【課題を解決するための手段】
【0004】
第1態様では、本発明は液相媒体から成分を選択的に除去し、その後に該成分を液相媒体に戻す方法であって、下記式Iの化合物を液相媒体と接触させて、該成分を化合物Iに結合させることによって結合成分を形成する工程、この結合成分及び媒体を分離する工程、その後に結合成分を媒体に戻す工程及び化合物Iから該成分を放出するように結合成分を処理する工程を含んでなり、ここで、化合物Iは下記式:
[SUP]-[[L]-[G]]
n (I)
(式中:
Lは、GをSUP-に連結する基であり、下記:
i) -(CH
2)
h[S(O)
d]
m(CHD)
nZ
m((CH
2)
nY(CH
2)
n)
m(式中、Dは、H、CN、OH、-C(O)OR、-C(O)NR
2-C(O)OG、-CONRGから選択され、Yは、O、NR、S(O)
d、CO、CO
2、-NRCOZ
m-、-Z
mCONR-、-C=N-、ヘテロ環式環から選択され、Zは独立にO、S、NRである);及び
ii) -(CH
2)
hP(=O)(OR)O-(CH
2)
h
から選択され、ここで、dは独立に0〜2、好ましくは0であり、hは0〜15、さらに好ましくは0〜12、特に0〜4、最適には2又は3であり、mは独立に0又は1であり、nは独立に0〜4であり、Rは独立にH又はC
1-12アルキル基、好ましくはC
1-6アルキル基、例えばメチル若しくはエチル、又はフェニル基から選択され;或いはLは存在せず、Gは直接SUPに連結し;
Gは、アルキル基、アリール基、ヘテロ環式基及びヘテロアリール基、好ましくは1又は2個の芳香環を有する芳香族基又はヘテロ芳香族基から選択され;
ここで、基Gは、
i) 脱離基LGを有し、これは好ましくはCl、Br、I、擬ハロゲン化物から選択され;かつ
ii) H、NR
2、N
+R
3、-N(R)CO
2H、-N=CR
2、OR、-O
+(R)SiR
3、CO
2R、CO
2-、-CONR
2-NRC(O)R、F、Cl、NO
2、CNから選択される置換基Q及び基Qと基Lの一部との間、例えば-O-C(O)-(エーテル酸素はGに結合し、カルボニル基は基Lの一部である)に形成される環を有し;
SUPは担体、好ましくは化学的に不活性な担体であり、この担体に複数n個の基-[L]-[G]が結合している)の化合物である、方法を提供する。
好ましくは、担体は、担体1グラム当たり0.1〜5、好ましくは0.5〜2mmolの基[L]-[G]の負荷(loading)をもたらすようなレベルで複数の基[L]-[G]を含む。
用語「脱離基」は、ある一定の条件下で置換され得る基を意味し、Cl、Br、I、OH及び擬ハロゲン化物が挙げられる。用語「擬ハロゲン化物」は化学分野では周知であり、本明細書ではその通常の意味でこの用語を用いて、脱離置換基としてのそれらの特性の点でハロゲンとのかなりの類似性を示す置換基を意味し、トリフラートを含めたスルホナート、ジアゾ基、ニトリル、エステル及びアルコキシ基が挙げられる。脱離基LGは、特定用途で脱離基として作用するのに十分に不安定であるという条件で、基[G]のいずれの位置にあってもよい。好ましくは、脱離基LGは、基[G]と[L]との間の結合に対してパラ位にある。
好ましくは、ヘテロ芳香族基は下記基から選択される。
【0005】
【化1】
【0006】
適切なヘテロ環式基の例としては、下記基が挙げられる。
【0007】
【化2】
【0008】
ここで、J及びKは独立に、二価の場合はO、NR、S及びCH
2から選択され、三価の場合は=N-、=CH-から選択され、HETは、HETを取り囲む環内に存在するヘテロ原子含有種を表す。この場合、G基は、G基中の炭素原子を介してL基に適切に連結される。基Qは、ヘテロ芳香族基のいずれの位置にあってもよい。
本発明は、触媒を選択的に除去し、この触媒を含有する反応媒体に該触媒を再び導入する方法であって、該触媒を式Iの化合物に結合させるように式Iの化合物を反応媒体と接触させることによって反応媒体から触媒を除去する工程、この結合した触媒を、該触媒がその最初の活性形で同一又は異なる反応媒体に放出されるように処理する工程を含んでなる方法を提供する。
