特許第6311558号(P6311558)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6311558
(24)【登録日】2018年3月30日
(45)【発行日】2018年4月18日
(54)【発明の名称】光処理装置、光学装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/30 20060101AFI20180409BHJP
   G02B 6/122 20060101ALI20180409BHJP
   G02B 6/42 20060101ALI20180409BHJP
   G02B 6/12 20060101ALI20180409BHJP
【FI】
   G02B6/30
   G02B6/122
   G02B6/42
   G02B6/12 301
【請求項の数】10
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2014-198183(P2014-198183)
(22)【出願日】2014年9月29日
(65)【公開番号】特開2016-71025(P2016-71025A)
(43)【公開日】2016年5月9日
【審査請求日】2017年5月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100136722
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼木 邦夫
(74)【代理人】
【識別番号】100108257
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 伊知良
(72)【発明者】
【氏名】古谷 章
(72)【発明者】
【氏名】村上 泰典
(72)【発明者】
【氏名】柴田 雅弘
【審査官】 山本 貴一
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭59−116707(JP,A)
【文献】 特開2008−209767(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/087974(WO,A1)
【文献】 特表2000−509839(JP,A)
【文献】 特開2014−035546(JP,A)
【文献】 国際公開第2003/098307(WO,A1)
【文献】 特開2009−020426(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0010498(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/02,6/12,6/122,6/30,6/42,6/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のシングルモード光ファイバの配列と、該シングルモード光ファイバの配列を維持する可撓性保持体と、偏波面保持ファイバを含む外部光導波路部品と前記シングルモード光ファイバとの光学的な結合を提供するための第1光コネクタとを含む光配線部品と、
前記光配線部品の前記シングルモード光ファイバの配列に光学的に結合される複数の光カプラと、該光カプラに光学的に結合された光導波路とを含み偏波光を処理する光集積回路と、
前記光配線部品の前記第1光コネクタが前記偏波面保持ファイバに光学的に結合可能なように前記第1光コネクタを支持する支持台と、
前記支持台上において前記第1光コネクタから第1仮想面に沿って前記シングルモード光ファイバが延出すると共に、第2仮想面に沿って前記シングルモード光ファイバが前記光集積回路の主面に向いて延在するように、前記光集積回路上に配置された第2光コネクタと、
を備え、
前記第2仮想面は、前記第1仮想面に対してゼロより大きな角度で傾斜し、
前記光集積回路の前記複数の光カプラは、前記光集積回路の前記主面に沿って配列されており、
前記第1光コネクタは前記シングルモード光ファイバの一端に設けられ、前記第2光コネクタは、前記シングルモード光ファイバの他端に設けられる、光処理装置。
【請求項2】
前記可撓性保持体を支持する支持部品を更に備え、
前記支持部品は前記可撓性保持体の屈曲部を覆うように設けられる、請求項1に記載された光処理装置。
【請求項3】
前記支持部品は、前記光配線部品の前記可撓性保持体の曲がりを案内する第1支持面及び第2支持面を有しており、
前記第1仮想面に沿って前記第1光コネクタから前記シングルモード光ファイバの配列が延出しており、前記第1支持面は、前記第1仮想面の延在方向に延在し、
前記第2仮想面は前記光集積回路の主面に交差する面であり、前記第2支持面は、前記第2仮想面の延在方向に延在する、請求項2に記載された光処理装置。
【請求項4】
前記光カプラは、グレーティングカプラを備える、請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載された光処理装置。
【請求項5】
前記光配線部品は、前記シングルモード光ファイバの配列と前記可撓性保持体とによって構成されるテープファイバを含む、請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載された光処理装置。
【請求項6】
前記光集積回路は、シリコンフォトニクス素子を含む、請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載された光処理装置。
【請求項7】
前記光集積回路は、前記光集積回路の前記光カプラに光学的に結合されており光受信器のための光学素子を含む、請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載された光処理装置。
【請求項8】
前記光集積回路は、前記光集積回路の前記光カプラに光学的に結合されており光送信器のための光学素子を含む、請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載された光処理装置。
【請求項9】
