(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
機器との接続側に開口する第1の開口と、前記機器と導通される導電部材が前記機器との接続方向と交差する方向に引き出される第2の開口と、を有する収容空間が内部に設けられたハウジングと、
前記機器との接続方向と前記導電部材の引き出し方向との各々に伸びる形状をなして前記収容空間内に配され、前記収容空間内で前記導電部材を覆うシールドシェルと、を備え、
前記シールドシェルは、直線状に伸びる形状をなし、前記第1の開口から前記収容空間内に収容される第1シェル部材と、直線状に伸びる形状をなし、前記第2の開口から前記収容空間内に収容される第2シェル部材と、が前記収容空間内で組み付けられてなるコネクタ。
前記収容空間は、前記機器との接続側とは反対側に設けられ、前記第1シェル部材と前記第2シェル部材との組み付け部を臨む位置に開口する第3の開口をさらに有する、請求項1または請求項2に記載のコネクタ。
直線状に伸びる形状をなす第1シェル部材と、直線状に伸びる形状をなす第2シェル部材と、が互いに直交する姿勢で該第1シェル部材の一端部と該第2シェル部材の一端部とが組み付けられてなるシールドシェル。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、管状をなす上記のシールド接続構造は、その両端部がそれぞれ第1シールド層と第2シールド層に接続されるようになっており、第1シールド層との接続方向と第2シールド層との接続方向とが平行となっている。このように2つの接続方向が平行するコネクタは、例えばコネクタの一方の接続側を機器等に接続し、他方の接続側から信号線等の導電部材を引き出そうとすると、機器との接続方向におけるコネクタの幅が大きくなる。さらに、コネクタの他方の接続側から伸びる導電部材の引き回しを考慮すると、上記機器との接続方向において、コネクタを配置するために十分なスペースが必要となる。
【0005】
本明細書で開示される技術は、上記の課題に鑑みて創作されたものであって、ハウジング内にシールドシェルが収容された構成を実現しながら、省スペース化を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書で開示される技術は、機器との接続側に開口する第1の開口と、前記機器と導通される導電部材が前記機器との接続方向と交差する方向に引き出される第2の開口と、を有する収容空間が内部に設けられたハウジングと、前記機器との接続方向と前記導電部材の引き出し方向との各々に伸びる形状をなして前記収容空間内に配され、前記収容空間内で前記導電部材を覆うシールドシェルと、を備え、前記シールドシェルは、直線状に伸びる形状をなし、前記第1の開口から前記収容空間内に収容される第1シェル部材と、直線状に伸びる形状をなし、前記第2の開口から前記収容空間内に収容される第2シェル部材と、が前記収容空間内で組み付けられてなるコネクタに関する。
【0007】
上記のコネクタは、機器との接続方向と導電部材の引き出し方向とが交差する、いわゆる略L型のコネクタとされる。また、上記のコネクタは、その製造過程において、略L型のシールドシェルをハウジングの収容空間内に収容することで製造することができる。即ち、互いに交差する方向に開口する2つの開口(第1の開口、第2の開口)が設けられたハウジングに対して、収容空間内に上記導電部材を収容し、直線状に伸びる第1シェル部材を第1の開口から導電部材を覆う形で収容するとともに直線状に伸びる第2シェル部材を第2の開口から導電部材を覆う形で収容する。その後、収容空間内で第1シェル部材の一端部と第2シェル部材の一端部とを組み付ける。その結果、シェル内蔵型の略L字型のコネクタを実現することができる。
【0008】
このようにして製造された上記のコネクタは、第1の開口が設けられた側を機器に接続させるとともに、第2の開口側に既存の直線状のコネクタを接続した状態で、機器との接続方向と交差する方向から導電部材を引き出すことができる。このため、上記のコネクタは、機器との接続方向における幅を抑えることができ、例えば機器との接続方向と平行な方向に導電部材が引き出される従来のシェル内蔵型のコネクタと比べて、機器との接続方向において省スペース化を図ることができる。このように上記のコネクタは、ハウジング内にシールドシェルが収容された構成を実現しながら、省スペース化を図ることができる。
【0009】
