(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。なお、すべての図面において、同様の構成要素には同一の符号を付し、適宜に説明を省略する。
【0011】
<パチンコ遊技機10の概要について>
先ず、パチンコ遊技機10の概要を説明する。
図1はパチンコ遊技機10の正面図、
図2はパチンコ遊技機10が備える遊技盤50を示す正面図である。
図3はパチンコ遊技機10が備える図柄表示器90を示す図である。
図4はパチンコ遊技機10の主要な制御構成を示す機能ブロック図、
図5はパチンコ遊技機10の払出制御構成を示す機能ブロック図である。
なお、以下の説明において、左、右、上、下などの方向は、特に断りのない限り、パチンコ遊技機10(
図1)を正面側(遊技者側)から見たときの方向を指すものとする。また、パチンコ遊技機10の正面側(遊技者から見て手前側)の方向を前、その反対側(遊技者から見て奥側)の方向を後という。
【0012】
<パチンコ遊技機10の構造について>
図2に示すように、パチンコ遊技機10は、多数の遊技釘(図示略)が立設された遊技盤50の前面領域(以下、遊技領域50aと称す)に遊技球を発射して遊技を行うように構成されており、遊技球が特定の入賞口(例えば、大入賞口55等)に入球すると賞球が得られるようになっている。
【0013】
図1に示すように、パチンコ遊技機10は、前後に開口する矩形枠状の外枠15と、外枠15に設けられた中枠(図示せず)であって遊技盤50を着脱可能に保持している中枠(図示せず)と、遊技盤50の前面側を覆うように構成された前枠20と、を備える。
【0014】
前枠20は、その左側部がヒンジ機構21により中枠に対して回動可能に軸支されることにより、中枠に対して開閉可能となっている。前枠20は、シリンダ錠23により施錠及び解錠が可能となっている。
前枠20は、遊技領域50aの前面側を覆うように配置された透明部材25を備えている。透明部材25は、遊技領域50aおよび遊技盤50を、前方から透視可能な状態で保護している。
前枠20は、遊技球を貯留する上球受け皿27および下球受け皿29を一体的に備えている。上球受け皿27と下球受け皿29とは、互いに上下に離間して配置されている。
前枠20は、下球受け皿29の右側方に操作ハンドル31を備えている。操作ハンドル31が回動操作されることによって、上球受け皿27に貯留された遊技球が遊技領域50aに向けて発射されるようになっている。
【0015】
前枠20の上枠部32の左側と右側には、一対のスピーカ33(33a、33b)の一方ずつが配設されている。前枠20の上枠部32と左右の側枠部34、36は、それぞれ光透過性のカバーにより形成されており、それらの内部には照明装置35(35a、35b、35c)が配設されている。スピーカ33や照明装置35は、遊技中に発生する演出やエラー報知等と連動して、音声出力または点灯若しくは消灯することができる。
前枠20は、上球受け皿27の前方に配設されたボタン37を備えている。ボタン37は、遊技中に発生する演出を切り替えたり或いはパチンコ遊技機10に関わる種々の情報を遊技者が得たりするために行う遊技者の操作を受け付けることができる。
【0016】
下球受け皿29の下部には、下球受け皿29に貯留された遊技球を下方へ排出する球抜き機構39が設けられている。この球抜き機構39を操作することにより、下球受け皿29の底面に形成された底面口(図示せず)が開口し、該底面口から遊技球を流下させて取り出すことが可能となる。
【0017】
遊技盤50には、演出表示器80が設けられている。
図2に示すように、演出表示器80は、例えば、遊技盤50の略中央に配設されているメイン表示部81と、メイン表示部81の上側に配設されている上サブ表示部82と、メイン表示部81の左側に配設されている左サブ表示部83と、メイン表示部81の右側に配設されている右サブ表示部84と、を含んでいる。
【0018】
メイン表示部81は、後述する特別図柄表示部91(
図3、
図4)における図柄変動ゲームに連動して行われる演出図柄の変動表示を表示することができ、さらに他の各種の演出も表示することができる。
ここで演出図柄とは、パチンコ遊技機10における遊技の興趣をより高めるために表示される図柄であり、具体的には数字や絵柄またはそれらの組み合わせから構成されている。
また、メイン表示部81は、その略中央に演出図柄を表示可能であり、さらに当該演出図柄の上方および下方にもそれぞれ演出図柄が表示されうる。すなわち、メイン表示部81には「上段」「中段」「下段」にそれぞれ演出図柄が表示され、表示された演出図柄が一または複数の列をなしている。
また、メイン表示部81は、演出図柄の表示の他にも、保留表示(図示せず)を表示画面の一部に表示することができる。保留表示が表示される表示領域と、演出図柄が表示される表示領域とは、互いに異なる領域であっても良いし、位置的に互いに重複していても良い。なお、保留表示とは、実行予定の図柄変動ゲーム(図柄変動ゲームの実行中の場合は当該実行中の図柄変動ゲームを除く)の残回数を表示報知するいわゆる保留玉表示のことである。
