(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6310156
(24)【登録日】2018年3月23日
(45)【発行日】2018年4月11日
(54)【発明の名称】粗さセンサの測定条件を決定するための方法、ワーク表面の粗さを測定するための方法、コンピュータプログラム製品、及び方法を実行するように設計された測定装置
(51)【国際特許分類】
G01B 5/28 20060101AFI20180402BHJP
【FI】
G01B5/28 102
【請求項の数】8
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-530053(P2017-530053)
(86)(22)【出願日】2016年1月22日
(65)【公表番号】特表2017-537322(P2017-537322A)
(43)【公表日】2017年12月14日
(86)【国際出願番号】EP2016051298
(87)【国際公開番号】WO2016134893
(87)【国際公開日】20160901
【審査請求日】2017年6月13日
(31)【優先権主張番号】102015203369.4
(32)【優先日】2015年2月25日
(33)【優先権主張国】DE
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】504267828
【氏名又は名称】カール・ツアイス・インダストリーエレ・メステクニク・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100147692
【弁理士】
【氏名又は名称】下地 健一
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ マインガー
【審査官】
櫻井 仁
(56)【参考文献】
【文献】
特開2000−310527(JP,A)
【文献】
特開昭59−168304(JP,A)
【文献】
実開昭62−173012(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 5/28
21/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの測定針(14)を備えた粗さセンサ(12)の測定条件を決定するための方法(20)であって、前記粗さセンサ(12)の前記少なくとも1つの測定針(14)が、第1の方法ステップ(21)において、表面(16)上に配置され、且つ前記プロセスにおいて前記少なくとも1つの測定針が、この表面(16)と接触し、前記方法(20)が、更なる第2の方法ステップ(22)を含み、ここで、前記少なくとも1つの測定針(14)が、この表面(16)上に載り、従って前記少なくとも1つの測定針が、前記表面(16)に沿って能動的には移動せず、前記粗さセンサ(12)が、この静止状態において、前記少なくとも1つの測定針(14)の測定信号を記録し、前記方法が、別の第3の方法ステップ(23)を含み、ここで、前記粗さセンサ(12)の信号線が、前述の更なる第2の方法ステップ(22)に加えて電気的に接地され、前記測定針(14)の前記測定信号が、この接地された静止状態において同様に記録される、方法(20)。
【請求項2】
後続の第4の方法ステップ(24)において、前記少なくとも1つの測定針(14)の前記決定された測定信号の統計的平均化に基づいた特徴が、前記静止状態における前記少なくとも1つの測定針(14)の前記測定信号用に、且つ/又は前記接地された静止状態における前記少なくとも1つの測定針(14)の前記測定信号用に確認される、請求項1に記載の、少なくとも1つの測定針(14)を備えた粗さセンサ(12)の測定条件を決定するための方法(20)。
【請求項3】
後続の第5のステップ(25)において、前記確認された特徴が、前記静止状態における前記少なくとも1つの測定針(14)の前記測定信号用の、且つ/又は前記接地された静止状態における前記少なくとも1つの測定針(14)の前記測定信号用の所定の閾値と比較され、前記閾値を超過した場合に障害信号が生成される、請求項2に記載の、少なくとも1つの測定針(14)を備えた粗さセンサ(12)の測定条件を決定するための方法(20)。