上記のコネクタにおいて、前記第1シェル部材と前記第2シェル部材とのいずれか一方に、係合部が設けられ、前記第1シェル部材と前記第2シェル部材とのいずれか他方に、前記第1の開口から前記収容空間内に前記第1シェル部材が収容されるとともに前記第2の開口から前記収容空間内に前記第2シェル部材が収容されることで、前記係合部に係合される被係合部が設けられてもよい。
【0010】
この構成によると、コネクタの製造過程において、第1の開口から第1シェル部材を収容するとともに第2の開口から第2シェル部材を収容することで、係合部が被係合部に係合し、両シェル部材の組み付け作業を別途行うことなく、両シェル部材をハウジング内で組み付けることができる。このため、シールドシェルの組み付け易さを向上させることができる。
【0011】
上記のコネクタにおいて、前記収容空間は、前記機器との接続側とは反対側に設けられ、前記第1シェル部材と前記第2シェル部材との組み付け部を臨む位置に開口する第3の開口をさらに有してもよい。
【0012】
この構成によると、コネクタの製造過程において、第3の開口から治具等を用いることで、例えば第1シェル部材と第2シェル部材とをビス留め等により強固に組み付けができ、またそのビス留めを解除することができる。また、第3の開口から治具等を用いることで、例えばハウジングの収容空間内に係合された第1シェル部材または第2シェル部材の係合を解除することができる。このため、ハウジングに対する第1シェル部材及び第2シェル部材の取付作業及び取り外し作業における作業性を向上させることができる。
【0013】
上記のコネクタにおいて、前記導電部材は、その一部が屈曲することで前記機器との接続方向と前記導電部材の引き出し方向との各々に伸びるバスバーとされ、前記第1シェル部材には、前記収容空間内に収容された状態で、少なくとも前記第2シェル部材との組み付け部において前記第2の開口側に開放された切り欠きが設けられ、前記第2シェル部材には、前記収容空間内に収容された状態で、少なくとも前記第1シェル部材との組み付け部において前記第1の開口側に開放された切り欠きが設けられていてもよい。
【0014】
仮に第1シェル部材と第2シェル部材とを組み付けた状態で両シェル部材の組付け部において、第1の開口側及び第2の開口側が開放されていなければ、機器との接続方向と導電部材の引き出し方向との各々に伸びるように屈曲するバスバーを両シェル部材に覆われた形で収容空間内に配置させることができない。上記の構成によると、第1シェル部材と第2シェル部材の各々に上記切り欠きが設けられていることで、上記屈曲するバスバーをシールドシェルに干渉させることなく収容空間内に配置することができ、略L型のシールドシェルが内蔵された略L型のコネクタを実現するための具体的な構成を提供することができる。
【0015】
本明細書で開示される他の技術は、直線状に伸びる形状をなす第1シェル部材と、直線状に伸びる形状をなす第2シェル部材と、が互いに直交する姿勢で該第1シェル部材の一端部と該第2シェル部材の一端部とが組み付けられてなるシールドシェルに関する。
【0016】
上記のシールドシェルは、例えば互いに交差する方向に開口する2つの開口が設けられたハウジングに対して、ハウジング内に導電部材を収容し、異なる開口からハウジング内に第1シェル部材と第2シェル部材とをそれぞれ収容するとともに、ハウジング内で第1シェル部材の一端部と第2シェル部材の一端部とを組み付けることで、ハウジング内で略L型となるように配置することができる。
【0017】
このようなシールドシェルが内蔵されたコネクタは、一方の開口が設けられた側を機器に接続させるとともに、他方の開口側に既存の直線状のコネクタを接続した状態で、機器との接続方向と交差する方向から導電部材を引き出すことができる。このため、例えば機器との接続方向と平行な方向に導電部材が引き出される従来のシェル内蔵型のコネクタと比べて、機器との接続方向において省スペース化を図ることができる。
【発明の効果】
【0018】
本明細書で開示される技術によれば、ハウジング内にシールドシェルが収容された構成を実現しながら、省スペース化を図ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図面を参照して実施形態を説明する。本実施形態では、例えばハイブリッド自動車や電気自動車の車両に搭載されたインバータ等の機器M1(
図4参照)側の端子と電源側の電線(不図示)との間を接続するためのコネクタ1について例示する。本実施形態のコネクタ1は、合成樹脂製のハウジング10(