例えば、メイン表示部81は固定式の液晶表示装置である。
【0019】
上サブ表示部82、左サブ表示部83または右サブ表示部84は、主として演出に関連する演出画像を表示するために設けられている。上サブ表示部82、左サブ表示部83及び右サブ表示部84は、それぞれ遊技盤50に対して固定的に設けられていても良いし、遊技盤50に対して相対的に移動できるようになっていて所定の演出の実行時に移動するようになっていても良い。すなわち、上サブ表示部82、左サブ表示部83及び右サブ表示部84は、固定式の液晶表示装置であっても良いし、可動式の液晶表示装置であっても良い。
【0020】
また、上サブ表示部82、左サブ表示部83または右サブ表示部84は、遊技盤50の前面側に配設されていても良いし、遊技盤50の裏面側に配設されていても良い。後者の場合、遊技盤50としては可視光透過性のものが用いられ、上サブ表示部82、左サブ表示部83または右サブ表示部84の表示領域は、遊技盤50を通して前方より視認可能とされる。
【0021】
なお、本実施形態における演出表示器80(メイン表示部81、上サブ表示部82、左サブ表示部83または右サブ表示部84)には、いずれも液晶表示装置が採用されているが、本発明の実施はこれに限るものではない。例えば、ドラム式やドットマトリックス式等、多様な方式の表示装置を演出表示器80として採用しうる。
【0022】
図柄表示器90は、演出表示器80の右下側など、演出表示器80よりも遊技者が視認しにくい位置に配設される。また、図柄表示器90の表示領域の面積は、例えば、演出表示器80の表示領域の面積と比べて小さく設定されている。
図柄表示器90には、複数の発光表示素子(ランプ)が配列されている。この発光表示素子は、例えば、発光ダイオード(以下、LEDと称す)である。図柄表示器90は、発光するLEDの配列によって種々の情報を示すようになっている。図柄表示器90は、例えば、特別図柄表示部91と普通図柄表示部93とを含んでいる。
【0023】
特別図柄表示部91は、複数個のLEDの点灯パターンにより特別図柄による図柄変動ゲームの抽選結果を表示する。より詳細には、
図3に示すように、特別図柄表示部91は、例えば、左側のLED16個から構成される。
普通図柄表示部93は特別図柄表示部91より少ない数(例:2個)のLEDの点灯パターンにより普通図柄による図柄変動ゲームの抽選結果を表示する。
【0024】
なお、
図3に示すように、図柄表示器90は、特別図柄表示部91または普通図柄表示部93の表示に用いられないLEDも含んでいても良い。図柄表示器90は、特別図柄または普通図柄による図柄変動ゲームの抽選結果の他にも、保留記憶数や大当り遊技のラウンド回数等の情報も表示しうる。
また、本実施形態における特別図柄表示部91は、第1始動口58への入球または第2始動口59への入球のいずれを起因とする図柄変動ゲームにおいても変動表示を行う。このとき、変動表示に用いられるLEDが入球した始動口によって異なってもよく、同一であってもよい。
【0025】
ここで特別図柄とは、特別図柄表示部91に表示されうる図柄(LEDの点灯パターン)をいう。なお、以下、特別図柄のことを「特図」と略して表記する場合がある。また、ここで特別図柄による図柄変動ゲームとは、特別電動役物65(いわゆるアタッカー)を開放させるための抽選結果を示すために、特別図柄表示部91を変動表示させた後に特定の特別図柄を停止表示させることをいう。
【0026】
ここで普通図柄とは、普通図柄表示部93に表示されうる図柄(LEDの点灯パターン)をいう。なお、以下、普通図柄のことを「普図」と略して表記する場合がある。また、ここで普通図柄による図柄変動ゲームとは、普通電動役物61(いわゆる電動チューリップ)を開放させるための抽選結果を示すために、普通図柄表示部93を変動表示させた後に特定の普通図柄を停止表示させることをいう。
【0027】
なお、本実施形態においては、図柄表示器90に配列される複数の発光表示素子(ランプ)がLEDである例を説明しているが、ランプの種別はこれに限定されるものではない。そして、当該ランプの配置についても
図3に図示するものに限らず、多様な配置を採用しうる。
【0028】
遊技盤50の前面には、多数の遊技釘(図示せず)、風車52、装飾部材といった各種障害物が配置されている。これにより、打ち出された遊技球が転動するように遊技領域50aが形成されている。また、遊技領域50aの左側および上側には、操作ハンドル31の回転操作により発射された遊技球を遊技領域50aの上部に案内するために設けられた湾曲形状の外レール51および内レール53が配置されている。なお、外レール51は、遊技領域50a中央からみて内レール53よりも外側に位置している。風車52とは、遊技球の流下方向に変化を与えるための機構であり、遊技盤50に固定された釘状の止着部材と、この止着部材に対して回転可能に軸支された回転部材と、を備える。
