(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6311910
(24)【登録日】2018年3月30日
(45)【発行日】2018年4月18日
(54)【発明の名称】包装袋及びロール製品パッケージ
(51)【国際特許分類】
B65D 30/02 20060101AFI20180409BHJP
A47K 10/16 20060101ALI20180409BHJP
B32B 27/28 20060101ALI20180409BHJP
B65D 33/00 20060101ALI20180409BHJP
B65D 33/10 20060101ALI20180409BHJP
B65D 81/24 20060101ALI20180409BHJP
D21H 27/10 20060101ALI20180409BHJP
【FI】
B65D30/02
A47K10/16 Z
B32B27/28 102
B65D33/00 C
B65D33/10
B65D81/24 F
D21H27/10
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-197523(P2013-197523)
(22)【出願日】2013年9月24日
(65)【公開番号】特開2015-63316(P2015-63316A)
(43)【公開日】2015年4月9日
【審査請求日】2016年7月20日
【審判番号】不服2017-16141(P2017-16141/J1)
【審判請求日】2017年10月31日
【早期審理対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000183462
【氏名又は名称】日本製紙クレシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100144048
【弁理士】
【氏名又は名称】坂本 智弘
(72)【発明者】
【氏名】川口 豊之
(72)【発明者】
【氏名】村田 剛
【合議体】
【審判長】
久保 克彦
【審判官】
蓮井 雅之
【審判官】
千壽 哲郎
(56)【参考文献】
【文献】
特開2014−223921(JP,A)
【文献】
特開平11−197054(JP,A)
【文献】
登録実用新案第3016715(JP,U)
【文献】
特開2006−150624(JP,A)
【文献】
特開2006−123530(JP,A)
【文献】
特開2010−18317(JP,A)
【文献】
特開昭63−282400(JP,A)
【文献】
特開2009−269672(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D30/02
A47K10/16
B65D33/00
B65D33/10
B65D81/24
B32B27/28
D21H27/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数個のロール製品を収納する本体部と、
前記本体部の上端側に持手部とを備える包装袋に前記複数個のロール製品が収納されていることを特徴とするロール製品パッケージであって、
前記本体部は、ガスバリア性樹脂フィルムの両面に熱可塑性樹脂フィルムを積層した多層フィルムから形成され、
前記ガスバリア性樹脂フィルムが、エチレン・ビニルアルコール共重合樹脂フィルムであり、
前記熱可塑性樹脂フィルムは、直鎖状低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレンから選ばれるポリエチレン系樹脂であり、
前記多層フィルムの厚さは、20μm以上40μm以下であり、
前記ガスバリア性樹脂フィルムの厚さが、前記多層フィルムの厚さに対して5%以上10%以下であり、
前記多層フィルムは、210cm3/m2/24hr/atm以下の酸素透過度を有するとともに、15%以上25%以下のヘイズ値を有し、
ロール製品のロール状紙管に直接香料を塗布されているか、ロール状紙管製造時の糊に香料が混合されていることを特徴とするロール製品パッケージ。
【請求項2】
前記持手部が中央側に縦方向に延びる開封用のミシン目を備えることを特徴とする請求項1に記載のロール製品パッケージ。
【請求項3】
前記ロール製品が香料付きトイレットペーパーであることを特徴とする請求項1又は2に記載のロール製品パッケージ。
【請求項4】
