特許第6311321号(P6311321)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6311321
(24)【登録日】2018年3月30日
(45)【発行日】2018年4月18日
(54)【発明の名称】熱伝導性樹脂組成物および成形体
(51)【国際特許分類】
   C08L 101/00 20060101AFI20180409BHJP
   C08K 9/06 20060101ALI20180409BHJP
   C08K 3/26 20060101ALI20180409BHJP
   C08K 3/28 20060101ALI20180409BHJP
【FI】
   C08L101/00
   C08K9/06
   C08K3/26
   C08K3/28
【請求項の数】5
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2014-5098(P2014-5098)
(22)【出願日】2014年1月15日
(65)【公開番号】特開2014-159554(P2014-159554A)
(43)【公開日】2014年9月4日
【審査請求日】2016年9月29日
(31)【優先権主張番号】特願2013-8872(P2013-8872)
(32)【優先日】2013年1月22日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000222118
【氏名又は名称】東洋インキSCホールディングス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】591183153
【氏名又は名称】トーヨーカラー株式会社
(72)【発明者】
【氏名】堀口峻志
(72)【発明者】
【氏名】藤若 貴之
【審査官】 海老原 えい子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−272752(JP,A)
【文献】 特開2005−194491(JP,A)
【文献】 特開2011−190153(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
平均一次粒子径が0.1〜30μmの熱伝導性粒子と、熱可塑性樹脂とを含み、
前記熱伝導性粒子は、炭酸マグネシウム粒子と、被覆層とを有し、
前記被覆層は、アルコキシシリル基およびアルキル基を有し、かつ
アルコキシシリル基以外の反応性官能基を有しない表面処理剤で、前記炭酸マグネシウム粒子表面上に形成してなり、
前記表面処理剤は、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシラン、ブチルトリメトキシシラン、ブチルトリエトキシシシラン、ヘキシルトリメトキシラン、ヘキシルトリエトキシラン、オクチルトリメトキシラン、オクチルトリエトキシラン、デシルトリメトキシシラン、デシルトリエトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、およびドデシルトリエトキシシランからなる群より選ばれるいずれかであることを特徴とする熱伝導性樹脂組成物。
【請求項2】
前記表面処理剤が有する前記アルキル基は、炭素数が6〜12である請求項1に記載の
熱伝導性樹脂組成物。
【請求項3】
前記炭酸マグネシウム粒子100重量部に対して、0.05〜3重量部の前記表面処理
剤で前記被覆層を形成してなる請求項1または2に記載の熱伝導性樹脂組成物。
【請求項4】
さらに、窒化物を含む請求項1〜3いずれか1項に記載の熱伝導性樹脂組成物。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の熱伝導性樹脂組成物を成形してなる成形体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気・電子機器等が発生する熱を除去するに使用することができる熱伝導性樹脂組成物、およびこの熱伝導性樹脂組成物を成形してなる成形体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電気・電子機器の分野では、高機能化や高密度化、コンパクト化の進展により伝導する信号がより高周波になるのに伴い、半導体や電源、光源などの部品から発生する熱量が増加している。同様に、配線回路を使用するLED照明のような機器においても、発生する熱量が増加している。このため、このような機器では、その安定的な動作を確保するために、熱対策が非常に重要になってきている。
前記熱対策の一つに、放熱シートなどの放熱用部材を機器に設置する場合がある。放熱シートとは、電気・電子機器内の発熱部と、ヒートシンクなどの放熱部との隙間を埋めることにより、発熱部で生じた熱を放熱部へと効率よく伝達し、熱を効果的に放散させるための部材である。
