(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【実施例】
【0044】
一連の例を用いて以下のように、本発明のより詳細な記載を示すが、本発明はそれに限定されるわけではない。
使用した原材料:
1.セグメントAに対応するモノマー:
(a)ポリ(エチレングリコール)メチルエーテルメタクリレート
【0045】
【化6】
【0046】
PEGMA−1(m=20、M
n=980)
【0047】
【化7】
【0048】
PEGMA−2(m=8、M
n=450)、
(b)ポリ(エチレングリコール)エチリックエーテルアリルベンゼン
【0049】
【化8】
【0050】
(m=30、M
n=1520)、
(c)ポリ(エチレングリコール)メタクリレート
【0051】
【化9】
【0052】
(m=50、M
n=2300)、
(d)ポリ(エチレングリコール)フェノキシアクリレート
【0053】
【化10】
【0054】
(m=2、M
n=240)、
(e)ポリ(エチレングリコール)メチルエーテル
【0055】
【化11】
【0056】
(M
n=4000)。
【0057】
モノマーは全て、Sigma−Aldrich Co.Ltd.から購入した。
【0058】
2.セグメントBに対応するモノマー:
(a)スチレン(St)
【0059】
【化12】
【0060】
(b)アクリロニトリル(AN)
【0061】
【化13】
【0062】
(c)メチルアクリレート
【0063】
【化14】
【0064】
(d)4−メチルフェニル−3−オクチレン
【0065】
【化15】
【0066】
モノマーは全て、Sigma−Aldrich Co.Ltd.から購入した。
【0067】
3.開始剤
ジクロロベンゼン、2,2−ジクロロアセトフェノン、2−ブロモプロピオン酸エチル:Sigma−Aldrich Co.Ltd.から購入。
【0068】
ジクロロメタン:Sinopharm Chemical Reagent Co.Ltd.から購入、使用前にNaと還流して脱水することにより精製。
【0069】
4.遷移金属ハロゲン化物
CuBr、CuCl:Sinopharm Chemical Reagent Co.Ltd.から購入、使用前に酢酸およびメタノールで精製。
【0070】
ジクロロトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム、臭化鉄(II):Sigma−Aldrich Co.Ltd.から購入、それ以上精製せずに使用。
【0071】
5.リガンド
4,4’−ビピリジン(bpy)、ペンタメチルジエチレントリアミン(PMDETA)、トリメチルシリル−ジエチルアミン(Me
6TREN):Sigma−Aldrich Co.Ltd.から購入、それ以上精製せずに使用。
【0072】
6.リチウム塩
ビス(トリフルオロメタンスルホンイミド)リチウム(LiTFSI)、過塩素酸リチウム(LiClO
4)、トリ−フルオロメタンスルホン酸リチウム(LiCF
3SO
3)、ヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF
6)、テトラ−フルオロホウ酸リチウム(LiBF
4):Sigma−Aldrich Co.Ltd.から購入、それ以上精製せずに使用。
【0073】
7.他の試薬
トルエン:Sinopharm Chemical Reagent Co.Ltd.から購入、使用前にNaと還流して脱水することにより精製。
【0074】
テトラヒドロフラン(THF)、無水ジエチルエーテル、n−ヘキサン、酸化アルミニウム、N−メチルピロリドン(NMP)、重水素化クロロホルム、アルミニウムイソプロポキシド、エチレンオキシド、120#ガソリン:Sinopharm Chemical Reagent Co.Ltd.から購入、それ以上精製せずに使用。
【0075】
使用した様々な特性についての測定条件:
A.ポリマーの数平均分子量:ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)(LC−20、日本国)、溶媒および移動相としてテトラヒドロフラン。
【0076】
B.ポリマー中におけるセグメントAの含有量(重量%):
1H NMR(JEOL ECX−400P、日本国)、溶媒として重水素化クロロホルム。
【0077】
C.相形態:透過型電子顕微鏡(TEM)(JEM2010、日本国)、−80℃にて氷包埋し、薄く切ることにより試料採取。
【0078】
D.結晶性:示差走査熱量計(DSC)(Q100、米国)、N
2保護、−80℃〜200℃、20℃/分。
【0079】
E.機械的特性:動的機械分析計(DMA)(TA DMA Q800、米国)、伸張モード、1Hz、室温〜400℃、3℃/分。
【0080】
F.リチウムイオン伝導性:電気化学ワークステーション(VSP Japan)、ポリマー電解質膜を、グローブボックス中の試験ユニット(HS試験セル、宝泉株式会社、日本国)に投入し、次いで周囲温度(23℃)にて1時間超保った後試験する。
【0081】
[実施例1](A−B−A−Bタイプのテトラブロックコポリマーおよび対応するポリマー電解質の調製、この場合、ポリ(ポリ(エチレングリコール)メチルエーテルメタクリレート)(P(PEGMA)として示される))をセグメントAとして使用し、ポリスチレン(PSとして示される)をセグメントBとして使用した)
(1)セグメントAの合成
15mlのトルエンに、15.5gのポリ(エチレングリコール)メチルエーテルメタクリレート(PEGMA−1、M
n=980、m=20、15.8mmol)を加え、N
