(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6311501
(24)【登録日】2018年3月30日
(45)【発行日】2018年4月18日
(54)【発明の名称】剥離きっかけ作製装置及び方法
(51)【国際特許分類】
H05K 3/46 20060101AFI20180409BHJP
H05K 3/00 20060101ALI20180409BHJP
【FI】
H05K3/46 X
H05K3/46 B
H05K3/00 L
【請求項の数】8
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-139465(P2014-139465)
(22)【出願日】2014年7月7日
(65)【公開番号】特開2016-18839(P2016-18839A)
(43)【公開日】2016年2月1日
【審査請求日】2017年6月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(72)【発明者】
【氏名】小池 元紀
(72)【発明者】
【氏名】狩野 勝幸
(72)【発明者】
【氏名】三橋 則登
(72)【発明者】
【氏名】福田 健次
【審査官】
小林 大介
(56)【参考文献】
【文献】
特開2014−082409(JP,A)
【文献】
特開2003−335454(JP,A)
【文献】
特開昭62−139554(JP,A)
【文献】
特開2015−048223(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 3/00
H05K 3/46
B65H 41/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャリアに全層ビルドアップ基板を形成したビルドアップ基板における全層ビルドアップ基板をキャリアから剥離するための剥離きっかけを作製する装置であって、
きっかけ刃を、キャリア中点から全層ビルドアップ基板側に、任意の距離移動させて、全層ビルドアップ基板とキャリアとの剥離界面に刺し込むことを試み、きっかけ刃を全層ビルドアップ基板とキャリアとの剥離界面に刺し込めなかった場合、きっかけ刃を、さらに全層ビルドアップ基板側に、任意の距離移動させて、全層ビルドアップ基板とキャリアとの剥離界面に刺し込むことを試みることを、きっかけ刃を全層ビルドアップ基板とキャリアとの剥離界面に刺し込めるまで繰り返す手段を有することを特徴とする剥離きっかけ作製装置。
【請求項2】
きっかけ刃を全層ビルドアップ基板とキャリアとの剥離界面に刺し込めた場合、きっかけ刃を刺し込むことで形成した全層ビルドアップ基板とキャリアとの隙間に、圧縮空気を吐出する手段を有することを特徴とする請求項1に記載の剥離きっかけ作製装置。
【請求項3】
圧縮空気を吐出しつつ、きっかけ刃を刺し込んだ基板端と同じ辺のもう一方の端へ向かって平行移動する手段を有することを特徴とする請求項2に記載の剥離きっかけ作製装置。
【請求項4】
任意の指定した力できっかけ刃を刺し込む手段と、きっかけ刃に作用する力を検知する手段と、きっかけ刃の位置を把握する手段とを有し、
請求項1記載の手段は、きっかけ刃を任意の指定した力で刺し込んだ場合、きっかけ刃に作用する力ときっかけ刃の位置を検知しながら一定のピッチ間隔できっかけ刃を移動させ剥離界面を探索し、剥離界面へきっかけ刃を刺し込む手段を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の剥離きっかけ作製装置。
【請求項5】
キャリアに全層ビルドアップ基板を形成したビルドアップ基板における全層ビルドアップ基板をキャリアから剥離するための剥離きっかけを作製する方法であって、
