特許第6310475号(P6310475)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6310475
(24)【登録日】2018年3月23日
(45)【発行日】2018年4月11日
(54)【発明の名称】触媒を除去して液相媒体に戻す方法
(51)【国際特許分類】
   B01J 38/00 20060101AFI20180402BHJP
   C07F 7/12 20060101ALI20180402BHJP
   C07F 7/10 20060101ALI20180402BHJP
   C08K 9/04 20060101ALI20180402BHJP
   C01B 33/18 20060101ALI20180402BHJP
   B01J 31/22 20060101ALI20180402BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20180402BHJP
【FI】
   B01J38/00 301Q
   C07F7/12 YCSP
   C07F7/10 X
   C08K9/04
   C01B33/18 E
   B01J31/22 Z
   !C07B61/00 300
【請求項の数】20
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2015-544460(P2015-544460)
(86)(22)【出願日】2013年11月28日
(65)【公表番号】特表2016-501717(P2016-501717A)
(43)【公表日】2016年1月21日
(86)【国際出願番号】EP2013074974
(87)【国際公開番号】WO2014083109
(87)【国際公開日】20140605
【審査請求日】2016年11月28日
(31)【優先権主張番号】1221402.9
(32)【優先日】2012年11月28日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】513179846
【氏名又は名称】フォスフォニックス リミテッド
(73)【特許権者】
【識別番号】515143566
【氏名又は名称】マレー ポール マイケル
(74)【代理人】
【識別番号】100092093
【弁理士】
【氏名又は名称】辻居 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100082005
【弁理士】
【氏名又は名称】熊倉 禎男
(74)【代理人】
【識別番号】100084663
【弁理士】
【氏名又は名称】箱田 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100093300
【弁理士】
【氏名又は名称】浅井 賢治
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(72)【発明者】
【氏名】マレー ポール マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ウェルクス ロビン
(72)【発明者】
【氏名】ノース クリストファー
【審査官】 森坂 英昭
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−041919(JP,A)
【文献】 特開平04−290555(JP,A)
【文献】 特表2009−526105(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 21/00 − 38/74
C01B 33/00 − 33/193
C07F 7/10
C07F 7/12
C08K 9/04
C07B 61/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
反応媒体から触媒成分を選択的に除去し、その後に前記触媒成分を反応媒体に戻す方法であって、下記式Iの化合物を前記反応媒体と接触させて、前記触媒成分を式Iの化合物に結合させることによって結合成分を形成する工程、この結合成分及び前記反応媒体を分離する工程、その後に前記結合成分を前記反応媒体に戻す工程及び前記化合物Iから前記触媒成分を放出するように前記結合成分を処理する工程を含んでなり、前記化合物Iは下記式:
[SUP]-[[L]-[G]]n' (I)
(式中:
Lは、Gを式中のSUP-に連結する基であり、下記:
-(CH2)h[S(O)d]m(CHD)nZm((CH2)nY(CH2)n)m(式中、Dは、H、CN、OH、-C(O)OR、-C(O)NR2-C(O)OG、-CONRGから選択され、Yは、O、NR、S(O)d、CO、CO2、-NRCOZm-、-ZmCONR-、-C=N-、ヘテロ環式環から選択され、Zは独立にO、S、NRである)
から選択され、ここで、dは独立に0〜2であり、hは0〜15であり、mは独立に0又は1であり、nは独立に0〜4であり、Rは独立にH又はC1-12アルキル基及びフェニル基から選択され;或いはLは存在せず、Gは直接SUPに連結し;
Gは、アルキル基、アリール基、ヘテロ環式基及びヘテロアリール基から選択され、
ここで、基Gは、
a. Cl, Br, I 及び擬ハロゲンから選択される脱離基LG;及び
b. H、NR2、N+R3、-N(R)CO2H、-N=CR2、OR、-O+(R)SiR3、CO2R、CO2-、-CONR2-NRC(O)R、F、Cl、NO2、CNから選択される置換基Q及び基Qと基Lの一部との間に形成される環
を有し;
SUPは担体であり、この担体に複数n'個の基-[L]-[G]が結合している)
の化合物である、前記方法。
【請求項2】
反応媒体から触媒成分を選択的に除去し、その後に前記触媒成分を反応媒体に戻す方法であって、下記式IAの化合物を前記反応媒体と接触させて、前記触媒成分を式IAの化合物に結合させることによって結合成分を形成する工程、この結合成分及び前記反応媒体を分離する工程、その後に前記結合成分を前記反応媒体に戻す工程及び前記化合物IAから前記触媒成分を放出するように前記結合成分を処理する工程を含んでなり、前記化合物IAは下記式:
[SUP]-[G]n' (IA)
(式中:
GはSUP-に直接連結する基であり、
Gは、アルキル基、アリール基、ヘテロ環式基及びヘテロアリール基から選択され、
ここで、基Gは、
i). Cl, Br, I 及び擬ハロゲンから選択される脱離基LG;及び
ii). H、NR2、N+R3、-N(R)CO2H、-N=CR2、OR、-O+(R)SiR3、CO2R、CO2-、-CONR2-NRC(O)R、F、Cl、NO2、CNから選択される置換基Q
を有し;
SUPは担体であり、この担体に複数n'個の基-[G]が結合している)
の化合物である、前記方法。
【請求項3】
前記化合物I又はIAがオルガノポリシロキサンであり、前記担体SUPがシリカを含み、基Gが、置換されていてもよいハロアリール、ハロヘテロアリール又はハロアルキル基である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
下記式Iの化合物。
[SUP]-[[L]-[G]]n' (I)
(式中:
Lは、GをSUP-に連結する基であり、下記:
i) -(CH2)hS(O)d[Y]m;
ii) ((CH2)nY(CH2)n)m; 及び
iii) -(CH2)h[S(O)d]m(CHD)nZm (式中、Dは、H、CN、OH、-C(O)OR、-C(O)NR2、-C(O)OG及び-CONRGから選ばれ、かつS、D及びZの少なくとも1つが存在し; 及び
Y は、独立にO、NR、S(O)d、CO、CO2、-NRCOZm-、-ZmCONR-、-C=N-及び複素環から選ばれ、かつZは独立にO、S 及びNRから選ばれる)ここで、dは独立に0〜2であり、hは1〜15であり、mは独立に0又は1であり、nは独立に0〜4であり、Rは独立にH又はC1-12アルキル基及びフェニル基から選択され;
Gは、アルキル基、アリール基、ヘテロ環式基及びヘテロアリール基から選択され、ここでGは、
i)Cl、Br、I及び擬ハロゲン化物から選択される脱離基並びに
ii)H、NR2、N+R3、-N(R)CO2H、-N=CR2、OR、-O+(R)SiR3、CO2R、CO2-、-CONR2-NRC(O)R、F、Cl、NO2、CNから選択される置換基Q及び基Qと基Lの一部との間に形成される環を有する;
SUPはシリカ担体であり、この担体に複数n'個の基-[L]-[G]が結合している)
【請求項5】
下記式IAの化合物。
[SUP]-[G]n’ (IA)
(式中、Gは直接SUPに連結する基であり、
Gは、アルキル基、アリール基、ヘテロ環式基及びヘテロアリール基から選択され、ここでGは、
i)Cl、Br、I及び擬ハロゲン化物から選択される脱離基並びに
ii)NR2、N+R3、-N(R)CO2H、-N=CR2、OR、-O+(R)SiR3、CO2R、CO2-、-CONR2-NRC(O)R、F、Cl、NO2、CNから選択される置換基Qを有し、
SUPはシリカ担体であり、この担体に複数n'個の基-[L]-[G]が結合している)
【請求項6】
前記化合物が下記式VI:
[(O3/2)Si[L]G]a[Si(O4/2)]b[Si(O3/2)V"]c (VI)
(式中:V"は、置換されていてもよいC1-12-アルキル、C2-12-アルケニル若しくはC2-12-アルキニル基又はアリール基又はC1-12-アルキルアリールスルフィド、スルホキシド、スルホン、アミン又はポリアルキルアミン又はホスフィン若しくは他のリン含有基であり;
シリケート酸素原子のフリーの原子価は、下記:
式VIの他の基のケイ素原子;
水素;
直鎖又は分岐C1-12-アルキル基;
式R83M1O1/2の末端基、式R8qM1(OR9)jOk/2又はAl(OR9)3-pOp/2又はR8Al(OR9)2-rOr/2の架橋ブリッジメンバー又はポリマー鎖(式中、M1はSi又はTiであり;R8及びR9は独立に直鎖又は分岐C1-40アルキル基、アリール基及びC1-40-アルキルアリール基から選択され;j+k+q=4となるように、kは1〜3の整数であり、qは1〜2の整数であり、jは0〜2の整数であり;pは1〜3の整数であり;rは1〜2の整数である);及び
他の既知オキソ金属架橋系(前記金属はジルコニウム、ホウ素、マグネシウム、鉄、ニッケル又はランタニドである)
から選ばれる1又は2以上の基で飽和し;かつ
a、b及びcは整数であり、aは0より大きく、a、b及びcは、bが0のときはa:cの比が0.001〜1000であり、bが1以上のときはa:bの比が0.001〜1000であるような整数である)
の化合物である、請求項4又は5に記載の化合物。
【請求項7】
Lが、Gを(O3/2)Si-に連結する二価基であり、下記:
i) -(CH2)hS(O)d[Y]m;及び