2雰囲気下で溶解させた。次いで、45.3mg(0.316mmol)のCuBrおよび98.65mg(0.732mmol)のbpyをその溶液中に添加した。10分間撹拌後、57.2mg(0.316mmol)の2−ブロモプロピオン酸エチルを加え、90℃に加熱した。30時間重合させた後、溶液を氷/水浴中で直ちに冷却して反応を止めた。次いで、溶液をTHFで希釈し、Al
2O
3カラムに通して触媒/リガンドを除去することにより精製した。溶媒を除去した後、反応生成物を無水ジエチルエーテルで洗浄して未反応のモノマーを除去し、精製P(PEGMA)−1を得た。このP(PEGMA)−1は、42000のM
nおよび1.12のM
w/M
nを有し、そのGPC曲線は単一の対称ピークを示した。
【0082】
(2)A−Bタイプのジブロックコポリマーの合成
N
2の保護下、8.0g(0.094mmol)のP(PEGMA)−1、9.31mg(0.094mmol)のCuCl、16.33mg(0.094mmol)のPMDETAおよび10g(0.096mmol)のStを混和して反応系を形成させた。次いで、この反応系を密閉状態にし、反応温度を撹拌下で110℃に上昇させた。重合を3時間行った。次いで、反応系を氷/水浴中で直ちに冷却することにより、重合を止めた。溶液をTHFで希釈し、Al
2O
3カラムに通して触媒/リガンドを除去することにより精製した。溶媒を除去した後、反応生成物をn−ヘキサンで洗浄して未反応のStを除去し、P(PEGMA)−b−PS ジブロックコポリマー(A−Bタイプ)の精製白色粉末を得た。このジブロックコポリマーは、80000のM
nおよび1.32のM
w/M
nを有し、そのGPC曲線は単一の対称ピークを示し、セグメントAの含有量(f
A)は52.5重量%であった。
【0083】
(3)A−B−Aタイプのトリブロックコポリマーの合成
アルゴン雰囲気下、10.92mg(0.075mmol)のCuBrおよび23.77mg(0.15mmol)のbpyを、10mlのトルエンに加えて、反応系を形成させた。10分間の撹拌後、触媒/リガンド錯体が形成された。3.13g(3.0mmol)のPEGMA−1(M
n=980、m=20)を添加し、アルゴン雰囲気下で15分間撹拌しながら溶解させた。次いで、1.2g(0.015mmol)の高分子開始剤P(PEGMA)−b−PSを反応系に添加した。次いで、反応系を密閉状態にした。ジブロックコポリマーを完全に溶解させた後、反応温度を90℃に高めた。重合を40時間行った。次いで、反応系を氷/水浴中で直ちに冷却することにより、重合を止めた。溶液をTHFで希釈し、Al
2O
3カラムに通して触媒/リガンドを除去することにより精製した。溶媒を除去した後、反応生成物を無水ジエチルエーテルで洗浄して、未反応モノマーを除去し、P(PEGMA)−b−PS−b−P(PEGMA)トリブロックコポリマー(A−B−Aタイプ)の精製白色粉末を得た。このトリブロックコポリマーは、125000のM
nおよび1.48のM
w/M
nを有し、そのGPC曲線は単一の対称ピークを示し、セグメントAの含有量(f
A)は69.6重量%であった。
【0084】
(4)A−B−A−Bタイプのテトラブロックコポリマーの合成
アルゴン雰囲気下、11.75g(0.094mmol)の高分子開始剤P(PEGMA)−b−PS−b−P(PEGMA)、9.31mg(0.094mmol)のCuCl、16.33mg(0.094mmol)のPMDETAおよび10g(0.096mol)のStを、10mlのトルエンに加えて反応系を形成させた。次いで、この反応系を密閉状態にし、反応温度を3℃/分の速度で50℃に上昇させた。30分間かき混ぜて高分子開始剤を完全に溶解させた後、反応温度を3℃/分の速度にてさらに110℃に上昇させ、重合を3時間行った。次いで、反応系を氷/水浴中で直ちに冷却することにより、重合を止めた。溶液をTHFで希釈し、Al
2O
3カラムに通して触媒/リガンドを除去することにより精製した。溶媒を除去した後、反応生成物をn−ヘキサンで洗浄して未反応モノマーを除去し、P(PEGMA)−b−PS−b−P(PEGMA)−b−PS テトラブロックコポリマー(A−B−A−Bタイプ)の精製白色粉末を得た。このテトラブロックコポリマーは、160000のM
nおよび1.39のM
w/M
nを有し、そのGPC曲線は単一の対称ピークを示し、セグメントAの含有量(f
A)は54.4重量%であった。
【0085】
(5)ポリマー固体電解質膜の調製および特性の評価
1gの乾燥テトラブロックコポリマーを15mlのトルエンに溶かし、0.35gのLiTFSI(Li塩の添加量は、ポリオキシエチレン反復単位に対して10mol%である)を溶液に添加した。次いで、この溶液を三角フラスコ中で密閉状態にし、24時間撹拌した。この溶液をシリカウェハにて鋳造し、溶媒を60℃下で除去した。かくして得られたポリマー固体電解質膜の厚さは40μmであった。
【0086】
この膜の相形態をTEMにより観察したところ、共連続相分離形態を示していた。
【0087】
DSCの結果によると、このポリマー固体電解質について融解ピークは観察されず、この事実は、ポリマー固体電解質が結晶性を有しないことを意味した。
【0088】
DMAの結果によると、ポリマー固体電解質膜の初期モジュラスは4.2MPaであった。
【0089】
この膜を、1週間を超える期間グローブボックス中に入れ、水または溶媒を完全に除去し、次いでUFOセルにて構築した。そのリチウムイオン伝導性は、電気化学ワークステーションを用いて23℃で測定することにより8.9×10
−4S/cmであることが見出された。
【0090】