複数のシングルモード光ファイバの配列と、該シングルモード光ファイバの配列を維持する可撓性保持体と、偏波面保持ファイバを含む外部光導波路部品と前記シングルモード光ファイバとの光学的な結合を提供するための第1光コネクタと、前記シングルモード光ファイバの他端に設けられ、偏波光を処理する光集積回路と前記シングルモード光ファイバとの光学的な結合を提供するための第2光コネクタとを含む光配線部品と、
前記第1光コネクタから第1仮想面に沿って前記シングルモード光ファイバが延出すると共に、前記第1仮想面に対してゼロより大きな角度で傾斜する第2仮想面に沿って前記第2光コネクタから前記シングルモード光ファイバが延出するように、前記光配線部品を支持する支持部品と、
を備え、
前記第1光コネクタは、前記シングルモード光ファイバの一端に設けられ、
前記第2光コネクタは、前記シングルモード光ファイバの他端に設けられる、光学装置。
【請求項10】
前記支持部品は、前記第2光コネクタにくっつけて設けられる、請求項9に記載された光学装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光処理装置、及び光学装置に関する。
【背景技術】
【0002】
非特許文献1はCMOSフォトニック集積半導体チップを開示する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】R. Krishnamurthy, The Luxtera CMOS Integrated Photonic Chip in a Molex Cable, [online] ,chipworks, 2012-12-03,[2014年4月11日検索]、 URL:http://www.chipworks.com/blog/technologyblog/2012/12/03/the-luxtera-cmos-integrated-photonic-chip-in-a-molex-cable/
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
光ファイバを介して偏波光を伝送するためには、偏波面保持ファイバ(PMF)が使用される。偏波面保持ファイバでは、光ファイバのコア部分にひずみを内在させることによって、光ファイバのコア部分に複屈折性を付与できる。複屈折性により、偏波面保持光ファイバは偏波面保持特性を得る。この複屈折の主軸方向に平行な偏光方向を有する光は、その偏波面方向が保持されたまま偏波面保持光ファイバを伝搬できる。例えばSiフォトニクス技術を用いて作製した素子は、光伝送路の偏波面保持光ファイバを伝搬してきた偏波光を受ける。
【0005】
偏波面保持光ファイバは、上述の通り、そのコア部分に内部応力を内包する構造を有するので、小さい曲率半径で曲げられた偏波面保持光ファイバでは、この曲げによる応力が、偏波面保持特性に外乱を与える。
【0006】
本発明は、このような事情に基づき為されたものであり、複数の偏波光を処理する光集積回路に光学的に結合される光学装置を提供することを目的とし、また光集積回路及び光学装置を含む光処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一側面によれば、光処理装置は、複数のシングルモード光ファイバの配列と、該シングルモード光ファイバの配列を維持する可撓性保持体と、偏波面保持ファイバを含む外部光導波路部品と前記シングルモード光ファイバとの光学的な結合を提供するための第1光コネクタとを含む光配線部品と、前記光配線部品の前記シングルモード光ファイバの配列に光学的に結合される複数の光カプラと、該光カプラに光学的に結合された光導波路とを含み偏波光を処理する光集積回路と、前記光配線部品の前記第1光コネクタが前記偏波面保持ファイバに光学的に結合可能なように前記第1光コネクタを支持する支持台と、前記支持台上において前記第1光コネクタから第1仮想面に沿って前記シングルモード光ファイバが延出すると共に、第2仮想面に沿って前記シングルモード光ファイバが前記光集積回路の主面に向いて延在するように、前記光集積回路上に配置された第2光コネクタと、を備え、前記第2仮想面は、前記第1仮想面に対してゼロより大きな角度で傾斜し、前記光集積回路の前記複数の光カプラは、前記光集積回路の前記主面に沿って配列されており、前記第1光コネクタは前記シングルモード光ファイバの一端に設けられ、前記第2光コネクタは前記シングルモード光ファイバの他端に設けられる。
【0008】
本発明の別の側面によれば、光学装置は、複数のシングルモード光ファイバの配列と、該シングルモード光ファイバの配列を維持する可撓性保持体と、偏波面保持ファイバを含む外部光導波路部品と前記シングルモード光ファイバとの光学的な結合を提供するための第1光コネクタと、前記シングルモード光ファイバの他端に設けられ、偏波光を処理する光集積回路と前記シングルモード光ファイバとの光学的な結合を提供するための第2光コネクタとを含む光配線部品と、前記第1光コネクタから第1仮想面に沿って前記シングルモード光ファイバが延出すると共に、前記第1仮想面に対してゼロより大きな角度で傾斜する第2仮想面に沿って前記第2光コネクタから前記シングルモード光ファイバが延出するように、前記光配線部品を支持する支持部品と、を備え、前記第1光コネクタは、前記シングルモード光ファイバの一端に設けられ、前記第2光コネクタは、前記シングルモード光ファイバの他端に設けられる。
【0009】
本発明の上記の目的および他の目的、特徴、並びに利点は、添付図面を参照して進められる本発明の好適な実施の形態の以下の詳細な記述から、より容易に明らかになる。
【発明の効果】
【0010】
以上説明したように、本発明の一側面によれば、複数の偏波光を処理する光集積回路に光学的に結合される光学装置を提供できる。また、本発明の別の側面によれば、光集積回路及び光学装置を含む光処理装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本実施の形態に係る光処理装置及び光学装置の一例を示す図面である。
図2】本実施の形態に係る光集積素子の一例を示す図面である。
図3】本実施の形態に係る光接続部品の一例を示す図面である。
図4】本実施の形態に係るファイババンドル部品の例示的な構造を示す。
図5】本実施の形態に係る光配線部品の屈曲を説明する図面である。