【0003】
また、電気・電子機器の放熱用部材では、軽量性および電気絶縁性の面で有利なことから、金属材料からプラスチック材料への急激な転換が進みつつある。しかし、プラスチック材料は、金属材料などの無機物と比較して熱伝導性が低いため、得られる放熱用部材の放熱性が低いという問題があった。前記問題を解決するため、プラスチック材料中に熱伝導性の無機物を多量(30重量%以上や、ときには50重量%以上)に配合することで、その熱伝導性を高める試みがなされている。
しかしながら、無機物をプラスチック材料に多量に配合すると、得られる樹脂組成物の溶融粘度が上昇してしまい、その後の成形加工で成形が出来ないという問題があった。また、成形体が得られた場合でも、その成形体が非常に脆くなるという問題もあった。
【0004】
そこで、特許文献1では、表面処理を施した熱伝導性無機フィラー、およびシリコーンゴムを含む樹脂組成物が開示されている。また、特許文献2には、芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物との共重合体、熱可塑性エラストマー、パラフィン軟化剤、および熱伝導性無機フィラーを含む樹脂組成物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−209618号公報
【特許文献2】特開2005−75895号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1の樹脂組成物は、熱伝導性無機フィラーの配合量を増やすと、得られる成形体が非常に脆くなり、熱伝導性無機フィラーの配合量を減らすと、成形体に高い熱伝導性が得られないという問題があった。また、シリコーンゴムは、リサイクルができないため環境に負荷がかかる。また、該樹脂組成物においては、熱伝導性無機フィラーとして、アルミナ、シリカを使用している。しかしながら、アルミナは、硬度が高く、混練機や成形機を摩耗させるという問題があり、一方、シリカは、熱伝導性が良好とはいえない。また、特許文献2の樹脂組成物は、メイン樹脂以外に多量の軟化剤を含むため、成形加工性が低く、成形体の機械物性も充分とはいえなかった。
【0007】
本発明は、熱伝導性粒子を多量に含有するにも係らず成形加工性に優れ、例えば射出成形した場合には、寸法安定性に優れる成形体を、また押出成形した場合には、平滑性に優れ、かつ機械物性の良好な成形体を得ることができる熱伝導性樹脂組成物、およびこの熱伝導性樹脂組成物を成形してなる成形体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の熱伝導性樹脂組成物は、平均一次粒子径が0.1〜30μmの熱伝導性粒子と、熱可塑性樹脂とを含み、前記熱伝導性粒子は、炭酸マグネシウム粒子と、被覆層とを有し、前記被覆層は、アルコキシシリル基およびアルキル基を有する表面処理剤で前記炭酸マグネシウム粒子表面上に形成してなる。
【発明の効果】
【0009】
上記の本発明によれば、炭酸マグネシウム粒子を、アルコキシシリル基およびアルキル基を有する表面処理剤で形成した被覆層で被覆してなり、特定の平均一次粒子径を有する熱伝導性粒子を使用する。これにより、例えば、樹脂組成物は、多量の熱伝導性粒子を含む場合であっても、その溶融粘度が上昇し難くなる。このため、かかる樹脂組成物を射出成形する際に、金型全体に樹脂組成物が均一に行き渡るようになるため、得られる成形体の寸法安定性が良好になる。また、かかる樹脂組成物を押出成形する際には、平滑性が良好な成形体を得ることができる。
さらに、このような熱伝導性粒子を含むことで、機械物性を損なわない成形体を得ることができる。なお、本発明において機械物性とは、引張破壊点伸び率のことをいう。ここで、成形体の引張破壊点伸び率が高いということは、成形体において熱可塑性樹脂が本来持っている伸長性が維持されていることを意味しており、かかる熱可塑性樹脂を含む本発明の熱伝導性樹脂組成物は、様々な形状を有する成形体に成形することができる。
【0010】
したがって、本発明によれば、熱伝導性粒子を多量に含有するにも係らず成形加工性に優れ、例えば射出成形した場合には、寸法安定性が優れる成形体が得られ、押出成形した場合には、平滑性に優れ、かつ機械物性の良好な成形体を得ることができる熱伝導性樹脂組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の熱伝導性樹脂組成物は、平均一次粒子径が0.1〜30μmの熱伝導性粒子と、熱可塑性樹脂とを含み、前記熱伝導性粒子は、炭酸マグネシウム粒子と、アルコキシシリル基およびアルキル基を有する表面処理剤(以下、単に「表面処理剤」ともいう)で前記炭酸マグネシウム粒子の表面上を被覆して形成した被覆層とを有する。