ii) (CH2)n(Y)m(CH2)h (式中、Yは、-CO2-, -CON(R)-, 及び -N(R)CO-から選択され, h は独立に0〜4, mは独立に0又は1, nは独立に0〜4及びdは0〜2, 及びRは独立にH, C1-6 アルキル又はフェニルである)
から選択される、請求項4に記載の化合物。
【請求項8】
連結基Lが、シリカ基と基Gとの間に少なくとも3個の原子かつ15個以下の原子の鎖を有する、請求項4に記載の化合物。
【請求項9】
連結基Lが下記:
-(CH2)3-
-CH2CH2CHC((O)OCH3)-
-CH2CH2CH(CN)-
-(CH2)2-3NHCO-
-(CH2)2-3CONH-
-(CH2)3NHCH2-
-CH2CH2S-
-CH2CH2S(CH2)1-4SCH2-
-CH2CH2S(CH2)1-4NHCO-
から選択される、請求項4に記載の化合物。
【請求項10】
基Gが、置換されていてもよいブロモフェニル部分又は置換されていてもよいブロモヘテロアリール部分を含む、請求項4又は5に記載の化合物。
【請求項11】
連結基Lが-[CH2CH2S(O)0-2]0-1[CH2]0-3[A'']0-1-であり、A''が下記:
-NH(CO)-、
-N(CH3)-及び-O(CO)0-1-
から選択される、請求項4〜10のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項12】
請求項4〜11のいずれか1項で定義した式I又はVIの化合物の、反応媒体から成分を選択的に除去して、この成分を処理し、その後に前記成分を前記反応媒体に戻せるように、反応媒体から成分を選択的に除去するための使用。
【請求項13】
反応媒体から除去すべき成分が、触媒及び未反応原料の1種以上である、請求項12に記載の使用。
【請求項14】
除去すべき成分が、遷移金属を含みかつ配位子を含んでいてもよい触媒を含む、請求項12に記載の使用。
【請求項15】
触媒CATと、請求項4〜11のいずれか1項で定義した式I又はVIの化合物とを含んでなる有機金属種であって、前記触媒CATが、補助配位子の有無にかかわらず金属を含む、有機金属種。
【請求項16】
下記式VII
[SUP]-L-G-CAT-LG (VII)
(式中、SUP、L、G及びLGは、請求項4〜11のいずれか1項で定義したとおりであり、かつ触媒CATがパラジウム、白金、ロジウム、イリジウム、ルテニウム、銅、ニッケル又は鉄を含み、かつ補助配位子を含んでいてもよい
の請求項15に記載の有機金属種。
【請求項17】
触媒を含んでなる反応媒体(前記触媒が選択的に除去されて前記反応媒体に戻される)において炭素原子と第2の炭素原子又はヘテロ原子との間に共有結合を形成するための均一触媒方法であって、触媒CAT(ここで、触媒CATは、補助配位子と共に又は無しで金属を含む)を式II
R''-LG (II)
の化合物と接触させて式III
R''-CAT-LG (III)
の有機金属種を生成する工程、式IIIの有機金属種を化合物IV
R''''[MET]e[X'']f (IV)
で処理して、脱離基LGを基R''''と置き換えて化合物VIII
R''-R'''' (VIII)
を形成し、触媒CATを前記反応媒体中へ放出する工程、前記触媒を請求項4〜11のいずれか1項で定義した式I又は式VIの化合物と接触させて、前記反応媒体から前記触媒を除去する工程、前記触媒を式IV: R””[MET]e[X'']fの化合物と接触させることによって処理する工程及び前記触媒を処理してそれを前記反応媒体に戻す工程及びこの戻した金属触媒をさらなる原料と接触させてさらなる反応を引き起こして第2反応生成物を生成する工程を含んでなる方法(ここで、
i) R''及びR''''は、アリール、ヘテロアリール、ベンジル、アルキル、ビニル、アリル、アルキニル、アシル、スルホニル、又はヘテロ環式部分から独立に選択され;
ii) LGは、ハロゲン、擬ハロゲン及びOHから選択される脱離基であり;
iii) [MET]は、有機金属種中で使用できる金属、及びホウ素から選択され;
iv) X''は、ハロゲン及びOHから選択され;
v) eは0又は1であり、fは、種R''''[MET]e-のフリーの原子価を満たすように選択される1〜4の整数である)。
【請求項18】
基R''及びR''''が、アリール及びヘテロアリール基から独立に選択される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記生成物が、宮浦ホウ素化、ブッフバルト・ハートウィッグアミノ化、ウルマンエーテル化、ウルマンアミノ化(ゴールドバーグ反応)、ヒドロホルミル化、エステル、酸、アミド及びジケトン形成のためのカルボニル化、チャン・ラムアミノ化、溝呂木・ヘック反応、薗頭反応、檜山反応、熊田・コリュー反応、根岸反応、還元的ヘック反応、辻・トロスト反応、スティル反応及び鈴木・宮浦反応から選択される反応で生成される、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記触媒が、酢酸パラジウム、ジベンジリデンアセトンパラジウム、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウムクロリド、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウムアセタート、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、及びPd アリルクロライド、FeCl2、CuX又はCuX2(Xはハロゲン化物である)、NiCl2又はNiシクロオクタジエン(NiCOD)から選択され、或いは8、9、10又は11族から選択される金属触媒又は前駆体を含む、請求項17に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、触媒を除去して液相媒体に戻す方法、及び担体に結合したペンダント官能基を有する新規化合物、例えば新規オルガノポリシロキサン、並びに種、例えば触媒を選択的に結合及び放出する際のその使用に関する。本発明は、逐次反応に触媒を再利用する方法及び付随補助配位子を有し得る触媒が、反応環境から触媒を除去するように選択的に結合している触媒反応で生成物を生成する方法にも関する。本発明は、触媒に加えて過剰の試薬を新規化合物で除去し得る精製工程をも含み得る。過剰の試薬の有無にかかわらず、さらに使用するため、触媒を後で反応環境に復帰させ得る。本発明は特に、触媒を選択的に除去して反応に戻せる均一触媒プロセスを介して炭素原子と、炭素、窒素又は他のヘテロ原子から選択される別の原子との間に新たな共有結合を形成する方法に関する。該反応はクロスカップリング反応と呼ばれることもある。本発明は、オルガノポリシロキサンの生成方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
官能化材料は、液相合成及び固相合成、固相抽出における触媒として、生成物精製及び生体分子の固定化における触媒担体としてといった多くのさまざまな用途で利用される。典型的に、該用途で利用される官能化材料は、種々多様の操作条件にわたる優れた物理的及び化学的安定性、広い溶媒利用可能性、高速動力学並びに所望用途に適した高い固有活性及び選択性を有する官能基を必要とする。さらに、該官能化材料の調製は望ましくは相対的に簡単であり、合成が経済的かつ商業規模生産に適しているためには容易に入手可能な試薬由来である。
官能化材料は、反応媒体からの成分、例えば触媒の除去用にも知られている。除去された結合成分は次にさらなる方法、例えばさらに使用するための成分の回収又は再利用に供され得る。所望材料を回収するための既知の処理には、分離技術、化学的再生及び焼却がある。これらの処理は、場合によっては再生が特に困難なため、複雑で、費用がかかり、不十分又は無効であり得る。
化学及び医薬品業界では、反応媒体からの触媒、特に均一触媒の回収及び再利用は、反応媒体中の触媒の残存レベルが、合成された生成物内に存続しないように許容できる低いレベルに確実に保たれることが特に重要である。触媒の回収及び再利用は、特に活性触媒が高価な金属と配位子成分を両方とも含有し得る場合には操作コスト、及びプロセス効率を管理し、廃棄物を削減するのに利益をもたらす。医薬品、農薬及びファインケミカルでは製造規制又は安全性の問題が働いて触媒由来金属のレベルをある一定レベル未満にする必要があり得る。触媒及び触媒成分の回収のためには、相分離法、官能化配位子を利用して均一反応媒体、例えばスルホン化四級アンモニウム塩中での分離を可能にする分離方法(水溶性が必要とされる)及びフルオラス(fluorous)液/液抽出用のフルオラスタグ(tag)を含めた種々の方法が知られている。別の分離方法は、磁性ナノ粒子上への配位子の固体担体を伴う。膜分離技術も利用されている。これらの回収方法は相対的に複雑で費用がかかる傾向があり、触媒は「オフライン」処理のために反応方法から除去されるか又は反応方法とは別に除去され、使用済み触媒を回収して再利用のために処理しながら反応方法を作動し続けられるようにするためには触媒のさらなる装填を必要とする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
金属の効率的回収は、金属の本質的価値、特定金属の入手しにくさ、生成物純度の改善のため及び環境上の考慮、例えば廃棄処理又は管理の必要性を減らすために重要である。金属又は金属を含有する他の種、例えば触媒を回収できる材料が要望されている。金属を含有する触媒は、化学及び医薬品部門で広範な用途を見出し、例えばαアリール化、アミド化、アミノ化、エステル化、エーテル化、シアノ化、及びカルボニル化を含めたさまざまな反応で利用され、触媒作用に用いられる金属の例としては、遷移金属、例えば白金、パラジウム、ロジウム、ルテニウム、インジウム、ニッケル、銅及び鉄が挙げられる。
有機合成における均一触媒作用は、高活性、高速動力学等の利益をもたらすが、触媒の回収及び再利用は問題のあることがあり、ある一定の環境では不可能である。潜在的な再利用目的のため、いずれの仕上げプロセスも触媒が確実にその活性形で保持されることが重要である。不均一触媒作用は、迅速な精製及び仕上げを可能にし、上述したように、活性低下及び遅速動力学といった一定の制限にもかかわらず、触媒をリサイクルし得る。
本発明は、どのようにして効率的な触媒利用及び再利用と同時に反応生成物の効率的な仕上げ及び精製と共に高い触媒活性及び高速動力学を与えるかの問題を解決することを目的とする。我々は今や触媒を反応媒体から一時期選択的に除去してから同一又は異なる反応媒体に戻して、反応、例えば有機合成で均一触媒作用を利用するという利益を与えながら、不均一触媒系の利益、例えば触媒を再生又は回収しながらより容易な精製を得ることを見出した。
【課題を解決するための手段】
【0004】