[実施例2](A−B−A−B−Aタイプのペンタブロックコポリマーおよび対応するポリマー電解質の調製、この場合、P(PEGMA)をセグメントAとして使用し、PSをセグメントBとして使用した)
実施例1で調製したP(PEGMA)−b−PS−b−P(PEGMA)−b−PSのテトラブロックコポリマー(A−B−A−Bタイプ)を高分子開始剤として使用することにより、ペンタブロックコポリマーを調製した。
【0091】
(1)A−B−A−B−Aタイプのペンタブロックコポリマーの合成
アルゴン雰囲気下、10.92mg(0.075mmol)のCuBrおよび23.77mg(0.15mmol)のbpyを、5.2mlのトルエンに加えて、反応系を形成させた。10分間の撹拌後、触媒/リガンド錯体が形成された。3.13g(3.0mmol)のPEGMA−1(M
n=980、m=20)を添加し、15分間撹拌しながら溶解させた。次いで、反応系を密閉状態にし、高分子開始剤を完全に溶解させた後、反応温度を90℃に上昇させた。重合を100時間行った。次いで、反応系を氷/水浴中で直ちに冷却することにより、重合を止めた。この溶液をTHFで希釈し、Al
2O
3カラムに通して触媒/リガンドを除去することにより精製した。溶媒を除去した後、反応生成物を無水ジエチルエーテルで洗浄して、未反応モノマーを除去し、P(PEGMA)−b−PS−b−P(PEGMA)−b−PS−b−P(PEGMA) ペンタブロックコポリマー(A−B−A−B−Aタイプ)の精製白色粉末を得た。このペンタブロックコポリマーは、320000のM
nおよび1.41のM
w/M
nを有し、そのGPC曲線は単一の対称ピークを示し、セグメントAの含有量(f
A)は77.2重量%であった。
【0092】
実施例1−(4)および実施例2−(1)を繰り返すことにより、6、7、8またはそれより多いブロック数を有するマルチブロックコポリマーを得ることができる。
【0093】
(2)ポリマー固体電解質膜の調製および特性の評価
1gの乾燥ペンタブロックコポリマーを10mlのNMPに溶かし、0.33gのLiBF
4(Li塩の添加量は、ポリオキシエチレン反復単位に対して20mol%である)を溶液に添加した。次いで、溶液を三角フラスコ中で密閉状態にし、24時間撹拌した。この溶液をシリカウェハにて鋳造し、溶媒を60℃下で除去した。得られたポリマー固体電解質膜の厚さは40μmであった。
【0094】
この膜の相形態をTEMにより観察したところ、共連続相分離形態を示していた。
【0095】
DSCの結果によると、このポリマー固体電解質について融解ピークは観察されず、この事実は、ポリマー固体電解質が結晶性を有しないことを意味した。
【0096】
DMAの結果によると、ポリマー固体電解質膜の初期モジュラスは3.7MPaであった。
【0097】
この膜を、1週間を超える期間グローブボックス中に入れて、水または溶媒を完全に除去し、次いでUFOセルにて構築した。そのリチウムイオン伝導性は、電気化学ワークステーションを用いて23℃で測定することにより3.5×10
−3S/cmであることが見出された。
【0098】
[実施例3](A−B−A−B−Aタイプのペンタブロックコポリマーおよび対応するポリマー電解質の調製、この場合、P(PEGMA)をセグメントAとして使用し、PSをセグメントBとして使用した)
(1)セグメントAの合成
25mlのトルエンに、18.0gのPEGMA−2(M
n=450、m=8、40.0mmol)を加え、N
2雰囲気下で溶解させた。次いで、57.34mg(0.40mmol)のCuBrおよび107.82mg(0.80mmol)のbpyをその溶液中に添加した。10分間撹拌後、75.57mg(0.40mmol)の2,2−ジクロロアセトフェノンを加え、90℃に加熱した。25時間重合させた後、この溶液を氷/水浴中で直ちに冷却して反応を止めた。次いで、この溶液をTHFで希釈し、Al
2O
3カラムに通して触媒/リガンドを除去することにより精製した。溶媒を除去した後、反応生成物を無水ジエチルエーテルで洗浄して未反応のモノマーを除去し、精製P(PEGMA)−2を得た。このP(PEGMA)−2は、6000のM
nおよび1.14のM
w/M
nを有し、そのGPC曲線は単一の対称ピークを示した。
【0099】
(2)B−A−Bタイプのトリブロックコポリマーの合成
N
2の保護下、0.43g(0.071mmol)のP(PEGMA)−2、20.28mg(0.141mmol)のCuBr、24.50mg(0.141mmol)のPMDETAおよび20.56g(0.197mmol)のStを混和して反応系を形成させた。次いで、この反応系を密閉状態にし、10分間の撹拌後、反応温度を110℃に上昇させた。重合を5時間行った。次いで、この反応系を氷/水浴中で直ちに冷却することにより、重合を止めた。この溶液をTHFで希釈し、Al
2O
3カラムに通して触媒/リガンドを除去することにより精製した。溶媒を除去した後、反応生成物をn−ヘキサンで洗浄して未反応のStを除去し、PS−b−P(PEGMA)−b−PS トリブロックコポリマー(B−A−Bタイプ)の精製白色粉末を得た。このトリブロックコポリマーは、51000のM
nおよび1.32のM
w/M
nを有し、そのGPC曲線は単一の対称ピークを示し、セグメントAの含有量(f
A)は11.8重量%であった。
【0100】
(3)A−B−A−B−Aタイプのペンタブロックコポリマーの合成
アルゴン雰囲気下、13.10mg(0.09mmol)のCuBrおよび28.52mg(0.18mmol)のbpyを、3mlのトルエンに加えて、反応系を形成させた。10分間の撹拌後、触媒/リガンド錯体が形成された。1.62g(3.6mmol)のPEGMA−2(M