図6】外部光導波路部品内の偏波面保持ファイバ(PMF)の配列と、この外部光導波路部品と光集積合回路とを接続するように屈曲されたファイババンドル部品内のシングルモード光ファイバ(SMF)とを模式的に示す図面である。
図7】外部光導波路部品内の偏波面保持ファイバ(PMF)の配列と、この外部光導波路部品と光集積合回路とを接続するように屈曲された複数の単独シングルモード光ファイバ(SMFI1、SMFI2)とを模式的に示す図面である。
図8】光処理装置のバリエーションを概略的に示す図面である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
いくつかの具体例を説明する。
【0013】
一形態に係る光処理装置は、(a)複数のシングルモード光ファイバの配列と、該シングルモード光ファイバの配列を維持する可撓性保持体と、偏波面保持ファイバを含む外部光導波路部品と前記シングルモード光ファイバとの光学的な結合を提供するための第1光コネクタとを含む光配線部品と、(b)前記光配線部品の前記シングルモード光ファイバの配列に光学的に結合される複数の光カプラと、該光カプラに光学的に結合された光導波路とを含み偏波光を処理する光集積回路と、(c)前記光配線部品の前記第1光コネクタが前記偏波面保持ファイバに光学的に結合可能なように前記第1光コネクタを支持する支持台と、(d)前記支持台上において前記第1光コネクタから第1仮想面に沿って前記シングルモード光ファイバが延出すると共に、第2仮想面に沿って前記シングルモード光ファイバが前記光集積回路の主面に向いて延在するように、前記光集積回路上に配置された第2光コネクタと、を備え、前記第2仮想面は、前記第1仮想面に対してゼロより大きな角度で傾斜し、前記光集積回路の前記複数の光カプラは、前記光集積回路の前記主面に沿って配列されており、前記第1光コネクタは前記シングルモード光ファイバの一端に設けられ、前記第2光コネクタは、前記シングルモード光ファイバの配列の他端に設けられる。
【0014】
この光処理装置によれば、光配線部品はシングルモード光ファイバを含み、該シングルモード光ファイバの屈曲がない場合には、シングルモード光ファイバは、実質的な偏波面保持特性を示さない。光配線部品は、支持台上において第1光コネクタから第1仮想面に沿ってシングルモード光ファイバの配列が延出するように支持される。更に光配線部品は、光集積回路上において第2光コネクタから第2仮想面に沿ってシングルモード光ファイバの配列が延出するように、光集積回路上に固定された第2光コネクタによって支持される。この支持により光配線部品の複数のシングルモード光ファイバが屈曲されて、光配線部品の第2光コネクタが光集積回路に光学的に接続される。光配線部品の可撓性保持体は、該シングルモード光ファイバが配列及び屈曲を維持する一方で、同様な曲げ応力を光配線部品のシングルモード光ファイバに与えることを可能にする。これ故に、光配線部品のシングルモード光ファイバの配列は、可撓性保持体から受ける応力により、各シングルモード光ファイバが同様の偏波面保持特性を示す。光配線部品のシングルモード光ファイバを介して偏波面保持光ファイバが光集積回路に光学的に結合されるので、シングルモード光ファイバの使用は、偏波面保持ファイバの使用における屈曲による偏波面保持特性変化に煩わされることを避けることができる。
【0015】
一形態に係る光処理装置は、前記可撓性保持体を支持する支持部品を含むことができる。前記支持部品は前記可撓性保持体の屈曲部を覆うように設けられる。支持部品により屈曲部が外乱から保護されるので、シングルモード光ファイバの延在方向が第1仮想面または第2仮想面からずれることがない。したがってシングルモード光ファイバ中を伝搬する光の偏波面が安定に維持される。
【0016】
一形態に係る光処理装置では、前記光カプラは、グレーティングカプラを備えることができる。この光処理装置によれば、グレーティングカプラは、該グレーティングカプラの向きに応じて偏波光を送出できまた受光できる。
【0017】
一形態に係る光処理装置では、前記光配線部品は、前記シングルモード光ファイバの配列と前記可撓性保持体とによって構成されるテープファイバを含むことができる。この光処理装置によれば、テープファイバにおける可撓性保持体が各シングルモード光ファイバの側面を保持すると共にファイバ配列のファイバを繋いて、該シングルモード光ファイバの延在方向に交差する方向にファイバ配列を構成する。このテープファイバでは、隣接してするシングルモード光ファイバに可撓性保持体の撓みに応じた応力を与える。
【0018】
一形態に係る光処理装置では、前記支持部品は、前記光配線部品の前記可撓性保持体の曲がりを案内する第1支持面及び第2支持面を有しており、前記第1仮想面は前記第1光コネクタから前記シングルモード光ファイバの配列が延出する仮想面であり、前記第1支持面は、前記第1仮想面の延在方向に延在し、前記第2仮想面は前記光集積回路の主面に交差する面であり、前記第2支持面は、前記第2仮想面の延在方向に延在することができる。
【0019】
一形態に係る光処理装置では、前記光集積回路は、シリコンフォトニクス素子を含むことができる。この光処理装置によれば、シリコンフォトニクス素子を用いて偏波光を処理できる。
【0020】
一形態に係る光処理装置では、前記光集積回路は、前記光集積回路の前記光カプラに光学的に結合されており光受信器のための光学素子を含むことができる。この光処理装置によれば、光集積回路は光配線部品内の全部又は一部のシングルモード光ファイバを介して受けた偏波光を処理できる。
【0021】
一形態に係る光処理装置では、前記光集積回路は、前記光集積回路の前記光カプラに光学的に結合されており光送信器のための光学素子を含むことができる。一形態に係る光処理装置では、前記光集積回路は、前記光集積回路の前記光カプラに光学的に結合されており光送信器のための光学素子を含むことができる。これらの光処理装置によれば、光集積回路は偏波光を処理して、処理された偏波光を光配線部品内の少なくとも一部のシングルモード光ファイバに送出できる。
【0022】
