンにおける動作波形が示される。
【0080】
図6を参照して、充電リレーの溶着診断には、パターン1(N=1)〜パターン3(N=3)の3個のパターンが存在する。
【0081】
パターン1(N=1)では、システムメインリレーSMR−B,SMR−Gをオンした状態で、充電リレーDCR−BおよびDCR−Gの両方にオフ指令が発生される。
【0082】
図7を参照して、時刻t0〜t1の期間では、パターン1に従って、充電リレーDCR−BおよびDCR−Gの指令が生成される。充電リレーDCR−BおよびDCR−Gの少なくとも一方がオフ指令によって正常に遮断されると、充電ラインPL2,NL2はメインバッテリ110から切り離されるので、実線で表記するように、充電ラインPL2,NL2の間の電圧Vc=0である。
【0083】
一方で、充電リレーDCR−BおよびDCR−Gの両方に溶着が発生している場合には、充電ラインPL2,NL2間の電圧Vcがメインバッテリ110の出力電圧相当まで上昇する(Vc=Vmb)。すなわち、電圧Vcが、Vmbよりも低い判定電圧Vthを超えると、「両側溶着」が検出される。
【0084】
再び
図6を参照して、パターン2(N=2)では、システムメインリレーSMR−B,SMR−Gをオンした状態で、充電リレーDCR−Bにはオン指令が発生される一方で、充電リレーDCR−Gにはオフ指令が発生される。
【0085】
図7を参照して、時刻t1〜t2の期間では、パターン2に従って、充電リレーDCR−BおよびDCR−Gの指令が生成される。充電リレーDCR−Gがオフ指令によって正常に遮断されると、実線で表記するように電圧Vc=0である。一方で、充電リレーDCR−Gに溶着が発生している場合には、点線で表記するように、電圧Vcが、判定電圧Vthよりも高くなる。この場合には、「片側溶着(DCR−B)」が検出される。
【0086】
再び
図6を参照して、パターン3(N=3)では、システムメインリレーSMR−B,SMR−Gをオンした状態で、充電リレーDCR−Gにはオン指令が発生される一方で、充電リレーDCR−Bにはオフ指令が発生される。
【0087】
図7を参照して、時刻t2〜t3の期間では、パターン3に従って、充電リレーDCR−BおよびDCR−Gの指令が生成される。充電リレーDCR−Bがオフ指令によって正常に遮断されると、実線で表記するように電圧Vc=0である。一方で、充電リレーDCR−Bに溶着が発生している場合には、電圧Vcが、判定電圧Vthよりも高くなる。この場合には、「片側溶着(DCR−B)」が検出される。
【0088】
このように、パターン1、パターン2およびパターン3による溶着診断は、「第1の診断」、「第2の診断」および「第3の診断」にそれぞれ相当する。
【0089】
再び
図5を参照して、制御装置160は、ステップS160では、N番目のパターンに従って、充電リレーDCR−B,DCR−Gのオンオフ指令を発生する。さらに、制御装置160は、ステップS162により、診断フラグFLGの値を確認する。
【0090】
制御装置160は、診断フラグFLG=1の場合には(S162のYES判定時)、ステップS164に処理を進めて、Vc=VDC1として溶着診断を実行する。すなわち、車両100の電圧センサ6による検出電圧VDC1を用いて、充電リレーの溶着診断が実行される。
【0091】
一方で、制御装置160は、診断フラグFLG=0の場合、すなわち、車両100の電圧センサ6に異常が発生している場合には(S162のNO判定時)、ステップS166に処理を進めて、Vc=VDC2として溶着診断を実行する。すなわち、充電スタンド200の電圧センサ240による検出電圧VDC2を用いて、充電リレーの溶着診断が実行される。
【0092】
図1から理解されるように、ケーブル接続状態では、充電スタンド200の電圧センサ240は、充電ケーブル300およびインレット7を経由して、充電ラインPL2,NL2と電気的に接続されている。したがって、車両100の電圧センサ6に異常が発生している場合には、電圧センサ240の検出電圧に基づいて、
図6および
図7に従う溶着診断を実行することができる。
【0093】
制御装置160は、さらに、ステップS170により、電圧センサ6または240によって検知された電圧Vcを判定電圧Vth(
図7)と比較する。制御装置160は、電圧Vcが判定電圧Vthよりも大きい(S170のYES判定時)には、ステップS172に処理を進めて、当該N番目のパターンにおけるリレー溶着を検出する。これにより
図6に示された、「両側溶着」、「片側溶着(DCR−B)」および「片側溶着(DCR−G)」のいずれかが検知される。
【0094】
一方で、制御装置160は、Vc<Vthの場合(S170のNO判定時)には、ステップS174に処理を進めて、当該N番目のパターンでのリレー溶着を非検出とする。これにより、第N番目のパターンでの溶着診断が終了する。制御装置160は、ステップS176に処理を進めて、診断カウント値Nを1増加させる。
【0095】
さらに、制御装置160は、ステップS178により、更新後のNが3(パターン数)を超えたかどうかを判定する。N≦3のときには(S178のNO判定時)、
図6に示したパターン1〜3の溶着診断のうちの一部が未実行である。したがって、制御装置160は、更新後の診断カウント値Nに従って、N番目のパターンの溶着診断を実行する(S160〜S174)。
【0096】
一方で、更新後のN>3のときには(S178のYES判定時)、
図6に示したパターン1〜3の溶着診断はすべて終了している。したがって、制御装置160は、ステップS180に処理を進めて、溶着診断を終了する。
【0097】
ステップS180では、溶着診断の終了に応じて、システムメインリレーSMR−B,SMR−Gおよび充電リレーDCR−BおよびDCR−Gの各々、すなわち、全リレーに対してオフ指令が発生される。さらに、少なくともシステムメインリレーSMR−B,SMR−Gのオフに応じて、充電ケーブル300のロックを解除するためのロック解除指令が、ロック機構190に出力される。これにより、ユーザは、充電ケーブル300をインレット7から取り外し可能となる。
