(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1の測定値が、前記サージ防止マップのタイプと、前記圧縮機の流量エレメント(FE)の位置とに依拠するものである、請求項1乃至5のいずれかに記載の方法(100)。
1つまたは複数のデジタルコンピュータ上で実行されたとき、請求項1乃至7のいずれか1項記載の方法のステップを実行するのに適切であるソフトウェアコードの部分を含む、コンピュータプログラム。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1と、
図3aおよび
図7aの例の概略図とを参照して、本発明による、遠心圧縮機1を作動させる方法が、全体として100で示されている。方法100は、サージ防止マップ上の動作点を求めるのに用いられる測定値の妥当性を検証することによって圧縮機1を作動させるものである。1つまたは複数の測定値が欠落している場合、フォールバック方策がもたらされる。方法100の最後に、測定値または計算値である複数の値が、サージ防止マップ上の動作点を計算するのに利用可能になる。
【0013】
この方法は、たとえばPLCシステムといった、圧縮機1に関連した制御ユニットによって繰り返し実行される。方法100の2つの連続した実行の間の時間間隔は、一般に制御ユニット(PLC)の走査時間に対応するものである。
【0014】
方法100は、遠心圧縮機1の吸込みおよび吐出しに接続されたそれぞれの複数の測定器から複数の測定データを取得する予備のステップ105を含む。測定データは、
− 吸込み圧力P
sと、
− 吐出し圧力P
dと、
− 吸込み温度T
sと、
− 吐出し温度T
dと、
− それぞれ吸込みまたは吐出しにおける流量エレメントFE上の差圧h
s=dP
sまたはh
d=dP
dとを含む。
【0015】
上記のデータは、サージ防止マップ上の圧縮機1の動作点を求めるために通常用いられるものである。
【0016】
方法100に用いられるサージ防止マップは、無次元のサージ防止マップである。様々なタイプのサージ防止マップが用いられ得る。流量エレメントFEが圧縮機1の吸込み側に配置されている場合、h
s/P
s(横座標)対P
d/P
s(縦座標)のマップ300が用いられる(
図3b、
図4〜
図6)。無次元のマップ300が用いられるとき、マップ上の動作点位置を識別するのに、h
s、P
sおよびP
dの3つの測定値が必要とされる。完全な無次元の解析には、以下でより詳細に説明されるように、吸込みのガス温度T
sおよび吐出しのガス温度T
dの測定値が必要である。流量エレメントFEが圧縮機1の吐出し側に配置されている場合、h
s/P
s対P
d/P
sマップ400が用いられる(
図7b、
図8〜
図10)。しかしながら、後者の場合、h
s=dP
sは有効でなく、当技術分野で公知の次式を用いて計算する必要がある。
【0017】
h
s=h
d・(P
d/P
s)・(T
s/T
d)・(Z
s/Z
d) (A)
マップ400上の動作点の位置を識別するために式Aを適用するには、h
d、P
s、P
d、T
s、T
dの5つの測定値の組が必要である。
【0018】
あるいは、流量エレメントFEが吸込みに配置されていようと吐出しに配置されていようと、圧縮比P
d/P
sの代わりに、低減されたヘッドh
rが、横軸上のh
s/P
sとともに縦軸上にマッピングされ得る。後者のマップが用いられるとき、マップ上の動作点の位置を識別するには、h
rを計算することにより、h
s、P
s、P
d、T
s、T
dの5つの測定値が必要である。
【0019】
方法100は、予備のステップ105の後、圧縮機1の吸込みおよび吐出しに接続されている複数の測定器の間で測定器の障害を検出する第1の有効なステップ110を含む。
【0020】
第1のステップ110の間に測定器の障害が検出されなければ、方法100は、複数の測定データの相合を確認する第2の有効なステップ120を始める。第2のステップ120は、流量エレメントh
sまたはh
dの差圧における温度の測定データT
s、T
d、圧力の測定データP
s、P
dと、以下で、吸込み状態における分子量とガス圧縮性Z
sの間の比M
w/Z
sの計算に関して説明される(
図2に表される)プロシージャ200とに基づいて、圧縮機1によって圧縮されたガスの分子量M
wを計算する第1のサブステップ121を含む。
【0021】
プロシージャ200は、プロシージャ200の先の実行で計算された値を用いて比M
w/Z
