(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の汚水処理装置の好ましい実施形態の一例として仮設トイレユニットについて説明する。
図1は、本発明の一実施形態(第1実施形態)に係る仮設トイレユニットのフロー図である。なお、以下に説明する本発明に係る仮設トイレユニット(汚水処理装置)に関する実施形態は、本発明を限定するものではない。
【0029】
<第1実施形態の仮設トイレユニットの全体構成>
まず、第1実施形態の仮設トイレユニット100について説明する。
図1に示すように、第1実施形態の仮設トイレユニット100は、仮設トイレ12と、原水槽16と、オゾン供給装置2と、反応槽7と、処理水槽10と、制御部90と、を主要な構成として備える。以下、仮設トイレユニット100を構成する各構成、構造、機能について説明する。
【0030】
<仮設トイレ>
まず、処理対象の汚水源となる仮設トイレ12について説明する。本実施形態の仮設トイレ12は、水洗便器13と、水タンク14と、トイレポンプ15と、を備える。水洗便器13には水タンク14に貯留される便器洗浄水が供給される。水タンク14には、後述する汚水処理された処理水及び放流水を処理した処理水が供給可能に構成される。トイレポンプ15は、仮設トイレ12から排出された汚水を原水槽16に送る。
【0031】
なお、手洗いや洗浄便座に用いる水には、加圧給水ポンプ機能を有し、水道水が供給される水道水タンク(図示省略)から供給される水が使用される。また、トイレポンプ15としては、異物を粉砕する機能を有する排水圧送ポンプを用いることができる。
【0032】
<原水槽>
原水槽16は、トイレポンプ15から汚水管151を通じて送られる汚水及び雑排汚水管152を通じて送られる雑排汚水が混合液として貯留される。原水槽16は、原水供給ライン181を介して反応槽7に接続されており、一旦原水槽16に貯留された汚水が原水供給ライン181を通じて反応槽7に送られる。
【0033】
<汚水管濾過部としてのフィルタ>
トイレポンプ15から原水槽16の間を接続する汚水管151には異物を除去する手段としてソックスフィルタ155が設けられ、汚水はソックスフィルタ155によって濾過されて原水槽16に移送される。本実施形態では、ソックスフィルタ155として、濾過精度110μm、BOD600mg/L未満の状態で処理対象の汚水を下流側に送るものが用いられる。なお、原水をろ過する手段としては、ソックスフィルタ155に限定されるわけではなく、100ミクロン程度の通常のフィルタ等、事情に応じて変更することができる。
【0034】
原水供給ライン181には、自給機能を有する吸引ポンプとしての原水ポンプ18が配置されており、この原水ポンプ18によって反応槽下部71に設けた汚水流入部74に汚水を圧送する。本実施形態の反応槽7には、1〜20L/分の汚水を供給可能な自給式ポンプが原水ポンプ18として用いられる。
【0035】
原水ポンプ18としては、一般的な地上設置型自給タイプを設置するか、又は水中ポンプを原水槽16内に設置することで、原水を原水槽16から反応槽7に供給する。なお、後述する第2実施形態で説明するように、原水ポンプ18の構成は事情に応じて適宜変更できる。
【0036】
<原水ライン濾過部としてのフィルタ>
フィルタ17は、原水供給ライン181に配置される原水ライン濾過部である。フィルタ17は、10ミクロン以下のものが使用される。本実施形態のフィルタ17は、トイレットペーパーに起因するセルロースを除去可能に構成されている。後述するノズル機構3に設けたノズルに異物が詰まらないように、圧損の比較的小さな10ミクロン以上の物質をろ過できるものが望ましい。仮設トイレ12内に設けた水洗便器13で発生する汚水は、原水槽16を経てフィルタ17でろ過後、反応槽下部71の汚水流入部74から反応槽7に流入する。
【0037】
<原水センサ>
原水センサ31は、反応槽7の入り口で濁度等の汚水(原水)の水質を測定する原水水質測定部である。原水センサ31はPHメータ、導電率計、TOCメータ、DOメータ等で水質を推定できるものであればよい。なお、原水センサを設置する場所は反応槽7等、配管経路中であれば適宜変更することができる。
【0038】
<水量計>
本実施形態では、原水供給ライン181における原水の供給量を検出する原水センサ31と汚水流入部74の間に水量計29が配置される。水量計29は、反応槽7に供給する水量を計測するものである。水量計29によって計測された水量情報は後述する制御部90に送られる。なお、水量計29の配置場所は、この場所に限定されるわけではない。例えば、原水供給ライン181の原水センサ31の上流側に水量計29を配置することもできる。
【0039】
<オゾン供給装置>
オゾン供給装置2は、オゾン供給管210を通じて反応槽7にオゾンを供給するオゾン供給手段である。本実施形態のオゾン供給装置2は、酸素をオゾン発生装置5に送る酸素発生装置4と、酸素からオゾンを生成するオゾン発生装置5と、酸素発生装置4とオゾン発生装置5の間に設けられる流量可変バルブ6と、を含むように構成される。
【0040】
酸素発生装置4は、オゾンを生成するための酸素をオゾン発生装置5に供給する酸素供給手段である。オゾン発生装置5は、酸素発生装置4によって供給される酸素から空中放電等の手段によりオゾンを生成する。本実施形態では、エアーテクニカ製、無声放電型オゾン発生器(定格AC100V,6.9A)をオゾン発生装置として使用している。無声放電型オゾン発生器によるオゾン発生量が供給酸素11L/分のときに、40g/時間であったものを使用している。なお、オゾンを生成する方法は事情に応じて適宜変更することができる。なお、酸素発生装置4の代わりに、簡易的には酸素ボンベを使用する事もできる。
【0041】