【0029】
パチンコ遊技機10は、操作ハンドル31の回転操作量(例えば回転角度)の大小によって遊技球の打ち出し方の強弱を調節することが可能になっている。ここで、遊技領域50aには、第1流路Xと第2流路Yとが形成されており、このうち第1流路Xはその大部分が遊技領域50aの左側に配設されている一方で、第2流路Yはその大部分が遊技領域50aの右側に配設されている。
そして、より弱く打ち出された遊技球(いわゆる左打ちされた遊技球)は主に第1流路Xを転動して流下する一方で、より強く打ち出された遊技球(いわゆる右打ちされた遊技球)は主に第2流路Yを転動して流下するように、各種障害物が遊技領域50aに配置されている。
【0030】
遊技領域50aには、各種の入賞口(例えば大入賞口55等)が配設され、各入賞口の奥には入球した遊技球を検知する各種スイッチ(例えばカウントスイッチSW4等)が配設されている。なお、以下の説明において入賞とは、遊技球が特定の入賞口に入球することをいう。
本実施形態においては、上記の各種スイッチは遊技者が視認できないように配設されており、
図1から
図3においては図示しない。
【0031】
図2または
図3には、主要な入賞口として、大入賞口55、第1始動口58、第2始動口59、作動ゲート63、普通入賞口67(67a、67b)が示されている。ここで図示する入賞口は一例であり、その数や配置は適宜変更しても構わない。
【0032】
第1始動口58は、遊技領域50aの中央下部(メイン表示部81の下方)に配置されており、一般的に「ヘソ」と呼ばれる。
第1始動口58の奥には入球した遊技球を検知するカウントスイッチSW1が配置されており、第1始動口58に入球した遊技球がカウントスイッチSW1で検知されることにより、特別図柄による図柄変動ゲームを始動させる始動条件と、予め定められた数の遊技球を賞球として払い出す払出条件と、が成立しうる。
【0033】
第2始動口59は、遊技領域50aの右下側(メイン表示部81の右下側)に配置されており、第2始動口59には普通電動役物61が付設されている。普通電動役物61は、第2始動口59に遊技球への入球が容易である開放状態または入球しにくい閉鎖状態に可換に遷移する開閉部材であり、アクチュエータAC1により作動し、当該開放状態または当該閉鎖状態のいずれかに切り換える。なお、普通電動役物61の制御については、後に詳述する。
第2始動口59の奥には入球した遊技球を検知するカウントスイッチSW2が配設されており、第2始動口59に入球した遊技球がカウントスイッチSW2で検知されることにより、特別図柄による図柄変動ゲームの始動条件と、賞球の払出条件と、が成立しうる。
【0034】
作動ゲート63は、第2始動口59の右上側(メイン表示部81の右側)に配置されている。作動ゲート63には、通過した遊技球を検知するカウントスイッチSW3が配設されており、作動ゲート63を通過した遊技球がカウントスイッチSW3で検知されることにより、普通図柄による図柄変動ゲームの始動条件が成立しうる。
【0035】
なお、本実施形態のパチンコ遊技機10においては、
図5にカウントスイッチSW3が図示されていないことから明らかであるように、カウントスイッチSW3により遊技球が検知されても、賞球の払出条件は成立しない。すなわち、本実施形態の作動ゲート63に遊技球が入球しても賞球はゼロである。
また、作動ゲート63は通過した遊技球が通過後再び遊技領域50aを転動する、いわゆるゲートタイプの入賞口であってもよい。この場合において、作動ゲート63を通過することも本明細書では「入球」と称す。
【0036】
大入賞口55は、第2始動口59の下方(メイン表示部81の右下側)に配置されている。大入賞口55には、アクチュエータAC2の作動により開閉動作を行う特別電動役物65が付設されている。
また、大入賞口55の奥には、入球した遊技球を検知するカウントスイッチSW4が配設されており、大入賞口55に入球した遊技球がカウントスイッチSW4で検知されることにより、賞球の払出条件が成立しうる。
【0037】
閉鎖状態における特別電動役物65は、遊技盤50の前面と略面一に配置されて、当該特別電動役物65の奥方の大入賞口55に蓋をする。
また、特別電動役物65は、遊技盤50の前面よりも前方に飛び出した開放状態となることにより、上方から流下してくる遊技球の受け皿として機能するようになり、受け入れた遊技球を大入賞口55へと誘導する。
本実施形態における特別電動役物65は、大当り遊技の実行中に開放状態となるように作動して大入賞口55への遊技球の入球を許容する。
【0038】
普通入賞口67(67a、67b)は、メイン表示部81の左下側に配置されている。普通入賞口67の奥には入球した遊技球を検知するカウントスイッチSW5が配設されており、普通入賞口67に入球した遊技球がカウントスイッチSW5で検知されることによって賞球の払出条件が成立しうる。