一形態に係る光学装置は、(a)複数のシングルモード光ファイバの配列と、該シングルモード光ファイバの配列を維持する可撓性保持体と、偏波面保持ファイバを含む外部光導波路部品と前記シングルモード光ファイバとの光学的な結合を提供するための第1光コネクタと、前記シングルモード光ファイバの他端に設けられ、偏波光を処理する光集積回路と前記シングルモード光ファイバとの光学的な結合を提供するための第2光コネクタとを含む光配線部品と、(b)前記第1光コネクタから第1仮想面に沿って前記シングルモード光ファイバが延出すると共に、前記第1仮想面に対してゼロより大きな角度で傾斜する第2仮想面に沿って前記第2光コネクタから前記シングルモード光ファイバが延出するように、前記光配線部品を支持する支持部品と、を備え、前記第1光コネクタは、前記シングルモード光ファイバの一端に設けられ、前記第2光コネクタは、前記シングルモード光ファイバの他端に設けられる。
【0023】
この光学装置によれば、光配線部品はシングルモード光ファイバを含み、該シングルモード光ファイバの屈曲がない場合には、シングルモード光ファイバは、実質的な偏波面保持特性を示さない。光配線部品は、第1光コネクタから第1仮想面に沿ってシングルモード光ファイバの配列が延出すると共に光集積回路上において第2光コネクタから第2仮想面に沿ってシングルモード光ファイバの配列が延出するように、支持部品によって支持される。この支持により、光配線部品の複数のシングルモード光ファイバが屈曲されて、光配線部品の第2光コネクタが光集積回路に光学的に接続される。光配線部品の可撓性保持体は、該シングルモード光ファイバが配列及び屈曲を維持する一方で、同様な曲げ応力を光配線部品のシングルモード光ファイバに与えることを可能にする。これ故に、光配線部品のシングルモード光ファイバの配列は、可撓性保持体から受ける応力により各シングルモードファイバが同様の偏波面保持特性を示す。光配線部品のシングルモード光ファイバを介して偏波面保持光ファイバは光集積回路に光学的に結合されるので、シングルモード光ファイバの使用は、偏波面保持ファイバの使用における屈曲に起因する偏波面保持特性変化に煩わされることを避けることができる。
【0024】
一形態に係る光学装置では、前記支持部品は、前記第2の光コネクタにくっつくように(第1光コネクタではなく)設けられていてもよい。光学装置を光集積回路の平面上に設置したときに(支持台の高さが低いときに)、第1光コネクタを低い位置に設けたときに、シングルモード光ファイバの屈曲量が小さくなりすぎない。また、第1光コネクタから延出するシングルモード光ファイバの直線部分の長さを、小さくすることができる(図8の(c)の構造)。
【0025】
本発明の知見は、例示として示された添付図面を参照して以下の詳細な記述を考慮することによって容易に理解できる。引き続いて、添付図面を参照しながら、本発明の光処理装置、及び光学装置に係る実施の形態を説明する。可能な場合には、同一の部分には同一の符号を付する。
【0026】
図1は、本実施の形態に係る光処理装置及び光学装置の一例を示す図面である。光学装置11は、光配線部品13、支持台15、及び支持部品17を備える。光処理装置21は光学装置11及び光集積回路19を含む。本実施例では、光処理装置21は、光学装置11及び光集積回路19を支持するためのベース23を備え、光学装置11及び光集積回路19はベース23の搭載面23a上に搭載されている。搭載面23aは基準平面に沿って延在する。光集積回路19は、例えば偏波光を処理する光素子を含むことができる。本実施例では、光集積回路19は、偏波光に光学的に結合可能な(偏波光を受信可能な、或いは偏波光を送出可能な)複数の光カプラ19aと、偏波光を伝送可能な複数の光導波路19bの配列を含む。光カプラ19aは、光集積回路19の主面に沿って配列されている。光カプラ19aの配列は、例えばグレーティングカプラ、光導波路の端面を斜めに加工したもの、等を包含する。本実施例では、光カプラ19aはグレーティングカプラ19cを含むことができる。グレーティングカプラは、該グレーティングカプラの向きに応じた偏波面を有する偏波光を送出でき、また受光できる。光カプラ19aは光導波路19bに光学的に結合される。
【0027】
光配線部品13は、複数のシングルモード光ファイバ25の配列と、シングルモード光ファイバ25の配列を維持する可撓性保持体27とを含む。可撓性保持体27は、例えばウレタンアクリレート樹脂を備える。シングルモード光ファイバ25及び可撓性保持体27は、ファイババンドル部品28を構成する。ファイババンドル部品28は、シングルモード光ファイバ25の一端部及び他端部を除いてシングルモード光ファイバ25の各々を単一の可撓性保持体27が保持して、シングルモード光ファイバ25の配列を維持している。光配線部品13は、好ましくは、第1光コネクタ29を更に備え、第1光コネクタ29は、外部光導波路部品33とシングルモード光ファイバ25との光学的な結合を提供するために設けられる。外部光導波路部品33は、第1光コネクタ29に接続されるべき外部光コネクタ33aと、テープ状の偏波面保持ファイバ33bとを含む。偏波面保持ファイバ33bは、複数の偏波面保持ファイバPMFの配列を有する。あるいは、偏波面保持ファイバ33bは、偏波面保持ファイバPMFとシングルモード光ファイバとが混在した配列を有していてもよい。また、光配線部品13は、第2光コネクタ31を更に備え、第2光コネクタ31は、光集積回路19の光カプラ19aの配列とシングルモード光ファイバ25の配列との光学的な結合を提供するために設けられる。
【0028】
また、光配線部品13において、第1光コネクタ29は、シングルモード光ファイバ25の一端に設けられて、シングルモード光ファイバ25の一端の配列が偏波面保持ファイバPMFを含む配列に光学的に結合されることを可能にする。第2光コネクタ31は、シングルモード光ファイバ25の他端に設けられて、シングルモード光ファイバ25の他端の配列が光集積回路19の光カプラ19aの配列に光学的に結合することを可能にする。
【0029】
支持台15は、光配線部品13のシングルモード光ファイバ25が第1光コネクタ29を介して偏波面保持ファイバPMFに光学的に結合可能なように第1光コネクタ29を支持する。また、本実施例では、支持台15は、外部光導波路部品33の偏波面保持ファイバPMFが外部光コネクタ33aを介してシングルモード光ファイバ25に光学的に結合可能なように外部光コネクタ33aを支持する。
【0030】