【0012】
本発明において、熱伝導性粒子は、炭酸マグネシウム粒子(炭酸カルシウムで構成された母粒子)が熱伝導性を有し、前記炭酸マグネシウム粒子を、アルコキシシリル基およびアルキル基を有する表面処理剤を使用した表面処理(被覆処理)により形成した被覆層で被覆してなる。前記被覆層の存在により、前記熱伝導性粒子は、その凝集が抑制され、熱可塑性樹脂への分散性が向上する。これにより、樹脂組成物は、多量の熱伝導性粒子を含む場合であっても、良好な成形加工性が得られる。そのため、得られた成形体は、機械物性が良好である。また、前記被覆層の存在により、炭酸マグネシウム粒子と熱可塑性樹脂との親和性が向上する。これにより、炭酸マグネシウム粒子と熱可塑性樹脂との界面における空隙の発生が抑制されるので、熱伝導性が良好な成形体が得られる。
【0013】
本発明において、炭酸マグネシウムとしては、例えば無水炭酸マグネシウム、塩基性炭酸マグネシウムなどが好ましい。前記炭酸マグネシウムは、天然品および合成品のいずれであってもよい。
【0014】
前記炭酸マグネシウム粒子の平均一次粒径は、0.1〜30μm程度が好ましい。平均粒径が前記範囲内にあることで、熱伝導性粒子自体が、凝集しにくく(すなわち、熱可塑性樹脂への分散性が良好に)なるとともに、充分な熱伝導性を有するようになる。このため、熱伝導性樹脂組成物の成形加工性や、得られる成形体の機械物性が向上する。なお、本発明において、平均一次粒子径は、電子顕微鏡(走査電子顕微鏡S−4300、日立製作所製)を用いて、例えば拡大画像(3千倍〜1万倍程度)において観察される20個〜50個程度の粒子の粒子径を平均して求めた値である。
【0015】
本発明において、表面処理剤は、アルコキシシリル基およびアルキル基を有する化合物である。具体的に、表面処理剤としては、例えばメチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシラン、ブチルトリメトキシシラン、ブチルトリエトキシシシラン、ヘキシルトリメトキシラン、ヘキシルトリエトキシラン、オクチルトリメトキシラン、オクチルトリエトキシラン、デシルトリメトキシシラン、デシルトリエトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、ドデシルトリエトキシシラン等が挙げられる。これらの表面処理剤は、単独あるいは2種以上を併用して使用することができる。
【0016】
前記表面処理剤において、アルキル基の炭素数は6〜12がより好ましい。アルキル基の炭素数が6以上になると、熱伝導性粒子の疎水性が向上する。このため、熱伝導性粒子と熱可塑性樹脂との親和性も向上し、熱伝導性粒子の熱可塑性樹脂への分散性がより向上する。一方、アルキル基の炭素数が12以下になると、炭酸マグネシウム粒子への被覆層の形成がさらに容易になる。
【0017】
また、前記表面処理剤は、アルコキシシリル基以外の反応性官能基を有しないことが好ましい。この場合、表面処理剤は、反応性官能基、つまり親水性基を持たないので、表面処理後の熱伝導性粒子は、その疎水性が高くなり、熱可塑性樹脂中での分散性がより向上する。
【0018】
前記被覆層は、炭酸マグネシウム粒子100重量部に対して、0.05〜3重量部の表面処理剤で形成したものであることが好ましい。被覆層が前記範囲の量の表面処理剤で形成したものであることで、前記熱伝導性粒子は、熱可塑性樹脂への分散性をより向上することができる。
【0019】
前記被覆層の形成(表面処理)には、例えば、直接処理法(例えば乾式法、スラリー法、スプレー法等)、インテグラルブレンド法(例えば直接法、マスターバッチ法等)、ドライコンセントレート法等の公知の方法を使用することができる。このうち、簡易的に炭酸マグネシウム粒子を表面処理することができる方法として、直接処理法、中でも乾式法が好ましい。
【0020】
前記乾式法では、例えば炭酸マグネシウム粒子をヘンシェルミキサー等で撹拌・混合しながら、表面処理剤を炭酸マグネシウム粒子に滴下あるいは噴霧しながら混合し、必要に応じて加熱処理することで、熱伝導性粒子を得る。被覆層形成後の熱伝導性粒子は、凝集する場合があるため、ボールミル等を用いて粉砕することが好ましい。なお、表面処理剤は、アルコール等の有機溶剤で希釈してから、炭酸マグネシウム粒子に滴下や噴霧して、被覆層を形成することも好ましい。
【0021】
本発明の熱伝導性樹脂組成物が含む熱伝導性粒子の割合は、熱伝導性樹脂組成物100重量%中、40〜80重量%程度が好ましく、60〜80重量%程度がより好ましい。前記熱伝導性粒子を40重量%以上含むことで、熱伝導性樹脂組成物の熱伝導性がより向上する。一方、前記熱伝導性粒子を80重量%以下含むことで、熱伝導性樹脂組成物の成形加工性および得られる成形体の機械物性がより向上する。
