(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1ステップにおいて、前記表示パネルのすべての前記画素に同一の電力を供給して点灯させ、前記画素の輝度を測定することによって、輝度が所定の範囲内にある前記画素から構成される領域である均一領域を特定し、前記第1の点灯領域を前記均一領域内に設定し、
前記第3ステップにおいて、前記第2の点灯領域を、前記均一領域内に設定する
請求項1に記載の表示パネルの寿命特性の検査方法。
前記第2ステップにおいて、前記第1の点灯領域の前記画素を点灯させない状態から、点灯させる状態へと移行させた場合の、前記第1の点灯領域の周辺における前記画素の上昇温度値を測定し、前記上昇温度値が所定の値以上と測定されたすべての前記画素を前記消灯領域に含む
請求項1又は2に記載の表示パネルの寿命特性の検査方法。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(本開示の基礎となった知見)
特許文献1に開示された検査方法は、有機EL素子単体の寿命特性の簡易検査を短時間で行う場合には有効である。しかしながら、有機EL素子を含む画素が行列状に配置された表示パネル全体の寿命特性を精度よく検査する場合には、エイジング試験が適している。
【0009】
上記表示パネルの寿命特性をエイジング試験により検査する方法を説明する。
【0010】
まず、寿命特性の検査において留意すべき事項について説明する。
【0011】
有機EL素子を含む画素の寿命は、点灯させる際の輝度に依存することから、表示パネルの寿命特性の輝度依存性を検査するためには、複数の輝度で寿命特性の検査を行う必要がある。
【0012】
また、精度よく寿命特性を取得するために、多数の画素を点灯させて、画素の寿命特性の平均値が求められる。
【0013】
さらに、上記表示パネルの寿命特性を検査する場合に、画素の輝度と駆動電流値とから光変換効率も測定することができる。しかしながら、単一画素に流れる駆動電流値は、微弱であるため、当該光変換効率を精度よく測定するためには、多数の画素に駆動電流を流して駆動電流値の総和を測定することによって、駆動電流値の平均値を求める必要がある。
【0014】
以上の事項を考慮して、寿命特性の検査においては、それぞれ複数の画素を含む複数の点灯領域が設定され、点灯領域の画素を点灯させて、各点灯領域の寿命特性が取得される。
【0015】
次に、表示パネルにおいて、複数の点灯領域を設定する方法を
図9及び
図10を用いて説明する。
【0016】
図9は、検査対象である表示パネルのすべての画素に同一の電力を供給して点灯させた場合の輝度分布と点灯領域の配置とを示す概略図である。
【0017】
図10は、表示パネル内の点灯領域を拡大して示す図である。
【0018】
図9に示されるように、一般に、表示パネル4においては、全画素に同一の電力を供給しても、各画素の輝度は、同一にはならない。なお、この輝度のばらつきは、各画素内の有機EL素子の特性のばらつき、各有機EL素子に設けられる駆動回路の特性のばらつきなどによって生じる。
【0019】
したがって、表示パネル4において複数の点灯領域を設定して寿命特性を検査する場合、点灯領域における各画素の特性のばらつきを抑制するために、
図9に示される各画素の輝度が所定の範囲内にある領域内に、点灯領域を設定する必要がある。
図9に示される例においては、画素の輝度が所定の範囲内にある領域である均一領域40内に、第1の点灯領域110、第2の点灯領域120、第3の点灯領域130及び第4の点灯領域140が互いに隣接するように設定される。
図9に示される例においては、各点灯領域は、それぞれ、縦150画素、横150画素の正方形状の領域である。そして、寿命特性を検査する際には、各点灯領域の画素を、点灯領域毎に異なる輝度で連続的に点灯させて、例えば、輝度が半分に劣化するまでに要する点灯持続時間などを測定する。
【0020】
上述の検査方法において、以下に述べるような、検査の正確性を低下させる要因があることを発明者は見出した。上述の検査方法においては、各点灯領域が隣接しているため、点灯領域の寿命特性が、隣接する他の点灯領域において発生する熱の影響を受ける。例えば、点灯領域の寿命特性は、高輝度で点灯する他の点灯領域に隣接する場合と、低輝度で点灯する他の点灯領域に隣接する場合とでは異なる。したがって、上記検査方法によっては、点灯領域の寿命特性が、隣接する他の点灯領域において発生する熱の影響を受けるため、精度よく寿命特性を測定することができないという問題がある。
