【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明によれば、この目的は、主請求項による有機光活性部品によって達成される。有利な構成は、従属請求項において特定される。
【0020】
単一、タンデムまたは多重セルの形態をとる本発明の部品は、2つの電極を有し、1つの電極は、基板上に配置され、1つは、最上部の対電極として配置される。電極間には、吸収体系としての光活性アクセプター−ドナー層系があり、それは、少なくとも3つの吸収体材料を有する。少なくとも2つの吸収体材料は、ドナーまたはアクセプターであり、ドナーまたはアクセプターの形態をとる2つの吸収体材料の一方は、他方の吸収体材料よりも大きい波長で吸収し、2つの吸収体材料の一方は、他方の吸収体材料よりも、小さいストークスシフトおよび/または狭い吸収幅を有する。
【0021】
本発明の文脈においては、ストークスシフトを、吸収極大とフォトルミネセンス極大との間のnm単位の距離として定義する。
【0022】
ドナーとは、電子を放出する材料を指す。アクセプターとは、電子を吸収する材料を指す。
【0023】
吸収体材料とは、400nmより大きい波長域で吸収する材料を意味すると理解する。
【0024】
ここでは、有機膜の吸収幅または吸収域とは、局所吸収極大のnm単位の半値幅(half−height width)(局所吸収極大の50%での幅)、または局所吸収極大の20%の値でのnm単位の吸収スペクトル幅を意味すると理解する。その2つの定義のうちの1つが適用されることは、本発明の範囲内である。
【0025】
本発明の一実施形態では、光活性層系は、少なくとも3つの吸収体材料1、2、3を有し、吸収体材料1および吸収体材料2がドナーであり、吸収体材料3がアクセプターである。この場合、吸収体材料2は、吸収体材料1よりも小さいストークスシフトを有する。
【0026】
本発明の一実施形態では、光活性層系は、少なくとも3つの吸収体材料1、2、3を有し、吸収体材料1および吸収体材料2がアクセプターであり、吸収体材料3がドナーである。この場合、吸収体材料2は、吸収体材料1よりも小さいストークスシフトを有する。
【0027】
本発明の一実施形態では、光活性層系は、少なくとも3つの吸収体材料1、2、3を有し、吸収体材料1および吸収体材料2がドナーであり、吸収体材料3がアクセプターである。この場合、吸収体材料2は、吸収体材料1よりも狭い吸収幅を有する。
【0028】
本発明の一実施形態では、吸収体系においてドナーまたはアクセプターの形態をとる、少なくとも2つの吸収体材料の一方は、他方の吸収体材料よりも狭い吸収幅を有する。
【0029】
本発明の一実施形態では、光活性層系は、少なくとも3つの吸収体材料1、2、3を有し、吸収体材料1および吸収体材料2がアクセプターであり、吸収体材料3がドナーである。この場合、吸収体材料2は、吸収体材料1よりも狭い吸収幅を有する。
【0030】
本発明の一実施形態では、吸収体系は、ドナー−アクセプター系からなり、吸収体系の吸収幅は、少なくとも200nm〜250nmの幅を有する。
【0031】
本発明の一実施形態では、吸収体系は、少なくとも3つの吸収体材料1、2、3を有する光活性アクセプター−ドナー層系からなる。吸収体材料1および吸収体材料2は、両方ともドナー、または両方ともアクセプターであり、吸収体材料2が、吸収体材料1よりも大きい波長で吸収し、吸収体材料2が、吸収体材料1よりも小さいストークスシフトおよび/または狭い吸収幅を有する。
【0032】
本発明のさらなる実施形態では、吸収体系は、少なくとも3つの吸収体材料1、2、3を含む、光活性アクセプター−ドナー層系からなる。
【0033】
吸収体材料1および吸収体材料2は、両方ともドナー、または両方ともアクセプターであり、吸収体材料2が、吸収体材料1よりも小さい波長で吸収し、吸収体材料2が、吸収体材料1よりも小さいストークスシフトおよび/または狭い吸収幅を有する。
【0034】