sの第1の値を設定する初期化動作201を含む。プロシージャ200が初めて実行されるので、そのような値が利用可能でない場合には、吸込み状態における分子量M
wおよびガス圧縮性Z
sの設計条件値が用いられる。反復プロシージャ200には、初期化動作201の後に、後続の操作211〜220を連続的に遂行するサイクル210が含まれる。
【0022】
反復サイクル210の1回目の動作211中に、当技術分野で公知の次式によって吸込み密度γ
sが計算され、
γ
s=P
s/(R・T
s)・(M
w/Z
s)
i-1 (B)
(M
w/Z
s)
i-1は、反復サイクル210の以前の反復で計算された、または反復サイクル210が初めて実行される以前に初期化動作201で計算されたM
w/Z
sの値である。
【0023】
反復サイクル210の2回目の動作212中に、当技術分野で公知の次式によって体積流量Q
vsが計算され、
Q
vs=k
FE sqrt(h
s・100/γ
s) (C)
k
FEは流量エレメントFEの定数であり、「sqrt」は平方根関数である。流量エレメントFEが圧縮機1の吐出し側に配置されていてマップ400が用いられる場合、h
sは直接測定されず、式Aを用いて計算され得る。
【0024】
反復サイクル210の3回目の動作213中に、当技術分野で公知の次式によってインペラの先端の速度u
1が計算され、
u
1=N・D・π/60 (D)
Nはインペラの回転速度であり、Dはインペラの直径である。
【0025】
反復サイクル210の4回目の動作214中に、当技術分野で公知の次式によって流量の無次元の係数φ
1が計算される。
【0026】
φ
1=4・Q
vs/(π・D
2・u
1) (E)
反復サイクル210の5回目の動作215中に、当技術分野で公知の次式によって吸込みにおける音速a
sが計算され、
a
s=sqrt(k
v・RT
s/(M
w/Z
s)
i-1) (F)
k
vは断熱指数である。
【0027】
反復サイクル210の6回目の動作216中に、吸込みにおけるマッハ数M
1が、インペラの先端の速度u
1と吸込みにおける音速a
sの間の比として計算される。
【0028】
反復サイクル210の7回目の動作217中に、φ
1として既知の無次元のデータ配列からの補間およびマッハ数M
1によって、ヘッドの無次元の係数τとポリトロープ効率etapの間の積が導出される。
【0029】
反復サイクル210の8回目の動作218中に、当技術分野で公知の次式によってポリトロープヘッドH
pcが計算される。
【0030】
H
pc=τ・etap・u
12 (G)
反復サイクル210の9回目の動作219中に、当技術分野で公知の次式によってポリトロープ指数xが計算される。
【0031】
x=ln(T
d/T
s)/ln(P
d/P
s) (H)
反復サイクル210の10回目の最後の動作220中に、当技術分野で公知の次式によって比M
w/Z
sの値が更新される。
【0032】
(M
w/Z
s)
i=RT
s・((P
d/P
s)
x−1)/(H
pc・x) (I)
第2のステップ120の第2のサブステップ122では、M
w/Z
sの計算された値が、最小値と最大値の間で定義された許容値の区間と比較される。M
w/Z
sの計算された値がそのような区間の外にあると、第2のステップ120の後続の第3のサブステップ123で警報が発生される。第2のサブステップ122中に遂行される比較検査により、遠心圧縮機1の吸込みおよび吐出しにおける複数の測定器によって遂行された複数の測定値P
s、P
d、T
s、T
d、h
sまたはh
dを確認することが可能になる。これは、具体的には、オペレータが、較正されていない測定器を起動中に識別するのを支援するのに用いることができる。
【0033】
第1の有効なステップ110の間に測定器の障害が検出されると、方法100は、複数の測定器が障害状態にあるかどうか検出する第3のステップ113を始める。第3のステップ113中に遂行された検査がマイナスであって、測定器の障害が1つしか検出されなかった場合には、方法100は、所定の安全時間期間t
1にわたって、分子量の最近の有効な値および他の有効な測定データの値に基づいて欠落データ(P
s、P
d、T
s、T
d、h
sまたはh
dのうちの1つ)を推定値で置換するフォールバックステップ130を継続する。
【0034】
方法100は、フォールバックステップ130に入る以前に、安全時間期間t
1が第4のステップ114および第5のステップ115を含むかどうか識別するために、それぞれ、フォールバックステップ130が進行中であるか、また安全時間期間t