図1参照)、ハウジング10内に収容され、一端部に上記電線が接続されるバスバー20(導電部材の一例、
図2及び
図5参照)、ハウジング10内に収容され、第1シェル部材30と第2シェル部材40とが組み付けられてなるシールドシェル50(
図3参照)等を備えている。
【0021】
なお、以下では、
図7、
図8及び
図10を除く各図面の上側、
図8の左側をそれぞれコネクタ1の上方とし、各斜視図の右下側、
図5、
図7、及び
図10の右側をそれぞれコネクタ1の右方とし、各斜視図の左下側、
図4、
図6、
図9、及び
図11の左側、
図7、
図8、及び
図10の下側をそれぞれコネクタ1の前方として説明する。また、本実施形態のコネクタ1では、コネクタ1の下方が機器M1との接続側とされ、コネクタ1の前方からバスバー20が引き出される。つまり、コネクタ1では、上下方向が機器M1との接続方向とされ、機器との接続方向(上下方向)と交差する方向(前後方向)がバスバー20の引き出し方向(電線の引き出し方向)とされる。従ってコネクタ1では、機器M1との接続方向とバスバー20の引き出し方向とが直交状に交差する。
【0022】
コネクタ1を構成するハウジング10は、
図1に示すように、平面視略正方形の板状とされ(
図7参照)、コネクタ1が機器M1と接続されることで機器M1の外面に宛がわれる板状部12と、板状部12の下面から下方に向かって円筒状にわずかに突出する突出部13と(
図4及び
図5参照)、突出部13から下方に向かって伸びるとともに機器M1に取り付けられる取付部14と、板状部12から上方に向かって略筒状に伸びる筒状部16と、筒状部16から枝分かれして前方に向かってフード状に伸びるとともにバスバー20が引き出される(電線が引き出される)フード部18とから構成される。
【0023】
ハウジング10を構成する突出部13の外周面には、コネクタ1が機器M1と接続されることで機器M1に密着して当該機器M1との間をシールするシールリング15が取り付けられている。また、筒状部16は、
図7に示すように、平面視において左右方向に長い略楕円状をなしている。ハウジング10は、取付部14とフード部18によって全体として略L字型となっている。
【0024】
また、ハウジング10の内部には、
図6及び
図8に示すように、収容空間S1が設けられている。この収容空間S1は、機器M1との接続側、即ち下方に開口する第1の開口OP1と、フード部18に囲まれ、バスバー20の引き出し方向、即ち前方に開口する第2の開口OP2と、筒状部16に囲まれ、機器M1との接続側とは反対側、即ち上方に開口する第3の開口OP3と、を有している。これらの各開口OP1,OP2,OP3のうち、第1の開口OP1と第2の開口OP2は、収容空間S1内において連通している。
【0025】
ハウジング10における筒状部16の内側(第3の開口OP3内)の空間は、
図6及び
図8に示すように、ハウジング10の内壁の一部から前後方向に伸びる隔壁16Aによって収容空間S1から隔てられている。隔壁16Aのうち、第3の開口OP3の略中央に位置する部分には下方に開口する凹部16A1が設けられている。隔壁のうちこの凹部16A1が設けられた部分は、可撓性を有しており、上下方向から押圧することで上下方向に弾性変形させることが可能となっている。また、隔壁16Aの左右方向両側の部分には、
図8に示すように、ハウジング10の内壁の一部から前後方向に伸びるとともに後述するバスバー20が取り付けられるバスバー取付部16A2が設けられている。
【0026】
ハウジング10におけるフード部18の内壁には、
図5に示すように、前後方向に伸びる6つのリブ18Aが設けられている。また、フード部18の内側(第2の開口OP2内)には、前方が開放された形で後述するバスバー20の一対の電線側接続部20Cを収容する収容部19が設けられている。収容部19は、フード部18との間に所定の間隔を空けて前後方向に伸びており、一対の電線側接続部20Cの各々を独立して収容する。
【0027】
コネクタ1を構成するバスバー20は、
図2に示すように、金属製の複数の板状端子が重ね合わされてなり、それらの一部が略直角に屈曲する屈曲部20Aとされ、屈曲部20Aで屈曲することで上下方向(機器M1との接続方向)と前後方向との各々に伸びる形状となっている。バスバー20の両端部のうち、下端部が機器M1側の端子と接続される一対の機器側接続部20Bとされ、前端部が電線と接続される一対の電線側接続部20Cとされる。なお、バスバー20の左右方向の寸法は、ハウジング10における第3の開口OP3の左右方向の寸法よりも小さくなっている。バスバー20は、収容空間S1内に収容された状態で、各電線側接続部20Cが後述するシールドシェル50によって覆われている。
