特許第6310014号(P6310014)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6310014
(24)【登録日】2018年3月23日
(45)【発行日】2018年4月11日
(54)【発明の名称】有機層を含む光活性部品
(51)【国際特許分類】
   H01L 51/44 20060101AFI20180402BHJP
【FI】
   H01L31/04 112A
   H01L31/04 122
【請求項の数】12
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2016-134159(P2016-134159)
(22)【出願日】2016年7月6日
(62)【分割の表示】特願2013-508396(P2013-508396)の分割
【原出願日】2011年5月4日
(65)【公開番号】特開2016-195272(P2016-195272A)
(43)【公開日】2016年11月17日
【審査請求日】2016年8月4日
(31)【優先権主張番号】10161920.3
(32)【優先日】2010年5月4日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】512286163
【氏名又は名称】ヘリアテク ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】HELIATEK GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100098914
【弁理士】
【氏名又は名称】岡島 伸行
(72)【発明者】
【氏名】メンニヒ, バート
(72)【発明者】
【氏名】プファイファー, マルティン
(72)【発明者】
【氏名】ウーリッヒ, クリスティアン
【審査官】 河村 麻梨子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−067642(JP,A)
【文献】 特開2005−32793(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/036963(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 51/42−51/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの電極(2、9)と、少なくとも3つの吸収体材料1、2、3を含んだ、前記電極(2、9)間に存する光活性アクセプター−ドナー層系(4)とを有する単一、タンデムまたは多重セルからなる、有機層を含む光活性部品であって、
前記光活性部品は、吸収体材料1および吸収体材料2がドナーであり、吸収体材料3がアクセプターである、または、吸収体材料1および吸収体材料2がアクセプターであり、吸収体材料3がドナーであり、
(i)吸収体材料2は、吸収体材料1よりも大きい波長で吸収すること、かつ
(ii)吸収体材料2は、吸収体材料1よりも小さいストークスシフトを有すること、および/または、固相で存在する吸収体材料2の吸収の半値全幅は吸収体材料1の吸収の半値全幅よりも少なくとも20nm狭いこと、かつ
(iii)吸収体材料2は、固相で存在する吸収体材料1と比較して、より高い吸収度(最大光学濃度値)を有すること、
を特徴とする光活性部品。
【請求項2】
前記吸収体材料2の吸収の半値全幅、固相で存在する吸収体材料1の吸収の半値全幅よりも少なくとも50nm狭いことを特徴とする、請求項1に記載の光活性部品。
【請求項3】
前記光活性アクセプター−ドナー層系(4)の少なくとも2つの吸収体材料が、混合層中に少なくとも部分的に存在することを特徴とする、請求項1または2に記載の光活性部品。
【請求項4】
前記吸収体材料のうちの少なくとも1つの吸収域が、700nm超〜1500nmの波長域の赤外線域に及ぶことを特徴とする、請求項1から3のいずれかに記載の光活性部品。
【請求項5】
前記光活性部品は1つまたは複数の電荷キャリア輸送層(3、6)を含み、前記電荷キャリア輸送層は、ドープされていない、部分的にドープされている、または完全にドープされているワイドギャップ層であることを特徴とする、請求項1から4のいずれかに記載の光活性部品。
【請求項6】
前記輸送層(3、6)の1つまたは複数が、450nm未満に吸収極大を有する、ドープされていない、部分的にドープされている、または完全にドープされているワイドギャップ層であることを特徴とする、請求項5に記載の光活性部品。
【請求項7】
前記部品の層系の層が、入射光の光路を伸ばす光トラップの形態をとることを特徴とする、請求項1から6のいずれかに記載の光活性部品。
【請求項8】
前記光活性アクセプター−ドナー層系(4)の前記吸収体材料のうちの少なくとも1つが、フラーレンもしくはフラーレン誘導体、フタロシアニン、ペリレン誘導体、TPD誘導体またはオリゴチオフェン誘導体の部類からの材料であることを特徴とする、請求項1から7のいずれかに記載の光活性部品。
【請求項9】
前記光活性アクセプター−ドナー層系(4)においてドナーまたはアクセプターの形態をとる、前記少なくとも2つの吸収体材料のうちの一方のHOMO準位が、他方の吸収体材料と0.2eV以下の差で異なることを特徴とする、請求項1から8のいずれかに記載の光活性部品。
【請求項10】
nip、ni、ip、pnip、pni、pip、nipn、nin、ipn、pnipn、pninまたはpipn構造の組み合わせからなり、そこで、少なくとも1つのi層を含有する2つ以上の独立の組み合わせが積み重ねられていることを特徴とする、請求項1から9のいずれかに記載の光活性部品。
【請求項11】
少なくともある一定の光波長域内で半透明であることを特徴とする、請求項1から10のいずれかに記載の光活性部品。
【請求項12】
平坦、曲がった、または柔軟な支持体表面上での、請求項1から11のいずれかに記載の光活性部品の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2つの電極と、少なくとも3つの吸収体材料を含み、前記2つの電極間に存する光活性アクセプター−ドナー層系とを有する単一、タンデムまたは多重セルからなる、有機層を含む光活性部品に関する。
【背景技術】
【0002】
1986年にタン(Tang)らによって、パーセント範囲の効率を有する最初の有機太陽電池が実証されて以来(例えば、非特許文献1参照。)、様々な電子部品および光電子部品用に、有機材料が精力的に研究されてきた。有機太陽電池は、好ましくは、減圧下で蒸着されているか、溶液からスピン塗布されている、有機材料の一連の薄層(典型的には1nmから1μm)からなる。電気的コンタクトは、金属層、透明導電性酸化物(TCO)、および/または透明導電性ポリマー(PEDOT−PSS、PANI)によって形成することができる。
【0003】
太陽電池は、光エネルギーを電気エネルギーに変換する。ここでは、用語「光活性」は、同様に、光エネルギーから電気エネルギーへの変換を意味する。無機太陽電池と異なり、光は、有機太陽電池において、自由電荷キャリアを直接発生させず、その代わり、励起子、すなわち、電気的に中性な励起状態(束縛された電子−正孔対)が最初に形成される。第2段階でのみ、これらの励起子は、自由電荷キャリアに分離され、次いで、それらが、電流の流れに寄与する。
【0004】