前記香料付きトイレットペーパーが1ロールあたり0.05g以上の香料を含有することを特徴とする請求項3に記載のロール製品パッケージ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装袋及びロール製品パッケージに関する。より詳細に、本発明は、香料付きトイレットペーパー等のロール製品を収納する包装袋及び該包装袋にロール製品を収納したロール製品パッケージに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、トイレ内に芳香を漂わせる方法として、香料を収納した容器をトイレ内に設置する代わりとして、トイレットペーパー等のロール製品に香りをつけたものを設置することが多い。その場合、香りの強度を強くして香りを維持することや、嗜好の個人差を解消するために数種類の香りをロール製品に揃える要望が存在する。香りを維持するロール製品としては、例えば、トイレットペーパー用芯材を貼り合わせる接着剤に対して、香料を含有させたものが開示されている(特許文献1参照)。
【0003】
ところで、トイレットペーパーやキッチンタオル等のロール製品は、通常、複数個のロール製品を段重ね状態にまとめて包装袋に収納され、ロール製品パッケージにされている(特許文献2参照)。この様なロール製品の包装袋は、一般に、ポリエチレンフィルム、例えば、12ロール入りの包装袋の場合、25〜35μm程度の厚さのポリエチレンフィルムから形成されている。
【0004】
従来、こうしたポリエチレンフィルムから形成された包装袋に、香料付きトイレットペーパーやキッチンタオル等のロール製品が収納されたロール製品パッケージは、流通、保管、店頭での陳列、購入後の家庭での保管といった長期間の保存により、包装袋のフィルム壁面を通して、ロール製品から香料が揮散して、開封時には香りが変質したり、芳香性が著しく低下したりといった香料の保存安定性が劣ることや、包装袋のフィルム壁面を通して、他のロール製品パッケージを含む、他の製品に香料が移行する、または移行を受けるといった香料の移香性の問題があった。
【0005】
このような問題を解決するために、エチレン・ビニルアルコール共重合樹脂フィルムを用いた、ガスバリア性、保香性、香気成分の非吸着性、低温シール性、ヒートシール部の耐衝撃性等に優れる包装袋が開発されている。例えば、エチレン・ビニルアルコール共重合樹脂である、再酢化法により酢酸ビニル成分のケン化度を低下させたエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物を含有する樹脂組成物を用いて、該樹脂組成物を最内層とする多層包装体が提案されている(特許文献3参照)。
【0006】
しかしながら、特許文献3に記載の多層包装体に香料付きトイレットペーパー等のロール製品が収納されたロール製品パッケージは、長期間保存した場合、ロール製品の香料の保存安定性がまだ充分ではなく、包装袋のフィルム壁面を通して、他のロール製品パッケージを含む、他の製品に香料が移行するといった、香料の移香性が認められることがある。
【0007】
なお、特許文献3には、ガスバリア性フィルムとしてエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物を最内層とする多層包装体の相手側樹脂として、直鎖状低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン等のポリエチレン系樹脂を含む多数の樹脂が列記されているが、ポリエチレン系樹脂を用いた具体的な例示は無く、ロール製品パッケージに一般的に用いられているガゼット包装袋の場合には、フィルムの表裏両面にヒートシール性が必要となるといった本発明に関わるガスバリア性樹脂フィルムの両面にポリエチレン系樹脂等の熱可塑性樹脂フィルムを積層した多層フィルムについての記載はどこにも認められない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平11−197054号公報
【特許文献2】特開2004−269010号公報