支持部品17は、光配線部品13を支持する。支持部品17は、支持台15上の第1光コネクタ29から第2光コネクタ31に至る可撓性保持体27の形状を維持するために設けられる。支持台15上の第1光コネクタ29から第2光コネクタ31に至るシングルモード光ファイバ25は、所望の曲率半径を下回ることのない形状で屈曲される。以下の説明から理解されるように、この屈曲は維持され、また屈曲の曲率半径は制御されている。例えば、支持台15上において第1光コネクタ29から第1仮想面R1に沿ってシングルモード光ファイバ25が延出すると共に、第2仮想面R2に沿ってシングルモード光ファイバ25が光集積回路の主面に向いて延在する。一実施例では、支持部品17は、支持台15上に搭載された第1光コネクタ29から第1仮想面R1に沿ってシングルモード光ファイバ25が延出すると共に、第2仮想面R2に沿って第2光コネクタ31からシングルモード光ファイバ25が延出するように、光配線部品13を支持する。第2仮想面R2は、第1仮想面R1に対してゼロより大きな角度で傾斜する。可撓性保持体27の形状を維持することによって、可撓性保持体27によって保持されるシングルモード光ファイバ25の形状(例えば、屈曲の曲率半径、第1仮想面及び第2仮想面の角度)を維持する。第1光コネクタ29は、シングルモード光ファイバ25を一列に配列するようにシングルモード光ファイバ25の一端部を保持している。また、第2光コネクタ31は、シングルモード光ファイバ25を一列に配列するようにシングルモード光ファイバ25の他端部を保持している。光配線部品13及び支持部品17は、光接続部品を構成する。
【0031】
この光学装置11及び光処理装置21によれば、光配線部品13はシングルモード光ファイバ25を含み、該シングルモード光ファイバ25の屈曲がない場合には、シングルモード光ファイバ25は、実質的な偏波面保持特性を示さない。光配線部品13は、支持台15上において第1光コネクタ29から第1仮想面R1に沿ってシングルモード光ファイバ25の配列が延出すると共に光集積回路19上において第2光コネクタ31から第2仮想面R2に沿ってシングルモード光ファイバの25配列が延出するように、支持部品17によって支持される。この支持により、光配線部品13の複数のシングルモード光ファイバ25が屈曲された状態で、光配線部品13の第2光コネクタ31が光集積回路19に光学的に接続される。光配線部品13の可撓性保持体27は、該シングルモード光ファイバ25が配列及び屈曲を維持する一方で、同様な曲げ応力を光配線部品13のシングルモード光ファイバ25に与えることを可能にする。これ故に、光配線部品13のシングルモード光ファイバ25の配列は、可撓性保持体27から受ける応力により各シングルモードファイバが同様の偏波面保持特性を示す。光配線部品13のシングルモード光ファイバ25を介して偏波面保持ファイバPMFを光集積回路19に光学的に結合されるので、シングルモード光ファイバ25の使用は、偏波面保持ファイバの使用における屈曲による偏波面保持特性変化に煩わされることを避けることができる。
【0032】
図1に示される実施例においては、支持部品17が、光配線部品13の第2光コネクタ31に支持されている。この形態によれば、第2光コネクタ31から延出するファイババンドル部品28の延在方向を案内できる。支持部品17の支持は、第2光コネクタ31による支持に限定されることなく、例えば第1光コネクタ29、光集積回路19、又はベース23によって行われることができる。一実施例では、支持部品17は、第2光コネクタ31と別部品として描かれているけれども、支持部品17及び第2光コネクタ31が一体に構成されていてもよく、また支持部品17及び第1光コネクタ29が一体に構成されていてもよく、更には、支持部品17、第1光コネクタ29及び第2光コネクタ31が一体に構成されていてもよい。
【0033】
光学装置11及び光処理装置21では、光配線部品13は、シングルモード光ファイバ25の配列と可撓性保持体27とによって構成されるテープファイバを含む。このテープファイバにおける可撓性保持体27が各シングルモード光ファイバ25の側面を保持すると共にファイバ配列を一列に繋いて、該シングルモード光ファイバ25の延在方向に交差する方向に一次元のファイバ配列を構成する。具体的には、可撓性保持体27は、各シングルモード光ファイバ25の導波軸の方向にシングルモード光ファイバ25の側面に沿って延在している。このテープファイバでは、隣接してするシングルモード光ファイバ25に可撓性保持体27の撓み及び/又は屈曲に応じた応力を与える。
【0034】
支持部品17は第1支持面17a及び第2支持面17bを有する。第1支持面17a及び第2支持面17bは、光配線部品13の可撓性保持体27の曲がりを案内できる。本実施例では、第1支持面17aは第1仮想面R1の延在方向に延在することができる。第2支持面17bは第2仮想面R2の延在方向に延在することができる。
【0035】
第1支持面17aは、例えば第1光コネクタ29から延出したファイババンドル部品28の可撓性保持体27の表面を案内する。第2支持面17bは、例えば第2光コネクタ31から延出したファイババンドル部品28の可撓性保持体27の表面を案内する。第1支持面17a及び第2支持面17bが互いに異なる向きに延在するので、これらの案内によって、光学装置11及び光処理装置21におけるファイババンドル部品28の形状が規定される。この形状をしっかりと保つために、接着部材35を用いることができる。この接着部材35は、エポキシ系接着剤であることができる。
【0036】
典型的な例としては、光集積回路19は、シリコンフォトニクス素子を含むことができる。この光処理装置21によれば、シリコンフォトニクス素子を用いて偏波光を処理できる。光集積回路19は、光受信器のための素子(例えば、光学素子及び電気素子)、例えばフォトダイオード、受光信号増幅用の電子回路を含むことができる。この光処理装置21によれば、光集積回路19は光配線部品13内の少なくとも一部のシングルモード光ファイバ25を介して受けた偏波光を処理できる。或いは、光集積回路19は、光送信器のための素子(例えば、光学素子及び電気素子)、例えば光学変調器、光学変調器用の駆動回路を含むことができる。この光処理装置21によれば、光集積回路19は光配線部品13内の少なくとも一部のシングルモード光ファイバ25を介して出力する偏波光を処理できる。また、光集積回路19は、光受信器のための光学素子及び光送信器のための素子の両方を含むことができる。