1が経過したか、検査する。第4のステップ114の間および第5のステップ115の間に遂行された検査のうちの1つがマイナスであって、フォールバックステップ130がまだ進行中でないか、または安全時間期間t
1がまだ経過していなければ、フォールバックステップ130が遂行される。
【0035】
第4のステップ114中に遂行された検査がマイナスであれば、方法100は、フォールバックステップ130の第1のサブステップ131を継続し、タイマが、安全時間期間t
1を測定し始める。第4のステップ114中に遂行された検査がプラスであって、フォールバックステップ130が既に進行中であれば、第5のステップ115が遂行される。第5のステップ115中に遂行されたマイナスの検査および第1のサブステップ131の後、すなわちフォールバックステップ130が進行中であって、安全時間期間t
1がまだ終了していなければ、方法100は、フォールバックステップ130の第2のサブステップ132を継続し、欠落データの推定値が求められる。フォールバックステップ130は、第2のサブステップ132の後に、特に圧縮機1のオペレータに対して、測定器のうちの1つが障害状態にあり、関連したフォールバックステップ130が遂行されていることを伝えるために警報を発生する第3のサブステップ133を含む。
【0036】
フォールバックステップ130の第2のサブステップ132中に遂行される動作は、測定器のどれが障害状態にあり、したがって、どの測定データが欠けているかということに依拠する。すべての場合に、フォールバックステップ130の第2のサブステップ132中に、M
w/Z
sの最近の有効な適値、すなわち、測定器障害が生じる直前の第2のステップ120の第1のサブステップ121で計算された値が用いられる。
【0037】
すべての場合に、任意選択で、安全性をさらに改善するために、フォールバックステップ130の第2のサブステップ132中に、サージ防止マップ300、400においてサージ防止マージンが増加される。
【0038】
本発明の第1の実施形態(
図3a、
図3b、
図4〜
図6)では、圧縮機1は、吸込み側に流量エレメントFEを含み、横座標の変数としてh
s/P
sがマッピングされ、縦座標の変数としてP
d/P
sがマッピングされている無次元のマップ300が用いられる。正常状態では、マップ300上の測定された動作点301を求めるには、流量エレメントFEからの差圧h
sと、吸込みの圧力センサからのP
sおよび吐出しの圧力センサからのP
dとの測定値で十分である。障害状態では、h
s、P
sまたはP
dの測定値のうちの1つが欠けていると、測定された動作点301の割出しが妨げられ、フォールバック推定を遂行する必要がある。フォールバック推定の間、以下で明白になるように、吸込みにおける温度の値T
sおよび吐出しにおける温度の値T
dが必要とされる。
【0039】
本発明の第1の実施形態では、障害状態の測定器が流量エレメントFEであれば、差圧h
sは、フォールバックステップ130の第2のサブステップ132において、連続的に遂行される以下の動作によって推定される。
− ポリトロープ指数xが式Hを用いて計算され、
− ポリトロープヘッドH
pcが、最近の有効な適値M
w/Z
sならびに既知のT
s、P
d/P
sおよびxを用いて式Iから計算され、
− H
pcが既知であり、u
1が式Dを用いて計算されるので、ポリトロープヘッドの無次元の係数τとポリトロープ効率etapの間の積が式Gから計算され、
− 音速a
sが、式Fおよび最近の有効な適値M
w/Z
sを用いて計算され、
− マッハ数M
1がu
1とa
sの間の比として計算され、
− 積τ・etapが既知であるため、流量の無次元の係数φ
1が、サイクル210の7回目の動作217で用いられるのと同一の無次元のデータ配列からの補間によって導出され、
− 体積流量Q
vsが式Eから計算され、
− 吸込み密度γ
sが式Bによって計算され、
− Q
vs、kおよびγ
sが既知であるため、差圧h
sが式Cから計算される。
【0040】
図4を参照すると、測定値P
sおよびP
dならびにh
sの推定に基づいて、マップ300で、測定された動作点301が推定の動作点302によって置換される。h
sを求めるのに用いられる計算および補間における誤差のマージンを考慮して、推定の動作点302は、測定された動作点301を含む円形の領域に入る。普通には、そのような領域は、SLLの右側の安全領域にあるか、または最悪シナリオの手法で計算された動作点よりも安全領域に少なくともより接近しているはずである。公知の方法で用いられる最悪のシナリオでは、測定された動作点301は、h