また、本実施形態のオゾン供給装置2は、オゾンの外部への漏出を検出するためのオゾン濃度センサ(図示省略)を更に備える。オゾン濃度センサは、オゾン供給装置2の下部に配置されており、空気よりも比重が重いオゾンを精度良く検出できるようになっている。本実施形態では、オゾン供給装置2に配置されるオゾン濃度センサとしては、ppbオーダーのオゾンを検出できるものが用いられる。
【0042】
<流量可変バルブ>
流量可変バルブ6は、酸素発生装置4からオゾン発生装置5に送られる酸素の供給量を調整可能に構成される。酸素発生装置4とオゾン発生装置5の間に設けた流量可変バルブ6の開度を絞り、酸素の供給量を減らすと、オゾン発生量は減少し、オゾン供給装置2から反応槽7へのオゾン供給量が減少する。逆に、流量可変バルブ6の開度を広げると、酸素の供給量は増加し、オゾン供給装置2か ら反応槽7へのオゾン供給量が増加する。
【0043】
本実施形態のオゾン供給装置2は、オゾン濃度15mg/L(15ppm)以上のオゾンを反応槽7に供給可能に構成される。オゾン供給装置2から供給されるオゾンは、反応槽7の下部に組み込まれるノズル機構3を通じて反応槽7の内部に送り込まれる。
【0044】
<投入オゾン濃度測定センサ>
本実施形態では、オゾン供給装置2と反応槽7の間に投入オゾン濃度測定センサ21が設けられる。投入オゾン濃度測定センサ21は、反応槽7に供給されるオゾンのオゾン濃度を測定するオゾンセンサである。この投入オゾン濃度測定センサ21によって後述する残留オゾン濃度測定センサ22との濃度差に応じたオゾンの最適制御が可能になり、安全で効率のよい仮設トイレの提供が可能になる。
【0045】
<反応槽>
反応槽7は、その内部で汚水処理を行う閉鎖型反応槽である。以下の説明において「反応槽」とは特に断わらない限り「閉鎖型反応槽」を示すものとする。また、「反応槽下部(閉鎖型反応槽下部)」とは、中央部から最下部までの部位を示し、「反応槽上部(閉鎖型反応槽上部)」とは中央部から最上端部までの部位を示すものとする。また、「閉鎖型」とは、気層部分の大部分が直接大気に開放されていないことをいい、この「閉鎖型」には、例えば、反応層に、封水部を介して外部と連通する部分が形成されたものや、フィルタ等を介して少量の気体を放出可能な排気構造が設けられたものが含まれる。
図1に示すように、本実施形態の反応槽7は、ノズル機構3と、残留オゾン濃度測定センサ22と、オゾン分解触媒部75と、排出オゾン濃度測定センサ76と、を含むように構成される。より具体的には、反応槽下部71に、汚水処理の対象となる汚水(原水)が流入する汚水流入部74及び後述するオゾン供給装置2から供給されるオゾンが流入するノズル機構3が組み込まれる。また、反応槽上部72に、残留オゾン濃度測定センサ22と、オゾン分解触媒部75と、排出オゾン濃度測定センサ76と、処理水排出部77と、が設置される。
【0046】
<ノズル機構>
ノズル機構3は、オゾン供給装置2からオゾンの供給を受けて10ミクロン以下の微細気泡として反応槽7内に吐出可能に構成される。ノズル機構3は圧損が比較的小さく、汚水処理対象の原水の汚濁度に合った1ミクロンから10ミクロン以下の気泡径を発生できるものが望ましいが、原水濃度によって最適なものを選定することができる。なお、ノズル機構の構成の一例について後述する。
【0047】
汚水処理の対象である汚水が原水供給ライン181からノズル機構3を通じて供給されると、オゾン微細気泡8に接触して酸化され浄化されながら上向流として上昇し、反応槽上部72に形成される処理水排出部77より処理水槽10に送られる。反応槽7の内部では、汚水(原水)は、ノズル機構3から気泡として噴出したオゾンによりその炭水化物、脂質等のBOD成分、COD成分が酸化作用を受け、加水分解等により低分子化学物質に変化することでBOD成分、COD成分が低下する。そして処理水として、反応槽7上部に設けた処理水排出部77から処理水配管9により処理水槽10へ送られ、処理水槽10に貯留される。
【0048】
なお、反応槽7は、汚水の滞留時間が仮設トイレ12からの流入水量に応じて所定の時間ごとに調整される。本実施形態では、0.3時間〜3時間を目安に流入水量等の各種条件に合わせて運転される。
【0049】
<オゾン分解触媒部>
オゾン分解触媒部75は、オゾンを分解してオゾン濃度を低下させるものである。オゾン分解触媒部75は、反応槽上部72に形成される気相部73に続くように接続される管路延長部110に配置される。上述のように、オゾン供給装置2によって反応槽7の内部に供給されたオゾンは酸化分解に使用されて消費されるものの、その全てが消費されるわけではなく、オゾン濃度は下がっていても気相部73に残留オゾン1が発生することがある。残留オゾン1の濃度によってはそのまま大気に放出できない場合もある。オゾン分解触媒部75は、残留オゾン濃度を大気にそのまま開放できる安全なレベル(1ppm)に下げることができるように構成される。本実施形態のオゾン分解触媒部75に用いられるオゾン分解触媒はゼオライトを主成分とするものであれる。オゾン分解触媒部75は、望ましい条件として線流速0.6m/秒以下、触媒接触時間は約1秒以上が設定される。また、残留オゾンには、水分が多量に含まれているため、触媒を保温のためヒートジャケット(180Wヒータ内臓)で被覆し、50℃以下にならないように調節される。
【0050】
<残留オゾン濃度測定センサ>
残留オゾン濃度測定センサ22は、機器の運転の制御のためにオゾン濃度を測定するオゾン濃度測定部である。本実施形態の残留オゾン濃度測定センサ22は、気相部73に接続される管路延長部110におけるオゾン分解触媒部75の上流側に配置されており、オゾン分解触媒部75で酸化分解される前のオゾン濃度を測定する。残留オゾン濃度測定センサ22はppmオーダー、例えば0〜100ppmのオゾンを測定可能なものが用いられる。この残留オゾン濃度測定センサ22の例としては、光学式の紫外線の吸収スペクトルを計測する方式のエアーテクニカ株式会社製のオゾンガス濃度モニター200g/Nm
3がある。
【0051】
<排出オゾン濃度測定センサ>
