特許第6309957号(P6309957)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6309957
(24)【登録日】2018年3月23日
(45)【発行日】2018年4月11日
(54)【発明の名称】ケタミン誘導体
(51)【国際特許分類】
   C07C 225/20 20060101AFI20180402BHJP
   C07C 229/46 20060101ALI20180402BHJP
   A61K 31/222 20060101ALI20180402BHJP
   A61K 31/216 20060101ALI20180402BHJP
   A61P 25/04 20060101ALI20180402BHJP
   A61P 23/00 20060101ALI20180402BHJP
   A61P 25/20 20060101ALI20180402BHJP
【FI】
   C07C225/20CSP
   C07C229/46
   A61K31/222
   A61K31/216
   A61P25/04
   A61P23/00
   A61P25/20
【請求項の数】22
【全頁数】44
(21)【出願番号】特願2015-535162(P2015-535162)
(86)(22)【出願日】2013年10月8日
(65)【公表番号】特表2015-535847(P2015-535847A)
(43)【公表日】2015年12月17日
(86)【国際出願番号】IB2013059191
(87)【国際公開番号】WO2014057414
(87)【国際公開日】20140417
【審査請求日】2016年9月23日
(31)【優先権主張番号】602885
(32)【優先日】2012年10月8日
(33)【優先権主張国】NZ
(31)【優先権主張番号】611202
(32)【優先日】2013年5月28日
(33)【優先権主張国】NZ
(73)【特許権者】
【識別番号】501410698
【氏名又は名称】オークランド ユニサービシーズ リミティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100077517
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 敬
(74)【代理人】
【識別番号】100087871
【弁理士】
【氏名又は名称】福本 積
(74)【代理人】
【識別番号】100087413
【弁理士】
【氏名又は名称】古賀 哲次
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100150810
【弁理士】
【氏名又は名称】武居 良太郎
(72)【発明者】
【氏名】ジェイムズ ウォレス スレイ
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアム アレクサンダー デニー
(72)【発明者】
【氏名】ジニー ジョセ
(72)【発明者】
【氏名】スワーナラサ アクラティヤ ガメッジ
(72)【発明者】
【氏名】マーティン グレゴリー ハーベイ
(72)【発明者】
【氏名】ローガン ジェイムズ ボス
【審査官】 早川 裕之
(56)【参考文献】
【文献】 特表2006−510618(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/056229(WO,A1)
【文献】 特公昭45−035542(JP,B1)
【文献】 英国特許出願公開第01134146(GB,A)
【文献】 国際公開第01/054481(WO,A1)
【文献】 欧州特許出願公開第01333023(EP,A1)
【文献】 特公昭47−022816(JP,B1)
【文献】 特表2010−525081(JP,A)
【文献】 Bioorg. Med. Chem.,2013年,21,5098−5106
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C 225/20
C07C 229/46
A61K 31/216
A61K 31/222
A61P 23/00
A61P 25/04
A61P 25/20
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】
(式中、
1は、−C2-6脂肪族C(O)OR1、−C2-6脂肪族OC(O)R1、−C1-6脂肪族C(O)OC1-6脂肪族C(O)OR1、又は−C1-6脂肪族C(O)OC1-6脂肪族OR3であり、ここで、各々の脂肪族は、場合により、1個以上のR2で置換され;
1は、C1-6脂肪族であり、場合により、1個以上のハロ、CN、NO2、NH2、NHR11、NR1112、C1-6ハロアルキル、C1-6ハロアルコキシ、C(O)NH2、C(O)NHR11、C(O)NR1112、SO211、OR11、C(O)R11、及びC1-6脂肪族で置換され;
2は、C1-6脂肪族であり、場合により、1個以上のハロ、OR11、又はCNで置換され;
3は、水素又はR1であり;
11及びR12は、各々、独立して、C1-6脂肪族であり;又はR11及びR12は、それらが結合している窒素原子と一緒になって、ヘテロアリール環又はヘテロシクリル環であり;
2は、水素又はR2であり;
1及びX2は、各々、独立して、利用可能な2〜5位のいずれかで、水素、2、ハロ、NO2、NH2、NHR11、NR1112、C1-6ハロアルキル、C1-6ハロアルコキシ、C(O)NH2、C(O)NHR11、C(O)NR1112、SO211、OR11、C(O)R11、C1-6脂肪族Y1、OY1、C(O)Y1、SO21、又はC(O)NHY1である)
で表される化合物、又はその医薬として許容される塩若しくは溶媒和物。
【請求項2】
1が、−C2-6アルキルC(O)OR1、−C2-6アルキルOC(O)R1、−C1-6アルキルC(O)OC1-6アルキルC(O)OR1、又は−C1-6アルキルC(O)OC1-6アルキルOR3であり、ここで、各々のアルキルは、場合により置換されている、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
1が、−C2-6アルキルC(O)OR1であり、ここで、アルキルは、場合により置換されている、請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項4】
1が、C1-6アルキル、C2-6アルケニル、シクロアルキル、又はシクロアルケニルであり、各々のアルキル及びシクロアルキルは、場合により、1個以上のハロ、CN、NO2、NH2、NHR11、NR1112、C1-6ハロアルキル、C1-6ハロアルコキシ、C(O)NH2、C(O)NHR11、C(O)NR1112、SO211、OR11、及びC(O)R11で置換され;各々のアルキルは、場合により、シクロアルキル又はシクロアルケニルで置換され;各々のシクロアルキルは、場合により、C1-6アルキル又はC2-6アルケニルで置換される、請求項1〜3のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項5】
1が、C1-6アルキルであり、各々のアルキルが、場合により、置換される、請求項1〜4のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項6】
2が、場合により、1個以上のハロ、OR11、又はCNで置換されるC1-6アルキルである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項7】
2が、水素又はC1-6アルキルであり、アルキルは、場合により、置換される、請求項1〜6のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項8】
1及びX2が、各々、独立して、利用可能な2〜5位のいずれかで、水素、R2、ハロ、NO2、NH2、NHR11、NR1112、C1-6ハロアルキル、C1-6ハロアルコキシ、C(O)NH2、C(O)NHR11、C(O)NR1112、SO211、OR11、又はC(O)R11であり;あるいは、X2は、C1-6アルキルY1、OY1、C(O)Y1、SO21、又はC(O)NHY1である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項9】
1が、2−クロロであり;X2が、3〜5位のいずれかで、水素、R2、ハロ、C1-6ハロアルキル、C1-6ハロアルコキシ、SO211、又はOR11である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項10】
1が、−(CRABm(CRCDnC(O)OR1、−(CRABm(CRCDnOC(O)R1、−(CRABm-1(CRCDnC(O)O(CRGHp(CREFoC(O)OR1、又は−(CRABm-1(CRCDnC(O)O(CRGHp(CREFoOR3であり;mが、2〜6の整数であり;oは、1〜6の整数であり;n及びpが、各々、独立して、0又は1であり;mとnの合計、及びoとpの合計が6以下であり;RA、RB、RC、RD、RE、RF、RG、及びRHが、m、n、o、及びpの各々の場合で、各々、独立して、水素又はR2である、請求項1及び4〜9のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項11】
1が、−(CRABm(CRCDnC(O)OR1である、請求項10に記載の化合物。
【請求項12】
化合物が、
3−((1−(2−クロロフェニル)−2−オキソシクロヘキシル)アミノ)プロピルアセテート、
エチル 3−((1−(2−クロロフェニル)−2−オキソシクロヘキシル)アミノ)プロパノエート、
イソプロピル 3−((1−(2−クロロフェニル)−2−オキソシクロヘキシル)アミノ)プロパノエート、
n−プロピル 3−((1−(2−クロロフェニル)−2−オキソシクロヘキシル)アミノ)プロパノエート、
エチル 4−((1−(2−クロロフェニル)−2−オキソシクロヘキシル)アミノ)ブタノエート、
イソプロピル 4−((1−(2−クロロフェニル)−2−オキソシクロヘキシル)アミノ)ブタノエート、
n−プロピル 4−((1−(2−クロロフェニル)−2−オキソシクロヘキシル)アミノ)ブタノエート、
メチル −((1−(2−クロロフェニル)−2−オキソシクロヘキシル)アミノ)ペンタノエート、
エチル 5−((1−(2−クロロフェニル)−2−オキソシクロヘキシル)アミノ)ペンタノエート、
イソプロピル 5−((1−(2−クロロフェニル)−2−オキソシクロヘキシル)アミノ)ペンタノエート、
n−プロピル 5−((1−(2−クロロフェニル)−2−オキソシクロヘキシル)アミノ)ペンタノエート、
エチル 3−((1−(2−クロロフェニル)−2−オキソシクロヘキシル)(メチル)アミノ)プロパノエート、
エチル 4−((1−(2−クロロフェニル)−2−オキソシクロヘキシル)(メチル)アミノ)ブタノエート、若しくは
メチル 5−((1−(2−クロロフェニル)−2−オキソシクロヘキシル)(メチル)アミノ)ペンタノエート
である、請求項1に記載の化合物、又はその医薬として許容される塩若しくは溶媒和物。
【請求項13】
が、−C2-6アルキルC(O)OR1又は−C2-6アルキルOC(O)R1である、請求項1に記載の化合物。
【請求項14】
が2−ハロであり、Xが水素である、請求項1に記載の化合物。
【請求項15】
が、水素又はメチルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項16】
がC1−6アルキルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項17】
が2−クロロであり、Xが水素である、請求項1に記載の化合物。
【請求項18】
化合物が、メチル 5−((1−(2−クロロフェニル)−2−オキソシクロヘキシル)アミノ)ペンタノエート、又はその医薬として許容される塩若しくは溶媒和物。
【請求項19】
化合物が、イソプロピル 3−((1−(2−クロロフェニル)−2−オキソシクロヘキシル)アミノ)プロパノエート、又はその医薬として許容される塩若しくは溶媒和物。
【請求項20】
請求項1〜19のいずれか1項に記載の式(I)で表される化合物又はその医薬として許容される塩若しくは溶媒和物、及び医薬として許容される希釈物、賦形剤、又は担体を含む医薬組成物。
【請求項21】
対象における疼痛を治療するための請求項1〜19のいずれか1項に記載の式(I)で表される化合物、又はその医薬として許容される塩若しくは溶媒和物
【請求項22】
対象を麻酔する又は鎮静させるための、請求項1〜19のいずれか1項に記載の式(I)で表される化合物、又はその医薬として許容される塩若しくは溶媒和物
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケタミン誘導体、それらを含む医薬組成物、及び麻酔剤、鎮痛剤、及び鎮静剤としてのそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
(2−o−クロロフェニル)−2−メチルアミノ−シクロヘキサノン(ケタミン)は、有効な非オピオイド系麻酔/鎮痛剤[Laskowski et al.,Can J Anesth 2011,58,911:Carstensen & Moller,Br J Anaesth.2010,104,401]であり、呼吸抑制又は痛覚過敏効果を示さず、また、耐性の増加及び免疫抑制などの長期的な効果もない点でオピオイドと比較して大きな利点を有する。
【0003】
ケタミンは、通常、ラセミ体として使用されるが、より最近になって、より大きな活性な(S)−鏡像異性体が採用され始めている。(S)−ケタミンは、ラセミ体と類似した薬理学的な鎮痛及び麻酔特性を有するが、効力はほぼ2倍である[Adams & Werner,Anaesthetist 1997,46,1026]。
【0004】
【化1】
【0005】
ケタミンの最も重要な悪影響は、幻覚を誘発する特性であり、それは、相対的に長い半減期(2〜3時間)とともに、麻酔後の長期間を制御するために、ミダゾラム及び/又はプロポフォールのような鎮痛剤又は催眠剤と一緒に通常は投与されることを意味する[Domino,Anesthesiology 2010,113,678,Chiaretti et al.,Pediatric Blood & Cancer 2011,57,1163]。(S)−ケタミンは幾分、排除がより速いが[Adams & Werner,Anaesthetist 1997,46,1026]、鎮静剤/睡眠剤の併用を避けるために、非常に短い半減期を有する類似体がなおも必要とされる。
【0006】
この必要性に幾分向けて、及び/又は有用な選択肢を公衆に少なくとも提供することが本発明の課題である。
【0007】
本発明の他の課題は、例としてのみ提供される以下の説明から明らかとなり得る。
【0008】
本明細書に含まれている文書、行為、資料、デバイス、物品などの任意の議論は、本発明の文脈を照らして提供する目的のためだけである。これらの事項のいずれか又はすべてが、先行技術ベースの一部を形成するか、又は優先日前に存在していたとして、本発明に関連する分野における一般的な常識であったという承認として解釈されるべきではない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
一態様において、本発明は、式(I)で表される化合物、又はその医薬として許容される塩若しくは溶媒和物を提供する。
【0010】
【化2】
【0011】
式中、
1は、−C2-6脂肪族C(O)OR1、−C2-6脂肪族OC(O)R1、−C1-6脂肪族C(O)OC1-6脂肪族C(O)OR1、又は−C1-6脂肪族C(O)OC1-6脂肪族OR3であり、ここで、各々の脂肪族は、場合により、1個以上のR2で置換され;
1は、C1-6脂肪族であり、場合により、1個以上のハロ、CN、NO2、NH2、NHR11、NR1112、C1-6ハロアルキル、C1-6ハロアルコキシ、C(O)NH2、C(O)NHR11、C(O)NR1112、SO211、OR11、C(O)R11、及びC1-6脂肪族で置換され;
2は、C1-6脂肪族であり、場合により、1個以上のハロ、OR11、又はCNで置換され;
3は、水素又はR1であり;