好ましくは担体SUPは、シリカ及びアルミナから選択される。シリカ担体が特に好ましい。シリカ又はアルミナ担体はいくつかの未反応ヒドロキシル基を有し、これらは部分的又は全体的に好ましくはアルキル基、さらに好ましくはC
1-6アルキル基、例えばプロピルでエンドキャッピングされ得る。担体SUPは適切に、結合した反復単位を含んで架橋マトリックス、例えばシリカ又はアルミナマトリックスを形成し、ケイ素原子又はアルミニウム原子の少なくともいくつかは、それらに結合した基-[L]-[G]を有する。担体SUPがポリマーを含む場合、ポリマーは適切にポリスチレン、ポリエチレングリコール、ポリ(ビニルピロリジン)、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(塩化ビニル)、ポリエチレンイミン、ポリアクリロニトリル、ポリ(エチレンイミノ二酢酸)、ポリファゼン、ポリシロキサン、ポリアクリルアミド、又はデンドリマーポリマー(そのブロック又はコポリマーを含めて)から成る群より選択される。官能基は、1つ以上のモノマーとの共重合によってポリマー鎖に付着され得る。或いは、例えば参照することにより援用するBergbreiter, Using Soluble Polymers to Recover Catalysts and Ligands, Chem. Rev. 102(10), 3345-3384 (2002)に示されているように、既に形成されたポリマーを官能化することによって官能化ポリマーを調製し得る。官能化ポリマーは架橋され又は架橋されていなくてよい。一態様では、ポリマーは架橋され、架橋モノマーのモルに対してモノマーのモルが8〜12に及ぶ架橋比を有する。ポリマー骨格の典型的分類は、参照することにより援用するBergbreiter, Using Soluble Polymers to Recover Catalysts and Ligands, Chem. Rev. 102(10) 3345-3384 (2002)に開示されている。
【0009】
好ましくは、担体SUPがシリカを含み、基Gが任意に置換されていてもよいハロ-アリール、ヘテロアリール又はアルキル基である。ケイ素又はアルミニウム原子が基-[L]-[G]を有しない場合、それらは適切に、シリカート又はアルミナート酸素原子で満たされる全原子価を有する。シリカート酸素原子又はアルミナート酸素原子は適切に下記:
他の反復単位のケイ素又はアルミニウム原子;
水素;
直鎖又は分岐C
1-12-アルキル基;
式R
83M
1O
1/2の末端基、式R
8qM
1(OR
9)
jO
k/2又はAl(OR
9)
3-pO
p/2又はR
8Al(OR
9)
2-rO
r/2の架橋ブリッジメンバー又はポリマー鎖(式中、M
1はSi又はTiであり;R
8及びR
9は独立に直鎖又は分岐C
1-40アルキル基、アリール基及びC
1-40-アルキルアリール基から選択され;j+k+q=4となるように、kは1〜3の整数であり、qは1〜2の整数であり、jは0〜2の整数であり;pは1〜3の整数であり;rは1〜2の整数である);及び
他の既知オキソ金属架橋系(金属はジルコニウム、ホウ素、マグネシウム、鉄、ニッケル又はランタニドである)
で飽和している。
成分を第1液相媒体から除去して第2液相媒体に戻してよいが、好適には第1及び第2液相媒体が同一である。さらに好ましくは液相媒体が反応媒体であり、該媒体内の化学反応で成分が沈殿する。好ましくは成分は、金属、例えば、白金、パラジウム、ロジウム、ルテニウム、イリジウム、ニッケル、銅及び鉄を含んでなる触媒を含む。
第1液相媒体からいずれの適切な方法によっても、例えば物理的分離によって結合成分を分離することができる。化学的に、例えば化合物との接触によって、或いは物理的に、好ましくは、平衡の移動を引き起こし、それによって結合成分が化合物Iから第2液相媒体中へ放出されるように反応条件、例えば温度、圧力又はpHを変えることによって結合成分を処理することによって化合物Iから結合成分を放出させ得る。
【0010】
