(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6311907
(24)【登録日】2018年3月30日
(45)【発行日】2018年4月18日
(54)【発明の名称】人工照明装置およびそれを用いた植物工場ならびに人工照明装置の電力供給方法
(51)【国際特許分類】
H02M 7/06 20060101AFI20180409BHJP
H05B 37/02 20060101ALI20180409BHJP
A01G 7/00 20060101ALI20180409BHJP
【FI】
H02M7/06 M
H02M7/06 E
H05B37/02 J
A01G7/00 601A
【請求項の数】6
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-135388(P2017-135388)
(22)【出願日】2017年7月11日
【審査請求日】2017年8月30日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】506160215
【氏名又は名称】マイクロコーテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134669
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 道彰
(72)【発明者】
【氏名】内藤 壮介
【審査官】
坂田 誠
(56)【参考文献】
【文献】
特開平3−253262(JP,A)
【文献】
特許第4478799(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G 7/00
H02M 7/06
H05B 37/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物工場に適用される人工照明装置であって、
多数個のLED素子を備えたLED照明装置と、
入力電源である三相交流電源から供給される三相電力を各々のUVWの入力に分割する入力分割部と、
前記入力分割部の各々の前記入力を個別に全波整流する全波整流器と、
各々の前記全波整流器により全波整流された出力を重畳して単相化する単相化部と、
前記単相化部の出力を前記LED照明装置の供給電源とする単相化電源部と、
前記大規模LED照明装置集合体から前記入力分割部または前記全波整流器の入力段へ帰還するループ回路を備え、
前記LED照明装置が大規模LED照明装置集合体であり、前記大規模LED照明装置集合体において、前記大規模LED照明装置集合体の各所に生じる微小なインダクタンス成分およびキャパシタンス成分の積算により前記大規模LED照明装置集合体全体として疑似的にLCフィルタ成分が形成されていることを特徴とする植物工場に適用される人工照明装置。
【請求項2】
前記入力分割部の前段または後段としてスイッチング電源を用いていないことを特徴とする請求項1に記載の植物工場に適用される人工照明装置。
【請求項3】
前記全波整流器の後段かつ前記単相化部の前段に平滑コンデンサを配したことを特徴とする請求項1または2に記載の植物工場に適用される人工照明装置。
【請求項4】
昼間を模した時間帯には前記LED素子が点灯し、夜間を模した時間帯には前記LED素子が消灯するように制御するLED照明制御装置を備えたものである請求項1から3のいずれかに記載の植物工場に適用される人工照明装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載の植物工場に適用される人工照明装置を用いた植物工場。
【請求項6】
植物工場に適用される人工照明装置の電源制御方法であって、
多数個のLED素子を備えたLED照明装置を配し、
入力電源である三相交流電源から供給される三相電力を各々のUVWの入力に分割する入力分割し、
前記分割にかかる各々の出力を全波整流器により全波整流し、
各々の前記全波整流器により全波整流された出力を重畳して単相化し、
前記大規模LED照明装置集合体から前記入力分割部または前記全波整流器の入力段へ帰還するループ回路を設け、
前記LED照明装置が大規模LED照明装置集合体であり、前記大規模LED照明装置集合体において、前記大規模LED照明装置集合体の各所に生じる微小なインダクタンス成分およびキャパシタンス成分の積算により前記大規模LED照明装置集合体全体として疑似LCフィルタ成分を形成し、