n=450、m=20)を添加し、15分間の撹拌により溶解させた。次いで、0.92g(0.018mmol)の高分子開始剤PS−b−P(PEGMA)−b−PSを反応系に添加した。次いで、この反応系を密閉状態にし、トリブロックコポリマーを完全に溶解させた後、反応温度を1.5℃/分の速度で90℃に上昇させた。重合を100時間行った。次いで、反応系を氷/水浴中で直ちに冷却することにより、重合を止めた。この溶液をTHFで希釈し、Al
2O
3カラムに通して触媒/リガンドを除去することにより精製した。溶媒を除去した後、反応生成物を無水ジエチルエーテルで洗浄して、未反応モノマーを除去し、P(PEGMA)−b−PS−b−P(PEGMA)−b−PS−b−P(PEGMA) ペンタブロックコポリマー(A−B−A−B−Aタイプ)の精製白色粉末を得た。このペンタブロックコポリマーは、59000のM
nおよび1.37のM
w/M
nを有し、そのGPC曲線は単一の対称ピークを示し、セグメントAの含有量(f
A)は23.7重量%であった。
【0101】
(4)ポリマー固体電解質膜の調製および特性の評価
1gの乾燥ペンタブロックコポリマーを15mlのNMPに溶かし、0.03gのLiTFSI(Li塩の添加量は、ポリオキシエチレン反復単位に対して2mol%である)を溶液に添加した。次いで、この溶液を三角フラスコ中で密閉状態にし、24時間撹拌した。この溶液をシリカウェハにて鋳造し、溶媒を60℃下で除去した。得られたポリマー固体電解質膜の厚さは40μmであった。
【0102】
この膜の相形態をTEMにより観察したところ、共連続相分離形態を示していた。
【0103】
DSCの結果によると、このポリマー固体電解質について融解ピークは観察されず、この事実は、このポリマー固体電解質が結晶性を有しないことを意味した。
【0104】
DMAの結果によると、ポリマー固体電解質膜の初期モジュラスは3.9MPaであった。
【0105】
この膜を、1週間を超える期間グローブボックス中に入れて、水または溶媒を完全に除去し、次いでUFOセルにて構築した。そのリチウムイオン伝導性は、電気化学ワークステーションを用いて23℃で測定することにより4.5×10
−4S/cmであることが見出された。
【0106】
[実施例4](B−A−B−A−B−A−Bタイプのヘプタブロックコポリマーおよび対応するポリマー電解質の調製、この場合、P(PEGMA)をAセグメントとして使用し、PSをBセグメントとして使用した)
実施例3で調製したP(PEGMA)−b−PS−b−P(PEGMA)−b−PS−b−P(PEGMA)のペンタブロックコポリマー(A−B−A−B−Aタイプ)を高分子開始剤として使用することにより、ヘプタブロックコポリマーを調製した。
【0107】
(1)B−A−B−A−B−A−Bタイプのヘプタブロックコポリマーの合成
N
2の保護下、4.40g(0.071mmol)の高分子開始剤(A−B−A−B−Aタイプ)、20.28mg(0.141mmol)のCuBr、24.50mg(0.141mmol)のPMDETAおよび14.69g(0.141mmol)のStを混和して反応系を形成させた。次いで、かくして形成された反応系を密閉状態にし、撹拌下、3℃/分の速度で反応温度を50℃に上昇させた。20分間撹拌して高分子開始剤を完全に溶解させた後、反応温度をさらに3℃/分の速度で110℃に上昇させた。重合を12時間行った。次いで、この反応系を氷/水浴中で直ちに冷却することにより、重合を止めた。この溶液をTHFで希釈し、Al
2O
3カラムに通して触媒/リガンドを除去することにより精製した。溶媒を除去した後、この反応生成物をn−ヘキサンで洗浄して未反応のStを除去し、ヘプタブロックコポリマー(B−A−B−A−B−A−Bタイプ)としてPS−b−P(PEGMA)−b−PS−b−P(PEGMA)−b−PS−b−P(PEGMA)−b−PSの精製白色粉末を得た。このヘプタブロックコポリマーは、128000のM
nおよび1.26のM
w/M
nを有し、そのGPC曲線は単一の対称ピークを示し、セグメントAの含有量(f
A)は10.9重量%であった。
【0108】
実施例3−(3)および実施例4−(1)を繰り返すことにより、9、11、13またはそれより多いブロック数を有するマルチブロックコポリマーを得ることができる。
【0109】
(2)ポリマー固体電解質膜の調製および特性の評価
10gの乾燥ヘプタブロックコポリマーを100mlのNMPに溶かし、0.26mgのLiClO
4(Li塩の添加量は、ポリオキシエチレン反復単位に対して0.01mol%である)を溶液に添加した。次いで、この溶液を三角フラスコ中で密閉状態にし、24時間撹拌した。この溶液をシリカウェハにて鋳造し、溶媒を60℃下で除去した。得られたポリマー固体電解質膜の厚さは50μmであった。
【0110】
この膜の相形態をTEMにより観察したところ、共連続相分離形態を示していた。
【0111】
DSCの結果によると、このポリマー固体電解質について融解ピークは観察されず、この事実は、このポリマー固体電解質が結晶性を有しないことを意味した。
【0112】
DMAの結果によると、このポリマー固体電解質膜の初期モジュラスは4.7MPaであった。
【0113】
この膜を、1週間を超える期間グローブボックス中に入れて、水または溶媒を完全に除去し、次いでUFOセルにて構築した。そのリチウムイオン伝導性は、電気化学ワークステーションを用いて23℃で測定することにより9.6×10
−4S/cmであることが見出された。
【0114】
[実施例5](A−B−A−B−Aタイプのペンタブロックコポリマーおよび対応するポリマー電解質の調製、この場合、ポリ(ポリ(エチレングリコール)エチリックエーテルアリルベンゼン)をセグメントAとして使用し、ポリ(アクリロニトリル)(PANとして示される)をセグメントBとして使用した)