【請求項4】
前記特徴が、前記粗さセンサ(12)の前記測定値の後続の補正用に、更なるステップ(26)において格納される、請求項2又は3に記載の、少なくとも1つの測定針(14)を備えた粗さセンサ(12)の測定条件を決定するための方法(20)。
【請求項5】
少なくとも1つの測定針(14)を備えた粗さセンサ(12)によってワーク表面(16)の粗さを測定するための方法(30)であって、請求項2〜4のいずれか一項に記載の、粗さセンサ(12)の測定条件を決定するための方法(20)と、測定される前記ワーク表面(16)の表面セクションに沿って前記少なくとも1つの測定針(14)を案内するための方法ステップ(31)であって、この結果として、前記少なくとも1つの測定針(14)が、測定方向において能動的に移動し、且つ前記測定方向に垂直な平面における前記少なくとも1つの測定針(14)の移動が、前記ワーク表面(16)に沿った前記少なくとも1つの測定針(14)の能動的な移動中に記録される方法ステップ(31)と、を含み、更なる方法ステップ(32)において、前記ワーク表面(16)の粗さに関するユーザ情報が、前記測定方向に垂直な平面における前記少なくとも1つの測定針(14)の前記移動用の測定値に基づいて、且つ前記静止状態における前記少なくとも1つの測定針(14)の前記測定信号用に、及び/又は前記接地された静止状態における前記少なくとも1つの測定針(14)の前記測定信号用に確認された前記特徴に基づいて、確認され出力される、ワーク表面(16)の粗さを測定するための方法(30)。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法(20、30)に従って、少なくとも1つの測定針(14)を備えた粗さセンサ(12)を制御するためのコンピュータプログラム製品。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法(20、30)を実行するように構成された、少なくとも1つの測定針(14)を備えた粗さセンサ(12)、制御ユニット(9)及び評価ユニット(9)を含み、前記粗さセンサ(12)の前記信号線の接地を容易にする、前記粗さセンサ(12)用の制御電子機器を含む測定装置(28)。
【請求項8】
前記信号線の選択的な接地用の前記制御電子機器用に追加スイッチング素子を含む、請求項7に記載の測定装置(28)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粗さセンサの測定条件を決定するための方法、ワーク表面の粗さを測定するための方法、方法に関して粗さセンサを制御するためのコンピュータプログラム製品、及び方法を実行するように構成される測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例として、ワーク表面の粗さを測定するための粗さセンサ及び測定装置は、独国特許出願公告第100 20 735 B4号明細書、独国特許出願公開第102 30 009 A1号明細書、独国特許出願公告第103 34 219 B3号明細書、独国特許出願公告第10 2005 035 786 B3号明細書、独国実用新案第201 20 127 U1号明細書、独国実用新案第20 2013 102 043 U1号明細書、独国実用新案第20 2013 102 045 U1号明細書、欧州特許第2 207 006 B1号明細書、米国特許第7,363,181 B2号明細書、米国特許第7,373,807 B2号明細書、及び米国特許出願公開第2012/266475 A1号明細書から周知である。
【0003】