【0022】
本発明において、熱可塑性樹脂としては、例えばポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂などのポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体樹脂(ABS樹脂)、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリメチルメタアクリレート樹脂およびポリエーテルイミド樹脂が挙げられる。また、熱可塑性樹脂としては、α−オレフィン共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体(EEA、EMA、EBA、EMMA等)等のオレフィン系エラストマー、SBS、SEBS、SEPS等のスチレン系エラストマーなどの熱可塑性エラストマーも好ましい。なお、前記熱可塑性樹脂は、特殊な官能基や酸などで変性されていてもよい。これらの熱可塑性樹脂は、単独または2種以上混合して使用することができる。
【0023】
前記ポリオレフィン系樹脂としては、例えば結晶性または非晶性ポリプロピレン、ポリブテン−1、ポリ−4−メチルペンテン、低密度または高密度ポリエチレン、エチレン−プロピレンのランダム、ブロックあるいはグラフト共重合体、α−オレフィンとエチレンあるいはプロピレンの共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸メチル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体およびエチレン−アクリル酸共重合体等が挙げられる。これらの中でも、ポリオレフィン系樹脂としては、結晶性または非晶性ポリプロピレン、低密度または高密度ポリエチレン、エチレン−プロピレンのランダム、ブロックあるいはグラフト共重合体、α−オレフィンとエチレンあるいはプロピレンの共重合体がより好ましい。
【0024】
本発明の熱伝導性樹脂組成物は、さらに窒化物を含むことができる。前記窒化物を使用することで、さらに熱伝導性樹脂組成物の熱伝導率を向上することができる。前記窒化物を、前記表面処理剤を使用して形成した被覆層で被覆しても良い。
【0025】
前記窒化物としては、例えば窒素化ホウ素、窒化アルミニウム等が挙げられる。前記窒化物は、単独または2種以上を併用して使用することができる。熱伝導性樹脂組成物が前記窒化物を含む場合、その割合は、熱伝導性樹脂組成物100重量%中、1〜30重量%程度が好ましい。
なお、窒化物の形状は、特に限定されないが、粒子状、顆粒状、ペレット状、鱗片状等が挙げられる。
【0026】
本発明の熱伝導性樹脂組成物は、本発明の目的を損なわない範囲で、着色剤、その他各種添加剤を必要に応じて含むことができる。
【0027】
前記着色剤には、公知の染料、有機顔料および無機顔料を使用することができる。
構造的分類によれば、前記染料としては、例えばスチリル染料、ピリドンアゾ染料、ピラゾールアゾ染料、アントラキノン染料、ヘテロアゾ染料、ベンゼンアゾ染料、ナフトキノン染料、インドアニリン染料、シアニン染料等が挙げられる。また、用途的分類によれば、前記染料としては、例えば分散染料、建染染料、油溶性染料等が挙げられる。
【0028】
前記有機顔料としては、例えばアゾレーキ、ハンザ、ベンズイミダゾロン、ジアリライド、ピラゾロン、ベンジジンイエロー、ジスアゾのアゾ顔料、フタロシアニン、キナクリドン、ペリレン、ペリノン、ジオキサジン、アントラキノン、イソインドリノン等の縮合多環系顔料およびアニリンブラック等が挙げられる。
【0029】
前記無機顔料としては、例えば酸化亜鉛、チタンイエロー、酸化鉄、黄色酸化鉄、群青、紺青、コバルトブルー、酸化クロムグリーン、黄鉛、カドミウムイエロー、カドミウムレッド、鉄黒等の無機顔料およびカーボンブラック等が挙げられる。
【0030】
その他添加剤としては、成形体を使用する用途等により適宜選択でき、例えば熱安定剤、可塑剤、分散剤、相溶化剤、滑剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、結晶核剤、ブロッキング防止剤、シール性改良剤、離型剤、ポリエチレンワックス等の滑剤、着色剤、顔料、無機充填剤(タルク、マイカ、クレー、ワラストナイト、炭酸カルシウム、ガラス繊維、ガラスビーズ、ガラスバルーン、ミルドファイバー、ガラスフレーク、炭素繊維、炭素フレーク、カーボンビーズ、カーボンミルドファイバー、金属フレーク、金属繊維、金属コートガラス繊維、金属コート炭素繊維、金属コートガラスフレーク、シリカ、アルミナ、セラミック粒子、セラミック繊維、アラミド粒子、アラミド繊維、ポリアリレート繊維、グラファイト、カーボンブラックおよび各種ウイスカーなど)、発泡剤(有機系、無機系、マイクロカプセル系など)、難燃剤(ハロゲン系、リン酸エステル系、金属塩系、赤リン、金属水和物など)、難燃助剤、摺動剤(PTFE粒子など)、蛍光増白剤、蓄光顔料、蛍光染料、帯電防止剤、流動改質剤、結晶核剤、無機及び有機の抗菌剤、グラフトゴムに代表される衝撃改質剤、赤外線吸収剤およびフォトクロミック剤などが挙げられる。これらの添加剤は、単独または2種類以上を組み合わせて添加してもよい。