(1)Aセグメントの合成
50mlのトルエンに、60.8gのポリ(エチレングリコール)エチリックエーテルアリルベンゼン(M
n=1520、m=30、40.0mmol)を加え、N
2雰囲気下で溶解させた。次いで、57.34mg(0.40mmol)のCuBrおよび107.82mg(0.80mmol)のbpyをその溶液中に添加した。10分間撹拌後、33.97mg(0.40mmol)のジクロロメタンを加え、90℃に加熱した。45時間重合させた後、この溶液を氷/水浴中で直ちに冷却して反応を止めた。次いで、この溶液をTHFで希釈し、Al
2O
3カラムに通して触媒/リガンドを除去することにより精製した。溶媒を除去した後、この反応生成物を無水ジエチルエーテルで洗浄して未反応のモノマーを除去し、精製ポリ(ポリ(エチレングリコール)エチリックエーテルアリルベンゼン)を得た。M
n=54000、M
w/M
n=1.21、GPC曲線は単一の対称ピークを示した。
【0115】
(2)B−A−Bタイプのトリブロックコポリマーの合成
N
2の保護下、3.83g(0.071mmol)のポリ(ポリ(エチレングリコール)エチリックエーテルアリルベンゼン)、20.28mg(0.141mmol)のCuBr、24.50mg(0.141mmol)のPMDETAおよび10.44g(0.197mmol)のANを混和して反応系を形成させた。次いで、この反応系を密閉状態にし、10分間の撹拌後、反応温度を110℃に上昇させた。重合を10時間行った。次いで、この反応系を氷/水浴中で直ちに冷却することにより、重合を止めた。この溶液をTHFで希釈し、Al
2O
3カラムに通して触媒/リガンドを除去することにより精製した。溶媒を除去した後、この反応生成物をn−ヘキサンで洗浄して未反応のモノマーを除去し、トリブロックコポリマー(B−A−Bタイプ)の精製白色粉末を得た。このトリブロックコポリマーは、73000のM
nおよび1.35のM
w/M
nを有し、そのGPC曲線は単一の対称ピークを示した。
【0116】
(3)A−B−A―B−Aタイプのペンタブロックコポリマーの合成
アルゴン雰囲気下、13.10mg(0.09mmol)のCuBrおよび28.52mg(0.18mmol)のbpyを、5mlのトルエンに加えて、反応系を形成させた。10分間の撹拌後、触媒/リガンド錯体が形成された。5.47g(3.6mmol)のポリ(エチレングリコール)エチリックエーテルアリルベンゼン(M
n=1520、m=30)を添加し、15分間撹拌しながら溶解させた。次いで、1.31g(0.018mmol)の実施例5−(2)で調製したトリブロックコポリマーの高分子開始剤をこの反応系に添加した。次いで、この反応系を密閉状態にし、トリブロックコポリマーを完全に溶解させた後、1.5℃/分の速度で反応温度を90℃に上昇させた。重合を100時間行った。次いで、この反応系を氷/水浴中で直ちに冷却することにより、重合を止めた。この溶液をTHFで希釈し、Al
2O
3カラムに通して触媒/リガンドを除去することにより精製した。溶媒を除去した後、この生成物を無水ジエチルエーテルで洗浄して、未反応モノマーを除去し、ポリ(ポリ(エチレングリコール)エチリックエーテルアリルベンゼン)−b−PAN−b−ポリ(ポリ(エチレングリコール)エチリックエーテルアリルベンゼン)−b−PAN−b−ポリ(ポリ(エチレングリコール)エチリックエーテルアリルベンゼン) ペンタブロックコポリマー(A−B−A−B−Aタイプ)の精製白色粉末を得た。このペンタブロックコポリマーは、96000のM
nおよび1.56のM
w/M
nを有し、そのGPC曲線は単一の対称ピークを示し、セグメントAの含有量(f
A)は80.2重量%であった。
【0117】
(4)ポリマー固体電解質膜の調製および特性の評価
1gの乾燥ペンタブロックコポリマーを12mlのNMPに溶かし、0.14mgのLiPF
6(Li塩の添加量は、ポリオキシエチレン反復単位に対して0.005mol%である)を溶液に添加した。次いで、この溶液を三角フラスコ中で密閉状態にし、24時間撹拌した。この溶液をシリカウェハにて鋳造し、溶媒を60℃下で除去した。得られたポリマー固体電解質膜の厚さは50μmであった。
【0118】
この膜の相形態をTEMにより観察したところ、共連続相分離形態を示していた。
【0119】
DSCの結果によると、このポリマー固体電解質について融解ピークは観察されず、この事実は、このポリマー固体電解質が結晶性を有しないことを意味した。
【0120】
DMAの結果によると、このポリマー固体電解質膜の初期モジュラスは2.8MPaであった。
【0121】
この膜を、1週間を超える期間グローブボックス中に入れて、水または溶媒を完全に除去し、次いでUFOセルにて構築した。そのリチウムイオン伝導性は、電気化学ワークステーションを用いて23℃で測定することにより6.2×10
−4S/cmであることが見出された。
【0122】
[実施例6](A−B−A−B−Aタイプのペンタブロックコポリマーおよび対応するポリマー電解質の調製、この場合、ポリ(ポリ(エチレングリコール)メタクリレート)をセグメントAとして使用し、ポリ(メチルアクリレート)をセグメントBとして使用した)
(1)セグメントAの合成
100mlのトルエンに、92.0gのポリ(エチレングリコール)メタクリレート(M
n=2300、m=50、40.0mmol)を加え、N
2雰囲気下で溶解させた。次いで、383.53mg(0.40mmol)のジクロロトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウムおよび184.32mg(0.80mmol)のMe