そのような有機ベースの部品が、従来の無機ベースの部品(シリコン、ヒ化ガリウムなどの半導体)よりも有利な点は、光吸収係数が極めて高い(最大で2×105cm-1まで)場合があり、それにより、材料消費およびエネルギー消費の少ない非常に薄い太陽電池を製造することが可能となることである。さらに、技術面では、コストが低く、プラスチックフィルム上に、柔軟な大面積部品を製造することが可能であり、事実上無制限に変形が可能であり、有機化学が制限なく利用できる。
【0005】
非特許文献2においてすでに提示されている有機太陽電池の1つの可能な実施形態は、以下の層構造、すなわち、
0.支持体、基板、
1.ベースコンタクト(一般に透明である)、
2.p層(複数可)
3.i層(複数可)
4.n層(複数可)
5.トップコンタクト
を有する、pinダイオードである。
【0006】
この文脈では、nおよびpは、それぞれ、nドーピングおよびpドーピングを意味し、これらにより、熱平衡状態において、それぞれ、自由電子および正孔の密度が増大する。しかし、n層(複数可)またはp層(複数可)は、少なくとも部分的に名目上ドープされていなくてもよく、材料特性(例えば、異なる移動度)、未知の不純物(例えば、層形成の間の合成、分解または反応生成物からの残っている残留物)、または環境の影響(例えば、隣接層、金属や他の有機材料の内方拡散、周囲雰囲気からのガスドーピング)のみに起因して、優先的にn導電型特性、または優先的にp導電型特性を有することも可能である。この文脈では、そのような層は、主として、輸送層であると理解すべきである。一方、用語「i層」は、名目上ドープされていない層(真性層)を表す。この文脈では、1つまたは複数のi層は、1種の材料、または2種の材料の混合物(相互貫入網目構造またはバルクヘテロジャンクションと呼ばれる。例えば、非特許文献3参照。)のいずれかからなる。透明なベースコンタクトを通って入射した光は、i層またはn/p層において、励起子(束縛された電子−正孔対)を生成する。これらの励起子は、非常に高い電界によってまたは適切な界面でのみ分離することができる。有機太陽電池では、十分に高い電界が得られないので、有機太陽電池に関する有望な概念はすべて、光活性界面で励起子を分離させることに基づくものである。拡散の結果として、励起子は、そのような活性界面に到達し、そこで、電子と正孔が互いに分離される。電子を吸収する材料を、アクセプターといい、正孔を吸収する材料を、ドナーという。分離させる界面は、p(n)層とi層との間、または2つのi層の間にあってもよい。次いで、太陽電池の設定された電界において、電子は、n領域へと輸送され、正孔は、p領域に輸送される。輸送層は、例えば、特許文献1に記載されている通り、好ましくは、バンドギャップが大きい(ワイドな)透明または実質的に透明な材料である。ここでは、ワイドギャップ材料とは、吸収極大が、450nm未満の波長域中に、好ましくは400nm未満にある材料を指す。
【0007】
光は、必ず、最初に励起子を生成し、自由電荷キャリアをまだ生成しないので、励起子の活性界面への低再結合拡散は、有機太陽電池において決定的な役割を果たす。したがって、光電流に寄与するためには、優れた有機太陽電池の励起子拡散長は、主要な部分の光が利用できるように、光の典型的な侵入深さを著しく上回らなければならない。構造の点および化学的純度に関して完璧な薄層または有機結晶は、まさに、この基準を満たす。しかし、大面積適用について、有機単結晶材料の使用は不可能であり、十分な構造完全性を有する多層の製造は、これまでのところまだ非常に困難である。
【0008】
i層が混合層の場合、光吸収の役割は、構成成分のうちの1つのみ、または両方によって担われる。混合層の利点は、生成された励起子が、それらが分離されるドメイン境界に到達する前に、非常に短い距離しか進む必要がないことである。電子または正孔は、各材料において、別々に輸送される。材料は、混合層全体にわたって互いに接触しているので、この概念では、分離電荷が、各材料上で長い寿命を有し、かつ、両方の種類の電荷キャリアについて、任意の場所から各コンタクトへと連続的な浸透経路が存在することが極めて重要である。
【0009】
特許文献2には、有機材料のドーピングが開示されている。アクセプター型またはドナー型のドープ物質の添加によって、層内の平衡電荷キャリア濃度が増大し、導電性が高まる。特許文献2によれば、ドープ層は、エレクトロルミネセント部品において、コンタクト材料との界面で、注入層として使用される。類似のドープ手法は、太陽電池にも同様に適している。
【0010】
光活性のi層を実現する種々の可能な手段が従来技術文献に開示されている。例えば、それは、二重層(例えば、特許文献3参照。)、または混合層(例えば、非特許文献4参照。)等である。また、二重層と混合層との組み合わせも公知である(例えば、非特許文献4、特許文献4参照。)。さらに、混合比が、混合層の異なる領域で異なること(例えば、特許文献5参照。)、および混合比に勾配があることも公知である。
【0011】
また、タンデムまたは多重太陽電池も、文献から公知である(例えば、非特許文献5、特許文献6参照。)。
【0012】
加えて、有機pinタンデムセルも、文献から公知である(例えば、特許文献6参照。)。そのようなタンデムセルの構造は、2つの個々のpinセルからなり、その層順序「pin」は、pドープ層系、非ドープ光活性層系、およびnドープ層系の順序を示す。ドープ層系は、好ましくは、ワイドギャップ材料/層と呼ばれる透明な材料からなり、この場合、それらはまた、部分的または全体的に非ドープであってもよく、あるいは、位置の関数としての異なるドーパント濃度を有するか、ドーパント濃度の連続的勾配を有してもよい。特に、非常に低ドープまたは高ドープの領域は、電極との境界領域、別のドープもしくは非ドープ輸送層との境界領域、活性層との境界領域においても可能であり、あるいは、タンデムもしくは多重セルの場合は、隣接するpinもしくはnipサブセルとの境界領域、すなわち、再結合区域の領域においても可能である。これらのすべての特徴の、任意の所望の組み合わせも可能である。もちろん、そのようなタンデムセルはまた、いわゆる逆構造(例えば、nipタンデムセル)であってもよい。これらのすべての可能なタンデムセルの実施形態を、以下、用語「pinタンデムセル」で表す。
【0013】
本発明の文脈において、小分子とは、標準圧(周囲雰囲気の空気圧)下および室温で固相において100から2000の間の単分散モル質量を有する非重合有機分子を意味するものとする。より詳細には、これらの小分子はまた、光活性であってもよく、「光活性」とは、分子が、光の入射下で、それらの電荷状態を変えることを意味するものとする。
【0014】
現在のところ、有機太陽電池の問題は、研究所でこれまでに達成した6〜7%という最も高い効率でさえ、まだ低すぎることである。ほとんどの適用、特に大面積適用のために、約10%の効率が必要であると考えられている。有機半導体の輸送特性が(無機半導体と比べて)比較的低いこと、およびそれと関連して、有機太陽電池に使用可能な吸収体の層厚が制限されることを理由に、そのような効率は、タンデムセルを活用して最も良く実現することができると一般に想定されている(例えば、非特許文献6、特許文献6参照。)。特に、タンデムセルを活用して、将来的には、最大で15%までの効率が可能であろう。そのようなタンデム太陽電池の従来の構築において、2つのサブセルに、様々な吸収体系が使用され、これらは、最大の領域を利用するために、太陽スペクトルの異なる部分(重なっている可能性もある)で吸収する。ここでは、一方のサブセルの吸収体系は、短波スペクトル領域(好ましくは可視領域)で吸収し、他方のサブセルの吸収体系は、長波スペクトル領域(好ましくは赤外線域)で吸収する。図1は、従来の構築のタンデムセルの2つのサブセルにおける吸収スペクトルの分布の概略を示している。