なお、本実施形態においては二つの普通入賞口67a、67bに対して一つのカウントスイッチSW5が設けられている実施例で説明したが、個別にセンサ(カウントスイッチ)を設けてもよい。このとき、それぞれのセンサによって賞球の払出条件が異なってもよく、同一であってもよい。
【0039】
本実施形態における遊技領域50aは、遊技球が第2流路Yから転動したときよりも、遊技球が第1流路Xから転動したときに第1始動口58または普通入賞口67に入球しやすくなるように、各種障害物が配置されている。つまり、第1始動口58または普通入賞口67は、遊技領域50aの左側を主とする第1流路Xに設けられている。
また、本実施形態における遊技領域50aは、遊技球が第1流路Xから転動したときよりも、遊技球が第2流路Yから転動したときに大入賞口55、第2始動口59または作動ゲート63に入球しやすくなるように、各種障害物が配置されている。つまり、大入賞口55、第2始動口59または作動ゲート63は、遊技領域50aの右側を主とする第2流路Yに設けられている。
【0040】
アウト口69は、遊技領域50aの最下部に配置されている。上述した各入賞口に入球しなかった遊技球(作動ゲート63がゲートタイプである場合には、作動ゲート63を通過して他の入賞口に入球しなかった遊技球を含む)はアウト口69に落入し、アウト球として処理される。
【0041】
ここまで、本実施形態におけるパチンコ遊技機10の構造について説明してきたが、これらは一例であって、別の構成によって本発明を実施することもできる。
【0042】
<パチンコ遊技機10の制御構成について>
次に、主に
図4及び
図5を用いてパチンコ遊技機10の制御構成について説明する。
なお、パチンコ遊技機10は、
図4及び
図5に示される制御構成以外の制御構成を備えていても良いし、
図4及び
図5に示されるすべての制御構成を必ずしも備えていなくても良い。すなわち、本発明の要旨を逸脱しない範囲で一部の制御構成の追加又は削除が許容される。
【0043】
パチンコ遊技機10は、
図4及び
図5に示される制御構成のうち、一部の制御構成は、パチンコ遊技機10が備える基板(図示せず)が有しており、残りの制御構成は、当該基板に電気的に接続されている機能部品により構成されている。
より具体的には当該基板は、所定の制御プログラムによって制御動作を実行するCPU(Central Processing Unit)(図示せず)と、当該CPUの制御プログラムを格納するROM(Read Only Memory)(図示せず)と、必要なデータの書き込みおよび読み出しができるRAM(Random Access Memory)(図示せず)を備えている。CPUは、ROMから読み出した制御プログラムを実行し、RAMに種々のデータを書き込む、またはRAMから種々のデータを読み出すことによって種々の機能を実現することができる。
なお、
図4または
図5に図示している各構成要素の機能としては、1つの電子基板のみで実現できる機能、複数の電子基板の相互間で種々のデータの授受を行うことにより実現できる機能、電子基板と当該電子基板に非搭載の機能部品とが電気的に接続していることにより実現できる機能等が混在している。これらの各種機能を実現するためのハードウェア構成は幾通りも存在しうるものであって、必ずしも一つに限定されない。
【0044】
図4に示すように、パチンコ遊技機10は、遊技を統括的に制御する主制御部100を備える。
主制御部100は、遊技を統括的に制御し、遊技に関連する演出等について他の構成要素(例えば演出制御部210)にコマンドを伝送する。主制御部100は、遊技の結果に影響を及ぼす機能または及ぼす虞がある機能を有する基板であって、いわゆる主基板である。
図4に示すように、主制御部100は多数の制御構成を有し、これらの制御構成が互いに接続している構成となっているが、ここに図示している制御構成及び制御構成間の接続関係は一例であって、必ずしもこれに限られるものではない。
【0045】
主制御部100が備える主な制御構成としては、特図抽選制御部130、普図抽選制御部170、遊技状態制御部140、図柄表示制御部150、変動パターン処理部160、情報伝送部110等が挙げられる。
特図抽選制御部130は、特別図柄による図柄変動ゲームに関連して他の構成要素を制御する。
普図抽選制御部170は、普通図柄による図柄変動ゲームに関連して他の構成要素を制御する。
遊技状態制御部140は、大当り遊技の制御、確変状態の管理または変短状態の管理を行う。
図柄表示制御部150は、特別図柄による図柄変動ゲームの結果として選択された特別図柄、または普通図柄による図柄変動ゲームの結果として選択された普通図柄、を図柄表示器90に表示させる。
変動パターン処理部160は、特別図柄による図柄変動ゲームにて図柄表示制御部150が変動表示を開始してから停止表示を行うまでの時間を示す変動時間情報を少なくとも含む変動パターンを決定する。また、変動パターン処理部160によって決定された変動パターンは、情報伝送部110を介して演出制御部210に出力されて演出表示器80における表示演出(リーチ演出や保留変化演出等)を実行する際にも用いられる。