排出オゾン濃度測定センサ76は、排出オゾン濃度が環境基準や安全基準に比べて十分な安全性が確保されているかを計測するためにオゾン濃度を測定するオゾン濃度測定部である。本実施形態の排出オゾン濃度測定センサ76は、気相部73に接続される管路延長部110におけるオゾン分解触媒部75の下流側に配置されており、オゾン分解触媒部75で酸化分解された後のオゾン濃度を確認する。即ち、排出オゾン濃度測定センサ76は、大気に開放される前のオゾン濃度を検出する。排出オゾン濃度測定センサ76は、少なくとも0ppm〜50ppmの範囲、より好ましくは、ppbオーダー、例えば0〜250ppbの低濃度のオゾンを計測可能なオゾンセンサが用いられる。この排出オゾン濃度測定センサ76の例としては、計測器に限られるわけではなく、エフアイエス株式会社製のA051020−SP61のような半導体式のものを用いることもできる。排出オゾン濃度測定センサ76によって大気に排出される排ガス19のオゾン濃度が監視される。排ガス19のオゾン濃度レベルが一定の値を超えると、報知部としてのアラーム(図示省略)が作動するとともに、装置全体を停止させる制御を行うこともできる。これにより、安全性を更に向上させるフェールセーフが実現される。
【0052】
<処理水排出部>
処理水排出部77は、処理水槽10へ反応槽7で処理した処理水を排出する。本実施形態の処理水排出部77は、反応槽7の内部に連通している。具体的には、反応槽7の内部は、U字形状の封水構造部を有する処理水配管9を介して大気に連通している。処理水配管9は、処理水槽10に処理水を注ぐ配管であり、先端が大気開放されている。
【0053】
また、本実施形態の気相部73には、反応槽7と大気の連通機能を有する連通口79が設けられている。連通口79の大きさは、直径数ミリあれば、十分に機能する。オゾンガスが大気中に漏れるのを防止するため、逆止弁を反応槽と大気間に設けることや、U字管配管に水を溜めておいて、残留オゾンが大気に漏れないよう工夫するエアートラップ(封水)構造とすることも有力な手段である。なお、水位を速やかに安定させる観点では、連通口79を形成することが好ましいが連通口79を省略して処理水配管9によって大気に連通する気相部73を形成することもできる。
【0054】
<消泡剤投入口>
また、反応槽7には消泡剤投入口20が配置される。気相部73には、オゾン気泡のバッキにより、界面活性剤等の影響で微細な泡の発生することが頻繁にある。泡が発生すると、泡が管路を上昇し、排出オゾン濃度測定センサ76とオゾン分解触媒部75が濡れ、劣化や誤作動による不具合が発生する可能性 があるため、消泡剤の投入が可能な手段を設けることが望ましい。通常は、系外からの液注入可能なパイプ穴を設けておき、外部から必要に応じて消泡剤を消泡剤投入口20から気相部73に注入することが効果的である。
【0055】
<処理水センサ>
本実施形態の処理水配管9には処理水の水質を測定する処理水水質測定部としての処理水センサ32が配置される。処理水センサ32は、PHメータ、導電率計、TOCメータ、DOメータ等で水質を推定できるものであればよい。なお、処理水センサを設置する場所は反応槽7の処理水排出部77等適宜変更することができる。
【0056】
処理水配管9の圧力損失が発生するため、気相部73の液面は変化する。このH.W.L(最大水位)とL.W.L(最小水位)の変化幅を100mm程度になるよう設計することが望ましく、L.W.L(最小水位)は処理水排出部77の処理水配管9の内径の最下端の高さになる。
【0057】
H.W.L(最大水位)を超えて水位が上昇すると、気相部73に続く管路延長部110に水が入り込み、オゾン分解触媒部75と排出オゾン濃度測定センサ76が濡れる不具合が発生する可能性がある。従って、H.W.L(最大水位)を超えて水位が上昇すると、ポンプを停止して、原水の供給を止めることも有効な手段である。この場合、液面センサを気相部73の近傍に設けて検知することにする。
【0058】
<処理水槽>
処理水槽10は、反応槽下部71に設けた汚水流入部74に圧送された汚水が反応槽7で処理された処理水を貯留する。処理水槽10に貯留された処理水は、処理水ポンプ101によって処理水槽10に接続される便器洗浄水管11を通じて便器洗浄水として水タンク14に供給される。水洗便器13の便器洗浄水として処理水を再利用することにより、水循環型の仮設トイレとして機能することが可能になる。
【0059】
本実施形態では、便器洗浄水管11に洗浄水ろ過部105が設けられる。洗浄水ろ過部105は、2台のRO膜淡水浄水器を交互運転する方式が採用される。水タンク14には、洗浄水ろ過部105で処理されたものが便器洗浄水として送られる。
【0060】
<放流ポンプ>
本実施形態の処理水槽10は、放流水管26を通じて系外に処理水の一部を排出する放流ポンプ24を備える。仮設トイレ12の使用頻度が増してくると原水槽16へ手洗い水等の循環水によらない雑排汚水の流入量が増加するため、循環系外に水を排出する水排出フローが可能になっている。水排出フローでは、放流ポンプ24を利用して放流水として系外に処理水の一部を排出可能になっている。本実施形態では、放流水管26を通じて放流水を排出する経路には逆浸透ろ過膜23及び切替弁25が配置されている。
【0061】
<逆浸透ろ過膜>
逆浸透ろ過膜23は、処理水槽10から放流ポンプ24により放流水管26を通じて系外に排出される処理水を処理する。本実施形態では、操作圧力1MPa以下の低圧逆浸透ろ過膜が用いられる。これによってナノオーダーの微粒子が除去され、透明な放流水として放流されるので、各種環境基準を満たし、法的にも安心安全な仮設トイレとすることが可能である。操作圧力1MPa以下の低圧逆浸透ろ過膜を使用することにより、海水ほどの浸透圧は無いので、逆浸透ろ過膜23の操作圧力を1MPa以下に抑えても有効圧が十分取れるので、ポンプ圧を低く抑え、必要最小限の操作圧で運転することで、イニシャルコストを抑えることができる。
