【文献】
神沼 英里ほか,CrowdR&D: クラウド協働評価のための参加型R&Dプロジェクト情報統合基盤,人工知能学会 第30回全国大会論文集CD−ROM,一般社団法人 人工知能学会,2016年 6月 9日,1L4-OS-09a-6
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本願の発明者らは、求人タスク(募集、応募、実施のプロセス)に含まれる各工程の業務を、求人依頼主と請負人(ユーザ)と間で進行させる「人的資源管理システム用の募集管理サーバ」を開発している。これは、例えば人材紹介業などのサービス業に用途がある。
募集管理サーバは、募集側(求人依頼主側)端末から受信した募集条件情報を含む募集要求を、複数のユーザ端末(求職請負人)へ同報配信する。これに対して、ユーザ端末からユーザ操作に基づく応募応答を受信し、その応募応答を募集側端末へ送信する。これによって、依頼主と請負人との間で、募集管理サーバを仲介して募集・応募の各工程の業務を進行させていく。
【0008】
ここで、本願の発明者らは、経験則として、ユーザ(請負人)毎に、応募日から予定日までの応募残存日数が異なる傾向があることを認識している。ユーザ毎のこれら応募残存日数の傾向の違いは、ユーザの性向や職場環境に大きく依存している。募集要求を受信した際に、応募応答を直ぐに送信するユーザもいれば、募集要求の受信を認知しても、応募応答を直ぐに送信せず、予定日に近くなって送信するユーザもいる。このように、募集条件情報に基づく応募応答の行動傾向は、ユーザ毎に大きく異なる。
即ち、本願の発明者らは、募集要求を送信しようとする募集日から予定日までの募集残存日数に応じて、過去の応募残存日数の傾向からユーザを検索することができるのではないか、と考えた。
【0009】
そこで、本発明は、募集日から予定日までの募集残存日数に応じてユーザを検索することができる募集管理サーバ、端末、プログラム及び方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によれば、予定日を含む募集要求を配信し、ユーザ操作に応じた応募応答をユーザ端末から受信する募集管理サーバであって、
各ユーザについて、応募応答を受信した応募日から当該募集要求の予定日までの応募残存日数を記録する応募残存日数記録手段と、
各ユーザについて、所定時間単位で区分された日数帯毎に、応募残存日数が含まれる日数帯の応募頻度yを計数する応募頻度計数手段と、
募集要求を配信しようとしている募集日から予定日までの募集残存日数が含まれる日数帯をキーとして、応募頻度yが高い順に所定数のユーザを検索するユーザ検索手段と
を有することを特徴とする。
【0011】
本発明の募集管理サーバにおける他の実施形態によれば、
募集日、応募日、予定日は、時刻を含み、
募集残存日数、応募残存日数、日数帯は、時間を含む
ことも好ましい。
【0012】
本発明の募集管理サーバにおける他の実施形態によれば、
募集要求は、募集条件情報を含んでおり、
日数帯毎に、各ユーザについて、応募頻度を目的変数yとし、募集条件情報を説明変数xとした回帰係数β
0,β
1を算出する回帰係数算出手段を更に有し、
ユーザ検索手段は、募集残存日数が含まれる日数帯について、説明変数xと当該日数帯の回帰係数β
0,β
1とから、応募頻度yを算出する
y=β
0+β
1x
ことも好ましい。
【0013】
本発明の募集管理サーバにおける他の実施形態によれば、
募集要求は、複数の募集条件情報を含み、
回帰係数算出手段は、日数帯毎に、各ユーザについて、応募頻度を目的変数yとし、複数の募集条件情報を説明変数x
1,x
2,・・・とした重回帰分析によって、各募集条件情報の偏回帰係数β
0,β
1,β
2,・・・を算出し、
ユーザ検索手段は、募集残存日数が含まれる日数帯について、説明変数x
1,x
2,・・・と当該日数帯の偏回帰係数β
0,β
1,β
2,・・・とから、応募頻度yを算出する
y=β
0+β
1x
1+β
2x
2+・・・
ことも好ましい。