情報伝送部110は、主制御部100に含まれる各構成要素にて生成された制御情報(コマンド)を他の構成要素(例えば、演出制御部210等)に伝送する機能を有している。情報伝送部110によって伝送されるコマンドには、上述の変動パターンを示す情報の他にも、特図抽選や普図抽選の結果、確変状態または変短状態の有無、保留記憶に関する情報または大当り遊技の実行に関する情報等が含まれてもよい。
【0046】
また、パチンコ遊技機10は、上述した主要な構成要素の他に、演出制御部210、払出制御部230等を備えている。
演出制御部210は、パチンコ遊技機10によって行われる遊技(図柄変動ゲームや大当り遊技等)に関連する演出を制御する。
払出制御部230は、各入賞口への入賞の特典として付与される賞球の払い出しを制御する。
ここまで挙げた各構成要素について、以下ではより詳細に説明する。
【0047】
<特図抽選について>
主制御部100は、特図保留制御部115と、特図抽選制御部130と、を備える。
また、特図抽選制御部130は特別図柄による図柄変動ゲームを司り、当否抽選部131と特図選択部132とを有している。
【0048】
特図保留制御部115は、第1始動口58への入賞を契機として乱数M1を取得して保留記憶させる。また、特図保留制御部115は、第2始動口59への入賞を契機として乱数M2を取得して保留記憶させる。
より具体的には、特図保留制御部115は、カウントスイッチSW1によって第1始動口58の入賞が検知されると乱数M1を取得し、当該取得した乱数M1を専用の記憶領域に格納(保留記憶)させる。また、特図保留制御部115は、カウントスイッチSW2によって第2始動口59の入賞が検知されると乱数M2を取得し、当該取得した乱数M2を専用の記憶領域に格納(保留記憶)させる。
乱数M1の保留上限数(保留記憶の上限数)または乱数M2の保留上限数(保留記憶の上限数)は予め定められており、本実施形態では、例えば、乱数M1および乱数M2の各々について4個が保留上限数と設定されている。
【0049】
特図保留制御部115は、第1始動口58への入賞を契機として取得される乱数M1と、第2始動口59への入賞を契機として取得される乱数M2と、を区別して保留記憶させる。
特図保留制御部115は、保留記憶させた乱数M1または乱数M2を、保留記憶させた順番で当否抽選部131に処理させてもよいし、一方を他方に優先して当否抽選部131に処理させてもよい。
【0050】
特図保留制御部115は保留記憶されている乱数の数をそれぞれについて監視してもよい。この場合、特図保留制御部115は、監視している乱数の数を、図柄表示器90に表示させるように図柄表示制御部150(特別図柄表示制御部151)に指令を出力してもよい。また、特図保留制御部115は、保留記憶させている乱数の数に相当する数の保留表示を表示させるように、情報伝送部110を介して演出制御部210に指令を出力してもよい。
【0051】
特図保留制御部115は、例えば、以下に説明する事前判定部118を有していても良い。その場合、事前判定部118による判定結果である事前判定情報を乱数M1または乱数M2に対応付けて保留記憶させることができる。特図保留制御部115に保留記憶されている事前判定情報は、後述の図柄変動開始処理において生成されるコマンドに包含されて、情報伝送部110を経由して演出制御部210に出力される。
【0052】
事前判定部118は、保留記憶されている乱数M1または乱数M2が当否抽選部131による判定における当選値であるか否かを判定する(以下、この判定を第一判定と称す)。また、事前判定部118は、当選値であるか否かの判定に基づいて、判定対象の乱数M1または乱数M2に起因する特別図柄の図柄変動ゲームにおいて演出制御部210が決定する演出内容(リーチ演出の有無やリーチ演出の種別等)の決定条件を判定する(以下、この判定を第二判定と称す)。さらに、事前判定部118は、判定された演出内容に基づいて、その演出を実行している最中(判定対象の乱数M1または乱数M2に起因する特別図柄の図柄変動ゲームの実行中)に保留変化演出を行うか否かを判定する(以下、この判定を第三判定と称す)。
ここで、保留変化演出とは、例えば、保留表示の色彩などが変化する演出を意味する。保留変化演出により変化した保留表示と対応する図柄変動ゲームの実行中には、リーチ演出が行われやすかったり、更には、大当り遊技が付与され易かったりする。
ここで述べた事前判定情報とは、第三判定の判定結果を少なくとも包含する情報であり、第一判定または第二判定の判定結果は包含してもしなくてもよい。
なお、ここで述べた第一判定が肯定される場合には第三判定が肯定されやすく、第一判定が否定される場合には第三判定が否定されやすくなっている。すなわち、当選値である乱数M1または乱数M2が保留記憶された場合には、保留変化演出が行われやすくなっている。
なお、本発明において、保留変化演出を行わない場合(例えば、擬似連演出は行うが、保留変化演出は行わない場合など)には、事前判定部118は必ずしも必要では無い。