公開文献の独国特許出願公開第44 37 033 A1号明細書は、滑り案内(この点では独国特許第26 40 894号明細書を参照)とは対照的に、粗さの捕捉に加えてワークのうねり又は形状の確認を容易にする触針法を用いて粗さセンサを正確に案内するための推進装置を更に開示する。しかしながら、独国特許出願公開第44 37 033 A1号明細書による粗さセンサの不都合は、そのセンサが非常に敏感であり、そのことがまた、しばしば、気付かれない測定誤り又は誤作動につながり、その結果、この粗さセンサが、通常は、実験室環境においてのみ適しているということである。更に、その粗さセンサは、整備及び較正用に多額の費用を必要とし、且つそれは高価であり、従ってその結果として、抜き取り検査用にのみ使用されることが多い。ここでは、概して、センサは、周知の粗さを備えたガラス又はセラミックス板に基づいて較正される。
【0004】
従って、独国実用新案第20 2008 011 629 U1号明細書は、製造環境における使用のための異なる粗さセンサを提案する。この粗さセンサは、製造環境に存在する振動を捕捉するための振動検出器を含む。更に、この粗さセンサは、データ通信の適切なインターフェースを含む。これらの対策の結果として、この粗さセンサは、複雑で高価になる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、本発明の目的は、方法、即ち、その助けを借りて、製造に適した単純でコンパクトな、コスト効率の良い粗さセンサが実現され得る方法を特定することである。更に、本発明は、顧客の問題について、保守技術者が、粗さ測定装置の装置障害と、粗さ測定装置の不適当な環境又は不適当な設置との間を通常区別できないという問題を解決する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的は、少なくとも1つの測定針を備えた粗さセンサの測定条件を決定するための方法であって、粗さセンサの少なくとも1つの測定針が、第1の方法ステップにおいて表面に配置され、且つプロセスにおいて、前記少なくとも1つの測定針が、この表面と接触し、方法が、更なる第2の方法ステップを含み、ここで、少なくとも1つの測定針が、この表面上に載り、従って前記少なくとも1つの測定針が、前記表面に沿って能動的には移動せず、粗さセンサが、この静止状態において、少なくとも1つの測定針の測定信号を記録する方法によって達成される。ここで、本発明の意味内で、少なくとも1つの測定針を備えた粗さセンサは、EN ISO 3274に準拠するスタイラス器具であり、特に、測定針のスタイラス先端は、前述の規格のポイント4.1で定義された形状を有する。
【0007】
本発明によれば、振動の形及び電磁干渉の形における環境の影響又は測定条件が、測定される表面と接触している場合に、静止状態における粗さセンサの少なくとも1つの測定針の測定信号によって捕捉される可能性があること、及びその結果として、他の場合には必要とされる測定条件を捕捉するためのセンサが、余分になることが確認された。
【0008】
静止状態における測定に基づいて、粗さセンサに対する環境の影響は、ワークの表面の測定の最初か、さもなければ測定の完了後にいつでも、本発明による方法によって捕捉され得る。従って、環境の影響を捕捉するためのあり得るセンサを省くことが可能であり、その結果として、粗さセンサは、より単純でよりコンパクトな実施形態を有し得る。
【0009】
一実施形態において、少なくとも1つの測定針を備えた粗さセンサの測定条件を決定するための方法は、別の第3の方法ステップを含み、ここで、粗さセンサの信号線は、前述の更なる第2の方法ステップに加えて電気的に接地され、粗さセンサの少なくとも1つの測定針の測定信号は、この接地された静止状態において同様に記録される。この結果として、環境の影響の原因を考慮して、測定針に対する又は粗さセンサに対する環境の影響を分離することが可能である。電磁干渉は、測定針の静止状態及び接地された静止状態の両方において記録されてもよい。対照的に、環境からの振動は、静止状態でのみ捕捉されてもよく、接地された静止状態では捕捉されなくてもよい。
【0010】
本発明による方法の更なる実施形態では、後続の第4の方法ステップにおいて、少なくとも1つの測定針の決定された測定信号の統計的平均化に基づいた特徴が、静止状態における少なくとも1つの測定針の測定信号用に、且つ/又は接地された静止状態における少なくとも1つの測定針の測定信号用に確認される。統計的平均化は、ここでは、例えば二乗平均平方根又は算術平均の形成など、平均化用の標準的な数学的方法を意味すると理解される。確認された特徴を用いれば、振動の形で且つ電磁干渉の形で、環境の影響に関する信頼できる表現を得ることが可能であり、それに基づいて、ワーク表面の粗さの意味のある測定が可能かどうかに関して決定がなされ得る。これらの特徴はまた、粗さ測定装置の設置位置の相対的な評価を容易にする。