本発明の一実施形態では、吸収体系においてドナーまたはアクセプターの形態をとる、少なくとも2つの吸収体材料の一方は、他方の吸収体材料よりも大きい波長で吸収する。
【0035】
本発明の一実施形態では、吸収体系は、少なくとも2つの吸収体材料1、2を含み、第2の吸収体材料2が、吸収体材料1よりも大きい波長で吸収する。
【0036】
本発明の一実施形態では、吸収体系においてドナーまたはアクセプターの形態をとる、少なくとも2つの吸収体材料の一方は、他方の吸収体材料よりも小さい波長で吸収する。
【0037】
本発明のさらなる実施形態では、第2の吸収体材料2は、第1の吸収体材料1よりも狭い吸収域を有する。
【0038】
本発明の構造の利点は、太陽電池が、先行技術と比較して、同じ吸収域について、より高い開回路電圧をもたらすことができることである。
【0039】
太陽電池の効率が10%以上となり得る十分な電力を全体に発生させるために、タンデムまたは多重セル中の吸収体系の吸収幅は、少なくとも200nm〜250nmの幅を有しなければならない。例えば、一方のサブセルは、400nm〜650nmを吸収することができ、他方のサブセルは、650nm〜900nmを吸収することができる(
図2)。さらなる実施形態では、部品は、有機pin太陽電池、または有機pinタンデム太陽電池として構成される。タンデム太陽電池とは、2つの直列接続太陽電池を垂直方向に積層したものからなる太陽電池を指す。
【0040】
本発明の一実施形態では、第1の吸収体材料1および第2の吸収体材料2は、両方ともドナー、または両方ともアクセプターである。
【0041】
本発明のさらなる実施形態では、第2の吸収体材料2は、第1の吸収体材料1よりも小さいストークスシフトを有する。
【0042】
本発明のさらなる実施形態では、第1の吸収体材料1および/または第2の吸収体材料2は、混合層中に少なくとも部分的に存在する。
【0043】
本発明のさらなる実施形態では、吸収体系の少なくとも2つの吸収体材料は、混合層中に少なくとも部分的に存在する。
【0044】
本発明のさらなる実施形態では、吸収体系においてドナーまたはアクセプターの形態をとる、少なくとも2つの吸収体材料のうちの一方のHOMO準位は、他方の吸収体材料と0.2eV以下、好ましくは0.1eV以下の差で異なる。例えば、吸収体材料2のHOMO準位と吸収体材料1のHOMO準位は、0.2eV以下、好ましくは0.1eV以下の差で異なる。吸収体材料2が、吸収体材料1よりも長い波長で吸収する場合、吸収体材料2は、一般に、開回路電圧を制限することとなり、また、不必要に電圧を失わないように、吸収体材料2のHOMO準位は、吸収体材料1のHOMO準位よりもはるかに高くなるべきではない。
【0045】
本発明のさらなる実施形態では、ドープされていない、部分的にドープされている、または完全にドープされている1つまたは複数の輸送層も、部品中に存在する。これらの輸送層は、好ましくは450nm未満、非常に好ましくは400nm未満に吸収極大を有する。
【0046】
本発明のさらなる実施形態では、少なくとも1つのさらなる吸収体材料(吸収体材料3)が、吸収体系に存在し、吸収体材料1、2および3のうちの2つ以上は、最大幅のスペクトル領域をカバーするように互いに補完し合う、異なる光学吸収スペクトルを有する。
【0047】
本発明のさらなる実施形態では、吸収体材料1、2および3のうちの少なくとも1つの吸収域は、700nm超〜1500nmの波長域の赤外線域に及ぶ。
【0048】
本発明のさらなる実施形態では、吸収体材料1、2および3のうちの少なくとも1つは、フラーレンもしくはフラーレン誘導体、フタロシアニン、ペリレン誘導体、TPD誘導体またはオリゴチオフェン誘導体からなる部類から選択される吸収体材料である。
【0049】
本発明のさらなる実施形態では、部品は、タンデムまたは多重セルからなる。部品は、好ましくは、nip、ni、ip、pnip、pni、pip、nipn、nin、ipn、pnipn、pninまたはpipn構造の組み合わせからなり、そこで、少なくとも1つのi層を含有する2つ以上の独立の組み合わせが積み重ねられている。