【0053】
当否抽選部131は、第1始動口58または第2始動口59への遊技球の入球を契機として取得された乱数M1または乱数M2を用いて大当り遊技の当否抽選を行う。なお、当否抽選部131による当否抽選の当選確率は一例に限らず、適宜変更可能である。
ここで「入賞を契機として当否抽選を行う」とは、入賞を検知することを一つの条件として、その後に当否抽選が実行されうることをいう。すなわち、入賞が検知されたとしても、必ずしも当該当否抽選が実行されなくてもよい。例えば、保留されている乱数M1の数が保留上限数を超えた場合にカウントスイッチSW1によって検知された入賞、または保留されている乱数M2の数が保留上限数を超えた場合にカウントスイッチSW2によって検知された入賞は、当否抽選の条件にはならない。
【0054】
特図選択部132は、当否抽選部131による当否抽選の結果に基づいて、特別図柄表示部91に表示させる特別図柄を選択する。すなわち、特図選択部132は、特別図柄表示部91に表示するために選択されうるデータ群の中からデータを選択する。
特図選択部132によって選択された特別図柄は、特別図柄による図柄変動ゲームの実行中に、後述する特別図柄表示制御部151によって特別図柄表示部91に表示される。すなわち、特図選択部132により選択されたデータと対応する点灯パターンで、特別図柄表示部91のLEDが点灯する。
なお、特図選択部132による選択には、当否抽選に用いられた乱数M1と、予め用意されている特別図柄の種類とが同数であって一意に決定される態様も含まれる。
【0055】
<普図抽選について>
パチンコ遊技機10は、普図保留制御部116と、普図抽選制御部170と、普通電役制御部180と、を備える。
普図抽選制御部170は普通図柄による図柄変動ゲームを司り、開放抽選部171と普図選択部172とを有する。また、普通電役制御部180は、普通電動役物61を制御する。
【0056】
普図保留制御部116は、カウントスイッチSW3によって作動ゲート63の入賞が検知されると、乱数M3を取得して専用の記憶領域に格納(保留記憶)させる。ここで乱数M3は、開放抽選部171による抽選に用いられる乱数である。保留可能な乱数M3の上限数である保留上限数は予め定められている。
普図保留制御部116は、普図抽選制御部170が普通図柄による図柄変動ゲームに係る制御を行っていないとき、保留されている乱数M3を所定の周期で読み出す。
【0057】
普図保留制御部116は保留されている乱数M3の数を監視している。また、普図保留制御部116は、監視している乱数M3の数を、図柄表示器90に表示させるように図柄表示制御部150に指令を出してもよいし、演出表示器80に表示させるように情報伝送部110を介して演出制御部210に指令を出してもよい。
【0058】
開放抽選部171は、普図保留制御部116によって取得された乱数M3を用いて、普通電動役物61を開放状態に遷移させるか否かの開放抽選を行う。なお、開放抽選部171による開放抽選の当選確率は、通常遊技状態であるときは変短状態であるときより低くなっており、変短状態であるときは通常遊技状態であるときより高くなっている。
開放抽選部171による開放抽選に当選したとき、普通電役制御部180はアクチュエータAC1を作動させて所定の開放条件で普通電動役物61を開放させる。
【0059】
普図選択部172は、開放抽選部171による開放抽選の当否結果に基づいて普通図柄を選択し、選択された普通図柄を普通図柄表示制御部153によって普通図柄表示部93に表示させる。すなわち、普図選択部172は、普通図柄表示部93に表示するために選択されうるデータ群の中からデータを選択し、普図選択部172により選択されたデータと対応する点灯パターンで、普通図柄表示部93のLEDが点灯する。
普通図柄表示部93に対応している二つのLEDは一方が当選、一方が落選に対応しており、普通図柄表示制御部153は普図選択部172が選択した普通図柄に従っていずれか一方を点灯させる。
なお、ここでいう選択とは、特図選択部132による選択と同様に、開放抽選部171による抽選に用いられた乱数M3と、予め用意されている特別図柄の種類とが同数であって一意に決定される態様も含まれる。
【0060】
普通電役制御部180は、変短制御部143によって変短状態が付与されているとき、開放状態をとる時間が単位時間あたりで増加するように普通電動役物61を制御する。すなわち、普通電役制御部180の制御は、後述する変短制御部143による変短状態の付与に起因して変動する。
【0061】
<遊技状態制御について>
遊技状態制御部140は大当り遊技、確変状態または変短状態を制御するものであり、確変制御部141、変短制御部143または大当り制御部145を有している。
【0062】
確変制御部141は、確変状態の付与条件が成立したときに通常遊技状態から確変状態へ、または確変状態の解除条件が成立したときに確変状態から通常遊技状態へと移行させることができる。ここで確変状態とは、特別図柄による図柄変動ゲームにおける当選確率が通常遊技状態より高確率になることをいう。