第2態様では、本発明は、触媒を含んでなる反応媒体(触媒が選択的に除去されて反応媒体に戻される)において炭素原子と第2の炭素原子又はヘテロ原子、例えば窒素及び酸素との間に共有結合を形成するための均一触媒プロセスであって、触媒CATを式II R''-LGの化合物と接触させて式III R''-CAT-LGの有機金属種を生成する工程、式IIIの有機金属種を化合物IV R''''[MET]
e[X'']
fで処理して、脱離基LGを基R''''と置き換えて化合物V R''-R''''を形成し、触媒CATを反応媒体中へ放出する工程を含んでなる方法(ここで、R''及びR''''は、アリール、ヘテロアリール、ベンジル、アルキル、ビニル、アリル、アルキニル、アシル、スルホニル、又はヘテロ環式部分から独立に選択され、LGは、前記定義どおりの脱離基であり、[MET]は、有機金属種中で使用できる金属、好ましくはMg又はZn、及びホウ素であり、X'' は、ハロゲン、好ましくはF、Cl又はBr、及びOHから選択され、eは0又は1であり、fは、種R''''[MET]
eのフリーの原子価を満たすように選択される1〜4の整数、好ましくは1及び2である)を提供する。
触媒CATはいずれの金属元素又は金属を含有する化合物であってもよい。好ましい実施形態では、触媒は、Pd、Ni、Fe、Cu、Pt、Rh、Ru及びIrから選択される金属を含んでなる金属種を含む。
好ましくはR''及びR''''は、アリール、ヘテロアリール、アルキル及びヘテロ環式部分から独立に選択される。
好ましくは化合物IV R''''[MET]
e[X'']
fは、R''''LiX''、式R''''MgX''(式中、X''はCl又はBr、R''''B(X'')
2、及びR''''ZnClである)のグリニャール試薬から選択される。
有利には、本発明は、均一反応で用いた触媒を結合させて反応媒体から除去して再利用を可能にし、触媒の作動寿命を延ばすことができ、かつ触媒を「オフライン」で処理又は再生する必要なしで同一反応の異なるバッチ又は異なる反応に触媒を利用するという柔軟性を提供することができる。均一反応は連続的であってよく、本発明は、反応プロセスが継続している間に、処理用触媒を、例えば該触媒が反応プロセスから離れているゾーンに移すことができる。
【0011】
第3態様では、本発明は式Iの新規化合物を提供する。
化合物Iは、好ましくはシリカ担体と、連結基を介して連結したアリール、ヘテロアリール、ヘテロ環式又はアルキル部分とを含有する新規オルガノポリシロキサンである。
第4態様では、本発明は、下記式(VI):
[(O
3/2)Si[L]G]
a[Si(O
4/2)]
b[Si(O
3/2)V]
c
(式中:
Lは、Gを(O
3/2)Si-に連結する基であり、下記:
i) -(CH
2)
h[S(O)
d]
m(CHD)
nZ
m((CH
2)
nY(CH
2)
n)
m(式中、Dは、H、CN、OH、-C(O)OR、-C(O)NR
2-C(O)OG、-CONRGから選択され、Yは、O、NR、S(O)
d、CO、CO
2、-NRCOZ
m-、-Z
mCONR-、-C=N-、ヘテロ環式環、例えばスクシンイミドから選択され、Zは独立にO、S、NRである);及び
ii) -(CH
2)
h P(=O)(OR)O-(CH
2)
h
から選択され、ここで、dは独立に0〜2、好ましくは0であり、hは0〜15、さらに好ましくは0〜12、最適には0〜4、特に2又は3であり、mは独立に0又は1であり、nは独立に0〜4であり、Rは独立にH又はC
1-12アルキル基、好ましくはC
1-6アルキル基、例えばメチル若しくはエチル、又はフェニル基から選択され;
Gは、好ましくはC
1-12アルキル基、さらに好ましくはC
1-6アルキル基から選択されるアルキル基、アリール基、ヘテロ環式基又はヘテロアリール基、好ましくは1又は2個の芳香環を有する芳香族基又はヘテロ芳香族基であり、下記基:
【0012】
【化3】
【0013】
から選択され;
適切なヘテロ環式基の例としては、下記基:
【0014】
【化4】
【0015】
が挙げられ;