【特許文献3】特開2000−211067号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、香料付きトイレットペーパーやキッチンタオル等のロール製品が収納されたロール製品パッケージを長期間保存しても、ロール製品の香料の保存安定性に優れると共に、包装袋のフィルム壁面を通して、他のロール製品パッケージを含む、他の製品に香料が移行するといった、香料の移香性が抑えられた、包装袋を提供することを課題とする。また、該包装袋に香料付きトイレットペーパー等のロール製品が収納されているロール製品パッケージを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者等は、上記課題を解決すべく鋭意検討した。その結果、香料付きトイレットペーパー等のロール製品が、ガスバリア性樹脂フィルムの両面に熱可塑性樹脂フィルムが積層されており、且つ250cm
3/m
2/24hr/atm以下の酸素透過度を有する多層フィルムから形成された包装袋に収納されたロール製品パッケージは、長期間の保存の後においても香料の保存安定性に優れ、ロール製品の芳香が収納時と同等の芳香を維持していると共に、包装袋のフィルム壁面を通して、他のロール製品パッケージを含む、他の製品に香料が移行するといった、香料の移香性が認められない、あるいは極めて少ないことを見出した。本発明は、これらの知見に基づきさらに検討を重ねた結果、完成するに至ったものである。
【0011】
上記課題を解決するために、本発明は、以下の構成によって把握される。
(1)本発明の包装袋は、複数個のロール製品を収納する本体部と、前記本体部の上端側に持手部とを備える包装袋であって、前記本体部は、ガスバリア性樹脂フィルムの両面に熱可塑性樹脂フィルムを積層した多層フィルムから形成され、前記多層フィルムは、250cm
3/m
2/24hr/atm以下の酸素透過度を有することを特徴とする。
【0012】
(2)本発明の包装袋は、(1)の構成において、前記ガスバリア性樹脂フィルムが前記多層フィルムに対して5%以上15%以下の厚さを有することを特徴とする。
【0013】
(3)本発明の包装袋は、(1)または(2)の構成において、前記持手部が中央側に縦方向に延びる開封用のミシン目を備えることを特徴とする。
【0014】
(4)本発明の包装袋は、(1)ないし(3)のいずれか1項に記載の構成において、前記ガスバリア性樹脂フィルムがエチレン・ビニルアルコール共重合樹脂フィルムであることを特徴とする。
【0015】
(5)本発明の包装袋は、(1)ないし(4)のいずれか1項に記載の構成において、前記多層フィルムが15%以上25%以下のヘイズ値を有することを特徴とする。
【0016】
(6)本発明のロール製品パッケージは、(1)〜(5)のいずれか1項に記載の包装袋に前記複数個のロール製品が収納されていることを特徴とする。
【0017】
(7)本発明のロール製品パッケージは、(6)の構成において、前記ロール製品が香料付きトイレットペーパーであることを特徴とする。
【0018】
(8)本発明のロール製品パッケージは、(7)の構成において、前記香料付きトイレットペーパーが1ロールあたり0.05g以上の香料を含有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明の包装袋及び本発明の包装袋に香料付きトイレットペーパーやキッチンタオル等のロール製品が多数収納されている本発明のロール製品パッケージは、流通、保管、店頭での陳列、購入後の家庭での保管で長期間保存しても、包装袋のフィルム壁面を通してロール製品の香料が揮散することがなく、香料の保存安定性に優れる。また、包装袋のフィルム壁面を通して、他のロール製品パッケージを含む、他の製品に香料が移行するといった、香料の移香性が極めて少ない。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の実施形態に係るロール製品パッケージの斜視図である。
【
図2】本発明の実施形態に係るロール製品パッケージの正面図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る包装袋の上部の拡大図である。
【
図4】本発明の包装袋の開封方法を説明する図であり、ミシン目の作用図である。
【
図5】本発明の開封方法を説明する図であり、フィルムが横方向に引裂かれる作用図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態(以下、実施形態)について詳細に説明する。なお、実施形態の説明の全体を通して同じ要素には同じ番号を付している。また、本発明は、包装袋及びロール製品パッケージの二つの発明から成る。本発明を、(1)包装袋及び(2)ロール製品パッケージ、に分けて説明する。