前記単相化した出力を前記LED素子の供給電源として電力供給することを特徴とする植物工場に適用される人工照明装置の電力供給方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大規模な照明光を必要とする工場などに用いられる人工照明装置に関する。人工照明の光源としてはLED素子に限らず、他の光源であっても適用可能である。なお、植物工場に適用した場合、育成する植物としては、人工栽培に適した植物であれば、種類は問わない。
また、本発明は、一般の工場やオフィスなどに適用される人工照明装置に関する。人工照明の光源としてはLED素子に限らず、他の光源であっても適用可能である。
【背景技術】
【0002】
高出力のLED(Light Emitting Diode)素子の開発が進み、従来の白色電球による照明や、蛍光灯による照明に代え、いわゆるLED照明具が普及し始めている。特に、白色LED素子は、従来の単色光しか発光しなかった単色LEDとは異なり、多数の波長の光を発光するできるため、生活照明用途、産業照明用途に適したものとなり、LED素子が持つ小型・省電力・長寿命という特性も相まって普及に弾みがついてきた。
【0003】
このLED素子は、人工照明装置の人工光源として普及している。例えば、植物工場に適用される人工照明装置の人工光源としても利用され始めている。植物の光合成に必要な波長の光を人工的に発光させることが可能となっており、優れた光源として注目されている。
【0004】
植物工場は、照明以外にも、温度、湿度、空気などが適切に制御された施設内で植物を生育させるため、天候や害虫などの影響を受けることなく無農薬野菜などを安定して生産することができる。植物工場では照明は太陽光を全く利用せず人工照明のみを利用するため、ビニールハウスなどの外光を利用する設備とは異なり、天候の制約がなく、野菜等を計画的に生産できる。それゆえに植物工場と呼ばれている。
【0005】
植物工場に用いる人工光源としては、LED素子を多数搭載した管状のLED照明管を用い、そのLED照明管を多数配設して大規模な人工照明装置が採用されている例が多い。
ここで、植物工場の運営において、LED照明装置の調達コスト、設置コストを下げ、さらに電力供給コストも下げることが重要となってくる。
【0006】
以下、一般的なLED照明装置の電力供給について説明する。
工場やオフィスなどへの電力供給は、商用電源が用いられることが多い。商用電源は100Vで周波数が50Hz(東日本)か60Hz(西日本)である。一方、LED素子自体は半導体素子であり、3.5V〜5V程度の直流で駆動する。そこで、LED素子駆動用の電源を得るための電源回路が必要となる。つまり、100V交流の商用電源から3.5V〜5V程度の直流へ電圧降下およびAD変換を伴う電源回路が必要となる。
従来技術において、このようなLED素子駆動用の電源回路は、大別すると、リニア方式電源回路と、スイッチング方式電源回路がある。
【0007】
まず、リニア方式電源回路10を説明する。
リニア方式電源回路10は、
図7に示すような電源回路である。
図7に示すように、入力電源は、AC100Vの商用電源である。
この商用電源の入力電圧がトランス11を介して5V程度に電圧降下される。つまり、最初にトランス11を用いてAC−ACにて電圧降下を行う。
このトランス11で電圧降下された電圧が全波整流ダイオードブリッジ回路12に入力され、AC−DC変換の結果、全波整流されて脈流に変化する。
全波整流ダイオードブリッジ回路12において、脈流に整流された電圧が平滑コンデンサ13の充電放電作用により平滑化されるが、完全な安定化直流にはならずにリップルが含まれる非安定化直流(リップル直流)になる。
平滑コンデンサ13の出力が、チョッパコイルや整流ダイオードなどによる安定化回路14を介して品質の良い3.5V〜5Vの平坦な直流電源が得られる。
このように、リニア方式電源回路は、多数の部品点数から構成されている。
【0008】
次に、スイッチング方式電源回路20を説明する。
スイッチング方式電源回路20は、
図8に示すような電源回路である。
スイッチング方式電源回路20は、リニア方式電源回路10のような大型の巻き線型のトランスを用いないため、比較的コンパクトに小型化できるメリットがあるとされている。
スイッチング方式電源回路20の入力電源は、同じくAC100Vの商用電源である。
スイッチング方式電源回路20は、最初にAC100Vの商用電源を全波整流ダイオードブリッジ21で全波整流する。上記したリニア方式電源回路10では、最初にトランス11でAC−ACの電圧降下を行ったが、このスイッチング方式電源回路20では電圧が高いまま全波整流ダイオードブリッジ21でAC−DC変換を行ってそのまま整流する。したがって、ダイオードブリッジは高電圧(140V程度)に耐えうる耐圧仕様のものが必要となる。