【0031】
本発明の熱伝導性樹脂組成物は、上記の原料を、例えばバンバリーミキサーのような回分式混練機、若しくは二軸押出機、単軸押出機またはローター型二軸混練機等に投入し溶融混練することで製造することができる。また、熱伝導性樹脂組成物の形態は、特に限定されないが、ペレット状、パウダー状およびビーズ状が一般的である。
【0032】
本発明の成形体は、前記熱伝導性樹脂組成物を溶融・混練し、成形機を使用して得ることができる。成形方法は、公知の方法を使用することができる。成形方法としては、例えば、押出成形、射出成形、ブロー成形、プレス成形、カレンダー成形、Tダイ成形、インフレーション成形、圧縮成形、パイプ押出成形、ラミネート成形、および真空成形などが挙げられる。
【0033】
本発明の成形体は、例えば、容器および包装材[食料品(生鮮食料品、加工食料品、清涼飲料等)用容器および包装材、雑貨(食器、玩具、文房具、電気部品、家電品、家具、嗜好品等)用容器および包装材、繊維製品(衣料品、靴、寝具、カーペット、マット、ちり紙、新聞、ハンカチ、タオル等)用容器および包装材、薬品(工業用薬品、医薬品等)用容器および包装材、各種産業用被覆材(農業用温室ハウス被覆材、自動車用表面保護被覆シート等)、その他用途(レジ袋、買い物袋、ゴミ袋等)用容器および包装材]、自動車用部品[インスツルメントパネル、ドアトリム、ピラー等の内装材、バンパー等の外装材、ガソリンタンク、バルブ等の内部部品等]、家電製品[テレビ、録画再生機(ビデオ、ハードディスク、DVD、BD等)、チューナー、パラボラアンテナ、アイロン、ヘアードライヤー、シェーバー、電動歯ブラシ、ヘアアイロン、フェイスケア機器、ヘルスメーター、布団乾燥機、洗濯機、冷蔵庫、ワインセラー、炊飯器、電子レンジ、電子天秤、食器乾燥機、フードプロセッサー、ホットプレート、電気ポット、コーヒーメーカー、IH調理器、生ゴミ処理機、掃除機、時計、電話機、照明機器、換気扇、エアコン、扇風機、温風器、除湿器、加湿器、空気清浄機、マイナスイオン発生器、マッサージチェア、フットマッサージャー、健康器具、電動工具、家庭用ゲーム機およびゲームソフト、音響部品、ビデオカメラ、オーディオ機器、電子楽器、リモコン、充電器など]の筐体および内部部品等、パソコン機器[パソコン本体、ディスプレー(CRT、液晶、プラズマ、プロジェクターおよび有機EL等)、ノートパソコン、プリンター、記録媒体ドライブ(ハードディスク、MO、メモリーカード、CD、DVD、BD、フレキシブルディスク等)、記録媒体(USBメモリー、ICカード等)、マウスなど]の筐体および内部部品等、小型携帯機器[無線機、携帯電話、PHS、PDA、スマートフォン、携帯ゲーム機およびゲームソフト、テレビ、ナビゲーション機器、GPS機器、ヘッドホンステレオ、光学カメラ、デジタルカメラ電子辞書および計算機など]の筐体および内部部品等、事務用機器[コピー、ファクシミリ、スキャナおよびそれらの複合機、シュレッダー、紙折機、電子黒板、タイムレコーダー、ネットワークカメラ、喫煙カウンター、ラベルライター、電子レジスタ、電子チェックライター、ラミネーターおよび製本機など]の筐体および内部部品等、遊技機[アーケード型ゲーム機、パチンコ、スロットマシーンなど]の筐体および内部部品等、医療機器[ドライイメージャー、メディカルプリンター、メディカルレコーダー、メディカルカメラ、X線テレビシステム、CTスキャナシステム、マンモグラフシステム、血管撮影システムおよび超音波診断システムなど]の筐体および内部部品等、電子部品[各種ケース、各種ホルダー、カバー、冷却ファン、ギヤー、センサー、バルブ、コネクター、ソケット、トランスボビン、抵抗器、ボタン、スイッチ、ハンドル、分電盤、ブレーカー、コンデンサー、コンセント、モーター、トランス、チューナー、電磁開閉器、光ピックアップ、発振子、端子板、変成器、プラグ、タイマーおよびプリント配線板等]、搬送材[コンテナ、フレキシブルコンテナ、台車、トレー、キャリアテープ、パレット、シートスキッド(自動車シート搬送用)、ストレッチフィルム(荷崩れ防止用)、結束バンド、発泡緩衝材、エアーキャップ(緩衝材)など]、生活資材用成形品[家具(椅子、机、ハンガー等)、住宅等の建材(玄関・室内等の各種ドア、内・外壁材、天井材、屋根材、タイル、断熱・遮熱材等)]、趣味用品[スポーツ用品(ラケット、スキー板、スノーボード等)、園芸用品(プランター等)、アウトドア用品(釣り竿等)等]、およびその他の日用品[食器、玩具、文具、オーラルケア用品、トイレタリー用品(バスユニット、便器等)、健康器具等]などの用途で使用することができる。