【0015】
これらのタンデムセルの欠点は、赤外線吸収体を有するサブセルがもたらす開回路電圧が、他方のサブセルよりも低く、したがって、このサブセルが、部品の効率に、相対的にわずかしか寄与することができないことである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】国際公開第2004/083958号パンフレット
【特許文献2】米国特許第5,093,698号明細書
【特許文献3】欧州特許出願公開第0000829号明細書
【特許文献4】米国特許第6,559,375号明細書
【特許文献5】米国特許出願公開第2005/0110005号明細書
【特許文献6】独国特許出願公開第102004014046号明細書
【非特許文献】
【0017】
【非特許文献1】シー・ダブリュー・タン(C.W. Tang)ら,Appl. Phys. Lett. 48, 183 (1986)
【非特許文献2】マーティン・ファイファー(Martin Pfeiffer),「真空蒸着した有機色素層の制御ドーピング:基礎と応用(Controlled doping of organic vacuum deposited dye layers: basics and applications)」,PhD論文,TU-ドレスデン,1999
【非特許文献3】エム・ヒラモト(M. Hiramoto)ら,Mol. Cryst. Liq. Cryst., 2006, 444, pp. 33-40
【非特許文献4】ヒラモト(Hiramoto),Appl. Phys. Lett. 58, 1062 (1991)
【非特許文献5】ヒラモト(Hiramoto),Chem. Lett., 1990, 327 (1990)
【非特許文献6】タイェベ・アメリ(Tayebeh Ameri)ら,有機タンデム太陽電池:レビュー(Organic tandem solar cells:A review),Energy Environ. Sci., 2009, 2, 347-363
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
したがって、本発明の一目的は、上述した欠点を克服する有機光活性部品を特定することである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明によれば、この目的は、主請求項による有機光活性部品によって達成される。有利な構成は、従属請求項において特定される。
【0020】
単一、タンデムまたは多重セルの形態をとる本発明の部品は、2つの電極を有し、1つの電極は、基板上に配置され、1つは、最上部の対電極として配置される。電極間には、吸収体系としての光活性アクセプター−ドナー層系があり、それは、少なくとも3つの吸収体材料を有する。少なくとも2つの吸収体材料は、ドナーまたはアクセプターであり、ドナーまたはアクセプターの形態をとる2つの吸収体材料の一方は、他方の吸収体材料よりも大きい波長で吸収し、2つの吸収体材料の一方は、他方の吸収体材料よりも、小さいストークスシフトおよび/または狭い吸収幅を有する。
【0021】
本発明の文脈においては、ストークスシフトを、吸収極大とフォトルミネセンス極大との間のnm単位の距離として定義する。
【0022】
ドナーとは、電子を放出する材料を指す。アクセプターとは、電子を吸収する材料を指す。
【0023】
吸収体材料とは、400nmより大きい波長域で吸収する材料を意味すると理解する。
【0024】
ここでは、有機膜の吸収幅または吸収域とは、局所吸収極大のnm単位の半値幅(half−height width)(局所吸収極大の50%での幅)、または局所吸収極大の20%の値でのnm単位の吸収スペクトル幅を意味すると理解する。その2つの定義のうちの1つが適用されることは、本発明の範囲内である。
【0025】
本発明の一実施形態では、光活性層系は、少なくとも3つの吸収体材料1、2、3を有し、吸収体材料1および吸収体材料2がドナーであり、吸収体材料3がアクセプターである。この場合、吸収体材料2は、吸収体材料1よりも小さいストークスシフトを有する。
【0026】
本発明の一実施形態では、光活性層系は、少なくとも3つの吸収体材料1、2、3を有し、吸収体材料1および吸収体材料2がアクセプターであり、吸収体材料3がドナーである。この場合、吸収体材料2は、吸収体材料1よりも小さいストークスシフトを有する。
【0027】
本発明の一実施形態では、光活性層系は、少なくとも3つの吸収体材料1、2、3を有し、吸収体材料1および吸収体材料2がドナーであり、吸収体材料3がアクセプターである。この場合、吸収体材料2は、吸収体材料1よりも狭い吸収幅を有する。
【0028】
本発明の一実施形態では、吸収体系においてドナーまたはアクセプターの形態をとる、少なくとも2つの吸収体材料の一方は、他方の吸収体材料よりも狭い吸収幅を有する。
【0029】
本発明の一実施形態では、光活性層系は、少なくとも3つの吸収体材料1、2、3を有し、吸収体材料1および吸収体材料2がアクセプターであり、吸収体材料3がドナーである。この場合、吸収体材料2は、吸収体材料1よりも狭い吸収幅を有する。
【0030】
本発明の一実施形態では、吸収体系は、ドナー−アクセプター系からなり、吸収体系の吸収幅は、少なくとも200nm〜250nmの幅を有する。
【0031】
本発明の一実施形態では、吸収体系は、少なくとも3つの吸収体材料1、2、3を有する光活性アクセプター−ドナー層系からなる。吸収体材料1および吸収体材料2は、両方ともドナー、または両方ともアクセプターであり、吸収体材料2が、吸収体材料1よりも大きい波長で吸収し、吸収体材料2が、吸収体材料1よりも小さいストークスシフトおよび/または狭い吸収幅を有する。
【0032】
本発明のさらなる実施形態では、吸収体系は、少なくとも3つの吸収体材料1、2、3を含む、光活性アクセプター−ドナー層系からなる。
【0033】
吸収体材料1および吸収体材料2は、両方ともドナー、または両方ともアクセプターであり、吸収体材料2が、吸収体材料1よりも小さい波長で吸収し、吸収体材料2が、吸収体材料1よりも小さいストークスシフトおよび/または狭い吸収幅を有する。
【0034】
本発明の一実施形態では、吸収体系においてドナーまたはアクセプターの形態をとる、少なくとも2つの吸収体材料の一方は、他方の吸収体材料よりも大きい波長で吸収する。
【0035】
本発明の一実施形態では、吸収体系は、少なくとも2つの吸収体材料1、2を含み、第2の吸収体材料2が、吸収体材料1よりも大きい波長で吸収する。
【0036】
本発明の一実施形態では、吸収体系においてドナーまたはアクセプターの形態をとる、少なくとも2つの吸収体材料の一方は、他方の吸収体材料よりも小さい波長で吸収する。
【0037】
本発明のさらなる実施形態では、第2の吸収体材料2は、第1の吸収体材料1よりも狭い吸収域を有する。
【0038】
本発明の構造の利点は、太陽電池が、先行技術と比較して、同じ吸収域について、より高い開回路電圧をもたらすことができることである。
【0039】