【0014】
本発明の募集管理サーバにおける他の実施形態によれば、
回帰係数算出手段は、日数帯毎に、各ユーザについて、応募頻度を目的変数yと、募集条件情報を説明変数x
1,x
2,・・・とを入力し、各募集条件情報の偏回帰係数β
1,β
2,・・・を内部パラメータとして保持する機械学習エンジンである
ことも好ましい。
【0015】
本発明の募集管理サーバにおける他の実施形態によれば、
ユーザ検索手段は、募集残存日数における応募頻度yの合計頻度が高い順に所定数のユーザを検索することも好ましい。
【0016】
本発明の募集管理サーバにおける他の実施形態によれば、
応募頻度が最も多い日数帯を中央として、又は、応募頻度の正規分布における平均値μを中央として、複数の募集期間に区分する募集期間区分手段と
を更に有し、
応頻度計数手段は、再度、日数帯を、募集期間毎に区分して応募頻度を計数する
ことも好ましい。
【0017】
本発明の募集管理サーバにおける他の実施形態によれば、
募集要求は、メッセージ若しくはメール、又は、ページのURL(Uniform Resource Locator)を含むメッセージ若しくはメールであり、
応募応答は、応募応答用アドレスで受信したメッセージ若しくはメール、又は、応募応答用URLに対するユーザ操作によって受信したページ要求である
ことも好ましい。
【0018】
本発明の募集管理サーバにおける他の実施形態によれば、
募集要求は、求人募集に基づくものであり、
募集条件情報は、時給、勤務時間、給与額、対応人数、通勤距離、通勤時間、通勤方位角度のいずれか1つ以上を含む
ことも好ましい。
【0019】
本発明によれば、予定日を含む募集要求を配信し、ユーザ操作に応じた応募応答をユーザ端末から受信する募集管理端末であって、
各ユーザについて、応募応答を受信した応募日から当該募集要求の予定日までの応募残存日数を記録する応募残存日数記録手段と、
各ユーザについて、所定時間単位で区分された日数帯毎に、応募残存日数が含まれる日数帯の応募頻度yを計数する応募頻度計数手段と、
募集要求を配信しようとしている募集日から予定日までの募集残存日数が含まれる日数帯をキーとして、応募頻度yが高い順に所定数のユーザを検索するユーザ検索手段と
を有することを特徴とする。
【0020】
本発明によれば、予定日を含む募集要求を配信し、ユーザ操作に応じた応募応答をユーザ端末から受信する装置に搭載されたコンピュータを機能させる募集管理プログラムであって、
各ユーザについて、応募応答を受信した応募日から当該募集要求の予定日までの応募残存日数を記録する応募残存日数記録手段と、
各ユーザについて、所定時間単位で区分された日数帯毎に、応募残存日数が含まれる日数帯の応募頻度yを計数する応募頻度計数手段と、
募集要求を配信しようとしている募集日から予定日までの募集残存日数が含まれる日数帯をキーとして、応募頻度が高い順に所定数のユーザを検索するユーザ検索手段と
してコンピュータを機能させることを特徴とする。
【0021】
本発明によれば、予定日を含む募集要求を配信し、ユーザ操作に応じた応募応答をユーザ端末から受信する装置の募集管理方法であって、
装置は、
学習時のステップとして、
各ユーザについて、応募応答を受信した応募日から当該募集要求の予定日までの応募残存日数を記録し、
各ユーザについて、所定時間単位で区分された日数帯毎に、応募残存日数が含まれる日数帯の応募頻度yを計数し、
運用時のステップとして、
募集要求を配信しようとしている募集日から予定日までの募集残存日数が含まれる日数帯をキーとして、応募頻度が高い順に所定数のユーザを検索する
ように実行することを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明の募集管理サーバ、端末、プログラム及び方法によれば、募集日から予定日までの募集残存日数に応じてユーザを検索することができる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。
【0025】