【0037】
図2は、光集積素子の一例を示す図面である。図2の(a)部は、光集積回路19としてシリコンフォトニクス素子を示す平面図を示す。図2の(a)部は、図2の(a)部に示されたIIb−IIb線に沿ってとられたシリコンフォトニクス素子を示す断面図を示す。図2の(a)部を参照すると、シリコンフォトニクス素子SiPhDでは、光カプラ19aとして、複数のグレーティングカプラGC1、GC2、GC3、GC4、GC5、GC6、GC7、GC8、CG9、CG10(例えば10個)が示される。グレーティングカプラが偏波光に良好に結合できるように、個々のグレーティングカプラは、同じ向きに向き付けられる(例えば、図2における矢印AP)。本実施例では、矢印APは、グレーティングカプラGC1〜CG10の配列の向きに一致している。
【0038】
グレーティングカプラGC1〜CG4は、光受信器のために用いられる。グレーティングカプラGC1〜CG4からの信号光は光回路WCを介して受光素子PDに提供される。本実施例では、光回路WCは光導波路WG1〜WGをを含む。グレーティングカプラGC1〜CG4は、それぞれ、光導波路WG1〜WG4を介してフォトダイオードPD1〜PD4に光学的に結合される。フォトダイオードPD1〜PD4は、導電線EL1〜EL4を介して電気回路TIA(例えばトランスインピーダンスアンプ)に接続される。電気回路TIAは、フォトダイオードPD1〜PD4からの電気信号(例えば光電流)の処理(例えば電流−電圧変換、増幅)を行って、受信した信号光に対応した電気信号を生成する。
【0039】
また、グレーティングカプラGC6〜CG10は、光送信器のために用いられる。本実施例では、グレーティングカプラGC6からのレーザ光は、複数の光変調器MDに供給される。光変調器MDは、例えばマッハツェンダ変調器MZIA、MZIB、MZIC、MZIDを含む。マッハツェンダ変調器MZIA、MZIB、MZIC、MZIDは、それぞれ、駆動回路Driverから電気信号EM1〜EM4を受けて、電気信号EM1〜EM4に応じて複数の変調光を生成する。これらの変調光は、それぞれ、光導波路WG7〜WG10を伝搬してグレーティングカプラGC7〜CG10に到達する。
【0040】
図3は、光接続部品の一例を示す図面である。本実施例では、ファイババンドル部品28は、複数のシングルモード光ファイバ(例えば10本)を含み、これらのシングルモード光ファイバSMFは、可撓性保持体27として用いられる可撓性樹脂体によって保持されている。図3の(a)部に示されるように、ファイババンドル部品28の一端部及び他端部では、可撓性樹脂体からシングルモード光ファイバSMFが露出されている。ファイババンドル部品28の一端部は、コネクタ部品31a及びコネクタ部品31bに挟まれる。ファイババンドル部品28の一端部における可撓性樹脂体の端部は、コネクタ部品31a、31bの各々における案内溝32aに配置される。案内溝32aは、コネクタ部品31a、31bの後端面から前端面に向く軸の方向に後端面から延在する。また、ファイババンドル部品28の一端部において可撓性樹脂体から露出されたシングルモード光ファイバSMFの端部25bは、コネクタ部品31a、31bの各々におけるファイバ溝32bに配置される。ファイバ溝32bは、コネクタ部品31a、31bの後端面から前端面に向く軸の方向に前端面から延在する。必要な場合には、コネクタ部品31a、31bは、光コネクタの接続の際の位置合わせピンのためにガイド溝32c、32dを有する。ガイド溝32c、32dは、コネクタ部品31a、31bの後端面から前端面に向く軸の方向に前端面から後端面まで延在する。
【0041】
図3の(a)部には、矢印FB1、FB2、FB3が示される。矢印FB1に示されるように、ファイババンドル部品28の端部をコネクタ部品31aに配置した後に、矢印FB2、FB3に示されるように、コネクタ部品31bをコネクタ部品31aに重ね合わせる。ファイババンドル部品28、コネクタ部品31a及びコネクタ部品31bを固定して、第1光コネクタ29を完成させる。第2光コネクタ31は、第1光コネクタ29と同様な構造を有することができ、第1光コネクタ29と同様に作製される。第2光コネクタ31は、外部光導波路部品と接続されるのではなく、光集積回路19に接続される。このため、第2光コネクタ31は、位置合わせ用のガイド溝を備えないようにしてもよい。
【0042】
ファイババンドル部品28は、図3の(b)部及び(c)部に示されるように、単一の基準平面に沿って延在できる。この配置において、全てのシングルモード光ファイバSMFは単一の基準平面に沿って延在する。単一の基準平面に沿ったファイバ配列におけるシングルモード光ファイバSMF間には、可撓性樹脂体が満たされ、また個々のシングルモード光ファイバSMFの側面も可撓性樹脂体で覆われている。
【0043】
図3の(d)部は、このように作製された光接続部品を示す。光配線部品13のファイババンドル部品28が屈曲されるとき、ファイババンドル部品28内のシングルモード光ファイバSMFは同じように屈曲される。可撓性樹脂体によってシングルモード光ファイバSMFに加えられる力は、シングルモード光ファイバSMFに同様な屈曲の態様を提供できる。
【0044】
光コネクタの一例は以下のものである。
テープ状の紫外線硬化樹脂の端部がコネクタ部品の溝に配置されると共に、露出したファイバ芯線がコネク部品のV溝アレイの個々の溝に配置される。2つのコネクタ部品が紫外線硬化樹脂テープ及びファイバ芯線を挟む。組み立てられたコネクタ部品の端面を研磨して、ファイバ芯線の端部を揃える。第2光コネクタ31用のコネクタ部品は、石英といったガラス製であることが好ましく、接続用のガイドピン用の溝を備えない。第1光コネクタ29用のコネクタ部品は、石英フィラーを含有するポリフェニレンサルファイドといった樹脂製であることが好ましく、接続用のガイドピン用の溝を備える。第1光コネクタ29及び第2光コネクタ31は、例えばMTコネクタの形態を有することができる。
【0045】
