(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
金属元素成分としてGa:28〜35原子%、Na:0.05〜15原子%を含有し、残部がCu及び不可避不純物からなる成分組成を有することを特徴とする請求項1に記載のCu−Ga二元系焼結体スパッタリングターゲット。
前記Naは、フッ化ナトリウム、硫化ナトリウム、セレン化ナトリウムのうち少なくとも1種のNa化合物の状態で含有されていることを特徴とする請求項2に記載のCu−Ga二元系焼結体スパッタリングターゲット。
Cu−Ga二元系ターゲット素地中に前記Na化合物が分散している組織を有すると共に、Na化合物の平均粒径が10μm以下であることを特徴とする請求項3に記載のCu−Ga二元系焼結体スパッタリングターゲット。
【背景技術】
【0002】
従来、CuGaスパッタリングターゲットは、いわゆるセレン(Se)化法によるCu−In−Ga−Se四元系合金膜(CIGS膜)を光吸収層に用いた太陽電池を製造するために、必須な材料である。なお、セレン化法とは、例えば、CuGaを約500nmスパッタリングし、その上に、In膜を約500nmの厚さにスパッタリングした積層膜を、500℃のH
2Seガス中で加熱し、SeをCuGaInに拡散させ、CuInGaSeの化合物膜を形成する方法である(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
従来、上記光吸収層形成に用いる高密度で高Ga含有のCuGaスパッタリングターゲットにおいて、特に、Gaが28原子%を超える場合、加工性に乏しい脆性のγ相の析出の割合が増加するため、高密度化したスパッタリングターゲットは、非常に硬く、かつ、延性が乏しい。特に、溶解鋳造による鋳造体の場合は、切削での表面加工時に割れや欠損が発生してしまうことから、切削加工が困難であり、研削加工を使用せざるを得ないという不都合があった。このため、ターゲットの加工速度が遅く、かつ、複雑形状の加工が非常に困難であった。
【0004】
そこで、Ga:30〜60質量%を含有し、残部がCuからなる成分組成を有するスパッタリングターゲットであって、Ga:30質量%以上を含有し、残部がCuからなる高Ga含有Cu−Ga二元系合金粒(高Ga相)を、Ga:15質量%以下の低Ga含有Cu−Ga二元系合金からなる粒界相(低Ga相)で包囲した二相共存組織を有した高Ga含有Cu−Ga二元系合金によるスパッタリングターゲットが提案されている(例えば、特許文献2を参照)。
この提案された高Ga含有Cu−Ga二元系合金スパッタリングターゲットでは、脆性のγ相を展延性に優れる低Ga相で包囲した上記二相共存組織を有することで、切削時に割れ又は欠損が生じず、良好な歩留まりが得られている。
【0005】
一方、Cu−In−Ga−Se四元系合金膜からなる光吸収層の発電効率を向上させるため、この光吸収層中に、ナトリウム(Na)を添加することが提案されている(例えば、特許文献2、非特許文献1を参照)。この提案では、プリカーサー膜(Cu−In−Ga−Se四元系合金膜)中のNa含有量を0.1%程度とすることが一般的であると示している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記従来の技術には、以下の課題が残されている。
上記特許文献2に記載のスパッタリングターゲットでは、切削によって表面加工しても割れや欠損が生じ難いが、高Ga相と低Ga相とのGa含有量の差が大きいため、高Ga相から低Ga相へのGa(或いは、低Ga相から高Ga相へのCu)が十分に拡散されていない状態であり、焼結があまり進行していない場合が多い。そのため、その焼結体は、比較的低密度となり、抗折強度が低いという不都合があった。また、低Ga含有Cu−Ga二元系合金粒のGa含有量を、上述した範囲より増やして高密度化を図ると、割れや欠損の発生を抑制する効果が低下してしまうことがわかった。
【0009】
本発明は、前述の課題に鑑みてなされたもので、機械加工性に優れ、さらには高密度で抗折強度が高い28原子%以上のGaを含有するCu−Ga二元系スパッタリングターゲット及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、表面仕上げのための切削時に割れや欠損が発生して不良品となることがないと共に高い抗折強度を有するCu−Ga二元系合金スパッタリングターゲットを製造するべく研究を行った。その結果、上記特許文献2に記載のスパッタリングターゲットとは異なる特定の低Ga含有Cu−Ga二元系合金相と高Ga含有Cu−Ga二元系合金相との共存組織を有するスパッタリングターゲットとすることで、良好な機械加工性と高い抗折強度とを両立可能であることを突き止めた。