図1は、本発明におけるシステム構成図である。
【0026】
図1によれば、本発明の募集管理サーバ1が、インターネットに接続されている。募集管理サーバ1は、予定日(実施日)が記述された募集要求(メッセージ)を、請負人となるユーザによって所有される複数のユーザ端末2へ同報的に配信する。
本発明の実施形態として、具体的には以下のような事例を想定する。
求人依頼主 :企業健診を業とする医療機関(医療従事者を募集)
募集管理サーバ:人材紹介業者
請負人 :医療従事者(例えば医師、看護師、臨床検査技師など)
また、募集要求は、例えば求人募集に基づくものであり、以下のような情報が記述されている。
予定日 :予定日時
募集条件情報 :時給、勤務時間、給与額、対応人数、通勤距離、通勤時間、
通勤方位角度
尚、募集要求のメッセージの内容は、依頼主の操作によって募集側端末3から、募集管理サーバ1へ送信されたものである。
【0027】
募集要求を受信したユーザ端末2は、請負人の操作に応じた応募応答を、募集管理サーバ1へ送信する。ここで、募集管理サーバ1としては、ユーザがその募集要求の内容を見ているか否か、募集を希望するのか否かは、その応募応答を受信するまで認識できない。
募集要求を受信した際に、応募応答を直ぐに送信するユーザもいれば、募集要求の受信を認知しても、応募応答を直ぐに送信せず、予定日に近くなって送信するユーザもいる。一方で、依頼主としては、請負人となるユーザを、予定日よりも早期に確保したいと考える。
【0028】
実施形態の説明の中で使用する用語を、以下のように定義する。
募集日:募集要求を複数のユーザへ同報的に配信しようとしている日
応募日:ユーザから応募応答を受信した日
予定日:募集要求に記述された予定日(例えば実施日)
募集残存日数:募集日から予定日までの日数
応募残存日数:応募日から予定日までの日数
日数帯:所定時間単位で区分された日数帯
尚、「募集日」「応募日」「予定日」は、時刻を含み、「募集残存日数」「応募残存日数」「日数帯」は、時間を含む。
【0029】
図2は、本発明における募集管理サーバの機能構成図である。
【0030】
図2によれば、募集管理サーバ1は、募集要求送信部101と、応募応答受信部102と、応募残存日数記録部11と、応募頻度計数部12と、回帰係数算出部13と、ユーザ検索部14と、募集期間区分部15とを有する。これら機能構成部は、サーバに搭載されたコンピュータを機能させるプログラムを実行することによって実現できる。また、これら機能構成部の処理の流れは、サーバの募集管理方法としても理解できる。
【0031】
[募集要求送信部101]
募集要求送信部101は、募集側端末3から受信した募集要求を、複数のユーザ端末2へ同報的に配信する。
募集要求は、以下のようなものである。
(1)募集条件情報が記述されたメッセージ若しくはメール
(2)募集条件情報が記述されたページのURLを含むメッセージ若しくはメール
また、募集要求のメッセージには、応募応答用URLが記述されていることも好ましい。ユーザは、このURLをタップするだけで、募集管理サーバ1における応募応答の送信を表すページへアクセスすることができる。
応募応答は、以下のようなものである。
(1)応募応答用アドレスで受信したメッセージ若しくはメール
(2)応募応答用URLに対するユーザ操作によって発信されたページ要求
【0032】
[応募応答受信部102]
応募応答受信部102は、ユーザ操作に応じたユーザ端末2から、応募応答を受信する。応募応答は、以下のようなものである。
(1)応募応答用アドレスで受信されたメッセージ若しくはメール
(2)応募応答用URLに対するユーザ操作によって受信したページ要求
尚、URLに対するユーザ操作としては、例えば、タッチパネルディスプレイに表示されたURLに対する指先のタップ操作や、ディスプレイに表示されたURLに対するマウスポインタのクリック操作がある。
【0033】