第1態様では、本発明は液相媒体から成分を選択的に除去し、その後に該成分を液相媒体に戻す方法であって、下記式Iの化合物を液相媒体と接触させて、該成分を化合物Iに結合させることによって結合成分を形成する工程、この結合成分及び媒体を分離する工程、その後に結合成分を媒体に戻す工程及び化合物Iから該成分を放出するように結合成分を処理する工程を含んでなり、ここで、化合物Iは下記式:
[SUP]-[[L]-[G]]n (I)
(式中:
Lは、GをSUP-に連結する基であり、下記:
i) -(CH2)h[S(O)d]m(CHD)nZm((CH2)nY(CH2)n)m(式中、Dは、H、CN、OH、-C(O)OR、-C(O)NR2-C(O)OG、-CONRGから選択され、Yは、O、NR、S(O)d、CO、CO2、-NRCOZm-、-ZmCONR-、-C=N-、ヘテロ環式環から選択され、Zは独立にO、S、NRである);及び
ii) -(CH2)hP(=O)(OR)O-(CH2)h
から選択され、ここで、dは独立に0〜2、好ましくは0であり、hは0〜15、さらに好ましくは0〜12、特に0〜4、最適には2又は3であり、mは独立に0又は1であり、nは独立に0〜4であり、Rは独立にH又はC1-12アルキル基、好ましくはC1-6アルキル基、例えばメチル若しくはエチル、又はフェニル基から選択され;或いはLは存在せず、Gは直接SUPに連結し;
Gは、アルキル基、アリール基、ヘテロ環式基及びヘテロアリール基、好ましくは1又は2個の芳香環を有する芳香族基又はヘテロ芳香族基から選択され;
ここで、基Gは、
i) 脱離基LGを有し、これは好ましくはCl、Br、I、擬ハロゲン化物から選択され;かつ
ii) H、NR2、N+R3、-N(R)CO2H、-N=CR2、OR、-O+(R)SiR3、CO2R、CO2-、-CONR2-NRC(O)R、F、Cl、NO2、CNから選択される置換基Q及び基Qと基Lの一部との間、例えば-O-C(O)-(エーテル酸素はGに結合し、カルボニル基は基Lの一部である)に形成される環を有し;
SUPは担体、好ましくは化学的に不活性な担体であり、この担体に複数n個の基-[L]-[G]が結合している)の化合物である、方法を提供する。
好ましくは、担体は、担体1グラム当たり0.1〜5、好ましくは0.5〜2mmolの基[L]-[G]の負荷(loading)をもたらすようなレベルで複数の基[L]-[G]を含む。
用語「脱離基」は、ある一定の条件下で置換され得る基を意味し、Cl、Br、I、OH及び擬ハロゲン化物が挙げられる。用語「擬ハロゲン化物」は化学分野では周知であり、本明細書ではその通常の意味でこの用語を用いて、脱離置換基としてのそれらの特性の点でハロゲンとのかなりの類似性を示す置換基を意味し、トリフラートを含めたスルホナート、ジアゾ基、ニトリル、エステル及びアルコキシ基が挙げられる。脱離基LGは、特定用途で脱離基として作用するのに十分に不安定であるという条件で、基[G]のいずれの位置にあってもよい。好ましくは、脱離基LGは、基[G]と[L]との間の結合に対してパラ位にある。
好ましくは、ヘテロ芳香族基は下記基から選択される。
【0005】
【化1】
【0006】
適切なヘテロ環式基の例としては、下記基が挙げられる。
【0007】
【化2】
【0008】
ここで、J及びKは独立に、二価の場合はO、NR、S及びCH2から選択され、三価の場合は=N-、=CH-から選択され、HETは、HETを取り囲む環内に存在するヘテロ原子含有種を表す。この場合、G基は、G基中の炭素原子を介してL基に適切に連結される。基Qは、ヘテロ芳香族基のいずれの位置にあってもよい。
本発明は、触媒を選択的に除去し、この触媒を含有する反応媒体に該触媒を再び導入する方法であって、該触媒を式Iの化合物に結合させるように式Iの化合物を反応媒体と接触させることによって反応媒体から触媒を除去する工程、この結合した触媒を、該触媒がその最初の活性形で同一又は異なる反応媒体に放出されるように処理する工程を含んでなる方法を提供する。
好ましくは担体SUPは、シリカ及びアルミナから選択される。シリカ担体が特に好ましい。シリカ又はアルミナ担体はいくつかの未反応ヒドロキシル基を有し、これらは部分的又は全体的に好ましくはアルキル基、さらに好ましくはC1-6アルキル基、例えばプロピルでエンドキャッピングされ得る。担体SUPは適切に、結合した反復単位を含んで架橋マトリックス、例えばシリカ又はアルミナマトリックスを形成し、ケイ素原子又はアルミニウム原子の少なくともいくつかは、それらに結合した基-[L]-[G]を有する。担体SUPがポリマーを含む場合、ポリマーは適切にポリスチレン、ポリエチレングリコール、ポリ(ビニルピロリジン)、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(塩化ビニル)、ポリエチレンイミン、ポリアクリロニトリル、ポリ(エチレンイミノ二酢酸)、ポリファゼン、ポリシロキサン、ポリアクリルアミド、又はデンドリマーポリマー(そのブロック又はコポリマーを含めて)から成る群より選択される。官能基は、1つ以上のモノマーとの共重合によってポリマー鎖に付着され得る。或いは、例えば参照することにより援用するBergbreiter, Using Soluble Polymers to Recover Catalysts and Ligands, Chem. Rev. 102(10), 3345-3384 (2002)に示されているように、既に形成されたポリマーを官能化することによって官能化ポリマーを調製し得る。官能化ポリマーは架橋され又は架橋されていなくてよい。一態様では、ポリマーは架橋され、架橋モノマーのモルに対してモノマーのモルが8〜12に及ぶ架橋比を有する。ポリマー骨格の典型的分類は、参照することにより援用するBergbreiter, Using Soluble Polymers to Recover Catalysts and Ligands, Chem. Rev. 102(10) 3345-3384 (2002)に開示されている。
【0009】
好ましくは、担体SUPがシリカを含み、基Gが任意に置換されていてもよいハロ-アリール、ヘテロアリール又はアルキル基である。ケイ素又はアルミニウム原子が基-[L]-[G]を有しない場合、それらは適切に、シリカート又はアルミナート酸素原子で満たされる全原子価を有する。シリカート酸素原子又はアルミナート酸素原子は適切に下記:
他の反復単位のケイ素又はアルミニウム原子;
水素;
直鎖又は分岐C1-12-アルキル基;
式R83M1O1/2の末端基、式R8qM1(OR9)jOk/2又はAl(OR9)3-pOp/2又はR8Al(OR9)2-rOr/2の架橋ブリッジメンバー又はポリマー鎖(式中、M1はSi又はTiであり;R8及びR9は独立に直鎖又は分岐C1-40アルキル基、アリール基及びC1-40-アルキルアリール基から選択され;j+k+q=4となるように、kは1〜3の整数であり、qは1〜2の整数であり、jは0〜2の整数であり;pは1〜3の整数であり;rは1〜2の整数である);及び
他の既知オキソ金属架橋系(金属はジルコニウム、ホウ素、マグネシウム、鉄、ニッケル又はランタニドである)
で飽和している。
成分を第1液相媒体から除去して第2液相媒体に戻してよいが、好適には第1及び第2液相媒体が同一である。さらに好ましくは液相媒体が反応媒体であり、該媒体内の化学反応で成分が沈殿する。好ましくは成分は、金属、例えば、白金、パラジウム、ロジウム、ルテニウム、イリジウム、ニッケル、銅及び鉄を含んでなる触媒を含む。
第1液相媒体からいずれの適切な方法によっても、例えば物理的分離によって結合成分を分離することができる。化学的に、例えば化合物との接触によって、或いは物理的に、好ましくは、平衡の移動を引き起こし、それによって結合成分が化合物Iから第2液相媒体中へ放出されるように反応条件、例えば温度、圧力又はpHを変えることによって結合成分を処理することによって化合物Iから結合成分を放出させ得る。
【0010】
第2態様では、本発明は、触媒を含んでなる反応媒体(触媒が選択的に除去されて反応媒体に戻される)において炭素原子と第2の炭素原子又はヘテロ原子、例えば窒素及び酸素との間に共有結合を形成するための均一触媒プロセスであって、触媒CATを式II R''-LGの化合物と接触させて式III R''-CAT-LGの有機金属種を生成する工程、式IIIの有機金属種を化合物IV R''''[MET]e[X'']fで処理して、脱離基LGを基R''''と置き換えて化合物V R''-R''''を形成し、触媒CATを反応媒体中へ放出する工程を含んでなる方法(ここで、R''及びR''''は、アリール、ヘテロアリール、ベンジル、アルキル、ビニル、アリル、アルキニル、アシル、スルホニル、又はヘテロ環式部分から独立に選択され、LGは、前記定義どおりの脱離基であり、[MET]は、有機金属種中で使用できる金属、好ましくはMg又はZn、及びホウ素であり、X'' は、ハロゲン、好ましくはF、Cl又はBr、及びOHから選択され、eは0又は1であり、fは、種R''''[MET]eのフリーの原子価を満たすように選択される1〜4の整数、好ましくは1及び2である)を提供する。
触媒CATはいずれの金属元素又は金属を含有する化合物であってもよい。好ましい実施形態では、触媒は、Pd、Ni、Fe、Cu、Pt、Rh、Ru及びIrから選択される金属を含んでなる金属種を含む。
好ましくはR''及びR''''は、アリール、ヘテロアリール、アルキル及びヘテロ環式部分から独立に選択される。
好ましくは化合物IV R''''[MET]e[X'']fは、R''''LiX''、式R''''MgX''(式中、X''はCl又はBr、R''''B(X'')2、及びR''''ZnClである)のグリニャール試薬から選択される。
有利には、本発明は、均一反応で用いた触媒を結合させて反応媒体から除去して再利用を可能にし、触媒の作動寿命を延ばすことができ、かつ触媒を「オフライン」で処理又は再生する必要なしで同一反応の異なるバッチ又は異なる反応に触媒を利用するという柔軟性を提供することができる。均一反応は連続的であってよく、本発明は、反応プロセスが継続している間に、処理用触媒を、例えば該触媒が反応プロセスから離れているゾーンに移すことができる。
【0011】
第3態様では、本発明は式Iの新規化合物を提供する。
化合物Iは、好ましくはシリカ担体と、連結基を介して連結したアリール、ヘテロアリール、ヘテロ環式又はアルキル部分とを含有する新規オルガノポリシロキサンである。
第4態様では、本発明は、下記式(VI):
[(O3/2)Si[L]G]a[Si(O4/2)]b[Si(O3/2)V]c
(式中:
Lは、Gを(O3/2)Si-に連結する基であり、下記:
i) -(CH2)h[S(O)d]m(CHD)nZm((CH2)nY(CH2)n)m(式中、Dは、H、CN、OH、-C(O)OR、-C(O)NR2-C(O)OG、-CONRGから選択され、Yは、O、NR、S(O)d、CO、CO2、-NRCOZm-、-ZmCONR-、-C=N-、ヘテロ環式環、例えばスクシンイミドから選択され、Zは独立にO、S、NRである);及び
ii) -(CH2)h P(=O)(OR)O-(CH2)h
から選択され、ここで、dは独立に0〜2、好ましくは0であり、hは0〜15、さらに好ましくは0〜12、最適には0〜4、特に2又は3であり、mは独立に0又は1であり、nは独立に0〜4であり、Rは独立にH又はC1-12アルキル基、好ましくはC1-6アルキル基、例えばメチル若しくはエチル、又はフェニル基から選択され;
Gは、好ましくはC1-12アルキル基、さらに好ましくはC1-6アルキル基から選択されるアルキル基、アリール基、ヘテロ環式基又はヘテロアリール基、好ましくは1又は2個の芳香環を有する芳香族基又はヘテロ芳香族基であり、下記基:
【0012】
【化3】
【0013】
から選択され;
適切なヘテロ環式基の例としては、下記基:
【0014】
【化4】
【0015】
が挙げられ;
式中、J及びKは独立に、二価の場合はO、NR、S及びCH2から選択され、三価の場合は=N-、=CH-から選択され、HETは、HETを取り囲む環内に存在するヘテロ原子含有種を表し;
LGは脱離基であり、好ましくはCl、Br、I及び擬ハロゲン化物、トリフラートを含めたスルホナート、ニトリル、ジアゾ基、エステル及びアルコキシ基から選択され、
置換基Qは、H、NR2、N+R3、-N(R)CO2H、-N=CR2、OR、-O+(R)SiR3、CO2R、CO2-、-CONR2-NRC(O)R、F、Cl、NO2、CN及び基Qと基Lの一部との間、例えば-O-C(O)-(エーテル酸素はGに結合し、カルボニル基は基Lの一部である)に形成される環から選択され;
Vは、任意に置換されていてもよいC1-12アルキル、C2-12アルケニル又はC2-12アルキニル基又はアリール基又はC1-12アルキルアリールスルフィド、スルホキシド、スルホン、アミン若しくはポリアルキルアミン又はホスフィン若しくは他のリン含有基であり;
シリカート酸素原子のフリーの原子価は、下記:
式VIの他の基のケイ素原子;
水素;
直鎖若しくは分岐C1-12アルキル基;
式R83M1O1/2の末端基、式R8qM1(OR9)jOk/2又はAl(OR9)3-pOp/2又はR8Al(OR9)2-rOr/2の架橋ブリッジメンバー又はポリマー鎖(式中、M1はSi又はTiであり;
R8及びR9は、直鎖又は分岐C1-40アルキル基、アリール基及びC1-40アルキルアリール基から独立に選択され;j+k+q=4となるように、kは1〜3の整数であり、qは1〜2の整数であり、jは0〜2の整数であり;pは1〜3の整数であり;rは1〜2の整数である);及び
他の既知オキソ金属架橋系(金属はジルコニウム、ホウ素、マグネシウム、鉄、ニッケル又はランタニドである)
から選択される1個以上の基で飽和し;かつ
a、b及びcは整数であり、aは0より大きく、a、b及びcは、bが0のときはa:cの比が0.001〜1000であり、bが1以上のときはa:bの比が0.001〜1000となるような整数である)
の化合物を提供する。
【0016】
有利には本発明のオルガノポリシロキサンは、成分、例えば触媒を捕獲し、それによってそれを反応媒体から除去することができ、さらなる種との接触又は反応条件の変化によって、触媒を放出して反応媒体に戻すことができる。触媒がオルガノポリシロキサンに結合し、放出され、さらに反応媒体に放出されて第2反応で触媒として作用することができる。第2反応は同一基質又は異なる基質と関わってよい。
式(VI)の化合物は官能化シリカであり、有利には反応媒体内ではっきりと認識できる程度には膨潤せず、従って、反応媒体との接触のためのカートリッジで利用することによって、連続加工条件下で化合物VIを使用できるようにする。式VIの化合物は、化学的及び物理的にも安定であり、高レベルの品質管理が必要であり得る医薬品、農薬等の製造方法で化合物VIを利用できようにする高レベルの純度をもたらすことができる。ある一定の溶媒ではポリスチレンベース材料は使用が制限されることがあり、約80℃超えの温度では使用できない。式VIのオルガノポリシロキサン化合物は広範な溶媒中で使用可能であり、それらの用途では80℃未満の反応温度に限定されない。
他の利点としては、固定構造及び剛構造、有機溶媒中で不溶性、高い耐老化性、相対的に容易な精製及び高い再利用性が挙げられる。さらに式VIの化合物の調製方法は柔軟であり、少数の一般的中間体から種々の連結基L又は置換基Q及びLGを有する基Gで官能化された種々多様の官能化材料を作れるようにする。
式VIの化合物の多孔性をミクロ多孔性からマクロ多孔性まで変えることができ、また必要に応じてフラグメントVIの官能基及び他の置換基の負荷を変えてよい。式VIの化合物は、非常に安定かつ不活性な媒体にしっかりと付着しているという追加利点を有する。
好ましくは連結基LはGを(O3/2)Si-に連結する二価基であり、下記基:
i) -(CH2)h(CHD)n(Y)m(CH2)h-(式中、Dは、H、CN、OH及びC(O)ORから選択され、Yは-N(R)-、-O-、-S(O)d、-CO2-、-CON(R)-、-N(R)CO-、-C(R)=N-及び環式二価部分、好ましくは
【0017】
【化5】
【0018】
から選択され、
dは0〜2、好ましくは0、hは独立に0〜4、好ましくは2又は3、mは独立に0又は1、nは0〜4であり、Rは独立にH、C1-6アルキル又はフェニル、好ましくはH、メチル又はエチルである);
ii) -(CH2)hS(O)d(CH2)n(Y)m(CH2)h(式中、Yは-CO2-、-CON(R)-、及び-N(R)CO-から選択され、hは独立に0〜4、好ましくは2又は3であり、mは独立に0又は1であり、nは独立に0〜4であり、dは0〜2、好ましくは0であり、Rは独立にH、C1-6アルキル又はフェニル、好ましくはH、メチル又はエチルである);及び
iii) -(CH2)hP(=O)(OR)O-(CH2)h(式中、hは独立に0〜4、好ましくは2又は3である)
から選択される。
好ましい実施形態では、O3/2Siシリカ基を基Gに連結する連結基Lは、シリカ基と基Gとの間に少なくとも3個の原子の鎖を有する。好適には、連結基Lは、シリカ基と基Gとの間に15原子以下、好ましくは2〜13、例えば12原子以下の鎖長を有する。特に好ましい実施形態では、連結基Lは少なくとも3つの部分、すなわちシリカ基に結合した-CH2CH2-、連結原子及び必要に応じて接続部分を含む。好ましくは、連結原子は、シリカ基から連結基に沿って第3原子に位置し、炭素、酸素、硫黄、リン及び窒素から選択される。硫黄及び炭素が連結原子として特に好ましい。基Lは、連結原子に応じてそれぞれ炭素連結、酸素連結、硫黄連結、リン連結又は窒素連結基と呼ぶことができる。
好ましくは連結基Lは-[CH2CH2S(O)0-2]0-1[CH2]0-3[A'']0-1-であり、A''は下記:
-NH(CO)-、
-CH(CH2CO)(CO)NCH2-、
-N(CO)(CO)(基Gが芳香環を含み、カルボニル炭素原子が芳香環の隣接炭素原子に直接結合しいている場合)、
-N(CH3)-、
-O(CO)0-1-
から選択される。
好ましい炭素連結基Lとしては、-(CH2)3-、-CH2CH2CHC((O)OCH3)-、-CH2CH2CH(CN)-、-CH2CH2CH(CN)CONH(CH2)1-4-、-(CH2)2-3NHCO-、-(CH2)2-3CONH-、(CH2)3O(CH2)2CHOHCH2NHCH2-、-(CH2)3O(CH2)2CHOHCH2S-、及び-(CH2)3NHCH2-が挙げられる。好ましい硫黄連結基の例としては、-CH2CH2S-CH2CH2S(CH2)1-4SCH2-、-CH2CH2S(CH2)1-4NHCO-、-CH2CH2SCH2CONH(CH2)0-2、-CH2CH2S(CH2)2NH(CH2)0-2-、-CH2CH2S(CH)(CH2CO)(CO)NCH2-及び-(CH2)2P(=O)(OR)O-が挙げられる。
【0019】
好ましい連結基と組み合わせて、基Gは、好ましくはオルト、メタ又はパラブロモフェニルである。
脱離基LGは、ハロゲン化物及び擬ハロゲン化物から適切に選択される。化合物Iを利用することになる個々の反応及び触媒に応じて脱離基を選択することができる。
好ましい実施形態では、結合すべき触媒がPdを含む場合、LGはBrであり、触媒がCuを含む場合、LGはIであり、触媒がFeを含む場合、LGはClである。触媒がNiを含む場合、LGは好適にはエステル、ニトリル又はアルコキシ、例えばメトキシである。特に好ましい実施形態では、基Gがアリールである場合、アリール基Gは、連結基Lに対してベンゼン環のメタ又はパラ位に臭素置換基を有する。
好ましい実施形態では、基Gの置換基Qは、H、NR2、N+R3、-N(R)CO2H、-N=CR2、OR、-O+(R)SiR3、CO2R、CO2-、CONR2NRC(O)R、F、Cl、NO2、CN及び基Qと基Lの一部との間、例えば-O-C(O)-(エーテル酸素はGに結合し、カルボニル基は基Lの一部である)に形成される環から選択される。好適には、基Gがアリールの場合、置換基Qは、連結基Lに対してオルト又はメタ位にある。
別の好ましい実施形態では、置換基Qを有するアリール基Gは、2つの形態間で平衡状態にあってよく、任意に誘導体化され得る。適切な置換基Qを選択することによって、反応条件、例えばpHを変えるか或いは平衡が存在する位置を制御又は調整し、触媒の結合又は放出レベルを制御する手段を与えるように成分を添加することによって、平衡の移動に影響を及ぼすことができる。
2つの形態間で平衡状態にあってよい、置換基Qを有する好ましい基Gの例。QがOHの場合、好ましくはそれはオルト位にあり、連結基Lは、OH置換基と可逆的に環を形成できる基を含み、好ましくはLはペンダント酸又はエステル基CO2Rを含み、この場合OH置換基と酸又はエステル基が環を形成し得る。QがNR2、好ましくはNHR又はNH2の場合、この基は、pHを変えることによって可逆的にアンモニウムイオンN+H3又はN+R3を形成するか、或いは遊離CO2の存在下で-N(R)CO2Hに変換し得る。置換基Qは-OR、好ましくは-OCH3であってよく、トリアルキルシランの存在下で可逆的に-O+(R)-SiR3に変換し得る。置換基QがCO2Hの場合、pHを変えると、この基を可逆的にカルボキシラートアニオンに変換し得る。RがNH2の場合、アセトン又は他のカルボニル官能性を加えてアミンを対応イミンに誘導体化することができ、例えばアセトンの場合、水で洗浄することによって反応を逆転させ得る。反応条件を変えるか、又は他の成分を導入することによって、基Qは複数の形態で存在し得るので、平衡の位置の制御を可能にする。
【0020】