【0063】
確変状態の方式は、一般的にループ方式・ST方式・転落抽選方式の三種類に大別される。本実施形態における確変制御部141は、これらの三種類の確変状態のいずれを付与する態様であってもよい。
ループ方式の確変とは、確変大当りに係る大当り遊技の後に確変状態に移行し、少なくとも次回大当りまで継続する確変をいう。従って、ループ方式の確変の場合、確変状態の解除条件は次回大当りが開始されることである。
ST方式の確変とは、「スペシャルタイム確変」あるいは「回数切り確変」等とも称され、確変大当りに係る大当り遊技の後に確変状態に移行した後、所定回数の図柄変動ゲームのうちに大当り抽選に当選しない場合に、通常遊技状態に移行する確変をいう。従って、ST方式の確変の場合、確変状態の解除条件は次回大当りが開始されることに加えて、所定回数の図柄変動ゲームが行われることが含まれる。
転落抽選方式の確変とは、確変大当りに係る大当り遊技の後に確変に移行した後に行われる図柄変動ゲームにおいて確変状態から通常遊技状態へ転落するか否かを抽選(転落抽選)し、転落抽選に当選した場合に通常遊技状態へ移行する確変をいう。従って、転落抽選方式の確変の場合、確変状態の解除条件は次回大当りが開始されることに加えて、転落抽選に当選することが含まれる。
【0064】
確変状態の付与条件は、一般的には(a)一部または全部の当り遊技を条件とする方式と、(b)当り遊技中に所定の領域(入賞口を含む)への遊技球の入球を条件とする方式と、が挙げられる。また、(a)の方式において確変状態の付与条件となる一部の当り遊技を選択する方式としては、特別図柄変動ゲームにて抽選される特別図柄によって決定する方式を採用することが多い。
なお、本実施形態における確変状態の付与条件は、(a)の方式を採用してもよく、(b)の方式を採用してもよい。
【0065】
変短制御部143は、変短状態の付与条件が成立したときに通常遊技状態から変短状態へと移行させ、変短状態の解除条件が成立したときに変短状態から通常遊技状態へと移行させる。
なお、本実施形態における変短状態の付与条件は、確変状態の付与条件と共通であってもよいし異なってもよい。また、本実施形態における変短状態の解除条件は、確変状態の解除条件と共通であってもよいし異なってもよい。すなわち、確変状態が付与される期間と変短状態が付与される期間は、共通であってもよいし異なってもよい。
【0066】
変短状態とは、(i)普通電動役物の開放抽選の当選確率が通常遊技状態より高確率になる、(ii)普通電動役物の一回当りの開放時間が通常遊技状態より延長される、(iii)普通電動役物の開放抽選の当選に応じて普通電動役物が開放される回数が通常遊技状態より増加される、(iv)普通図柄表示部における一回あたりの変動表示時間が短縮される、の少なくとも一つが行われることをいう。
本実施形態において変短状態が付与された場合には、上記の四つのいずれも実行されるものとする。なお、上記の(ii)および(iii)の少なくとも一つが行われることを、一般的には"電チューサポート"または"電サポ"等と称する。
【0067】
大当り制御部145は、大当り遊技を制御する。本実施形態における大当り遊技は、具体的には以下のように実行される。
まず、当否抽選部131によって大当り遊技に当選した場合、大当り遊技に対応する特別図柄が特図選択部132によって選択され、選択された特別図柄が特別図柄表示部91に停止表示された後(特別図柄による図柄変動ゲームが終了した後)に、大当り制御部145は大当り遊技を開始させる。
大当り遊技が開始されると、大当り制御部145は演出制御部210に大当り遊技の開始を示すオープニング演出に関する指令を出す。演出制御部210は大当り制御部145の指令に従い所定時間(オープニング時間)にわたってオープニング演出を実行する。なお、オープニング演出において遊技者に右打ちを推奨する等して、大入賞口55に向かう第2流路Yへの遊技球の打ち出しを促すことが好ましい。
オープニング演出の終了後には、大入賞口55が開放されるラウンド遊技が予め定められた規定回数(ラウンド回数)を上限として複数回行われる。ラウンド遊技では、大入賞口55が所定回数(例えば1回)開放される。また、開放された大入賞口55に規定個数の遊技球が入球した後、または規定時間(ラウンド遊技時間)が経過後に、大入賞口55が閉鎖されてそのラウンド遊技が終了する。
ラウンド遊技の終了後には、大入賞口55が所定の時間(インターバル時間)だけ閉鎖され、次のラウンド遊技の開始と共に再び大入賞口55が開放される。
【0068】
大当り制御部145は、前段で述べたように制御するために、ラウンド回数・ラウンド遊技時間・インターバル時間等を制御情報として含む指令を特別電役制御部190に伝送する。