尚、「募集要求」及び「応募応答」は、メッセージやメールに限られず、例えばユーザがログインしたマイページ上に表示されるものであってもよい。即ち、依頼主と請負人との間で、Webサーバのマイページ上で、募集要求及び応募応答がやりとりされるものであってもよい。
【0034】
[応募残存日数記録部11]
応募残存日数記録部11は、各ユーザについて、募集要求毎に、応募応答を受信した応募日から予定日までの応募残存日数を記録する。
応募残存日数=応募日〜予定日
【0035】
図3は、本発明の応募残存日数記録部が記録する応募残存日数を表す説明図である。
【0036】
募集管理サーバ1は。募集要求を、ユーザA、B、Cへ同報的に配信する。募集要求には、応募応答用URLも記述されている。
ユーザAは、募集要求の内容を直ぐに確認し、URLをクリック操作することによって、端末2Aから募集管理サーバ1へ応募応答を返信したとする。募集管理サーバ1は、ユーザAについて、応募残存日数を、応募残存日数記録部11へ記録する。
ユーザBは、募集要求の内容を直ぐに確認せず、面倒に思っていたとする。例えば業務の予定日の前日に、ユーザBは、募集要求の内容を確認し、URLをタップ操作することによって、端末2Bから募集管理サーバ1へ応募応答を返信したとする。募集管理サーバ1は、ユーザBについて、応募残存日数を、応募残存日数記録部11へ記録する。
ユーザCは、募集要求の内容を直ぐに認知したが、今後の予定も考慮して、直ぐにURLをタップしなかったとする。そして、例えば業務の予定日の2ヶ月前に、ユーザCは、URLをタップ操作することによって、端末2Cから募集管理サーバ1へ応募応答を返信したとする。募集管理サーバ1は、ユーザCについて、応募残存日数を、応募残存日数記録部11へ記録する。
【0037】
[応募頻度計数部12]
応募頻度計数部12は、応募残存日数記録部11を用いて、各ユーザについて、所定時間単位で区分された日数帯毎に、その日数帯に応募残存日数が含まれる応募頻度yを計数する。
【0038】
図4は、本発明における応募頻度を表すグラフである。
【0039】
図4のグラフによれば、横軸は、所定時間単位で区分された日数帯を表し、縦軸は、応募頻度(過去の応募応答の回数)を表す。
「日数帯」は、任意に設定することができるが、
図4によれば、棒グラフの横幅として10日単位となっている。即ち、10日単位の各日数帯に含まれる応募頻度が、縦軸に表されている。
各ユーザが、応募応答を受信する毎に、その応募残存日数(応募日から予定日までの日数)が対応する日数帯に、1増分する。
【0040】
図4(a)のユーザAによれば、予定日のおよそ50日前(応募残存日数)に、応募応答を返信する場合が多い、ことが理解できる。即ち、ユーザAは、募集要求を受信してから応募応答を返信するまで、比較的、応募の決断までに時間を要していることが理解できる。
図4(b)のユーザBによれば、予定日のおよそ80日前から130日前に、応募応答を返信する場合が多い、ことが理解できる。即ち、ユーザBは、募集要求を受信してから応募応答を返信するまで、比較的、早期に応募の決断をしていることが理解できる。
図4のようなユーザ毎における各日数帯の応募頻度は、ユーザ検索部14へ出力される。また、オプション的に、回帰係数算出部13へ出力することによって、ユーザの検索精度を更に高めることもできる。
【0041】
[回帰係数算出部13]
募集要求には、依頼主が所望する募集条件情報(時給など)が記述されている。ここで、本発明によってユーザ検索に用いる募集条件情報が1つであれば、単回帰で分析され、募集条件情報が複数であれば、重回帰で分析される。即ち、ユーザ毎に、各日数帯における応募頻度を予測するために、募集条件情報に基づく回帰係数を学習しておくものである。
【0042】
<単回帰分析のケース>
回帰係数算出部13は、日数帯毎に、募集条件情報の説明変数xから、応募頻度の目的変数yを表す回帰式を算出する。
y=β
0+β
1x
β
0:切片
β
1:回帰直線の傾き
これによって、学習段階として、日数帯毎に、各募集条件情報の偏回帰係数β
0,β
1を算出する。
尚、これは、予測に伴う誤差を最小にする最小二乗法によって算出される。