全波整流ダイオードブリッジ回路21において、脈流に整流された電圧が平滑コンデンサ22の充電放電作用により平滑化される。平滑コンデンサ22も高電圧仕様のものが必要となる。平滑コンデンサ22で平滑化された電圧は、リップルが含まれる非安定化直流(リップル直流)になる。
【0009】
スイッチング方式電源回路20は、ここで、この高いDC電圧を、スイッチング素子23のスイッチング動作により、チョッピング(切り分け)をしてDC−AC変換をし、高周波トランス24を介して二次側に低電圧のON/OFF波形を得る。この時のON/OFF周波数、つまりスイッチング周波数は、入力ACの周波数である50Hz/60Hzに比べてかなり高い数十kHzの周波数となっている。
この高周波トランス24を介して得られた、高周波のAC電圧は、整流ダイオード回路25で整流され、低電圧の脈流に変化する。
整流ダイオード25において、脈流に整流された電圧が平滑コンデンサ26の充電放電作用により平滑化される。しかし、いまだ完全な安定化直流にはならずにリップルが含まれる低電圧の非安定化直流(リップル直流)になる。
【0010】
最後に、平滑コンデンサ26の出力が、チョッパコイルや整流ダイオードなどによる安定化回路27を介して品質の良い3.5V〜5Vの平坦な直流電源が得られる。
つまり、スイッチング方式電源回路20は、ダイオードブリッジによる高電圧AC−高電圧DC変換、スイッチングによる高電圧DC−高電圧AC変換、高周波トランスによる高電圧AC−低電圧AC変換という、少々複雑な電圧の変換履歴を経る。
【0011】
【非特許文献1】株式会社TDK http://www.tdk.co.jp/techmag/power/200807/
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかし、上記従来の人工照明のLED素子駆動用の電源回路には問題があった。
リニア方式電源回路10の第1の問題点として、電源回路が大きくなる問題がある。
リニア方式電源回路10はトランス12が高電圧ACを定電圧ACへ変換するために調整された巻き線式のトランス装置であり、装置が大きく重いという問題があった。また、平滑コンデンサ13もリップルを低減するために必須の電子素子として組み込まれていた。ここで、従来はLED素子に対する電源供給に対して、数千本〜数万本と非常に数が多いLED照明装置全体に対する電源供給というマクロな観点では捉えずに、1本1本のLED照明装置への高品質な電圧供給を命題と捉え、LED照明装置の内部に電源回路を個別に含めるよう設計する傾向が強く、平滑コンデンサなどを組み込んでしまうため、電源回路が大きくなる問題があった。
【0013】
リニア方式電源回路10の第2の問題点として、突入電流の問題がある。リップル波形の平滑化のための平滑コンデンサ13を用いた場合、大容量の平滑コンデンサ13となる。そのため、立ち上げ時に平滑コンデンサ14の充電のため突入電流が発生する。
【0014】
スイッチング方式電源回路20の第1の問題点として、ノイズ発生の問題がある。スイッチング方式は数十kHzの周波数という高速にON/OFFを繰り返すためにノイズが発生する。このノイズ対策を施さなければ、LED素子の駆動には障害となり誤動作、さらには過電圧による素子破壊などのおそれもある。ノイズ対策に要する部品点数の増加、装置の大型化、コスト増加を招いていた。
【0015】
スイッチング方式電源回路20の第2の問題点として、力率低下の問題がある。スイッチング方式電源回路20では高電圧でのリップル低減の平滑コンデンサ22、低電圧でのリップル低減の平滑コンデンサ26と2つの平滑コンデンサがあり、リアクタンス成分の存在により位相がずれるため力率が落ちるという問題がある。
【0016】
スイッチング方式電源回路20の第3の問題点として、高調波発生の問題がある。スイッチング方式電源回路20は、高調波の発生源となり得る非線形素子が多数含まれており高調波が発生しやすい。高調波、特に第3高調波が発生して重畳されると過電圧による素子破壊などのおそれもある。高調波対策に要する部品点数の増加、装置の大型化、コスト増加を招いていた。
【0017】
スイッチング方式電源回路20の第4の問題点として、部品点数が多くコスト低減が難しいという問題点がある。つまり、スイッチング方式電源回路20は、ダイオードブリッジによる高電圧AC−高電圧DC変換、スイッチングによる高電圧DC−高電圧AC変換、高周波トランスによる高電圧AC−低電圧AC変換という動作のために多数の部品類を組み込まなければならない。また、上記したように、従来技術では、1つ1つのLED素子への高品質な電圧供給を命題と捉え、LED照明装置の内部に電源回路を個別に含めるよう設計する傾向が強く、部品点数が多くコスト低減が難しい。
【0018】