【0062】
<切替弁>
切替弁25は、放流水として放流水管26を通じて放流するか仮設トイレ12の便器洗浄用として再循環するかを選択できる。切替弁25によって放流水の一部を便器洗浄用として再循環することで、水の効率的な循環が望まれる場合にも対応でき、利便性を更に向上させることができる。
【0063】
<循環処理運転>
本実施形態の仮設トイレユニット100には、循環処理運転法が組み込まれる。仮設トイレ12では、時間帯によって使用頻度が異なる傾向がある。例えば、仮設トイレ12は、一般的に、夜間は昼間に比べ使用頻度が低く、流入する汚水も少なくなる。そこで、本実施形態では、処理水槽10に貯留した処理水を夜間等の使用頻度が低い時間帯に、反応槽に再循環させて更に浄化する方法を採用している。これにより、設備の有効活用が可能である。具体的には、上述の処理水槽10に設けた循環ポンプ33によって反応槽7に再循環させることにより実現可能である。
【0064】
循環処理運転は、目視によって人手によって運転を切り替えるようにしてもよいし、制御部90によって所定の条件で制御するようにしてもよい。
【0065】
<制御部>
制御部90は、仮設トイレユニット100の各種の制御を行うコンピュータである。
図2は、本発明の一実施形態に係る制御部90の電気的な構成を模式的に示すブロック図である。
図2に示すように、制御部90は、入力部、出力部及び予め記憶部(図示省略)に記憶されるプログラム等からなり、仮設トイレユニット100の各構成に電気的に接続されており、各構成の制御を行う。なお、制御部90は、後述する構造の一例に示すような制御盤27に収容される(
図4参照)。本実施形態の制御部90は、循環処理運転制御、水質制御及びオゾン供給量制御等の各種の制御を実行可能に構成される。
【0066】
<循環処理運転制御>
まず、所定の条件として水質を基準にして水質循環処理運転制御を行う場合について説明する。制御部90は、処理水センサ32の検出値を取得し、この処理水の水質の数値が所定以下の場合に循環処理運転を行う水質循環処理運転制御を実行する。循環処理運転制御では、処理水ポンプ101等の駆動を停止する一方、循環ポンプ33を駆動して反応槽7を循環させる。
【0067】
次に、制御部90が時間帯に応じて時間循環処理運転制御を行う場合について説明する。制御部90は、時間情報を出力するタイマを有し、該タイマから時間情報を取得し、時間情報に基づいて循環ポンプ33の駆動を制御する時間運転制御を実行する。例えば、制御部90は、使用頻度が低い夜間に循環処理運転が行われるように、循環ポンプ33の駆動及び処理水ポンプ101の停止等の制御を行う。
【0068】
以上、循環処理運転制御の一例を示したが、水質循環処理運転制御及び時間循環制御を組み合わせて循環させる構成としてもよい。例えば、夜間の循環処理を行っているときに処理水センサ32の検出値に基づいて処理水の水質が基準に達した場合に循環処理を停止するような制御としてもよい。
【0069】
<水質制御>
次に、制御部90による水質測定に基づいてオゾン濃度及びオゾン流量、ポンプ送水量を制御する水質最適制御について説明する。水質制御では、反応槽7の入り口に設けられる濁度計等の原水の水質を測定する原水センサ31によって、原水の水質を測定すると共に、処理水配管9に処理水の水質を測定する処理水センサ32によって処理水の水質を測定する。
【0070】
制御部90は、原水センサ31の検出値及び処理水センサ32の検出値に基づいて水質の数値を取得し、この水質の数値に応じてオゾン濃度及びオゾン流量、ポンプ送水量を制御する。例えば、処理水センサ32の水質が悪い傾向を示した場合はオゾン供給装置2を制御してオゾンの供給量を増やし、水質が十分に基準を達している場合はオゾン供給量を減らすような制御を行う。
【0071】
<オゾン供給量制御>
次に、制御部90による残留オゾン及びオゾン供給量の最適制御について説明する。制御部90は、残留オゾン濃度測定センサ22の検出値を取得し、オゾン供給装置2からのオゾン供給量を予め定めた値に基づいて制御する。汚水中の有機物濃度(汚染度)が高い場合には、高濃度のオゾンを供給しても、供給されたオゾンの大部分が液相中において汚水の浄化反応(酸化反応)により消費される。一方、汚水の有機物濃度(汚染度)が低い場合には、高濃度のオゾンを供給すると、反応しきれなかったオゾンが反応槽7の気相部73に到達し、反応槽7から外部に排出されてしまう。反応槽7を含めた仮設トイレユニット100のコンパクト化を実現する観点からは、気相部73のオゾン濃度が所定値を超えない範囲で高濃度のオゾンを反応槽7に供給できる構成を実現する必要がある。そこで、制御部90は、残留オゾン濃度測定センサ22の検出値に基づいてオゾン濃度が所定値を超えない範囲で高濃度のオゾンを反応槽7に供給する制御を行う。
【0072】
また、反応槽7で残留オゾン1の濃度が上昇すると、オゾン分解触媒部75への負荷が上がり、場合によっては十分な処理ができないおそれがある。また、オゾンが過剰に投入されることから、装置全体の運転効率が下がることになる。そこで、オゾン分解触媒部75の前に設ける残留オゾン濃度測定センサ22の値に応じてオゾン供給装置2からのオゾン供給量を予め定めた値に制御することにより、オゾン分解触媒部75の過剰な負荷及びオゾンの過剰供給を防止することができ、安全で省エネを達成する運転が可能となる。
【0073】
オゾン供給装置2で供給するオゾンの供給量調整は、酸素発生装置4又はオゾン発生装置5又はその両方を制御することで行うことができる。例えば、残留オゾン濃度測定センサ22の値に応じて酸素発生装置4の酸素発生量を、制御することにより同様の効果を上げることが可能である。また、残留オゾン濃度測定センサ22の値に応じてオゾン発生装置5のオゾン発生量を制御することにより同様の効果を上げることが可能である。
【0074】
<バッチ運転制御>