式中、J及びKは独立に、二価の場合はO、NR、S及びCH
2から選択され、三価の場合は=N-、=CH-から選択され、HETは、HETを取り囲む環内に存在するヘテロ原子含有種を表し;
LGは脱離基であり、好ましくはCl、Br、I及び擬ハロゲン化物、トリフラートを含めたスルホナート、ニトリル、ジアゾ基、エステル及びアルコキシ基から選択され、
置換基Qは、H、NR
2、N
+R
3、-N(R)CO
2H、-N=CR
2、OR、-O
+(R)SiR
3、CO
2R、CO
2-、-CONR
2-NRC(O)R、F、Cl、NO
2、CN及び基Qと基Lの一部との間、例えば-O-C(O)-(エーテル酸素はGに結合し、カルボニル基は基Lの一部である)に形成される環から選択され;
Vは、任意に置換されていてもよいC
1-12アルキル、C
2-12アルケニル又はC
2-12アルキニル基又はアリール基又はC
1-12アルキルアリールスルフィド、スルホキシド、スルホン、アミン若しくはポリアルキルアミン又はホスフィン若しくは他のリン含有基であり;
シリカート酸素原子のフリーの原子価は、下記:
式VIの他の基のケイ素原子;
水素;
直鎖若しくは分岐C
1-12アルキル基;
式R
83M
1O
1/2の末端基、式R
8qM
1(OR
9)
jO
k/2又はAl(OR
9)
3-pO
p/2又はR
8Al(OR
9)
2-rO
r/2の架橋ブリッジメンバー又はポリマー鎖(式中、M
1はSi又はTiであり;
R
8及びR
9は、直鎖又は分岐C
1-40アルキル基、アリール基及びC
1-40アルキルアリール基から独立に選択され;j+k+q=4となるように、kは1〜3の整数であり、qは1〜2の整数であり、jは0〜2の整数であり;pは1〜3の整数であり;rは1〜2の整数である);及び
他の既知オキソ金属架橋系(金属はジルコニウム、ホウ素、マグネシウム、鉄、ニッケル又はランタニドである)
から選択される1個以上の基で飽和し;かつ
a、b及びcは整数であり、aは0より大きく、a、b及びcは、bが0のときはa:cの比が0.001〜1000であり、bが1以上のときはa:bの比が0.001〜1000となるような整数である)
の化合物を提供する。
【0016】
有利には本発明のオルガノポリシロキサンは、成分、例えば触媒を捕獲し、それによってそれを反応媒体から除去することができ、さらなる種との接触又は反応条件の変化によって、触媒を放出して反応媒体に戻すことができる。触媒がオルガノポリシロキサンに結合し、放出され、さらに反応媒体に放出されて第2反応で触媒として作用することができる。第2反応は同一基質又は異なる基質と関わってよい。
式(VI)の化合物は官能化シリカであり、有利には反応媒体内ではっきりと認識できる程度には膨潤せず、従って、反応媒体との接触のためのカートリッジで利用することによって、連続加工条件下で化合物VIを使用できるようにする。式VIの化合物は、化学的及び物理的にも安定であり、高レベルの品質管理が必要であり得る医薬品、農薬等の製造方法で化合物VIを利用できようにする高レベルの純度をもたらすことができる。ある一定の溶媒ではポリスチレンベース材料は使用が制限されることがあり、約80℃超えの温度では使用できない。式VIのオルガノポリシロキサン化合物は広範な溶媒中で使用可能であり、それらの用途では80℃未満の反応温度に限定されない。
他の利点としては、固定構造及び剛構造、有機溶媒中で不溶性、高い耐老化性、相対的に容易な精製及び高い再利用性が挙げられる。さらに式VIの化合物の調製方法は柔軟であり、少数の一般的中間体から種々の連結基L又は置換基Q及びLGを有する基Gで官能化された種々多様の官能化材料を作れるようにする。
式VIの化合物の多孔性をミクロ多孔性からマクロ多孔性まで変えることができ、また必要に応じてフラグメントVIの官能基及び他の置換基の負荷を変えてよい。式VIの化合物は、非常に安定かつ不活性な媒体にしっかりと付着しているという追加利点を有する。
好ましくは連結基LはGを(O
3/2)Si-に連結する二価基であり、下記基:
i) -(CH
2)
h(CHD)
n(Y)
m(CH
2)