【0021】
本開示は、このような知見に基づいてなされたものであり、精度よく寿命特性を検査できる検査方法についての着想を得た。
【0022】
以下、適宜図面を参照しながら、実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
【0023】
なお、発明者は、当業者が本開示を十分に理解するために添付図面及び以下の説明を提供するのであって、これらによって請求の範囲に記載の主題を限定することを意図するものではない。
【0024】
(実施の形態1)
以下、実施の形態1に係る検査方法について、図面を参照しながら説明する。
【0025】
[1−1.検査システムの構成]
まず、本実施の形態に係る検査方法を実施するための検査システムについて説明する。
【0026】
図1は、本実施の形態に係る検査方法を実施するための検査システムの構成例を示すブロック図である。
図1に示されるように、当該検査システムは、検査対象である表示パネル4と、有機EL表示パネル検査装置1とで構成される。有機EL表示パネル検査装置1は、表示パネル4に行列状に配置された画素の輝度及び温度を検査する装置であり、制御部10と、カメラ20と、記憶部30と、サーモグラフィ50とを備える。制御部10は、カメラ制御回路11と、表示パネル制御回路12と、演算部13とを備える。
【0027】
カメラ20は、例えばCCD(Charge Coupled Device)カメラであり、表示パネル4を撮像する撮像装置である。カメラ20は、行列状に配置された複数の撮像素子が配置された撮像領域を含み、当該複数の撮像素子に入射光を集光させる撮像レンズと、当該撮像レンズへの入射光の採光及び遮光を決定するシャッタとを有している。上記構成により、カメラ20は、表示パネル4に行列状に配置された画素から出射される光を、撮像レンズを介して撮像領域に入射する。複数の撮像素子のそれぞれは、入射光を当該入射光の光量に対応した電荷量に変換する。なお、表示パネル4の中心軸と撮像レンズの中心軸とが一致するよう、表示パネル4とカメラ20とが位置調整されている。これにより、例えば、撮像領域の中央部に配置された撮像素子は、表示パネル4の中央部に配置された画素からの出射光を受光し当該出射光に対応した電荷量を生成する。撮像領域の外周部に配置された撮像素子は、表示パネル4の外周部に配置された画素からの出射光を受光し当該出射光に対応した電荷量を生成する。
【0028】
カメラ制御回路11は、カメラ20のシャッタの開閉をさせるカメラ制御部である。
【0029】
サーモグラフィ50は、表示パネル4における各画素の温度を測定するための温度測定部である。サーモグラフィ50で測定された各画素の温度情報は、表示パネル制御回路12に送られ、表示パネル4における各画素の点灯及び消灯の制御に用いられる。
【0030】
表示パネル制御回路12は、表示パネル4の画素の点灯及び消灯を制御する表示パネル制御部である。表示パネル制御回路12は、サーモグラフィ50で測定された各画素の温度情報及び各画素の輝度情報に基づいて制御される。
【0031】
演算部13は、カメラ20で撮像された撮像データから、輝度測定の対象画素のそれぞれの輝度値を求める。
【0032】
記憶部30は、演算部13で求められた輝度データを記憶するメモリである。なお、記憶部30は、制御部10に内蔵されたメモリであってもよい。
【0033】
[1−2.表示パネルの構成]
ここで、本実施の形態に係る検査方法の検査対象である表示パネル4の構成について説明する。
【0034】
図2は、表示パネル4の構成を示すブロック図である。
図2に示されるように、表示パネル4は、表示部41と、走査線駆動回路42と、データ線駆動回路43とを備える。
【0035】
表示部41は、有機EL素子と当該有機EL素子を駆動する駆動素子とを含む画素が行列状に配置された表示領域である。
【0036】
走査線駆動回路42は、画素行ごとに配置された走査線を介して、階調データに対応したデータ電圧の書き込みを行う画素行を選択する。
【0037】
データ線駆動回路43は、画素列ごとに配置されたデータ線を介して、選択された画素行に属する画素にデータ電圧を出力する。