【0011】
したがって、本発明は、上記知見から得られたものであり、前記課題を解決するために以下の構成を採用した。
即ち、本発明に係るCu−Ga二元系
焼結体スパッタリングターゲットは、Ga:28〜35原子%を含有し、残部がCu及び不可避不純物からなる成分組成を有し、さらに、Ga:26原子%以下を含有し、残部がCuからなる低Ga含有Cu−Ga二元系合金相を、Ga:28原子%以上の高Ga含有Cu−Ga二元系合金相で包囲し
、前記高Ga含有Cu−Ga二元系合金相の素地中に、前記低Ga含有Cu−Ga二元系合金相が分散された共存組織を有することを特徴とする。
【0012】
本発明のCu−Ga二元系
焼結体スパッタリングターゲットでは、Ga:28〜35原子%を含有し、残部がCu及び不可避不純物からなる成分組成を有し、さらに、Ga:26原子%以下を含有し、残部がCuからなる低Ga含有Cu−Ga二元系合金相(以下、低Ga合金相とも称す)を、Ga:28原子%以上の高Ga含有Cu−Ga二元系合金相(以下、高Ga合金相とも称す)で包囲した共存組織を有するので、切削時に割れや欠損が発生せず、高密度で高い抗折強度を有している。
【0013】
なお、Cu−Ga二元系
焼結体スパッタリングターゲット全体としてGaの含有量28〜35原子%とした理由は、35原子%を超えると、スパッタリングターゲットにおけるCu−Ga二元系合金相が単一相となってしまい、低Ga合金相と高Ga合金相とによる共存組織を得ることができないか、或いは、その共存組織を得ることができても、低Ga合金相が26原子%以上となり、この場合、低Ga合金相を高Ga合金相が包囲した組織になっているが、ともに加工性に乏しい合金相となってしまうため、切削加工時に割れが生じると共に、抗折強度も低下してしまう。また、低Ga含有Cu−Ga二元系合金相のGa含有量を26原子%以下とした理由は、26原子%を超えると、低Ga含有Cu−Ga二元系合金相が切削加工性の乏しいγ相になり、切削時に割れが生じ易くなるためである。
さらに、高Ga合金相のGa含有量を28原子%より多くする理由は、28原子%以下では、Cu−Ga二元系スパッタリングターゲット全体としてGa含有量28原子%以上の組成を得ることができないためである。
【0014】
また、本発明に係るCu−Ga二元系
焼結体スパッタリングターゲットでは、Cu−In−Ga−Se四元系合金膜からなる光吸収層の発電効率を向上させるため、この光吸収層中に、ナトリウム(Na)を添加することとして、光吸収層を成膜するのに用いられるCu−Ga二元系スパッタリングターゲット中に、Naを含有させた。
具体的には、Cu−Ga二元系
焼結体スパッタリングターゲット中の金属元素成分として、Ga:28〜35原子%、Na:0.05〜15原子%を含有し、残部がCu及び不可避不純物からなる成分組成を有するようにした。
さらには、前記Naは、フッ化ナトリウム(NaF)、硫化ナトリウム(NaS)、セレン化ナトリウム(Na
2Se)のうち少なくとも1種のNa化合物の状態で含有されていることを特徴とし、前記Na化合物は、Cu−Ga二元系
焼結体スパッタリングターゲット素地中に分散していると共に、Na化合物の平均粒径が10μm以下であることを特徴としている。
【0015】
ここで、Cu−Ga二元系スパッタリングターゲット中の金属元素成分の計算方法について説明する。
Na含有量及びGa含有量は、スパッタリングターゲットの金属成分全体に対するものであり、以下のように、ターゲット中のCu、Ga及びNaの各原子の和との比で計算される。
Na(原子%):Na/(Na+Cu+Ga)×100%
Ga(原子%):Ga/(Na+Cu+Ga)×100%
【0016】
本発明に係るCu−Ga二元系
焼結体スパッタリングターゲットでは、Na:0.05〜15原子%を含有させたが、このNa含有量の限定理由は、0.05原子%未満では、CIGS膜が形成された際に、太陽電池における変換効率の向上の効果が得られないためであり、15原子%を超えると、Na化合物を起点としてターゲット割れが発生するためである。さらに、Na化合物の平均粒径が10μm以下であると、スパッタリング時における異常放電の発生を低減できる。
【0017】
上述した本発明に係るCu−Ga二元系