【0022】
(1)包装袋
本発明の包装袋は、複数個のロール製品を収納する本体部と、本体部の上端側に持手部とを備える包装袋であって、本体部は、ガスバリア性樹脂フィルムの両面に熱可塑性樹脂フィルムを積層した多層フィルムから形成され、多層フィルムは、250cm
3/m
2/24hr/atm以下の酸素透過度を有する。
【0023】
本発明の包装袋の具体例を
図1及び
図2に示す。
図1において、本発明の包装袋1は複数個のロール製品5が収納できるチューブ状フィルムからなる本体部2と、本体部の上端側に持手部3と、を備える。
【0024】
図2において、包装袋1は、チューブ状フィルムの左右両側をガセットとして内側に対称的に折り込まれ、各ガセットの折り込み端縁が包装袋の横方向中央付近で近接するように平面状に折り畳まれ、上端で折り畳む部分の適所がヒートシールされている。持手部3は、シールライン32がシートヒールで一体化され固定された矩形の扁平部分である。持手部3には購入後、持ち帰るときのために指掛け穴が備えられている。持手部には購入後持ち帰るときの為に指掛け穴33が備えられているが、本体部は下端が開口し、下端の開口部21からトイレットペーパー等のロール製品5を収納し、その後開口部21をヒートシールで封止するようになっている。ロール製品5を収納する時は、本体部のガセットが展開され、本体部2は矩形断面の4つの側面を構成する。包装袋には図示はしないが、製造時にフィルムの破裂を避けるためにシールライン32に間欠部を設けることにより通気部を備えることが望ましい。
【0025】
本体部2及び持手部3は、ガスバリア性樹脂フィルム1Bの両面に熱可塑性樹脂フィルム1Aを積層した多層フィルムから形成される。
【0026】
多層フィルムの酸素透過度は、JIS K 7126−1987(プラスチックフィルムおよびシートの気体透過度試験方法)に準拠した方法により測定し、250cm
3/m
2/24hr/atm以下であり、50cm
3/m
2/24hr/atm以下であることが好ましく、10cm
3/m
2/24hr/atm以下であることが特に好ましい。多層フィルムの酸素透過度が、250cm
3/m
2/24hr/atmを超えると、香料の保存安定性が悪くなり、香料の移香性が認められる。
【0027】
ガスバリア性樹脂フィルム1Bの厚さは、多層フィルムの厚さに対して5%以上15%以下である事が好ましく、5%以上10%以下である事が特に好ましい。ガスバリア性樹脂フィルム1Bの厚さが、多層フィルムの厚さに対して5%未満であると、香料の保存安定性が悪くなり、逆に15%を超えると、包装袋が裂けやすくなる。
【0028】
ガスバリア性樹脂フィルム1Bは、多層フィルムの酸素透過度の条件を満たしていればいずれの樹脂フィルムでも用いることが出来るが、エチレン・ビニルアルコール共重合体、ナイロン、またはポリ塩化ビニリデンから選ばれる1種が好ましく、エチレン・ビニルアルコール共重合体が特に好ましい。エチレン・ビニルアルコール共重合体を用いた包装袋は、香料の保存安定性が格段に優れ、香料の移香性が抑制される。
【0029】
図3は、本発明の包装袋の上部の拡大図である。また、
図4は、本発明の包装袋の開封方法を説明する図であり、ミシン目の作用図である。
図5は、本発明の開封方法を説明する図であり、フィルムが横方向に引裂かれる作用図である。
【0030】
本発明の包装袋1の持手部3は、持手部3の中央側に縦方向に延びる開封用のミシン目31を備えることが好ましい。この様な開封用のミシン目31を備えることによって、包装袋1からロール製品5を取り出す場合に、開封用のミシン目31に沿って持手部3を縦方向(1)に引き裂いた後、左右どちらかの横方向、例えば(2)方向に力を作用させて取出し口34を形成し、ロール製品5を取出すことができる。
【0031】
エチレン・ビニルアルコール共重合体を用いた包装袋1は、横に裂ける性質を有するため、ロール製品5の取出し口34を小さく形成することができ、ロール製品5に塵等が侵入しにくくなる。
【0032】
多層フィルムの透明性は、15%以上25%以下のヘイズ値を有することが好ましい。ヘイズ値が15%未満であると透明性が高くなり過ぎて、可視光線によって香料が変質する場合がある。一方、ヘイズ値が25%を超えると、透明性が低くなり過ぎて、収納されているロール製品の形状や色調が外観から見難くなる。
【0033】