図4は、図3の(d)部に示されたIV−IV線に沿ってとられた断面におけるファイババンドル部品28の例示的な構造を示す。シングルモード光ファイバSMFは以下の構造を備えることができる。シングルモード光ファイバSMFのための光ファイバ芯線は石英ガラス製であり、光ファイバ芯線はコア領域CR及びクラッド領域CDを備える。コア領域CRが導波軸Axの方向に延在している。導波軸Axは、図4においては、紙面に垂直な向きに延在する。クラッド領域CDはコア領域CRの周囲を覆う。光ファイバ芯線の径は例えば80マイクロメートルである。光ファイバ芯線の側面は、一次被覆層RSNIによって覆われており、一次被覆層RSNIは例えば低ヤング率の紫外線硬化型の樹脂を備える。一次被覆層RSNIの径は例えば200マイクロメートルである。一次被覆層RSNIの側面は、二次被覆層RSNMによって覆われており、二次被覆層RSNMは例えば高ヤング率の紫外線硬化型の樹脂を備える。二次被覆層RSNMの径は例えば240マイクロメートルである。二次被覆層RSNMの側面は、着色樹脂層RSNOによって覆われており、着色樹脂層RSNOは例えば紫外線硬化型の樹脂を備える。着色樹脂層RSNOの径、つまりシングルモード光ファイバSMFの径は、例えば250マイクロメートルである。シングルモード光ファイバSMFは、テープ用の樹脂体(可撓性樹脂体)により繋がれて、例えば厚さ0.3mm程度のテープ状ファイバの形態を成す。ファイババンドル部品28においては、可撓性樹脂体の厚さTは0.3mm程度である。
【0046】
テープファイバの一例は以下のものである。
シングルモードファイバは、コア及びクラッドを含むファイバ芯線、1次被覆、2次被覆、着色樹脂を備える。被覆樹脂の剛性の大きさは以下の式に従う。1次被覆層<2次被覆層<テープUV硬化樹脂。テープファイバは、複数の(例えば2本、好ましくは3本以上)ファイバ芯線をテープUV硬化樹脂で包まれた構造を有する。複数のファイバ芯線は、個々の延在方向に交差する一方向に配列される。個々のファイバ芯線の配置位置がテープUV硬化樹脂により固定されており、個々のファイバ芯線は全体としては平坦なテープ形状を有するようにUV硬化樹脂により保持されている。
【0047】
図5は、光配線部品13の屈曲を説明する図面である。図5の(a)部に示されるように、光配線部品13のファイババンドル部品28は、座標系SのX軸の回りの屈曲BXについては容易ではない。しかしながら、図5の(b)部に示されるように、光配線部品13のファイババンドル部品28は、座標系SのY軸の回りの屈曲BYについては容易である。図5の(c)部に示されるように、光配線部品13のファイババンドル部品28は、座標系SのZ軸の回りの屈曲BZについては容易ではない。
【0048】
以上説明したように、屈曲BYが可能であり、屈曲BX及び屈曲BZは抑制される。したがって、ファイババンドル部品28を屈曲できる軸は単一であって、具体的にはY軸回りの屈曲のみが許容される。そのため、ファイバに発生する複屈折の方向が限定されて、外部光導波路部品の偏波面保持ファイバの複屈折率の方向に合わせることが可能になる。
【0049】
図6は、外部光導波路部品内の偏波面保持ファイバ(PMF)の配列と、この外部光導波路部品と光集積合回路とを接続するように屈曲されたファイババンドル部品内のシングルモード光ファイバ(SMF)とを模式的に示す図面である。図6に示されるように、ファイババンドル部品28を構成するように複数のシングルモード光ファイバ(SMF)は樹脂体(可撓性保持体27)を介して束ねられた後に、偏波面保持ファイバ(PMF)の配列を含む外部光導波路部品33と光集積回路19とを互いに接続するように屈曲される。既に説明したように、図5における屈曲BYが可能であり、屈曲BX及び屈曲BZは抑制される。これ故に、ファイババンドル部品28を屈曲できる軸は単一であって、具体的にはY軸回りの屈曲のみが許容される。したがって、ファイババンドル部品28内のシングルモード光ファイバ(SMF)には同様の応力が印加される。この屈曲されたファイババンドル部品28を介して、外部光導波路部品33内の偏波面保持ファイバ33bを光学的に光集積回路19に結合できる。偏波面保持ファイバ33bおける偏波面の方向A(PMF)は、シングルモード光ファイバ(SMF)における伝送において偏波面の方向A(SMF)として保たれる。シングルモード光ファイバ(SMF)を伝搬した偏波光の偏波面は、グレーティングカプラ(光カプラ19a)の偏波面の方向A(GC)に向いている。
【0050】
図7は、外部光導波路部品内の偏波面保持ファイバ(PMF)の配列と、この外部光導波路部品と光集積回路とを接続するように屈曲された複数の単独シングルモード光ファイバ(SMFI1、SMFI2)とを模式的に示す図面である。複数の単独シングルモード光ファイバ(SMFI1、SMFI2)はファイババンドル部品を構成するように束ねられていないので、単独シングルモード光ファイバ(SMFI1、SMFI2)は、それぞれ、座標軸X、Y、Zの回りに独立して曲げられる。これ故に、単独シングルモード光ファイバ(SMFI1)の屈曲RBENT(1)は、単独シングルモード光ファイバ(SMFI2)の屈曲RBENT(2)と異なる。単独シングルモード光ファイバ(SMFI1、SMFI2)は、その入射端において外部光導波路部品33内の偏波面保持ファイバ(PMF)から偏波面の方向A(PMF)の光を偏波面の方向A(SMF)の光として受ける。単独シングルモード光ファイバ(SMFI1、SMFI2)における光の偏波面は、個々の単独シングルモード光ファイバ(SMFI1、SMFI2)を伝搬する際に単独シングルモード光ファイバ(SMFI1、SMFI2)各々の屈曲(偏波保持特性)に応じて独立に変化する。単独シングルモード光ファイバ(SMFI1、SMFI2)は、出射端では偏波面の方向A(SMFI1)、A(SMFI2)を有するので、出射端おける偏波面の方向A(SMFI1)、A(SMFI2)はグレーティングカプラ(光カプラ19a)の偏波面の方向A(GC)に向いていないことがある。逆方向の光伝搬においては、上記の説明において、偏波面保持ファイバ(PMF)の偏波面の方向A(PMF)が、グレーティングカプラ(光カプラ19a)の偏波面の方向A(GC)として読み替えられる。
【0051】
図8は、光処理装置のバリエーションを概略的に示す図面である。理解を容易にするために、ベース23、光集積回路19、及び外部光導波路部品33を図8に示す。
【0052】