s=0という仮定に基づいて、マップ300においてマップ300の縦軸上で、最悪の場合のポイント303で置換される。したがって、最悪の場合のポイント303は、常にSLLの左側にあり、サージ防止弁を完全に開けさせる。
【0041】
本発明の第1の実施形態では、障害状態の下で測定器が吸込みの圧力センサである場合、吸込圧力P
sは、フォールバックステップ130の第2のサブステップ132において、繰り返し遂行される以下の動作によって推定される。
− 最初に、P
sが、障害状態に到達する前に吸込圧力センサによって測定された最近の有効な適値として定義され、
− 吸込み密度γ
sが、最近の有効な適値P
sおよびM
w/Z
sと既知のT
sとを用いて式Bによって計算され、
− 体積流量Q
vsが式Cによって計算され、
− 流量の無次元の係数φ
1が式Eによって計算され、
− 音速a
sが式Fを用いて計算され、
− マッハ数M
1がu
1とa
sの間の比として計算され、
− ヘッドの無次元の係数τとポリトロープ効率etapの間の積が、マッハ数M
1および上記で計算されたφ
1の値を用いて、無次元のデータ配列からの補間によって導出され、
− ポリトロープヘッドH
pcが式Iによって計算され、
− ポリトロープ指数xが、M
w/Z
sの最近の有効な適値を用いて、当技術分野で公知の次式で計算され、
x=R・(T
d−T
s)/(M
w/Z
s)/H
pc (L)
− 最後に、x、P
d、T
sおよびT
dが既知であるため、P
sの新規の値が式Hから計算される。
【0042】
図5を参照すると、測定値h
sおよびP
dならびにP
sの推定に基づいて、マップ300で、測定された動作点301が推定の動作点302によって置換される。P
sを求めるのに用いられる計算および補間における誤差のマージンを考慮して、推定の動作点302は、測定された動作点301を含む円形の領域に入る。普通には、そのような領域は、SLLの右側の安全領域にあるか、または最悪シナリオの手法で計算された動作点よりも安全領域に少なくともより接近しているはずである。公知の方法で用いられる最悪のシナリオでは、測定された動作点301は、P
d/P
s=P
d/P
s,minおよびh
s/P
s=h
s/P
s,maxという仮定に基づいて、マップ300において、最悪の場合のポイント303で置換され、P
s,minおよびP
s,maxは、それぞれ、吸込みにおける圧力の可能な最小値および最大値である。一般に、最悪の場合のポイント303は、この場合もSLLの左側にあり、サージ防止弁を開けさせる。
【0043】
本発明の第1の実施形態では、障害状態の測定器が吐出しの圧力センサであれば、吐出し圧力P
dは、フォールバックステップ130の第2のサブステップ132において、以下の動作によって推定される。
− 吸込み密度γ
sが式Bによって計算され、
− 体積流量Q
vsが式Cによって計算され、
− 流量の無次元の係数φ
1が式Eによって計算され、
− 音速a
sが、最近の有効な適値M
w/Z
sを用いて式Fによって計算され、
− マッハ数M
1がu
1とa
sの間の比として計算され、
− ヘッドの無次元の係数τとポリトロープ効率etapの間の積が、マッハ数M
1および上記で計算されたφ
1の値を用いて、無次元のデータ配列からの補間によって導出され、
− ポリトロープヘッドH
pcが式Gから計算され、
− ポリトロープ指数xが、最近の有効な適値M
w/Z
sを用いて式Lによって計算され、
− x、P
s、T
sおよびT
dが既知であるため、P
dが式Hから計算される。
【0044】
図6を参照すると、測定値h
sおよびP
sならびにP
dの推定に基づいて、マップ300で、測定された動作点301が推定の動作点302によって置換される。変数としてマップ300の縦軸上にのみ現われるP
dを求めるのに用いられる計算および補間における誤差のマージンを考慮して、推定の動作点302は、測定された動作点301を含む細長い垂直な領域に入る。普通には、そのような領域は、SLLの右側の安全領域にあるか、または最悪シナリオの手法で計算された動作点よりも安全領域に少なくともより接近しているはずである。公知の方法で用いられる最悪のシナリオでは、測定された動作点301は、P
d/P
s=P
d,max/P
sという仮定に基づいて、マップ300において、最悪の場合のポイント303で置換され、P
d,maxは、吐出しにおける圧力の最大の可能な値である。一般に、最悪の場合のポイント303は、この場合もSLLの左側にあり、サージ防止弁を開けさせる。