【0038】
図3は、画素の回路構成の一例及びその周辺回路との接続を表す図である。
図3に示される画素400は、走査線410と、データ線420と、電源線430と、選択トランジスタ401と、駆動トランジスタ402と、有機EL素子403と、保持容量素子404と、共通電極405とを備える。また、周辺回路は、走査線駆動回路42と、データ線駆動回路43とで構成されている。
【0039】
走査線駆動回路42は、走査線410に接続されており、画素400の選択トランジスタ401の導通及び非導通を制御する機能を有する。
【0040】
データ線駆動回路43は、データ線420に接続されており、データ電圧を出力して、駆動トランジスタ402に流れる信号電流を決定する機能を有する。
【0041】
選択トランジスタ401は、ゲートが走査線410に接続されており、データ線420のデータ電圧を駆動トランジスタ402のゲートに供給するタイミングを制御する機能を有する。
【0042】
駆動トランジスタ402は、駆動素子として機能し、駆動トランジスタ402のゲートは選択トランジスタ401を介してデータ線420に接続され、ソースが有機EL素子403のアノードに接続され、ドレインが電源線430に接続されている。これにより、駆動トランジスタ402は、ゲートに供給されたデータ電圧を、当該データ電圧に対応した信号電流に変換し、変換された信号電流を有機EL素子403に供給する。
【0043】
有機EL素子403は、発光素子として機能し、有機EL素子403のカソードは、共通電極405に接続されている。
【0044】
保持容量素子404は、電源線430と駆動トランジスタ402のゲート端子との間に接続されている。保持容量素子404は、例えば、選択トランジスタ401がオフ状態となった後も、直前のゲート電圧を維持し、継続して駆動トランジスタ402から有機EL素子403へ駆動電流を供給させる機能を有する。
【0045】
なお、
図3には記載されていないが、電源線430は電源(電圧V
A)に接続されている。また、共通電極405も別の電源(電圧V
B)に接続されている。
【0046】
データ線駆動回路43から供給されたデータ電圧は、選択トランジスタ401を介して駆動トランジスタ402のゲート端子へと印加される。駆動トランジスタ402は、そのデータ電圧に応じた電流を、ソース−ドレイン端子間に流す。この電流が、有機EL素子403へと流れることにより、その電流に応じた発光輝度で、有機EL素子403が発光する。
【0047】
なお、表示パネル4がカラー表示用のパネルである場合には、上記画素400は、サブ画素として使用される。例えば、三原色表示用の三つの隣接するサブ画素が一組の画素として使用される。
【0048】
[1−3.表示パネルの検査方法]
次に、本実施の形態に係る検査方法を説明する。
【0049】
[1−3−1.点灯領域設定方法]
本実施の形態に係る検査方法において、表示パネル4の画素のうち、点灯させる画素から構成される領域である点灯領域の設定方法を
図4及び
図5を用いて説明する。
【0050】
図4は、本実施の形態に係る検査方法の検査対象である表示パネル4のすべての画素に同一の電力を供給して点灯させた場合の輝度分布と点灯領域の配置とを示す概略図である。
【0051】
図5は、表示パネル4内の点灯領域を拡大して示す図である。
【0052】
図4に示されるように、表示パネル4においては、全画素に同一の電力を供給しても、各画素の特性が同一でないため、各画素の輝度は同一にならない(
図9に関して上述した事項を参照)。したがって、表示パネル4において複数の点灯領域を設定して寿命特性を検査する場合、点灯領域の各画素の特性を揃えるために、輝度が所定の範囲内にある画素から構成される領域内に、点灯領域を設定する必要がある。ここで、点灯領域が設定される領域における画素の輝度の範囲は、特に限定されないが、例えば、所定の輝度の±5%以内の輝度の範囲を採用することができる。
【0053】
図4に示される例においては、画素の輝度が所定の範囲内にある領域である均一領域40内に、第1の点灯領域110、第2の点灯領域120、第3の点灯領域130及び第4の点灯領域140の四つの点灯領域が設定される。本実施の形態に係る検査方法においては、上記各点灯領域は、それぞれ、縦150画素、横150画素の正方形状の領域である。
【0054】
ここで、本実施の形態の検査方法においては、