【0050】
本発明のさらなる実施形態では、部品の層系の層は、入射光の光路を伸ばす光トラップの形態をとる。
【0051】
本発明のさらなる実施形態では、使用される有機材料は、小分子である。本発明の文脈において、小分子とは、100から2000の間の単分散モル質量を有し、かつ、標準圧(周囲雰囲気の空気圧)下および室温で固相で存在する非重合有機分子を意味するものとする。より詳細には、これらの小分子はまた、光活性であってもよく、「光活性」とは、分子が、光の入射下で、それらの電荷状態を変えることを意味するものとする。
【0052】
本発明のさらなる実施形態では、使用される有機材料は、少なくとも部分的にポリマーである。
【0053】
本発明のさらなる実施形態では、有機層は、少なくとも部分的に小分子から、少なくとも部分的にポリマーから、または小分子とポリマーの組み合わせからなる。
【0054】
本発明のさらなる実施形態では、部品は、少なくともある一定の光波長域内で半透明である。
【0055】
本発明のさらなる実施形態では、部品は、平坦、曲がった、または柔軟な支持体表面上で使用される。これらの支持体表面は、好ましくは、プラスチックフィルムまたは金属箔(例えば、アルミニウム、鋼鉄)などである。
【0056】
本発明のさらなる実施形態では、部品は、タンデムセルの形態で実現される。タンデムセルにおいては、両方のサブセルが、同程度に吸収する、および/または同量の電力を発生させることが重要である。この理由は、一方のサブセルの吸収の幅が狭すぎれば、当該のサブセルは、十分な電力を発生させず、そのため低電流は、タンデムセルにおいて制限されるので、部品全体は、効率が低くなるからである。しかし、吸収の幅がより広い有機吸収体においては、フォトルミネセンスもまたさらに変化し、ストークスシフトがより大きくなることが問題である。しかし、より大きいストークスシフトは、材料におけるより大きいエネルギー損失を意味する(再構成プロセスによる。フォトルミネセンスレベルは、どのくらいエネルギーが、その系に存在しているかを示す。)。結局のところ、これは、(同じ極大吸収波長について)吸収の幅が比較的広い材料によって、低い開回路電圧のみが達成可能であることを意味する。これは、直接的に、赤外線吸収体についての問題を引き起こす。つまり、バンドギャップが小さいため、達成できる開回路電圧は、いかなる場合でも、すでに低い。しかし、赤外線吸収体系を有するサブセルが、今、別のサブセルと全く同じだけの電流を発生させるためには、赤外線吸収体は、同様に、吸収の幅が広くなくてはならず、それにより、全体で、非常に小さい開回路電圧が生じる。この結果は、そのような系では、仮にそうなったとしても、10%の効率の目標が、非常に大きな困難を伴ってのみ達成可能であるというものである。本発明の一実施形態では、この問題は、より短い波長(好ましくはVIS)で吸収し、したがって、比較的高い開回路電圧をもたらすことができる吸収の幅の広い材料(材料1)と、より長い波長(好ましくは赤外線)で吸収するが、ストークスシフトが小さいので、材料1と同じ開回路電圧を同様にもたらすことができる吸収の幅の狭い材料(材料2)との組み合わせからなる吸収体系によって解決される(
図3)。
【0057】
本発明の一実施形態では、吸収体材料2の吸収幅は、吸収体材料1の吸収幅よりも、20nm〜250nm、より好ましくは50nm〜100nm狭い。
【0058】
本発明の一実施形態では、第2の吸収体材料2は、第1の吸収体材料1と比較して、より高いまたは非常に高い吸収度(最大光学濃度値)を有する。
【0059】
本発明の一実施形態では、本発明の光活性部品の好ましい構造は、比較的短い波長(好ましくはVIS)で吸収する、吸収の幅が広い吸収体材料(材料1)と、より長い波長(好ましくは赤外線)で吸収する、吸収の幅が狭い吸収体材料(材料2)との組み合わせを含む。この場合、材料1および2は、単層として、または混合層、もしくは任意の所望の組み合わせとして存在し得る。