6TRENをその溶液中に添加した。10分間撹拌後、75.57mg(0.40mmol)の2,2−ジクロロアセトフェノンを加え、90℃に加熱した。45時間重合させた後、この溶液を氷/水浴中で直ちに冷却して重合を止めた。次いで、この溶液をTHFで希釈し、Al
2O
3カラムに通して触媒/リガンドを除去することにより精製した。溶媒を除去した後、反応生成物を無水ジエチルエーテルで洗浄して未反応のモノマーを除去し、精製ポリ(ポリ(エチレングリコール)メタクリレート)を得た。このポリ(ポリ(エチレングリコール)メタクリレート)は、75000のM
nおよび1.24のM
w/M
nを有し、そのGPC曲線は単一の対称ピークを示した。
【0123】
(2)B−A−Bタイプのトリブロックコポリマーの合成
N
2の保護下、5.33g(0.071mmol)のポリ(ポリ(エチレングリコール)メタクリレート)、30.41mg(0.141mmol)の臭化鉄(II)、24.50mg(0.141mmol)のPMDETA、13.41g(0.197mmol)のメチルアクリレートおよび15mlのトルエンを混和して反応系を形成させた。次いで、この反応系を密閉状態にし、10分間の撹拌後、反応温度を110℃に上昇させた。重合を10時間行った。次いで、この反応系を氷/水浴中で直ちに冷却することにより、重合を止めた。この溶液をTHFで希釈し、Al
2O
3カラムに通して触媒/リガンドを除去することにより精製した。溶媒を除去した後、反応生成物をn−ヘキサンで洗浄して未反応のモノマーを除去し、トリブロックコポリマー(B−A−Bタイプ)の精製白色粉末を得た。このトリブロックコポリマーは、170000のM
nおよび1.43のM
w/M
nを有し、そのGPC曲線は単一の対称ピークを示した。
【0124】
(3)A−B−A−B−Aタイプのペンタブロックコポリマーの合成
アルゴン雰囲気下、13.10mg(0.09mmol)のCuBrおよび28.52mg(0.18mmol)のbpyを、8mlのトルエンに加えて、反応系を形成させた。10分間の撹拌後、触媒/リガンド錯体が形成された。8.28g(3.6mmol)のポリ(エチレングリコール)メタクリレート(M
n=2300、m=50)を添加し、15分間撹拌しながら溶解させた。次いで、1.31g(0.018mmol)の実施例6−(2)で調製したトリブロックコポリマーの高分子開始剤を反応系に添加した。次いで、この反応系を密閉状態にし、トリブロックコポリマーを完全に溶解させた後、反応温度を1.5℃/分の速度で90℃に上昇させた。重合を100時間行った。次いで、この反応系を氷/水浴中で直ちに冷却することにより、重合を止めた。この溶液をTHFで希釈し、Al
2O
3カラムに通して触媒/リガンドを除去することにより精製した。溶媒を除去した後、この反応生成物を無水ジエチルエーテルで洗浄して、未反応モノマーを除去し、ポリ(ポリ(エチレングリコール)メタクリレート)−b−ポリ(メチルアクリレート)−b−ポリ(ポリ(エチレングリコール)メタクリレート)−b−ポリ(メチルアクリレート)−b−ポリ(ポリ(エチレングリコール)メタクリレート) ペンタブロックコポリマー(A−B−A−B−Aタイプ)の精製白色粉末を得た。このペンタブロックコポリマーは、430000のM
nおよび1.48のM
w/M
nを有し、そのGPC曲線は単一の対称ピークを示し、セグメントAの含有量(f
A)は77.9重量%であった。
【0125】
(4)ポリマー固体電解質膜の調製および特性の評価
1gの乾燥ペンタブロックコポリマーを15mlのNMPに溶かし、0.05gのLiTFSI(Li塩の添加量は、ポリオキシエチレン反復単位に対して1mol%である)を溶液に添加した。次いで、この溶液を三角フラスコ中で密閉状態にし、24時間にわたって撹拌した。この溶液をシリカウェハにて鋳造し、溶媒を60℃下で除去した。得られたポリマー固体電解質膜の厚さは50μmであった。
【0126】
この膜の相形態をTEMにより観察したところ、共連続相分離形態を示していた。
【0127】
DSCの結果によると、このポリマー固体電解質について融解ピークは観察されず、この事実は、このポリマー固体電解質が結晶性を有しないことを意味した。
【0128】
DMAの結果によると、このポリマー固体電解質膜の初期モジュラスは1.9MPaであった。
【0129】
この膜を、1週間を超える期間グローブボックス中に入れて、水または溶媒を完全に除去し、次いでUFOセルにて構築した。そのリチウムイオン伝導性は、電気化学ワークステーションを用いて23℃で測定することにより5.3×10
−4S/cmであることが見出された。
【0130】
[実施例7](A−B−A−B−Aタイプのペンタブロックコポリマーおよび対応するポリマー固体電解質の調製、この場合、ポリ(ポリ(エチレングリコール)フェノキシアクリレート)をセグメントAとして使用し、ポリ(4−メチルフェニル−3−オクチレン)をセグメントBとして使用した)
(1)セグメントAの合成
10mlのトルエンに、9.60gのポリ(エチレングリコール)フェノキシアクリレート(M
n=240、m=2、40.0mmol)を加え、N
2雰囲気下で溶解させた。次いで、57.34mg(0.40mmol)のCuBrおよび107.82mg(0.80mmol)のbpyをその溶液中に添加した。10分間撹拌後、58.8mg(0.40mmol)のジクロロベンゼンを加え、90℃に加熱した。45時間重合させた後、この溶液を氷/水浴中で直ちに冷却して重合を止めた。次いで、この溶液をTHFで希釈し、Al
2O