【0098】
なお、何らかの異常によって、溶着診断の開始(S151のYES判定時)から所定時間が経過しても、全パターンの診断が終了(S178がYES判定)しない場合には、診断シーケンスが強制的に中断されて、処理はステップS180へ進められる。
【0099】
制御装置160は、充電リレーの溶着診断が終了すると(S180)、ステップS182により、溶着診断が正常に終了したか否かを判定する。いずれかのパターンにおいて溶着が検出された場合、または、全パターンの溶着診断が正常に終了していない場合には、ステップS182はNO判定とされる。
【0100】
制御装置160は、充電リレーの溶着診断が異常終了したと判定された場合(S182のNO判定時)には、ステップS185により、システムメインリレーSMR−B,SMR−Gのオンを禁止する。当該禁止は、少なくともリッド704が閉じられたことが検知されるまで(すなわち、リッド704の開放中)継続される。これにより、コネクタロックの解除(S180)後では、充電ケーブル300の取り外し後にリッド704が閉じられて、インレット7が露出されなくなるまで、システムメインリレーSMR−B,SMR−Gのオンが禁止される。
【0101】
一方で、全パターンの溶着診断が完了し、かつ、溶着が検出されなかった場合には、ステップS182はYES判定とされる。制御装置160は、充電リレーの溶着診断が正常終了したと判定された場合(S182のYES判定時)には、ステップS185の処理をスキップするので、システムメインリレーSMR−B,SMR−Gのオンは特に制限されない。
【0102】
再び
図4を参照して、制御装置160は、充電リレーの診断処理(S150)が完了すると、ステップS190により、外部充電シーケンスの終了処理を実行する。そして、制御装置260は、制御装置160から外部充電シーケンスの終了が送信されると、ステップS270に処理を進めて、外部充電動作を終了する。これにより、制御装置160および260の間の通信も終了される。
【0103】
外部充電が終了されると、充電リレーの溶着診断が正常終了した場合(S185)には、車両100は、充電ケーブル300の取り外し後、システムメインリレーSMR−B,SMR−Gのオンによって走行可能な状態となる。
【0104】
一方で、充電リレーの溶着診断が異常終了した場合には、リッド704の開放中には、システムメインリレーSMR−B,SMR−Gのオンが禁止されるため、車両走行は不能である。ただし、リッド704が閉じられた後は、状況に応じて、車両走行を許可することも可能である。一方で、以降の外部充電については、充電ケーブル300をインレット7へ装着する操作を伴うため、安全面から禁止することが好ましい。
【0105】
なお、全パターンの溶着診断が正常に終了していないために異常終了した場合には、車両側の電圧センサ6が正常であるとき(FLG=1)は、リッド704が閉じられている状態であれば、充電リレーの溶着診断を以降のタイミング(車両の走行システムが起動された状態(Ready−ON状態)を含む)で再トライすることも可能である。再トライの結果、充電リレーの溶着診断が正常終了した場合には、以降の外部充電を許可することができる。一方で、車両側の電圧センサ6に異常が生じている場合(FLG=0)には、再トライは不能である。
【0106】
以上説明したように、本実施の形態に従う車両および充電システムによれば、車両側において充電リレーDCR−B,DCR−Gの溶着診断に必要な電圧センサ6に外部充電中に異常が発生しても、充電スタンドの電圧センサ240の検出値を用いることによって、インレット7を外部に露出することなく溶着診断を実行することができる。したがって、車両側の電圧センサ6を多重に設けることなく、充電リレーの溶着診断が未完了であることによるユーザ利便性の低下を防止することができる。たとえば、システムメインリレーSMR−B,SMR−Gのオンが禁止されることによって車両100が走行不能となる可能性が減少することにより、ユーザ利便性の低下を防止することができる。
【0107】
さらに、安全性を高めるために、外部充電処理において、メインバッテリ110の充電中および、充電リレーの溶着診断中には、充電ケーブルをインレットに対してロックすることによって、メインバッテリ110と電気的に接続された状態のインレット7が車両外部へ露出されることを回避できる。特に、電圧センサ6の異常時における溶着診断では、電圧センサ240と充電ラインPL2,NL2との間の電気的接続を確実に保持することができる。
【0108】
また、安全性の観点から、充電リレーの溶着診断が正常に終了しなかった場合には、インレット7を覆うためのリッド704が閉じられるまでシステムメインリレーSMR−B,SMR−Gのオンが禁止される。これにより、露出されたインレット7とメインバッテリ110との間に電気経路が形成されることを回避できる。
【0109】
なお、
図1では、メインバッテリ110から充電ラインPL2,NL2までの経路に、システムメインリレーSMR−B,SMR−Gが接続される構成を例示した。しかしながら、充電スタンド側の電圧センサを用いた充電リレーDCR−B,DCR−Gの溶着診断は、システムメインリレーSMR−B,SMR−Gを経由することなく、メインバッテリ110および充電ラインPL2,NL2が電気的に接続される構成に対しても適用することが可能である点について、確認的に記載する。たとえば、
図1の構成において、システムメインリレーSMR−B,SMR−Gが、ノードND1,ND2および電力線PL1,NL1の間に接続される構成においても、ケーブル接続状態において電圧センサ240の検出電圧を用いて充電リレーの溶着診断を行うことが可能である。
【0110】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。