11及びR12は、各々、独立して、C1-6脂肪族であり;又はR11及びR12は、それらが結合している窒素原子と一緒になって、ヘテロアリール環又はヘテロシクリル環であり;
2は、水素又はR2であり;
1及びX2は、各々、独立して、利用可能な2〜5位のいずれかで、水素、2、ハロ、NO2、NH2、NHR11、NR1112、C1-6ハロアルキル、C1-6ハロアルコキシ、C(O)NH2、C(O)NHR11、C(O)NR1112、SO211、OR11、C(O)R11、C1-6脂肪族Y1、OY1、C(O)Y1、SO21、又はC(O)NHY1である。
【0012】
別の態様において、本発明は、式(I)で表される化合物を含む医薬組成物又は医薬として許容される塩若しくは溶媒和物、及び医薬として許容される希釈剤、賦形剤又は担体を含む医薬組成物を提供する。
【0013】
別の態様において、本発明は、必要とする対象に疼痛を治療するための方法を提供し、該方法は、対象に式(I)で表される化合物の治療的に有効な量を投与することを含む。
【0014】
別の態様において、本発明は、疼痛を治療するための医薬の製造における式(I)で表される化合物の使用を提供する。
【0015】
別の態様において、本発明は、疼痛を治療するための式(I)で表される化合物を提供する。
【0016】
一実施形態において、鎮痛を治療するための方法、医薬又は化合物を提供するためのものである。
【0017】
別の態様において、本発明は、必要とする対象を麻酔するための方法を提供し、該方法は、式(II)で表される化合物、又はその医薬として許容される塩若しくは溶媒和物の治療的に有効な量を投与することを含む。
【0018】
【化3】
【0019】
式中、
11は、−C1-6脂肪族C(O)OR1、−C1-6脂肪族OC(O)R1、−C1-6脂肪族C(O)OC1-6脂肪族C(O)OR1、又は−C1-6脂肪族C(O)OC1-6脂肪族OR3であり、ここで、各脂肪族は、場合により、1以上のR2で置換され;及び
1、R2、R3、Y2、X1、及びX2は、式(I)で表される化合物において定義した通りである。
【0020】
一実施形態において、本方法は、外科手術に対する対象を麻酔するためのものである。
【0021】
いくつかの実施形態において、本方法は、全身麻酔を導入するためのものである。他の実施形態において、本方法は、全身麻酔を導入し、維持するためのものである。
【0022】
別の態様において、本発明は、麻酔を提供するための医薬の製造における式(II)で表される化合物の使用を提供する。
【0023】
一実施形態において、医薬は、外科手術用に麻酔を提供するためのものである。
【0024】
いくつかの実施形態において、医薬は、全身麻酔を導入するためのものである。他の実施形態において、医薬は、全身麻酔を導入し、維持するためのものである。
【0025】
別の態様において、本発明は、麻酔を胎教するために式(II)で表される化合物を提供する。
【0026】
一実施形態において、本発明は、外科手術用に麻酔を提供するためのものである。
【0027】
いくつかの実施形態において、化合物は、全身麻酔を導入するためのものである。他の実施形態において、化合物は、全身麻酔を導入し、維持するためのものである。
【0028】
別の態様において、本発明は、必要とする対象を鎮静させるための方法を提供し、該方法は、対象に式(II)で表される化合物の治療的に有効な量を投与することを含む。
【0029】
一実施形態において、本方法は、外科手術用に対象を鎮静させるためのものである。いくつかの実施形態において、本方法は、意識下鎮静を提供するためのものである。
【0030】
いくつかの実施形態において、本方法は、意識した鎮静を導入するためのものである。他の実施形態において、本方法は、意識下鎮静を導入し、維持するためのものである。
【0031】
別の態様において、本発明は、鎮静を提供するための医薬の製造における式(II)で表される化合物の使用を提供する。
【0032】
一実施形態において、医薬は、医療処置用に鎮静を提供するためのいくつかの実施形態において、医薬は、意識下鎮静を提供するためのものである。
【0033】
いくつかの実施形態において、医薬は、意識下鎮静を導入するためのものである。他の実施形態において、医薬は、意識下鎮静を導入し、維持するためのものである。
【0034】
別の態様において、本発明は、鎮静を提供するための式(II)で表される化合物を提供する。
【0035】
一実施形態において、化合物は、医療処置のためのものである。いくつかの実施形態において、化合物は、意識下鎮静を提供するためのものである。
【0036】
いくつかの実施形態において、化合物は、意識下鎮静を導入するためのものである。他の実施形態において、化合物は、意識下鎮静を導入し、維持するためのものである。
【0037】
以下の実施形態は、必要に応じて、式(I)及び(II)で表される化合物に関する。
【0038】
一実施形態において、Y1は、−C2-6アルキルC(O)OR1、−C2-6アルキルOC(O)R1、−C1-6アルキルC(O)OC1-6アルキルC(O)OR1、又は−C1-6アルキルC(O)OC1-6アルキルOR3であり、ここで、各々のアルキルは、場合により置換されている。別の態様において、Y1は、−C2-6アルキルC(O)OR1又は−C1-6アルキルC(O)OC1-6アルキルC(O)OR1であり、ここで、各々のアルキルは、場合により置換されている。1つの例示的な実施形態において、Y1は、−C2-6アルキルC(O)OR1であり、ここで、アルキルは、場合により置換されている。1つの特に意図された実施形態において、Y1は、−C2-6アルキルC(O)OR1である。
【0039】
一実施形態において、Y11は、−C1-6アルキルC(O)OR1、−C1-6アルキルOC(O)R1、−C1-6アルキルC(O)OC1-6アルキルC(O)OR1、又は−C1-6アルキルC(O)OC1-6アルキルOR3であり、ここで、各々のアルキルは、場合により置換される。別の実施形態において、Y11は、−C1-6アルキルC(O)OR1又は−C1-6アルキルC(O)OC1-6アルキルC(O)OR1であり、ここで、各々のアルキルは、場合により置換される。1つの例示的な実施形態において、Y11は、−C1-6アルキルC(O)OR1であり、ここで、各々のアルキルは、場合により置換される。1つの特に意図された実施形態において、Y11は、−C1-6アルキルC(O)OR1である。
【0040】
いくつかの実施形態において、Y1又はY11における各アルキルは、場合により、1〜3個のR2で置換される。特定の実施形態において、Y1又はY11における各アルキルは、場合により、1又は2個のR2で置換される。
【0041】
一実施形態において、R1は、C1-6アルキル、C2-6アルケニル、シクロアルキル、又はシクロアルケニルであり、各々のアルキル、アルケニル、シクロアルキル及びシクロアルケニルは、場合により、1個以上のハロ、CN、NO2、NH2、NHR11、NR1112、C1-6ハロアルキル、C1-6ハロアルコキシ、C(O)NH2、C(O)NHR11、C(O)NR1112、SO211、OR11、及びC(O)R11で置換され;各々のアルキル及びアルケニルは、場合により、1個以上のシクロアルキル又はシクロアルケニルで置換され;各々のシクロアルキル及びシクロアルケニルは、場合により、1個以上のC1-6アルキル又はC2-6アルケニルで置換される。
【0042】
一実施形態において、R1は、C1-6アルキル、C2-6アルケニル、シクロアルキル、又はシクロアルケニルであり、各々のアルキル及びシクロアルキルは、場合により、1個以上のハロ、CN、NO2、NH2、NHR11、NR1112、C1-6ハロアルキル、C1-6ハロアルコキシ、C(O)NH2、C(O)NHR11、C(O)NR1112、SO211、OR11、及びC(O)R11で置換され;各々のアルキルは、場合により、シクロアルキル又はシクロアルケニルで置換され;各々のシクロアルキルは、場合により、C1-6アルキル又はC2-6アルケニルで置換される。
【0043】
一実施形態において、R1は、C2-6アルケニル又はシクロアルケニルであり、各々のアルケニル及びシクロアルケニルは、場合により、1個以上のハロ、CN、NO2、NH2、NHR11、NR1112、C1-6ハロアルキル、C1-6ハロアルコキシ、C(O)NH2、C(O)NHR11、C(O)NR1112、SO211、OR11、及びC(O)R11で置換され;各々のアルキルは、場合により、シクロアルキル又はシクロアルケニルで置換され;各々のシクロアルキルは、場合により、C1-6アルキル又はC2-6アルケニルで置換される。
【0044】
他の実施形態において、R1は、C1-6アルキル又はシクロアルキルであり、各アルキル及びシクロアルキルは、場合により、置換される。1つの例示的な実施形態において、R1は、C1-6アルキルであり、各アルキルは、場合により置換される。1つの特に意図された実施形態において、R1は、C1-6アルキルである。
【0045】
いくつかの実施形態において、R1における各アルキル又はシクロアルキルは、場合により、1〜3個の任意の置換基で置換される。特定の実施形態において、R1における各アルキル又はシクロアルキルは、場合により、1又は2個の任意の置換基で置換される。
【0046】
いくつかの実施形態において、R2は、場合により、1個以上のハロ、OR11、又はCNで置換されるC1-6アルキル又はシクロアルキルである。他の実施形態において、R2は、場合により、1個以上のハロ、OR11、又はCNで置換されるC1-6アルキルである。特定の実施形態において、R2は、C1-6アルキルである。
【0047】
いくつかの実施形態において、R11及びR12は、各々、独立して、C1-6アルキル、C2-6アルケニル、シクロアルキル、又はシクロアルケニルであり;あるいは、R11及びR12は、それらが結合している窒素原子と一緒になって、ヘテロアリール環又はヘテロシクリル環である。他の実施形態において、R11及びR12は、各々、独立して、C1-6アルキル又はシクロアルキルであり;あるいは、R11及びR12は、それらが結合している窒素原子と一緒になって、ヘテロアリール環又はヘテロシクリル環である。特定の実施形態において、R11及びR12は、C1-6アルキルである。
【0048】
一実施形態において、Y2は、水素又はC1-6アルキルであり、アルキルは、場合により、置換される。1つの例示的な実施形態において、Y2は、水素又はC1-6アルキルである。1つの特に意図された実施形態において、Y2は、水素である。別の特に意図された実施形態において、Y2は、水素又はメチルである。
【0049】
いくつかの実施形態において、X1及びX2は、各々、独立して、利用可能な2〜5位のいずれかで、水素、R2、ハロ、NO2、NH2、NHR11、NR1112、C1-6ハロアルキル、C1-6ハロアルコキシ、C(O)NH2、C(O)NHR11、C(O)NR1112、SO211、OR11、C(O)R11、C1-6アルキルY1、OY1、C(O)Y1、SO21、又はC(O)NHY1である。
【0050】
いくつかの実施形態において、X1及びX2は、各々、独立して、利用可能な2〜5位のいずれかで、水素、R2、ハロ、NO2、NH2、NHR11、NR1112、C1-6ハロアルキル、C1-6ハロアルコキシ、C(O)NH2、C(O)NHR11、C(O)NR1112、SO211、OR11、又はC(O)R11である。
【0051】
いくつかの実施形態において、X1及びX2は、各々、独立して、利用可能な2〜5位のいずれかで、水素、R2、ハロ、NO2、NH2、NHR11、NR1112、C1-6ハロアルキル、C1-6ハロアルコキシ、C(O)NH2、C(O)NHR11、C(O)NR1112、SO211、OR11、又はC(O)R11であり;あるいはX2は、C1-6アルキルY1、OY1、C(O)Y1、SO21、又はC(O)NHY1である。
【0052】
いくつかの実施形態において、X1及びX2は、各々、独立して、利用可能な2〜5位のいずれかで、水素、R2、ハロ、NO2、NH2、NHR11、NR1112、C1-6ハロアルキル、C1-6ハロアルコキシ、C(O)NH2、C(O)NHR11、C(O)NR1112、SO211、OR11、又はC(O)R11である。
【0053】
いくつかの実施形態において、X1及びX2は、各々、独立して、利用可能な2〜5位のいずれかで、水素、R2、ハロ、C1-6ハロアルキル、C1-6ハロアルコキシ、SO211、OR11、又はC(O)R11であり;あるいはX2は、C1-6アルキルY1、OY1、C(O)Y1、又はSO21である。
【0054】
一実施形態において、X1及びX2は、各々、独立して、利用可能な2〜5位のいずれかで、水素、R2、ハロ、C1-6ハロアルキル、C1-6ハロアルコキシ、SO211、OR11、又はC(O)R11である。
【0055】
一実施形態において、X1及びX2は、各々、独立して、利用可能な2〜5位のいずれかで、水素、R2、ハロ、C1-6ハロアルキル、C1-6ハロアルコキシ、SO211、又はOR11である。
【0056】
一実施形態において、X1及びX2は、各々、独立して、利用可能な2〜5位のいずれかで、水素、R2、ハロ、C1-6ハロアルキル、C1-6ハロアルコキシ、SO211、又はOR11である。
【0057】
一実施形態において、X1は、ハロであり;及びX2は、独立して、利用可能な2〜5位のいずれかで、水素、R2、ハロ、C1-6ハロアルキル、C1-6ハロアルコキシ、SO211、又はOR11である。
【0058】
一実施形態において、X1は、2−ハロである。別のX1は、2−クロロである。
【0059】
一実施形態において、X1は、2−クロロであり;及びX2は、独立して、利用可能な3〜5位のいずれかで、水素、R2、ハロ、C1-6ハロアルキル、C1-6ハロアルコキシ、SO211、又はOR11である。
【0060】
いくつかの実施形態において、C1-6ハロアルキルは、CF3、CHF2、又はCH2Fである。いくつかの実施形態において、C1-6ハロアルキルは、CF3である。いくつかの実施形態において、C1-6ハロアルコキシは、OCF3、OCHF2、又はOCH2Fである。特定の実施形態において、C1-6ハロアルキルは、CF3である。
【0061】
いくつかの実施形態において、ハロは、F、Cl、又はBrである。特定の実施形態において、ハロは、F又はClである。
【0062】
一実施形態において、Y1は、−C2-6アルキルC(O)OR1、−C2-6アルキルOC(O)R1、−C1-6アルキルC(O)OC1-6アルキルC(O)OR1、又は−C1-6アルキルC(O)OC1-6アルキルOR3であり、ここで、各々のアルキルは、場合により、1個以上のR2で置換され;R1は、C1-6アルキル、C2-6アルケニル、シクロアルキル、又はシクロアルケニルであり、各々のアルキル及びシクロアルキルは、場合により、1個以上のハロ、CN、NO2、NH2、NHR11、NR1112、C1-6ハロアルキル、C1-6ハロアルコキシ、C(O)NH2、C(O)NHR11、C(O)NR1112、SO211、OR11、及びC(O)R11で置換され;各々のアルキルは、場合により、シクロアルキル又はシクロアルケニルで置換され;各々のシクロアルキルは、場合により、C1-6アルキル又はC2-6アルケニルで置換され;R2は、場合により、1個以上のハロ、OR11、又はCNで置換されるC1-6アルキル又はシクロアルキルであり;R11及びR12は、各々、独立して、C1-6アルキル、C2-6アルケニル、シクロアルキル、又はシクロアルケニルであり;あるいは、R11及びR12は、それらが結合している窒素原子と一緒になって、ヘテロアリール環又はヘテロシクリル環であり;並びにX1及びX2は、各々、独立して、利用可能な2〜5位のいずれかで、水素、R2、ハロ、NO2、NH2、NHR11、NR1112、C1-6ハロアルキル、C1-6ハロアルコキシ、C(O)NH2、C(O)NHR11、C(O)NR1112、SO211、OR11、C(O)R11、C1-6アルキルY1、OY1、C(O)Y1、SO21、又はC(O)NHY1である。
【0063】