焼結体スパッタリングターゲットを製造する方法は、Ga:28原子%を超えてかつ75原子%以下含有し、残部がCuからなる高Ga含有Cu−Ga二元系合金粉末に、純銅粉末またはGa:26原子%以下を含み、残部がCuからなる低Ga含有Cu−Ga二元系合金粉末を、Ga:28〜35原子%を含有し、残部がCuからなる成分組成となるように配合し混合して混合粉末を作製する工程と、該混合粉末を非酸化若しくは還元性雰囲気中でホットプレス又は熱間等方加圧焼結、常圧焼結により焼結させる工程と、該ホットプレス又は焼結工程で得られGa:28〜35原子%を含有し、残部がCuからなる成分組成を有する焼結体の表面を切削する工程とを有している。さらに、前記混合粉末中の前記高Ga含有Cu−Ga二元系合金粉末を15%以上85%以下配合し、前記高Ga含有Cu−Ga二元系合金粉末の平均粒径が250μm以下であると共に、前記純銅粉末又は低Ga含有Cu−Ga二元系合金粉末の平均粒径が125μm以下であり、前記高Ga含有Cu−Ga二元系合金粉末の平均粒径が前記純銅粉末又は低Ga含有Cu−Ga二元系合金粉末の平均粒径よりも大きく設定され、前記非酸化若しくは還元性雰囲気中でホットプレス又は熱間等方加圧焼結、常圧焼結により焼結する時の保持温度を、前記混合粉末の融点から200℃低い温度と前記融点から50℃低い温度との間に設定することを特徴とする。なお、混合粉末の融点とは、前記高Ga含有Cu−Ga二元系合金粉末と、前記純銅粉末又は低Ga含有Cu−Ga二元系合金粉末とを混合させて得られる全体のGa組成に対する融点である。
【0018】
この本発明に係るCu−Ga二元系
焼結体スパッタリングターゲットの製造方法によれば、Ga:26原子%以下を含有し、残部がCuからなる低Ga含有Cu−Ga二元系合金相を、Ga:28原子%以上の高Ga含有Cu−Ga二元系合金相で包囲した共存組織を有する高密度なスパッタリングターゲットを作製することができる。ここで、この共存組織とは、Ga:26原子%以下を含有し、残部がCu及び不可避不純物からなる低Ga含有Cu−Ga二元系合金相を、Ga:28原子%以上の高Ga含有Cu−Ga二元系合金相で包囲しており、高Ga含有Cu−Ga二元系合金相の素地中に、低Ga含有Cu−Ga二元系合金相が分散された状態である。
【0019】
なお、高Ga含有Cu−Ga二元系合金粉末の配合量が、15%未満か、或いは、85%を超えると、Cu−Ga二元系合金が単一相組織となり、加工性と抗折強度とが低下するためである。
また、非酸化若しくは還元性雰囲気中でホットプレス又は熱間等方加圧焼結、常圧焼結により焼結する時の保持温度を上記温度範囲とした理由は、混合粉末の融点から200℃低い温度よりも低く設定すると、十分な密度が得られないためであり、前記融点から50℃低い温度よりも高く設定すると、昇温時に混合粉末が溶解してしまうためである。
さらに、高Ga含有Cu−Ga二元系合金粉末におけるGa含有量を75原子%以下とした理由は、Ga含有量が75原子%を超えると、加圧昇温中に、Gaが溶け出してしまうためである。
【0020】
上記した本発明に係るCu−Ga二元系
焼結体スパッタリングターゲットの製造方法では、さらに、前記高Ga含有Cu−Ga二元系合金粉末が、Ga:45原子%以上を含有していることを特徴とする。
即ち、このCu−Ga二元系スパッタリングターゲットの製造方法では、高Ga含有Cu−Ga二元系合金粉末におけるGa含有量を、45原子%以上とすることにより、金属成分の調整をしやすくしている。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、以下の効果を奏する。
即ち、本発明に係るCu−Ga二元系
焼結体スパッタリングターゲット及びその製造方法によれば、上記低Ga含有Cu−Ga二元系合金相を、上記高Ga含有Cu−Ga二元系合金相で包囲した共存組織を有するので、切削時に割れや欠損が発生せず、高い密度及び抗折強度を有している。したがって、本発明のスパッタリングターゲットでは、切削での表面加工が容易であり、スパッタリングターゲットの加工速度が早く、かつ複雑形状の加工も容易となる。また、高密度で抗折強度が高いため、スパッタ時の熱衝撃に強く、ターゲットの割れ等を抑制することができる。
【0022】
また、本発明に係るCu−Ga二元系スパッタリングターゲットには、Na成分が含有されているので、Cu−In−Ga−Se四元系合金膜からなる太陽電池における光吸収層の形成の際に、このCu−Ga二元系スパッタリングターゲットをスパッタリング成膜に利用すれば、この光吸収層中に、ナトリウム(Na)を添加することができ、その発電効率を向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明に係るCu−Ga二元系スパッタリングターゲット及びその製造方法について、第1の実施形態と第2の実施形態とに分けて説明する。なお、第1の実施形態は、低Ga含有Cu−Ga二元系合金相を、高Ga含有Cu−Ga二元系合金相で包囲した共存組織を有する場合であり、第2の実施形態は、この共存組織を有するCu−Ga二元系スパッタリングターゲットにNa又はNa化合物を含有させた場合である。