また、制御部90は、バッチ運転制御も可能になっている。例えば、反応槽7に所定量の原水を送り込んだ状態で原水ポンプ18の駆動を停止し、オゾン供給装置2によるオゾンの供給を開始する。オゾン供給装置2によるオゾンの供給は、汚水処理が完了するまで継続される。また、本実施形態では、上述の<オゾン供給量制御>を行いつつバッチ処理を行うことによって、バッチ処理を行う場合でも、オゾン量が過剰に供給される事態が防止されている。バッチ処理の完了タイミングは、時間、水質、残留オゾン濃度又はこれらの組み合せ等に基づいて判定する。例えば、時間、水質の基準値、残留オゾン濃度が所定以上の数値になると、バッチ処理が完了したと判定することができる。
【0075】
<水量制御>
また、制御部90は、水量計29が検出した水量情報に基づいて原水ポンプ18等を制御して反応槽7に供給する投入汚水量を増減させることができる。例えば、上記<オゾン供給量制御>と組み合わせて投入オゾンと原水の供給量(汚濁物質量)のバランスをとって十分に処理できていないときは水量を減らしたり、処理できる余裕がある場合は水量を増やしたりすることができる。これによって、反応速度が速い場合でも実際の状況に応じて精密な制御が可能となり、より高効率に運転を行うことができる。
【0076】
<各制御の組み合せ>
上述した循環処理運転制御、水質制御、オゾン供給制御、バッチ運転制御及び水量制御は、組み合せて行うことができる。例えば、バッチ処理を行った後に水質が環境基準に適合しない場合には循環処理運転を行って再度汚水処理を行うような構成とすることもできる。また、循環処理運転制御を行いながら、原水センサ31、処理水センサ32及び残留オゾン濃度測定センサ22の検出値を監視し、これらの検出値に基づいてオゾン供給量を設定することもできる。また、循環処理運転については、人手によって切り替える構成とした上で、水質制御又はオゾン供給制御又はその両方を組み合せた制御を行う構成としてもよい。また、循環処理運転制御、水質制御オゾン供給制御、バッチ運転制御及び水量制御の何れか1つのみの制御を行う構成としてもよい。このように、上述した制御は組み合せて使用することができる。
【0077】
以上説明した第1実施形態によれば、以下のような効果を奏する。
本実施形態の汚水処理装置としての仮設トイレユニット100を、オゾンによって汚水を浄化する反応槽7と、この反応槽7から流出した処理水を貯留する処理水槽10と、この処理水槽10に貯留された処理水の一部を反応槽に循環させる循環ライン102と、を含んで構成した。これにより、反応槽7で浄化された処理水の一部を再び反応槽7に循環させて処理水を更に浄化できる。よって、比較的容量の小さい反応槽7を用いた場合であっても、汚水を好適に浄化できるので、可搬性に優れたコンパクトな仮設トイレユニット100(汚水処理装置)を実現できる。
【0078】
汚水中の有機物濃度(汚染度)が高い場合には、高濃度のオゾンを供給しても、供給されたオゾンの大部分が液相中において汚水の浄化反応(酸化反応)により消費される。一方、汚水の有機物濃度(汚染度)が低い場合には、高濃度のオゾンを供給すると、反応しきれなかったオゾンが反応槽の気相に到達し、反応槽7から外部に排出されてしまう。そこで、仮設トイレユニット100(汚水処理装置)を、反応槽7の気相部におけるオゾン濃度を測定する残留オゾン濃度測定センサ22(オゾン濃度測定部)と、この残留オゾン濃度測定センサ22により測定されるオゾン濃度に基づいてオゾン供給装置2を制御する制御部90と、を含んで構成した。これにより、反応槽7の気相部のオゾン濃度を監視し、気相部73のオゾン濃度が所定値を超えない範囲で高濃度のオゾンを反応槽7に供給できるので、反応槽7における浄化能力を高めつつ、外部への所定値を超えるオゾンの排出を防げる。よって、汚水処理装置を、高性能かつ安全性高く構成できるので、可搬性に優れたコンパクトな汚水処理装置を実現できる。
本実施形態では、オゾン分解触媒部75の前に配置される残留オゾン濃度測定センサ22の検出値を用いるので、処理後の気相部の状態を応答性良くオゾンの供給量に反映することができ、現実の状況に即した高精度な運転制御を実現できる。
なお、気相部のオゾン濃度を検出する手段として、残留オゾン濃度測定センサ22の代わりに排出オゾン濃度測定センサ76の検出値に基づいて同様の制御を行う構成としてもよい。排出オゾン濃度測定センサ76の検出値を利用することで、排出されるガスのオゾン濃度をより厳密に検出することができる。本構成も、安全性をより一層向上させるという観点で有効である。
【0079】
一般的には、日本下水道事業団の平成21年発行「オゾン処理技術の技術評価に関する報告書」に報告されているように、活性汚泥法に代表される生物処理後の処理水についてオゾンを適用することが知られているが、本実施形態によれば、生物処理を受けていない原水に直接オゾンを適用する技術について、安全でかつ良好な処理が可能な処理装置を実現できるのである。更に、本実施形態の構成によって実現させる「処理性能について」は、条件にもよるが、オゾン気泡径10ミクロン以下、オゾン濃度50ppm、オゾン流量10L/分のオゾンを供給することにより、原水BOD200ppmを処理水BOD20ppmに除去率90%で運転することが可能である。原水の反応槽滞留時間は0.5時間から8時間であったが、時間を掛ければ除去率90%を達成できることができる。
【0080】
また、本実施形態の反応槽7は、下部にノズル機構3と汚水流入部74を有し、上部に気相部73と処理水排出部77と、を有する。これによって、特別な処理を施すことなくオゾン気泡が反応槽7の下部から上方に進ませて汚水処理を効率的にすることができる。また、処理水排出部77を上部に配置することによって、オーバーフローによって処理水を反応槽7の外側に自然に排出することができ、処理水を排出する構造をシンプルに実現することができる。
【0081】