【0043】
<重回帰分析のケース>
回帰係数算出部13は、日数帯毎に、複数の募集条件情報を説明変数x
1,x
2,・・・から、応募頻度の目的変数yを表す重回帰式を算出する。
y=β
0+β
1x
1+β
2x
2+・・・
これによって、学習段階として、日数帯毎に、各募集条件情報の偏回帰係数β
0,β
1,β
2,・・・を算出する。
【0044】
例えば、募集管理サーバ1が配信する募集要求に、4つの募集条件情報x
1,x
2,x
3,x
4が含まれている場合、以下のように4つの偏回帰係数を算出する。
x
1:通勤距離 ->β
1
x
2:通勤方位角 ->β
2
x
3:時給 ->β
3
x
4:受診人数 ->β
4
【0045】
学習段階として、ユーザ毎に、各日数帯について、1つ以上の回帰係数βが記憶される。
【0046】
尚、他の実施形態として、回帰係数算出部13は、日数帯毎に、応募頻度を目的変数yと、募集条件情報を説明変数x
1,x
2,・・・とを入力する機械学習エンジンであってもよい。このような機械学習エンジンは、ユーザ群を学習しながら、自ら重みパラメータを生成して保持する。この重みパラメータを、回帰係数として用いる。
本発明によれば、応募頻度としての目的変数が明確であるために、教師あり学習の機械学習エンジンが適する。具体的には、線形回帰分析、MARS(Multivariate adaptive regression splines)、サポートベクタ回帰、モデル木、遺伝子プログラミングのようなアルゴリズムを用いることができ、説明変数毎の重みを、本発明の回帰係数として用いることができる。
【0047】
[ユーザ検索部14]
ユーザ検索部14は、募集要求を配信しようとしている募集日から予定日までの「募集残存日数」が含まれる「日数帯」をキーとして、応募頻度yが高い順に所定数のユーザを検索する。
最も簡単には、各ユーザにおける日数帯毎の応募頻度を用いて、キーとなる日数帯の中で、応募頻度が高い順にユーザを検索する。ここで、キーとなる日数帯は、「募集残存日数」である。即ち、募集管理サーバ1が、募集要求を送信しようとしている募集日について、募集日から予定日までの募集残存日数に対応する日数帯の中で、応募頻度が高い順のユーザリストを生成する。募集日に相当する募集残存日数について、過去も応募頻度が高いユーザは、直ぐに応募する可能性が高いと判定される。
【0048】
例えば
図4の場合、募集要求を配信しようとする募集日が、予定日よりも50日前であれば、その50日前の日数帯における応募頻度が高いユーザAが、ユーザBよりも、応募するであろう確率が高いといえる。
【0049】
ユーザ検索部14は、他の実施形態として、回帰係数算出部13によって学習された、各ユーザにおける日数帯毎の回帰係数βを用いて応募頻度を算出し、その応募頻度が高い順にユーザを検索することも好ましい。
【0050】
回帰係数算出部13が、単回帰分析に基づく場合、ユーザ検索部14は、募集残存日数が含まれる日数帯について、説明変数xと当該日数帯の回帰係数β
0,β
1とから、応募頻度yを算出する。
y=β
0+β
1x
また、回帰係数算出部13が、重回帰分析に基づく場合、ユーザ検索部14は、募集残存日数が含まれる日数帯について、説明変数x
1,x
2,・・・と当該日数帯の偏回帰係数β
0,β
1,β
2,・・・とから、応募頻度yを算出する。
y=β
0+β
1x
1+β
2x
2+・・・
そして、ユーザ検索部14は、各ユーザにおける日数帯毎の応募頻度を用いて、キーとなる日数帯の中で、応募頻度が高い順にユーザを検索する。
【0051】
他の実施形態によれば、ユーザ検索部14は、募集残存日数における応募頻度yの合計頻度が高い順に所定数のユーザを検索することも好ましい。
【0052】
図5は、
図4の応募頻度について募集残存日数分を合計することを表すグラフである。
図5によれば、例えば募集日から予定日までの募集残存日数が70日として、募集されたとする。この場合、ユーザA及びユーザBの両方について、募集残存日数70日分の応募頻度を合計する。