一実施形態において、Y11は、−C1-6アルキルC(O)OR1、−C1-6アルキルOC(O)R1、−C1-6アルキルC(O)OC1-6アルキルC(O)OR1、又は−C1-6アルキルC(O)OC1-6アルキルOR3であり、ここで、各々のアルキルは、場合により、1個以上のR2で置換され;R1は、C1-6アルキル、C2-6アルケニル、シクロアルキル、又はシクロアルケニルであり、各々のアルキル及びシクロアルキルは、場合により、1個以上のハロ、CN、NO2、NH2、NHR11、NR1112、C1-6ハロアルキル、C1-6ハロアルコキシ、C(O)NH2、C(O)NHR11、C(O)NR1112、SO211、OR11、及びC(O)R11で置換され;各々のアルキルは、場合により、シクロアルキル又はシクロアルケニルで置換され;各々のシクロアルキルは、場合により、C1-6アルキル又はC2-6アルケニルで置換され;R2は、場合により、1個以上のハロ、OR11、又はCNで置換されるC1-6アルキル又はシクロアルキルであり;R11及びR12は、各々、独立して、C1-6アルキル、C2-6アルケニル、シクロアルキル、又はシクロアルケニルであり;あるいは、R11及びR12は、それらが結合している窒素原子と一緒になって、ヘテロアリール環又はヘテロシクリル環であり;並びにX1及びX2は、各々、独立して、利用可能な2〜5位のいずれかで、水素、R2、ハロ、NO2、NH2、NHR11、NR1112、C1-6ハロアルキル、C1-6ハロアルコキシ、C(O)NH2、C(O)NHR11、C(O)NR1112、SO211、OR11、C(O)R11、C1-6アルキルY1、OY1、C(O)Y1、SO21、又はC(O)NHY1である。
【0064】
一実施形態において、Y1は、−(CRABm(CRCDnC(O)OR1、−(CRABm(CRCDnOC(O)R1、−(CRABm-1(CRCDnC(O)O(CRGHp(CREFoC(O)OR1、又は−(CRABm-1(CRCDnC(O)O(CRGHp(CREFoOR3であり;mは、2〜6の整数であり;oは、1〜6の整数であり;n及びpは、各々、独立して、0又は1であり;mとnの合計、及びoとpの合計が6以下であり;RA、RB、RC、RD、RE、RF、RG、及びRHは、m、n、o、及びpの各々の場合で、各々、独立して、水素又はR2である。
【0065】
1は、−(CRABm(CRCDnC(O)OR1、−(CRABm(CRCDnOC(O)R1、−(CRABm(CRCDnC(O)O(CRGHp(CREFoC(O)OR1、又は−(CRABm(CRCDnC(O)O(CRGHp(CREFoOR3であり;m及びoは、各々、独立して、1〜6の整数であり;n及びpは、各々、独立して、0又は1であり;mとnの合計、及びoとpの合計が6以下であり;RA、RB、RC、RD、RE、RF、RG、及びRHが、m、n、o、及びpの各々の場合で、各々、独立して、水素又はR2である。
【0066】
いくつかの実施形態において、Y1又はY11は、−(CRABm(CRCDnC(O)OR1又は−(CRABm(CRCDnC(O)O(CRGHp(CREFoC(O)OR1である。
【0067】
いくつかの実施形態において、Y1又はY11は、−(CRABm(CRCDnC(O)OR1である。
【0068】
一実施形態において、RA、RB、RE、及びRFは、m及びoの各々の場合で、各々、独立して、水素であり;RC、RD、RG、及びRHは、n及びpの各々の場合で、各々、独立して、水素又はR2である。
【0069】
1つの例示的な実施形態において、Y1は、−(CH2m(CRCDnC(O)OR1、−(CH2m(CRCDnOC(O)R1、−(CH2m-1C(O)O(CRGHp(CH2oC(O)OR1、又は−(CH2m-1C(O)O(CH2oOR3である。
【0070】
別の例示的な実施形態において、Y11は、−(CH2m(CRCDnC(O)OR1、−(CH2m(CRCDnOC(O)R1、−(CH2mC(O)O(CRGHp(CH2oC(O)OR1、又は−(CH2nC(O)O(CH2oOR3である。
【0071】
別の例示的な実施形態において、Y1は、−(CH2m(CRCDnC(O)OR1又は−(CH2m-1C(O)O(CRGHp(CH2oC(O)OR1である。
【0072】
別の例示的な実施形態において、Y11は、−(CH2m(CRCDnC(O)OR1又は−(CH2mC(O)O(CRGHp(CH2oC(O)OR1である。
【0073】
1つの特に意図された実施形態において、Y1は、−(CH2mC(O)OR1又は−(CH2m-1C(O)O(CH2oC(O)OR1である。
【0074】
別の特に意図された実施形態において、Y11は、−(CH2mC(O)OR1又は−(CH2mC(O)O(CH2oC(O)OR1である。
【0075】
別の特に意図された実施形態において、Y1又はY11は、−(CH2mC(O)OR1である。
【0076】
1つの例示的な実施形態において、Y1は、−(CRABm(CRCDnC(O)OR1、−(CRABm(CRCDnOC(O)R1、−(CRABm-1(CRCDnC(O)O(CRGHp(CREFoC(O)OR1、又は−(CRABm-1(CRCDnC(O)O(CRGHp(CREFoOR3である。
【0077】
1つの例示的な実施形態において、Y11は、−(CRABm(CRCDnC(O)OR1、−(CRABm(CRCDnOC(O)R1、−(CRABm(CRCDnC(O)OH、−(CRABm(CRCDnC(O)O(CRGHp(CREFoC(O)OR1、又は−(CRABm(CRCDnC(O)O(CRGHp(CREFoOR3である。
【0078】
別の例示的な実施形態において、Y1は、−(CRABm(CRCDnC(O)OR1又は−(CRABm-1(CRCDnC(O)O(CRGHp(CREFoC(O)OR1であり;並びにX1及びX2は、各々、独立して、利用可能な2〜5位のいずれかで、水素、R2、ハロ、C1-6ハロアルキル、C1-6ハロアルコキシ、SO211、OR11、又はC(O)R11である。
【0079】
別の例示的な実施形態において、Y11は、−(CRABm(CRCDnC(O)OR1又は−(CRABm(CRCDnC(O)O(CRGHp(CREFoC(O)OR1であり;並びにX1及びX2は、各々、独立して、利用可能な2〜5位のいずれかで、水素、R2、ハロ、C1-6ハロアルキル、C1-6ハロアルコキシ、SO211、OR11、又はC(O)R11である。
【0080】
特に意図された実施形態において、Y1又はY11は、−(CRABm(CRCDnC(O)OR1であり;並びにX1及びX2は、各々、独立して、利用可能な2〜5位のいずれかで、水素、R2、ハロ、C1-6ハロアルキル、C1-6ハロアルコキシ、SO211、又はOR11である。
【0081】
別の特に意図された実施形態において、Y1又はY11は、−(CRABm(CRCDnC(O)OR1であり;X1及びX2は、各々、独立して、利用可能な2〜5位のいずれかで、水素、R2、ハロ、C1-6ハロアルキル、C1-6ハロアルコキシ、SO211、又はOR11であり;並びにY2は、水素又はC1-6アルキルである。
【0082】
別の特に意図された実施形態において、Y1又はY11は、−(CRABm(CRCDnC(O)OR1であり;X1及びX2は、各々、独立して、利用可能な2〜5位のいずれかで、水素、R2、ハロ、C1-6ハロアルキル、C1-6ハロアルコキシ、SO211、又はOR11であり;並びにY2は、水素又はメチルである。
【0083】
別の特に意図された実施形態において、Y1又はY11は、−(CRABm(CRCDnC(O)OR1であり;X1及びX2は、各々、独立して、利用可能な2〜5位のいずれかで、水素、R2、ハロ、C1-6ハロアルキル、C1-6ハロアルコキシ、SO211、又はOR11であり;並びにY2は、水素である。
【0084】
別の特に意図された実施形態において、Y1又はY11は、−(CRABm(CRCDnC(O)OR1であり;X1及びX2は、各々、独立して、利用可能な2〜5位のいずれかで、水素、R2、ハロ、C1-6ハロアルキル、C1-6ハロアルコキシ、SO211、又はOR11であり;RA及びRBは、mの各々の場合において、水素であり;並びにY2は、水素又はC1-6アルキルである。
【0085】
別の特に意図された実施形態において、Y1又はY11は、−(CRABm(CRCDnC(O)OR1であり;X1及びX2は、各々、独立して、利用可能な2〜5位のいずれかで、水素、R2、ハロ、C1-6ハロアルキル、C1-6ハロアルコキシ、SO211、又はOR11であり;RA及びRBは、mの各々の場合において、水素であり;並びにY2は、水素又はメチルである。
【0086】
別の特に意図された実施形態において、Y1又はY11は、−(CRABm(CRCDnC(O)OR1であり;X1及びX2は、各々、独立して、利用可能な2〜5位のいずれかで、水素、R2、ハロ、C1-6ハロアルキル、C1-6ハロアルコキシ、SO211、又はOR11であり;RA及びRBは、mの各々の場合において、水素であり;並びにY2は、水素である。
【0087】
別の特に意図された実施形態において、Y1又はY11は、−(CRABm(CRCDnC(O)OR1であり;X1は、2−クロロであり;X2は、利用可能な3〜5位のいずれかで、水素、R2、ハロ、C1-6ハロアルキル、C1-6ハロアルコキシ、SO211、又はOR11であり;RA及びRBは、mの各々の場合において、水素であり;並びにY2は、水素又はC1-6アルキルである。
【0088】
別の特に意図された実施形態において、Y1又はY11は、−(CRABm(CRCDnC(O)OR1であり;X1は、2−クロロであり;X2は、利用可能な3〜5位のいずれかで、水素、R2、ハロ、C1-6ハロアルキル、C1-6ハロアルコキシ、SO211、又はOR11であり;RA及びRBは、mの各々の場合において、水素であり;並びにY2は、水素又はメチルである。
【0089】
別の特に意図された実施形態において、Y1又はY11は、−(CRABm(CRCDnC(O)OR1であり;X1は、2−クロロであり;X2は、利用可能な3〜5位のいずれかで、水素、R2、ハロ、C1-6ハロアルキル、C1-6ハロアルコキシ、SO211、又はOR11であり;RA及びRBは、mの各々の場合において、水素であり;並びにY2は、水素である。
【0090】
一実施形態において、式(I)で表される化合物は、
3−((1−(2−クロロフェニル)−2−オキソシクロヘキシル)アミノ)プロピルアセテート、
エチル 3−((1−(2−クロロフェニル)−2−オキソシクロヘキシル)アミノ)プロパノエート、
イソ−プロピル 3−((1−(2−クロロフェニル)−2−オキソシクロヘキシル)アミノ)プロパノエート、
n−プロピル 3−((1−(2−クロロフェニル)−2−オキソシクロヘキシル)アミノ)プロパノエート、
エチル 4−((1−(2−クロロフェニル)−2−オキソシクロヘキシル)アミノ)ブタノエート、
イソプロピル 4−((1−(2−クロロフェニル)−2−オキソシクロヘキシル)アミノ)ブタノエート、
n−プロピル 4−((1−(2−クロロフェニル)−2−オキソシクロヘキシル)アミノ)ブタノエート、
メチル −((1−(2−クロロフェニル)−2−オキソシクロヘキシル)アミノ)ペンタノエート、
エチル 5−((1−(2−クロロフェニル)−2−オキソシクロヘキシル)アミノ)ペンタノエート、 イソプロピル 5−((1−(2−クロロフェニル)−2−オキソシクロヘキシル)アミノ)ペンタノエート、
n−プロピル 5−((1−(2−クロロフェニル)−2−オキソシクロヘキシル)アミノ)ペンタノエート、
エチル 3−((1−(2−クロロフェニル)−2−オキソシクロヘキシル)(メチル)アミノ)プロパノエート、
エチル 4−((1−(2−クロロフェニル)−2−オキソシクロヘキシル)(メチル)アミノ)ブタノエート、若しくは
メチル 5−((1−(2−クロロフェニル)−2−オキソシクロヘキシル)(メチル)アミノ)ペンタノエート、又はその医薬として許容される塩若しくは溶媒和物である。
【0091】
一実施形態において、式(I)で表される化合物は、
3−((1−(2−クロロフェニル)−2−オキソシクロヘキシル)アミノ)プロピルアセテート、
エチル 3−((1−(2−クロロフェニル)−2−オキソシクロヘキシル)アミノ)プロパノエート、
イソ−プロピル 3−((1−(2−クロロフェニル)−2−オキソシクロヘキシル)アミノ)プロパノエート、
n−プロピル 3−((1−(2−クロロフェニル)−2−オキソシクロヘキシル)アミノ)プロパノエート、
エチル 4−((1−(2−クロロフェニル)−2−オキソシクロヘキシル)アミノ)ブタノエート、
イソプロピル 4−((1−(2−クロロフェニル)−2−オキソシクロヘキシル)アミノ)ブタノエート、
n−プロピル 4−((1−(2−クロロフェニル)−2−オキソシクロヘキシル)アミノ)ブタノエート、
メチル −((1−(2−クロロフェニル)−2−オキソシクロヘキシル)アミノ)ペンタノエート、
エチル 5−((1−(2−クロロフェニル)−2−オキソシクロヘキシル)アミノ)ペンタノエート、
イソプロピル 5−((1−(2−クロロフェニル)−2−オキソシクロヘキシル)アミノ)ペンタノエート、若しくは
n−プロピル 5−((1−(2−クロロフェニル)−2−オキソシクロヘキシル)アミノ)ペンタノエート、又はその医薬として許容される塩若しくは溶媒和物である。
【0092】
別の実施形態において、化合物は、
エチル 3−((1−(2−クロロフェニル)−2−オキソシクロヘキシル)アミノ)プロパノエート、
イソ−プロピル 3−((1−(2−クロロフェニル)−2−オキソシクロヘキシル)アミノ)プロパノエート、
n−プロピル 3−((1−(2−クロロフェニル)−2−オキソシクロヘキシル)アミノ)プロパノエート、
エチル 4−((1−(2−クロロフェニル)−2−オキソシクロヘキシル)アミノ)ブタノエート、
イソプロピル 4−((1−(2−クロロフェニル)−2−オキソシクロヘキシル)アミノ)ブタノエート、
n−プロピル 4−((1−(2−クロロフェニル)−2−オキソシクロヘキシル)アミノ)ブタノエート、
メチル −((1−(2−クロロフェニル)−2−オキソシクロヘキシル)アミノ)ペンタノエート、
エチル 5−((1−(2−クロロフェニル)−2−オキソシクロヘキシル)アミノ)ペンタノエート、
イソプロピル 5−((1−(2−クロロフェニル)−2−オキソシクロヘキシル)アミノ)ペンタノエート、
n−プロピル 5−((1−(2−クロロフェニル)−2−オキソシクロヘキシル)アミノ)ペンタノエート、
エチル 3−((1−(2−クロロフェニル)−2−オキソシクロヘキシル)(メチル)アミノ)プロパノエート、
エチル 4−((1−(2−クロロフェニル)−2−オキソシクロヘキシル)(メチル)アミノ)ブタノエート、若しくは
メチル 5−((1−(2−クロロフェニル)−2−オキソシクロヘキシル)(メチル)アミノ)ペンタノエート、又はその医薬として許容される塩若しくは溶媒和物である。
【0093】
別の実施形態において、化合物は、
エチル 3−((1−(2−クロロフェニル)−2−オキソシクロヘキシル)アミノ)プロパノエート、
イソ−プロピル 3−((1−(2−クロロフェニル)−2−オキソシクロヘキシル)アミノ)プロパノエート、
n−プロピル 3−((1−(2−クロロフェニル)−2−オキソシクロヘキシル)アミノ)プロパノエート、
エチル 4−((1−(2−クロロフェニル)−2−オキソシクロヘキシル)アミノ)ブタノエート、
イソプロピル 4−((1−(2−クロロフェニル)−2−オキソシクロヘキシル)アミノ)ブタノエート、
n−プロピル 4−((1−(2−クロロフェニル)−2−オキソシクロヘキシル)アミノ)ブタノエート、
メチル −((1−(2−クロロフェニル)−2−オキソシクロヘキシル)アミノ)ペンタノエート、
エチル 5−((1−(2−クロロフェニル)−2−オキソシクロヘキシル)アミノ)ペンタノエート、
イソプロピル 5−((1−(2−クロロフェニル)−2−オキソシクロヘキシル)アミノ)ペンタノエート、若しくは
n−プロピル 5−((1−(2−クロロフェニル)−2−オキソシクロヘキシル)アミノ)ペンタノエート、又はその医薬として許容される塩若しくは溶媒和物である。
【0094】
一実施形態において、化合物におけるシクロヘキシル環の2位の立体化学的配置は(S)である。
【0095】
いくつかの実施形態において、化合物は、単一の立体異性体の95%以上を含む。特定の実施形態において、化合物は、立体異性的に純粋である。
【0096】
一実施形態において、化合物は、医薬として許容される塩である。一実施形態において、塩は塩酸塩である。
【0097】
一実施形態において、式(II)で表される化合物は、第一の態様又は上記の実施形態のいずれかにおいて定義される式(I)で表される化合物である。