きっかけ刃を、キャリア中点から全層ビルドアップ基板側に、任意の距離移動させて、全層ビルドアップ基板とキャリアとの剥離界面に刺し込むことを試み、きっかけ刃を全層ビルドアップ基板とキャリアとの剥離界面に刺し込めなかった場合、きっかけ刃を、さらに全層ビルドアップ基板側に、任意の距離移動させて、全層ビルドアップ基板とキャリアとの剥離界面に刺し込むことを試みることを、きっかけ刃を全層ビルドアップ基板とキャリアとの剥離界面に刺し込めるまで繰り返す工程を含むことを特徴とする剥離きっかけ作製方法。
【請求項6】
きっかけ刃を全層ビルドアップ基板とキャリアとの剥離界面に刺し込めた場合、きっかけ刃を刺し込むことで形成した全層ビルドアップ基板とキャリアとの隙間に、圧縮空気を吐出する工程を含むことを特徴とする請求項5に記載の剥離きっかけ作製方法。
【請求項7】
圧縮空気を吐出しつつ、きっかけ刃を刺し込んだ基板端と同じ辺のもう一方の端へ向かって平行移動する工程を含むことを特徴とする請求項6に記載の剥離きっかけ作製方法。
【請求項8】
任意の指定した力できっかけ刃を刺し込む工程と、きっかけ刃に作用する力を検知する工程と、きっかけ刃の位置を把握する工程とを含み、
請求項5に記載の工程は、きっかけ刃を任意の指定した力で刺し込んだ場合、きっかけ刃に作用する力ときっかけ刃の位置を検知しながら一定のピッチ間隔できっかけ刃を移動させ剥離界面を探索し、剥離界面へきっかけ刃を刺し込む工程を含むことを特徴とする請求項5〜7のいずれか1項に記載の剥離きっかけ作製方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャリアに全層ビルドアップ基板を形成したビルドアップ基板における全層ビルドアップ基板をキャリアから剥離するための剥離きっかけ作製装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子機器における高機能化及び軽薄短小化の要求からICチップやLSI等の電子部品では高密度集積化が急速に進んでおり、これに伴い電子部品を搭載するパッケージ基板には、従来にも増して高密度配線化及び多端子化が求められている。最近では、このようなパッケージ基板として、コア基板を有さないコアレス配線基板が提案されている(例えば特許文献1参照)。コアレス配線基板は、樹脂材料(高分子材料)からなる誘電体層と導体層とが交互に形成された高密度配線化が可能なビルドアップ層を主体とし、コア基板を省略することで全体の配線長を短くして高周波用途に対応するものである。
【0003】
コア基板を備えないコアレス配線基板を安定的に製造する方法として、金属箔を表裏面に備えた補強基板を使用してコアレス基板を形成する方式が提案されている(例えば特許文献2参照)。
【0004】
この製造方法では、補強基板上の表面に剥離可能な金属箔が配置されてなる金属箔付き補強基板の上に、金属箔を覆い囲む形で樹脂シートを形成して配線基板の主面とし、さらに金属パターンと樹脂シートとを交互に積層して、配線基板となるべき配線積層部を形成した後、配線積層部と補強基板とを金属箔部分から剥離する。補強基板から剥離した配線積層部に付着している金属箔をエッチング等により除去することで、コアレス基板となる配線積層体が得られる。
【0005】
ところで、従来、全層ビルドアップ基板である配線積層部を補強基板(以後キャリアと云う)から剥離することは、人手で行っていた。人が手作業で全層ビルドアップ基板をキャリアから剥離する工程では、基板剥離に必要な剥離きっかけ作製も人の手作業にて作製される。そして、人が手作業で剥離きっかけ作製をする際、剥離治具等を用いて剥離界面を探す。
【0006】
人が手作業で剥離きっかけを作製する際は、手に伝わってきた感触を頼りに力加減を行い、剥離治具の操作をすることで基板へのダメージを抑えつつ剥離きっかけを作製することができる。しかしながら剥離きっかけを手作業で作製する場合、作業員毎に仕上がり具合や作業時間にバラツキ等が生じ生産性の低下要因となる。さらに、基板を手で取扱うことで曲げ、折れ等による配線積層部での断線や落下等による破損等の基板品質低下や不良品発生に繋がる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004−186265号公報