図5の場合、合計された応募頻度について、ユーザAの方が、ユーザBよりも多いことが理解できる。この場合、ユーザAの方が上位で検索される。
【0053】
最終的に、応募頻度が高いユーザやそれらユーザリストは、募集側端末3へ送信され、依頼主に閲覧される。依頼主としては、その募集要求の配信を募集管理サーバ1へ依頼した時点について、応募してくる可能性が高いユーザを予め認識することができる。
【0054】
[募集期間区分部15]
募集期間区分部15は、複数の募集期間(例えば募集前半期間及び募集後半期間)に区分する。これは、オプション的な機能であって、具体的には以下の2つの方法がある。
(1)応募頻度が最も多い日数帯を中央として区分する
(2)応募頻度の正規分布における平均値μを中央として区分する。
応募頻度計数部12は、再度、日数帯を、募集期間毎に区分して応募頻度を計数する。
尚、勿論、募集期間を3つ以上に区分するものであってもよい。
【0055】
図6は、
図4の応募頻度を正規分布に近似したグラフである。
【0056】
募集前半期間(予定日までの応募残存日数が長い)と、募集後半期間(予定日までの応募残存日数が短い)とでは、募集条件情報に対する応募の傾向が異なってくる。
具体的には、募集前半期間では、時給が高かったり、対応人数が少なかったりと、募集条件が比較的良い案件に対して、比較的早期に応募される。一方で、募集後半期間では、直近の自らの予定に空きがあったりした場合に、比較的ピンポイントで応募される。
従って、募集前半期間と募集後半期間とに大きく区分して、応募頻度を計数することによって、比較的精度の高いユーザ検索が可能となると考えられる。
【0057】
図7は、ユーザAにおける募集条件情報毎に表された偏回帰係数である。
図8は、ユーザBにおける募集条件情報毎に表された偏回帰係数である。
【0058】
図7及び
図8によれば、エクセル統計の重回帰分析(例えば非特許文献1参照)によって、偏回帰係数が算出されている。
図7及び
図8からも明らかなとおり、偏回帰係数が小さいほど、その募集条件情報に対して、ユーザが強く反応していることが理解できる。
【0059】
図7(a)は、ユーザAについて、募集後半期間(募集残存日数が短い)における回帰係数を表す。
[距離(通勤距離)]偏回帰係数の95%信頼区間は全て正であり、予定日と応募日の間隔が長いほど距離も遠くなる傾向にある。但し、偏回帰係数はほぼ0のため、影響はほとんどない。
[角度(通勤方位角度)]偏回帰係数の95%信頼区間は0を跨いでおり、予定日と応募日の間隔との関係はあまり強くはない。但し、偏回帰係数はほぼ0のため、影響はほとんどない。偏回帰係数の絶対値は0.2を超えており、予定日と応募日の間隔が長いほど、角度は小さくなる傾向にある。
[時給]偏回帰係数の95%信頼区間は0を跨いでおり、予定日と応募日の間隔との関係はあまり強くはない。但し、偏回帰係数の絶対値は小さいため、時給の多寡の影響は少なく一定の幅の範囲である。
[受診人数(対応人数)]偏回帰係数の95%信頼区間は0を跨いでおり、予定日と応募日の間隔との関係はあまり強くはない。但し、偏回帰係数は正であり、予定日と応募日の間隔が短いほど受診人数も少ない案件を選んでいる傾向がある。
【0060】
図7(b)は、ユーザAについて、募募集前半期間(募集残存日数が長い)における回帰係数を表す。
[距離]偏回帰係数の95%信頼区間は0を跨いでおり、偏相関はマイナスのため、予定日と応募日の間隔が長いほど、距離はやや近くなる傾向にある。但し、偏回帰係数はほぼ0のため、影響はほとんどない。距離への重視は少ない。
[角度]偏回帰係数の95%信頼区間は0を跨いでおり、予定日と応募日の間隔との関係はあまり強くはない。但し、偏回帰係数はほぼ0のため、影響はほとんどない。偏回帰係数はマイナスでありかつ偏相関もマイナスであることから、予定日と応募日の間隔が長いほどマイナス傾向にある。
[時給]偏回帰係数の95%信頼区間は0を跨いでおり、予定日と応募日の間隔との関係はあまり強くはない。但し、偏回帰係数の絶対値は小さいため、時給の多寡の影響は少なく一定の幅の範囲である。