図8の(a)部における光配線部品13の屈曲量の決定のしかたは以下の通りである。この決定のために、例えば、支持台15の高さを決める。これにより、ベース23上における第1光コネクタ29の高さが決まる。支持台15上における第1光コネクタ29の位置を決めると共に、光集積回路19上における第2光コネクタ31の位置を決める。また、ファイババンドル部品28の長さ(第1光コネクタ29と第2光コネクタ31とを接続する光ファイバの長さ)を決める。本実施例では、ファイババンドル部品28は、例えば曲率半径3.5ミリメートルに該当する屈曲量を有する。
【0053】
図8の(a)部では、ファイババンドル部品28は、曲率半径3.5mmで円弧状に屈曲する部分と第1光コネクタ29との間に、ほぼ直線的に延在する部分を有する。屈曲する部分は曲げの応力による偏波面保持特性を有するが、直線的に延在する部分は偏波面保持特性を有さない。直線的に延在する部分に外乱が加わると偏波面が乱れるため、直線的に延在する部分はできるだけ短くするのが望ましい。図8の(a)部の例では、第1光コネクタ29の右端からファイババンドル部品28の屈曲部に至る手前の直線的な延在部分を20mm〜50mm程度の短距離にすることにより、偏波面の乱れを引き起こすような外乱がこの直線的な延在部分に加わるのを避けている。
【0054】
図8の(b)部は、ファイババンドル部品28の屈曲部を支持部品17によって支える例である。光配線部品13の屈曲量に関連付けて、支持部品17の第1支持面17a及び第2支持面17bの角度を決定する。支持台15上の決められた位置に第1光コネクタ29を配置すると共に、支持台15を基準にして規定される角度及び位置に第2光コネクタ31を配置する(例えば、第2光コネクタ31を光集積回路19に第2光コネクタ31を接続する。)。これらの配置により、設計されたように、光配線部品13のファイババンドル部品28が屈曲する。この屈曲を維持するために、図8の(b)部に示されるように、支持部品17を第2光コネクタ31に取り付ける。支持部品17の第1支持面17a及び第2支持面17bにファイババンドル部品28に接触させる。必要な場合には、ファイババンドル部品28の形状をしっかりと保つために、接着部材35を用いることができる。
【0055】
ファイババンドル部品28がシングルモードファイバを備えるので、図8の(b)部に示されるように、偏波面保持ファイバに比べて小さく曲率半径で光配線部品13を屈曲させることができる。本実施例では、この曲率半径は例えば3.5ミリメートルである。また、第2光コネクタ31のサイズを含めて、第2光コネクタ31の接続端から支持部品17の第1支持面17aまでの高さHは、例えば5ミリメートルであることができる。
【0056】
また、本実施の形態に係る光処理装置及び光学装置は、図8の(b)部に示される形態に限定されることなく、図8の(c)部に示される形態を有することができる。光配線部品13の光ファイバは、単一の座標軸の回りに係る屈曲であれば一方向の屈曲だけでなく、これと逆方向の屈曲を有することができる。この形態においても、光配線部品13の屈曲は、偏波面の方向を維持することを可能にする。ファイババンドル部品28が直線的に延在する部分の長さを、図8の(a)部や図8の(b)部に比べると短くできるため、偏波面保持特性上の利点がある。
【0057】
偏波面保持光ファイバは、ファイバ中において内部応力を作り込む構造を有するので、比較的小さい曲率半径で曲げることを避ける。例えば、偏波面保持光ファイバを小さい曲率半径で曲げると、ファイバの破断寿命が短くなる。偏波面保持光ファイバの曲げにおける曲率半径は、15ミリメートル以下にできない。これは、Siフォトニクス技術を用いて作製した光集積素子内のグレーティングカプラに直接に偏波面保持光ファイバを接続する際に、偏波面保持光ファイバの曲げが光送受信装置の高さの下限を決める可能性がある。
【0058】
一方、偏波面保持光ファイバの曲げにおける曲率半径に比べて、偏波面保持特性を有さないシングルモード光ファイバの曲げにおける曲率半径の下限は小さい。しかしながら、長さ1〜5cm程度の1本のシングルモード光ファイバをある軸(例えばY軸)の回りに屈曲させて偏波面保持光ファイバを光集積素子のグレーティングカプラに光学的に結合させる際に、発明者の知見によれば、この短いシングルモード光ファイバは、上記のある軸(例えばY軸)の回りだけでなく、残りに2軸(X軸及びZ軸)の回りに関して容易に屈曲して、ねじれる。望まれない軸回りに係るねじれは、偏波制御の外乱となる。
【0059】
本実施の形態に係る光接続部品、光処理装置及び光学装置では、屈曲される複数のシングルモードファイバは、可撓性の樹脂体により一方向の配列に(例えば、単一の平面に沿って)一体にバンドルされて、幅広のテープ状の形状を有する。この構造によれば、望まれない方向への曲りねじりに起因する外乱が偏波制御の妨げにならない。屈曲される複数のシングルモードファイバの両端には、例えばMTコネクタを設けることができる。この光コネクタの適用により、束ねた光ファイバを一括して偏波面保持光ファイバ及び光集積素子に接続できる。
【0060】
以上説明したように、本実施の形態によれば、ファイバに曲げ半径の小さい屈曲が求められる部分にシングルモードファイバを使用して、小さな曲げ半径(低い装置高さ)が実現できる。また、この曲げによって生じるシングルモードファイバの複屈折の主軸の方向を偏波面保持光ファイバの主軸に合わせて、シングルモードファイバの伝搬において偏波面の保持を可能にする。
【0061】
好適な実施の形態において本発明の原理を図示し説明してきたが、本発明は、そのような原理から逸脱することなく配置および詳細において変更され得ることは、当業者によって認識される。本発明は、本実施の形態に開示された特定の構成に限定されるものではない。したがって、特許請求の範囲およびその精神の範囲から来る全ての修正および変更に権利を請求する。
【産業上の利用可能性】
【0062】
以上説明したように、本実施の形態によれば、複数の偏波光を処理する光集積回路に光学的に結合される光学装置を提供でき、また光集積回路及び光学装置を含む光処理装置を提供できる。
【符号の説明】
【0063】
11…光学装置、13…光配線部品、15…支持台、17…支持部品、19…光集積回路、19a…光カプラ、19b…光導波路、21…光処理装置、23…ベース。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8