【特許文献2】特許第4542201号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、このような事情を考慮してなされたもので、キャリアに形成された全層ビルドアップ基板に変形、欠損、欠陥を発生させずにキャリアから全層ビルドアップ基板を剥離するための剥離きっかけを自動で作製することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明において上記課題を解決するために、まず請求項1の発明では、キャリアに全層ビルドアップ基板を形成したビルドアップ基板における全層ビルドアップ基板をキャリアから剥離するための剥離きっかけを作製する装置であって、
きっかけ刃を、キャリア中点から全層ビルドアップ基板側に、任意の距離移動させて、全層ビルドアップ基板とキャリアとの剥離界面に刺し込むことを試み、きっかけ刃を全層ビルドアップ基板とキャリアとの剥離界面に刺し込めなかった場合、きっかけ刃を、さらに全層ビルドアップ基板側に、任意の距離移動させて、全層ビルドアップ基板とキャリアとの剥離界面に刺し込むことを試みることを、きっかけ刃を全層ビルドアップ基板とキャリアとの剥離界面に刺し込めるまで繰り返す手段を有することを特徴とする剥離きっかけ作製装置としたものである。
【0010】
また請求項2の発明は、きっかけ刃を全層ビルドアップ基板とキャリアとの剥離界面に刺し込めた場合、きっかけ刃を刺し込むことで形成した全層ビルドアップ基板とキャリアとの隙間に、圧縮空気を吐出する手段を有することを特徴とする請求項1に記載の剥離きっかけ作製装置としたものである。
【0011】
また請求項3の発明は、圧縮空気を吐出しつつ、きっかけ刃を刺し込んだ基板端と同じ辺のもう一方の端へ向かって平行移動する手段を有することを特徴とする請求項2に記載の剥離きっかけ作製装置としたものである。
【0012】
また請求項4の発明は、任意の指定した力できっかけ刃を刺し込む手段と、きっかけ刃に作用する力を検知する手段と、きっかけ刃の位置を把握する手段とを有し、
請求項1記載の手段は、きっかけ刃を任意の指定した力で刺し込んだ場合、きっかけ刃に作用する力ときっかけ刃の位置を検知しながら一定のピッチ間隔できっかけ刃を移動させ剥離界面を探索し、剥離界面へきっかけ刃を刺し込む手段を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の剥離きっかけ作製装置としたものである。
【0013】
また請求項5の発明は、キャリアに全層ビルドアップ基板を形成したビルドアップ基板における全層ビルドアップ基板をキャリアから剥離するための剥離きっかけを作製する方法であって、
きっかけ刃を、キャリア中点から全層ビルドアップ基板側に、任意の距離移動させて、全層ビルドアップ基板とキャリアとの剥離界面に刺し込むことを試み、きっかけ刃を全層ビルドアップ基板とキャリアとの剥離界面に刺し込めなかった場合、きっかけ刃を、さらに全層ビルドアップ基板側に、任意の距離移動させて、全層ビルドアップ基板とキャリアとの剥離界面に刺し込むことを試みることを、きっかけ刃を全層ビルドアップ基板とキャリアとの剥離界面に刺し込めるまで繰り返す工程を含むことを特徴とする剥離きっかけ作製方法としたものである。
【0014】
また請求項6の発明は、きっかけ刃を全層ビルドアップ基板とキャリアとの剥離界面に刺し込めた場合、きっかけ刃を刺し込むことで形成した全層ビルドアップ基板とキャリアとの隙間に、圧縮空気を吐出する工程を含むことを特徴とする請求項5に記載の剥離きっかけ作製方法としたものである。
【0015】
また請求項7の発明は、圧縮空気を吐出しつつ、きっかけ刃を刺し込んだ基板端と同じ辺のもう一方の端へ向かって平行移動する工程を含むことを特徴とする請求項6に記載の