【0060】
本発明の一実施形態では、吸収体材料1と2の両方が、ドナーまたはアクセプターである。吸収体系は、少なくとも3つの吸収体材料からなり、吸収体材料1および2がアクセプターである場合、吸収体材料3は、ドナーであり、または吸収体材料1および2がドナーであれば、吸収体材料3は、アクセプターである。
【0061】
本発明の光活性部品の吸収体系は、単一セルとして実現される場合、以下の構造(ここで、ILは、単層のことであり、MLは混合層のことである)、すなわち、
IL材料1/IL材料2/IL材料3、
IL材料2/IL材料1/IL材料3、
ML材料1/IL材料2、
ML材料1/IL材料2/IL材料3、
IL材料3/ML材料1/IL材料2、
ML材料2/IL材料1、
ML材料2/IL材料1/IL材料3、
IL材料3/ML材料2/IL材料1、
ML材料1/ML材料2、
ML材料1/ML材料2/IL材料3、
ML材料2/ML材料1/IL材料3、
材料1、2および3からなる、3つの構成成分の混合層
のうちの1つを有することができる。
【0062】
本発明の一実施形態では、本発明の光活性部品は、タンデムまたは多重セルとして実現される場合、下記の通りに実現される。
【0063】
第1のサブセルは、吸収の幅が広い材料(材料1)と、材料1よりも長い波長で吸収する、吸収の幅が狭い材料(材料2)との組み合わせを含み、第2のサブセルは、吸収の幅が広い材料(材料4)と、材料4よりも長い波長で吸収する、吸収の幅が狭い材料(材料5)との組み合わせを含む。
【0064】
本発明の一実施形態では、材料1および2は、可視波長域(VIS)で吸収し、材料4および5は、赤外線域(IR)で吸収する。
【0065】
したがって、そのタンデムセルは、各サブセルにおいて、VISおよびIR域の両方で吸収し、それ故に、従来のタンデム構造におけるように、太陽スペクトルの広い領域(好ましくは400nm〜900nm)を次々とカバーし、したがって、大きな電流をもたらす。しかし、これらのタンデムセルの本発明の特定の構造により、両方のサブセルは、大きな開回路電圧をもたらすことができ、したがって、従来の構造を有するタンデムセルと比較して、効率がより高い。
【0066】
本発明の一実施形態では、発明のタンデムセルにおいて、材料1と2の両方、または材料4と5の両方がそれぞれ、ドナーまたはアクセプターである。例えば、サブセル1の吸収体系1は、以下の構造(IL=単層、ML=混合層、材料)、すなわち、
IL材料1/IL材料2/IL材料3、
IL材料2/IL材料1/IL材料3、
ML材料1/IL材料2、
ML材料1/IL材料2/IL材料3、
IL材料3/ML材料1/IL材料2、
ML材料2/IL材料1、
ML材料2/IL材料1/IL材料3、
IL材料3/ML材料2/IL材料1、
ML材料1/ML材料2、
ML材料1/ML材料2/IL材料3、
ML材料2/ML材料1/IL材料3、
材料1、2および3からなる、3つの構成成分の混合層
のうちの1つを有することができる。
【0067】
そして、サブセル2の吸収体系2は、以下の構造、すなわち、
IL材料4/IL材料5/IL材料6、
IL材料5/IL材料4/IL材料6、
ML材料4/IL材料5、
ML材料4/IL材料5/IL材料6、
IL材料6/ML材料4/IL材料5、
ML材料5/IL材料4、
ML材料5/IL材料4/IL材料6、
IL材料6/ML材料5/IL材料4、
ML材料4/ML材料5、
ML材料4/ML材料5/IL材料6、
ML材料5/ML材料4/IL材料6、
材料4、5および6からなる、3つの構成成分の混合層
を有することができる。
【0068】
本発明の一実施形態では、材料4および5がアクセプターであれば、材料6は、ドナーであり、材料4および5がドナーであれば、材料6は、アクセプターである。
【0069】
本発明の一実施形態では、材料3および材料6も、同一であってもよい。材料1、2、4および5の1つまたは複数が、同一であることも可能である。
【0070】