【0034】
これらの中でも、本発明の成形体は、家電、OA機器部品、AV機器部品、自動車内外装部品等に好適に使用することができる。特に、本発明の成形体は、多くの熱を発する家電製品やOA機器において、発熱部で生じた熱を放熱部へと効率よく伝達し、熱を効果的に放散させるための放熱シート、さらには発熱源を内部に有するがファン等による強制冷却が困難な電子機器において、内部で発生する熱を外部へ放熱するための外装材料として用いることができる。このため、本発明の成形体は、ノートパソコンなどの携帯型コンピューター、PDA、携帯電話、携帯ゲーム機、携帯型音楽プレーヤー、携帯型TV/ビデオ機器、携帯型ビデオカメラ等の小型あるいは携帯型電子機器類、LEDランプや電池周り部品等の熱源の周りで、高い効率での放熱が必要とされる部品などに用いられる熱伝導部材に好適である。
【実施例】
【0035】
以下に、本発明をさらに詳しく説明するが、本発明の技術思想を逸脱しない限り、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。なお、以下「重量部」を単に「部」、「重量%」を単に「%」と記載する。
【0036】
以下の実施例及び比較例で用いた組成物の原料成分を示す。
【0037】
1.炭酸マグネシウム粒子
A1:合成無水炭酸マグネシウム粒子(平均一次粒径:1μm)
A2:合成無水炭酸マグネシウム粒子(平均一次粒径:4μm)
A3:合成無水炭酸マグネシウム粒子(平均一次粒径:10μm)
A4:合成無水炭酸マグネシウム粒子(平均一次粒径:20μm)
A5:合成無水炭酸マグネシウム粒子(平均一次粒径:28μm)
A6:合成無水炭酸マグネシウム粒子(平均一次粒径:40μm)
【0038】
2.アルコキシシリル基およびアルキル基を有する表面処理剤
B1:エチルトリメトキシシラン
B2:n−ヘキシルトリメトキシシラン
B3:n−オクチルトリメトキシシラン
B4:n−デシルトリメトキシシラン
B5:n−ドデシルトリメトキシシラン
B6:n−オクタデシルトリメトキシシラン
B7:3−アミノプロピルトリメトキシシラン
B8:ビニルトリメトキシシラン
B9:ジメチルシリコーンオイル
【0039】
3.熱可塑性樹脂
C1:直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(LLDPE、MFR=10g/10min)
C2:ポリカーボネート樹脂(PC、MFR=15g/10min)
【0040】
4.窒化物
D1:窒化ホウ素粒子(六方晶構造、平均粒径18μm)
【0041】
〔炭酸マグネシウム粒子の表面処理〕
炭酸マグネシウム粒子A1 100部を、ヘンシェルミキサーで混合撹拌しながら、表面処理剤として、B1:エチルトリメトキシシランを1部、噴霧することで、炭酸マグネシウム粒子A1の表面処理(被着処理)を行った。これにより、炭酸マグネシウム粒子A1を被覆する被膜層を形成して熱伝導性粒子を得た。電子顕微鏡を用いて、得られた熱伝導性粒子30個から求めた平均一次粒子径は、1.1μmであった。
また、同様の方法を用いて、表1に記載の配合で、炭酸マグネシウム粒子100部を、表面処理剤で表面処理を行い、熱伝導性粒子を得た。電子顕微鏡を用いて、得られた熱伝導性粒子30個から平均一次粒子径を測定した。その結果を表1に示す。
【0042】
【表1】
【0043】
[実施例1]
〔熱伝導性樹脂組成物の製造〕
炭酸マグネシウム粒子A1 100部を、表面処理剤B1 1部で表面処理して得られた熱伝導性粒子80部と、熱可塑性樹脂C1 20部とを、ヘンシェルミキサーに投入し、温度20℃、時間3分の条件でプレミックスして混合物を得た。その後、この混合物をスクリュー直径30mm、L/D(スクリュー径/スクリュー長さ)=38〜42の押出機に供給し、回転数250rpm、設定温度220℃の条件で溶融混練しつつ、押し出した混練物を、ペレタイザーを使用してペレット状に成形した。これにより、熱伝導性樹脂組成物を得た。
【0044】
〔評価方法〕
得られた熱伝動性樹脂組成物を使用して、下記の評価項目について試験を行った。その結果を表2に示す。
【0045】
〔溶融粘度〕
熱伝導性樹脂組成物の溶融粘度(メルトフローレイト:MFR)を、温度190℃、2.16kg荷重の条件で、JIS K−7210に準じて測定した。MFR(g/10分)が高い程、熱伝導性樹脂組成物の溶融時の流動性が良好である。