【0011】
一実施形態では後続の第5のステップにおいて、確認された特徴は、静止状態における少なくとも1つの測定針の測定信号用の、且つ/又は接地された静止状態における少なくとも1つの測定針の測定信号用の所定の閾値と比較され、閾値を超過した場合に障害信号が生成される。例として、この障害信号は、モニタに表示されてもよく、又はそれは、直前又は直後に確認されたワーク表面の粗さ値を無効としてマークするために用いられてもよい。ここで、粗さ値は、同様に、例えばモニタ上の対応するカラー表示によってグラフィカルに、さもなければ純粋に測定値ファイル内のソフトウェアにおいてマークされてもよい。
【0012】
本発明による方法の更なる実施形態において、特徴は、粗さセンサの測定値の後続の補正用に格納される。これらの格納された特徴は、続いて、ワーク表面上の有効な粗さ測定用の証拠として働き得る。
【0013】
更に、本発明の目的は、少なくとも1つの測定針を備えた粗さセンサによってワーク表面の粗さを測定するための方法であって、粗さセンサの測定条件を決定するための、既に上記で示された本発明による方法と、測定されるワークの表面セクションに沿って少なくとも1つの測定針を案内する方法ステップであって、この結果として、少なくとも1つの測定針が、測定方向において能動的に移動し、且つ測定方向に垂直な平面における少なくとも1つの測定針の移動が、ワーク表面に沿った少なくとも1つの測定針の能動的な移動中に記録される方法ステップと、を含む方法によって達成される。この結果として、少なくとも1つの測定針を備えた粗さセンサの測定条件を決定するための本発明による方法は、ワーク表面の粗さを測定する場合に、捕捉された粗さ測定値を確保するように実行され、測定条件を決定するための本発明による方法の実施形態は、測定の開始時直ぐにか、さもなければ測定されるワークの表面セクションを測定した直後に、本発明による粗さ測定の範囲内で実行される。
【0014】
ワーク表面の粗さを測定するための本発明による方法の一実施形態において、ワーク表面の粗さに関するユーザ情報が、測定方向に垂直な平面における少なくとも1つの測定針の移動用の測定値に基づいて、且つ静止状態における少なくとも1つの測定針の測定信号及び/又は接地された静止状態における少なくとも1つの測定針の測定信号用の確認された特徴に基づいて、確認され出力される。ここで、このユーザ情報は、モニタ上の出力を介して、粗さセンサのユーザ又はオペレータに直接向けられてもよく、さもなければそれは、粗さセンサの制御ソフトウェア又はユーザに転送されてもよい。このユーザ情報は、測定される表面の確認された粗さ値に関する測定値情報を含み、そこには、測定条件を文書化するための、且つ/又は更には確認された粗さ値を補正するための特徴が含まれている。
【0015】
更に、本発明の目的は、既に上記で示した本発明による方法の1つによる、少なくとも1つの測定針を備えた粗さセンサを制御するためのコンピュータプログラム製品によって達成される。
【0016】
本発明の目的は、既に上記で示した本発明による方法の1つを実行するように構成された、少なくとも1つの測定針を備えた粗さセンサ、制御ユニット及び評価ユニットを含む測定装置によって同様に達成される。
【0017】
一実施形態において、本発明による測定装置は、粗さセンサの信号線の接地を容易にする、粗さセンサ用の制御電子機器を含む。
【0018】
更なる実施形態において、測定装置は、この場合に、信号線の選択的な接地用の制御電子機器用に追加スイッチング素子を含む。静止状態における測定と接地された静止状態における測定との間の切り替えは、粗さセンサの信号線の選択的な接地によって容易にされる。
【0019】