次いで、3つ以上のサブセルからなるタンデムセルまたは多重セルは、サブセル1および2の上述の構造の任意の組み合わせであってもよい。
【0071】
本発明のさらなる実施形態では、光活性混合層の少なくとも1つは、アクセプターとして、フラーレンまたはフラーレン誘導体(C
60、C
70など)の群からの材料を含む。
【0072】
本発明のさらなる実施形態では、光活性混合層の少なくとも1つは、ドナーとして、フタロシアニン、ペリレン誘導体、TPD誘導体、オリゴチオフェンまたは国際公開第2006/092134号パンフレットに記載されている材料の部類からの材料を含む。
【0073】
本発明のさらなる実施形態では、光活性混合層の少なくとも1つは、アクセプターとして、材料フラーレンC
60を含み、ドナーとして、材料4P−TPDを含む。
【0074】
本発明のさらなる実施形態では、コンタクトは、金属、導電性酸化物、特に、ITO、ZnO:Al、もしくは他のTCO、または導電性ポリマー、特に、PEDOT:PSSもしくはPANIからなる。
【0075】
複数混合層系において、電荷キャリアについて、準位の上昇という輸送問題が起こる。この輸送は、pin構造の電界を設けることによって、かなり容易となる。加えて、pin構造内の複数混合層は、最適な吸収を達成するために、ドープされたワイドギャップ輸送層を用いて移動させることができる。この目的のために、pin構造をnip構造に変えることが、非常に有利である場合もある。特に、複数混合層中の異なる材料が、異なる波長域で吸収する場合、構造(pinまたはnip)または輸送層の層厚を適切に選択することによって、異なる材料がそれぞれ、部品内の光の強度分布に関して、最適な位置に置かれることが可能になる。特に、タンデムセルの場合、この最適化は、個々のセルの光電流の釣り合わせ(balancing)を達成し、それにより最大の効率を達成するために非常に重要である。
【0076】
本発明の部品のさらなる実施形態では、構造がpnipまたはpni構造となるように、pドープ層も、第1の電子伝導層(n層)と、基板上に存在する電極との間に存在し、ドーピングは、直接のpn接触が、バリア効果を有さないが、好ましくはトンネル過程を通して、損失の少ない再結合をもたらすようなレベルで、好ましくは選択される。
【0077】
本発明のさらなる実施形態では、pドープ層はまた、構造がpipまたはpi構造となるように、部品において、光活性i層と、基板上に存在する電極との間にも存在してよく、追加のpドープ層は、i層からこのp層への、損失の少ない電子抽出ができるように、i層の電子輸送準位を下回る、最大でも0.4eV、好ましくは0.3eV未満のフェルミ準位を有する。
【0078】
本発明の部品のさらなる実施形態では、構造がnipnまたはipn構造となるように、n層系も、pドープ層と、反対電極との間に存在し、ドーピングは、直接のpn接触が、バリア効果を有さないが、好ましくはトンネル過程を通して、損失の少ない再結合をもたらすようなレベルで、好ましくは選択される。
【0079】
さらなる実施形態では、n層系はまた、構造がninまたはin構造となるように、部品において、光活性真性層と、反対電極との間にも存在してよく、追加のnドープ層は、i層からこのn層への、損失の少ない正孔抽出ができるように、i層の正孔輸送準位を上回る、最大でも0.4eV、好ましくは0.3eV未満のフェルミ準位を有する。
【0080】
本発明の部品のさらなる実施形態では、部品は、構造がpnipn、pnin、pipn、またはp−i−n構造となるように、n層系および/またはp層系を含み、それは、外部電圧が部品に全くかけられていない場合に、光生成電子(photogenerated electrons)が、好ましくは、基板に輸送されるように、基板側上の光活性i層に隣接する層が、導電のタイプに関係なく、基板から離れた側の上のi層に隣接する層よりも低い熱仕事関数を有するという特徴をすべての場合において有する。
【0081】