上記課題を解決するために、本発明は、少ない部品点数で小型に構成するとともに、スイッチング素子は用いず線形負荷のみで構成してノイズ発生や高調波発生を抑制し、平滑コンデンサを省略して突入電流の防止と力率の低下防止が実現できる優れた特性を備えた人工照明装置およびその制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記目的を達成するため、本発明は、多数個のLED素子を備えたLED照明装置と、入力電源である三相交流電源から供給される三相電力を各々のUVWの入力に分割する入力分割部と、前記入力分割部の各々の前記入力を個別に全波整流する全波整流器と、各々の前記全波整流器により全波整流された出力を重畳して単相化する単相化部と、前記単相化部の出力を前記LED素子の供給電源とする単相化電源部を備え、前記単相化電源部から前記LED照明装置に電力供給することを特徴とする人工照明装置である。
上記構成により、少ない部品点数で小型に構成するとともに、スイッチング素子は用いず線形負荷のみで構成してノイズ発生や高調波発生を抑制し、平滑コンデンサを省略して突入電流の防止と力率の低下防止が実現できる。
【0020】
上記構成において、単相化電源の後段に設けられるLED照明装置を多数個にのぼる大規模LED照明装置集合体とし、前記大規模LED照明装置集合体において、前記LED照明装置に生じる微小なインダクタンス成分およびキャパシタンス成分の積算により前記大規模LED照明装置集合体全体として疑似LCフィルタ成分が形成されており、前記LED照明装置から前記入力電源である前記三相交流電源へ帰還するループ回路を備えたことを特徴とする。
【0021】
上記構成により、LED照明装置に存する微小なインダクタンス成分およびキャパシタンス成分の積算により大規模LED照明装置集合体において疑似LCフィルタが形成される構成とすることができ、三相−単相変換電源により供給される電力波形に現れる高調波を抑制し、力率を改善することができる。
上記構成により、力率低下を防止することができるとともに、部品点数を低減することができ、コスト低減、装置の小型化を図ることができる。
【0022】
なお、上記構成において、全波整流器の後段かつ単相化部の前段に平滑コンデンサを配した構成とすれば、全波整流器の出力に存するリップルが平滑化され、出力が一層安定する。
この全波整流器の後段に平滑コンデンサを設けるにおいても、大規模LED照明装置集合体により微小なインダクタンス成分およびキャパシタンス成分の積算によりって疑似LCフィルタ成分を形成し、LED照明装置から三相交流電源へ帰還するループ回路を備えた構成とすることは可能である。
【0023】
本発明の人工照明装置は、入力電源が三相交流電源であるので、工場において用いられる他の誘導型電気機器の入力電源として共用することができる。入力電源を共用化することにより照明装置の点数を減らすことができ、コスト低減につながる。
【0024】
また、植物工場に適用する場合、昼間を模した時間帯にLED素子が点灯し、夜間を模した時間帯にLED素子が消灯するように制御するLED照明制御装置を備える構成が好ましい。
上記構成により、植物工場として建物の中に設置した場合に昼夜がしっかりと再現することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、スイッチング素子を用いず、かつ、線形負荷のみで構成すれば、人工照明装置全体として高調波発生を抑制することができ、力率の改善を行うこともできる。
また、本発明によれば、人工照明装置の部品点数を低減することができ、コスト低減、装置の小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】実施例1にかかる人工照明装置100−1を模式的に示した図である。
【
図2】実施例2にかかる人工照明装置100aの回路図である。
【
図3】
図2に示した人工照明装置100aの回路構成を分かりやすく簡素化して示した図である。
【
図4】実施例3にかかる人工照明装置100bの構成例を示した図である。
【
図5】実施例4にかかる人工照明装置100cの構成例を示した図である。
【
図6】
図5に示した人工照明装置100cの回路構成を分かりやすく簡素化して示した図である。
【
図7】従来技術におけるリニア方式電源による人工照明装置10を模式的に示した図である。
【
図8】従来技術におけるスイッチング方式電源による人工照明装置20を模式的に示した図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、図面を参照しつつ、本発明の人工照明装置の実施例を説明する。ただし、本発明の範囲は以下の実施例に示した具体的な用途、形状、個数などには限定されないことは言うまでもない。