3カラムに通して触媒/リガンドを除去することにより精製した。溶媒を除去した後、反応生成物を無水ジエチルエーテルで洗浄して未反応のモノマーを除去し、精製ポリ(ポリ(エチレングリコール)フェノキシアクリレート)を得た。このポリ(ポリ(エチレングリコール)フェノキシアクリレート)は、11000のM
nおよび1.15のM
w/M
nを有し、そのGPC曲線は単一の対称ピークを示した。
【0131】
(2)B−A−Bタイプのトリブロックコポリマーの合成
N
2の保護下、0.78g(0.071mmol)のポリ(ポリ(エチレングリコール)フェノキシアクリレート)、20.28mg(0.141mmol)のCuBr、24.50mg(0.141mmol)のPMDETA、14.27g(0.197mmol)の4−メチルフェニル−3−オクチレンおよび15mlのトルエンを混和して反応系を形成させた。次いで、この反応系を密閉状態にし、10分間の撹拌後、反応温度を110℃に上昇させた。重合を10時間行った。次いで、この反応系を氷/水浴中で直ちに冷却することにより、重合を止めた。この溶液をTHFで希釈し、Al
2O
3カラムに通して触媒/リガンドを除去することにより精製した。溶媒を除去した後、反応生成物をn−ヘキサンで洗浄して未反応のモノマーを除去し、トリブロックコポリマー(B−A−Bタイプ)の精製白色粉末を得た。このトリブロックコポリマーは、48000のM
nおよび1.39のM
w/M
nを有し、そのGPC曲線は単一の対称ピークを示した。
【0132】
(3)A−B−A−B−Aタイプのペンタブロックコポリマーの合成
アルゴン雰囲気下、13.10mg(0.09mmol)のCuBrおよび28.52mg(0.18mmol)のbpyを、3mlのトルエンに加えて、反応系を形成させ、10分間の撹拌後、触媒/リガンド錯体が形成された。1.73g(7.2mmol)のポリ(エチレングリコール)フェノキシアクリレート(M
n=240、m=2)を添加し、15分間撹拌しながら溶解させた。次いで、0.86g(0.018mmol)の実施例7−(2)で調製したトリブロックコポリマーの高分子開始剤を反応系に添加した。次いで、この反応系を密閉状態にし、トリブロックコポリマーを完全に溶解させた後、反応温度を1.5℃/分の速度で90℃に上昇させた。重合を100時間行った。次いで、この反応系を氷/水浴中で直ちに冷却することにより、重合を止めた。この溶液をTHFで希釈し、Al
2O
3カラムに通して触媒/リガンドを除去することにより精製した。溶媒を除去した後、この反応生成物を無水ジエチルエーテルで洗浄して、未反応モノマーを除去し、ポリ(ポリ(エチレングリコール)フェノキシアクリレート)−b−ポリ(4−メチルフェニル−3−オクチレン)−b−ポリ(ポリ(エチレングリコール)フェノキシアクリレート)−b−ポリ(4−メチルフェニル−3−オクチレン)−b−ポリ(ポリ(エチレングリコール)フェノキシアクリレート) ペンタブロックコポリマー(A−B−A−B−Aタイプ)の精製白色粉末を得た。このペンタブロックコポリマーは、83000のM
nおよび1.54のM
w/M
nを有し、そのGPC曲線は単一の対称ピークを示し、セグメントAの含有量(f
A)は55.4重量%であった。
【0133】
(4)ポリマー固体電解質膜の調製および特性の評価
1gの乾燥ペンタブロックコポリマーを15mlのNMPに溶かし、0.02gのLiCF
3SO
3(Li塩の添加量は、ポリオキシエチレン反復単位に対して1mol%である)を溶液に添加した。次いで、この溶液を三角フラスコ中で密閉状態にし、24時間撹拌した。この溶液をシリカウェハにて鋳造し、溶媒を60℃下で除去した。得られたポリマー固体電解質膜の厚さは50μmであった。
【0134】
この膜の相形態をTEMにより観察したところ、共連続相分離形態を示していた。
【0135】
DSCの結果によると、このポリマー固体電解質について融解ピークは観察されず、この事実は、このポリマー固体電解質が結晶性を有しないことを意味した。
【0136】
DMAの結果によると、このポリマー固体電解質膜の初期モジュラスは3.1MPaであった。
【0137】
この膜を、1週間を超える期間グローブボックス中に入れて、水または溶媒を完全に除去し、次いでUFOセルにて構築した。そのリチウムイオン伝導性は、電気化学ワークステーションを用いて23℃で測定することにより9.2×10
−4S/cmであることが見出された。
【0138】
[比較例1](A−B−A−B−Aタイプのペンタブロックコポリマーの調製、この場合、ポリオキシエチレンをセグメントAとして使用し、PSをセグメントBとして使用した)
(1)セグメントAの合成
N
2雰囲気下、120#ガソリンをまず加え、次いで0.42g(2.04mmol)のアルミニウムイソプロポキシドを触媒として撹拌しながら添加した。次いで、8.81g(0.2mol)のエチレンオキシドを含有するトルエン溶液を、この触媒溶液に添加した。重合を15℃で4時間、次いで40℃で3時間行った。重合の後、溶媒を除去し、生成物溶液を濾過した。冷却過程の間に成長させた精製ポリオキシエチレン結晶を得た。このポリオキシエチレン結晶は、6000のM
nおよび1.14のM
w/M
nを有し、そのGPC曲線は単一の対称ピークを示した。
【0139】
加水分解反応により、両末端にヒドロキシル基を有するポリオキシエチレンが調製され得る。
【0140】
ヒドロキシル基と臭化アシルの反応により、両末端に臭素基を有するポリオキシエチレンが調製され得る。
【0141】
(2)B−A−Bタイプのトリブロックコポリマーの合成
N