上記構造の好ましい展開例では、これらは、有機タンデム太陽電池または多重太陽電池として実現される。例えば、部品は、nip、ni、ip、pnip、pni、pip、nipn、nin、ipn、pnipn、pninまたはpipn構造の組み合わせからなるタンデムセルであってよく、そこで、少なくとも1つのi層を含有するいくつかの独立の組み合わせが積み重ねられている(相互組み合わせ)。
【0082】
上記構造の特に好ましい実施形態では、それは、pnipnipnタンデムセルとして構成される。
【0083】
さらなる実施形態では、混合層中のアクセプター材料は、少なくとも部分的に結晶形である。
【0084】
さらなる実施形態では、混合層中のドナー材料は、少なくとも部分的に結晶形である。
【0085】
さらなる実施形態では、混合層中のアクセプター材料とドナー材料の両方が、少なくとも部分的に結晶形である。
【0086】
さらなる実施形態では、アクセプター材料は、450nmより大きい波長域に吸収極大を有する。
【0087】
さらなる実施形態では、ドナー材料は、450nmより大きい波長域に吸収極大を有する。
【0088】
またさらなる実施形態では、前述した混合層に加えて、光活性i層系もまた、光活性な単層または混合層をさらに含む。
【0089】
さらなる実施形態では、n材料系は、1つまたは複数の層からなる。
【0090】
さらなる実施形態では、p材料系は、1つまたは複数の層からなる。
【0091】
さらなる実施形態では、ドナー材料は、オリゴマー、特に、国際公開第2006/092134号パンフレットによるオリゴマー、ポルフィリン誘導体、ペンタセン誘導体、または、DIP(ジインデノペリレン)、DBP(ジベンゾペリレン)などのペリレン誘導体である。
【0092】
さらなる実施形態では、p材料系は、TPD誘導体(トリフェニルアミン二量体)、スピロピラン、スピロキサジンなどのスピロ化合物、MeO−TPD(N,N,N’,N’−テトラキス(4−メトキシフェニル)ベンジジン)、ジ−NPB(N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(N,N’−ジ(1−ナフチル)−N,N’−ジフェニル(1,1’−ビフェニル)−4,4’−ジアミン)、MTDATA(4,4’,4’’−トリス−(N−3−メチルフェニル−N−フェニルアミノ)トリフェニルアミン)、TNATA(4,4’,4’’−トリス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]トリフェニルアミン)、BPAPF(9,9−ビス{4−[ジ(p−ビフェニル)アミノフェニル]}フルオレン)、NPAPF(9,9−ビス[4−(N,N’−ビスナフタレン−2−イルアミノ)フェニル]−9H−フルオレン)、スピロ−TAD(2,2’,7,7’−テトラキス(ジフェニルアミノ)−9,9’−スピロビフルオレン)、PV−TPD(N,N−ジ−4−(2,2−ジフェニルエテン−1−イル)フェニル−N,N−ジ−4−メチルフェニルフェニルベンジジン)、4P−TPD(4,4’−ビス(N,N−ジフェニルアミノ)テトラフェニル)、または独国特許出願公開第102004014046号明細書に記載されているp材料を含む。
【0093】
さらなる実施形態では、n材料系は、フラーレン、例えば、C60、C70;NTCDA(1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物)、NTCDI(ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド、またはPTCDI(ペリレン−3,4,9,10−ビス(ジカルボキシミド))を含む。
【0094】
さらなる実施形態では、p材料系は、pドーパントを含み、このpドーパントは、F4−TCNQ、独国特許出願公開第10338406号明細書、独国特許出願公開第10347856号明細書、独国特許出願公開第10357044号明細書、独国特許出願公開第102004010954号明細書、独国特許出願公開第102006053320号明細書、独国特許出願公開第102006054524号明細書および独国特許出願公開第102008051737号明細書に記載されている通りのpドーパント、または遷移金属酸化物(VO、WO、MoOなど)である。