【0028】
バスバー20は、収容空間S1内に収容された状態で、各機器側接続部20Bは、コネクタ1の下方において取付部14の後方に配され、各電線側接続部20Cは、コネクタ1の前方に引き出されてフード部18によって取り囲まれる(
図5参照)。また、バスバー20の上端部には、
図2に示すように、一対の第1の取付ビスB1が取り付けられている。コネクタ1では、
図8に示すように、ハウジング10の収容空間S1内において、バスバー20の上記一対の第1の取付ビスB1がハウジング10のバスバー取付部16A2に取り付けられており、これにより、バスバー20がハウジング10に対して固定されている。
【0029】
コネクタ1を構成するシールドシェル50は、略L字型をなす形状とされ、第1シェル部材30と、第2シェル部材40と、からなっている。シールドシェル50は、ハウジング10の収容空間S1内において第1シェル部材30の一端部と第2シェル部材40の一端部とが組み付けられることで構成されている。シールドシェル50は、バスバー20等から放射される放射ノイズを低減するためのものであって、その一部が機器側の端子に取り付けられることで機器側にアース接続される。
【0030】
シールドシェル50を構成する第1シェル部材30は、導電性を有する金属製とされ、
図1に示すように、直線状に伸びる角筒状体の側面の一つが切り欠かれた溝状体となっている。以下では、第1シェル部材30の3つの側面のうち上記溝状体の底面を構成する面を第1底面部31と称し、その両側の面をそれぞれ第1側面部32と称する。
【0031】
第1シェル部材30の両第1側面部32のうち第2シェル部材40と組み付けられる一端部には、
図1に示すように、第2シェル部材40の一端部と係合する係合部32Aがそれぞれ設けられている。各係合部32Aは、第1シェル部材30の側面の一部が切り欠かれて第1シェル部材30の外側に開いた板ばねとなっている。詳しくは、板ばねとされた各係合部32Aは、第1シェル部材30の側面と上下方向において連なっており、その下方が開いた状態となっている。
【0032】
また、第1シェル部材30の第1底面部31のうち第2シェル部材40と組み付けられる一端部には、
図1に示すように、ビス留めによって第2シェル部材40に対して固定される第1固定部31Aが設けられている。第1固定部31Aは、第1底面部31の上記一端部が略直角に屈曲して第1シェル部材30の内側まで伸びることでなっており、その中央部分に円形状に開口する第1固定孔31A1が設けられている。
【0033】
シールドシェル50を構成する第2シェル部材40は、第1シェル部材30と同様に、導電性を有する金属製とされ、
図1に示すように、直線状に伸びる角筒状体の側面の一つが切り欠かれた溝状体となっている。以下では、第2シェル部材40の3つの側面のうち上記溝状体の底面を構成する面を第2底面部41と称し、その両側の面をそれぞれ第2側面部42と称する。
【0034】
第2シェル部材40の両第2側面部42のうち第1シェル部材30と組み付けられる一端部は、
図1に示すように、それぞれ第1シェル部材30の係合部32Aに係合される被係合部42Aとなっている。各被係合部42Aは、その内側が第1シェル部材30の係合部32Aによって押圧接触されることで当該係合部32Aに係合される。なお、第2シェル部材40の各側面には、エンボス加工により成形されることで第2シェル部材40の外側にわずかに突出する複数の凸部43が設けられている(
図3参照)。
【0035】
また、第2シェル部材40の第2底面部41のうち第1シェル部材30と組み付けられる一端部には、ビス留めによって第1シェル部材30に対して固定される第2固定部41Aが設けられている。第2固定部41Aの両側は前後方向に切り欠かれており、これにより、第2固定部41Aが上下方向に撓むようになっている。第2固定部41Aの中央部分には、円形状に開口する第2固定孔41A1が設けられている。この第2固定孔41A1は、その開口径が第1シェル部材30の第1固定孔31A1とほぼ等しく、第2シェル部材40が第1シェル部材30と組み付けられた状態で第1固定孔31A1と重なる位置に設けられている。
【0036】