図4及び
図5に示されるように、各点灯領域間に30画素分の幅を有する消灯領域を設定している。これにより、各点灯領域の画素を点灯させた場合に、各点灯領域に与えられる他の点灯領域からの熱の影響が抑制される。したがって、上記各点灯領域を用いて寿命特性を検査する場合に、精度よく検査を行うことができる。
【0055】
また、
図4及び
図5に示される各点灯領域の画素は、それぞれ点灯領域毎に異なる輝度で点灯される。本実施の形態の検査方法においては、一例として、第1の点灯領域110、第2の点灯領域120、第3の点灯領域130及び第4の点灯領域140内の各画素の輝度を、それぞれ、450[cd/m
2]、200[cd/m
2]、100[cd/m
2]及び68[cd/m
2]に設定する。
【0056】
次に、上記各点灯領域間の点灯しない画素を含む領域である消灯領域の設定方法を、
図6を用いて説明する。
【0057】
図6は、表示パネル4における第1の点灯領域110及び消灯領域200を拡大して示す図である。
【0058】
図6に示される第1の点灯領域110の各画素を450[cd/m
2]の輝度で点灯させる場合に設定される消灯領域200の設定方法を説明する。
【0059】
まず、少なくとも、第1の点灯領域110に隣接するすべての画素を含む領域が消灯領域200に設定される。さらに、第1の点灯領域110の画素を点灯させない状態から、450[cd/m
2]の輝度で点灯させる状態へと移行させて、第1の点灯領域110の周辺における画素の上昇温度値を測定し、当該上昇温度値が所定の値以上と測定されたすべての画素が含まれる領域が消灯領域200に設定される。当該上昇温度値の臨界値は、特に限定されないが、例えば、5℃と設定することができる。本実施の形態に係る検査方法においては、第1の点灯領域110から、30画素分の幅を有する領域が消灯領域200として設定される。
【0060】
また、消灯領域200は第1の点灯領域110以外の点灯領域の周囲においても、第1の点灯領域110と同様に設定できる。なお、最も高輝度で点灯させる第1の点灯領域110において消灯領域200を設定し、他の点灯領域においても、当該点灯領域の周囲に、第1の点灯領域110の周囲に設定される消灯領域200と同じ画素分の幅を有する消灯領域を設定してもよい。なぜなら、最も高輝度で点灯される第1の点灯領域110による周囲の画素への熱の影響は、他の点灯領域による周囲の画素への熱の影響より大きくなるため、他の点灯領域においても第1の点灯領域と同じ画素分の幅の消灯領域を設定することで、隣り合う点灯領域への熱の影響を確実に抑制することができるからである。また、例えば、高輝度で点灯する第1の点灯領域110と低輝度で点灯する第2の点灯領域120だけを用いる場合には、第1の点灯領域110において、上述の消灯領域200を設定し、第1の点灯領域110及び消灯領域200のいずれにも含まれない複数の画素から構成される第2の点灯領域120を設定することによって各点灯領域間の熱の影響を確実に抑制することができる。
【0061】
[1−3−2.検査の内容]
次に、上述のように設定された点灯領域の画素を点灯させて、表示パネル4の寿命特性を検査する際の具体的な作業内容を説明する。
【0062】
まず、表示パネル4に設定された各点灯領域の画素を、それぞれ点灯領域毎に異なる輝度で点灯させる。その際、各画素の輝度は
図1に示されるカメラ20を用いて測定することができる。
【0063】
そして、各点灯領域の画素を連続的に点灯させながら、少なくとも各画素の輝度値を測定する。これにより輝度の劣化速度を取得する。また、さらに、各画素に供給される駆動電流値などを測定してもよい。これにより各画素における光変換効率の経時変化などの特性を取得することができる。
【0064】
[1−3−3.検査方法の手順]
以上で述べた本実施の形態に係る検査方法の手順を、
図7を用いて説明する。
【0065】
図7は、本実施の形態に係る検査方法の手順を示すフローチャートである。
【0066】
本実施の形態に係る検査方法においては、まず、表示パネル4の全画素に同一の電力(又は駆動電流)を供給して、表示パネル4の全体を点灯させる。そして、各画素の輝度を測定することにより、
図4に示されるような均一領域40が特定される(S1)。次に特定された均一領域40内に、複数の画素から構成される第1の点灯領域110が設定される(S2)。そして、設定された第1の点灯領域110を表示パネル制御回路12によって点灯させた状態で、