h-(式中、Dは、H、CN、OH及びC(O)ORから選択され、Yは-N(R)-、-O-、-S(O)
d、-CO
2-、-CON(R)-、-N(R)CO-、-C(R)=N-及び環式二価部分、好ましくは
【0017】
【化5】
【0018】
から選択され、
dは0〜2、好ましくは0、hは独立に0〜4、好ましくは2又は3、mは独立に0又は1、nは0〜4であり、Rは独立にH、C
1-6アルキル又はフェニル、好ましくはH、メチル又はエチルである);
ii) -(CH
2)
hS(O)
d(CH
2)
n(Y)
m(CH
2)
h(式中、Yは-CO
2-、-CON(R)-、及び-N(R)CO-から選択され、hは独立に0〜4、好ましくは2又は3であり、mは独立に0又は1であり、nは独立に0〜4であり、dは0〜2、好ましくは0であり、Rは独立にH、C
1-6アルキル又はフェニル、好ましくはH、メチル又はエチルである);及び
iii) -(CH
2)
hP(=O)(OR)O-(CH
2)
h(式中、hは独立に0〜4、好ましくは2又は3である)
から選択される。
好ましい実施形態では、O
3/2Siシリカ基を基Gに連結する連結基Lは、シリカ基と基Gとの間に少なくとも3個の原子の鎖を有する。好適には、連結基Lは、シリカ基と基Gとの間に15原子以下、好ましくは2〜13、例えば12原子以下の鎖長を有する。特に好ましい実施形態では、連結基Lは少なくとも3つの部分、すなわちシリカ基に結合した-CH
2CH
2-、連結原子及び必要に応じて接続部分を含む。好ましくは、連結原子は、シリカ基から連結基に沿って第3原子に位置し、炭素、酸素、硫黄、リン及び窒素から選択される。硫黄及び炭素が連結原子として特に好ましい。基Lは、連結原子に応じてそれぞれ炭素連結、酸素連結、硫黄連結、リン連結又は窒素連結基と呼ぶことができる。
好ましくは連結基Lは-[CH
2CH
2S(O)
0-2]
0-1[CH
2]
0-3[A'']
0-1-であり、A''は下記:
-NH(CO)-、
-CH(CH
2CO)(CO)NCH
2-、
-N(CO)(CO)(基Gが芳香環を含み、カルボニル炭素原子が芳香環の隣接炭素原子に直接結合しいている場合)、
-N(CH
3)-、
-O(CO)
0-1-
から選択される。
好ましい炭素連結基Lとしては、-(CH
2)
3-、-CH
2CH
2CHC((O)OCH
3)-、-CH
2CH
2CH(CN)-、-CH
2CH
2CH(CN)CONH(CH
2)
1-4-、-(CH
2)
2-3NHCO-、-(CH
2)
2-3CONH-、(CH
2)
3O(CH
2)
2CHOHCH
2NHCH
2-、-(CH
2)
3O(CH
2)
2CHOHCH
2S-、及び-(CH
2)
3NHCH
2-が挙げられる。好ましい硫黄連結基の例としては、-CH
2CH
2S-CH
2CH
2S(CH
2)
1-4SCH
2-、-CH
2CH
2S(CH
2)
1-4NHCO-、-CH
2CH
2SCH
2CONH(CH
2)
0-2、-CH
2CH
2S(CH
2)
2NH(CH
2)
0-2-、-CH
2CH
2S(CH)(CH
2CO)(CO)NCH
2-及び-(CH
2)
2P(=O)(OR)O-が挙げられる。
【0019】
好ましい連結基と組み合わせて、基Gは、好ましくはオルト、メタ又はパラブロモフェニルである。
脱離基LGは、ハロゲン化物及び擬ハロゲン化物から適切に選択される。化合物Iを利用することになる個々の反応及び触媒に応じて脱離基を選択することができる。
好ましい実施形態では、結合すべき触媒がPdを含む場合、LGはBrであり、触媒がCuを含む場合、LGはIであり、触媒がFeを含む場合、LGはClである。触媒がNiを含む場合、LGは好適にはエステル、ニトリル又はアルコキシ、例えばメトキシである。特に好ましい実施形態では、基Gがアリールである場合、アリール基Gは、連結基Lに対してベンゼン環のメタ又はパラ位に臭素置換基を有する。
好ましい実施形態では、基Gの置換基Qは、H、NR
2、N
+R
3、-N(R)CO
2H、-N=CR
2、OR、-O
+(R)SiR