第5態様では、本発明は、反応媒体から成分を選択的に除去して、この成分を処理し、その後に該成分を反応媒体に戻せるように、反応媒体から成分を選択的に除去するための、式Iの化合物、好ましくは式VIの化合物の使用を提供する。
好適には、反応媒体から除去すべき成分は、触媒及び未反応原料の1種以上である。未反応原料は、典型的に後で反応媒体に戻されない。好ましい実施形態では、除去すべき成分は、補助配位子の有無にかかわらず金属、さらに好ましくは周期表の8、9、10又は11族の金属である。好ましい金属の例としては、パラジウム、白金、ロジウム、ルテニウム、イリジウム、ニッケル、銅及び鉄が挙げられ、必要に応じて補助配位子を含む。
第6態様では、本発明は、触媒CATの有機金属種及び式Iの化合物、好ましくは式VIの化合物を含み、CATは、補助配位子の有無にかかわらず金属を含む。触媒CATは好ましくはパラジウム、白金、ロジウム、イリジウム、ルテニウム、銅、ニッケル又は鉄を含み、必要に応じて補助配位子を含む。触媒CATは好ましくは、前記定義どおりの置換基Q及び脱離基LGを有する基Gにて化合物Iに結合している。好ましくは触媒CATは、下記式式VII:
[SUP]-[L]-[G]-[CAT]-[LG]
に示すように、基Gのアリール、ヘテロアリール又はアルキル基と脱離基LGとの間に挿入されている。
【0021】
式VIIの種を処理するための化合物は好適には前記定義どおりの式R''''[MET]e[X'']fの化合物(化合物IV)又はその塩、好ましくはアルカリ金属塩M''X''、例えばR''''B(OH)3-K+)であり、式VIIの化合物との接触後、触媒CATは反応媒体中へ放出される。選択的に 触媒を反応媒体から除去すると、該加工中に反応媒体に均一触媒を保持することに伴う欠点なしで原料を補充又は変更し、不純物又は副生物を除去できるようになる。
触媒CATは、触媒を選択的に除去して反応に戻せる均一触媒プロセスを介した新たな炭素炭素、炭素窒素、炭素酸素又は他の炭素ヘテロ原子結合の形成のための均一触媒プロセスで適切に用いられる。このプロセスは、式R''-LG(式中、LGは前記定義どおりの脱離基である)の化合物に触媒を添加して式VIII R''-CAT-LGの有機金属種を生成する工程、化合物VIIIを処理することによって、LGをアリール、ヘテロアリール、ベンジル、アルキル、ビニル、アリル、アルキニル、アルケニル、又はヘテロ環式部分から選択される基と置き換えて、式IX R''-CAT-R''''(式中、R''及びR''''は、アリール、ヘテロアリール、ベンジル、アルキル、ビニル、アリル、アルキニル、アルケニル、又はヘテロ環式部分から独立に選択される)の種を与える工程を含む。
【0022】
式VIIIの種を処理するための化合物は好適には前記定義どおりの式R''''[MET]e[X'']fの種又はその塩であり、式VIIIの化合物との接触後に式IXと[MET]e[X'']f+1の化合物が生成される。次に式IXの化合物を処理して触媒CATを反応媒体中へ放出し、化合物R''-R''''を形成することができる。次に触媒を式I又はVIの化合物と結合させることによって適切に反応媒体から除去することができ、それによって反応媒体を処理して、例えば副生物、未反応反応物等を除去できるようになり、或いは触媒の非存在下で新たな反応物を導入するか又は反応条件を変えることができるようになる。次に捕獲触媒を必要に応じて反応媒体に戻すことができる。
好ましくはLGはハロゲン化物又は前記定義どおりの擬ハロゲン化物、例えばトリフラートであるか、ある一定の金属を含む触媒条件下では、アルコキシド、エステル及ぶニトリルである。
我々は、本発明のオルガノポリシロキサンが、アリール、ビニル、ヘテロ環式又はアルキルボロン酸を、金属触媒で触媒されるアリール、ベンジル、アルキル、ビニル、アリル、アルキニル、アルケニル、アシル、スルホニル又はヘテロ環式ハロゲン化物又は擬ハロゲン化物と反応させる広範な反応で利用される金属触媒の回収に特に適していることを見出した。
【0023】
第7態様では、本発明は、均一触媒によって反応生成物を生成する方法であって、反応媒体中で均一触媒の存在下にて原料を反応させて直接又は間接的に反応生成物を生成する工程、触媒を式I、好ましくは式IVの化合物と接触させて反応媒体から触媒を除去し、式I、好ましくは式IVの化合物に結合した触媒を含む有機金属種を生成する工程、触媒を処理する工程、触媒を反応媒体に戻す工程及び戻された均一触媒の存在下で第2原料を反応させて第2反応生成物又は同一反応生成物の第2バッチを生成する工程を含んでなる方法を提供する。
第1及び第2原料は同一又は異なってよい。医薬品調製方法では、第1原料といずれのその後の原料は、規制の理由から同一であるのが有利である。適切な分析及び品質管理をすれば、異なる原料を利用してよい。触媒の除去は、触媒寿命を延長できるようにし、式Iの化合物は、過剰の原料のみならず反応媒体から再生すべき触媒をも除去することによって反応生成物を有益に精製する。反応媒体から除去されると、触媒は一時的に不均一形となり、結合触媒の第2原料との接触によって適切に反応媒体中へ放出される。
反応媒体から触媒を除去して有機金属種を形成し、この種を処理して触媒を同一又は異なる反応媒体中に再び導入するプロセスを所望により繰り返してよい。
このプロセスは過剰の試薬の除去を可能にし、それによって生成物の単離を改善する。
【0024】
さらなる好ましい態様では、本発明は、均一触媒により結合したビアリール、アリール-ヘテロアリール、アリール-アルキル、ヘテロアリール-アルキル、ビヘテロアリール、ビアルキル反応生成物を含んでなる反応生成物の生成方法であって、反応媒体中、金属を含んでなる均一触媒の存在下で式R''''[MET]e[X'']f又はR''''[MET]e[X'']f-M''+の化合物を含む原料を式R''Brの化合物と反応させて式R''-R''''の結合ビアリール生成物を生成する工程、触媒を前記定義どおりの式Iの化合物、好ましくは式VIの化合物と接触させて反応媒体から触媒を除去する工程、触媒を前記定義どおりの式R''''[MET]e[X'']fの化合物と接触させることによって処理してそれを反応媒体に戻す工程及び戻された金属触媒をさらなる原料と接触させてさらなる反応を引き起こして第2反応生成物を生成する工程を含む方法を提供する。
適切に触媒は、行なわれる反応に適したいずれの金属を含んでもよい。本発明の方法に従う処理に適した触媒の例としては、Pt、Pd、Ni、Fe、Cu、Ir、Ru、Rhが挙げられる。本発明は、存在し得るいずれもの関連する補助配位子と共に金属触媒を反応媒体から除去し、反応媒体に再導入できるようにする。
好適には触媒は、特に鈴木反応のためにはPd、Ni及びFe、C-N及びC-O結合の形成のためにはPd、Cu、Ni及びFe、C-C結合の形成のためにはPd、Ni、Fe、Cu、Ir、Ru、Rhを含むことができる。適切なパラジウム触媒の例としては、単座及び二座ホスフィンを含めたホスフィン、ホスファイト、ホスホラミダイト、カルベン、窒素含有配位子及び酸素含有配位子、及びこれらの基の2つ以上のいずれもの組み合わせと化合したパラジウムが挙げられる。具体的なパラジウム触媒の例には、酢酸パラジウム、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウムクロリド又はアセタート及びテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)があり、トリス-ジベンジリデンアセトンジパラジウム(0)プラス他のパラジウム配位子塩プラス他の金属が含まれる。
【0025】
本発明は、αアリール化(金属エノラート)、アミド化、アミノ化、エーテル化、エステル化、シアノ化(シアン化物イオン)、及びカルボニル化反応を含めた広範な触媒反応から触媒を除去できるようにする。触媒の除去及び再導入に本発明を利用できる特定反応の例としては、宮浦ホウ素化反応(ピナコールホウ素化)、ブッフバルト・ハートウィッグアミノ化(一級又は二級アミン)、ウルマンエーテル化、ウルマンアミノ化(ゴールドバーグ反応)、ヒドロホルミル化、エステル、酸、アミド及びジケトン形成のためのカルボニル化、チャン・ラムアミノ化、溝呂木・ヘック反応(アルケン)、薗頭反応(アルキン)、檜山反応(ArSi)、熊田・コリュー反応、根岸反応、還元的ヘック反応、辻・トロスト反応(エノラート)、スティル反応及び鈴木・宮浦反応が挙げられる。
反応生成物の生成方法をバッチプロセスで行なってよいが、連続方法を利用し得る。適切に触媒と原料が反応ゾーンに供給される。本発明の化合物は、反応ゾーン周囲のリサイクルループ内の個別層、例えば通常のカートリッジ配列に適切に位置する。反応ゾーン内で反応が行なわれ、次に反応混合物が個別層を通過し、本発明の化合物と接触する。触媒及び所望により未反応原料が層内で結合し、これらの成分中の枯渇した反応混合物は他の場所に供給される。次に、既に用いた成分と同一若しくは異なる成分又はカップリング相手を含む新たな原料が層を通過し、層から触媒を放出し、第2又は後続反応が行なわれる反応ゾーンに運ばれる。
【0026】
化合物I又はVIがシリカ又はアルミナ担体を含む場合、式I又はVIの化合物を生成するための官能化に適したシリカ及びアルミナとしては、それぞれ表面Si(OH)又はAl(OH)部分を有するいずれのシリカ又はアルミナも挙げられる。商業的に入手可能なシリカ又はアルミナをアルケニルトリアルコキシシラン、例えばSigma Aldrichから入手可能なビニルトリメトキシシラン(カタログ番号235768)で処理することによってシリカ又はアルミナを生成することができる。硫黄連結化合物は、ラジカル発生条件下でチオールで処理して式I又はVIの硫黄連結化合物を得ることによって生成可能である。官能化トリアルコキシシランは、所望の官能基を生じさせる種と反応させてから、シリカ又はアルミナの既存の担体の上にかけるか又はそれと反応させることによって生成可能である。
化合物I又はVIがポリマー、例えばポリスチレン担体を含む場合、商業的に入手可能な官能化モノマー、例えば官能化スチレンとモノマー、例えばスチレンとの共重合により、コポリマー添加剤の有無にかかわらず、標準的技術を用いて官能化ポリマー担体を得る。或いは従来法を用いて予形成したポリマーの官能化を利用してもよい。
【実施例】
【0027】
以下、説明に役立つ下記実施例を用いて本発明を説明する。
実施例1−ブロモフェニルアミドエチルスルフィドエチルシリカの生成
【0028】
【化6】
【0029】
システアミン塩酸塩(193.10g,1.7mol)を撹拌して120℃に加熱した。この物質が融解したら、ビニルトリメトキシシラン(229.95g,1.55mol)及びtert-ブチルペルオキシド(2.0mL,10.89mmol)を30分間かけて加えた。tert-ブチルペルオキシド(2.0mL,10.9mmol)の2回目の添加前に不均一混合物を120〜130℃でさらに1時間加熱した。反応混合物をこの温度で2時間加熱すると、溶液が均一になった。次に溶液を室温に冷まして粗生成物を得た。