図1に示されるサーモグラフィ50によって、第1の点灯領域110の周辺の温度が測定される(S3)。この測定結果を用いて、上述のとおり、第1の点灯領域110に隣接する全ての画素を含む消灯領域200が設定される(S4)。そして、設定された第1の点灯領域110及び消灯領域200のいずれにも含まれない複数の画素から構成される第2の点灯領域120が設定される(S5)。ここで、第1の点灯領域110及び第2の点灯領域120の画素を、表示パネル制御回路12によって、点灯領域毎に異なる輝度で点灯させた状態で、カメラ20によって輝度が測定される(S6)。なお、ここで、各画素の駆動電流値、色度などが合わせて測定されてもよい。次に、測定された各画素の輝度値などから、寿命特性が取得される(S7)。
【0067】
以上のような手順によって、表示パネル4の寿命特性を精度よく取得することができる。
【0068】
なお、以上では、第1の点灯領域110及び第2の点灯領域120を用いる手順を示したが、第1の点灯領域110及び第2の点灯領域120に加えて、さらに点灯領域を追加してもよい。例えば、第3の点灯領域130を設定する場合には、第2の点灯領域120の周囲にも第1の点灯領域110の場合と同様に消灯領域200を設定して、第1の点灯領域110、第2の点灯領域120及び消灯領域200のいずれにも含まれない複数の画素から構成される第3の点灯領域130を設定する。さらに、第4の点灯領域140を設定する場合も同様である。
【0069】
[1−4.効果など]
以上のように、本実施の形態に係る表示パネル4の検査方法は、複数の画素から構成される第1の点灯領域110を設定する第1ステップと、第1の点灯領域110に隣接するすべての画素を含む消灯領域200を設定する第2ステップと、第1の点灯領域110及び消灯領域200のいずれにも含まれない複数の画素から構成される第2の点灯領域120を設定する第3ステップと、消灯領域200の画素を点灯させることなく、第1の点灯領域110の画素と第2の点灯領域120の画素とを相異なる輝度で点灯させて、表示パネル4の寿命特性を検査する第4ステップと、を含む。
【0070】
これにより、第1の点灯領域110から発生する熱の第2の点灯領域120への影響が抑制されるため、各点灯領域において寿命特性を精度よく検査することができる。
【0071】
また、本実施の形態に係る表示パネル4の検査方法において、上記第1ステップにおいて、表示パネル4のすべての画素に同一の電力を供給して点灯させ、画素の輝度を測定することによって、輝度が所定の範囲内にある画素から構成される領域である均一領域40を特定し、第1の点灯領域110を均一領域40内に設定し、上記第3ステップにおいて、第2の点灯領域120を、均一領域40内に設定してもよい。
【0072】
これにより、各点灯領域に含まれる画素の特性を揃えることができるため、点灯領域内の各画素間の寿命特性のばらつきを抑制することができる。
【0073】
また、本実施の形態に係る表示パネル4の検査方法において、上記第2ステップにおいて、第1の点灯領域110の画素を点灯させない状態から、点灯させる状態へと移行させた場合の、第1の点灯領域110の周辺における画素の上昇温度値を測定し、上昇温度値が所定の値以上と測定されたすべての画素を消灯領域200に含んでもよい。
【0074】
これにより、第1の点灯領域110から発生する熱の第2の点灯領域120へ影響をより確実に抑制することができる。したがって、各点灯領域において寿命特性を精度よく検査することができる。
【0075】
また、本実施の形態に係る表示パネル4の検査方法において、上記第4ステップにおいて、第1の点灯領域110の画素を第2の点灯領域120の画素より高輝度で点灯させてもよい。
【0076】
これにより、第1の点灯領域110から発生する熱量が、第2の点灯領域120から発生する熱量より大きくなる。したがって、第1の点灯領域110から発生する熱の第2の点灯領域120への影響を抑制することで、第2の点灯領域120から発生する熱の第1の点灯領域110への影響も抑制することができるため、各点灯領域において寿命特性を精度よく検査することができる。
【0077】
(実施の形態2)
[2−1.製造方法の手順]
次に、実施の形態2として、上述の実施の形態1に係る検査方法を表示パネル4の製造過程に採用する製造方法を、