本発明の更なる特徴及び利点は、本発明にとって不可欠な詳細を示す図に基づいた本発明の例示的な実施形態の以下の説明から、且つ特許請求の範囲から明らかになる。個別の特徴は、各場合に個々にそれだけで、又は本発明の変形における任意の所望の組み合わせにおける複数として実現されてもよい。
【0020】
本発明の例示的な実施形態は、図に関連して以下でより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】ポータル設計を備えた座標測定機の概略図を示す。
【
図3】粗さセンサの測定条件を決定するための本発明による方法の流れ図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1は、いわゆるポータル設計のクイル4を備えた座標測定機28を純粋に例示的な方法で示す。しかしながら、本発明が、全ての座標測定機において、従って特にまたブリッジ又はスタンド設計の座標測定機において、且つ多関節アーム又はロボット座標測定機において用いられ得ることが理解される。従って、本出願の範囲内で、座標測定機という句は、これらの前述の座標測定機及びそれらの発展の全てに及ぶ。
【0023】
図1における座標測定機28は、スタイラス6を有し、スタイラス6は、測定又はプローブヘッドの5に取り替え可能に固定され、且つ3つの座標方向x、y及びzにおいて、プローブヘッド5に対して偏向され得る。3つの座標方向x、y及びzにおけるスタイラス6の偏向は、プローブヘッド5に位置する3つのトランスデューサを介して検出される。プローブヘッド5は、今度は、3つの座標方向x、y及びzにおいて移動されてもよい。この目的で、ポータル機構は、測定ポータル2を有し、測定ポータル2は、矢印yによって示されている座標方向において、測定テーブル1に対して移動され得る。今度は、いわゆる測定スライダ3は、測定テーブル1にまたがる測定ポータル2の横桁に沿って、矢印xにより示されている方向に移動可能に案内される。今度は、クイル4は、プローブヘッド5が、ポータル機構によって3つの座標方向x、y及びzにおいて移動され得るように、矢印zによって示されている垂直方向に、測定スライダ3において移動可能に案内される。ブリッジ設計を備えた座標測定機の場合に、測定ブリッジは、クイル4を備えた測定スライダ3を座標方向yにおいて移動させる測定ポータル2のタスクを採用する。ここで、スタイラス6が、所定の測定点で測定されるワーク7をプローブするような方法でワークが測定され、プローブヘッド5に対するスタイラス6の3つの座標方向x、y及びzの観点からの偏向が、プローブヘッド5において測定される。加えて、プローブヘッド5の現在位置は、3つの座標方向x、y及びzにおいて3つの増分目盛8a〜8cで測定され、3つの増分目盛8a〜8cは、光学読み取り装置ヘッドによって走査される。ここで、測定点を確認するために、目盛測定値8a〜8cは、正確なコンポーネントの観点からの計算によって、プローブヘッド5におけるトランスデューサによって確認されたスタイラス偏向と組み合わされ、測定点は、ここから生成される。
【0024】
複雑な形状を備えた複雑なワークを今では測定できるように、相異なるスタイラスが、通常、必要とされ、前記スタイラスは、カートリッジ(ここでは図示されず)に格納され、且つプローブヘッド5におけるチェンジャ装置を介して自動的に挿入され得る。相異なるスタイラスは、通常、1つ又は複数のプローブシャフトを有し、それらの端部において、例えばプローブ球又は円筒などのプローブ本体を固定することが可能である。例として、水平孔は、水平に位置合わせされたプローブシャフトを用いて、即ち横方向に配置されたスタイラス6を用いて測定することができ、一方で垂直孔は、垂直に位置合わせされたプローブシャフトを用いて測定することができる。
【0025】
制御及び評価ユニット9によって、座標測定機の測定プロセス及び駆動手段は制御され、プロセスにおいて確認された測定値は、記録され評価され、制御及び評価ユニット9は、この例示的な実施形態において、単一のコンピュータによって例示的に実現される。加えて、制御及び評価ユニット9は、操作コンソール(ここでは図示されず)に接続されてもよく、操作コンソールより、座標測定機はまた、走査レバーを介して座標方向x、y及びzにおいて手動で移動され得、操作コンソールよって、例えばスタイラスの交換又は測定プログラムの操作などの他の機能を試みることがまた可能である。