【0025】
〔第1の実施形態〕
第1の実施形態によるCu−Ga二元系スパッタリングターゲットは、Ga:28〜35原子%を含有し、残部がCu及び不可避不純物からなる成分組成を有し、さらに、Ga:26原子%以下を含有し、残部がCu及び不可避不純物からなる低Ga含有Cu−Ga二元系合金相を、Ga:28原子%以上の高Ga含有Cu−Ga二元系合金相で包囲した共存組織を有している。
なお、この共存組織は、例えば、
図1及び
図2に示すように、電子線マイクロアナライザ(EPMA)によるCu及びGa元素マッピング像により観察できる。
【0026】
図1及び
図2に示された具体例によるCu−Ga二元系スパッタリングターゲットは、密度が90%以上であり、抗折強度が200MPa以上を有している場合である。なお、上記密度は、鋳造体の密度を100%として換算したものである。
なお、抗折強度(破断点)については、Cu−Ga二元系スパッタリングターゲットとして、3×4×35mmの試験片を作成し、測定装置:島津製作所製オートグラフ:AG−Xを用いて、押し込み速度0.5mm/minで応力曲線を測定し、弾性領域の最大点応力を測定することで求めた。
【0027】
上記本実施形態のCu−Ga二元系スパッタリングターゲットを製造する方法は、Ga:28原子%を超えてかつ75原子%以下含有し、残部がCuからなる高Ga含有Cu−Ga二元系合金粉末に、純銅粉末、又は、Ga:26原子%以下を含み、残部がCuからなる低Ga含有Cu−Ga二元系合金粉末を、Ga:28〜35原子%を含有し、残部がCuからなる成分組成となるように配合し混合して混合粉末を作製する工程と、該混合粉末を非酸化若しくは還元性雰囲気中でホットプレス又は熱間等方加圧焼結、常圧焼結により焼結させる工程と、該焼結工程で得られGa:28〜35原子%を含有し、残部がCuからなる成分組成を有する焼結体の表面を切削する工程と、を有している。
【0028】
また、上記非酸化若しくは還元性雰囲気中でホットプレス又は熱間等方加圧焼結、常圧焼結により焼結する時の保持温度は、混合粉末の融点から200℃低い温度と前記融点から50℃低い温度との間に設定している。なお、混合粉末の融点とは、高Ga含有Cu−Ga二元系合金粉末と、純銅粉末、又は、低Ga含有Cu−Ga二元系合金粉末とを混合させて得られる全体のGa組成に対する融点である。上記融点の測定条件は、窒素雰囲気中で昇温速度10℃/minとした場合である。
また、高Ga含有Cu−Ga二元系合金粉末と、純銅粉末又は低Ga含有Cu−Ga二元系合金粉末との混合比率は、高Ga含有Cu−Ga二元系合金粉末が15%以上85%以下である。また、高Ga原料粉末の平均粒径は250μm以下であると共に、純銅粉末又は低Ga原料粉末の平均粒径は125μm以下である。さらに、高Ga原料粉末の平均粒径を、純銅粉末又は低Ga原料粉末の平均粒径よりも大きくしている。
なお、高Ga含有Cu−Ga二元系合金粉末は、Ga:45原子%以上を含有していることが好ましい。
【0029】
この平均粒径の測定方法は、ヘキサメタリン酸ナトリウム濃度0.2%の水溶液を調製し、合金粉末を適量加え、測定装置:日機装株式会社製Microtrac MT3000を用いて合金粉の粒度分布を測定し、平均粒径を求めた。
なお、高Ga含有Cu−Ga二元系合金粉末に添加し混合する原料粉末としては、低Ga含有Cu−Ga二元系合金粉末よりも純銅粉末であることが好ましい。また、高Ga含有Cu−Ga二元系合金粉末と低Ga含有Cu−Ga二元系合金粉末とは、それぞれ単一組成粉に限らず、複数の組成の粉を用いてもよい。
【0030】
このように、本実施形態のCu−Ga二元系スパッタリングターゲットでは、Ga:28〜35原子%を含有し、残部がCu及び不可避不純物からなる成分組成を有し、さらに、Ga:26原子%以下を含有し、残部がCu及び不可避不純物からなる低Ga含有Cu−Ga二元系合金相(以下、低Ga合金相とも称す)を、Ga:28原子%以上の高Ga含有Cu−Ga二元系合金相(以下、高Ga合金相とも称す)で包囲した共存組織を有するので、切削時に割れや欠損が発生せず、高密度で高い抗折強度を有している。
【0031】