図8を用いて説明する。
【0078】
図8は、本実施の形態に係る表示パネル4の製造方法の工程を示すフローチャートである。
【0079】
図8に示されるように、本実施の形態に係る表示パネル4の製造方法においては、まず、製造工程において、表示パネル4が所定の製造に係るパラメータに基づいて製造される(S21)。ここで、上記製造に係るパラメータとは、表示パネル4の画素を構成する有機EL素子、回路などの製造に係るパラメータであり、例えば、有機EL素子の材料組成、薄膜トランジスタなどから構成される回路の形成工程における成膜条件などが含まれる。
【0080】
次に、検査工程において、上記製造工程で製造された複数の表示パネル4のうち、一部がサンプルとして抜き取られ、その寿命特性が実施の形態1で説明された検査方法を用いて検査される(S22)。
【0081】
ここで、上記検査工程において、所定の寿命特性が得られれば、上記パラメータが適切であったと判断され、表示パネル4の製造を終了する(S23でYes)。一方、上記検査工程において、所定の寿命特性が得られなければ、上記パラメータが不適切であったと判断され、上記パラメータを調整する調整工程に進む(S23でNo)。
【0082】
調整工程においては、検査工程において得られた寿命特性に基づいて、表示パネル4の製造に係るパラメータが調整される(S24)。例えば、寿命特性から、調整すべきパラメータが推測され、適宜調整される。
【0083】
上記調整工程において、パラメータが調整された後、再度製造工程に戻り、表示パネル4が製造されて、製造された表示パネル4の寿命特性が検査工程において検査される。そして、それ以降は、所定の寿命特性が得られるまで、調整工程と、製造工程と、検査工程とが繰り返される。
【0084】
以上の製造方法により、所定の寿命特性を有する表示パネル4を製造することができる。
【0085】
[2−2.効果など]
以上のように、本実施の形態に係る表示パネル4の製造方法は、表示パネル4を製造する製造工程と、製造工程において製造された表示パネル4の寿命特性を、実施の形態1に係る検査方法によって検査する検査工程と、検査工程において、所定の寿命特性が得られなかった場合に、製造工程における表示パネル4の製造に関するパラメータを調整する調整工程と、を含み、検査工程において、所定の寿命特性が得られるまで、前記調整工程と、前記製造工程と、検査工程とを繰り返す。
【0086】
これにより、製造された表示パネル4の寿命特性が、実施の形態1に係る検査方法により精度よく検査される。そして、所定の寿命特性を有する表示パネル4が得られるまで、表示パネル4の製造に係るパラメータが調整されるため、確実に、所定の寿命特性を有する表示パネル4が得られる。
【0087】
(他の実施の形態)
以上、実施の形態1に係る検査方法及び実施の形態2に係る製造方法について説明したが、本開示の検査方法及び製造方法は、上述した各実施の形態に限定されるものではない。上記各実施の形態に対して、本発明の主旨を逸脱しない範囲で当業者が思いつく各種変形を施して得られる変形例や、実施の形態2に係る製造方法を用いて製造した表示パネルも本発明に含まれる。
【0088】
例えば、上記実施の形態1では、温度測定部の一例としてサーモグラフィ50を用いる構成を示したが、温度測定部はこれに限られず、表示パネル4の各画素の温度を測定できるものであればよい。ただし、温度測定部として、サーモグラフィ50を採用すると、表示パネル4に接することなく、表示パネル4の広範囲の温度測定を一度に行うことができる。また、温度測定部として、熱電対などの接触型の温度測定器を用いてもよい。熱電対を用いることで安価に温度測定を行うことができる。
【0089】
また、上記実施の形態1に係る検査方法の検査対象として、有機EL素子から構成される発光素子を用いる表示パネル4を示したが、検査対象は、有機EL素子以外の発光素子を用いた表示パネルであってもよい。検査対象としては、画素の寿命特性が当該画素の周辺の画素からの熱によって影響され得る任意の表示パネルが採用され得る。
【0090】
また、例えば、上記実施の形態2に係る製造方法は、
図11に示されるような薄型フラットTVに適用される。上記実施の形態2に係る製造方法を用いることにより、所定の寿命特性を有する表示パネルを備えた薄型フラットTVが実現される。