【0026】
図1に示されているプローブヘッド5の代替として、
図1における座標測定機28はまた、
図2に従って、光学測定システムかさもなければ粗さセンサ12を測定ヘッド5として装備されてもよい。ここで、この粗さセンサ12はまた、いわゆる回転スイベルジョイントを介して座標測定機28のクイルに固定されてもよい。測定されるワークの表面に対する、空間における粗さセンサ12の任意の配向が、かかる回転スイベルジョイントによって容易にされる。
【0027】
図2は、粗さセンサ12の概略図を示す。粗さセンサ12は、プロービングアーム13及び測定針14を含み、測定針14は、プロービングアーム13の一端に配置される。ここで、測定針14は、円錐の実施形態を有する。粗さセンサ12は、測定針14の真向かいに支持要素15を含み、前記粗さセンサは、測定されるワークの表面16上に配置される(これ以上詳細には表現されず)。測定針14は、この場合に表面16に載っている。しかしながら、この場合に、本発明は、
図2に例示的に表現された粗さセンサ12に限定されず、代わりに、例えばスタイラス及びアームシステム又は滑りゲージなどの測定針に基づいた全ての粗さセンサに用いられ得る。
【0028】
図2における粗さセンサ12の測定針14は、長手方向軸xに沿って、且つ測定されるワークの表面16の粗さを測定する目的で好ましくは線形測定経路に沿って移動されてもよい。プロセスにおいて、測定針14及び従ってプロービングアーム13も同様に偏向されてもよい。ここで、偏向は、少なくとも比例関係で垂直方向に最大値を備えた、x方向に垂直なyz平面に発生し、垂直方向は、垂直軸zによって示されている。更に示されているのは、測定針14の中心線17であり、粗さセンサ12の非偏向状態における粗さセンサ12のプロービング方向ARは、中心線17に沿って、且つ上記の垂直方向zと反対方向に向けられる。
【0029】
この場合に、プロービング方向ARは、粗さセンサ12の配置方向に対応し、配置方向は、粗さセンサ12の接触エリア19と垂直に向けられる。ここで、接触エリア19は、粗さセンサ12が配置された場合にワークの表面16に接触するエリアを示す。
【0030】
流れ図において、
図3は、少なくとも1つの測定針14を備えた粗さセンサ12の測定条件を決定するための本発明による方法20であって、粗さセンサ12の少なくとも1つの測定針14が、第1の方法ステップ21において表面16に位置付けられるか又は配置され、且つプロセスにおいて、前記少なくとも1つの測定針が、この表面16と接触し、方法20が、更なる第2の方法ステップ22を含み、ここで、少なくとも1つの測定針14が、この表面16上に載り、従って前記少なくとも1つの測定針が、前記表面16に沿って能動的には移動せず、粗さセンサ12が、この静止状態において、少なくとも1つの測定針14の測定信号を記録する方法20を概略的に示す。この結果として、振動の形で、且つ粗さセンサ12に対する電磁干渉の形で環境の影響を捕捉することが可能である。前述の更なる第2の方法ステップ22に加えて、粗さセンサ12の信号線は、示されている第3の方法ステップ23において電気的に接地され、信号曲線は、同様に記録される。粗さセンサの電磁干渉だけが、接地された静止状態における捕捉中に検出される。従って、電磁干渉は、接地された静止状態における振動故に、環境の影響から分離されて捕捉され得る。
【0031】
図3における図の代替として、方法ステップ23はまた、方法ステップ22の前に実行されてもよい。
【0032】
後続の第4の方法ステップ24において、少なくとも1つの測定針14の決定された測定信号の統計的平均化に基づいた特徴は、静止状における少なくとも1つの測定針14の測定信号用に、且つ/又は接地された静止状態における少なくとも1つの測定針14の測定信号用に確認される。次に、環境の影響の大きさの程度を評価することが、これらの特徴に基づいて可能である。
【0033】