また、本実施形態のCu−Ga二元系合金スパッタリングターゲットの製造方法では、混合粉末中の高Ga含有Cu−Ga二元系合金粉末を15%以上85%以下配合し、非酸化若しくは還元性雰囲気中でホットプレス又は熱間等方加圧焼結、常圧焼結により焼結する時の保持温度を、混合粉末の融点から200℃低い温度と前記融点から50℃低い温度との間に設定し、高Ga原料粉末の平均粒径が250μm以下であると共に低Ga原料粉末の平均粒径が125μm以下であり、高Ga原料粉末の平均粒径が低Ga原料粉末の平均粒径よりも大きく設定されているので、Ga:26原子%以下を含有し、残部がCuからなる低Ga含有Cu−Ga二元系合金相を、Ga:28原子%以上の高Ga含有Cu−Ga二元系合金相で包囲した共存組織を有する高密度なターゲットを作製することができる。
【0032】
(実施例)
次に、以下に、第1の実施形態に係るCu−Ga二元系スパッタリングターゲットの実施例について、上記した製造方法の手順に基づき作製し、評価した結果を説明する。
【0033】
<原料粉末の作製>
まず、本発明の実施例に用いる原料粉としては、下記の表1に示される組成及び平均粒径を有する高Ga含有Cu−Ga二元系合金粉末及び低Ga含有Cu−Ga二元系合金粉末を用意した。これらの合金粉末は、4N(純度99.99%)のCu金属塊と4N(純度99.99%)のGa金属塊とを指定の組成比となるように秤量し、それぞれをカーボン坩堝に充填して溶解して、Arガスによるガスアトマイズ法により、Ga含有量が調整されて作製されたものである。そのGa含有量は、表1の「原料粉」欄における「Ga量(原子%)」欄に示されている。
【0034】
次に、これら作製された高Ga含有Cu−Ga二元系合金粉末と、低Ga含有Cu−Ga二元系合金粉末又は純銅粉末とを、表1の「高Ga粉と低Ga粉の配合比率(%)」欄に示される配合比率で混合して混合粉末(実施例1〜14)を作製した。低Ga含有Cu−Ga二元系合金粉末の代わりに、純銅粉末を用いた場合、同欄には、その比率を記した。これらの粉末の混合では、ヘンシェルミキサーを用い、Ar雰囲気下、回転数2800rpmで1分間混合した。
【0035】
<パッタリングターゲットの作製、評価>
このように作製した実施例1〜14の混合粉末を用いて、表1の「焼結条件」欄に示される条件に従い、真空ホットプレス法、常圧焼結法又は熱間等方加圧焼結法にて焼結し、得られたスパッタリングターゲットの表面部と外周部とを旋盤加工し、直径50mm、厚み6mmの実施例1〜14のCu−Ga二元系スパッタリングターゲットを作製した。なお、実施例4、6、8〜11、14のCu−Ga二元系スパッタリングターゲットの作製おいては、低Ga含有Cu−Ga二元系合金粉末の代わりに、純銅粉末を用いており、表1の「低Ga含有Cu−Ga粉」における「Ga(原子%)」欄には、「0」と表記した。
【0036】
また、実施例1〜14のCu−Ga二元系スパッタリングターゲットに関し、ターゲット全体におけるGa量(原子%)が、表2の「金属成分の組成(原子%)」欄に、そして、高Ga含有Cu−Ga二元系合金相におけるGa量(原子%)が、表2の「高Ga相」欄に、さらに、低Ga含有Cu−Ga二元系合金相におけるGa量(原子%)が、表2の「低Ga相」欄にそれぞれ示されている。
【0037】
さらに、実施例1〜14のCu−Ga二元系スパッタリングターゲットについて、ターゲット密度を算出した結果を、表2の「密度」欄に示した。
この密度としては、焼結体の寸法から算出した体積と重量とを用いて寸法密度(g/cm
3)を計算した。さらに、鋳造体の密度を100%とした場合の相対密度(%)を算出した。
なお、Cu−Ga合金の相対密度については、Cu−Ga合金の鋳造体の密度を真密度として計算した。具体的には、例えば、Cu−Ga合金組成のGaが28原子%以上33原子%以下の場合は、Gaが30原子%の鋳造体(比較例20)で得られた密度8.55g/cm
3を、Gaが33原子%より大きく35原子%以下の場合は、Gaが35原子%の鋳造体(比較例21)で得られた密度8.43g/cm
3とした。粉末焼結によって得られた密度を上記の真密度で割ることで、相対密度を計算した。
【0038】
また、本発明の実施例では、酸化若しくは還元性雰囲気中でホットプレス又は熱間等方加圧焼結、常圧焼結により焼結する時の保持温度を混合粉末の融点から200℃低い温度と前記融点から50℃低い温度との間に設定している。すなわち、混合粉末全体としてのGa含有量が30原子%のときの融点は830℃であるので、保持温度は630〜780℃の範囲内に設定されている。また、混合粉末全体としてのGa含有量が35原子%のときの融点は800℃であるので、保持温度は600〜750℃の範囲内に設定されている。なお、Cu−Ga合金の融点については、Cu−Ga合金組成のGaが28原子%以上30原子%以下の場合には、830℃、Cu−Ga合金組成のGaが30原子%より大きく35原子%以下の場合には、800℃、Cu−Ga合金組成のGaが35原子%より大きく40原子%以下の場合には、760℃、Cu−Ga合金組成のGaが40原子%より大きく80原子%以下の場合には、256℃とした。また、混合粉末の融点とは、高Ga含有Cu−Ga二元系合金粉末と、純銅粉末又は低Ga含有Cu−Ga二元系合金粉末とを混合させて得られる全体のGa組成に対する融点である。上記融点の測定条件は、窒素雰囲気中で昇温10℃/minとしている。