【0098】
不斉中心は、式(I)及び(II)で表される化合物に存在してもよい。不斉中心は、キラル炭素原子で3次元空間内の置換基の配置に依存して、(R)又は(S)として指定することができる。ジアステレオマー、鏡像異性体、及びエピマー形態、並びにd−異性体及びl−異性体、及びその混合物、例えば、鏡像異性的に富み、ジアステレオマー的に富んだ、立体化学的異性体の混合物、を含む化合物のすべての立体異性体形態が本明細書に含まれる。
【0099】
個々の鏡像異性体は、市販の光学純度の出発材料から合成的に調製され得て、又は鏡像異性体混合物を調製し、個々の鏡像異性体に混合物を分割することによって調製され得る。分割方法には、鏡像異性体混合物をジアステレオマーの混合物に変化し、例えば、再結晶又はクロマトグラフィー、及び当該技術分野において知られている任意の他の適切な方法によるジアステレオマーの分離が含まれる。定義された立体化学の出発物質は、市販のものであり又は作製されてもよく、必要に応じて、当該技術分野において周知の技術によって分割されてもよい。
【0100】
また、式(I)及び(II)で表される化合物は、立体配座又は幾何異性体として存在してもよく、cis、trans、syn、anti、entgegen(E)、及びzusammen(Z)異性体であってもよい。すべてのこのような異性体及び任意のそれらの混合物は本明細書に含まれる。
【0101】
化合物の任意の互変異性体又はそれらの混合物も含まれる。当業者によって承認されるように、多種多様な官能基及び他の構造は互変異性を示すことが可能である。例としては、限定されないが、ケト/エノール、イミン/エナミン、及びチオケトン/エンチオールが挙げられる。
【0102】
式(I)及び(II)で表される化合物は、同位体置換体(isotopologue)及びアイソトポマーとして存在してもよく、ここで、該化合物中の1以上の原子は、異なる同位体で置換されている。適切な同位体としては、例えば、1H、2H(D)、3H(T)、12C、13C、14C、16O、及び18Oが含まれる。本明細書に記載の化合物中にこのような同位体を組み込むための手法は、当業者に明らかである。化合物の同位体置換体及びアイソトポマーは、このようにして、本明細書に含まれる。
【0103】
また、化合物の医薬として許容される塩及び溶媒和物、例えば水和物も含まれる。このような塩には、酸付加塩、塩基付加塩、及び塩基性窒素含有基の四級塩が含まれる。酸付加塩は、無機酸又は有機酸と遊離塩基の形態で化合物を反応させることによって調製することができる。無機酸の例としては、限定されないが、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硝酸、炭酸、硫酸、及びリン酸が挙げられる。有機酸の例としては、限定されないが、ラウリン酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、ギ酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、マレイン酸、フマル酸、ピルビン酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、ステアリン酸、サリチル酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、イソエソニック(isoethonic)酸、スルファニル酸、アジピン酸、酪酸、シュウ酸、及びピバル酸が挙げられる。塩基付加塩は、無機塩基又は有機塩基と、遊離酸の形態で化合物を反応させることによって調製することができる。無機塩基付加塩の例としては、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、及び他の生理学的に許容される金属塩、例えば、アルミニウム塩、カルシウム塩、リチウム塩、マグネシウム塩、カリウム塩、ナトリウム塩、又は亜鉛塩が、挙げられる。有機塩基付加塩の例としては、アミン塩、例えば、トリメチルアミン塩、ジエチルアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、及びエチレンジアミンが挙げられる。化合物中の塩基性窒素含有基の四級塩は、ハロゲン化アルキル、例えば、塩化、臭化及びヨウ化メチル、エチル、プロピル及びブチル、並びに硫酸ジアルキル、例えば、硫酸ジメチル、硫酸ジエチル、硫酸ジブチル及び硫酸ジアミルと、化合物を反応させることによって調製されてもよい。
【0104】
本明細書中の式において使用される一般的な化学用語は、それらの通常の意味を有する。
【0105】
用語「脂肪族」には、飽和及び不飽和の、非芳香族、直鎖、分岐鎖、非環式及び環式炭化水素を含むことが意図される。当業者は、脂肪族基は、例えば、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、及びシクロアルケニル基を含むことを承認する。
【0106】
用語「アルキル」には、直鎖及び分枝鎖アルキル基を含むことが意図される。いくつかの実施形態において、アルキル基は、1〜12個、1〜10個、1〜8個、1〜6個、又は1〜4個の炭素原子を有する。直鎖アルキル基の例としては、限定されないが、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、及びn−オクチルが挙げられる。分岐鎖アルキル基の例としては、限定されないが、イソプロピル、イソ−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ネオペンチル、イソペンチル、及び2,2−ジメチルプロピルが挙げられる。
【0107】
用語「アルケニル」には、2つの炭素原子間に少なくとも1つの二重結合を有する直鎖及び分岐鎖アルキル基を含むことが意図される。いくつかの実施形態において、アルケニル基は、2〜12個、2〜10個、2〜8個、2〜6個、又は2〜4個の炭素原子を有する。アルケニル基の例としては、限定されないが、ビニル、アリル、−CH=CH(CH3)、−CH=C(CH32、−C(CH3)=CH2、及び−C(CH3)=CH(CH3)が挙げられる。
【0108】
用語「アルキニル」には、2つの炭素原子間に少なくとも1つの三重結合を有する直鎖及び分岐鎖アルキル基を含むことが意図される。いくつかの実施形態において、アルキニル基は、2〜12個、2〜10個、2〜8個、2〜6個、又は2〜4個の炭素原子を有する。いくつかの実施形態において、アルキニル基は、1つ、2つ、又は3つの炭素−炭素三重結合を有する。例としては、限定されないが、−C≡CH、−C≡CH3、−CH2C≡CH3、及び−C≡CH2CH(CH2CH32が挙げられる。
【0109】
用語「シクロアルキル」は、単環式、二環式又は三環式アルキル基を含むことが意図される。いくつかの実施形態において、シクロアルキル基は、環(単数又は複数)において、3〜12個、3〜10個、3〜8個、3〜6個、3〜5個の炭素原子を有する。いくつかの実施形態において、シクロアルキル基は、5又は6個の環炭素原子を有する。単環式シクロアルキル基の例としては、限定されないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、及びシクロオクチルが挙げられる。いくつかの実施形態において、シクロアルキル基は、3〜8個、3〜7個、3〜6個、4〜6個、3〜5個、又は4〜5個の環炭素原子を有する。二環式及び三環式環系は、架橋され、スピロの、及び縮合されたシクロアルキル環系を含む。二環式及び三環式シクロアルキル環系の例としては、限定されないが、ビシクロ[2.1.1]ヘキサニル、ビシクロ[2.2.1]ヘプタニル、アダマンチル、及びデカリニルが挙げられる。
【0110】
用語「シクロアルケニル」は、2つの炭素原子間に少なくとも1つの二重結合を有する非芳香族シクロアルキル基を含むことが意図される。いくつかの実施形態において、シクロアルケニル基は、1つ、2つ又は3つの二重結合を有する。いくつかの実施形態において、シクロアルケニル基は、環(単数又は複数)において、4〜14個、5〜14個、5〜10個、5〜8個、又は5〜6個の炭素原子を有する。いくつかの実施形態において、シクロアルケニル基は、5個、6個、7個、又は8個の環炭素原子を有する。シクロアルケニル基の例としては、シクロヘキセニル、シクロペンテニル、シクロヘキサジエニル、ブタジエニル、ペンタジエニル、及びヘキサジエニルが挙げられる。
【0111】
用語「アリール」は、任意の環ヘテロ原子を含まない環状芳香族炭化水素基を含むことが意図される。アリール基は、単環式、二環式及び三環式環系を含む。アリール基の例としては、限定されないが、フェニル、アズレニル、ヘプタレニル、ビフェニル、フルオレニル、フェナントレニル、アントラセニル、インデニル、インダニル、ペンタレニル、及びナフチルが挙げられる。いくつかの実施形態において、アリール基は、環(単数又は複数)において、6〜14個、6〜12個、又は6〜10個の炭素原子を有する。いくつかの実施形態において、アリール基は、フェニル又はナフチルである。アリール基は、芳香族−脂肪族縮合環系を含む。例としては、限定されないが、インダニル及びテトラヒドロナフチルが含まれる。
【0112】
用語「ヘテロシクリル」は、3つ以上の環原子を含む非芳香族環系を含むことが意図され、そのうち1つ以上はヘテロ原子である。いくつかの実施形態において、ヘテロ原子は、窒素、酸素、又は硫黄である。いくつかの実施形態において、ヘテロシクリル基は、1つ、2つ、3つ、又は4つのヘテロ原子を含む。いくつかの実施形態において、ヘテロシクリル基は、3〜16個、3〜14個、3〜12個、3〜10個、3〜8個、又は3〜6個の環原子を有する単環式、二環式及び三環式環を含む。ヘテロシクリル基には、部分的に、不飽和及び飽和環系、例えば、イミダゾリニル及びイミダゾリジニルが含まれる。ヘテロシクリル基には、縮合され、架橋された、ヘテロ原子を含む環系、例えば、キヌクリジルが含まれる。ヘテロシクリル基としては、限定されないが、アジリジニル、アゼチジニル、アゼパニル、ジアゼパニル、1,3−ジオキサニル、1,3−ジオキソラニル、イソオキサゾリジニル、モルホリニル、ピペラジニル、ピペリジニル、ピラニル、ピラゾリジニル、ピロリニル、ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチエニル、チアジアゾリジニル、及びトリチアニルが挙げられる。
【0113】
用語「ヘテロアリール」は、5つ以上の環原子を含む芳香族環系を含むことが意図され、そのうち1つ以上はヘテロ原子である。いくつかの実施形態において、ヘテロ原子は、窒素、酸素、又は硫黄である。いくつかの実施形態において、ヘテロアリール基は、5〜16個、5〜14個、5〜12個、5〜10個、5〜8個、又は5〜6個の環原子を有する単環式、二環式及び三環式環を含む。ヘテロアリール基としては、限定されないが、ピロリル、ピラゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、ピリジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、チオフェニル、ベンゾチオフェニル、フラニル、ベンゾフラニル、インドリル、アザインドリル(ピロロピリジニル)、インダゾリル、ベンゾイミダゾリル、ピラゾロピリジニル、トリアゾロピリジニル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、イミダゾピリジニル、イソキサゾロピリジニルキサンチニル、グアニニル、キノリニル、イソキノリニル、テトラヒドロキノリニル、キノキサリニル、及びキナゾリニルが挙げられる。ヘテロアリール基は、環の全てが芳香族である縮合された環系、例えば、インドリルを含み、唯一の環が芳香族である縮合された環系、例えば、2,3−ジヒドロインドリルを含む。
【0114】
用語「ハロ」又は「ハロゲン」は、F、Cl、Br、及びIを含むことが意図される。
【0115】
本明細書で使用するとき、用語「置換された」は、指示された基における1つ以上の水素原子が、1つ以上の、独立して選択される適切な置換基で置換されていることを意味することが意図されるが、ただし、置換基(単数又は複数)によって結合される各原子の通常の原子価は超えておらず、置換が安定な化合物をもたらすことを条件とする。
【0116】
本明細書で使用するとき、用語「及び/又は」は、「及び」又は「又は」又はそれらの両方を意味する。
【0117】
用語「含む(comprising)」は、本明細書において使用するとき、「少なくとも部分的に〜からなる」を意味する。用語「含む(comprising)」を含む、本明細書中の各記述を解釈するとき、該用語の前置きとなる特徴以外の特徴がまた存在してもよい。関連用語、例えば、「含む(comprise)」及び「含む(comprises)」は、同様に解釈されるべきである。
【0118】
本明細書において開示された数値の範囲(例えば、1〜10)への言及は、その範囲内の全ての有理数(例えば、1、1.1、2、3、3.9、4、5、6、6.5、7、8、9、及び10)、さらにはその範囲内の有理数の任意の範囲(例えば、2〜8、1.5〜5.5、及び3.1〜4.7)への言及を組み込むことが意図され、したがって、本明細書に明示的に開示されている全ての範囲の全ての部分範囲(sub−range)は、それにより明示的に開示されている。これらは、具体的に意図された唯一の例であり、列挙された最低値と最高値の間の数値のあらゆる可能な組み合わせは、同様にして、本出願において明示的に記述されるべきものとして考慮されるべきである。
【0119】
本発明は、上記で幅広く定義されているが、当業者は、本発明は、それに限定されず、また、本発明は、以下の記述が例を提供する実施形態を含むことは当業者に承認される。
【0120】
ここで、本発明は、図面を参照して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0121】
図1図1及び図1Bは、ケタミン及びrac−C2nPr(図1A)及びrac−C4Me(図1B)を用いた場合の麻酔(立ち直り反射の喪失と回復)に関する時間経過を示すグラフである。グレーパネルは、薬物注入の期間(毎分ごとに測定された)を示す。黒丸:試験化合物。黒四角:ケタミン。
図2図2A及び図2Bは、ケタミン及びrac−C2nPr(図2A)及びrac−C4Me(図2B)を用いた場合の鎮痛(足引っ込め反射スコア)に関する時間経過を示すグラフである。グレーパネルは、薬物注入の期間(毎分ごとに測定された)を示す。誤差バーはSEMである。黒丸:試験化合物。黒四角:ケタミン。
図3図3は、ケタミンと本発明の化合物についての有効な効力(LRRに対する投薬量[mg/kg])対器官(RRRに対する時間)のプロット(log10)である。化合物のアルキル鎖長は、記号:白丸=C2;黒丸=C3;黒四角=C4;黒三角=ケタミンによって示される。7=rac−C3OAc、7S=(S)−C3OAC、8=rac−C2Et、8S=(S)−C2Et、9=rac−C2iPr、9S=(S)−C2iPr、9R=(R)−C2iPr、10=rac−C2nPr、11=rac−C3Et、12=rac−C3iPr、13=rac−C3nPr、14=rac−C4Me、14S=(S)−C4Me、15=rac−C4Et、16=rac−C4iPr、及び17=rac−C4nPr。
【発明を実施するための形態】
【0122】
本発明は、概して、ケタミン誘導体、麻酔剤、鎮痛剤、又は鎮静剤としてのそれらの使用に関する。
【0123】
本出願人は、ケタミンと類似した麻酔剤及び/又は鎮痛剤を提供し得る、上記で定義される式(I)で表される新規なケタミン誘導体であって、少なくともいくつかの実施形態において、該誘導体の投薬を停止した後の回復期間を短縮するという利点を有する誘導体を想到した。
【0124】
また、本出願人は、式(II)によって包含される特定の既知のケタミン誘導体が、驚くべきことに、麻酔剤として使用可能であり、式(I)で表される化合物と類似した有利な特性を有し得ることを見出した。
【0125】
式(I)又は(II)で表される化合物は、当該技術分野において知られている合成法又はそれに類似した方法を用いて調製され得る。
【0126】
一実施形態において、本方法は、式(III):
【0127】
【化4】
【0128】
(式中、Y2、X1、及びX2は、上記で定義されている通りである)