太陽電池の効率が10%以上となり得る十分な電力を全体に発生させるために、タンデムまたは多重セル中の吸収体系の吸収幅は、少なくとも200nm〜250nmの幅を有しなければならない。例えば、一方のサブセルは、400nm〜650nmを吸収することができ、他方のサブセルは、650nm〜900nmを吸収することができる(図2)。さらなる実施形態では、部品は、有機pin太陽電池、または有機pinタンデム太陽電池として構成される。タンデム太陽電池とは、2つの直列接続太陽電池を垂直方向に積層したものからなる太陽電池を指す。
【0040】
本発明の一実施形態では、第1の吸収体材料1および第2の吸収体材料2は、両方ともドナー、または両方ともアクセプターである。
【0041】
本発明のさらなる実施形態では、第2の吸収体材料2は、第1の吸収体材料1よりも小さいストークスシフトを有する。
【0042】
本発明のさらなる実施形態では、第1の吸収体材料1および/または第2の吸収体材料2は、混合層中に少なくとも部分的に存在する。
【0043】
本発明のさらなる実施形態では、吸収体系の少なくとも2つの吸収体材料は、混合層中に少なくとも部分的に存在する。
【0044】
本発明のさらなる実施形態では、吸収体系においてドナーまたはアクセプターの形態をとる、少なくとも2つの吸収体材料のうちの一方のHOMO準位は、他方の吸収体材料と0.2eV以下、好ましくは0.1eV以下の差で異なる。例えば、吸収体材料2のHOMO準位と吸収体材料1のHOMO準位は、0.2eV以下、好ましくは0.1eV以下の差で異なる。吸収体材料2が、吸収体材料1よりも長い波長で吸収する場合、吸収体材料2は、一般に、開回路電圧を制限することとなり、また、不必要に電圧を失わないように、吸収体材料2のHOMO準位は、吸収体材料1のHOMO準位よりもはるかに高くなるべきではない。
【0045】
本発明のさらなる実施形態では、ドープされていない、部分的にドープされている、または完全にドープされている1つまたは複数の輸送層も、部品中に存在する。これらの輸送層は、好ましくは450nm未満、非常に好ましくは400nm未満に吸収極大を有する。
【0046】
本発明のさらなる実施形態では、少なくとも1つのさらなる吸収体材料(吸収体材料3)が、吸収体系に存在し、吸収体材料1、2および3のうちの2つ以上は、最大幅のスペクトル領域をカバーするように互いに補完し合う、異なる光学吸収スペクトルを有する。
【0047】
本発明のさらなる実施形態では、吸収体材料1、2および3のうちの少なくとも1つの吸収域は、700nm超〜1500nmの波長域の赤外線域に及ぶ。
【0048】
本発明のさらなる実施形態では、吸収体材料1、2および3のうちの少なくとも1つは、フラーレンもしくはフラーレン誘導体、フタロシアニン、ペリレン誘導体、TPD誘導体またはオリゴチオフェン誘導体からなる部類から選択される吸収体材料である。
【0049】
本発明のさらなる実施形態では、部品は、タンデムまたは多重セルからなる。部品は、好ましくは、nip、ni、ip、pnip、pni、pip、nipn、nin、ipn、pnipn、pninまたはpipn構造の組み合わせからなり、そこで、少なくとも1つのi層を含有する2つ以上の独立の組み合わせが積み重ねられている。
【0050】
本発明のさらなる実施形態では、部品の層系の層は、入射光の光路を伸ばす光トラップの形態をとる。
【0051】
本発明のさらなる実施形態では、使用される有機材料は、小分子である。本発明の文脈において、小分子とは、100から2000の間の単分散モル質量を有し、かつ、標準圧(周囲雰囲気の空気圧)下および室温で固相で存在する非重合有機分子を意味するものとする。より詳細には、これらの小分子はまた、光活性であってもよく、「光活性」とは、分子が、光の入射下で、それらの電荷状態を変えることを意味するものとする。
【0052】
本発明のさらなる実施形態では、使用される有機材料は、少なくとも部分的にポリマーである。
【0053】
本発明のさらなる実施形態では、有機層は、少なくとも部分的に小分子から、少なくとも部分的にポリマーから、または小分子とポリマーの組み合わせからなる。
【0054】
本発明のさらなる実施形態では、部品は、少なくともある一定の光波長域内で半透明である。
【0055】
本発明のさらなる実施形態では、部品は、平坦、曲がった、または柔軟な支持体表面上で使用される。これらの支持体表面は、好ましくは、プラスチックフィルムまたは金属箔(例えば、アルミニウム、鋼鉄)などである。
【0056】
本発明のさらなる実施形態では、部品は、タンデムセルの形態で実現される。タンデムセルにおいては、両方のサブセルが、同程度に吸収する、および/または同量の電力を発生させることが重要である。この理由は、一方のサブセルの吸収の幅が狭すぎれば、当該のサブセルは、十分な電力を発生させず、そのため低電流は、タンデムセルにおいて制限されるので、部品全体は、効率が低くなるからである。しかし、吸収の幅がより広い有機吸収体においては、フォトルミネセンスもまたさらに変化し、ストークスシフトがより大きくなることが問題である。しかし、より大きいストークスシフトは、材料におけるより大きいエネルギー損失を意味する(再構成プロセスによる。フォトルミネセンスレベルは、どのくらいエネルギーが、その系に存在しているかを示す。)。結局のところ、これは、(同じ極大吸収波長について)吸収の幅が比較的広い材料によって、低い開回路電圧のみが達成可能であることを意味する。これは、直接的に、赤外線吸収体についての問題を引き起こす。つまり、バンドギャップが小さいため、達成できる開回路電圧は、いかなる場合でも、すでに低い。しかし、赤外線吸収体系を有するサブセルが、今、別のサブセルと全く同じだけの電流を発生させるためには、赤外線吸収体は、同様に、吸収の幅が広くなくてはならず、それにより、全体で、非常に小さい開回路電圧が生じる。この結果は、そのような系では、仮にそうなったとしても、10%の効率の目標が、非常に大きな困難を伴ってのみ達成可能であるというものである。本発明の一実施形態では、この問題は、より短い波長(好ましくはVIS)で吸収し、したがって、比較的高い開回路電圧をもたらすことができる吸収の幅の広い材料(材料1)と、より長い波長(好ましくは赤外線)で吸収するが、ストークスシフトが小さいので、材料1と同じ開回路電圧を同様にもたらすことができる吸収の幅の狭い材料(材料2)との組み合わせからなる吸収体系によって解決される(図3)。
【0057】
本発明の一実施形態では、吸収体材料2の吸収幅は、吸収体材料1の吸収幅よりも、20nm〜250nm、より好ましくは50nm〜100nm狭い。
【0058】
本発明の一実施形態では、第2の吸収体材料2は、第1の吸収体材料1と比較して、より高いまたは非常に高い吸収度(最大光学濃度値)を有する。
【0059】
本発明の一実施形態では、本発明の光活性部品の好ましい構造は、比較的短い波長(好ましくはVIS)で吸収する、吸収の幅が広い吸収体材料(材料1)と、より長い波長(好ましくは赤外線)で吸収する、吸収の幅が狭い吸収体材料(材料2)との組み合わせを含む。この場合、材料1および2は、単層として、または混合層、もしくは任意の所望の組み合わせとして存在し得る。
【0060】
本発明の一実施形態では、吸収体材料1と2の両方が、ドナーまたはアクセプターである。吸収体系は、少なくとも3つの吸収体材料からなり、吸収体材料1および2がアクセプターである場合、吸収体材料3は、ドナーであり、または吸収体材料1および2がドナーであれば、吸収体材料3は、アクセプターである。