【0039】
さらに、Cu−Ga二元系スパッタリングターゲットのEPMAによる組織観察を行い、その結果を、表2の「組織」欄に示した。この「組織」欄では、低Ga相を高Ga相が包囲している二相共存組織を「A」とし、逆に、高Ga相を低Ga相が包囲している組織を「B」とし、単一相組織を「C」とし、さらに、鋳造組織を「D」として表記した。また、ターゲット表面の切削加工を行い、その際の割れ又は欠損の有無を調べた結果も、表2の「切削時割れの有無」欄に示した。ここでは、割れ又は欠損が発生しなかった場合を「無」と、割れ又は欠損が発生した場合を「有」と、それぞれ表記した。さらに、抗折強度についても測定した結果を、表2の「抗折強度(MPa)」欄に示した。なお、抗折強度(破断点)の測定にあたっては、3×4×35mmの試験片を作成し、測定装置である島津製作所製オートグラフ:AG−Xを用いて、押し込み速度0.5mm/minで応力曲線を測定し、弾性領域の最大点応力(MPa)を測定することで求めた。
【0040】
(比較例)
なお、比較例として、表1に示されるように、高Ga含有Cu−Ga二元系合金相又は低Ga含有Cu−Ga二元系合金相のGa量又は平均粒径を、本発明の範囲外に設定した比較例1〜4と、原料粉末の配合比率を本発明の範囲外に設定した比較例5〜7と、ホットプレス温度を本発明の範囲外に設定した比較例8〜11及び比較例15、16と、ターゲット全体の組成のうちGa含有量を本発明の範囲外に設定した比較例12〜14と、常圧焼結又は熱間等方加圧焼結を用いて本発明の範囲外に設定した比較例17〜19と、鋳造法による比較例20、21と、を作製し、上記実施例の場合と同様に評価を行った。なお、比較例2、5、7、8、12、14、15、17、19のCu−Ga二元系スパッタリングターゲットの作製おいては、低Ga含有Cu−Ga二元系合金粉末の代わりに、純銅粉末を用いており、表1の「低Ga含有Cu−Ga粉」における「Ga(原子%)」欄には、「0」と表記した。また、比較例17の常圧焼結は、大気中で行われた。
【0041】
比較例1〜21のCu−Ga二元系スパッタリングターゲットに関する評価結果を表2に示した。なお、比較例20、21の場合には、表1に示す成分組成を有するCu−Ga二元系溶湯を作製し、得られたCu−Ga二元系溶湯を鋳型に鋳造してインゴットを作製し、このインゴットの表面を切削してスパッタリングターゲットに仕上げた。なお、比較例1、2、8、10は、昇温中に溶解してしまったため、上記評価を行っていない。
【0044】
以上に示された結果から、実施例1〜14のCu−Ga二元系スパッタリングターゲットのいずれも、ターゲット組織が低Ga合金相を高Ga合金相が包囲している共存組織(表2中の「A」)であり、切削時の割れが無いと共に、90%以上の高密度と、200MPa以上の高い抗折強度とが得られたことが分かる。
これに対して、低Ga相を高Ga合金相が包囲している組織(組織「A」)を有しているが、低Ga合金相のGa含有量が高い比較例3、12、14、19では、切削時に割れが生じてしまい、抗折強度も200MPa未満であった。また、高Ga合金相を低Ga合金相が包囲している組織(組織「B」)を有した比較例4、9、11、15、16では、切削時の割れは無いが、密度が低く、抗折強度も200MPa未満であった。また、単一相組織(組織「C」)を有した比較例5、6、7、13、18は、切削時の割れが有り、抗折強度も200MPa未満であった。さらに、鋳造体である比較例20、21では、鋳造組織(組織「D」)であり、高い抗折強度が得られているが、切削時に割れが生じてしまった。なお、比較例17は、焼結体内部まで酸化が進行し、Cu−Ga二元系スパッタリングターゲットとしての機能を果たさなかった。
【0045】
なお、本発明の具体例であるCu−Ga二元系スパッタリングターゲットの組織について日本電子株式会社製電子線プローブマイクロアナライザ(EPMA)(JXA−8500F)による組成像(COMPO像)、Cuの元素マッピング像及びGaの元素マッピング像を