で表される化合物と、式Y1−Z又はY11−Z(式中、Zは適切な脱離基であり、Y1及びY11は上記で定義されている通りである)で表されるアルキル化剤を反応させて、それぞれ、式(I)又は(II)で表される化合物を提供する。
【0129】
一実施形態において、Zはハロである。
【0130】
いくつかの実施形態において、反応は、塩基の存在下で行われる。特定の実施形態において、反応は、無機塩基、例えば、炭酸塩ベースの存在下で行われる。
【0131】
いくつかの実施形態において、反応は、適切な溶媒、例えば、非プロトン性溶媒の存在下で行われる。
【0132】
反応は、任意の適切な温度で行うことができる。いくつかの実施形態では、反応は、還流時に適切な溶媒の存在下で行われる。他の実施形態において、反応は周囲温度で行われる。
【0133】
いくつかの実施形態において、式(III):
【0134】
【化5】
【0135】
(式中、X1及びX2は、上記で定義される通りである)
で表される化合物は、適切な液体反応媒体中で式(IV)で表される化合物を加熱し、式(III)(式中、Y2は水素である)で表される化合物を提供することを含む方法によって調製される。
【0136】
いくつかの実施形態において、本方法は、適切な溶媒中の式(IV)で表される化合物を加熱することを含む。特定の実施形態において、化合物は、75、100、125、150、175、若しくは200℃又はそれ以上の温度に加熱される。
【0137】
いくつかの実施形態において、式(IV)で表される化合物は、式(V):
【0138】
【化6】
【0139】
(式中、X1及びX2は、上記で定義される通りであり、Z1は、ハロである)
で表される化合物をNH3/NH4OHと反応させることを含む方法によって調製される。
【0140】
いくつかの実施形態において、式(V)で表される化合物は、式(VI):
【0141】
【化7】
【0142】
(式中、X1及びX2は、上記の通りである)
で表される化合物をハロゲン化剤と反応させることを含む方法によって調製される。
【0143】
一実施形態において、ハロゲン化剤は、臭化銅(II)である。
【0144】
いくつかの実施形態において、反応は、適切な溶媒において行われる。
【0145】
以下のスキーム1〜4は、式(I)及び(II)で表される化合物特定の化合物の製造を例証する。式中、X1は、クロロであり、X2は、(2−o−クロロフェニル)−2−アミノ−シクロヘキサノンからの水素である(ノルケタミン)。
【0146】
(S)−ノルケタミン(S−24)は、報告されている手法[Hong & Davisson.J.Pharm.Sci.,1982,71,912]に従って合成される。
【0147】
市販の(2−クロロフェニル)(シクロペンチル)メタノン(31)は、EtOAc中のCuBr2とともに還流することによって臭素化される。臭素化された中間体(22)は、NH3ガスで飽和されたNH4OH溶液中で撹拌することによって、対応するイミノシクロペンタノール(23)に変換される。200℃でのDowtherm Aのイミノシクロペンタノールの塩酸塩の熱転位により、ラセミ体ノルケタミン(RAC−24)を得る。
【0148】
【化8】
【0149】
(i)CuBr2、EtOAc、還流、3時間;(ii)(a)NH3/NH4OH、25℃、5日間、(b)HCl(g)、イソプロパノール/ジエチルエーテル、0℃、3時間;(iii)Dowtherm A、200℃、12分間。
【0150】
ノルケタミンの(S)−鏡像異性体(S−24)は、L−(R,R)−(+)−酒石酸を用いた分割によって得られる。ノルケタミンの(R)−鏡像異性体(R−24)は、D−(S,S)−(−)−酒石酸から類似の方法で得ることができる。
【0151】
式(I)又は(II)で表される化合物は、Y1に対応するハロゲン化アルキルを用いて(S)−ノルケタミンを処理することによって合成される。ノルケタミンのエナンチオピュアな(R)−ノルケタミン、及びノルケタミンの非ラセミ鏡像異性体混合物がまた使用されてもよい。
【0152】
化合物は、HClガスを用いて塩酸塩に変換されてもよい。
【0153】
【化9】
【0154】
(iv)3−ブロモプロピルアセテート、KI、K2CO3、CH3CN、還流、24時間;(v)(+)酒石酸、アセトン、2日間、3×再結晶;(vi)NaOH、CH3CN、25℃、2時間。
【0155】
【化10】
【0156】
1に対応するハロゲン化アルキルは、市販されているか、又は当該技術分野において知られている方法若しくはそれに類似した方法によって調製されてもよい。
【0157】
2がR2である化合物は、R2に対応するアルキル化剤を用いた処理によって、式(I)又は(II)(式中、Y2は水素である)で表される化合物から調製されてもよい。このような化合物はまた、R2に対応するアルデヒド(例えば、R2がメチルである場合はホルムアルデヒド)又はケトンを用いた還元アミノ化によって調製されてもよい。
【0158】
【化11】
【0159】
(i)NaCNBH3、HCHO、AcOH、MeOH、25℃、24時間。
【0160】
式(I)及び(II)(式中、フェニル環が異なるX1及びX2で置換されている)で表される化合物は、例えば、適切に置換された(フェニル)(シクロペンチル)メタノンを用いて調製されてもよい。
【0161】
式(II)で表される化合物及びそれらを製造する方法は、WO2004/045601に報告されている。
【0162】
化合物の調製は、様々な化学基の保護及び脱保護を伴う場合がある。保護と脱保護の必要性、及び適当な保護基の選択は、当業者によって容易に決定することができる。保護と脱保護のための保護基及び方法は、当該技術分野において周知である[例えば、T.W.Greene and P.G.M.Wuts,Protective Groups in Organic Synthesis,3rd Ed.,Wiley & Sons,Inc.,New York(1999)]。
【0163】
式(I)及び(II)で表される化合物は、鎮痛活性、麻酔活性、及び/又は鎮静活性を有し、したがって、疼痛の治療及び/又は対象の麻酔及び/又は鎮静に有用である。
【0164】
用語「治療」及び関連する用語、例えば、「治療すること」及び「治療する」とは、本明細書で使用するとき、疼痛の治療との関連で、概して、いくつかの所望の治療効果が達成される、ヒト又は非ヒト対象の治療に関する。治療効果は、例えば、疼痛の抑制、減少、改善、停止、又は予防してもよい。
【0165】
鎮痛は、疼痛感覚の緩和又は排除である。本明細書で使用するとき、用語「疼痛」は、広範囲な臨床症状を包含し、広い意味を有する。疼痛知覚は非常に主観的であり、異なる人々が、様々な方法で、大幅に異なる強度で痛みを経験する。疼痛研究のための国際協会は、実際の又は潜在的な組織損傷に関連したか、又はこのような損傷の観点で説明される、不快感及び感情的な経験として疼痛を定義する。疼痛の非制限的な種類及び原因には、神経痛、筋肉痛、痛覚過敏、痛覚、神経炎、及び神経障害が挙げられる。疼痛はまた、火傷又は外科手術などの物理的外傷によって引き起こされ得る。一実施形態において、疼痛は、オピオイドによる治療に耐性である疼痛である。
【0166】
用語「麻酔する」及び関連した用語、例えば、「麻酔すること」とは、本明細書で使用するとき、疼痛刺激に対する生体の応答をブロックする、例えば、外科的切開に対する応答を無くす、1以上の薬物の投与によって人工的に生じる生命機能の喪失なしに、感覚及び通常は知覚の喪失を誘導することを意味する。
【0167】
用語「鎮静」及び関連した用語、例えば、「鎮静している」とは、本明細書で使用するとき、患者又は対象が、気道確保及び通常の呼吸パターンを独立して、連続的に維持する能力、及び物理的刺激と言葉により指示に対して適切かつ合理的に応答する能力を保持する意識低下の状態を誘導することを意味する。鎮静は、例えば、ラムゼイ(Ramsay)鎮静スケールを用いて評価することができる。
【0168】
本発明の方法は、式(I)又は(II)で表される化合物を対象に投与することを含む。
【0169】
対象は、ヒト又は非ヒト動物であってもよい。非ヒト動物としては、例えば、生産動物、例えばウシ、ヒツジ、ブタ、シカ、及びヤギ;伴侶動物、例えばイヌ、ネコ、及びウマ;動物園の動物、例えばシマウマ、ゾウ、キリン、及び大きなネコ;研究動物、例えば、マウス、ラット、ウサギ、及びモルモット;毛皮を有する動物、例えばミンク;鳥類、例えばダチョウ、エミュー、メンドリ、ガチョウ、シチメンチョウ、及びアヒル;淡水魚及び海水魚、例えば、マス、サケ、コイ、及びウナギ;並びに爬虫類、例えばトカゲ及びヘビが挙げられる。一実施形態において、対象はヒトである。
【0170】
方法は、対象に治療的有効量の化合物を投与することを含む。「治療的有効量の」化合物は、単独で又は他の薬物と組み合わせて、所望の治療効果を実証するのに有効な量である。
【0171】
対象に投与されるべき化合物の治療的に有効な量は、例えば、化合物が投与される目的、投与様式、いずれかの同時投与される化合物の性質及び投薬量、並びに対象の特徴、例えば、一般的な健康状態、他の疾患、年齢、性別、遺伝子型、体重及び薬物耐性に依存する。当業者は、これらの任意の他の関連した要因を考慮して、適切な投薬量を決定することができる。
【0172】
一実施形態において、投与される投薬量は、体重1kgあたり約0.01mg(0.01mg/kg)〜約100mg/kgである。
【0173】
化合物は、任意の適切な経路によって投与することができる。経路は、化合物が投与される治療目的に依存してもよい。
【0174】
1つの例示的な実施形態において、化合物は、静脈内に投与される。
【0175】
1つの特に意図された実施形態において、化合物は、静脈内ボーラスによって投与される。別の特に意図された実施形態において、化合物は、持続注入によって静脈内に投与される。
【0176】
特定の実施形態において、化合物は、静脈内ボーラスとして、及び静脈内注入によって投与される。一つの態様において、化合物は、静脈内ボーラスとして、連続的静脈内注入によって投与される。
【0177】
いくつかの実施形態において、化合物は、体重1kgあたり約0.01mg(0.01mg/kg)〜約100mg/kgの投薬量で静脈内ボーラスとして投与される。
【0178】
いくつかの実施形態において、化合物は、0.1mg/kg/分〜約10mg/kg/分の投薬量で連続的静脈内注入によって投与される。
【0179】
1つの特に意図された実施形態において、化合物は、体重1kgあたり約0.01mg(0.01mg/kg)〜約100mg/kgの投薬量で静脈内ボーラスとして、及び約0.1mg/kg/分〜約10mg/kg/分の投薬量で連続静脈内注入として、麻酔のために投与される。より少ない投薬量は、鎮静及び鎮痛のために使用される。
【0180】
式(I)及び(II)で表される化合物は、概して、特定の経路による投与に適した製剤又は医薬組成物において調製される。投与経路の例としては、経皮、経粘膜(例えば、経鼻、経頬、舌下、膣、及び直腸)、経口、肺(例えば、吸入)、及び非経口(例えば、静脈内、動脈内、腹腔内、皮内、筋肉内、脳室内、又は皮下)が挙げられる。
【0181】
製剤は、概して、医薬として許容される希釈剤、賦形剤、又は担体を含む。任意の適当な希釈剤、賦形剤、又は担体は、無毒性であり、組成物の他の成分と適合性であることを条件に使用することができる。使用される希釈剤、賦形剤、又は担体は、投与の意図された経路に依存する。
【0182】
製剤又は医薬組成物は、当該技術分野において知られている任意の方法、例えば、従来の混合、溶解、造粒、研和、乳化、カプセル化、封入、又は圧搾することによって製造することができる。医薬組成物を調製するための多数の希釈剤、賦形剤、担体及び方法は、当該技術分野において知られている[例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences,Mack Publishing Co.,(2000)参照]。
【0183】
化合物を投与するための適した製剤としては、例えば、錠剤、カプセル、坐剤、溶液、及び粉末などが挙げられる。
【0184】
医薬として許容される活性な化合物(単数又は複数)の含有量は、典型的には、組成物全体の0.05〜90重量%の範囲である。一実施形態において、含有量は、組成物全体の0.1〜50重量%である。
【0185】
適切な組成物としては、例えば、錠剤、カプセル、坐剤、液体及び粉末などが挙げられる。錠剤は、固体担体又は希釈剤を含んでもよい。液体医薬組成物は、液体担体、例えば、水、石油、動物油若しくは植物油、鉱油又は合成油を含むことができる。液体組成物はまた、生理食塩水、デキストロース又は他の糖質溶液、グリコール、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール若しくはポリエチレングリコールなどを含んでもよい。カプセルは、固体担体、例えばゼラチンを含んでもよい。このような製剤は、当業者に周知である。
【0186】
医薬組成物は、静脈内、皮膚又は皮下注射用に製剤化され得る。活性成分は、概して、発熱物質を含まず、適したpH、等張性及び安定性を有する、非経口的に許容される水溶液の形態である。当業者は、適切な溶液を調製することができる。溶液としては、等張性ビヒクル、例えば、塩化ナトリウム注射液、リンゲル注射液などを含んでもよい。保存剤、安定剤、緩衝剤、酸化防止剤及び/又は他の適切な添加剤は、必要に応じて含まれてもよい。
【0187】
本発明の組成物は、式(I)で表される化合物又はその医薬として許容される塩若しくは溶媒和物、及び医薬として許容される希釈剤、賦形剤、又は担体を含む。組成物は、上記のように製剤化することができる。
【0188】
製剤は、1以上の追加の治療薬、例えば、アルファ−2アドレナリン作動薬、例えば、クロニジン又はデクスメデトミジンを含み、又はそれらと併用して、例えば、連続的に又は同時に、使用され又は投与されてもよい。
【0189】
一実施形態において、組成物は、緩衝剤、安定化剤、又はアジュバントをさらに含む。
【0190】
本発明の使用は、医薬の製造を伴う。医薬はまた、上記される通りに製剤化される。
【実施例】
【0191】
以下の非制限的実施例は、本発明を例証するために提供され、決してその範囲を制限するものではない。
【0192】
本発明の代表的な選択された化合物の構造及び物理化学的特性を表1に示す。
【0193】
親油性(clogP)は、ChemBioDraw v12.02(CambridgeSoft,UK)を用いて計算された。pKaは、ACD/PhysChem Suite v12(ACD/Labs、Toronto、Canada)を用いて計算された。
【0194】
表1.代表的な化合物の詳細
【0195】
【化12】
【0196】
【表1】
【0197】
a逆相HPLCによる純度;bChemBioDraw Ultra v12.02を用いて計算されたbClogP;cACD/PhysChem Suite v12を用いて計算されたpKa。
【0198】
ケタミンは、測定された(Volgyi,G.et al.Anal.Chim.Acta 2007,583,418−428)含水pKaが7.49であり、計算されたclogPが2.22である。これに最も近い合致するものは酢酸塩(rac−C3OAc及び(S)−C3OAc)であった。次に物理化学的特性において最も近いものはC4メチルエステル(rac−C4Me及び(S)−C4Me)であった。エステル全体は、pKa値(4.35〜6.29)と親油性(2.77〜3.92)の範囲を示した。
【0199】
一般的な詳細