【0061】
本発明の光活性部品の吸収体系は、単一セルとして実現される場合、以下の構造(ここで、ILは、単層のことであり、MLは混合層のことである)、すなわち、
IL材料1/IL材料2/IL材料3、
IL材料2/IL材料1/IL材料3、
ML材料1/IL材料2、
ML材料1/IL材料2/IL材料3、
IL材料3/ML材料1/IL材料2、
ML材料2/IL材料1、
ML材料2/IL材料1/IL材料3、
IL材料3/ML材料2/IL材料1、
ML材料1/ML材料2、
ML材料1/ML材料2/IL材料3、
ML材料2/ML材料1/IL材料3、
材料1、2および3からなる、3つの構成成分の混合層
のうちの1つを有することができる。
【0062】
本発明の一実施形態では、本発明の光活性部品は、タンデムまたは多重セルとして実現される場合、下記の通りに実現される。
【0063】
第1のサブセルは、吸収の幅が広い材料(材料1)と、材料1よりも長い波長で吸収する、吸収の幅が狭い材料(材料2)との組み合わせを含み、第2のサブセルは、吸収の幅が広い材料(材料4)と、材料4よりも長い波長で吸収する、吸収の幅が狭い材料(材料5)との組み合わせを含む。
【0064】
本発明の一実施形態では、材料1および2は、可視波長域(VIS)で吸収し、材料4および5は、赤外線域(IR)で吸収する。
【0065】
したがって、そのタンデムセルは、各サブセルにおいて、VISおよびIR域の両方で吸収し、それ故に、従来のタンデム構造におけるように、太陽スペクトルの広い領域(好ましくは400nm〜900nm)を次々とカバーし、したがって、大きな電流をもたらす。しかし、これらのタンデムセルの本発明の特定の構造により、両方のサブセルは、大きな開回路電圧をもたらすことができ、したがって、従来の構造を有するタンデムセルと比較して、効率がより高い。
【0066】
本発明の一実施形態では、発明のタンデムセルにおいて、材料1と2の両方、または材料4と5の両方がそれぞれ、ドナーまたはアクセプターである。例えば、サブセル1の吸収体系1は、以下の構造(IL=単層、ML=混合層、材料)、すなわち、
IL材料1/IL材料2/IL材料3、
IL材料2/IL材料1/IL材料3、
ML材料1/IL材料2、
ML材料1/IL材料2/IL材料3、
IL材料3/ML材料1/IL材料2、
ML材料2/IL材料1、
ML材料2/IL材料1/IL材料3、
IL材料3/ML材料2/IL材料1、
ML材料1/ML材料2、
ML材料1/ML材料2/IL材料3、
ML材料2/ML材料1/IL材料3、
材料1、2および3からなる、3つの構成成分の混合層
のうちの1つを有することができる。
【0067】
そして、サブセル2の吸収体系2は、以下の構造、すなわち、
IL材料4/IL材料5/IL材料6、
IL材料5/IL材料4/IL材料6、
ML材料4/IL材料5、
ML材料4/IL材料5/IL材料6、
IL材料6/ML材料4/IL材料5、
ML材料5/IL材料4、
ML材料5/IL材料4/IL材料6、
IL材料6/ML材料5/IL材料4、
ML材料4/ML材料5、
ML材料4/ML材料5/IL材料6、
ML材料5/ML材料4/IL材料6、
材料4、5および6からなる、3つの構成成分の混合層
を有することができる。
【0068】
本発明の一実施形態では、材料4および5がアクセプターであれば、材料6は、ドナーであり、材料4および5がドナーであれば、材料6は、アクセプターである。
【0069】
本発明の一実施形態では、材料3および材料6も、同一であってもよい。材料1、2、4および5の1つまたは複数が、同一であることも可能である。
【0070】
次いで、3つ以上のサブセルからなるタンデムセルまたは多重セルは、サブセル1および2の上述の構造の任意の組み合わせであってもよい。
【0071】
本発明のさらなる実施形態では、光活性混合層の少なくとも1つは、アクセプターとして、フラーレンまたはフラーレン誘導体(C60、C70など)の群からの材料を含む。
【0072】
本発明のさらなる実施形態では、光活性混合層の少なくとも1つは、ドナーとして、フタロシアニン、ペリレン誘導体、TPD誘導体、オリゴチオフェンまたは国際公開第2006/092134号パンフレットに記載されている材料の部類からの材料を含む。
【0073】
本発明のさらなる実施形態では、光活性混合層の少なくとも1つは、アクセプターとして、材料フラーレンC60を含み、ドナーとして、材料4P−TPDを含む。
【0074】
本発明のさらなる実施形態では、コンタクトは、金属、導電性酸化物、特に、ITO、ZnO:Al、もしくは他のTCO、または導電性ポリマー、特に、PEDOT:PSSもしくはPANIからなる。
【0075】
複数混合層系において、電荷キャリアについて、準位の上昇という輸送問題が起こる。この輸送は、pin構造の電界を設けることによって、かなり容易となる。加えて、pin構造内の複数混合層は、最適な吸収を達成するために、ドープされたワイドギャップ輸送層を用いて移動させることができる。この目的のために、pin構造をnip構造に変えることが、非常に有利である場合もある。特に、複数混合層中の異なる材料が、異なる波長域で吸収する場合、構造(pinまたはnip)または輸送層の層厚を適切に選択することによって、異なる材料がそれぞれ、部品内の光の強度分布に関して、最適な位置に置かれることが可能になる。特に、タンデムセルの場合、この最適化は、個々のセルの光電流の釣り合わせ(balancing)を達成し、それにより最大の効率を達成するために非常に重要である。
【0076】
本発明の部品のさらなる実施形態では、構造がpnipまたはpni構造となるように、pドープ層も、第1の電子伝導層(n層)と、基板上に存在する電極との間に存在し、ドーピングは、直接のpn接触が、バリア効果を有さないが、好ましくはトンネル過程を通して、損失の少ない再結合をもたらすようなレベルで、好ましくは選択される。
【0077】
本発明のさらなる実施形態では、pドープ層はまた、構造がpipまたはpi構造となるように、部品において、光活性i層と、基板上に存在する電極との間にも存在してよく、追加のpドープ層は、i層からこのp層への、損失の少ない電子抽出ができるように、i層の電子輸送準位を下回る、最大でも0.4eV、好ましくは0.3eV未満のフェルミ準位を有する。
【0078】
本発明の部品のさらなる実施形態では、構造がnipnまたはipn構造となるように、n層系も、pドープ層と、反対電極との間に存在し、ドーピングは、直接のpn接触が、バリア効果を有さないが、好ましくはトンネル過程を通して、損失の少ない再結合をもたらすようなレベルで、好ましくは選択される。
【0079】
さらなる実施形態では、n層系はまた、構造がninまたはin構造となるように、部品において、光活性真性層と、反対電極との間にも存在してよく、追加のnドープ層は、i層からこのn層への、損失の少ない正孔抽出ができるように、i層の正孔輸送準位を上回る、最大でも0.4eV、好ましくは0.3eV未満のフェルミ準位を有する。
【0080】
本発明の部品のさらなる実施形態では、部品は、構造がpnipn、pnin、pipn、またはp−i−n構造となるように、n層系および/またはp層系を含み、それは、外部電圧が部品に全くかけられていない場合に、光生成電子(photogenerated electrons)が、好ましくは、基板に輸送されるように、基板側上の光活性i層に隣接する層が、導電のタイプに関係なく、基板から離れた側の上のi層に隣接する層よりも低い熱仕事関数を有するという特徴をすべての場合において有する。