図1及び
図2に示す。なお、このEPMAの元素マッピング像は、いずれも元画像がカラー像であるが、グレースケールによる白黒画像に変換して記載しており、明度が高い程、含有量が高い傾向にある。
【0046】
この実施例のターゲットは、Ga:30原子%を含有し、残部がCu及び不可避不純物からなる成分組成を有したもので、ホットプレス条件が、保持温度:740℃、保持時間:1時間、圧力:200kgf/cm
2(19.6MPa)であり、真空雰囲気中で行った。
また、この実施例のターゲットは、密度が8.5g/cm
3であり、抗折強度が374MPaである。
【0047】
なお、比較例として、Ga:30原子%を含有し、残部がCu及び不可避不純物からなる成分組成を有したもので、ホットプレス条件が、保持温度:200℃、保持時間:1時間、圧力:600kgf/cm
2(約60MPa)であり、真空雰囲気中で行った。また、この比較例のターゲットは、密度が7.23g/cm
3であり、抗折強度が137.0MPaである。この比較例のターゲットの組織についても、EPMAによる組成像(COMPO像)、Cuの元素マッピング像及びGaの元素マッピング像を
図3に示す。
【0048】
上記組織観察の結果により、本発明の実施例のターゲットは、低Ga含有Cu−Ga二元系合金相を、高Ga含有Cu−Ga二元系合金相で包囲した共存組織を有していることがわかる。
これに対して比較例のターゲットでは、高Ga含有Cu−Ga二元系合金相を、低Ga含有Cu−Ga二元系合金相で包囲した共存組織を有していることがわかる。
【0049】
〔第2の実施形態〕
上述したように、第1の実施形態によるCu−Ga二元系スパッタリングターゲットは、低Ga含有Cu−Ga二元系合金相を、高Ga含有Cu−Ga二元系合金相で包囲した共存組織を有する場合であったが、第2の実施形態によるCu−Ga二元系スパッタリングターゲットは、この共存組織を有する第1の実施形態によるCu−Ga二元系スパッタリングターゲットにNa又はNa化合物を含有させた。
【0050】
(実施例)
本発明の実施例に用いる原料粉としては、第2の実施形態の場合と同様に作製された高Ga含有Cu−Ga二元系合金粉末及び低Ga含有Cu−Ga二元系合金粉末を用いることができ、下記の表3に示される組成及び平均粒径を有する高Ga含有Cu−Ga二元系合金粉末及び低Ga含有Cu−Ga二元系合金粉末を用意した。そのGa含有量は、表3の「原料粉」欄における「Ga量(原子%)」欄に示されている。ここで、低Ga含有Cu−Ga二元系合金粉末の代わりに、純銅粉末を用いた場合には、表3の「低Ga含有Cu−Ga粉」における「Ga(原子%)」欄には、「0」と表記した。
【0051】
次に、高Ga含有Cu−Ga二元系合金粉末と低Ga含有Cu−Ga二元系合金粉末又は純銅粉末とを、表3の「高Ga粉と低Ga粉の配合比率(%)」欄に示される配合比率で秤量し、ナトリウム(Na)化合物粉を、表3の「Na添加量(%)」欄に示されるNa添加量となるように秤量し、さらに、ナトリウム(Na)化合物粉を、表3の「Na添加量(%)」欄に示されるNa添加量となるように秤量し、これら秤量された粉末を合わせ、第1の実施形態の場合と同様に混合して混合粉末(実施例15〜20)を作製した。さらに、高Ga含有Cu−Ga二元系合金粉末と低Ga含有Cu−Ga二元系合金粉末又は純銅粉末とを、表3の「高Ga粉と低Ga粉の配合比率(%)」欄に示される配合比率で秤量し、Na化合物と銅(Cu)とからなるNa含有Cu粉を、表3の「Na添加量(%)」欄に示されるNa添加量となるように秤量し、これらを合わせて混合して混合粉末(実施例21〜23)を作製した。ここで、上記のNa化合物粉末には、フッ化ナトリウム(NaF)粉末、硫化ナトリウム(NaS)粉末、セレン化ナトリウム(Na
2Se)粉末のうちから、少なくとも1種が選択され、Na化合物の純度は、2N(99%)である。なお、実施例15での焼結は、100%H2雰囲気で、実施例16での焼結は、97%N2 3%H2雰囲気でそれぞれ行われた。
【0052】
このように作製した実施例15〜23の混合粉末を用いて、表3の「焼結条件」欄に示される条件に従い、真空ホットプレス法、常圧焼結法又は熱間等方加圧焼結法にて焼結し、得られたスパッタリングターゲットの表面部と外周部とを旋盤加工し、直径50mm、厚み6mmの実施例15〜23のCu−Ga二元系スパッタリングターゲットを作製した。なお、実施例16、17、20、22のCu−Ga二元系スパッタリングターゲットの作製おいては、低Ga含有Cu−Ga二元系合金粉末の代わりに、純銅粉末を用いており、表3の「低Ga含有Cu−Ga粉」における「Ga(原子%)」欄には、「0」と表記した。