すべての試薬及び溶媒は、商業的供給業者から得られ、特に明記しない限り、さらに精製することなく使用された。無水条件を必要とする反応は、窒素雰囲気下で行った。反応は、UVインジケーター付きプレロードシリカゲルF254プレート(Sigma−Aldrich)上の薄層クロマトグラフィー(TLC)によってモニターされた。カラムクロマトグラフィーは、Merck 230−400メッシュのシリカゲルを用いて行われた。1H及び13C NMRスペクトルは、1Hスペクトルについて400MHz及び13Cスペクトルについて100MHzにて、Bruker Avance 400分光計を用いて得られた。スペクトルをCDCl3又は(CD32SOにおいて得た。化学シフトは、内部標準としてテトラメチルシラン(SiMe4)を使用して、100万分の1(δ)のダウンフィールドにおいて報告される。スピン多重度は、s(一重項)、d(二重項)、dd(二重二重項)、br(ブロード)、m(多重項)、及びq(四重項)として与えられる。カップリング定数(J値)はヘルツ(Hz)で測定された。すべてのLC/MSデータは、50Vのコロナ電圧と400℃の供給温度を有する大気圧化学イオン化(APCI)を使用して、Surveror MSQ質量分析計へのメタノール性溶液を直接注入することによって回収された。ダイオードアレイ検出器を備えたAgilent HP1100を用いて、最終生成物を、逆相HPLC(Alltima C185μmカラム、150mm×3.2mm;Alltech Associated,Inc.,Deerfield,IL)によって分析された。移動相は、45mM HCO2NH4中の80%CH3CN/20%H2O(v/v)であり、pHは3.5であり、0.5mL/分であった。純度は、272nmでモニターすることによって決定され、最終製造物について特に明記しない限り95%以上であった。エナンチオマー純度は、キラルHPLC(Chiralcel OJ−Hカラム、0.46cm×45cm)によって分析された。移動相は、0.6mL/分の流速で、85%ヘキサン/15%EtOHであった。純度は、254及び280nmでモニターすることによって決定され、特に断りのない限り95%以上であった。最終製造物の純度は、Campbell Micro analytical Laboratory,University of Otago(Dunedin,New Zealand)において実施された燃焼分析によって評価された。融点は、電熱2300融点装置で決定され、補正されなかった。DCMはジクロロメタンを意味し、DMFはN,N−ジメチルホルムアミドを意味し、EtOAcは酢酸エチルを意味し、EtOHはエタノールを意味する。
【0200】
実施例1
rac−3−((1−(2−クロロフェニル)−2−オキソシクロヘキシル)アミノ)プロピルアセテート塩酸塩(rac−C3OAc)(スキーム2)
(2−クロロフェニル)(シクロペンチル)メタノン[US20080268071(21)(10g、48.0mmol)を酢酸エチル(100mL)に溶解し、続いて、Cu(II)のBr2(27g、120.9mmol)を添加した。溶液を2.5時間還流し、25℃に冷却した。固体を濾過し、濾液を減圧下で蒸発させた。いくらかの固体が減圧下で溶媒の蒸発中に形成し始めた。DCM(100mL)を形成した固定に添加し、溶液を氷浴で0℃に冷却した。10分間放置した後、溶液を濾過し、濾液を減圧下で濃縮し、黄色油状物として(1−ブロモシクロフェニル)(2−クロロフェニル)メタノン(22)(12.3g、89%)を得た。
【0201】
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.70 (dd, J = 7.4, 1.8 Hz, 1H), 7.43 (dd, J = 7.9, 1.3 Hz), 7.37 (td, J = 7.4, 1.8 Hz, 1H), 7.30 (td, J = 7.4, 1.3 Hz, 1H), 2.45−2.27 (m, 4H), 2.09−2.01 (m, 2H), 1.89−1.82 (m, 2H); 13C NMR (101 MHz, CDCl3) δ 199.47, 138.87, 130.83, 130.55, 130.16, 128.33, 126.49, 74.29, 40.42, 23.26. MS m/z 289.3 (M2H+, 24 %) 207.4 (M−Br-, 100 %)。
【0202】
水酸化アンモニウム(200mL)を氷浴で0℃に冷却し、5分間、NH3ガスで飽和した。該溶液を、22(12.74g、44.5mmol)を含むフラスコに添加し、5日間25℃で激しく撹拌した。形成された褐色の塊を溶媒から分離し、ヘキサン(150mL)に再懸濁した。4時間撹拌した後、形成した沈殿物を濾過し、乾燥させて、淡黄色固体として23(8.15g、81%)を得た。これを8mLの2−プロパノールに懸濁し、氷浴中で0℃に冷却した。HClガスを2分間、該溶液を通過させてバブリングし、ジエチルエーテル(16mL)を添加した。0℃で3時間放置し、形成した淡黄色沈殿物を濾過し、真空下で乾燥させた、1−((2−クロロフェニル)(イミノ)メチル)シクロペンタノール塩酸塩(23−塩酸)[Parcell,R.F.& Sanchez,J.P.J.Org.Chem.1981,46,5055](7.21g)を得た。
【0203】
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 14.05 (br, 1H), 12.28 (br, 1H), 7.61 - 7.32 (m, 4H), 2.23 (br, 2H), 1.98 (m, 4H), 1.69 (br, 2H); 13C NMR (101 MHz, CDCl3) δ 195.76, 132.74, 131.42, 130.57, 128.99, 128.85, 126.82, 85.56, 39.47, 38.78, 24.46, 23.85. MS m/z 224.4 (MH+)。
【0204】
200℃に加熱したダウサームA(142mL)に23(18g、69.2mmol)を分けて添加した。加熱を12分間続け、氷浴中で0℃に冷却した。形成した沈殿物と一緒に反応混合物をジエチルエーテル(500mL)に注ぎ、一晩放置した。形成した白色沈殿物を濾過し、ジエチルエーテル(100mL)で洗浄した。沈殿物を水(200mL)に溶解し、2N NaOHで中和した。水層をDCM(3×100mL)で抽出し、Na2SO4上で乾燥し、溶媒を蒸発させた。得られた残渣物をDCM(100%)から10%MeOH/DCMで溶出する短いシリカゲルカラムを通過させて生成し、ラセミ体2−アミノ−2−(2−クロロフェニル)シクロヘキサノン(ノルケタミン)(rac−24)[Parcell,R.F.& Sanchez,J.P.J.Org.Chem.1981,46,5055](9.2g、59%)を得た。
【0205】
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.69 (dd, J = 7.8, 1.7 Hz 1H), 7.39−7.33 (m, 2H), 7.26 (td, J = 7.6, 1.6 Hz, 1H), 2.79−2.72 (m, 1H), 2.63−2.56 (m, 1H), 2.51−2.43 (m, 1H), 2.08−2.0 (m, 1H), 1.88 (br, 1H), 1.81−1.75 (m, 2H), 1.72−1.63 (m, 1H)。
【0206】
rac−24(200mg、0.89mmol)、3−ブロモプロピルアセテート[Demko,Z.P.& Sharpless K.B.Org.Lett.2001,3,4091](194mg、1.07mmol)、KI(45mg、0.27mmol)、K2CO3(371mg、2.7mmol)の溶液をCH3CN(5mL)に溶解した。反応混合物を24時間加熱還流した。反応完了後、反応混合物を室温に冷却し、溶媒を減圧下で蒸発させた。残渣をヘキサン(100%)、EtOAc/ヘキサン(40%)を用いて溶出するシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーによって精製した。溶媒を減圧下で蒸発させ、黄色油状物(173mg、59%)として所望の製造物を得た。黄色油状物をジエチルエーテル(5mL)に溶解し、氷浴中で0℃に冷却した。乾燥HClガスを2分間0℃で溶液を通過させバブリングした。溶媒を減圧下で蒸発させ、黄色固体を得た。黄色固体をEtOAc(1mL)に溶解し、2分間25℃で超音波処理した。形成された白色沈殿物をEtOAc(5mL)で希釈し、濾過し、EtOAcで洗浄し、真空下で乾燥させて、rac−C3OAc.HCl(107mg、33%)、mp180−183℃を得た。
【0207】
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 11.71 (br, 1H), 8.19 (d, J = 7.6 Hz, 1H), 8.09 (br, 1H), 7.58 (m, 1H), 7.46 (d, J = 4.0 Hz, 2H), 4.15 (m, 1H), 4.08 (m, 1H), 3.81 (dm, J = 12.0 Hz, 1H), 3.19 (br, 1H), 2.74 (d, J = 12.0 Hz, 1H), 2.68−2.60 (m, 2H), 2.47 (br, 1H), 2.28 (t, J = 14 Hz, 1H), 2.12 (br, 2H), 2.09 (s, 3H), 1.84 (br, 2H), 1.54 (br, 1H); 13C NMR (101 MHz, CDCl3) δ 206.20, 171.04, 135.14, 132.56, 132.34, 131.79, 129.16, 128.92, 77.49, 62.22, 41.87, 40.63, 40.01, 29.91, 25.84, 21.82, 21.02. MS m/z 324.2 (MH+). MS m/z 324.2 (MH+). 分析、計算値C17H23Cl2NO3: C, 56.67; H, 6.43; N, 3.89; Cl, 19.68. 実測値: C, 56.49; H, 6.61; N, 3.69。
【0208】
実施例2:
(S)−3−((1−(2−クロロフェニル)−2−オキソシクロヘキシル)アミノ)プロピルアセテート塩酸塩[(S)−C3OAc](スキーム2)
ノルケタミンの分割は、以下の公開されている手法[Hong & Davisson.J.Pharm.Sci.,1982,71,912]によって達成された。MeOH(33mL)中のrac−24(13.2g、59.1mmol)の溶液を、MeOH(118mL)中のL−(R,R)−(+)−酒石酸(8.9g、59.1mmol)で処理した。反応混合物を25℃で一晩撹拌し、いずれもの固体不純物を除去するために濾過した。濾液を蒸発させ、得られた白色固体を2−ブタノン(264mL)で洗浄した。白色固体をアセトン(1750mL)に懸濁させ、大部分の固体が溶解するまで加熱還流した。溶液を室温に冷却し、2日間放置した。形成した結晶を濾過し、アセトン中でさらに2回再結晶させ(それぞれ、1750mL及び800mL)、酒石酸塩として、(S)−2−アミノ−2−(2−クロロフェニル)シクロヘキサン、(S)−ノルケタミン[(S)−24]を得た。
【0209】
1H NMR (400 MHz, DMSO−d6) δ 7.85 (d, J = 7.8 Hz), 7.39 (t, J = 7.4 Hz, 2H), 7.34 (d, J = 7.5 Hz, 1H), 4.21 (s, 2H), 2.78−2.70 (m, 1H), 2.32 (dt, J = 15.1, 4.4 Hz, 1H), 1.96−1.81 (m, 3H), 1.73−1.60 (m, 2H), DMSO−d6ピークとともに沈んだ1プロトン; 13C NMR (101 MHz, DMSO−d6) δ 208.6, 173.320, 131.96, 130.28, 129.1 (2), 128.93, 127.09, 71.93, 64.84, 38.31, 37.5, 25.79, 20.84. MS m/z 224.2 (MH+). Mp: 190−191 oC。
【0210】
(S)−ノルケタミン酒石酸塩を水(200mL)に溶解し、2N NaOHで中和した。水層をDCM(3×100mL)で抽出した。合わせたDCM層をブライン(100mL)で洗浄し、Na2SO4上で乾燥させた。溶媒を減圧下で蒸発させて、淡黄色粘性油状物として(S)−ノルケタミン遊離塩基[(S)−24](4.96g)を得た。
【0211】
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.70 (dd, J = 7.8, 1.7 Hz), 7.38−7.31 (m, 2H), 7.28−7.23 (m, 1H), 2.79−2.71 (m, 1H), 2.63−2.56 (m, 1H), 2.51−2.43 (m, 1H), 2.08−2.02 (m, 1H), 1.89−1.74 (m, 3H), 1.71−1.63 (m, 1H); 13C NMR (101 MHz, CDCl3) δ 212.75, 140.49, 133.02, 131.0, 128.97, 128.32, 127.20, 66.42, 41.25, 38.98, 28.32, 22.16. MS m/z 224.2 (MH+)。
【0212】
(S)−24(1g、4.47mmol)、3−ブロモプロピルアセテート[Demko,Z.P.& Sharpless K.B.Org.Lett.2001,3,4091](971mg、5.36mmol)、KI(223mg、1.34mmol)、K2CO3(1.85g、13.4mmol)の溶液をCH3CN(12mL)に溶解した。反応混合物を24時間加熱還流した。反応完了後、反応混合物を室温に冷却し、溶媒を減圧下で蒸発させた。残渣を、ヘキサン(100%)、EtOAc/ヘキサン(40%)で溶出するシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーにより精製した。溶媒を減圧下で蒸発させ、黄色油状物として所望の製造物(695mg、48%)を得た。黄色油状物をジエチルエーテル(20mL)に溶解し、氷浴中で0℃に冷却した。乾燥HClガスを2分間0℃で溶液に通過させてバブリングした。形成した白色沈殿物を濾過し、EtOAc(20mL)中に再懸濁し、室温で10分間撹拌した。白色沈殿物を濾過して、(S)−C3OAc塩酸塩(512mg、29%)、mp169−172℃を得た。
【0213】
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 11.87 (br, 1H), 8.20 (d, J = 8.2 Hz, 1H), 7.62−7.54 (m, 1H), 7.48 (d, J = 3.8 Hz, 2H), 7.39 (br, 1H), 4.12 (q, J = 7.1 Hz, 2H), 3.83 (dm, J = 14.4 Hz, 1H), 3.11−3.02 (m, 1H), 2.75 (d, J = 12.5 Hz, 1H), 2.70−2.61 (m, 1H), 2.51 (br, 1H), 2.32 (t, J = 7.3 Hz, 2H), 2.24 (t, J = 11.1 Hz, 1H), 2.05 (br, 1H), 1.99−1.88 (m, 2H), 1.83 (d, J = 14.5 Hz, 2H), 1.76−1.61 (m, 3H), 1.24 (t, J = 7.1 Hz, 3H); 13C NMR (101 MHz, CDCl3) δ 205.41, 173.07, 135.21, 132.58, 132.06, 131.67, 129.34, 128.99, 73.20, 60.57, 43.59, 40.82, 39.62, 33.65, 29.68, 26.07, 22.27, 21.77, 14.31. MS m/z 352.2 (MH+). 分析、計算値C19H27Cl2NO3: C, 58.77; H, 7.01; N, 3.61; Cl, 18.26. 実測値: C, 58.81; H, 7.1, N, 3.51; Cl, 18.31。
【0214】
N−アルキル化されたノルケタミンエステルを合成するための一般的手法(スキーム3)
rac−24又は(S)−24(1当量)、適切なハロゲン化アルキル(1.2当量又はエチル3−ブロモプロピオネートの場合は6当量)、KI(0.3当量)及びK2CO3(3当量)の溶液をCH3CN(4.5mL/mmol)中に溶解した。溶液を24時間(エチル−3−ブロモプロピオネートの場合は72時間)、密閉管中で80℃に加熱した。反応混合物を室温に冷却し、溶媒を蒸発させた。残渣を、ヘキサン(100%)、EtOAc/ヘキサン(20−35%)で溶出するシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーにより精製した。溶媒を減圧下で蒸発させ、黄色油状物として所望の製造物を得た。これをジエチルエーテル(5mL)に溶解し、氷浴中で0℃に冷却した。乾燥HClガスを2分間0℃で溶液に通過させてバブリングした。溶媒を減圧下で蒸発させ、黄色固体を得た。黄色固体をEtOAc(2mL)に溶解し、2分間25℃で超音波処理した。形成した白色沈殿物をEtOAc(10mL)で希釈し、濾過し、EtOAcで洗浄し、真空下で乾燥させ、塩酸塩として製造物を得た。