剥離きっかけ作製方法としたものである。
【0016】
また請求項8の発明は、任意の指定した力できっかけ刃を刺し込む工程と、きっかけ刃に作用する力を検知する工程と、きっかけ刃の位置を把握する工程とを含み、
請求項5に記載の工程は、きっかけ刃を任意の指定した力で刺し込んだ場合、きっかけ刃に作用する力ときっかけ刃の位置を検知しながら一定のピッチ間隔できっかけ刃を移動させ剥離界面を探索し、剥離界面へきっかけ刃を刺し込む工程を含むことを特徴とする請求項5〜7のいずれか1項に記載の剥離きっかけ作製方法としたものである。
【発明の効果】
【0017】
請求項1及び5に係る発明は、きっかけ刃を、キャリア中点から全層ビルドアップ基板側に、任意の距離移動させて、全層ビルドアップ基板とキャリアとの剥離界面に刺し込むことを試み、きっかけ刃を全層ビルドアップ基板とキャリアとの剥離界面に刺し込めなかった場合、きっかけ刃を、さらに全層ビルドアップ基板側に、任意の距離移動させて、全層ビルドアップ基板とキャリアとの剥離界面に刺し込むことを試みることを、きっかけ刃を全層ビルドアップ基板とキャリアとの剥離界面に刺し込めるまで繰り返すので、キャリアと全層ビルドアップ基板との剥離界面を探索し、この剥離界面にきっかけ刃を刺し込むことができる。
このため、請求項1及び5に係る発明は、キャリアに形成された全層ビルドアップ基板に変形、欠損、欠陥を発生させずにキャリアから全層ビルドアップ基板を剥離するための剥離きっかけを自動で作製することができる。
【0018】
請求項2及び6に係る発明は、きっかけ刃を全層ビルドアップ基板とキャリアとの剥離界面に刺し込めた場合、きっかけ刃を刺し込むことで形成した全層ビルドアップ基板とキャリアとの隙間に、圧縮空気を吐出するので、剥離きっかけを基板端から基板中央へ深く形成することができる。
【0019】
請求項3及び7に係る発明は、圧縮空気を吐出しつつ、きっかけ刃を刺し込んだ基板端と同じ辺のもう一方の端へ向かって平行移動するので、ビルドアップ基板の一辺に亘って剥離きっかけを作製できる。
【0020】
請求項4及び8に係る発明は、任意の指定した力できっかけ刃を刺し込み、きっかけ刃に作用する力を検知し、きっかけ刃の位置を把握して、きっかけ刃を任意の指定した力で刺し込んだ場合、きっかけ刃に作用する力ときっかけ刃の位置を検知しながら一定のピッチ間隔できっかけ刃を移動させ剥離界面を探索し、剥離界面へきっかけ刃を刺し込むので、キャリアと全層ビルドアップ基板との剥離界面の探索を精度よく行うことができる。
【0021】
以上、本発明によれば、キャリアに形成された全層ビルドアップ基板に変形、欠損、欠陥を発生させずにキャリアから全層ビルドアップ基板を剥離するための剥離きっかけを自動で作製できるという効果が得られる。また、基板端面状態が悪く画像センサで基板端面を正確に捉えることができない場合であっても、ビルドアップ基板とキャリアとの剥離界面を精度よく探索できるので、剥離きっかけを効率的かつ自動で作製できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の実施形態における剥離きっかけ自動作製の概略を示す図。
【
図2】きっかけ自動作製時の基板固定方法を示す剥離きっかけ装置の側面図。
【
図3】表側全層ビルドアップ基板の各位置座標認識を示す図。
【
図5】横引き動作の概略を示す剥離きっかけ装置の平面図。
【
図6】裏側全層ビルドアップ基板の各位置座標認識を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に、本発明の一実施形態を説明する。
【0024】
先ず、本発明の剥離きっかけ作製装置を説明する。
【0025】
本発明の剥離きっかけ作製装置は、
図2に示すように、ステージ18と、自動きっかけ作製機13とを備える。
【0026】
自動きっかけ作製機13は、
図2に示すように、剥離具14を備える。
【0027】
剥離具14は、