コネクタ1では、ハウジング10の収容空間S1内において第1シェル部材30と第2シェル部材40が組み付けられて略L字型のシールドシェル50が構成されて状態で、
図6に示すように、第1固定孔31A1と第2固定孔41A1に両シェル部材30,40の内側から第2の取付ビスB2が挿通され、両シェル部材30,40の外側においてこの第2の取付ビスB2の先端部が取付キャップ52が挿し込まれている。これにより、第2の取付ビスB2と取付キャップ52の間に両シェル部材30,40(第1固定部31Aと第2固定部41A)が挟み込まれ、両シェル部材30,40が互いに固定されている。
【0037】
また、コネクタ1では、
図6に示すように、ハウジング10の収容空間S1内において上記取付キャップ52が隔壁16Aの凹部16A1に嵌め込まれて固定されている。これにより、シールドシェル50が第2の取付ビスB2を介してハウジング10に対して固定されている。
【0038】
次に、上記のような構成とされたコネクタ1の製造過程において、第1シェル部材30及び第2シェル部材40のハウジング10の収容空間S1内への収容方法及び両シェル部材30,40の組み付け態様について説明する。なお、バスバー20は、インサート成形によってハウジング10内に予め埋め込まれる。コネクタ1の製造過程では、ハウジング10の収容空間S1内に第1シェル部材30及び第2シェル部材40を収容する前に、まず、ハウジング10における隔壁16Aの凹部16A1に、第1の開口OP1から治具等を用いて取付キャップ52を嵌め込んでおく。
【0039】
次に、コネクタ1の前後方向に沿って、第2の開口OP2からハウジング10の収容空間S1内に第2シェル部材40を収容する。すると、
図6及び
図8に示すように、第2シェル部材40に設けられた各凸部43がフード部18の内壁に設けられた各リブ18Aに押圧接触した状態となり、収容空間S1内において第2シェル部材40がハウジング10に対して係合される。
【0040】
次に、コネクタ1の上下方向に沿って、第1の開口OP1からハウジング10の収容空間S1内に第1シェル部材30を収容する。すると、第1シェル部材30に設けられた各係合部32Aが第2シェル部材40の各被係合部42Aの内側にそれぞれ接触し、収容空間S1内に第1シェル部材30を収容するのにつれて、各係合部32Aが各被係合部42Aに押圧されて内側に弾性変形する。その結果、各係合部32Aがその弾発力によって各被係合部42Aの内側に押圧接触した状態となり、収容空間S1内において第2シェル部材40が第1シェル部材30に対して係合される。
【0041】
次に、第1の開口OP1から治具等を用いて第2の取付ビスB2を第1シェル部材30の第1固定孔31A1と第2シェル部材40の第2固定孔41A1にそれぞれ挿通させ、第2の取付ビスB2の先端を隔壁16Aの凹部16A1に嵌め込まれた取付キャップ52内に挿し込む。これにより、第1シェル部材30と第2シェル部材40から構成されるシールドシェル50がハウジング10に対して固定される。以上のようにして、収容空間S1内において両シェル部材30,40を組み付けることができるとともに、シールドシェル50をハウジング10に固定することができる。
【0042】
ところで、上記のように第1シェル部材30と第2シェル部材40とを収容空間S1内で組み付けることで、
図10に示すように、収容空間S1内において略L字型をなすシールドシェル50は、バスバー20の間を縫う形で配置される。ここで、略筒状をなす第1シェル部材30及び第2シェル部材40は、それぞれ側面の一つが切り欠かれるとともにその切り欠かれた部分がシールドシェル50の内側に位置するので、収容空間S1内においてシールドシェル50がバスバー20に干渉することがなく、バスバー20の各電線側接続部20Cをシールドシェル50によって良好に覆うことができる。
【0043】
次に、シールドシェル50をハウジング10の収容空間S1内から取り出す方法について説明する。シールドシェル50を収容空間S1内から取り出す際には、まず、第1の開口OP1から治具等を用いて第2の取付ビスB2を取り外す。これにより、ハウジング10に対するシールドシェル50の固定が解除される。
【0044】
次に、第3の開口OP3から治具等を用いて隔壁16Aの凹部16A1を下方へ押圧する。これにより、第2シェル部材40の第2固定部41Aが下方へ押圧され、第2シェル部材40の各凸部43がフード部18の各リブ18Aから離間するので、第2シェル部材40をハウジング10の前方へ引き抜くことで第2シェル部材40を収容空間S1内から取り外すことができる。その後、第1シェル部材30を下方へ引き抜くことで、収容空間S1内からシールドシェル50を取り外すことができる。