また、本実施形態のオゾン供給装置2は、オゾン濃度15ppm以上のオゾンを供給でき、ノズル機構3は、直径10μm以下のオゾン気泡を発生できる。一般的には、日本下水道事業団の平成21年発行「オゾン処理技術の技術評価に関する報告書」に記述があるように、活性汚泥法に代表される生物処理後の処理水について、オゾン濃度は5〜15ppm程度のオゾンを適用することが知られている。本実施形態においては、オゾンは原水に直接作用させることから、オゾン供給装置2から、反応槽7の下部に設けたノズル機構3経由で、反応槽7にオゾン濃度15ppm以上 の高濃度で供給することで、短時間で汚水処理することが可能となる。
【0082】
また、反応槽上部72の気相部73に続く管路延長部110にオゾン分解触媒部75が配置されるので、残留オゾンがそのまま外部に排出される事態を防止できる。
【0083】
また、仮設トイレユニット100は、オゾン分解触媒部75の前に配置され、オゾン濃度を測定する残留オゾン濃度測定センサ(オゾン濃度測定部)22を備え、該残留オゾン濃度測定センサ22が測定したオゾン濃度の値に応じて予め定めたオゾン供給量に制御する。これによって、オゾン分解触媒部75に送り込む量又はオゾン分解触媒部75で処理された後の残留オゾン濃度に基づいてオゾン供給量が調節されるので、反応槽7の外部に排出される排ガスのオゾン濃度を実際の状況に応じて精密にコントロールすることができる。
【0084】
また、仮設トイレユニット100は、オゾン供給装置2に酸素を供給する経路に配置される流量可変バルブ6を備え、流量可変バルブ6の開度が調節されることによりオゾン供給量が制御される。流量可変バルブ6の開度を調節するというシンプルな処理でオゾン供給量を精密にコントロールできる構成を実現できる。
【0085】
また、原水供給ラインに10μm以上の固形物を除去可能なフィルタ17を設けるように構成される。これによって、原水から10μm以上の固形物が除去されるので、原水が流入する部分やオゾンを発生させる部分等に詰まりが生じる事態を効果的に防止することができる。
【0086】
仮設トイレユニット100は、原水の水質を測定する原水水水質検出部としての原水センサ31及び処理水の水質を測定する処理水水質検出部としての処理水センサ32を備え、原水センサ31及び処理水センサ32の水質の数値に応じて、オゾン濃度、オゾン流量及びポンプ送水量の少なくとも1つが調節される。これによって、実際の水質に応じてオゾン量を適切に制御することができ、より効率の良い運転が可能となる。
なお、原水センサ31の検出値及び処理水センサ32の両方を利用する構成に限らず、原水センサ31の検出値及び処理水センサ32の検出値の何れか一方の値に基づいてオゾン濃度、オゾン流量及びポンプ送水量の少なくとも1つを調節する構成や、反応槽7の内部の水質を測定するセンサを反応槽水質検出部として配置し、反応槽7内部の水質に基づいてオゾン濃度、オゾン流量及びポンプ送水量の少なくとも1つを調節する構成や、反応槽7の水質の検出結果を上記原水の水質の検出結果や処理水の水質の検出結果と組み合わせる構成等、事情に応じて適宜変更することができる。
【0087】
また、処理水が操作圧力1MPa以下の逆浸透ろ過膜23又は洗浄水ろ過部105にて処理される。これによって、処理水の水質を更に向上させることができるので、系外への放流又は便器洗浄水としての利用等、処理水の適用範囲を広げることができる。
【0088】
仮設トイレユニット100の装置全体を一体型とし、トラック荷台に積み込み可能な形状及び重量に構成されている。循環処理又はバッチ処理によって反応槽7の大型化を回避でき、仮設トイレユニット100のコンパクト化を実現できる。
【0089】
仮設トイレユニット100は、仮設トイレを備え、処理水排出部77からの処理水を仮設トイレ12の便器洗浄に利用可能に構成される。これによって、便器洗浄水を処理して再利用できるので、可搬性を維持しつつ、仮設トイレ12を水洗トイレ化することができる。
【0090】
仮設トイレユニット100は、反応槽7に送る原水を貯留する原水槽16と、原水槽16に送られる前の原水をろ過するソックスフィルタ155と、を備える。これによって、ソックスフィルタ155によって異物が除去された原水が貯留される原水槽16から原水を反応槽7に送ることができるので、循環処理やバッチ処理の際の待機時間に原水を原水槽16にバッファさせることができる。
【0091】
次に、第1実施形態の仮設トイレユニット100に適用される反応槽7及びノズル機構3の構造例について
図3及び
図4を参照して説明する。
図3は、本実施形態の仮設トイレユニット100に用いられる反応槽7の構造を示す図である。
図4は、本発明の一実施形態である仮設トイレユニット100の構造図である。
【0092】
<反応槽の構造例>
図3には、本発明の汚水処理装置としての仮設トイレユニット100が備える反応槽7の構造例が示される。
図3に示される反応槽7は、その材質がオゾンに耐性のある材料、例えばステンレス製となっており、その容量は0.06〜1.0m
3である。
図3に示すように、反応槽7の中央部は、直径0.4m、高さ0.7mの円筒状に構成される。また、反応槽7の中央部には、のぞき窓78が円筒の周面に2箇所設けられ、反応槽7内部の状況を目視確認できるようになっている。のぞき窓78の直径は0.3mに設定されている。また、反応槽7の中央部の下側及び上側は、いずれも略円錐状のコーン形状となっている。また、気相部73の近傍に、外部に続く連通管710を設け、水位を外部から監視できる構造とすることが有効な手段である。 管路延長部110にはサンプルコック28が配置されている。
【0093】
<ノズル機構の構造例>