【0046】
〔熱伝導率〕
熱伝導性樹脂組成物を熱プレスシート成形機に投入し、200℃に加熱して、縦30mm×横30mm×厚み3mmのシートを2枚作成した。各シートの熱伝導率(単位:W/m・K)を、ホットディスク法熱物性測定装置(TPS−500 京都電子工業製)を使用し、直径7mmφのセンサーを用いて測定した。熱伝導率が高い程、シートの放熱性が良好である。
【0047】
〔引張破壊点伸び率〕
熱伝導性樹脂組成物を熱プレスシート成形機に投入し、200℃に加熱して、厚み1mmのプレスシートを作成した後、5号ダンベル型に打抜いて試験片とした。試験片の引張破壊点伸び率を、引張り速度100mm/分の条件で、JIS K−7127に準じて測定した。別途、熱可塑性樹脂C1を用いて前記と同様に試験片を作成し、この試験片の引張破壊点伸び率を前記と同様の方法により測定した。
そして、熱可塑性樹脂C1を用いて作成した試験片の引張破壊点伸び率を100としたときの、熱伝導性樹脂組成物を用いて作成した試験片の引張破壊点伸び率の割合を保持率として求めた。引張破壊点伸び率の保持率が高い程、試験片の伸長性が良好である。
【0048】
〔射出成形性〕
熱伝導性樹脂組成物を射出成形機(東芝機械製)に投入し、射出温度220℃、射出圧力50MPa、金型温度40℃にて、縦250mm×横200mm(面積50000mm)で、厚みが5mmおよび1mmの2種類の金型を用いて、プレート状の2種類の成形体を作成した。
得られた2種類の成形体について、それぞれの面積を測定した後、金型の面積100に対する保持率を算出し、以下の基準で射出成形性を評価した。なお、評価基準AおよびBが実用レベルである。
A:プレート状の成形体の面積の保持率が、95%以上である。
B:プレート状の成形体の面積の保持率が、90%〜95%未満である。
C:プレート状の成形体の面積の保持率が、90%未満である。
【0049】
〔押出成形性〕
熱伝導性樹脂組成物をT−ダイフィルム成形機(東洋精機製)に投入し、成形温度220℃、スクリュー回転数80rpmで溶融し押出成形することで、幅100mm×厚さ300μmのフィルム状の成形体を得た。
得られたフィルム1mについて、押出方向(長さ方向)100mmの領域毎に、各領域の両端から各10mmとなる位置、および両端からの距離が均等となる位置(中心点)の3ヶ所において、300μmからの厚みの変化量を測定し、以下の基準で押出成形性を評価した。なお、評価基準AおよびBが実用レベルである。
A:フィルムの厚みの最大変化量が、15μm未満である。
B:フィルムの厚みの最大変化量が、15μm〜30μm未満である。
C:フィルムの厚みの最大変化量が、30μm以上である。
上記の結果を表2に示す。
【0050】
[実施例2〜25、比較例1〜3]
表2に記載の熱伝導性樹脂組成物の配合で、実施例1と同様にペレットを作製し、上記と同様の方法で評価した。その結果を表2に示す。
ただし、実施例23は参考例である。
【0051】
[比較例4]
表面処理をしていない炭酸マグネシウム粒子A1を用いた他は、実施例1と同様にペレットを作製し、上記と同様の方法で評価した。その結果を表2に示す。
【0052】
[比較例5〜7]
表2に記載の熱伝導性樹脂組成物の配合で、比較例4と同様にペレットを作製し、上記と同様の方法で評価した。その結果を表2に示す。
【0053】
【表2】
【0054】
[実施例26]
炭酸マグネシウム粒子A1 100部を、表面処理剤B1 1部で表面処理して得られた熱伝導性粒子40部と、炭酸マグネシウム粒子A4 100部を、表面処理剤B1 1部で表面処理して得られた熱伝導性粒子40部と、熱可塑性樹脂C1 20部とを用いた他は、実施例1と同様にペレットを作製し、上記と同様の方法で評価した。その結果を表3に示す。
【0055】
[実施例27〜29]
表3に記載の熱伝導性樹脂組成物の配合で、実施例26と同様にペレットを作製し、上記と同様の方法で評価した。その結果を表3に示す。
【0056】
【表3】
【0057】
[実施例30]
〔熱伝導性樹脂組成物の製造〕
上記と同様の方法で、炭酸マグネシウム粒子A1 100部を、表面処理剤B1 1部で表面処理して得られた熱伝導性粒子60部と、熱可塑性樹脂C2 40部とを、ヘンシェルミキサーに投入し、温度20℃、時間3分の条件でプレミックスして混合物を得た。その後、この混合物をスクリュー直径30mm、L/D(スクリュー径/スクリュー長さ)=38〜42の押出機に供給し、回転数250rpm、設定温度260℃の条件で溶融混練しつつ、押し出した混練物を、ペレタイザーを使用してペレット状に成形した。これにより、熱伝導性樹脂組成物を得た。
【0058】
〔評価方法〕