図1に示すように、圧縮空気16の吐出口ときっかけ刃5とを固定する手段を有する。
【0028】
ステージ18は、
図2に示すように、ビルドアップ基板1を載置し、
図2の左右に移動可能な手段を有する。ビルドアップ基板1は、キャリア3の表側の面に表側全層ビルドアップ基板2が形成され、キャリア3の裏側の面に裏側全層ビルドアップ基板3が形成されたものである。
【0029】
ステージ18は、ビルドアップ基板1をステージに固定するために、
図2に示すように、基板押さえ10と基板端押さえ11とを有する。基板押さえ10と基板端押さえ11とを用いてビルドアップ基板1を固定する時、剥離きっかけを作製する辺はステージ18から迫出した状態にするため、位置決めピン12を設ける。
【0030】
ビルドアップ基板1の剥離きっかけを作製する部分ときっかけ刃5とを撮像する画像センサ15を、
図5に示すように設ける。
【0031】
画像センサ15は、
図3のようにビルドアップ基板1ときっかけ刃5との位置関係を撮像し、撮像画像からビルドアップ基板1やきっかけ刃5の状態が正常でない場合は、アラーム発報し、自動きっかけ作製機13に停止指令を発信する手段を有する。
【0032】
自動きっかけ作製機13は、撮像画像から、きっかけ刃5の現在の位置座標を取得し、また、きっかけ刃5を最初に刺し込む位置座標を算出する手段を有する。
また、きっかけ刃5を最初に刺し込む位置へ移動させ、任意に設定した力でビルドアップ基板1に刺し込む手段を有する。
【0033】
自動きっかけ作製機13は、任意に設定した力できっかけ刃5を刺し込み、きっかけ刃5に作用した力の検知とその時の位置座標を確認し、位置座標に変化が無い場合きっかけ刃5を一度引き任意に設定した距離移動し、再度きっかけ刃5をビルドアップ基板1へ刺し込む動作を繰り返し、剥離界面を探索する手段を有する。
【0034】
次に、本発明の剥離きっかけ作製装置を用いて、キャリア3の表裏面に形成された全層ビルドアップ基板2、4に剥離きっかけを作製する方法について説明する。
【0035】
剥離きっかけは基板の4隅の1箇所または、4辺の1辺もしくは、基板全周に作製でも構わない。以下に、例として、4辺のうち1辺に剥離きっかけを作製した場合について説明する。
【0036】
まず、
図2のようにビルドアップ基板1をステージ18に載せる。
ステージ18に載せたビルドアップ基板1を基板端が50mm程度ステージ18から迫出した状態になるよう移動させる。
この時、ビルドアップ基板1を停止させる位置には昇降式の位置決めピン12があり、この位置決めピン12に接触するまでビルドアップ基板1を移動する。さらに、位置決めピン12とビルドアップ基板1とを接触させることでアライメントを行う。
【0037】
アライメントを施したビルドアップ基板1を基板押さえ10と基板端押さえ11とで保持する。
【0038】
きっかけ刃5を画像センサ15の撮像位置へ移動させ
図3のような状態にし、基板端ときっかけ刃5とを撮像する。
【0039】
自動きっかけ作製機13は、撮影画像からビルドアップ基板1の厚みとキャリア中点7の位置座標とを算出し、また、撮像時のきっかけ刃先端6の位置座標を認識する。さらに、キャリア中点7の位置座標から表側全層ビルドアップ基板2方向に任意の距離オフセットした位置を最初にきっかけ刃5を刺し込む位置とする。
【0040】
自動きっかけ作製機13は、きっかけ刃5を最初に刺し込む位置へ移動させた後、10N程度の力でビルドアップ基板1に刺し込む。自動きっかけ作製機13は、きっかけ刃5がビルドアップ基板1に刺さった時に作用した力を検知する。また、自動きっかけ作製機13は、きっかけ刃5を10N程度で刺し込み続けた時のきっかけ刃5の移動量も検知する。
自動きっかけ作製機13は、きっかけ刃5を10N程度の力で刺し込んでも移動距離に変化が無い時は、差し込んだ所は表側全層ビルドアップ基板2とキャリア3との剥離界面ではないと判断する。
このように判断すると、自動きっかけ作製機13は、きっかけ刃5をビルドアップ基板1に刺し込むのを一旦中止しきっかけ刃5を引き戻す。