【0215】
この一般的な手法に従って、以下の化合物を調製した。
【0216】
実施例3
エチル 3−((1−(2−シクロフェニル)−2−オキソシクロヘキシル)アミノ)プロパノエート塩酸塩(rac−C2Et)
rac−24及びエチル 3−ブロモプロピオネート(収率33%)、mp199−202℃から得た。
【0217】
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 12.24 (br, 1H, NH2), 8.13 (d, J = 8.0 Hz, 2H, ArH, NH2), 7.61−7.54 (m, 1H, ArH), 7.49 (d, J = 3.8 Hz, 2H,), 4.23 (q, J = 7.2 Hz, 2H), 3.78 (dm, J = 14.3 Hz, 1H), 3.59−3.45 (m, 1H), 3.25 (q, J = 5.4 Hz, 1H), 2.73 (br, 2H), 2.68−2.54 (m, 2H), 2.23 (td, J = 13.7, 2.5 Hz, 1H), 2.14−2.02 (m, 1H), 1.89−1.82 (m, 2H), 1.65−1.59 (m, 1H), 1.28 (t, J = 7.2 Hz, 3H,CH2CH3); 13C NMR (101 MHz, CDCl3) δ 206.10, 171.94, 135.27, 132.57, 132.40, 131.85, 129.05, 128. 57, 73.42, 61.67, 40.30, 39.71, 39.63, 30.38, 29.93, 21.86, 14.18; MS m/z 324.2 (MH+)。分析、計算値C17H23Cl2NO3: C, 56.67; H, 6.43; N, 3.89; Cl, 19.68、実測値: C, 56.65; H, 6.57; N, 3.89; Cl, 19.90。
【0218】
実施例3A
(S)−エチル 3−((1−(2−クロロフェニル)−2−オキソシクロヘキシル)アミノ)プロパノエート塩酸塩[(S)−C2Et]
(S)−24及びエチル 3−ブロモプロパノエート(54%)、mp208−210℃を得た。
【0219】
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 12.08 (br, 1H), 8.25 (br, 1H), 8.13 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 7.61−7.56 (m, 1H), 7.49 (br, 2H), 4.21 (q, J = 7.2 Hz, 2H), 3.76 (dm, J = 14.3, 3.2 Hz, 1H), 3.55−3.46 (m, 1H), 3.28 (q, J = 9.97 Hz, 1H), 2.75−2.56 (m, 4H), 2.26 (td, J = 14.14 Hz, 1H), 2.08 (br, 1H), 1.90−1.78 (m, 2H), 1.61 (br, 1H), 1.28 (t, J = 7.2 Hz, 3H); 13C NMR (101 MHz, CDCl3) δ 206.35, 172.38, 135.08, 132.39, 132.33, 131.71, 128.91, 128.27, 73.32, 61.75, 40.08, 39.57, 29.91, 29.89, 21.69, 14.02 (1C overlapping). MS m/z 324.2 (MH+). HRMS、計算値C17H23ClNO3 (MH+) 324.1361、実測値324.1370。
【0220】
実施例4
イソ−プロピル 3−((1−(2−クロロフェニル)−2−オキソシクロヘキシル)アミノ)プロパノエート塩酸塩(rac−C2iPr)
rac−24及びイソプロピル 3−ブロモプロパノエート(48%)、mp203−205℃を得た。
【0221】
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 12.0 (br, 1H), 8.27 (br, 1H), 8.14 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 7.61−7.55 (m, 1H), 7.49 (br, 2H), 5.13−5.04 (m, 1H), 3.79 (dm, J = 14.3 Hz, 1H), 3.52−3.44 (m, 1H), 3.28 (br, 1H), 2.74 (br, 2H), 2.65−2.56 (m, 2H), 2.24 (td, J = 13.8 Hz, 3.2Hz, 1H), 2.07 (br, 1H), 1.89−1.78 (m, 2H), 1.65−1.62 (m, 1H), 1.26 (d, J = 5.01 Hz, 6H); 13C NMR (101 MHz, CDCl3) δ 206.57, 172.2, 135.23, 132.63, 132.49, 131.84, 129.07, 129.03, 73.51, 69.86, 40.23, 39.85, 30.27, 30.08, 21.93, 21.84. MS m/z 338.2 (MH+). HRMS、計算値338.1517、実測値338.1529。
【0222】
実施例4A
(S)−イソプロピル 3−((1−(2−クロロフェニル)−2−オキソシクロヘキシル)アミノ)プロパノエート塩酸塩[(S)−C2iPr]
(S)−24及びイソプロピル 3−ブロモプロパノエート(29%)、mp208−211℃を得た。
【0223】
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 12.22 (br, 1H), 8.14 (dbr, J = 8.1 Hz, 2H), 7.61−7.55 (m, 1H), 7.49 (br, 2H), 5.12−5.06 (m, 1H), 3.79 (dm, J = 14.4 Hz, 1H), 3.52−3.43 (m, 1 H), 3.26 (q, J = 11.9 Hz, 1H), 2.71 (br, 2H), 2.67−2.55 (m, 2H), 2.21 (td, J = 14.1, 3.3 Hz, 1H), 2.07 (br, 1H), 1.89−1.78 (m, 2H), 1.63 (br, 1H), 1.27 (app. dd, J = 4.93, 1.25 Hz, 6H); 13C NMR (101 MHz, CDCl3) δ 206.62, 172.23, 135.24, 132.62, 132.48, 131.84, 129.08, 128.42, 73.48, 69.86, 40.24, 39.87, 30.28, 30.09, 21.93, 21.87, 21.84. MS m/z 338.2 (MH+). HRMS、計算値C18H25ClNO3 (MH+) 338.1517、実測値338.1524。
【0224】
実施例4B
(R)−イソプロピル 3−((1−(2−クロロフェニル)−2−オキソシクロヘキシル)アミノ)プロパノエート塩酸塩[(R)−C2iPr]
(R)−24及びイソプロピル 3−ブロモプロパノエート(29%)、mp216−219℃から得た。
【0225】
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 12.20 (br, 1H), 8.14 (dbr, J = 8.1 Hz, 2H), 7.60−7.56 (m, 1H), 7.49 (br, 2H), 5.14−5.04 (m, 1H), 3.80 (dm, J = 13.6 Hz, 1H), 3.51−3.44 (m, 1H), 3.26 (br, 1H), 2.73 (br, 2H), 2.64−2.56 (m, 2H), 2.21 (t, J = 13.2 Hz, 1H), 2.06 (br, 1H), 1.89−1.79 (m, 2H), 1.64 (br, 1H), 1.26 (app. dd, J = 4.81, 1.40 Hz, 6H); 13C NMR (101 MHz, CDCl3) δ 206.71, 172.36, 135.23, 132.67, 132.51, 131.85, 129.11, 128.39, 73.5, 69.94, 40.24, 39.95, 30.26, 30.13, 21.95, 21.89, 21.85. MS m/z (MH+). HRMS、計算値C18H25ClNO3 (MH+) 338.1517、実測値338.1521。
【0226】
(R)−24は、L−(R,R)−(+)−酒石酸というよりはむしろD−(S,S)−(−)−酒石酸を用いて、(S)−24の調製のための上記の手法に類似した手法によって調製された。
【0227】
実施例5
n−プロピル 3−((1−(2−クロロフェニル)−2−オキソシクロヘキシル)アミノ)プロパノエート塩酸塩(rac−C2nPr)。
rac−24及びプロピル 3−ブロモプロパノエート(44%)mp163−165℃から得た。
【0228】
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 11.68 (br, 1H), 8.69 (br, 1H), 8.14 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 7.61−7.54 (m, 1H), 7.49 (br, 2H), 4.07 (t, J = 6.8 Hz, 2H), 3.74 (dm, J = 14.3 Hz, 1H), 3.53−3.43 (m, 1H), 3.38 (br, 1H), 2.81−2.71 (m, 3H), 2.64−2.57 (m, 1H), 2.35 (td, J = 13.8, 3.2 Hz, 1H), 2.07 (br, 1H), 1.92−1.80 (m, 2H), 1.68−1.54 (m, 3H), 0.92 (t, J = 7.4 Hz, 3H); 13C NMR (101 MHz, CDCl3) δ 206.03, 172.0, 135.28, 132.48, 132.37, 131.84, 128.99, 128.6, 73.4, 67.22, 40.31, 39.57, 30.28, 29.9, 21.9, 21.81, 10.42. MS m/z 338.2 (MH+). HRMS、計算値338.1517, 実測値338.1526。
【0229】
実施例6
エチル 4−((1−(2−クロロフェニル)−2−オキソシクロヘキシル)アミノ)ブタノエート塩酸塩(rac−C3Et)
rac−24及びエチル 4−ブロモブタノエート(収率37%)、mp186−189℃。
【0230】
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 11.14 (br, 1H, NH2), 9.14 (br, 1H, NH2), 8.26 (d, J = 8.1 Hz, 1H), 7.62−7.49 (m, 1H), 7.45 (d, J = 3.8 Hz, 2H), 4.11 (q, J = 7.1 Hz, 2H), 3.75 (dm, J = 14.4 Hz, 1H), 3.38−3.26 (m, 1H), 2.75−2.64 (m, 2H), 2.64−2.58 (m, 1H), 2.43−2.26 (m, 2H), 2.45−2.28 (m, 2H), 2.14−2.07 (m, 1H), 1.98(br, 2H), 1−91−1.79 (m, 1H), 1.58−1.44 (m, 1H), 1.23 (t, J = 7.1 Hz, 3H); 13C NMR (101 MHz, CDCl3) δ 206.03, 173.16, 135.11, 132.76, 132.08, 131.61, 129.19, 129.02, 73.17, 61.04, 43.54, 40.86, 40.00, 32.24, 29.72, 21.64, 14.27. MS m/z 338.2 (MH+). 分析、計算値C18H25Cl2NO3: C, 57.76; H, 6.73; N, 3.74; Cl, 18.94. 実測値: C, 57.55; H, 6.92; N, 3.64; Cl, 18.73.
【0231】
実施例7
イソプロピル 4−((1−(2−クロロフェニル)−2−オキソシクロヘキシル)アミノ)ブタノエート塩酸塩(rac−C3iPr)
rac−24及びイソプロピル 4−ブロモブタノエート[Fox,M.E.,et al.J.Org.Chem.2005,70,1227](収率24%)、mp167−169℃。
【0232】
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 11.41 (br, 1H), 8.94 (br, 1H), 8.26 (d, J = 8.1 Hz, 1H), 7.68−7.50 (m, 1H), 7.45 (d, J = 3.9 Hz, 2H), 4.99 (m, 1H), 3.79 (dm, J = 14.4 Hz, 1H), 3.31−3.21 (m, 1H), 2.75−2.68 (m, 1H), 2.66−2.59 (m, 2H), 2.58−2.49 (m, 1H), 2.42−2.48 (m, 1H), 2.34 (t, J = 10.8 Hz, 2H), 2.11−1.98 (m, 2H), 1.84 (d, J = 10.2 Hz, 2H), 1.58−1.46 (m, 1H), 1.22 (dd, J = 6.28, 2.2 Hz, 6H) ; 13C NMR (101 MHz, CDCl3) δ 206.29, 173.46, 135.04, 132.84, 132.13, 131.62, 129.08, 129.06, 73.11, 68.81, 43.70, 40.84, 40.21, 32.79, 29.90, 21.91, 21.68. MS m/z 352.2 (MH+). 分析、計算値C19H27Cl2NO3: C, 58.77; H, 7.01; N, 3.61. 実測値: C, 58.57; H, 7.2; N, 3.54。
【0233】
実施例8
n−プロピル 4−((1−(2−クロロフェニル)−2−オキソシクロヘキシル)アミノ)ブタノエート塩酸塩(rac−C3nPr)
rac−24及びn−プロピル 4−ブロモブタノエート(19%)、mp160−161℃。
【0234】
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 11.10 (br, 1H), 9.23 (br, 1H), 8.27 (d, J = 8.1 Hz, 1H), 7.59−7.52 (m, 1H), 7.44 (d, J = 5.1 Hz, 2H), 4.01 (t, J = 6.8 Hz, 2H), 3.76 (dm, J = 14.4 Hz,1H), 3.39−3.28 (m, 1H), 2.70 (t, J = 7.8 Hz, 1H), 2.66 (t, J = 6.9 Hz, 1H), 2.62−2.54 (m, 1H), 2.51 (td, J = 7.0, 2.8 Hz, 2H), 2.47−2.41 (m, 1H), 2.39−2.30 (m, 1H), 2.15−2.06 (m, 1H), 2.0 (br, 1H), 1.85 (td, J = 8.0, 3.9 Hz, 2H), 1.57−1.66 (m, 2H), 1.50 (q, J = 14.4Hz, 1H), 0.91 (t, J = 7.4 Hz, 3H); 13C NMR (101 MHz, CDCl3) δ 205.92, 173.47, 135.12, 132.78, 132.05, 131.59, 129.23, 129.0, 73.16, 66.62, 43.54, 40.86, 39.99, 32.19, 29.77, 22.0, 21.78, 21.70, 10.48. MS m/z 352.2 (MH+).