【0045】
以上説明したように本実施形態のコネクタ1は、機器との接続方向とバスバー20の引き出し方向とが直交する、いわゆる略L型のコネクタ1とされる。また、本実施形態のコネクタ1は、その製造過程において、バスバー20が収容された収容空間S1内に、直線状に伸びる第1シェル部材を第1の開口OP1からバスバー20を覆う形で収容するとともに直線状に伸びる第2シェル部材40を第2の開口OP2からバスバー20を覆う形で収容する。これにより、収容空間S1内で第1シェル部材30の一端部に設けられた係合部32Aが第2シェル部材40の一端部に設けられた被係合部42Aと係合し、両シェル部材30,40が組み付けられて、略L字型シールドシェル50が構成される。その結果、シールドシェルが内蔵された略L字型のコネクタ1を実現することができる。
【0046】
このようにして製造された本実施形態のコネクタ1は、第1の開口OP1が設けられた側を機器に接続させるとともに、第2の開口OP2側に既存の直線状のコネクタを接続した状態で、機器との接続方向と直交する方向からバスバー20(電線)を引き出すことができる。このため、本実施形態のコネクタ1は、機器との接続方向における幅を抑えることができ、例えば機器との接続方向と平行な方向に電線やバスバー等の導電部材が引き出される従来のシェル内蔵型のコネクタと比べて、機器との接続方向において省スペース化を図ることができる。このように本実施形態のコネクタ1は、ハウジング10内にシールドシェル50が収容された構成を実現しながら、省スペース化を図ることができる。
【0047】
また本実施形態のコネクタ1では、収容空間S1が、機器との接続側とは反対側に設けられ、第1シェル部材30と第2シェル部材40との組み付け部を臨む位置に開口する第3の開口OP3を有している。このため、収容空間S1内からシールドシェル50を取り出す際、第3の開口OP3から治具等を用いることで、ハウジング10に係合された第2シェル部材40の係合を解除することができる。
【0048】
上記の実施形態の他の変形例を以下に列挙する。
(1)上記の実施形態では、第1シェル部材の一端部に係合部が設けられ、第2シェル部材の一端部に被係合部が設けられた構成を例示したが、第1シェル部材と第2シェル部材とを組み付けた状態で互いに固定させるための構成については限定されない。
【0049】
(2)上記の実施形態では、第2の取付ビスが取付キャップに挿し込まれることで、シールドシェルがハウジングに対して固定される構成を例示したが、シールドシェルをハウジングに対して固定させるための構成については限定されない。
【0050】
(3)上記の実施形態では、第2シェル部材の各凸部がフード部の各リブに押圧接触することで、第2シェル部材がハウジングに係合される構成を例示したが、第1シェル部材がハウジングに対して係合される構成であってもよいし、両シェル部材がハウジングに対して係合される構成であってもよいし、両シェル部材がいずれもハウジングに対して係合されず両シェル部材が組み付けられてなるシールドシェルのみがハウジングに対して係合(固定)される構成であってもよい。
【0051】
(4)上記の実施形態では、収容空間が第3の開口を有する構成を例示したが、収容空間が第3の開口を有しない構成であってもよい。
【0052】
(5)上記の実施形態では、第3の開口の内側の空間が隔壁によって収容空間から隔てられている構成を例示したが、当該空間が収容空間と連通しており、第3の開口から治具等を用いることで、収容空間における各シェル部材の取り付け及び取り外し作業が可能とされた構成であってもよい。
【0053】
(6)上記の実施形態では、各シェル部材の側面の一つの全体が切り欠かれた構成を例示したが、当該側面のうち収容空間内でバスバーと干渉する部分が切り欠かれていればよく、当該側面の一部が切り欠かれた構成であってもよい。
【0054】
(7)上記の実施形態では、機器との接続方向とバスバーの引き出し方向とが直交するL字型のコネクタを例示したが、機器との接続方向とバスバーの引き出し方向とが交差するL字型のコネクタであればよい。
【0055】
以上、実施形態について詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。