【実施例1】
【0028】
実施例1にかかる本発明の人工照明装置100の構成例を示す。以下、LED照明の発光面を下面として説明する。
図1は、実施例1にかかる人工照明装置100の回路図である。
図1に示すように、実施例1にかかる人工照明装置100は、入力分割部110、全波整流器120、単相化部130、単相化電源部140を備えた構成となっている。スイッチング電源を用いていないことが分かる。
図1には、入力段には商用三相交流電源300、出力段には大規模LED照明装置集合体200がある。
【0029】
以下、各構成要素について説明する。
商用三相交流電源300は、商用の三相交流電源で良く、ここでは100V電源とする。三相交流電源であるので、U、V、Wの各相の入力線が3本よられて供給されている。
入力分割部110は、入力電源である三相交流電源300から供給される三相電力を各々のUVWの入力に分割する。
図1に示すように、商用三相交流電源300が入力分割部110によりU、V、Wの3つの入力電圧に分割される。
【0030】
図1の下方に描かれている入力分割部110の出力段の波形110は、W相の波形であるが、正弦波の形状で、その出力が−100V〜100Vとなっている。他のU相の波形、V相の波形は、それぞれ互いにその位相が120度ずつずれたものとなっている。
入力分割部110は、分割した各々のU、V、Wの3つの電圧を、次段にある全波整流器120に対して出力する。
【0031】
全波整流器120は、交流波形を受け、全波整流するものである。つまり、交流波形のマイナス部分をプラスに転じるよう整流している。例えば、全波整流器120は全波整流ダイオードブリッジ回路で良い。
この例では、入力分割部110で分割され、トランス120で電圧降下された各々のU、V、Wの各々の入力を個別に全波整流器120によって全波整流している。
【0032】
図1の下方に描かれている全波整流器120の出力段の波形130は、W相の波形であるが、正弦波が整流された脈流の形状で、その出力が0V〜100Vとなっている。他のU相の波形、V相の波形は、それぞれ互いにその位相が120度ずつずれたものとなっている。全波整流の結果、脈流としては60度ずつずれたものとなっている。
全波整流器120は整流した各々のU、V、Wの3つの電圧を、次段にある単相化部130に対して出力する。
【0033】
単相化部130は、各々の全波整流器120により全波整流された三相の電力を重畳して単相化して1相の電圧にするものである。
全波整流器120により全波整流された三相の電力はそれぞれ120度ずつ位相がずれており、全波整流の結果、脈流としては60度ずつずれたものとなっているため、全期間において正電位であり、それらを重畳すれば連続した脈流の頂上付近を連続してつなげたような電力波形が得られる。
図1の下方に描かれている単相化部130の出力段の波形140は、連続した脈流の頂上付近を連続してつなげたような電力波形であり、その出力が略100Vとなっている。
単相化部130は重畳して得られた電圧を、次段にある単相化電源部140に対して出力する。
【0034】
単相化電源部140は、単相化部130の電力を大規模LED照明装置集合体200の各々のLED照明装置に対する電源として供給する。
この例では、単相化部130の100Vの電力と接地電位の0Vの電位差、つまり100V電源を駆動電源として供給する。
【0035】
大規模LED照明装置集合体200は、多数個のLED照明装置が備えられたものである。この例ではLED照明装置内部の各々のLED素子は3V程度で駆動する。
【0036】
なお、上記説明において、1つのLED素子に印可される電圧が3Vの例として説明したが、LED素子は種類によって2.5V〜5V程度のレンジで駆動するものが多く、採用するLED素子の駆動電圧に合わせてLED照明装置に印可する電圧が適するものとなるよう構成すれば良い。
【0037】
上記したように、実施例1にかかる人工照明装置100によれば、スイッチング素子は用いておらず、安定化装置のような高性能な電源対策は施していないが、単相化部により使用に耐え得る品質の電圧を生成することができ、人工照明装置100全体として部品点数も少なく、コスト低減、装置の小型化を図ることができる。
【実施例2】
【0038】
実施例2にかかる人工照明装置100aについて説明する。
図2は、実施例2にかかる人工照明装置100aの回路図である。
図3は、
図2に示した人工照明装置100aの回路構成を分かりやすく簡素化して示した図である。
図2に示すように、実施例2にかかる人工照明装置100aは、実施例1と同様、入力分割部110、全波整流器120、単相化部130、単相化電源部140aを備えた構成となっており、スイッチング電源を用いていない。