ところで、ノズル径について安全性、経済性、処理性能の観点から、現時点の技術レベルで経済性にあったものを選定しているが、気泡径は小さければ小さいほど処理性能は良くなることが分かっている。オゾン気泡径10ミクロン以下であれば、従来技術と比べて有利になるが、1ミクロンのノズルと10ミクロンのノズルを併用することにより、1ミクロンのノズルが詰まっても、10ミクロンのノズルが詰まるまでには時間を要することが実験により判明したため、径の違うものを複数本用意することで、更に、処理の安定を図ることが可能となる。10ミクロン以下の複数種類の穴径を有する組み合わせも可能である。例えば、気孔径10ミクロン仕様を5本、気孔径3ミクロン仕様を5本等、適宜、液の性状や目標水質に応じて組み合わせることにより、穴詰まりを防ぎ、性能のばらつきに 対応することが可能になる。更に、ノズル機構3の取付け方向も、水平方向と垂直方向の組み合わせも可能であり、目詰まり防止と、均一な気泡の発生を可能にする。
【0094】
図5は、本発明の一実施形態である仮設トイレユニット100に用いられるノズル機構の構造図である。
図5に例示されるノズル機構3は、セラミック散気管310(直径20mm長さ150mm)、気孔径10ミクロン仕様を水平方向に2本設置し、SPG散気管320(直径10mm長さ200mm)、気孔径3ミクロン仕様を6本鉛直方向に上向きに設置される。オゾン気泡がノズルごとに吐出部位ごとに水深が少しずつ異なるように設置することで、水中に吐出するときのオゾン吐出圧が変化するので、目詰まり防止に効果がある。
【0095】
この構造例のノズル機構3では、複数本のセラミック製ノズル及びSPG(Shirasu Porous Glass)膜製ノズルの両方を組み合せて構成される。セラミック製ノズルとSPG膜製ノズルを併用することで、膜表面の濡れ性や表面エネルギーの違いにより、汚れに起因する閉塞への対応を効果的にできる。即ち、セラミック製ノズルとSPG膜製ノズルを併用することにより、より一層性能を安定化させることができる。
【0096】
また、本構造例では、ノズル機構3から送り出されるオゾン気泡のサイズ及びオゾン気泡が吐出される方向を異ならせることができ、反応槽7の内部でオゾン気泡が撹拌されてより一層高い洗浄性能を獲得することができる。
【0097】
<可搬式仮設トイレ>
図4に示すように、反応槽7の周辺機器を可能な限り一体に組み込み、トラック荷台に積み込んだ状態で、道路交通法に準拠し、公道を走行可能な寸法、重量とする可搬式仮設トイレユニットとすることで、移動後組立作業を最小限に抑えることが可能になり、利便性が高められる。本ユニットには、制御部90が内蔵される制御盤27も含まれる。実施例に示す仮設ユニットは、4トントラックの荷台に積み込み可能な設計となっている。
【0098】
<第2実施形態の仮設トイレユニットの全体構成>
図6は、第2実施形態の仮設トイレユニット200のフロー図である。なお、以下の説明において上記実施形態と同様の構成については同じ符号を付してその説明を省略することがある。
【0099】
第2実施形態では、原水ポンプ18に微細気泡供給ターボ機構を有するポンプを用いている。この原水ポンプ18が、第1オゾン供給手段としてのオゾン供給装置2に加えて第2オゾン供給手段として機能する。
【0100】
微細気泡供給ターボ機構を有するポンプは吸引ポンプであり、原水槽16から反応槽7に原水を移送する原水ポンプ18である。第2実施形態では、オゾンをオゾン供給装置2から原水ポンプ18に供給する配管としてオゾン供給管211が接続される。このオゾン供給管211を通じてオゾン発生装置5(オゾン供給装置2)からオゾンが原水ポンプ18に供給される。原水ポンプ18は、その内部でナノサイズ(数ナノメートル)の気泡を発生することが可能であり、オゾン酸化処理の高性能化を実現可能なものが用いられる。例えば、ニクニ製インバーター制御の渦流ターボミキサーポンプ(KTM25ND15ZE)、AC200V、1.5Kwが第2実施形態の原水ポンプ18として用いることができる。
【0101】
第2実施形態では、第1オゾン供給手段としてのオゾン供給装置2からノズル機構3を介して反応槽7に供給されるオゾン気泡はマイクロレベルであり、原水ポンプ18から反応槽7に送られるキャビテーションを利用したオゾン気泡はナノレベルとなっており、気泡のサイズが異なるように構成されている。このように、オゾン気泡のサイズを異ならせることにより、オゾン気泡による汚水の処理をより効果的に行うことができる。
【0102】
更に、オゾン供給装置2から供給されるオゾン気泡においても、<ノズル機構の構造例>で示したように、オゾン気泡を生じさせる径を異ならせることにより、オゾン気泡のサイズの多様性をより向上させることができ、種々のサイズのオゾン気泡によって洗浄効果をより一層高めることができる。即ち、原水ポンプ18(渦流ターボミキサーポンプ)のキャビテーションによるナノレベルのオゾン気泡と、ノズル機構3(セラミック散気管310及びSPG散気管320)による異なる径のマイクロレベルのオゾン気泡と、組み合わされることによって、オゾン気泡のサイズの多様性がより一層確保され、汚水処理の洗浄効果をより一層高めることができる。
【0103】
以上説明した第2実施形態によれば、以下のような効果を奏する。
第2実施形態のオゾン供給手段は、反応槽7にオゾン気泡を供給する第1オゾン供給手段としてのオゾン供給装置2と、反応槽7よりも上流側において、原水供給ライン181を流通する水にオゾン気泡を供給する第2オゾン供給手段としての原水ポンプ18と、を備える。これにより、オゾン発生装置5(オゾン供給装置2)からオゾンの供給を受けて超微細気泡(気泡径1ミクロン以下)を発生させて、オゾン酸化作用を強化することが可能である。実際に汚水供給量を1〜15L/分で運転し、良好な結果を得た。
【0104】
また、第2実施形態では、第2供給手段としての原水ポンプ18は、吸引ポンプであり、オゾン気泡と共に原水を前記反応槽に送り込むように構成される。これによって、反応槽7の手前でオゾンを原水に注入でき、オゾンと共に反応槽7に原水が送り込まれることになるので、処理効率を更に向上させることができる。
【0105】
原水ポンプ18は、微細気泡供給ターボ機構を有する。これによって、キャビテーションを利用することで、ナノレベルのオゾン気泡を生じさせることができ、より一層オゾン酸化作用を強化することができる。