【0081】
上記構造の好ましい展開例では、これらは、有機タンデム太陽電池または多重太陽電池として実現される。例えば、部品は、nip、ni、ip、pnip、pni、pip、nipn、nin、ipn、pnipn、pninまたはpipn構造の組み合わせからなるタンデムセルであってよく、そこで、少なくとも1つのi層を含有するいくつかの独立の組み合わせが積み重ねられている(相互組み合わせ)。
【0082】
上記構造の特に好ましい実施形態では、それは、pnipnipnタンデムセルとして構成される。
【0083】
さらなる実施形態では、混合層中のアクセプター材料は、少なくとも部分的に結晶形である。
【0084】
さらなる実施形態では、混合層中のドナー材料は、少なくとも部分的に結晶形である。
【0085】
さらなる実施形態では、混合層中のアクセプター材料とドナー材料の両方が、少なくとも部分的に結晶形である。
【0086】
さらなる実施形態では、アクセプター材料は、450nmより大きい波長域に吸収極大を有する。
【0087】
さらなる実施形態では、ドナー材料は、450nmより大きい波長域に吸収極大を有する。
【0088】
またさらなる実施形態では、前述した混合層に加えて、光活性i層系もまた、光活性な単層または混合層をさらに含む。
【0089】
さらなる実施形態では、n材料系は、1つまたは複数の層からなる。
【0090】
さらなる実施形態では、p材料系は、1つまたは複数の層からなる。
【0091】
さらなる実施形態では、ドナー材料は、オリゴマー、特に、国際公開第2006/092134号パンフレットによるオリゴマー、ポルフィリン誘導体、ペンタセン誘導体、または、DIP(ジインデノペリレン)、DBP(ジベンゾペリレン)などのペリレン誘導体である。
【0092】
さらなる実施形態では、p材料系は、TPD誘導体(トリフェニルアミン二量体)、スピロピラン、スピロキサジンなどのスピロ化合物、MeO−TPD(N,N,N’,N’−テトラキス(4−メトキシフェニル)ベンジジン)、ジ−NPB(N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(N,N’−ジ(1−ナフチル)−N,N’−ジフェニル(1,1’−ビフェニル)−4,4’−ジアミン)、MTDATA(4,4’,4’’−トリス−(N−3−メチルフェニル−N−フェニルアミノ)トリフェニルアミン)、TNATA(4,4’,4’’−トリス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]トリフェニルアミン)、BPAPF(9,9−ビス{4−[ジ(p−ビフェニル)アミノフェニル]}フルオレン)、NPAPF(9,9−ビス[4−(N,N’−ビスナフタレン−2−イルアミノ)フェニル]−9H−フルオレン)、スピロ−TAD(2,2’,7,7’−テトラキス(ジフェニルアミノ)−9,9’−スピロビフルオレン)、PV−TPD(N,N−ジ−4−(2,2−ジフェニルエテン−1−イル)フェニル−N,N−ジ−4−メチルフェニルフェニルベンジジン)、4P−TPD(4,4’−ビス(N,N−ジフェニルアミノ)テトラフェニル)、または独国特許出願公開第102004014046号明細書に記載されているp材料を含む。
【0093】
さらなる実施形態では、n材料系は、フラーレン、例えば、C60、C70;NTCDA(1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物)、NTCDI(ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド、またはPTCDI(ペリレン−3,4,9,10−ビス(ジカルボキシミド))を含む。
【0094】
さらなる実施形態では、p材料系は、pドーパントを含み、このpドーパントは、F4−TCNQ、独国特許出願公開第10338406号明細書、独国特許出願公開第10347856号明細書、独国特許出願公開第10357044号明細書、独国特許出願公開第102004010954号明細書、独国特許出願公開第102006053320号明細書、独国特許出願公開第102006054524号明細書および独国特許出願公開第102008051737号明細書に記載されている通りのpドーパント、または遷移金属酸化物(VO、WO、MoOなど)である。
【0095】
さらなる実施形態では、n材料系は、nドーパントを含み、このnドーパントは、TTF誘導体(テトラチアフルバレン誘導体)もしくはDTT誘導体(ジチエノチオフェン)、独国特許出願公開第10338406号明細書、独国特許出願公開第10347856号明細書、独国特許出願公開第10357044号明細書、独国特許出願公開第102004010954号明細書、独国特許出願公開第102006053320号明細書、独国特許出願公開第102006054524号明細書および独国特許出願公開第102008051737号明細書に記載されている通りのnドーパント、またはCs、LiもしくはMgである。
【0096】
さらなる実施形態では、一方の電極は、透過率が80%より大きい場合、透明であり、他方の電極は、反射率が50%より大きく反射性である。
【0097】
さらなる実施形態では、部品は、透過率が10〜80%で半透明である。
【0098】
さらなる実施形態では、電極は、金属(例えば、Al、Ag、Au、またはそれらの組み合わせ)、導電性酸化物、特に、ITO、ZnO:Al、もしくは別のTCO(透明導電性酸化物)、導電性ポリマー、特に、PEDOT/PSS(ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)ポリ(スチレンスルホネート))もしくはPANI(ポリアニリン)、またはこれらの材料の組み合わせからなる。
【0099】
さらなる実施形態では、光トラップは、周期的に微細構造化される基板上に形成される部品によって実現され、その部品の均一な機能、すなわち、短絡のないコンタクト接続および領域全体にわたる電界の均一な分布は、ドープされたワイドギャップ層の使用を通して確実になる。超薄型部品は、構造化された基板上での局部短絡形成のリスクが高く、そこで、そうした明らかな不均一性は、結果的に、部品全体の機能性を損なう。この短絡リスクは、ドープされた輸送層の使用によって低下する。
【0100】
本発明のさらなる実施形態では、光トラップは、周期的に微細構造化される基板上に形成される部品によって実現され、その部品の均一な機能、すなわち、短絡のないコンタクト接続および領域全体にわたる電界の均一な分布は、ドープされたワイドギャップ層の使用を通して確実になる。光が、吸収体層を少なくとも2回通過し、そのことによって、光の吸収を増大させて、太陽電池の効率を向上させることができることが特に有利である。これは、例えば、高さ(h)および幅(w)がそれぞれ、1マイクロメーターから数百マイクロメーターまでの範囲にあるピラミッド様構造を表面上に有する基板によって達成することができる。高さおよび幅は、同一にまたは異なって選択されてもよい。さらに、そのピラミッドは、対称または非対称構造を有することも可能である。
【0101】
本発明のさらなる実施形態では、光トラップは、i層との界面が平滑であり、かつ、反射性コンタクトとの界面が凹凸になっている、ドープされたワイドギャップ層によって実現される。凹凸のある界面は、例えば、周期的に微細構造化することによって達成することができる。凹凸のある界面は、それが、拡散的に光を反射し、それにより、光活性層内の光路を伸ばす場合に、特に有利である。