この上記粗生成物、シリカ(1.00kg,70〜230メッシュ)及びトルエン(2.5L)の混合物を加熱して4時間還流させた。冷却後、反応混合物をろ過し、トルエン、メタノール及び水で洗浄した後、流動性になるまで焼結漏斗上で乾燥させた。
この半乾燥物質と水(2L)の混合物を撹拌し、この溶液にpHプローブを慎重に浸した。水酸化ナトリウム溶液(853mL,1.5M)を10分間かけて加えた。添加中に溶液のpHをモニターすると、pH 8.8〜9.2の終点を必要とする。混合物をさらに20分間撹拌してからろ過し、水及びメタノールで洗浄し、真空オーブン内で乾燥させた。NMR技術で構造を検証した。
4-ブロモ安息香酸(1.2g,6mmol,官能基(FG)負荷に基づいて1.05当量)とDMF(15mL)の混合物を室温で5分間撹拌して無色溶液を得た。撹拌しながらジイソプロピルアミン(FG負荷に基づいて1.05当量)、次にO-(ベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N′,N′-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスファート(1.6g,6mmol,FG負荷に基づいて1.05当量)を5分間隔で加える。さらに5分後、上記生成物(5.0g)を加えて1時間撹拌を続けたら、反応混合物をろ過し、メタノール、1MのNa2CO3水溶液、水及びメタノールで洗浄して乾燥させる。NMR技術で構造を検証した。
実施例2A−4-ブロモフェニルアミドプロピルシリカの生成
【0030】
【化7】
【0031】
シリカ(50g,70〜200μm,60Å)、3-アミノプロピルトリメトキシシラン(11.2g,62.5mmol)及びトルエン(140mL)を加熱して4時間還流させた。次に反応を冷ましてろ過した。固体をメタノールで洗浄し、真空オーブン内で乾燥させた。
4-ブロモ安息香酸(1.21g,6mmol)とDMF(15mL)を室温で5分間撹拌して無色溶液を得た。撹拌しながらジイソプロピルアミン(1.58g,6mmol)、次にO-(ベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N′N′-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスファート(2.28g,6mmol)を5分間隔で加えた。さらに5分後、3-アミノプロピル官能化シリカ(上記から)(5.00g,1.25mmol/g 官能基負荷)を加えて1時間撹拌を続けたら、反応混合物をろ過し、シリカをメタノール、水、1MのNa2CO3水溶液、水及びメタノールで洗浄し、真空オーブン内で乾燥させた。NMR技術で構造を検証した。
実施例2B:4-ブロモフェニルアミドプロピルシリカの生成
【0032】
【化8】
【0033】
安息香酸(2.11g,10.5mmol)とDMF(25mL)を室温で5分間撹拌した。トリエチルアミン(2.00g,20.0mmol)を加えて撹拌を室温で続け、5分後にHBTU(3.98g,10.5mmol)を添加し、5分後にアミノプロピルトリメトキシシラン(1.79g,10.0mmol)を加えた。反応混合物を室温でさらに1時間振とうさせた。
上記粗生成物、シリカ(10.00g,70〜230メッシュ)及びトルエン(50mL)の混合物を加熱して4時間還流させた。冷却後、反応混合物をろ過し、トルエン及びメタノールで洗浄した後、乾燥させた。NMR技術で構造を検証した。
実施例3−ブロモフェニルシリカの生成:
【0034】
【化9】
【0035】
ブロモフェニルトリメトキシシラン(1.00g,3.6mmol)、シリカ(5.00g,70〜230)及びトルエン(20mL)の混合物を加熱して4時間還流させた。冷却後、反応混合物をろ過し、トルエンで洗浄した後に乾燥させた。NMR技術で構造を検証した。
実施例4:4-ブロモフェニルスルフィドエチルシリカの生成
【0036】
【化10】
【0037】
トリメトキシビニルシラン(1.48g,10.0mmol)、4-ブロモチオフェノール(2.27g,12.0mmol)、AIBN(0.08g)及びトルエン(10mL)の混合物を50℃に加熱した。温度を6時間維持しながら1時間毎にAIBN(0.08g)を加え、3時間後にさらに4-ブロモチオフェノール(1.14g,6.0mmol)を加えた。
上記粗生成物、シリカ(10.00g,70〜230メッシュ)及びトルエン(50mL)の混合物を加熱して4時間還流させた。冷却後、反応混合物をろ過し、トルエン及びメタノールで洗浄した後に乾燥させた。NMR技術で構造を検証した。
実施例5−3-ブロモベンジルスクシンイミドスルフィドエチルシリカの生成:
【0038】
【化11】
【0039】
メルカプトコハク酸(99.87g,0.67mol)を内部ポット温度が80℃に達するまで加熱してからビニルトリメトキシシラン(81.34g,0.59mol)とジ-tert-ブチルペルオキシド(1.74mL,9.5mmol)の溶液を滴加した。105℃の温度に達するまで混合物をさらに2時間加熱した。ジ-tert-ブチルペルオキシド(1.74mL,9.5mmol)をさらに添加し、混合物をさらに1時間還流させた。反応が完了したら(プロトンNMRサンプル分析で)、メタノール(120mL)を加え、この物質を室温に冷ました。
シリカ(0.38kg,70〜200μm,60Å)、トルエン(1.0L)及び工程1からの物質(0.59mol)を加熱して4時間還流させた。次に反応を冷まして固体物質をメタノール、水酸化ナトリウム、水及びメタノールで洗浄してから、流動性になるまで焼結漏斗上で乾燥させた。
3-ブロモベンジルアミン塩酸塩(8.90g,40mmol)、炭酸ナトリウム水溶液(50mL,1M)及びトルエン(50mL)を撹拌し、約100℃に1時間(又は全ての固体が溶解するまで)撹拌したら混合物を冷まして相を分けた。次に有機相をコハク酸エチルスルフィドシリカ(29g,1.4mmol/g負荷)、メタンスルホン酸(0.19g,2mmol)及びトルエン(50mL)の混合物に加えた。結果として生じた混合物をディーン・スターク条件下で加熱して4時間還流させた後に冷ました。固体をろ過し、トルエン及びメタノールで洗浄し、真空オーブン内で乾燥させた。NMR技術で構造を検証した。
実施例6:2-ブロモフェニルスルフィドエチルシリカの生成
【0040】
【化12】
【0041】
トリメトキシビニルシラン(1.48g,10.0mmol)、2-ブロモチオフェノール(2.27g,12.0mmol)、AIBN(0.08g)及びトルエン(10mL)の混合物を50℃に加熱した。温度を6時間維持しながら、1時間毎にAIBN(0.08g)を加え、3時間後にさらに2-ブロモチオフェノール(1.14g,6.0mmol)を加えた。
上記の結果として生じた粗生成物、シリカ(10.00g,70〜230メッシュ)及びトルエン(50mL)の混合物を加熱して4時間還流させた。冷却後、反応混合物をろ過し、トルエン及びメタノールで洗浄した後に乾燥させた。NMR技術で構造を検証した。
実施例7:3-ブロモフェニルスルフィドエチルシリカの生成
【0042】
【化13】
【0043】
トリメトキシビニルシラン(1.48g,10.0mmol)、3-ブロモチオフェノール(2.27g,12.0mmol)、AIBN(0.08g)及びトルエン(10mL)の混合物を50℃に加熱した。温度を6時間維持しながら、1時間毎にAIBN(0.08g)を加え、3時間後にさらに3-ブロモチオフェノール(1.14g,6.0mmol)を加えた。
上記の結果として生じた粗生成物、シリカ(10.00g,70〜230メッシュ)及びトルエン(50mL)を加熱して4時間還流させた。冷却後、反応混合物をろ過し、トルエン及びメタノールで洗浄した後に乾燥させた。NMR技術で構造を検証した。
実施例8:4-クロロフェニルスルフィドエチルシリカの生成
【0044】
【化14】
【0045】
トリメトキシビニルシラン(1.48g,10.0mmol)、4-クロロチオフェノール(2.17g,15.0mmol)、AIBN(0.08g)及びトルエン(10mL)の混合物を50℃に加熱した。温度を6時間維持しながら、1時間毎にAIBN(0.08g)を加え、3時間後にさらに4-クロロチオフェノール(1.00g,7.0mmol)を加えた。
上記の結果として生じた粗生成物、シリカ(10.00g,70〜230メッシュ)及びトルエン(50mL)の混合物を加熱して4時間還流させた。冷却後、反応混合物をろ過し、トルエン及びメタノールで洗浄した後に乾燥させた。NMR技術で構造を検証した。
実施例9:4-ブロモフェニルスルホキシドエチルシリカの生成
【0046】
【化15】
【0047】
実施例4からの生成物(1.00g)とDCM(14mL)の混合物を氷浴内で冷却し、mCPBA(FG負荷に基づいて1.0当量)を撹拌しながら加えた。混合物を2時間かけて室温に戻した後にろ過し、トルエン及びメタノールで洗浄してから乾燥させた。NMR技術で構造を検証した。
実施例10:4-ブロモフェニルスルホンエチルシリカの生成
【0048】
【化16】
【0049】
実施例4からの生成物(5.00g)とDCM(14mL)の混合物を氷浴内で冷却し、mCPBA(FG負荷に基づいて4.0当量)を撹拌しながら加えた。混合物を2時間かけて室温に戻した後にろ過し、トルエン及びメタノールで洗浄してから乾燥させた。NMR技術で構造を検証した。
実施例11:N-(4-ブロモフェニル)-N-メチルアミノプロピルシリカの生成
【0050】
【化17】
【0051】
クロロプロピルトリメトキシシラン(1.99g,10.0mmol)、4-ブロモ-N-メチルアニリン(4.65g,25.0mmol)、臭化ナトリウム(1.13g,11.0mmol)及びDMF(10mL)の混合物を100℃に加熱し、当該温度で17.5時間撹拌した。
上記の結果として生じた粗生成物、シリカ(10.00g,70〜230メッシュ)及びトルエン(50mL)を加熱して4時間還流させた。冷却後、反応混合物をろ過し、トルエン及びメタノールで洗浄した後に乾燥させた。NMR技術で構造を検証した。
実施例12:4-ブロモ安息香酸プロピルシリカの生成
【0052】
【化18】
【0053】
4-ブロモ安息香酸(4.02g,20.0mmol)、炭酸セシウム(3.26g,10.0mmol)及びDMF(10mL)の混合物を50℃に加熱し、30分間撹拌した。次に臭化ナトリウム(1.23g,12.0mmol)、クロロプロピルトリメトキシシラン(1.99g,10.0mmol)及びDMF(10mL)を加え、結果として生じた混合物を80℃で16時間加熱した。
上記の結果として生じた粗生成物、シリカ(10.00g,70〜230メッシュ)及びトルエン(50mL)の混合物を加熱して4時間還流させた。冷却後、反応混合物をろ過し、水及びメタノールで洗浄した後に乾燥させた。NMR技術で構造を検証した。