3、CO
2R、CO
2-、CONR
2NRC(O)R、F、Cl、NO
2、CN及び基Qと基Lの一部との間、例えば-O-C(O)-(エーテル酸素はGに結合し、カルボニル基は基Lの一部である)に形成される環から選択される。好適には、基Gがアリールの場合、置換基Qは、連結基Lに対してオルト又はメタ位にある。
別の好ましい実施形態では、置換基Qを有するアリール基Gは、2つの形態間で平衡状態にあってよく、任意に誘導体化され得る。適切な置換基Qを選択することによって、反応条件、例えばpHを変えるか或いは平衡が存在する位置を制御又は調整し、触媒の結合又は放出レベルを制御する手段を与えるように成分を添加することによって、平衡の移動に影響を及ぼすことができる。
2つの形態間で平衡状態にあってよい、置換基Qを有する好ましい基Gの例。QがOHの場合、好ましくはそれはオルト位にあり、連結基Lは、OH置換基と可逆的に環を形成できる基を含み、好ましくはLはペンダント酸又はエステル基CO
2Rを含み、この場合OH置換基と酸又はエステル基が環を形成し得る。QがNR
2、好ましくはNHR又はNH
2の場合、この基は、pHを変えることによって可逆的にアンモニウムイオンN
+H
3又はN
+R
3を形成するか、或いは遊離CO
2の存在下で-N(R)CO
2Hに変換し得る。置換基Qは-OR、好ましくは-OCH
3であってよく、トリアルキルシランの存在下で可逆的に-O
+(R)-SiR
3に変換し得る。置換基QがCO
2Hの場合、pHを変えると、この基を可逆的にカルボキシラートアニオンに変換し得る。RがNH
2の場合、アセトン又は他のカルボニル官能性を加えてアミンを対応イミンに誘導体化することができ、例えばアセトンの場合、水で洗浄することによって反応を逆転させ得る。反応条件を変えるか、又は他の成分を導入することによって、基Qは複数の形態で存在し得るので、平衡の位置の制御を可能にする。
【0020】
第5態様では、本発明は、反応媒体から成分を選択的に除去して、この成分を処理し、その後に該成分を反応媒体に戻せるように、反応媒体から成分を選択的に除去するための、式Iの化合物、好ましくは式VIの化合物の使用を提供する。
好適には、反応媒体から除去すべき成分は、触媒及び未反応原料の1種以上である。未反応原料は、典型的に後で反応媒体に戻されない。好ましい実施形態では、除去すべき成分は、補助配位子の有無にかかわらず金属、さらに好ましくは周期表の8、9、10又は11族の金属である。好ましい金属の例としては、パラジウム、白金、ロジウム、ルテニウム、イリジウム、ニッケル、銅及び鉄が挙げられ、必要に応じて補助配位子を含む。
第6態様では、本発明は、触媒CATの有機金属種及び式Iの化合物、好ましくは式VIの化合物を含み、CATは、補助配位子の有無にかかわらず金属を含む。触媒CATは好ましくはパラジウム、白金、ロジウム、イリジウム、ルテニウム、銅、ニッケル又は鉄を含み、必要に応じて補助配位子を含む。触媒CATは好ましくは、前記定義どおりの置換基Q及び脱離基LGを有する基Gにて化合物Iに結合している。好ましくは触媒CATは、下記式式VII:
[SUP]-[L]-[G]-[CAT]-[LG]
に示すように、基Gのアリール、ヘテロアリール又はアルキル基と脱離基LGとの間に挿入されている。
【0021】
式VIIの種を処理するための化合物は好適には前記定義どおりの式R''''[MET]
e[X'']
fの化合物(化合物IV)又はその塩、好ましくはアルカリ金属塩M''X''、例えばR''''B(OH)
3-K
+)であり、式VIIの化合物との接触後、触媒CATは反応媒体中へ放出される。選択的に 触媒を反応媒体から除去すると、該加工中に反応媒体に均一触媒を保持することに伴う欠点なしで原料を補充又は変更し、不純物又は副生物を除去できるようになる。