【0045】
本発明の第2の実施形態(
図7a、
図7b、
図8〜
図12)では、圧縮機1は吐出し側の流量エレメントFEを含み、横座標の変数としてh
s/P
sがマッピングされ、縦座標の変数としてP
d/P
sがマッピングされている無次元のマップ400が用いられる。差圧h
sを測定値から入手することができないので、関連した値は式Aによって計算される。正常状態では、マップ400上の測定された動作点401を求めるには、流量エレメントFEからの差圧h
dと、吸込みの圧力センサからのP
sおよび吐出しの圧力センサからのP
dと、吸込みの温度センサからのT
sおよび吐出しの温度センサからのT
dとの測定値が必要である。障害状態では、h
d、P
s、P
d、T
sまたはT
dの測定値のうちの1つが欠けていると、測定された動作点401の割出しが妨げられ、フォールバック推定を遂行する必要がある。フォールバックステップ130の第2のサブステップ132中に遂行される動作は、本発明の第1の実施形態を参照しながら上記で説明されたものに類似であり、したがって詳細には報告されない。結果は添付の
図8〜
図12に示されている。
【0046】
図8〜
図12を参照すると、欠落データの推定および依然として有効な他の測定データに基づいて、マップ400で、測定された動作点401が推定の動作点402によって置換される。欠落データを推定するのに用いられる計算および補間の誤差のマージンを考慮して、推定の動作点402は、円形の領域(
図8〜
図10の、h
d、P
sまたはP
dが推定される場合)または測定された動作点401を含む細長い水平の領域(
図11、
図12の、T
sまたはT
dが推定される場合)に入る。普通には、そのような領域は、SLLの右側の安全領域にあるか、または最悪のシナリオの手法で計算された動作点よりも安全領域に少なくともより接近しているはずである。公知の方法で用いられる最悪のシナリオでは、測定された動作点401は、マップ400において、欠落データが、関連した可能な最大値または最小値に等しいと仮定することによって求められた最悪の場合のポイント403で置換され、最大値または最小値のうちどちらでも、ケースバイケースで最悪の状態を決定する。一般に、最悪の場合のポイント403はSLLの左側にあり、サージ防止弁を開けさせる。
【0047】
本発明の様々な実施形態(図示せず)によれば、他の無次元のマップを用いることができ、たとえば、流量エレメントFEが圧縮機1の吸込み側に配置されている場合には、h
r対h
s/P
sのマップが用いられ得る。しかしながら、すべての場合に、測定された動作点は、無次元のマップにおいて、本発明の第1の実施形態を参照しながら上記で説明されたものに類似の動作によって求められる推定の動作点で置換される。結果は、すべての場合において、添付の
図4〜
図6および
図8〜
図12で図示されたものと同一であるかまたは類似であり、すなわち、推定の動作点は、SLLの右側の安全領域にあるか、または最悪のシナリオの手法で計算された動作点よりも安全領域に少なくともより接近しており、サージング防止制御システムの不必要な介在が防止され、その結果、サージ防止弁が不必要に開くのが防止される。
【0048】
第3のステップ113中に遂行された検査がプラスであって、複数の測定器の障害が検出された場合、または、第5のステップ115中に遂行された検査がマイナスであって、測定器の障害が1つしか検出されないが、安全時間期間t
1が経過している場合には、方法100は、さらなる置換の最悪の場合のステップ140で、測定器の障害のために欠けている2つ以上の測定値の最大値および/または最小値に基づいて、無次元のマップ300、400において、測定された動作点301、401または最悪の場合のポイント303、403を、推定の動作点302、402で置換する。たとえば、第1および第2の実施形態では、最悪の場合のポイント303、403は、ケースバイケースで、上記で定義され、添付の
図4〜
図6および
図8〜
図12に表されたものである。最悪の場合のステップ140中に、特にステップ140が遂行されている圧縮機1のオペレータに対して伝えるために、警報が発生される。
【0049】
第2の測定器がもはや信頼できないとき、すなわち圧縮機の挙動モデルに基づく推定がもはや不可能なとき、または第1の測定器の障害が安全時間t
1よりも長期にわたって残存するとき(許容できると見なされる)、最悪の場合のステップ140を実行すると、フォールバックステップ130に関して、より高度な安全性が確実になる。