[受診人数]偏回帰係数の95%信頼区間は0を跨いでおり、予定日と応募日の間隔との関係はあまり強くはない。但し、偏回帰係数は負であり、予定日と応募日の間隔が短いほど受診人数も少ない案件を選んでいる傾向がややある。
【0061】
図8(a)は、ユーザBについて、募募集後半期間(募集残存日数が短い)における回帰係数を表す。
[距離]偏回帰係数の95%信頼区間は0を跨いでおり偏相関はマイナスのため、予定日と応募日の間隔が長いほど距離はやや近くなる傾向にある。但し、偏回帰係数はほぼ0のため、影響はほとんどない。距離への重視は少ない。
[角度]偏回帰係数の95%信頼区間は負の領域にあり、予定日と応募日の間隔が長いほど角度の値は小さくなる傾向にある。
[時給]偏回帰係数の95%信頼区間は0を跨いでおり、予定日と応募日の間隔との関係はあまり強くはない。但し、偏回帰係数の絶対値はあまり大きくはないため、時給の多寡の影響は少なく一定の幅の範囲である。
[受診人数]偏回帰係数の95%信頼区間は0を跨いでおり、予定日と応募日の間隔との関係はあまり強くはない。但し、偏回帰係数は負であり、予定日と応募日の間隔が短いほど、受診人数も少ない案件を選んでいる傾向がややある。
【0062】
図8(b)は、ユーザBについて、募募集前半期間(募集残存日数が長い)における回帰係数を表す。
[距離]偏回帰係数の95%信頼区間は0を跨いでおり偏相関はマイナスのため、予定日と応募日の間隔が長いほど距離はやや近くなる傾向にある。但し、偏回帰係数はほぼ0のため、影響はほとんどない。距離への重視は少ない。
[角度]偏回帰係数の95%信頼区間は0を跨いでおり偏相関はプラスのため、予定日と応募日の間隔が長いほど角度の値は大きくなる傾向にある。
[時給]偏回帰係数の95%信頼区間は0を跨いでおり、予定日と応募日の間隔との関係はあまり強くはない。但し、偏回帰係数の絶対値はあまり大きくはないため、時給の多寡の影響は少なく一定の幅の範囲である。
[受診人数]偏回帰係数の95%信頼区間は0を跨いでおり、予定日と応募日の間隔との関係はあまり強くはない。但し、偏回帰係数は負であり、予定日と応募日の間隔が短いほど受診人数も少ない案件を選んでいる傾向がややある。
【0063】
図9は、本発明における募集側端末の機能構成図である。
【0064】
図9によれば、募集管理端末3は、ユーザが所持するスマートフォンやタブレット端末、パーソナルコンピュータのようなものである。そして、募集管理端末3に搭載されたコンピュータを、
図2の募集管理サーバ1と同様に機能させるプログラムを実行することによって実現する。
図9によれば、依頼主は、募集管理端末3のユーザインタフェースから、予定日及び募集条件情報を含む募集要求を入力することによって、その募集日に応募する確率が高いユーザリストを視認することができる。
【0065】
以上、詳細に説明したように、本発明の募集管理サーバ、端末、プログラム及び方法によれば、募集日から予定日までの募集残存日数に応じてユーザを検索することができる。
【0066】
前述した本発明の種々の実施形態について、本発明の技術思想及び見地の範囲の種々の変更、修正及び省略は、当業者によれば容易に行うことができる。前述の説明はあくまで例であって、何ら制約しようとするものではない。本発明は、特許請求の範囲及びその均等物として限定するものにのみ制約される。
【解決手段】募集管理サーバは、予定日を含む募集要求を配信し、ユーザ操作に応じた応募応答をユーザ端末から受信するものであって、各ユーザについて、応募応答を受信した応募日から当該募集要求の予定日までの応募残存日数を記録する応募残存日数記録手段と、
各ユーザについて、所定時間単位で区分された日数帯毎に、応募残存日数が含まれる日数帯の応募頻度yを計数する応募頻度計数手段と、募集要求を配信しようとしている募集日から予定日までの募集残存日数が含まれる日数帯をキーとして、応募頻度yが高い順に所定数のユーザを検索するユーザ検索手段とを有する。