触媒CATは、触媒を選択的に除去して反応に戻せる均一触媒プロセスを介した新たな炭素炭素、炭素窒素、炭素酸素又は他の炭素ヘテロ原子結合の形成のための均一触媒プロセスで適切に用いられる。このプロセスは、式R''-LG(式中、LGは前記定義どおりの脱離基である)の化合物に触媒を添加して式VIII R''-CAT-LGの有機金属種を生成する工程、化合物VIIIを処理することによって、LGをアリール、ヘテロアリール、ベンジル、アルキル、ビニル、アリル、アルキニル、アルケニル、又はヘテロ環式部分から選択される基と置き換えて、式IX R''-CAT-R''''(式中、R''及びR''''は、アリール、ヘテロアリール、ベンジル、アルキル、ビニル、アリル、アルキニル、アルケニル、又はヘテロ環式部分から独立に選択される)の種を与える工程を含む。
【0022】
式VIIIの種を処理するための化合物は好適には前記定義どおりの式R''''[MET]
e[X'']
fの種又はその塩であり、式VIIIの化合物との接触後に式IXと[MET]
e[X'']
f+1の化合物が生成される。次に式IXの化合物を処理して触媒CATを反応媒体中へ放出し、化合物R''-R''''を形成することができる。次に触媒を式I又はVIの化合物と結合させることによって適切に反応媒体から除去することができ、それによって反応媒体を処理して、例えば副生物、未反応反応物等を除去できるようになり、或いは触媒の非存在下で新たな反応物を導入するか又は反応条件を変えることができるようになる。次に捕獲触媒を必要に応じて反応媒体に戻すことができる。
好ましくはLGはハロゲン化物又は前記定義どおりの擬ハロゲン化物、例えばトリフラートであるか、ある一定の金属を含む触媒条件下では、アルコキシド、エステル及ぶニトリルである。
我々は、本発明のオルガノポリシロキサンが、アリール、ビニル、ヘテロ環式又はアルキルボロン酸を、金属触媒で触媒されるアリール、ベンジル、アルキル、ビニル、アリル、アルキニル、アルケニル、アシル、スルホニル又はヘテロ環式ハロゲン化物又は擬ハロゲン化物と反応させる広範な反応で利用される金属触媒の回収に特に適していることを見出した。
【0023】
第7態様では、本発明は、均一触媒によって反応生成物を生成する方法であって、反応媒体中で均一触媒の存在下にて原料を反応させて直接又は間接的に反応生成物を生成する工程、触媒を式I、好ましくは式IVの化合物と接触させて反応媒体から触媒を除去し、式I、好ましくは式IVの化合物に結合した触媒を含む有機金属種を生成する工程、触媒を処理する工程、触媒を反応媒体に戻す工程及び戻された均一触媒の存在下で第2原料を反応させて第2反応生成物又は同一反応生成物の第2バッチを生成する工程を含んでなる方法を提供する。
第1及び第2原料は同一又は異なってよい。医薬品調製方法では、第1原料といずれのその後の原料は、規制の理由から同一であるのが有利である。適切な分析及び品質管理をすれば、異なる原料を利用してよい。触媒の除去は、触媒寿命を延長できるようにし、式Iの化合物は、過剰の原料のみならず反応媒体から再生すべき触媒をも除去することによって反応生成物を有益に精製する。反応媒体から除去されると、触媒は一時的に不均一形となり、結合触媒の第2原料との接触によって適切に反応媒体中へ放出される。
反応媒体から触媒を除去して有機金属種を形成し、この種を処理して触媒を同一又は異なる反応媒体中に再び導入するプロセスを所望により繰り返してよい。
このプロセスは過剰の試薬の除去を可能にし、それによって生成物の単離を改善する。
【0024】
さらなる好ましい態様では、本発明は、均一触媒により結合したビアリール、アリール-ヘテロアリール、アリール-アルキル、ヘテロアリール-アルキル、ビヘテロアリール、ビアルキル反応生成物を含んでなる反応生成物の生成方法であって、反応媒体中、金属を含んでなる均一触媒の存在下で式R''''[MET]
e[X'']
f又はR''''[MET]
e[X'']
f-M''
+の化合物を含む原料を式R''Brの化合物と反応させて式R''-R''''の結合ビアリール生成物を生成する工程、触媒を前記定義どおりの式Iの化合物、好ましくは式VIの化合物と接触させて反応媒体から触媒を除去する工程、触媒を前記定義どおりの式R''''[MET]
e[X'']
fの化合物と接触させることによって処理してそれを反応媒体に戻す工程及び戻された金属触媒をさらなる原料と接触させてさらなる反応を引き起こして第2反応生成物を生成する工程を含む方法を提供する。