【0235】
実施例9
rac−メチル −((1−(2−クロロフェニル)−2−オキソシクロヘキシル)アミノ)ペンタノエート塩酸塩(rac−C4Me)
rac−24及びエチル 5−ブロモブタノエートから得て、続いて、調製用HPLCによって精製した(41%)。
【0236】
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.53 (dd, J = 7.8, 1.6 Hz, 1 H), 7.36 (dd, J = 7.8, 1.4 Hz, 1 H), 7.31 (dt, J = 7.8, 7.6, 1.5 Hz, 1 H), 7.25−7.21 (m, 1 H), 3.64 (s, 3 H), 2.77−2.69 (m, 1 H), 2.55−2.42 (m, 2 H), 2.36−2.30 (m. 1 H), 2.26 (t, J = 7.4 H, 2 H), 2.09−1.73 (m, 7 H), 1.66−1.58 (m, 2 H), 1.55−1.40 (m, 2 H). HPLC 99%。
【0237】
実施例10
(S)−メチル −((1−(2−クロロフェニル)−2−オキソシクロヘキシル)アミノ)ペンタノエート塩酸塩[(S)−C4Me]
(S)−24及びエチル 5−ブロモペンタノエートから得た(42%)。
【0238】
mp (MeOH/EtOAc) 188−191 °C, 1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.52 (dd, J = 7.82, 1.68 Hz, 1 H), 7.36 (dd, J = 7.8, 1.4 Hz, 1 H), 7.31 (dt, J = 7.8, 7.60, 1.45 Hz, 1 H), 7.23 (dt, J = 8.0; 1.7 Hz, 1 H), 3.65 (s, 3 H), 2.76−2.68 (m, 1 H), 2.55−2.42 (m, 2 H), 2.36−2.30 (m, 1 H), 2.26 (t, J = 7.4 Hz, 2 H), 2.08−1.74 (m, 7 H), 1.66−1.58 (M, 2 H), 1.57−1.37 (m, 3 H), 分析、計算値C18H25Cl2NO3: C, 57.8; H, 6.7, Cl, 18.9, N, 3.7; 実測値, 57.7, H, 6.8 Cl, 18.9 N, 3.7。
【0239】
実施例11
rac−エチル 5−((1−(2−シクロフェニル)−2−オキソシクロヘキシル)アミノ)ペンタノエート塩酸塩(rac−C4Et)
rac−24及びエチル 5−ブロモペンタノエートから得た(29%)。
【0240】
mp 169−172 oC. 1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 11.87 (br, 1H), 8.20 (d, J = 8.2 Hz, 1H), 7.62−7.54 (m, 1H), 7.48 (d, J = 3.8 Hz, 2H), 7.39 (br, 1H), 4.12 (q, J = 7.1 Hz, 2H), 3.83 (dm, J = 14.4 Hz, 1H), 3.11−3.02 (m, 1H), 2.75 (d, J = 12.5 Hz, 1H), 2.70−2.61 (m, 1H), 2.51 (br, 1H), 2.32 (t, J = 7.3 Hz, 2H), 2.24 (t, J = 11.1 Hz, 1H), 2.05 (br, 1H), 1.99−1.88 (m, 2H), 1.83 (d, J = 14.5 Hz, 2H), 1.76−1.61 (m, 3H), 1.24 (t, J = 7.1 Hz, 3H); 13C NMR (101 MHz, CDCl3) δ 205.41, 173.07, 135.21, 132.58, 132.06, 131.67, 129.34, 128.99, 73.20, 60.57, 43.59, 40.82, 39.62, 33.65, 29.68, 26.07, 22.27, 21.77, 14.31. MS m/z 352.2 (MH+). 分析、計算値C19H27Cl2NO3: C, 58.77; H, 7.01; N, 3.61; Cl, 18.26. 実測値C, 58.81; H, 7.1, N, 3.51; Cl, 18.31。
【0241】
実施例12
イソプロピル 5−((1−(2−クロロフェニル)−2−オキソシクロヘキシル)アミノ)ペンタノエート塩酸塩(rac−C4iPr)
rac−24及びイソプロピル 5−ブロモバレレートから得た(40%)。
【0242】
mp 161−163 oC. 1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 11.04 (br, 1H), 8.78 (br, 1H), 8.24 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 7.59−7.53 (m, 1H), 7.47 (br, 2H), 5.01−4.92 (m, 1H), 3.74 (dm, J = 14.4 Hz, 1H), 3.29−3.21 (m, 1H), 2.73 (d, J = 12.2 Hz, 1H), 2.64 (td, J = 13.3 Hz, 6.3, 1H), 2.54−2.42 (m, 2H), 2.26−2.21 (m, 2H), 2.10−1.99 (m, 2H), 1.94−1.83 (m, 2H), 1.78 (d, J = 17.6 Hz, 1H), 1.71−1.47 (m, 3H), 1.20 (dd, J = 6.3, 1.2 Hz, 6H); 13C NMR (101 MHz, CDCl3) δ 205.7, 172.68, 135.18, 132.61, 132.13, 131.72, 129.26, 129.04, 73.25, 67.95, 43.66, 40.80, 39.76, 33.95, 29.78, 26.12, 22.25, 21.97, 21.8. MS m/z 366.2 (MH+). HRMS、計算値366.1830, 実測値366.1842。
【0243】
実施例13
n−プロピル 5−((1−(2−クロロフェニル)−2−オキソシクロヘキシル)アミノ)ペンタノエート塩酸塩(rac−C4nPr)
rac−24及びプロピル 5−ブロモペンタノエート(45%)。
【0244】
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 11.23 (br, 1H), 8.49 (br, 1H), 8.23 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 7.59 −7.52 (m, 1H), 7.46 (br, 2H), 4.0 (t, J = 6.8 Hz, 2H), 3.76 (dm, J = 14.3 Hz, 1H), 3.24−3.18 (m, 1H), 2.74 (br, 1H), 2.69−2.61 (m, 1H), 2.46 (t, J = 14.0 Hz, 2H), 2.29 (td, J = 7.5, 2.9 Hz, 2H), 2.04−1.95 (m, 1H), 1.92−1.89 (m, 1H), 1.87−1.83 (m, 1H), 1.79 (dbr, J = 15.3 Hz, 1H), 1.73−1.57 (m, 5H), 1.54−1.47 (m, 1H), 0.91 (t, J = 7.4 Hz, 3H); 13C NMR (101 MHz, CDCl3) δ 205.98, 173. 29, 135.14, 132. 6, 132.19, 131.74, 129.17, 129.08, 73.28, 66.31, 43.68, 40.77, 39.88, 33.58, 29.85, 26.16, 22.16, 22.06, 21.81, 10.5. MS m/z 366.2 (MH+). HRMS、計算値366.1830, 実測値366.1839。
【0245】
N−アルキル化されたノルケタミンエステルの還元的メチル化するための一般的手法(スキーム4)
ノルケタミンエステル(0.9mmol)をMeOH(20mL)に溶解し、氷浴中で0℃に冷却した。酢酸(0.2mL、3.6mmol)及びNaCNBH3(112mg、1.8mmol)を上記の溶液に添加し、5分間0℃で撹拌した。ホルムアルデヒド(H2O中37%、2.2mmol)を0℃で添加し、反応混合物を24時間25℃で撹拌した。反応混合物をNaHCO3でクエンチし、水で希釈した。水層をCH2Cl2(3×20mL)で抽出し、ブラインで洗浄し、Na2SO4上で乾燥させた。溶媒を減圧下で蒸発させ、黄色油状物として製造物を得た。黄色油状物をEt2O(5mL)に溶解し、氷浴中で0℃に冷却し、1分間、HClガスで処理した。溶媒を蒸発させ、残渣をEtOAc(2mL)中に再懸濁し、超音波処理した。形成した沈殿物をEtOAc(10mL)で希釈し、濾過し、乾燥させて、HCl塩として製造物を得た。
【0246】
実施例14
エチル 3−((1−(2−クロロフェニル)−2−オキソシクロヘキシル)(メチル)アミノ)プロパノエート(19)
rac−C2Etの還元的メチル化から得た(97%)。
【0247】
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.38 (dd, J = 7.8, 1.4 Hz, 1H), 7.36−7.33 (m, 1H), 7.30 (td, J = 7.9, 1.4 Hz, 1H), 7.25−7.21 (m, 1H), 4.10 (q, J = 7.2 Hz, 2H), 3.11−3.04 (m, 1H), 2.97−2.90 (m, 1H), 2.80−2.73 (m, 1H), 2.58 (t, J = 6.7 Hz, 2H), 2.49−2.45 (m, 2H), 2.43 (s, 3H), 2.05−1.91 (m, 2H), 1.89− 1.72 (m, 2H), 1.65−1.56 (m, 1H), 1.24 (t, J = 7.2 Hz, 3H); 13C NMR (101 MHz, CDCl3) δ 208.1, 172.7, 138.0, 134.07, 131.68, 129.86, 18.64, 126.65, 74.58, 60.37, 47.76, 41.19, 36.97, 36.14, 34.73, 27.28, 22.33, 14.27. MS m/z 338.5 (MH+). HRMS、計算値C18H25ClNO3 (MH+) 338.1517, 実測値338.1514。
【0248】
実施例15
エチル 4−((1−(2−シクロフェニル)−2−オキソシクロヘキシル)(メチルm)アミノ)ブタノエート塩酸塩(20)
rac−C3Etの還元的メチル化から得た(97%)。回転異性体の混合物。
【0249】
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 11.97 (br, 1H), 11.79 (br, 1H), 8.46 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 7.93 (d, J = 7.6 Hz, 1H), 7.64− 7.46 (m, 6H), 4.12−4.04 (m, 4H), 3.96 (t, J = 9.3 Hz, 1H), 3.69 (d, J = 14.8 Hz, 1H), 3.47 (1H), 3.25 (d, J = 14.5 Hz, 1H), 3.16 (s, 3H), 2.78 (br, 6H), 2.69−2.55 (m, 5H), 2.48−2.34 (m, 3H), 2.14 (br, 3H), 1.97 (br, 3H), 1.84 (br, 5), 1.48−1.39 (m, 2 H), 1.31−1.19 (m, 6H); 13C NMR (101 MHz, CDCl3) δ 205.26, 204.28, 172, 136.05, 135.91, 133.57, 132.87, 132. 77, 132.65, 132.55, 132.11, 129.2, 128.53, 127.69, 60.85, 53.32, 52.16, 42.65, 41.99, 37.37, 37.17, 36.59, 35.39, 31.49, 29.16, 22.22, 22.13, 20.64, 20.55, 14.3 (いくつかのCは両方の回転異性体について観察されなかった). MS m/z 352.2 (MH+). HRMS、計算値 C19H27ClNO3 (MH+) 352.1674, 実測値352.1687。
【0250】
実測値16
メチル 5−((1−(2−シクロフェニル)−2−オキソシクロヘキシル)(メチル)アミノ)ペンタノエート(21)
rac−C4Meの還元的メチル化から得た(97%)。
【0251】
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.41 (d, J = 7.5 Hz, 2H), 7.38−7.29 (m, 2H), 3.66 (s, 3H), 2.83 (br, 2H), 2.61−2.57 (m, 3H), 2.49 (br, 3H), 2.30 (t, J = 7.1Hz, 2H), 2.10−1.94 (m, 3H), 1.88−1.77 (m, 3H), 1.62−1.59 (m, 3H); 13C NMR (101 MHz, CDCl3) δ 206.75, 173.94, 134.77, 133.19, 132.01, 131.14, 130.12, 127.44, 52.02, 51.62, 41. 63, 37.0, 35.86, 33.66, 28.04, 27.07, 22.58, 22.27 (1C overlapping). MS m/z 352.2 (MH+). HRMS、計算値C19H27ClNO3 (MH+) 352.1674, 実測値352.1683。
【0252】
生物学的活性
全ての動物実験は、Ruakura動物倫理委員会によって審査され、承認された実験プロトコルを使用して、Ruakura Research Centre、Hamilton、New Zealandで行われた(倫理参照番号12604)。
【0253】
ベースライン生理学的パラメータ(心拍数、呼吸数、PWR、及び立ち直り反射(RR))の獲得後、約350〜450gの成体雌性Sprague−Dawleyラットを非外傷性拘束下に置き、尾の辺縁静脈にカニューレした。ケタミン又は本発明の化合物(10mg/ml)は、適切に尾に固定されたミニボア(minibore)延長管を介して投与された。注入は、一定速度(調整された重量)で開始され、初期には20mg/kg/分で送達され(足引っ込み反射スコアPWR=1になるまで)、次に、6.7mg/kg/分の速度に低下させた。その後、注入速度は、上下させて滴定され、背臥位に維持され、停止前にPWR=1〜10分を維持した。3匹のラットをそれぞれの研究に使用し、また、ラットの各グループは、独自のケタミン対照としての機能を果たした。治験薬投与の順序は、従前の奇数/偶数ランダム化によって決定され、少なくとも1時間の回復間隔が実験間に設けられた。PWR及びRRは、全体で1分の間隔で記録された。注入の停止からの立ち直り反射(RRR)の戻りまでの時間、及び注入からの独立した運動(歩き)を示す動物までの時間を記録した。
【0254】
結果を以下の表2及び3に示す。
【0255】
足引っ込み反射(PWR)得点:動物における侵害受容性試験は、動物の前足の上に一定の圧力(強い指圧)の1秒の適用を介して行われた。足引っ込み反射テストは、主に鎮痛効果を評価するために使用され、応答がそれに応じて段階的なされる:0、なし;1、ピクピク;2、中程度の引っ込み;3、速い引っ込み;4、鳴き声/先行する無呼吸を伴う速い引っ込み(Buitrago,S.et al.J.Amer.Assoc.Lab.Animal.Sci.2008,47,11−17空の改変)。
【0256】
立ち直り反射(LRR)の損失:これは、主に、麻酔催眠効果を評価するために使用される。立ち直り反射は、ラットが、迅速に連続して行われる3つの試みについて、背側横臥位から胸骨横臥位の位置に正せない場合に無しと判断される。LRRへの投与量は、効果的な効力と呼ばれる。
【0257】
【表2】
【0258】
aLRR(立ち直り反射の消失)は、麻酔効果を評価する。立ち直り反射は、動物が、迅速に連続して行われる3つの試みについて、背側横臥位から胸骨横臥位の位置に正せない場合に無しと考えられる。bPWR(足引っ込み反射)は、剤鎮痛効果を評価し、動物の前足の上に強い一定の圧力(ラットについては、強い指圧)の1秒の適用によって行われる。PWR=1(応答のピクピクの動き)は、鎮痛(痛覚)の満足できるレベルを示す。cRRR(立ち直り反射の回復;背側横臥位から正す能力)。dWalk(独立運動を維持する能力)。eTIME:LRR若しくはPWR=1を達成するための薬物注入の開始からの時間、又はRRR若しくはWalkを達成するための薬物注入の開始からの時間。fDose:LRR又はPWR=1を達成するために投与される全薬剤。エラーが与えられていない場合は、結果は、1匹の動物からのものである。
【0259】
【表3】
【0260】
a-f表2の通り。gNA:活性でない。hNC:計算できない。
【0261】
表2及び表3の結果は、本発明の化合物が、同様に迅速な開始及び効力を有するケタミン様麻酔効果を示すが、注入の中止後に非常に迅速(ケタミンと比較して最大10倍速い)な回復を有することを明確に示す。
【0262】
様々な実験全体でケタミンの標準について測定されたパラメータの平均値を以下の表4に示す。実験プロトコルの複雑さを考慮すると、鎮静前データ(LRRに関する時間と全投薬量;表2)は非常に一貫していて、わずか1.5倍の範囲にある。鎮静後回復時間の一貫性は、予測通りに低く、約2.5倍の範囲内である。
【0263】
ケタミンと比較した本発明の2つの代表的な化合物の性能の代表的なプロットを図1及び2に示す。rac−C2nPr及びrac−C4Meについての立ち直りの喪失(麻酔)をそれぞれ図1A及び図1Bに示し、足引っ込みスコアを図2A及び図2Bに示す。
【0264】
図3は、ケタミンと本発明の代表的な化合物についての効果的な効力(立ち直り反射の喪失に対する投薬量[mg/kg])対期間(立ち直り反射の回復時間)のスキャッタープロットを示す。
【0265】
【表4】
【0266】
検討
酢酸塩(S)−C3OAcは、化合物のうちも最も高い効力(ケタミンとほぼ同程度の効力)であったが、ケタミン自体よりもほんの適度に速い回復(1.5〜2倍)を示した。理論に拘束されることを望まないが、本出願人は、これは、ゆっくりとした酢酸塩の加水分解に起因しているのではないが、対応するアルコール製造物自体が強力な催眠薬/鎮痛剤であるという事実に起因している可能性が大部分であると考えている。
【0267】
残りのノルケタミンエステルのうち、より強力な化合物(ケタミン自体と比較して最大2倍少ない投薬量の効力である)rac−C2Et、rac−C2iPr、rac−C3Et、rac−C3iPr、rac−C4Me、rac−C4Et及びrac−C4iPrは、鎖(即ち、pKaの範囲)長の混合物と様々なMe、Et及びiPrエステルを構成した。
【0268】
少ない投薬量の強力な化合物(ケタミンと比較して2〜6倍少ない)rac−C2nPr、rac−C3nPr及びrac−C4nPrはまた鎖長の混合物であるが、すべてn−Prエステルであり、親油性範囲の最高点であった。LRRとPWRの両方からの回復の投薬量の効力及び迅速性が広く逆数であるため、これらの少ない強力な化合物は、最速の回復(ケタミンと比較して20〜25倍速い)をもたしたことは驚くべきことではない。
【0269】
ノルケタミンエステルの大部分はラセミであるが、(S)−ケタミンがそのラセミ体と同様の活性を有するが、効力がほぼ2倍であることが知られているため、いくつかの鏡像異性体が評価された。S−鏡像異性体のうちの2つ((S)−C2Et、(S)−C2iPr)は、活性であるが、効力はたった半分であり、S−鏡像異性体エステルのより迅速な加水分解を示唆し、対応するラセミ体よりも速い回復を示した。(R)−C2iPr鏡像異性体は、(S)−C2iPrと同様の効力と回復の反応速度論を有した。rac−C4Me及び鏡像異性体(S)−C4Meは広く同等の特性を有した。
【0270】
探索的研究では、ケタミンエステル19〜21を用いて行われた(主に単一の動物の評価)。ラセミ体C2エチルエステル19は、n−Prノルケタミンエステルとほぼ同程度に強力であるが、非常に弱い鎮静効果を有し、非常に迅速な回復をもたらした。より長い鎖長のC3エチルとC4メチルエステル20及び21は、少ない効力を有し、弱い鎮静活性であった。
【0271】
麻酔活性におけるpKaの明確な効果はないが、最も弱い塩基は、効力が最小であるエステル中にあった。
【0272】
要約すると、上記の結果は、ケタミンの短鎖脂肪族エステル類似体は、その所望の麻酔活性及び鎮痛活性を広く保持するが、この能力におけるケタミン自体の欠点を最小限にするのに十分に迅速に、強力かつ不活性な酸に代謝される。
【0273】
本発明は、例として、かつ特定の実施形態を参照して説明されたが、本発明の範囲から逸脱せずに、修飾及び/又は改変がなされてもよいことは理解されるべきである。
【0274】
本明細書において引用されている全ての刊行物は、それらが全体として本明細書に援用される。
図1
図2
図3