【0095】
さらなる実施形態では、n材料系は、nドーパントを含み、このnドーパントは、TTF誘導体(テトラチアフルバレン誘導体)もしくはDTT誘導体(ジチエノチオフェン)、独国特許出願公開第10338406号明細書、独国特許出願公開第10347856号明細書、独国特許出願公開第10357044号明細書、独国特許出願公開第102004010954号明細書、独国特許出願公開第102006053320号明細書、独国特許出願公開第102006054524号明細書および独国特許出願公開第102008051737号明細書に記載されている通りのnドーパント、またはCs、LiもしくはMgである。
【0096】
さらなる実施形態では、一方の電極は、透過率が80%より大きい場合、透明であり、他方の電極は、反射率が50%より大きく反射性である。
【0097】
さらなる実施形態では、部品は、透過率が10〜80%で半透明である。
【0098】
さらなる実施形態では、電極は、金属(例えば、Al、Ag、Au、またはそれらの組み合わせ)、導電性酸化物、特に、ITO、ZnO:Al、もしくは別のTCO(透明導電性酸化物)、導電性ポリマー、特に、PEDOT/PSS(ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)ポリ(スチレンスルホネート))もしくはPANI(ポリアニリン)、またはこれらの材料の組み合わせからなる。
【0099】
さらなる実施形態では、光トラップは、周期的に微細構造化される基板上に形成される部品によって実現され、その部品の均一な機能、すなわち、短絡のないコンタクト接続および領域全体にわたる電界の均一な分布は、ドープされたワイドギャップ層の使用を通して確実になる。超薄型部品は、構造化された基板上での局部短絡形成のリスクが高く、そこで、そうした明らかな不均一性は、結果的に、部品全体の機能性を損なう。この短絡リスクは、ドープされた輸送層の使用によって低下する。
【0100】
本発明のさらなる実施形態では、光トラップは、周期的に微細構造化される基板上に形成される部品によって実現され、その部品の均一な機能、すなわち、短絡のないコンタクト接続および領域全体にわたる電界の均一な分布は、ドープされたワイドギャップ層の使用を通して確実になる。光が、吸収体層を少なくとも2回通過し、そのことによって、光の吸収を増大させて、太陽電池の効率を向上させることができることが特に有利である。これは、例えば、高さ(h)および幅(w)がそれぞれ、1マイクロメーターから数百マイクロメーターまでの範囲にあるピラミッド様構造を表面上に有する基板によって達成することができる。高さおよび幅は、同一にまたは異なって選択されてもよい。さらに、そのピラミッドは、対称または非対称構造を有することも可能である。
【0101】
本発明のさらなる実施形態では、光トラップは、i層との界面が平滑であり、かつ、反射性コンタクトとの界面が凹凸になっている、ドープされたワイドギャップ層によって実現される。凹凸のある界面は、例えば、周期的に微細構造化することによって達成することができる。凹凸のある界面は、それが、拡散的に光を反射し、それにより、光活性層内の光路を伸ばす場合に、特に有利である。
【0102】
さらなる実施形態では、光トラップは、周期的に微細構造化される基板上に形成される部品、および、i層との界面が平滑であり、かつ、反射性コンタクトとの界面が凹凸になっている、ドープされたワイドギャップ層によって実現される。
【0103】
本発明のさらなる実施形態では、全体の構造に、透明なベースコンタクトおよびトップコンタクトが設けられている。
【0104】