2の保護下、0.43g(0.071mmol)のポリオキシエチレン、20.28mg(0.141mmol)のCuBr、24.50mg(0.141mmol)のPMDETA、20.56g(0.197mmol)のStを混和して反応系を形成させた。次いで、この反応系を密閉状態にし、10分間の撹拌後、反応温度を110℃に上昇させた。重合を5時間行った。次いで、この反応系を氷/水浴中で直ちに冷却することにより、重合を止めた。この溶液をTHFで希釈し、Al
2O
3カラムに通して触媒/リガンドを除去することにより精製した。溶媒を除去した後、生成物をn−ヘキサンで洗浄して未反応のモノマーを除去し、トリブロックコポリマー(B−A−Bタイプ)の精製白色粉末を得た。このトリブロックコポリマーは、51000のM
nおよび1.25のM
w/M
nを有し、そのGPC曲線は単一の対称ピークを示した。
【0142】
(3)A−B−A−B−Aタイプのペンタブロックコポリマーの合成
1個のヒドロキシル基を有する市販のポリ(エチレングリコール)メチルエーテル(M
n=4000)および比較例1−(2)で調製したトリブロックコポリマーをTHFに溶解し、130℃の高温のもとでHBrを排除した。精製後、精製ペンタブロックコポリマー(A−B−A−B−Aタイプ)が得られた。このペンタブロックコポリマーは、59000のM
nおよび1.29のM
w/M
nを有し、そのGPC曲線は単一の対称ピークを示し、セグメントAの含有量(f
A)は23.7重量%であった。
【0143】
(4)ポリマー固体電解質膜の調製および特性の評価
1gの乾燥ペンタブロックコポリマーを15mlのNMPに溶かし、完全に溶解後、この溶液をシリカウェハにて鋳造し、溶媒を60℃下で除去した。得られたポリマー固体電解質膜の厚さは40μmであった。
【0144】
この膜の相形態をTEMにより観察したところ、層状相形態を示していた。
【0145】
DSCの結果によると、このポリマー固体電解質は、12.3%の結晶度を有していた。
【0146】
[比較例2](A−Bタイプのジブロックコポリマーおよび対応するポリマー電解質の調製、この場合、P(PEGMA)をセグメントAとして使用し、PSをセグメントBとして使用した)
(1)セグメントAの合成
セグメントAを実施例1(1)と同様にして合成した。
【0147】
(2)A−Bタイプのジブロックコポリマーの合成
A−Bタイプのジブロックコポリマーを実施例1(2)と同様にして合成した。
【0148】
供給量および反応時間を調整することにより、f
A=10〜70重量%のジブロックコポリマーを調製した。
【0149】
ポリマー固体電解質膜の調製および特性の評価
1gの乾燥ジブロックコポリマーを15mlのNMPに溶かし、LiTFSIを、ポリオキシエチレン反復単位の10mol%の割合で、溶液に添加した。次いで、この溶液を三角フラスコ中で密閉状態にし、24時間撹拌した。この溶液をシリカウェハにて鋳造し、溶媒を60℃下で除去した。得られたポリマー固体電解質膜の厚さは40〜50μmであった。
【0150】
この膜の相形態をTEMにより観察したところ、ミクロ相形態は観察されなかった。
【0151】
DSCの結果によると、f
A=10〜70重量%であるポリマー固体電解質は、2〜24.6%の結晶度範囲で変化していた。
【0152】
DMAの結果によると、f
A=54.4重量%のとき、このポリマー固体電解質膜の初期モジュラスは0.8MPaであった。
【0153】
f
A=54.4重量%であるポリマー固体電解質膜を、1週間を超える期間グローブボックス中に入れて、水または溶媒を完全に除去し、次いでUFOセルにて構築した。そのリチウムイオン伝導性は、電気化学ワークステーションを用いて23℃で測定することにより3.6×10
−6S/cmであることが見出された。
【0154】
[比較例3](A−B−Aタイプのトリブロックコポリマーおよび対応するポリマー電解質の調製、この場合、P(PEGMA)をセグメントAとして使用し、PSをセグメントBとして使用した)
(1)セグメントAの合成
セグメントAを実施例3(1)と同様にして合成した。
【0155】
(2)B−A−Bタイプのトリブロックコポリマーの合成
B−A−Bタイプのトリブロックコポリマーを実施例3(2)と同様にして合成した。
【0156】
供給量および反応時間を調整することにより、f
A=10〜80重量%のトリブロックコポリマーを調製した。
【0157】
(3)ポリマー固体電解質膜の調製および特性の評価
1gの乾燥トリブロックコポリマーを15mlのNMPに溶かし、LiTFSIを、ポリオキシエチレン反復単位の10mol%の割合で、溶液に添加した。次いで、この溶液を三角フラスコ中で密閉状態にし、24時間撹拌した。この溶液をシリカウェハにて鋳造し、溶媒を60℃下で除去した。得られたポリマー固体電解質膜の厚さは25〜50μmであった。
【0158】
この膜の相形態をTEMにより観察した。この膜は共連続相分離形態を有し、そのf
Aは20〜25重量%および60〜65重量%の範囲であった。上記範囲外のf
Aを有するポリマー固体電解質は、「海−島」または層状相形態を有していた。
【0159】
DSCの結果によると、f
A=10〜80重量%であるポリマー固体電解質は、0.7〜21.5%の結晶度範囲で変化していた。
【0160】
DMAの結果によると、f
A=23.7重量%のとき、このポリマー固体電解質膜の初期モジュラスは1.2MPaであった。
【0161】
f
A=23.7重量%であるポリマー固体電解質膜を、1週間を超える期間グローブボックス中に入れて、水または溶媒を完全に除去し、次いでUFOセルにて構築した。そのリチウムイオン伝導性は、電気化学ワークステーションを用いて23℃で測定することにより1.9×10
−5S/cmであることが見出された。