【0106】
<第3実施形態の仮設トイレユニットの全体構成>
図7は、第3実施形態の仮設トイレユニット300のフロー図である。第3実施形態では、反応槽7に供給される原水をバッチ処理によって汚水処理を行う点が上記実施形態と異なっている。
【0107】
第3実施形態の仮設トイレユニット300は、反応槽7に所定量の原水を送り込んだ状態で原水ポンプ18の駆動を停止し、オゾン供給装置2によるオゾンの供給を開始する。オゾン供給装置2によるオゾンの供給は、汚水処理が完了するまで継続される。バッチ処理の完了タイミングは、第1実施形態の<バッチ運転制御>と同様に、時間、水質、残留オゾン濃度又はこれらの組み合せ等に基づいて判定することができる。第3実施形態においても、第1実施形態で説明した<オゾン供給量制御>を行いつつバッチ処理が行われる。これにより、バッチ処理によってオゾンをある程度の時間供給する場合であっても、オゾンが過剰に供給される事態を確実に防止することができる。
【0108】
バッチ処理が完了すると、反応槽7の内部に連通する処理水配管309を通じて処理水槽10に処理水を送る。本実施形態では、重力を利用して処理水を処理水槽10に送る。処理水配管309に電磁バルブを配置し、制御部90によって電磁バルブの開閉を行う構成としてもよい。なお、処理水を処理水槽10に送る構成としてポンプを配置し、ポンプを利用して処理水を圧送する構成や、第1実施形態と同様にオーバーフローを利用して所定量、処理水槽10に送る構成等にすることもできる。バッチ処理によって反応槽7の大型化を回避することができ、装置構成の可搬性及びコンパクト化が実現される。
【0109】
<第4実施形態の汚水処理装置の全体構成>
次に仮設トイレ以外に本発明を適用した例について説明する。
図8は、本発明の一実施形態に係る汚水処理装置500のフロー図である。
図8に示す汚水処理装置500は、仮設トイレ以外の汚水、例えばシャワー等の汚水を処理するためのものである。第1実施形態とは、仮設トイレ12等のトイレに関わる構成が省略されている点が異なっている。第4実施形態においても循環処理運転及びバッチ処理を実行できるように構成される。なお、循環処理運転のみを行うようにしてもよいし、バッチ処理のみを行う構成としてもよい。何れの場合においても、コンパクトに構成できて可搬性に優れた汚水処理装置を実現することができる。
【0110】
本技術では、15〜80ppmのオゾン濃度で運転することが経済性、安全性と処理性能面からみて望ましいが、経済性、安全性が担保できれば、必ずしもオゾン濃度は上限を定める必要はなく、オゾン濃度は高ければ高いほど短時間で処理が可能となる。
【0111】
以上説明した実施形態は、何れも、設置後、短期間に定格運転可能で、一定の水質基準を達成し、高効率に汚水を浄化する機能を有する汚水処理装置である。そして、本発明の一実施形態としてオゾン水による殺菌・消臭機能を有する水洗トイレ化を可能とする仮設トイレユニットとして適用することもできる。
また、上記実施形態では、汚水として、し尿を中心とした有機系の排水処理を例に説明したが、これに限られず、有機系染料の汚水を処理する汚水処理装置等にも本発明を適用できる。例えば、オゾン酸化による脱色や、BOD(BIOCHEMICAL OXYGEN DEMAND)、COD(CHEMICAL OXYGEN DEMAND)の除去等に本発明の汚水処理装置を適用することができる。このように本発明は、種々の汚水を高効率に処理でき、産業上の利用可能性を有するものである。
【0112】
また、上記実施形態から、少なくとも仮設トイレユニットにおいて、以下の技術思想を把握することができる。
(1)仮設トイレユニットは、オゾン濃度15ppm以上のオゾンを供給できるオゾン供給装置と、下部に直径10μm以下のオゾン気泡を発生できるノズル機構と汚水流入部を有し、上部に大気開放部と処理水排出部を有する密閉型反応槽とを備えることを特徴とする。
(2)(1)の構成において、前記密閉型反応槽上部の前記大気開放部に続く管路延長部に、オゾン分解触媒部とオゾン濃度測定部を有することを特徴とする。
(3)(2)の構成において、前記オゾン分解触媒部の前にオゾン濃度を測定するオゾンセンサを設け、オゾン濃度の値に応じて予め定めたオゾン供給量に制御することを特徴とする。
(4)(2)又は(3)の構成において、前記オゾン供給装置に酸素を供給する配管部に流量可変バルブを設け、前記オゾン分解触媒部の前にオゾン濃度を測定するオゾンセンサを設け、流量可変バルブを前記オゾン分解触媒部の前のオゾン濃度の値に応じて予め定めた開度に制御することを特徴とする。
(5)(1)から(4)の何れかの構成において、前記密閉型反応槽下部の前記汚水流入部の前配管路部に、10μm以上の固形物を除去可能なフィルタを設けたことを特徴とする。
(6)(1)から(5)の何れかの構成において、前記密閉型反応槽下部の前記汚水流入部に、微細気泡供給ターボ機構を有するポンプから汚水を供給することを特徴とする。
(7)(1)から(6)の何れかの構成において、前記処理水排出部の後に処理水を溜める処理水槽を設けて、当該処理水の一部を前記密閉型反応槽に戻すことを可能とすることを特徴とする。
(8)(1)から(7)の何れかの構成において、配管経路内に原水の水質を測定できる計器を設け、水質の数値に応じて、オゾン濃度及びオゾン流量、ポンプ送水量を制御することを特徴とする。
(9)(1)から(8)の何れかの構成において、前記処理水排出部からの処理水を仮設トイレの便器洗浄に利用可能とすることを特徴とする。
(10)(1)から(9)の何れかの構成において、前記処理水排出部からの処理水を、操作圧力1MPa以下の逆浸透ろ過膜にて処理することを特徴とする。
(11)(1)から(10)の何れかの構成において、装置全体を一体型とし、トラック荷台に積み込み可能な形状及び重量に構成することで可搬式にしたことを特徴とする。