本発明のさらなる実施形態では、光活性部品、特に、有機太陽電池は、電極と、反対電極と、それらの電極間にある、少なくとも2つの有機光活性混合層とからなり、各混合層が、少なくとも2つの材料を含み、各混合層のその2つの主要材料が、ドナー−アクセプター系からなる少なくとも1つの吸収体系を有し、吸収体系が、少なくとも200nm〜250nmの吸収幅を有する。吸収体系は、少なくとも2つの吸収体材料(材料1および2)を含み、材料2が、材料1よりも大きい波長で吸収し、材料2が、材料1よりも狭い吸収域を有する。
【0105】
さらなる実施形態では、2つの混合層は、互いに直接隣接し合い、1つの混合層の2つの主要材料のうちの少なくとも1つが、別の混合層の2つの主要材料以外の有機材料である。
【0106】
上記実施形態の展開例では、混合層のいくつかまたは全部の主要材料が、互いに異なる。
【0107】
本発明のさらなる実施形態では、3つ以上の混合層が、電極と反対電極との間に配置される。
【0108】
本発明のさらなる実施形態では、前述の混合層に加えて、さらなる光活性単層または混合層が存在する。
【0109】
本発明のさらなる実施形態では、少なくとも1つのさらなる有機層も、混合層系と1つの電極との間に存在する。
【0110】
本発明のさらなる実施形態では、少なくとも1つのさらなる有機層は、混合層系と反対電極との間にも存在する。
【0111】
本発明のさらなる実施形態では、さらなる有機層の1つまたは複数は、ドープされたワイドギャップ層であり、吸収極大が、450nm未満にある。
【0112】
本発明のさらなる実施形態では、混合層の少なくとも2つの主要材料は、異なる光学吸収スペクトルを有する。
【0113】
本発明のさらなる実施形態では、混合層の主要材料は、最大幅のスペクトル領域をカバーするように互いに補完し合う、異なる光学吸収スペクトルを有する。
【0114】
本発明のさらなる実施形態では、混合層の主要材料のうちの少なくとも1つの吸収域は、赤外線域に及ぶ。
【0115】
本発明のさらなる実施形態では、混合層の主要材料のうちの少なくとも1つの吸収域が、700nm超〜1500nmの波長域の赤外線域に及ぶ。
【0116】
本発明のさらなる実施形態では、主要材料のHOMOおよびLUMO準位は、系が、最大開回路電圧、最大短絡電流、および最大フィルファクターを可能にするように釣り合わされる。
【0117】
本発明のさらなる実施形態では、全体の構造に、透明なベースコンタクトおよびトップコンタクトが設けられている。
【0118】
さらなる実施形態では、本発明の光活性部品は、例えば、コンクリート、屋根のタイル、粘土、自動車ガラスなど、曲がった表面上に使用される。本発明の有機太陽電池は、従来の無機太陽電池と比較して、フィルム、布などの柔軟な支持体に適用できることが有利である。
【0119】
さらなる実施形態では、本発明の光活性部品は、本発明の有機層系の反対側に、接着手段、例えば、接着剤を有する、フィルムまたは布に適用される。これにより、必要に応じて任意の所望の表面に配置できる、粘着性のソーラーフィルムを製造することが可能となる。したがって、自己粘着性の太陽電池を得ることが可能となる。
【0120】
さらなる実施形態では、本発明の光活性部品は、フックアンドループ接続形態の、別の接着手段を有する。
【0121】
さらなる実施形態では、本発明の光活性部品は、電気機器またはデバイスに接続するために、エネルギーバッファまたはエネルギー貯蔵媒体、例えば、蓄圧器、コンデンサなどと連結して使用される。
【0122】
さらなる実施形態では、本発明の光活性部品は、薄膜電池と組み合わせて使用される。
【0123】
さらなる実施形態では、本発明の光活性部品は、本発明の有機層系の反対側に、接着手段、例えば、接着剤を有する、フィルムまたは布に適用される。これにより、必要に応じて任意の所望の表面に配置できる、粘着性のソーラーフィルムを製造することが可能となる。したがって、自己粘着性の太陽電池を得ることが可能となる。
【0124】
さらなる実施形態では、本発明の有機太陽電池は、フックアンドループ接続形態の、別の接着手段を有する。
【0125】
本発明を、以下で、より詳細に例示することとする。