ガスバリア性樹脂フィルム1Bの両面に積層されている熱可塑性樹脂フィルムに適する熱可塑性樹脂1Aは、ヒートシールが可能な熱可塑性樹脂であればいずれでも良いが、ポリオレフィン系樹脂が好ましく、ポリオレフィン系樹脂のうち、直鎖状低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、またはエチレン−アクリル酸エステル共重合体等から選ばれるポリエチレン系樹脂が特に好ましい。ポリエチレン系樹脂とすることによって、本発明の包装袋1を容易に製造する事ができる。両面に積層されている熱可塑性樹脂フィルムは、同じポリオレフィン系樹脂であっても、異なったポリオレフィン系樹脂であっても良い。
【0034】
多層フィルムの厚さは、20μm以上40μm以下であると、包装袋1の風合いと強度のバランスが良好となる。20μm未満であると包装袋1の強度が弱くなり破けやすく、逆に40μmを超えると、包装袋1の強度が強くなり過ぎて、ロール製品5を取り出すための開封がしにくくなる。
【0035】
多層フィルムは、Tダイ方式、ラミネート方式等、一般に多用されている任意の製造方法によって製造する事ができる。インフレーション方式による製造方法は、フィルム状に製造できると同時に袋状にも形成出来るので、コスト面から望ましい。
【0036】
多層フィルムには、製袋加工、印刷、充填加工、等に対応した、静電防止剤、潤滑剤、紫外線吸収剤、着色剤、等の添加剤を1種以上配合する事ができる。
【0037】
(2)ロール製品パッケージ
本発明のロール製品パッケージは、本発明の包装袋に複数個のロール製品が収納されている。
【0038】
本発明のロール製品パッケージの具体例を
図2に示す。
図2において、本発明のロール製品パッケージ6は本発明の包装袋1に複数個のロール製品5が収納されているものである。
【0039】
図2は、縦横2列にロール製品5を並べ、それを上下方向にロール製品5のコア(巻芯)軸を揃えて3個重ね、合計12個のロール製品5を本発明の包装袋1に収納したロール製品パッケージ6の正面図である。本発明のロール製品パッケージ6は、
図2に示した例に限定されることはなく、任意のロール製品5を、任意の数だけ、任意の詰め方で、本発明の包装袋1に収納する事によって得ることができる。
【0040】
ロール製品5は、包装袋1の下端にある開口部21から収納される。その後、開口部21をヒートシールして封止される。
【0041】
本発明のロール製品パッケージ6に用いられるロール製品5は、香料付きトイレットペーパーやキッチンタオル等のロール製品である。特に香料付きトイレットペーパーが適している。
【0042】
香料付きトイレットペーパーは、トイレットペーパーのロール状紙管に直接香料を塗布する、ロール状紙管製造時の糊に香料を混合する、あるいは、ロールのエンドシールの糊に香料を混合する、等の公知の方法で製造される。
【0043】
香料付きトイレットペーパーの香料の添加量は、トイレットペーパーのロール1個当り0.05g以上であることが好ましい。0.05g以上とすることによって、従来の香料付きトイレットペーパーに比べて、香りの強度が強く、トイレで十分な芳香が得られる。
【0044】
以上詳述した様に、本発明の包装体及びロール製品パッケージは、前述の如き従来品が有する欠点が無く、優れた包装体及びロール製品パッケージである。
【実施例】
【0045】
以下に実施例により本発明を更に詳細に説明する。但し、本発明は以下の実施例により何ら制限されるものではない。
【0046】
(実施例1)
ガスバリア性樹脂フィルムとして厚さ3μmのエチレン・ビニルアルコール共重合樹脂(EVOH)フィルムを用い、ガスバリア性樹脂フィルムの両面の熱可塑性樹脂フィルムとして低密度ポリエチレン(PE)フィルムを用いて、厚さ30μmの本発明に関わる多層フィルムを製造した。このガスバリア性樹脂フィルム(EVOHフィルム)の厚さは、多層フィルムの厚さの10%に該当する。この多層フィルムの酸素透過度をJIS K7126に準拠して測定した。結果を表1に示す。
【0047】
また、この多層フィルムを用いて、
図1に示す本発明の包装袋を製造し、この包装袋の裂けの有無を評価した。結果を表1に示す。この包装袋に、ロール1個当り0.1gの香料付きトイレットペーパー12個を、
図2に示す様に開口部から収納した後、開口部をヒートシール法で封止して本発明のロール製品パッケージとした。このロール製品パッケージに収納された香料付きトイレットペーパーの香料の保存安定性及び移香性、開封容易性の評価を行った。結果を表1に示す。