適切に触媒は、行なわれる反応に適したいずれの金属を含んでもよい。本発明の方法に従う処理に適した触媒の例としては、Pt、Pd、Ni、Fe、Cu、Ir、Ru、Rhが挙げられる。本発明は、存在し得るいずれもの関連する補助配位子と共に金属触媒を反応媒体から除去し、反応媒体に再導入できるようにする。
好適には触媒は、特に鈴木反応のためにはPd、Ni及びFe、C-N及びC-O結合の形成のためにはPd、Cu、Ni及びFe、C-C結合の形成のためにはPd、Ni、Fe、Cu、Ir、Ru、Rhを含むことができる。適切なパラジウム触媒の例としては、単座及び二座ホスフィンを含めたホスフィン、ホスファイト、ホスホラミダイト、カルベン、窒素含有配位子及び酸素含有配位子、及びこれらの基の2つ以上のいずれもの組み合わせと化合したパラジウムが挙げられる。具体的なパラジウム触媒の例には、酢酸パラジウム、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウムクロリド又はアセタート及びテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)があり、トリス-ジベンジリデンアセトンジパラジウム(0)プラス他のパラジウム配位子塩プラス他の金属が含まれる。
【0025】
本発明は、αアリール化(金属エノラート)、アミド化、アミノ化、エーテル化、エステル化、シアノ化(シアン化物イオン)、及びカルボニル化反応を含めた広範な触媒反応から触媒を除去できるようにする。触媒の除去及び再導入に本発明を利用できる特定反応の例としては、宮浦ホウ素化反応(ピナコールホウ素化)、ブッフバルト・ハートウィッグアミノ化(一級又は二級アミン)、ウルマンエーテル化、ウルマンアミノ化(ゴールドバーグ反応)、ヒドロホルミル化、エステル、酸、アミド及びジケトン形成のためのカルボニル化、チャン・ラムアミノ化、溝呂木・ヘック反応(アルケン)、薗頭反応(アルキン)、檜山反応(ArSi)、熊田・コリュー反応、根岸反応、還元的ヘック反応、辻・トロスト反応(エノラート)、スティル反応及び鈴木・宮浦反応が挙げられる。
反応生成物の生成方法をバッチプロセスで行なってよいが、連続方法を利用し得る。適切に触媒と原料が反応ゾーンに供給される。本発明の化合物は、反応ゾーン周囲のリサイクルループ内の個別層、例えば通常のカートリッジ配列に適切に位置する。反応ゾーン内で反応が行なわれ、次に反応混合物が個別層を通過し、本発明の化合物と接触する。触媒及び所望により未反応原料が層内で結合し、これらの成分中の枯渇した反応混合物は他の場所に供給される。次に、既に用いた成分と同一若しくは異なる成分又はカップリング相手を含む新たな原料が層を通過し、層から触媒を放出し、第2又は後続反応が行なわれる反応ゾーンに運ばれる。
【0026】
化合物I又はVIがシリカ又はアルミナ担体を含む場合、式I又はVIの化合物を生成するための官能化に適したシリカ及びアルミナとしては、それぞれ表面Si(OH)又はAl(OH)部分を有するいずれのシリカ又はアルミナも挙げられる。商業的に入手可能なシリカ又はアルミナをアルケニルトリアルコキシシラン、例えばSigma Aldrichから入手可能なビニルトリメトキシシラン(カタログ番号235768)で処理することによってシリカ又はアルミナを生成することができる。硫黄連結化合物は、ラジカル発生条件下でチオールで処理して式I又はVIの硫黄連結化合物を得ることによって生成可能である。官能化トリアルコキシシランは、所望の官能基を生じさせる種と反応させてから、シリカ又はアルミナの既存の担体の上にかけるか又はそれと反応させることによって生成可能である。
化合物I又はVIがポリマー、例えばポリスチレン担体を含む場合、商業的に入手可能な官能化モノマー、例えば官能化スチレンとモノマー、例えばスチレンとの共重合により、コポリマー添加剤の有無にかかわらず、標準的技術を用いて官能化ポリマー担体を得る。或いは従来法を用いて予形成したポリマーの官能化を利用してもよい。