図2には、入力段には商用三相交流電源300、出力段には大規模LED照明装置集合体200がある。
【0039】
各構成要素について説明する。
入力分割部110、全波整流器120、単相化部130の各構成要素は実施例1の各構成要素と同じもので良く、ここでの説明は省略する。
【0040】
実施例2にかかる人工照明装置100aでは、
図2、
図3に示すように、単相化電源部140aが、単相化部130への出力のほか、大規模LED照明装置集合体200と入力分割部110の入力段の間に帰還ループを提供している。
全波整流器120はダイオードによる整流回路であるため、高調波の発生源となっている。この全波整流器120で発生する高調波が入力段の方へ反射して混入し、入力分割部110を介して商用電源300にノイズを混入させてしまう。ここで本実施例2の構成では、入力分割部110の入力段から大規模LED照明装置集合体200への帰還ループが形成されている。
【0041】
ここで、大規模LED照明装置集合体200全体として、疑似的LCフィルタとして機能し得る点に着目する。大規模LED照明装置集合体200は多数本のLED照明装置が存在しており多数のLED素子が用いられている。ここで、1つ1つのLED素子や1本のLED照明装置には、設計上、インダクタンス成分やキャパシタンス成分が無視できるものであるが、現実には物理的にはごく微量であるものの、インダクタンス成分やキャパシタンス成分が存在している。LED素子の個数が多くなれば、1つ1つは無視できる程度の微小なインダクタンス成分やキャパシタンス成分しかない場合であっても、大規模LED照明装置集合体200全体して積算されるインダクタンス成分、キャパシタンス成分が現われ、疑似的なLCフィルタとして利用可能である。ここでは、そのような大規模LED照明装置集合体200全体として大規模に積算されるインダクタンス成分やキャパシタンス成分をもって、疑似LCフィルタとして利用する。
【0042】
上記したように、本実施例2の構成では、入力分割部110の入力段から大規模LED照明装置集合体200への帰還ループが形成されており、この帰還ループを介してノイズとなる高調波が大規模LED照明装置集合体200側に形成されている疑似LCフィルタにより抑制される構成となっている。ここで、大規模LED照明装置集合体200全体として大規模に積算されるインダクタンス成分やキャパシタンス成分の周波数成分は多様であるので、事実上、第5次の高調波成分、第7次の高調波成分、それ以上の高調波成分に対して働きかけるLCフィルタが形成されているように機能し得る。
なお、上記構成例では、入力分割部110の入力段から大規模LED照明装置集合体200への帰還ループが形成されている例であったが、全波整流器120の入力段から大規模LED照明装置集合体200へ帰還ループが形成されている構成例でも良い。
【0043】
さらに、このように高調波成分が抑制されると、入力分割部110の電圧波形、電流波形とも正弦波に近づき、力率が改善される効果も得られる。
上記したように、実施例2にかかる人工照明装置100aによれば、人工照明装置100a全体としてノイズ発生や高調波発生を抑制することができ、力率を改善することもできる。
【実施例3】
【0044】
実施例3にかかる人工照明装置100bについて説明する。
実施例3にかかる人工照明装置100bは、実施例1の構成に対して全波整流器120b後段に平滑コンデンサ150bを設けた構成例である。
【0045】
図4は、実施例3にかかる人工照明装置100bの構成例を示した図である。
図4に示すように、実施例3にかかる人工照明装置100bは、入力分割部110b、トランス120b、全波整流器120b、単相化部130b、単相化電源部140bを備えた構成となっている。スイッチング電源を用いていないことが分かる。
図1と
図4を比較すると分かるように、実施例3にかかる人工照明装置100bは、実施例1にかかる人工照明装置100の構成に対して、全波整流器120bの後段に平滑コンデンサ150bを設けた構成例となっている。
【0046】
実施例3では全波整流器120bの後段に平滑コンデンサ150bを設けた例となっており、平滑コンデンサ150bにより電力波形中のリップルの大きさが抑制されている。平滑コンデンサ150bがあれば突入電流の発生が起こり得るというデメリット、また、部品点数が多くなり、コストも増加するというデメリットがあるが、電力波形中のリップルの大きさが抑制されるので、電力供給が安定しやすくなるというメリットがある。
【実施例4】
【0047】
実施例4にかかる人工照明装置100cについて説明する。
実施例4にかかる人工照明装置100cは、実施例2の構成に対して全波整流器120c後段に平滑コンデンサ150cを設けた構成例である。