【0053】
また、実施例15〜23のCu−Ga二元系スパッタリングターゲットに関し、ターゲット全体におけるGa量(原子%)が、表4の「金属成分の組成(原子%)」欄に、そして、高Ga含有Cu−Ga二元系合金相におけるGa量(原子%)が、表4の「高Ga相」欄に、さらに、低Ga含有Cu−Ga二元系合金相におけるGa量(原子%)が、表4の「低Ga相」欄にそれぞれ示されている。
さらに、実施例15〜23のCu−Ga二元系スパッタリングターゲットについて、ターゲット密度を算出した結果を、表4の「密度」欄に示した。なお、この算出の仕方は、第1の実施形態の場合と同様である。
【0054】
さらに、第1の実施形態の場合と同様にして、実施例15〜23のCu−Ga二元系スパッタリングターゲットについて、Na化合物の平均粒径の測定、EPMAによる組織観察、欠損の有無、抗折強度の測定、異常放電回数の測定を行い、それらの結果を、表4の「Na化合物平均粒径(μm)」欄、「組織」欄、「切削時割れの有無」欄、「抗折強度(MPa)」欄、「異常放電回数(/h)」欄にそれぞれ示した。
【0055】
なお、Na化合物の平均粒径の測定では、得られた実施例15〜23の焼結体について、EPMAにより、500倍のCOMPO像(60μm×80μm)10枚を撮影し、これら10枚の画像におけるNa化合物の粒径を計測して、平均粒径を算出した。
また、異常放電回数の測定では、得られた実施例15〜23の焼結体を、直径:152.4mm、厚さ:6mmに加工して、スパッタリングターゲットを作製した。各スパッタリングターゲットについて、マグネトロンスパッタ装置を用いて、スパッタリング時における異常放電の評価を行った。スパッタ電力密度は、直流の5W/cm
2、スパッタリング時のAr流量は、50sccm、圧力は、0.67Paとし、1時間(h)の連続スパッタリング中での異常放電の発生回数をスパッタ電源(mks社製RGB−50)に付属したアーキングカウンターにより記録した。
【0056】
(比較例)
比較例として、表3に示されるように、高Ga含有Cu−Ga二元系合金相又は低Ga含有Cu−Ga二元系合金相の平均粒径を、本発明の範囲外に設定した比較例22〜24のCu−Ga二元系スパッタリングターゲットと、常圧焼結を用いて本発明の範囲外に設定した比較例25のCu−Ga二元系スパッタリングターゲットとを作製し、上記実施例の場合と同様に評価を行った。なお、比較例22〜24のCu−Ga二元系スパッタリングターゲットの作製おいては、低Ga含有Cu−Ga二元系合金粉末の代わりに、純銅粉末を用いており、表3の「低Ga含有Cu−Ga粉」における「Ga(原子%)」欄には、「0」と表記した。
【0057】
比較例22〜25のCu−Ga二元系スパッタリングターゲットに関する評価結果を表4に示した。なお、比較例22の場合には、加圧昇温中に溶け出しが発生したため、上記評価を行えなかった。また、比較例25の場合には、焼結体内部まで酸化が進行し、Cu−Ga二元系スパッタリングターゲットとして機能を果たせなかったため、上記評価を行っていない。
【0060】
以上に示された結果から、実施例22〜25のCu−Ga二元系スパッタリングターゲットのいずれも、ターゲット中にNaが添加されても、ターゲット組織が低Ga合金相を高Ga合金相が包囲している共存組織(表4中の「A」)であり、切削時の割れが無いと共に、90%以上の高密度と、200MPa以上の高い抗折強度とが得られ、スパッタリング時の異常放電の発生を低減できたことが分かる。
【0061】
これに対して、比較例22では、高Ga相を高Ga合金粉の平均粒径が大きいため、加圧昇温中に、Gaの溶け出しが発生し、所期のターゲット特性が得られなかった。比較例23、24では、高Ga合金相を低Ga合金相が包囲している組織(組織「B」)を有しており、切削時の割れは無いが、密度が低く、抗折強度も200MPa未満であって、Na化合物の平均粒径が大きいため、スパッタリング時の異常放電が多発した。また、比較例25は、焼結体内部まで酸化が進行し、Cu−Ga二元系スパッタリングターゲットとしての機能を果たさなかった。
【0062】
なお、本発明を、スパッタリングターゲットとして利用するためには、面粗さRa:1.5μm以下、電気抵抗:10
−4Ω・cm以下、金属系不純物濃度:0.1原子%以下であることが好ましい。上記各実施例は、いずれもこれらの条件を満たしたものである。
また、本発明の技術範囲は上記実施形態および上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。