【0102】
さらなる実施形態では、光トラップは、周期的に微細構造化される基板上に形成される部品、および、i層との界面が平滑であり、かつ、反射性コンタクトとの界面が凹凸になっている、ドープされたワイドギャップ層によって実現される。
【0103】
本発明のさらなる実施形態では、全体の構造に、透明なベースコンタクトおよびトップコンタクトが設けられている。
【0104】
本発明のさらなる実施形態では、光活性部品、特に、有機太陽電池は、電極と、反対電極と、それらの電極間にある、少なくとも2つの有機光活性混合層とからなり、各混合層が、少なくとも2つの材料を含み、各混合層のその2つの主要材料が、ドナー−アクセプター系からなる少なくとも1つの吸収体系を有し、吸収体系が、少なくとも200nm〜250nmの吸収幅を有する。吸収体系は、少なくとも2つの吸収体材料(材料1および2)を含み、材料2が、材料1よりも大きい波長で吸収し、材料2が、材料1よりも狭い吸収域を有する。
【0105】
さらなる実施形態では、2つの混合層は、互いに直接隣接し合い、1つの混合層の2つの主要材料のうちの少なくとも1つが、別の混合層の2つの主要材料以外の有機材料である。
【0106】
上記実施形態の展開例では、混合層のいくつかまたは全部の主要材料が、互いに異なる。
【0107】
本発明のさらなる実施形態では、3つ以上の混合層が、電極と反対電極との間に配置される。
【0108】
本発明のさらなる実施形態では、前述の混合層に加えて、さらなる光活性単層または混合層が存在する。
【0109】
本発明のさらなる実施形態では、少なくとも1つのさらなる有機層も、混合層系と1つの電極との間に存在する。
【0110】
本発明のさらなる実施形態では、少なくとも1つのさらなる有機層は、混合層系と反対電極との間にも存在する。
【0111】
本発明のさらなる実施形態では、さらなる有機層の1つまたは複数は、ドープされたワイドギャップ層であり、吸収極大が、450nm未満にある。
【0112】
本発明のさらなる実施形態では、混合層の少なくとも2つの主要材料は、異なる光学吸収スペクトルを有する。
【0113】
本発明のさらなる実施形態では、混合層の主要材料は、最大幅のスペクトル領域をカバーするように互いに補完し合う、異なる光学吸収スペクトルを有する。
【0114】
本発明のさらなる実施形態では、混合層の主要材料のうちの少なくとも1つの吸収域は、赤外線域に及ぶ。
【0115】
本発明のさらなる実施形態では、混合層の主要材料のうちの少なくとも1つの吸収域が、700nm超〜1500nmの波長域の赤外線域に及ぶ。
【0116】
本発明のさらなる実施形態では、主要材料のHOMOおよびLUMO準位は、系が、最大開回路電圧、最大短絡電流、および最大フィルファクターを可能にするように釣り合わされる。
【0117】
本発明のさらなる実施形態では、全体の構造に、透明なベースコンタクトおよびトップコンタクトが設けられている。
【0118】
さらなる実施形態では、本発明の光活性部品は、例えば、コンクリート、屋根のタイル、粘土、自動車ガラスなど、曲がった表面上に使用される。本発明の有機太陽電池は、従来の無機太陽電池と比較して、フィルム、布などの柔軟な支持体に適用できることが有利である。
【0119】
さらなる実施形態では、本発明の光活性部品は、本発明の有機層系の反対側に、接着手段、例えば、接着剤を有する、フィルムまたは布に適用される。これにより、必要に応じて任意の所望の表面に配置できる、粘着性のソーラーフィルムを製造することが可能となる。したがって、自己粘着性の太陽電池を得ることが可能となる。
【0120】
さらなる実施形態では、本発明の光活性部品は、フックアンドループ接続形態の、別の接着手段を有する。
【0121】
さらなる実施形態では、本発明の光活性部品は、電気機器またはデバイスに接続するために、エネルギーバッファまたはエネルギー貯蔵媒体、例えば、蓄圧器、コンデンサなどと連結して使用される。
【0122】
さらなる実施形態では、本発明の光活性部品は、薄膜電池と組み合わせて使用される。
【0123】
さらなる実施形態では、本発明の光活性部品は、本発明の有機層系の反対側に、接着手段、例えば、接着剤を有する、フィルムまたは布に適用される。これにより、必要に応じて任意の所望の表面に配置できる、粘着性のソーラーフィルムを製造することが可能となる。したがって、自己粘着性の太陽電池を得ることが可能となる。
【0124】
さらなる実施形態では、本発明の有機太陽電池は、フックアンドループ接続形態の、別の接着手段を有する。
【0125】
本発明を、以下で、より詳細に例示することとする。
【図面の簡単な説明】
【0126】
図1】先行技術による従来の構造を有する、タンデムセル中の2つのサブセルの吸収スペクトルの分布の概略図である。
図2】各吸収体系の吸収幅が、少なくとも200nmから250nmである、発明のタンデムセル中の2つのサブセルの吸収スペクトルの分布の概略図である。
図3】発明の単一セル中の材料1および2の吸収スペクトルの可能なプロファイルの例示的概略図である。
図4】発明の単一セル中の材料1および2の、吸収スペクトルおよびフォトルミネセンススペクトルの可能なプロファイルの例示的概略図である。
図5】材料2が、材料1と比較して、より高いまたは非常に高い吸収度(最大光学濃度値)を有する、発明の単一セル中の材料1および2の吸収スペクトルの可能なプロファイルの例示的概略図である。
図6】発明のタンデムセル中の2つのサブセル中の4つの材料の吸収スペクトルの分布の例示的概略図である。
図7】材料4および5が、材料1および2よりも高い吸収度を有する、発明のタンデムセル中の2つのサブセル中の4つの材料の吸収スペクトルの分布の例示的概略図である。
図8】発明のタンデムセル中の2つのサブセル中の4つの材料の吸収スペクトルの分布のさらなる例示的概略図である。
図9】材料2および5が、材料1および4よりも高い吸収度を有する、発明のタンデムセル中の2つのサブセル中の4つの材料の吸収スペクトルの分布のさらなる例示的概略図である。
図10】4つの材料が、太陽スペクトルの広い領域をカバーする、発明のタンデムセル中の2つのサブセル中の4つの材料の吸収スペクトルの分布のさらなる例示的概略図である。
図11】微細構造化される基板上の例示的光活性部品の構造の概略図である。
図12】例示的光活性部品の構造の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0127】
第1の実施例では、発明の配置の例示のために、材料1および2の吸収スペクトルおよびフォトルミネセンススペクトルを、図4に示す。
【0128】
さらなる実施例では、図5中の材料2は、材料1と比較して、より高いまたは非常に高い吸収度(最大光学濃度値)を有する。
【0129】
さらなる実施例では、発明の光活性部品の構造は、可視領域中の比較的短い波長で吸収する、吸収の幅が広い材料1と、赤外線域中の比較的長い波長で吸収する、吸収の幅が狭い材料2との組み合わせを含む。ここでは、材料1および2は、単層として存在する。
【0130】
上述の実施例の一構成では、材料1および2は、混合層の形態である。しかし、任意の所望の組み合わせが存在し得る。
【0131】
さらなる実施例では、材料1と2の両方がドナーである。
【0132】
さらなる実施例では、材料1と2の両方がアクセプターである。