更に、後続の第5のステップ25において、確認された特徴は、静止状態における少なくとも1つの測定針14の測定信号用に、且つ/又は接地された静止状態における少なくとも1つの測定針14の測定信号用に所定の閾値と比較される。ここで、閾値が超えられた場合に、障害信号が生成される。従って、これらの閾値は、特徴のための限界を表す。ワーク表面の信頼できる粗さ測定は、閾値又は限界未満で可能である。ワーク表面の粗さ測定に対する環境の影響による干渉は、閾値又は限界を超えると重大である。
【0034】
更なるステップ26において、特徴は、後続のラベリング用に、且つ/又は更には粗さセンサ12の測定値の補正用に格納されてもよい。代替として、これらの特徴はまた、ステップ25において決定された閾値を超えるか又は閾値未満に留まる例と一緒に格納されてもよい。
【0035】
図4は、少なくとも1つの測定針14を備えた粗さセンサ12を介してワーク表面16の粗さを測定するための本発明による方法30を流れ図で示し、前記方法は、
図3に従って粗さセンサ12の測定条件を決定するための本発明による方法20と、測定されるワーク表面16の表面セクションに沿って、少なくとも1つの測定針14を案内するための方法ステップ31であって、この結果として、少なくとも1つの測定針14が、測定方向(
図2におけるx方向)において能動的に移動し、且つ測定方向に垂直な平面(
図2におけるyz平面)における少なくとも1つの測定針14の移動が、ワーク表面16に沿った少なくとも1つの測定針14の能動的移動中に記録される方法ステップ31と、を含む。
【0036】
粗さセンサ12の測定条件を決定するための本発明による方法20が、本発明による粗さ測定方法30の範囲内でワーク表面16の表面セクションの粗さ測定の直前又は直後に実行される結果として、粗さ測定を評価するための環境の影響の現在の特徴は、常に利用可能である。
【0037】
更なる方法ステップ32において、ワーク表面16の粗さに関するユーザ情報が、測定方向(
図2におけるx方向)に垂直な平面(
図2におけるyz平面)における少なくとも1つの測定針14の移動用の測定値に基づいて、且つ静止状態における少なくとも1つの測定針14の測定信号及び/又は接地された静止状態における少なくとも1つの測定針14の測定信号用の確認された特徴に基づいて、確認され出力される。さて、このユーザ情報は、第1にワーク表面16の捕捉された粗さ測定値と、第2に環境の影響用の確認された特徴と、を考慮する。
【0038】
最も単純な場合に、ユーザ情報は、単に、捕捉された粗さ測定値及び確認された特徴又は所定の閾値からなる。しかしながら、できるだけ歪曲の少ない表面の粗さを測定値の形で、ユーザ情報を介して出力するために、粗さ測定値とユーザ情報を生成するための特徴との間の数学的関係を形成することがまた可能である。従って、ユーザ情報は、特徴を考慮して、粗さセンサ12のオペレータにモニタで出力されるか、又はファイル若しくは測定値フォーマットによって評価ソフトウェアの形でユーザに提供される結果としての粗さ値であってもよい。
【0039】
図3及び4に示されている本発明による方法20及び30は、例えば
図1における座標測定機28の制御及び評価ユニット9の助けを借りてか、例えば
図2における粗さセンサ12の別個の制御及び評価ユニットの助けを借りてか、又は例えば粗さセンサ12を取り扱うための別個の測定装置の別個の制御及び評価ユニット助けを借りて、適切なソフトウェアによって実行されてもよい。少なくとも1つの測定針14を備えた粗さセンサ12を制御するための対応するコンピュータプログラム製品は、前述の制御及び評価ユニット用に任意のタイプの記憶媒体によって提供されてもよい。
【0040】
従って、本発明はまた、本発明に従って方法20及び30を実行するように構成された、且つ少なくとも1つの測定針14を備えた粗さセンサ12並びに制御及び評価ユニットを含む測定装置を含む。例として、かかる測定装置は、
図1による座標測定機28か、さもなければ、これ以上詳細には示さないが、粗さセンサを取り扱うための別個の測定装置であってもよい。これらの測定装置の制御電子機器は、粗さセンサの信号線の接地を容易にする。この目的で、制御電子機器は、粗さセンサの信号線の選択的な接地用の追加スイッチング素子を含んでもよい。