【0048】
図5は、実施例4にかかる人工照明装置100cの構成例を示した図である。
図6は、
図5に示した人工照明装置100cの回路構成を分かりやすく簡素化して示した図である。
図5および
図6に示すように、実施例4にかかる人工照明装置100cは、入力分割部110c1、入力分割部110c2、全波整流器120c、単相化部130c、単相化電源部140cを備えた構成となっている。スイッチング電源を用いていないことが分かる。
【0049】
実施例4にかかる人工照明装置100cでは、実施例2と同様、単相化電源部140cが、単相化部130cへの出力のほか、大規模LED照明装置集合体200と入力分割部110cの入力段の間の帰還ループを提供している。
図2と
図5、
図3と
図6を比較すると分かるように、実施例4にかかる人工照明装置100cは、実施例2にかかる人工照明装置100aに対して、全波整流器120aの後段に平滑コンデンサ150cを設けた構成例となっているが、全波整流器120が高調波の発生源となっている点は実施例2で説明したとおりであり、この全波整流器120で発生する高調波が入力段の方へ反射して混入し、入力分割部110を介して商用電源300にノイズを混入させてしまう。そこで、本実施例4の構成では、入力分割部110の入力段から大規模LED照明装置集合体200への帰還ループが形成されている。
【0050】
実施例4でも、大規模LED照明装置集合体200全体として、疑似的LCフィルタとして機能し得る点は同様である。1つ1つのLED素子や1本のLED照明装置には、設計上、インダクタンス成分やキャパシタンス成分が無視できるものであるが、現実には物理的にはごく微量であるものの、インダクタンス成分やキャパシタンス成分が存在している。LED素子の個数が多くなれば、1つ1つは無視できる程度の微小なインダクタンス成分やキャパシタンス成分しかない場合であっても、大規模LED照明装置集合体200全体して積算されるインダクタンス成分、キャパシタンス成分が現われ、疑似的なLCフィルタとして利用可能である。ここでは、そのような大規模LED照明装置集合体200全体として大規模に積算されるインダクタンス成分やキャパシタンス成分をもって、疑似LCフィルタとして利用する。
【0051】
上記したように、本実施例4の構成では、入力分割部110の入力段から大規模LED照明装置集合体200への帰還ループが形成されており、この帰還ループを介してノイズとなる高調波が大規模LED照明装置集合体200側に形成されている疑似LCフィルタにより抑制される構成となっている。
なお、上記構成例では、入力分割部110の入力段から大規模LED照明装置集合体200への帰還ループが形成されている例であったが、全波整流器120の入力段から大規模LED照明装置集合体200へ帰還ループが形成されている構成例でも良い。
【0052】
さらに、このように高調波成分が抑制されると、入力分割部110の電圧波形、電流波形とも正弦波に近づき、力率が改善される効果も得られる。
このように、特別な高調波対策用の電子回路を搭載することなく、ノイズ低減、高調波抑制、力率改善を行うことができる。
【0053】
以上、実施例1から4に示した人工照明装置は、一般工場やオフィスを始め、例えば植物工場に導入することができる。なお、植物工場の光源として用いる場合、昼間を模した時間帯にはLED素子が点灯し、夜間を模した時間帯にはLED素子が消灯するように制御するLED照明制御装置を備えたものとすることが好ましい。
【0054】
本発明の技術的範囲を逸脱することなく種々の変更が可能であることは理解されるであろう。
【符号の説明】
【0055】
100 植物栽培装置
110 入力分割部
120 全波整流器
130 単相化部
140 単相化電源部
200 大規模LED照明装置集合体
300 商用三相交流電源
【要約】
【課題】 スイッチング素子は用いず線形負荷のみで構成して高調波発生を抑制し、平滑コンデンサを省略して突入電流の防止と力率の低下防止を実現した人工照明装置を提供する。
【解決手段】 多数個のLED素子200と、三相交流電源300から供給される三相電力を各々のUVWの入力に分割する入力分割部110と、分割した入力を全波整流する全波整流器120と、全波整流された出力を重畳して単相化する単相化部130と、単相化部130の出力をLED素子200の供給電源とする単相化電源部140を備えた構成とする。大規模LED照明装置集合体200全体して積算されるインダクタンス成分、キャパシタンス成分を疑似的なLCフィルタとして利用すれば、入力分割部110の入力段から大規模LED照明装置集合体200への帰還ループを介してノイズとなる高調波が抑制され、力率を改善する。
【選択図】
図1