実施例13:4-ブロモフェニルエチルシリカの生成
【0054】
【化19】
【0055】
トリメトキシ(2-フェニルエチル)シラン(0.50g,2.2mmol)とDCM(5mL)の混合物を氷浴内で冷却し、臭素(1.40g,8.8mmol)を滴加した。結果として生じた混合物を撹拌し、1時間かけて室温に戻した後にDCM(5mL)で希釈し、Na2S2O7水溶液(10mL,1M)で分配した。有機相を分離して水(10mL)及びブライン(20mL)で洗浄してからトルエン(10mL)を加え、DCMを真空中で除去した。
上記の結果として生じた粗生成物、シリカ(10.00g,70〜230メッシュ)及びトルエン(50mL)の混合物を加熱して4時間還流させた。冷却後、反応混合物をろ過し、トルエン及びメタノールで洗浄した後に乾燥させた。NMR技術で構造を検証した。
実施例14:4-ブロモフェノキシプロピル官能化シリカの生成
【0056】
【化20】
【0057】
クロロプロピルトリメトキシシラン(1.99g,10.0mmol)、ヨウ化ナトリウム(1.80g,12.0mmol)及びDMF(10mL)の混合物を50℃に1.5時間加熱した。次に4-ブロモフェノール(5.19g,30.0mmol)、炭酸カリウム(2.07g,15.0mmol)及びDMF(10mL)を加え、結果として生じた混合物を80℃で22.5時間加熱した。
上記の結果として生じた粗生成物、シリカ(10.00g,70〜230メッシュ)及びトルエン(50mL)の混合物を加熱して4時間還流させた。冷却後、反応混合物をろ過し、水及びメタノールで洗浄した後に乾燥させた。NMR技術で構造を検証した。
実施例15:4-ブロモフェニルスルフィドエチル;プロピル官能化シリカの生成
【0058】
【化21】
【0059】
実施例4からの生成物、トリメトキシプロピルシラン(1.0mmol/g シリカ投入量)及びトルエン(3.5mL/g シリカ,又は最少50mL)の混合物を加熱して4時間還流させた。冷却後、反応混合物をろ過し、トルエン及びメタノールで洗浄した後に乾燥させた。NMR技術で構造を検証した。
実施例16:ブロモフタルイミドプロピル官能化シリカの生成
【0060】
【化22】
【0061】
クロロプロピルトリメトキシシラン(1.99g,10.0mmol)、フタルイミド(3.68g,25.0mmol)、炭酸セシウム(3.58g,11.0mmol)、臭化ナトリウム(1.13g,11.0mmol)及びDMF(10mL)の混合物を撹拌し、55℃に16時間加熱した。
上記の結果として生じた粗生成物、シリカ(10.00g,70〜230メッシュ)及びトルエン(50mL)を加熱して4時間還流させた。冷却後、反応混合物をろ過し、水及びメタノールで洗浄した後に乾燥させた。NMR技術で構造を検証した。
上記からの生成物(6.00g)とDCM(30mL)の混合物を0℃に冷却し、臭素(FG負荷に基づいて1.0当量)を滴加した。反応混合物を4時間かけて室温に戻した後にろ過し、DCM、水及び メタノールで洗浄した後に乾燥させた。NMR技術で構造を検証した。
実施例17:フェニル4-トリフルオロメタンスルホナートスルフィドプロピル官能化シリカの生成
【0062】
【化23】
【0063】
クロロプロピルトリメトキシシラン(3.62g,18.0mmol)、チオフェノール(5.75g,46.0mmol)、臭化ナトリウム(2.06g,20.0mmol)、炭酸カリウム(3.78g,27.0mmol)及びDMF(18mL)の混合物を撹拌し、100℃に18時間加熱した。
上記の結果として生じた粗生成物、シリカ(22.00g,70〜230メッシュ)及びトルエン(80mL)の混合物を加熱して4時間還流させた。冷却後、反応混合物をろ過し、水及びメタノールで洗浄した後に乾燥させた。NMR技術で構造を検証した。
上記からの生成物(8.00g)、4-ニトロフェニルトリフルオロメタンスルホナート(FG負荷に基づいて1.0当量)、炭酸カリウム(FG負荷に基づいて1.0当量)及びDMF(25mL)の混合物を室温で4時間撹拌した後にろ過し、水及びメタノールで洗浄した後に乾燥させた。NMR技術で構造を検証した。
実施例18−担持パラジウム触媒の調製
パラジウム(ビス(ジ-tert-ブチルホスフィン)フェロセン)ジクロリド(1mmol)のサンプルを反応管に分注した。フェニルボロン酸(3mmol)及び炭酸カリウム(3mmol)を加えた。実施例3で生成した担持アリールBrを加えた(5mmol)。アセトニトリル(20相対体積)及び水(5相対体積)を反応混合物に加えた。反応を撹拌し、60℃に加熱した。1時間後にGCMSで反応を分析すると、フェニルボロン酸の完全な消費を示した。担持アリールBrは色を含み、溶媒は非常に淡い黄色であった。触媒は着色され、色は溶液から担持臭化アリール上に現れた。担体を洗浄すると、触媒が放出され、担体は新たな反応で使用可能である。
【0064】
実施例19−鈴木反応からのパラジウムの除去
パラジウム(ビス(ジ-tert-ブチルホスフィン)フェロセン)ジクロリド(0.05mmol)のサンプルを反応管に分注した。4-ブロモベンゾニトリル(1mmol)、フェニルボロン酸(1.1mmol)及び炭酸カリウム(1.1mmol)を加えた。アセトニトリル(5相対体積)及び水(5相対体積)を反応混合物に加えた。反応を撹拌し、60℃に加熱した。18時間後に反応をGCMSで分析すると、4-ブロモベンゾニトリルの完全な消費を示した。実施例3で生成した担持アリールBr(0.5mmol)を加えて混合物を60℃で一晩撹拌した。担持アリールBrは色を含み、溶媒は非常に淡い黄色だった。
実施例20−鈴木反応のための担持パラジウム触媒の使用
4-ブロモベンゾニトリル(1mmol)、フェニルボロン酸(1.1mmol)及び炭酸カリウム(1.1mmol)を反応管に添加した。アセトニトリル(5相対体積)及び水(5相対体積)を反応混合物に加えた。Pd配位子有機金属種が付着した実施例18で生成した担持臭化アリールを反応に加えた。反応を撹拌し、60℃に加熱した。18時間後に反応をGCMSで分析すると、4-ブロモベンゾニトリルの完全な消費を示した。担持アリールBrを加え(0.5mmol)、混合物を60℃で一晩撹拌した。担持アリールBrは色を含み、溶媒は非常に淡い黄色であり、触媒は着色されていた。担体を洗浄して触媒を放出してから所望どおりに再利用することができる。
次に本発明の態様を示す。
1. 液相媒体から成分を選択的に除去し、その後に前記成分を液相媒体に戻す方法であって、下記式Iの化合物を前記液相媒体と接触させて、前記成分を化合物Iに結合させることによって結合成分を形成する工程、この結合成分及び前記媒体を分離する工程、その後に前記結合成分を前記媒体に戻す工程及び前記化合物Iから前記成分を放出するように前記結合成分を処理する工程を含んでなり、前記化合物Iは下記式:
[SUP]-[[L]-[G]]a (I)
(式中:
Lは、GをSUP-に連結する基であり、下記:
i) -(CH2)h[S(O)d]m(CHD)nZm((CH2)nY(CH2)n)m(式中、Dは、H、CN、OH、-C(O)OR、-C(O)NR2-C(O)OG、-CONRGから選択され、Yは、O、NR、S(O)d、CO、CO2、-NRCOZm-、-ZmCONR-、-C=N-、ヘテロ環式環から選択され、Zは独立にO、S、NRである);及び
ii) -(CH2)hP(=O)(OR)O-(CH2)h
から選択され、ここで、dは独立に0〜2であり、hは0〜15であり、mは独立に0又は1であり、nは独立に0〜4であり、Rは独立にH又はC1-12アルキル基及びフェニル基から選択され;或いはLは存在せず、Gは直接SUPに連結し;
Gは、アルキル基、アリール基、ヘテロ環式基及びヘテロアリール基から選択され、
ここで、基Gは、
a. 脱離基LG;及び
b. H、NR2、N+R3、-N(R)CO2H、-N=CR2、OR、-O+(R)SiR3、CO2R、CO2-、-CONR2-NRC(O)R、F、Cl、NO2、CNから選択される置換基Q及び基Qと基Lの一部との間、例えば-O-C(O)-(エーテル酸素はGに結合し、カルボニル基は基Lの一部である)に形成される環
を有し;
SUPは担体であり、この担体に複数n個の基-[L]-[G]が結合している)
の化合物である、前記方法。
2. 前記成分が触媒を含み、前記液相媒体が、前記触媒を含有する反応媒体を含み、前記触媒を式Iの化合物に結合させるように式Iの化合物を前記反応媒体と接触させることによって前記触媒を前記反応媒体から除去する工程、この結合した触媒を、該触媒が同一又は異なる反応媒体に放出されるように処理する工程を含んでなる上記1に記載の方法。
3. 前記担体SUPが、ポリマー、シリカ及びアルミナから選択される、上記1又は2に記載の方法。
4. 前記化合物Iがオルガノポリシロキサンであり、前記担体SUPがシリカを含み、基Gが、任意に置換されていてもよいハロアリール、ハロヘテロアリール又はハロアルキル基である、上記1〜3のいずれか1項に記載の方法。
5. 下記式I:
[SUP]-[[L]-[G]]a (I)
(式中:
Lは、GをSUP-に連結する基であり、下記:
i) -(CH2)h[S(O)d]m(CHD)nZm((CH2)nY(CH2)n)m(式中、Dは、H、CN、OH、-C(O)OR、-C(O)NR2-C(O)OG、-CONRGから選択され、Yは、O、NR、S(O)d、CO、CO2、-NRCOZm-、-ZmCONR-、-C=N-、ヘテロ環式環から選択され、Zは独立にO、S、NRである);及び
ii) -(CH2)hP(=O)(OR)O-(CH2)h
から選択され、ここで、dは独立に0〜2であり、hは0〜15であり、mは独立に0又は1であり、nは独立に0〜4であり、Rは独立にH又はC1-12アルキル基及びフェニル基から選択され;或いはLは存在せず、Gは直接SUPに連結し;
Gは、Cl、Br、I及び擬ハロゲン化物から選択される脱離基LG並びにH、NR2、N+R3、-N(R)CO2H、-N=CR2、OR、-O+(R)SiR3、CO2R、CO2-、-CONR2-NRC(O)R、F、Cl、NO2、CNから選択される置換基Q及び基Qと基Lの一部との間に形成される環を有するアルキル基、アリール基、ヘテロ環式基又はヘテロアリール基であり;
SUPは担体であり、この担体に複数n個の基-[L]-[G]が結合している)
の化合物。
6. 前記SUPがシリカを含み、前記化合物が下記式VI:
[(O3/2)Si[L]G]a[Si(O4/2)]b[Si(O3/2)V]c
(式中:Lは、Gを(O3/2)Si-に連結する基であり、下記:
i) -(CH2)h[S(O)d]m(CHD)nZm((CH2)nY(CH2)n)m(式中、Dは、H、CN、OH、-C(O)OR、-C(O)NR2-C(O)OG、-CONRGから選択され、Yは、O、NR、S(O)d、CO、CO2、-NRCOZm-、-ZmCONR-、-C=N-、ヘテロ環式環から選択され、Zは独立にO、S、NRである);及び
ii) -(CH2)hP(=O)(OR)O-(CH2)h
から選択され、ここで、dは独立に0〜2であり、hは0〜15であり、mは独立に0又は1であり、nは独立に0〜4であり、Rは独立にH又はC1-12アルキル基又はフェニル基から選択され;或いはLは存在せず、Gは直接SUPに連結し;
Gは、アルキル基、アリール基、ヘテロ環式基、ヘテロアリール基及びヘテロ芳香族基であり;
LGは、Cl、Br、I及び擬ハロゲン化物、トリフラートを含めたスルホナート、ニトリル、ジアゾ基、エステル及びアルコキシ基から選択される脱離基であり、置換基Qは、H、NR2、N+R3、-N(R)CO2H、-N=CR2、OR、-O+(R)SiR3、CO2R、CO2-、-CONR2-NRC(O)R、F、Cl、NO2、CN及び基Qと基Lの一部、例えば-O-C(O)-(エーテル酸素はGに結合し、カルボニル基は基Lの一部である)に形成される環から選択され;
Vは、任意に置換されていてもよいC1-12-アルキル、C2-12-アルケニル若しくはC2-12-アルキニル基又はアリール基又はC1-12-アルキルアリールスルフィド、スルホキシド、スルホン、アミン又はポリアルキルアミン又はホスフィン若しくは他のリン含有基であり;
シリカート酸素原子のフリーの原子価は、下記:
式VIの他の基のケイ素原子;
水素;
直鎖又は分岐C1-12-アルキル基;
式R83M1O1/2の末端基、式R8qM1(OR9)jOk/2又はAl(OR9)3-pOp/2又はR8Al(OR9)2-rOr/2の架橋ブリッジメンバー又はポリマー鎖(式中、M1はSi又はTiであり;R8及びR9は独立に直鎖又は分岐C1-40アルキル基、アリール基及びC1-40-アルキルアリール基から選択され;j+k+q=4となるように、kは1〜3の整数であり、qは1〜2の整数であり、jは0〜2の整数であり;pは1〜3の整数であり;rは1〜2の整数である);及び
他の既知オキソ金属架橋系(前記金属はジルコニウム、ホウ素、マグネシウム、鉄、ニッケル又はランタニドである)
で飽和し;かつ
a、b及びcは整数であり、aは0より大きく、a、b及びcは、bが0のときはa:cの比が0.001〜1000であり、bが1以上のときはa:bの比が0.001〜1000であるような整数である)
の化合物である、上記5に記載の化合物。
7. Lが、Gを(O3/2)Si-に連結する二価基であり、下記:
i) -(CH2)h(CHD)(Y)m(CH2)h-(式中、Dは、H、CN、OH及びC(O)ORから選択され、Yは、-N(R)-、-O-、-S(O)d、-CO2-、-CON(R)-、-N(R)CO-、-C(R)=N-及び環式二価部分から選択され、dは0〜2であり、hは独立に0〜4であり、mは独立に0又は1であり、Rは独立にH、C1-6アルキル又はフェニルである);
ii) -(CH2)hS(O)d(CH2)n(Y)m(CH2)h(式中、Yは、-CO2-、-CON(R)-、及び-N(R)CO-から選択され、hは独立に0〜4であり、mは独立に0又は1であり、nは独立に0〜4であり、dは0〜2であり、Rは独立にH、C1-6アルキル又はフェニルである);及び
iii) -(CH2)hP(=O)(OR)O-(CH2)h(式中、hは独立に0〜4である)
から選択される、上記5又は6に記載の化合物。
8. 連結基Lが、前記シリカ基と基Gとの間に少なくとも3個の原子かつ15個以下の原子の鎖を有する、上記5〜7のいずれか1項に記載の化合物。
9. 連結基Lが下記:
-(CH2)3-
-CH2CH2CHC((O)OCH3)-
-CH2CH2CH(CN)-
-CH2CH2CH(CN)CONH(CH2)1-4-
-(CH2)2-3NHCO-
-(CH2)2-3CONH-
-(CH2)3O(CH2)2CHOHCH2NHCH2-
-(CH2)3O(CH2)2CHOHCH2S-
-(CH2)3NHCH2-
-CH2CH2S-
-CH2CH2S(CH2)1-4SCH2-
-CH2CH2S(CH2)1-4NHCO-
-CH2CH2SCH2CONH(CH2)0-2-
-CH2CH2S(CH2)2NH(CH2)0-2-
-CH2CH2S(CH)(CH2CO)(CO)NCH2-
-(CH2)2P(=O)(OR)O-
から選択される、上記5〜8のいずれか1項に記載の化合物。
10. 脱離基LGが、ハライド、スルホナート、ジアゾ基、ニトリル、エステル及びアルコキシ基から選択される、上記5〜9のいずれか1項に記載の化合物。
11. 基Gの置換基Qが、H、NR2、-N+R3、-N(R)CO2H、-N=CR2、OR、-O+(R)SiR3、CO2R、CO2-、CONR2NRC(O)R、F、Cl、NO2、CN及び基Qと基Lの一部との間に形成される環から選択される、上記5〜10のいずれか1項に記載の化合物。
12. 基Gが、任意に置換されていてもよいブロモフェニル部分又は任意に置換されていてもよいブロモヘテロアリール部分を含む、上記5〜11のいずれか1項に記載の化合物。
13. Gがアリール又はヘテロアリール基を含み、置換基Qが、連結基Lに対してオルト又はメタ位にある、上記5〜12のいずれか1項に記載の化合物。
14. Qが、H、NR2、N+R3、-N(R)CO2H、-N=CR2、OR、-O+(R)SiR3、CO2R、CO2-、CONR2NRC(O)R、F、Cl、NO2、CN及び基Qと基Lの一部との間に形成される環(RはC1-6アルキルである)から選択される、上記13に記載の化合物。
15. Gが、下記:

から選択されるヘテロアリール基
及び下記

から選択されるヘテロ環式基
(式中、J及びKは独立に、二価の場合はO、NR、S及びCH2から選択され、三価の場合は=N-、=CH-から選択され、HETは、HETを取り囲む環内に存在するヘテロ原子含有種を表す)
を含む、上記5〜14のいずれか1項に記載の化合物。
16. 連結基Lが-[CH2CH2S(O)0-2]0-1[CH2]0-3[A'']0-1-であり、A''が下記:
-NH(CO)-、
-CH(CH2CO)(CO)NCH2-
-N(CO)(CO)(基Gが芳香環を含み、カルボニル炭素原子が前記芳香環の隣接炭素原子に直接結合している場合)
-N(CH3)-及び-O(CO)0-1-
から選択される、上記5〜15のいずれか1項に記載の化合物。
17. 上記5〜16のいずれか1項で定義した式I又はVIの化合物の、反応媒体から成分を選択的に除去して、この成分を処理し、その後に前記成分を前記反応媒体に戻せるように、反応媒体から成分を選択的に除去するための使用。
18. 反応媒体から除去すべき成分が、触媒及び未反応原料の1種以上である、上記17に記載の使用。
19. 除去すべき成分が、遷移金属と、必要に応じて配位子とを含んでなる触媒を含む、上記17又は18に記載の使用。
20. 触媒CATと、上記5〜16のいずれか1項で定義した式I又はVIの化合物とを含んでなる有機金属種であって、前記触媒CATが、補助配位子の有無にかかわらず金属を含む、有機金属種。
21. 下記式VII
[SUP]-L-G-CAT-LG (VII)
(式中、SUP、L、G及びLGは、上記5〜14のいずれか1項で定義したとおりである)
の上記20に記載の有機金属種。
22. 触媒CATがパラジウム、白金、ロジウム、イリジウム、ルテニウム、銅、ニッケル又は鉄を含み、必要に応じて補助配位子を含んでなる上記20又は21に記載の有機金属種。
23. 触媒を含んでなる反応媒体(前記触媒が選択的に除去されて前記反応媒体に戻される)において炭素原子と第2の炭素原子又はヘテロ原子との間に共有結合を形成するための均一触媒方法であって、触媒CATを式II R''-LGの化合物と接触させて式III R''-CAT-LGの有機金属種を生成する工程、式IIIの有機金属種を化合物IV R''''[MET]e[X'']fで処理して、脱離基LGを基R''''と置き換えて化合物V R''-R''''を形成し、触媒CATを前記反応媒体中へ放出する工程を含んでなる方法(ここで、
i) R''及びR''''は、アリール、ヘテロアリール、ベンジル、アルキル、ビニル、アリル、アルキニル、アシル、スルホニル、又はヘテロ環式部分から独立に選択され;
ii) LGは、ハロゲン、擬ハロゲン及びOHから選択される脱離基であり;
iii) [MET]は、有機金属種中で使用できる金属、及びホウ素から選択され;
iv) X''は、ハロゲン及びOHから選択され;
v) eは0又は1であり、fは、種R''''[MET]e-のフリーの原子価を満たすように選択される1〜4の整数である)。
24. 式R''-R''''(式中、R''及びR''''は、アリール、ヘテロアリール、ベンジル、アルキル、アルケニル、ビニル、アリル、アルキニル、アシル、スルホニル又はヘテロ環式部分から独立に選択される)の生成物を含んでなる反応生成物を生成するための上記23に記載の方法であって、反応媒体中で、金属を含む均一触媒の存在下にて式R''''[MET]e[X'']fの化合物を含む原料を式R''Brの化合物と反応させて、式R''-R''''の結合生成物を生成する工程、前記触媒を上記5〜15のいずれか1項で定義した式I又は式VIの化合物と接触させて、前記反応媒体から前記触媒を除去する工程、前記触媒を前記定義どおりの式R''''[MET]e[X'']fの化合物と接触させることによって処理する工程及び前記触媒を処理してそれを前記反応媒体に戻す工程及びこの戻した金属触媒をさらなる原料と接触させてさらなる反応を引き起こして第2反応生成物を生成する工程を含んでなる方法。
25. 基R''及びR''''が、アリール及びヘテロアリール基から独立に選択される、上記23又は24に記載の方法。
26. 前記生成物が、宮浦ホウ素化、ブッフバルト・ハートウィッグアミノ化、ウルマンエーテル化、ウルマンアミノ化(ゴールドバーグ反応)、ヒドロホルミル化、エステル、酸、アミド及びジケトン形成のためのカルボニル化、チャン・ラムアミノ化、溝呂木・ヘック反応、薗頭反応、檜山反応、熊田・コリュー反応、根岸反応、還元的ヘック反応、辻・トロスト反応、スティル反応及び鈴木・宮浦反応から選択される反応で生成される、上記23〜25のいずれか1項に記載の方法。
27. 前記触媒が、酢酸パラジウム、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウムクロリド又はアセタート及びテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、FeCl2、CuX(Xはハロゲン化物である)、NiCl2又はNiシクロオクタジエン(NiCOD)から選択され、或いは8、9、10又は11族から選択される金属触媒又は前駆体を含む、上記23〜26のいずれか1項に記載の方法。