【0133】
さらなる実施例では、材料2の吸収域は、材料1の吸収域よりも、20nm〜150nm、より好ましくは50nm〜100nm狭い。
【0134】
さらなる実施例では、吸収体系は、3つの材料からなり、材料1および2がアクセプターであり、材料3がドナーである。
【0135】
さらなる実施例では、吸収体系は、3つの材料からなり、材料1および2がドナーであり、材料3がアクセプターである。
【0136】
さらなる実施例では、本発明の光活性部品の吸収体系は、単一セルとして実現される場合、以下の構造(ここで、ILは、単層のことであり、MLは混合層のことである)、すなわち、
IL材料1/IL材料2/IL材料3、
IL材料2/IL材料1/IL材料3、
ML材料1/IL材料2、
ML材料1/IL材料2/IL材料3、
IL材料3/ML材料1/IL材料2、
ML材料2/IL材料1、
ML材料2/IL材料1/IL材料3、
IL材料3/ML材料2/IL材料1、
ML材料1/ML材料2、
ML材料1/ML材料2/IL材料3、
ML材料2/ML材料1/IL材料3、
材料1、2および3からなる、3つの構成成分の混合層
のうちの1つを有する。
【0137】
さらなる実施例では、第1のサブセルは、吸収の幅が広い材料(材料1)と、材料1よりも長い波長で吸収する、吸収の幅が狭い材料(材料2)との組み合わせを含み、第2のサブセルは、吸収の幅が広い材料(材料4)と、材料4よりも長い波長で吸収する、吸収の幅が狭い材料(材料5)との組み合わせを含む。
【0138】
図6のさらなる実施例では、材料1および2は、可視波長域(VIS)で吸収し、材料4および5は、赤外線域(IR)で吸収する。
【0139】
図7のさらなる実施例では、材料4および5は、材料1および2よりも高い吸収度を有する。
【0140】
図8のさらなる実施例では、材料1および4は、可視波長域(VIS)で吸収し、材料2および5は、赤外線域(IR)で吸収し、材料1と4および材料2と5の吸収スペクトルの分布が重なる。
【0141】
図9のさらなる実施例では、材料1および4は、可視波長域(VIS)で吸収し、材料2および5は、赤外線域(IR)で吸収し、材料1と4および材料2と5の吸収スペクトルの分布が重なり、材料4および5が、材料1および2よりも高い吸収度を有する。
【0142】
図10のさらなる実施例では、材料1および4は、可視波長域(VIS)で吸収し、材料2および5は、赤外線域(IR)で吸収し、材料2および5が、材料1および4よりも高い吸収度を有し、材料1と4および材料2と5が、吸収域のわずかな重なりを示す。
【0143】
さらなる実施例では、発明のタンデムセルにおいて、材料1および2並びに4および5の両方がドナーである。
【0144】
さらなる実施例では、発明のタンデムセルにおいて、材料1および2並びに4および5の両方がアクセプターである。
【0145】
さらなる実施例では、本発明の有機部品は、タンデムセルの形態をとり、この場合では、各サブセルが、第1のサブセルについては、吸収体系1を有し、第2のサブセルについては、吸収体系2を有する。サブセル1の吸収体系1は、以下の構造(IL=単層、ML=混合層)、すなわち、
IL材料1/IL材料2/IL材料3、
IL材料2/IL材料1/IL材料3、
ML材料1/IL材料2、
ML材料1/IL材料2/IL材料3、
IL材料3/ML材料1/IL材料2、
ML材料2/IL材料1、
ML材料2/IL材料1/IL材料3、
IL材料3/ML材料2/IL材料1、
ML材料1/ML材料2、
ML材料1/ML材料2/IL材料3、
ML材料2/ML材料1/IL材料3、
材料1、2および3からなる、3つの構成成分の混合層
のうちの1つを有する。
【0146】
サブセル2の吸収体系2は、以下の構造(IL=単層、ML=混合層)、すなわち、
IL材料4/IL材料5/IL材料6、
IL材料5/IL材料4/IL材料6、
ML材料4/IL材料5、
ML材料4/IL材料5/IL材料6、
IL材料6/ML材料4/IL材料5、
ML材料5/IL材料4、
ML材料5/IL材料4/IL材料6、
IL材料6/ML材料5/IL材料4、
ML材料4/ML材料5、
ML材料4/ML材料5/IL材料6、
ML材料5/ML材料4/IL材料6、
材料4、5および6からなる、3つの構成成分の混合層
のうちの1つを有する。
【0147】
さらなる実施例では、材料4および5は、アクセプターであり、材料6は、ドナーである。
【0148】
さらなる実施例では、材料4および5は、ドナーであり、材料6は、アクセプターである。
【0149】
さらなる実施例では、材料3および6は、同一である。
【0150】
さらなる実施例では、材料1、2、4および5のうちの1つまたは複数は、同一である。
【0151】
さらなる実施例では、サブセルのうちの1つにおける光活性混合層の少なくとも1つは、アクセプターとして、材料フラーレンC60を含み、ドナーとして、材料4P−TPDを含む。
【0152】
図11の本発明のさらなる実施例では、活性系における入射光の光路を伸ばすために、光トラップを使用する。
【0153】
光トラップは、周期的に微細構造化される基板上に形成される部品によって実現され、その部品の均一な機能、すなわち、短絡のないコンタクト接続および領域全体にわたる電界の均一な分布は、ドープされたワイドギャップ層の使用によって確実になる。光が、吸収体層を少なくとも2回通過し、そのことによって、光の吸収を増大させて、結果として、太陽電池の効率を向上させることができることが特に有利である。これは、例えば、図11におけるように、高さ(h)および幅(w)がそれぞれ、1マイクロメーターから数百マイクロメーターの範囲にあるピラミッド様構造を表面上に有する基板によって達成することができる。高さおよび幅は、同一にまたは異なって選択されてもよい。さらに、そのピラミッドは、対称または非対称構造を有することも可能である。ここでは、ピラミッド様構造の幅は、1μmから200μmの間である。ピラミッド様構造の高さは、1μmから1mmの間であり得る。
1.)図11についての定義
1μm<d<200μm
1μm<h<1mm
11.基板
12.電極、例えば、ITOまたは金属(10〜200nm)
13.HTLまたはETL層系(10〜200nm)
14.混合吸収体層1(10〜200nm)
15.混合吸収体層2(10〜200nm)
16.HTLまたはETL層系(10〜200nm)
17.電極、例えば、ITOまたは金属(10〜200nm)
18.入射光路
【0154】
さらなる実施例では、図12の本発明の光活性部品は、以下の層順序、すなわち、
1.)ガラス基板1、
2.)ITOベースコンタクト2、
3.)電子輸送層(ETL)3、
4.)混合吸収体層1(10〜200nm)4、
5.)混合吸収体層2(10〜200nm)5、
6.)正孔輸送層(HTL)6、
7.)トップコンタクト(例えば、金)9
を有する。
【符号の説明】
【0155】
1 基板
2 ベースコンタクト(電極)
3 輸送層系(ETLまたはHTL)
4 光活性層系1
5 光活性層系2
6 輸送層系(HTLまたはETL)
9 トップコンタクト(電極)
11 基板
12 電極
13 HTLまたはETL層系
14 混合吸収体層1
15 混合吸収体層2
16 HTLまたはETL層系
17 電極
18 入射光路
図1
図2
図3
図4
図5
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図10
図11
図12