【0048】
(
参考例2)
ガスバリア性樹脂フィルムとして厚さ3μmのナイロンフィルムを用いた他は、実施例
1と同様の方法で、本発明に関わる多層フィルム、本発明の包装袋、及び本発明のロール
製品パッケージを製造した。実施例1と同様に、多層フィルムの酸素透過度の測定、包装
袋の裂けの有無、香料の保存安定性及び移香性、開封容易性の評価を行った。結果を表1
に示す。
【0049】
(
参考例3)
ガスバリア性樹脂フィルムとして厚さ3μmのポリ塩化ビニリデン(PVDC)フィル
ムを用いた他は、実施例1と同様の方法で、本発明に関わる多層フィルム、本発明の包装
袋、及び本発明のロール製品パッケージを製造した。実施例1と同様に、多層フィルムの
酸素透過度の測定、包装袋の裂けの有無、香料の保存安定性及び移香性、開封容易性の評
価を行った。結果を表1に示す。
【0050】
(参考例4)
ガスバリア性樹脂として厚さ4.5μmのエチレン・ビニルアルコール共重合樹脂(E
VOH)フィルムを用いた他は、実施例1と同様の方法で、本発明に関わる多層フィルム
、本発明の包装袋、及び本発明のロール製品パッケージを製造した。このガスバリア性樹
脂フィルム(EVOHフィルム)の厚さは、多層フィルムの厚さの15%に該当する。実
施例1と同様に、多層フィルムの酸素透過度の測定、包装袋の裂けの有無、香料の保存安
定性及び移香性、開封容易性の評価を行った。結果を表1に示す。
【0051】
(比較例1)
実施例1の多層フィルムの代わりに、35μmの低密度ポリエチレンから成る単層フィルムを製造し、実施例1と同様の方法で、該単層フィルムを用いた包装袋、及び該包装袋に収納されたロール製品パッケージを製造し、実施例1と同様に、単層フィルムの酸素透過度の測定、包装袋の裂けの有無、香料の保存安定性及び移香性、開封容易性の評価を行った。結果を表1に示す。なお、単層フィルムの厚さは、表1の多層フィルムの厚さの欄に記載した。
【0052】
(酸素透過度)
酸素透過度は、JIS K 7126−1987(プラスチックフィルムおよびシートの気体透過度試験方法)に準拠した方法により測定した。
【0053】
(保存安定性)
保存安定性は、50℃の条件下にパッケージ製品を30日保管し、同条件の非包装ロールとの香りの強さを比較した。
◎:非常に優れている、○:優れている、×:劣る
【0054】
(移香性試験)
移香性試験は、50℃の条件下にパッケージ製品を保管し、天面にティシュペーパーの束(160組)を直接接触させ、その束の上に200gのおもりを乗せ、48hr静置した後、接触面のティシュ紙の香りを確認した。
○:移香が認められない、×:移香が認められる。
【0055】
(裂けの有無)
包装フィルムから製品の天面に幅3mmの切込みを入れ、持手部を持ち上下に製品を振った時に切れ込みが広がるか確認を行った。
切れ込みが広がるものは裂け有りとした。
【0056】
(開封容易性)
持手部中央の開封用ミシン目から包装フィルムを開封した時の取出し口の状態を確認した。
包装袋の裂けが横に広がり、取出し口が小さく形成されるものは開封容易性が有りとし、裂けが縦方向に広がり、取出し口から内容物が落下、あるいは露出するものは開封容易性無とした。
【0057】
【表1】
【0058】
表1に示す結果から、本発明の包装袋及びロール製品パッケージは、香料付きトイレットペーパーの香料の保存安定性に優れ、移香性が低いことが分かった。また、バリア層をEVOHで構成したことで、包装袋を横方向に小さく裂くことができるため、ロール製品の取出し口を小さく形成して、ロール製品に塵等が侵入しにくくなることが分かった。
【0059】
以上、実施形態を用いて本発明を説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されないことは言うまでもない。上記実施形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。またその様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0060】
1 包装袋
1A 熱可塑性樹脂フィルム
1B ガスバリア性樹脂フィルム
2 本体部
21 開口部
3 持手部
31 開封用のミシン目
32 シールライン
33 指掛け穴
34 取出し口
5 ロール製品
6 ロール製品パッケージ