得られた熱伝動性樹脂組成物を使用して、実施例1と同様に試験を行った。その結果を表4に示す。
【0059】
〔溶融粘度〕
熱伝導性樹脂組成物の溶融粘度(メルトフローレイト:MFR)を、温度300℃、2.16kg荷重の条件で、JIS K−7210に準じて測定した。MFR(g/10分)が高い程、熱伝導性樹脂組成物の溶融時の流動性が良好である。
【0060】
〔熱伝導率〕
熱伝導性樹脂組成物を熱プレスシート成形機に投入し、280℃に加熱して、縦30mm×横30mm×厚み3mmのシートを2枚作成した。各シートの熱伝導率(単位:W/m・K)を、ホットディスク法熱物性測定装置(TPS−500 京都電子工業製)を使用し、直径7mmφのセンサーを用いて測定した。熱伝導率が高い程、シートの放熱性が良好である。
【0061】
〔引張破壊点伸び率〕
熱伝導性樹脂組成物を熱プレスシート成形機に投入し、280℃に加熱して、厚み1mmのプレスシートを作成した後、5号ダンベル型に打抜いて試験片とした。試験片の引張破壊点伸び率を、引張り速度100mm/分の条件で、JIS K−7127に準じて測定した。別途、熱可塑性樹脂C2を用いて前記と同様に試験片を作成し、この試験片の引張破壊点伸び率を前記と同様の方法により測定した。
そして、熱可塑性樹脂C2を用いて作成した試験片の引張破壊点伸び率を100としたときの、熱伝導性樹脂組成物を用いて作成した試験片の引張破壊点伸び率の割合を保持率として求めた。引張破壊点伸び率の保持率が高い程、試験片の伸長性が良好である。
【0062】
〔射出成形性〕
熱伝導性樹脂組成物を射出成形機(東芝機械製)に投入し、射出温度260℃、射出圧力50MPa、金型温度80℃にて、縦250mm×横200mm(面積50000mm)で、厚みが5mmおよび1mmの2種類の金型を用いて、プレート状の2種類の成形体を作成した。
得られた2種類の成形体について、それぞれの面積を測定した後、金型の面積100に対する保持率を算出し、以下の基準で射出成形性を評価した。なお、評価基準AおよびBが実用レベルである。
A:プレート状の成形体の面積の保持率が、95%以上である。
B:プレート状の成形体の面積の保持率が、90%〜95%未満である。
C:プレート状の成形体の面積の保持率が、90%未満である。
【0063】
〔押出成形性〕
熱伝導性樹脂組成物をT−ダイフィルム成形機(東洋精機製)に投入し、成形温度280、スクリュー回転数80rpmで溶融し押出成形することで、幅100mm×厚さ300μmのフィルム状の成形体を得た。
得られたフィルム1mについて、押出方向(長さ方向)100mmの領域毎に、各領域の両端から各10mmとなる位置、および両端からの距離が均等となる位置(中心点)の3ヶ所において、300μmからの厚みの変化量を測定し、以下の基準で押出成形性を評価した。なお、評価基準AおよびBが実用レベルである。
A:フィルムの厚みの最大変化量が、15μm未満である。
B:フィルムの厚みの最大変化量が、15μm〜30μm未満である。
C:フィルムの厚みの最大変化量が、30μm以上である。
【0064】
上記の結果を表4に示す。
【0065】
[実施例31〜44、比較例8〜10]
表4に記載の熱伝導性樹脂組成物の配合で、実施例30と同様にペレットを作製し、上記と同様の方法で評価した。その結果を表4に示した。
ただし、実施例43は参考例である。
【0066】
[比較例11]
表面処理をしていない炭酸マグネシウム粒子A1を用いた他は、実施例30と同様にペレットを作製し、上記と同様の方法で評価した。その結果を表4に示す。
【0067】
[比較例12、13]
表4に記載の熱伝導性樹脂組成物の配合で、比較例11と同様にペレットを作製し、上記と同様の方法で評価した。その結果を表4に示した。
【0068】
【表4】
【0069】
[実施例45]
炭酸マグネシウム粒子A1 100部を、表面処理剤B1 1部で処理して得られた熱伝導性粒子30部と、炭酸マグネシウム粒子A4 100部を、表面処理剤B1 1部で処理して得られた熱伝導性粒子30部と、熱可塑性樹脂C2 40部とを用いた他は、実施例30と同様にペレットを作製し、上記と同様の方法で評価した。その結果を表5に示す。
【0070】
[実施例46〜48]
表5に記載の熱伝導性樹脂組成物の配合で、比較例45と同様にペレットを作製し、上記と同様の方法で評価した。その結果を表5に示す。
【0071】
【表5】
【0072】
表2〜表5から明らかなように、実施例1〜48の本発明の熱伝導性樹脂組成物は、多量の熱伝導性粒子を含む場合でも、成形加工性に優れるので、寸法安定性、平滑性、形状変化に対応可能な伸長性を有する成形体が得られた。一方、比較例1〜13の熱伝導性樹脂組成物を使用した成形体では、寸法安定性、平滑性、伸長性の低下が顕著であり、実施例1〜48の成形体に劣ることが分った。