そして、自動きっかけ作製機13は、きっかけ刃5を表側全層ビルドアップ基板2側に20μm移動させ、再度10N程度の力できっかけ刃5をビルドアップ基板1に刺し込む。
自動きっかけ作製機13は、この剥離界面を探索する
図4のようなキツツキ動作を行い剥離界面を見つける。
【0041】
10N程度の力できっかけ刃5をビルドアップ基板1に刺し込み、きっかけ刃5が3mm程度挿入することができた場所が表側全層ビルドアップ基板2とキャリア3との剥離界面である。
【0042】
自動きっかけ作製機13は、表側全層ビルドアップ基板2とキャリア3との剥離界面にきっかけ刃5を3mm程度挿入し、
図1に示すように、きっかけ刃5を表側全層ビルドアップ基板2とキャリア3との剥離界面に挿入することで形成した表側全層ビルドアップ基板2とキャリア3との隙間に、圧縮空気16を0.4MPa程度の圧力で吐出する。圧縮空気16を隙間に吐出することで全層ビルドアップ基板2を剥離しやすいよう、剥離きっかけを基板端から基板中央方向に50mm程度、表側全層ビルドアップ基板2が剥離された状態を作る。
この時、圧縮空気16の吐出口とビルドアップ基板1とのクリアランスは1mm程度が好ましい。
【0043】
自動きっかけ作製機13は、
図1のように圧縮空気16を吐出しつつ、
図5に示すように、きっかけ刃5を刺し込んだ基板端と同じ辺のもう一方の端へ向かって平行移動する。もう一方の基板端をきっかけ刃5が十分通過した位置で停止し、圧縮空気16も停止する。これで表側全層ビルドアップ基板2への剥離きっかけ作製ができる。
【0044】
きっかけ刃5を再度画像センサ15の撮像位置に移動させ、
図6のように基板端ときっかけ刃5を撮像する
【0045】
自動きっかけ作製機13は、
図6のような撮影画像からキャリア上面エッジ8の位置座標ときっかけ刃先端6の位置座標とを認識する。認識したキャリア上面エッジ8から製品の設計寸法値を元にキャリア中点7の位置座標を算出する。算出したキャリア中点7の位置座標から裏側全層ビルドアップ基板4側に任意の距離オフセットした位置を最初にきっかけ刃5を刺し込む位置とする。
また、画像センサ15は、撮像画像からきっかけ刃5の状態を確認し、欠け等の形状に変化があればアラームを発報し自動きっかけ作製機13を停止させる。
【0046】
自動きっかけ作製機13は、きっかけ刃5を最初に刺し込む位置へ移動させ、10N程度の力でビルドアップ基板1に刺し込む。表側全層ビルドアップ基板2の時と同様に
図4のキツツキ動作を行い裏側全層ビルドアップ基板4とキャリア3との剥離界面の探索をする。
【0047】
10N程度の力できっかけ刃5をビルドアップ基板1に刺し込み、きっかけ刃5が3mm程度挿入することができた場所が裏側全層ビルドアップ基板4とキャリア3との剥離界面である。
【0048】
自動きっかけ作製機13は、裏側全層ビルドアップ基板4とキャリア3との剥離界面を見つけ、きっかけ刃5を3mm程度挿入する。その時形成した隙間に圧縮空気16を0.4MPa程度の圧力で吐出し、表側全層ビルドアップ基板2の時と同様に、
図5のようにきっかけ刃5を刺し込んだ基板端と同じ辺のもう一方の基板端に向かって水平移動し、十分通過した位置できっかけ刃5を停止し、圧縮空気16の吐出も停止する。
これで、裏側全層ビルドアップ基板4への剥離きっかけ作製が完了する。
【0049】
基板押さえ10と基板端押さえ11とを解除し、ビルドアップ基板1を基板投入位置へ移動させ、ビルドアップ基板1を払い出し剥離きっかけ作製動作が完了する。
【符号の説明】
【0050】
1…ビルドアップ基板
2…表側全層ビルドアップ基板
3…キャリア
4…裏側全層ビルドアップ基板
5…きっかけ刃
6…きっかけ刃先端
7…キャリア中点
8…キャリア上面エッジ
10…基板押さえ
11…基板端押さえ
12…位置決めピン
13…自動きっかけ作製機
14…剥離具
15…画像センサ
16…圧縮空気
18…ステージ