特別電役制御部190は、大当り制御部145から受けた指令に従って、アクチュエータAC2を作動させて特別電動役物65を開放させる。また、特別電役制御部190は、特別電動役物65を開放させている間、1回のラウンド遊技中に大入賞口55に入球した遊技球の個数をカウントスイッチSW4の検知に基づいて監視している。そして、特別電役制御部190は、入球した遊技球が上限数に達したとき、アクチュエータAC2を作動させて特別電動役物65を閉鎖させる。
【0069】
大当り制御部145は、演出制御部210にラウンド遊技中に係る演出に関する指令を出す。演出制御部210は大当り制御部145の指令に従ってラウンド演出を実行する。
規定のラウンド回数が終了すると、大当り制御部145は情報伝送部110を介して演出制御部210に大当り遊技の終了を示すエンディング演出に関する指令を出す。演出制御部210は大当り制御部145の指令に従い所定時間(エンディング時間)にわたってエンディング演出を実行し、大当り制御部145は大当り遊技を終了させる。
【0070】
<払出制御について>
パチンコ遊技機10は、上球受け皿27に連通している払出機構部70を制御し、上球受け皿27へ賞球を払い出すことができる払出制御部230を備える。
より詳細には、主制御部100は、各カウントスイッチ(カウントスイッチSW1、カウントスイッチSW2、カウントスイッチSW4、カウントスイッチSW5)による入賞検知に応じて所定の賞球を払い出すように払出制御部230に対して指令を出力する。そして、払出制御部230は、主制御部100から受け付けた指令に基づいて払出機構部70を制御する。なお、払出機構部70は中枠(図示せず)の後方に配設されており、前枠20が閉じた状態では視認することができない。
各カウントスイッチに対して予め設定されている所定の賞球の数は、実施の態様に合わせて適宜設定してもよく、一例に限られない。
【0071】
<図柄変動ゲームと演出図柄の変動表示について>
パチンコ遊技機10は、図柄表示制御部150と、演出制御部210と、変動パターン処理部160と、を備える。
図柄表示制御部150は、特別図柄による図柄変動ゲームの結果である特別図柄、または普通図柄による図柄変動ゲームの結果である普通図柄、を図柄表示器90に表示させる。
演出制御部210は、主に特別図柄による図柄変動ゲームや大当り遊技に関する演出表示を演出表示器80に表示させる。特に、特別図柄による図柄変動ゲームの実行中に関していえば、演出制御部210は、特別図柄表示部91における特別図柄による図柄変動ゲームの変動時間に合わせて、メイン表示部81で演出図柄の変動表示を行っている。
【0072】
メイン表示部81で行われる演出図柄の変動表示は、一例として、メイン表示部81の上段、中段または下段において、複数とおりの演出図柄をスクロール(変動表示)させることにより行われる。
図11から
図13に示される左向きの三本の矢印は、各段の演出図柄がスクロールする向きの一例を示している。演出図柄は、スクロールした後、段ごとに停止表示または仮停止状態になる。ここで、仮停止とは、暫定的に停止している旨を示す表示態様であり再変動しうる状態を意味している。また、停止表示とは、確定的に停止している表示態様を意味しており、仮停止状態とは異なる状態である。
【0073】
各段においてスクロールが停止する(演出図柄が仮停止状態になる)順序は、特に限定されないが、一例として、上段→下段→中段の順序とすることができる。
なお、本実施形態においては、スクロール方向が左右方向(具体的には例えば左向き)であるため、演出図柄のスクロールは段ごとに実行されるが、スクロール方向が上下方向である場合には演出図柄のスクロールは列ごとになる。このため、本実施形態において「段」と説明している記載内容について、スクロール方向が上下方向である遊技機で実施する場合には「列」と同義になりうる。
【0074】
ここで、演出制御部210は、特別図柄表示部91における一回の特別図柄による図柄変動ゲームと、メイン表示部81における一回の演出表示とを、原則として対応付けて実行する。
ただし、複数回の特別図柄による図柄変動ゲームにわたって連続性を有している演出表示が実行される場合や、一回の特別図柄による図柄変動ゲームに対して複数回の変動を1セットとする演出表示が実行される場合もある。前者の代表例はいわゆる連続予告と称される演出表示であり、後者の代表例はいわゆる擬似連演出と称される演出表示である。
【0075】
ここで、擬似連演出とは、複数列に表示される演出図柄を変動表示させてから仮停止させるまでを一回の変動サイクルとして、一回の図柄変動ゲームが実行されている期間に複数回の変動サイクルを連続して行う演出をいう。
更には、擬似連演出とは、一回の変動表示(演出図柄の変動表示)が実行されている期間に複数回の変動サイクルを連続して行う演出をいう。
擬似連演出が行われた図柄変動ゲームの実行中には、リーチ演出が行われやすかったり、更には、大当り遊技が付与され易かったりする。
ここで、擬似連演出は、仮停止した演出図柄が特定の出目(いわゆる継続目:例えば、いわゆるズレ目など)となることを契機として次回の変動サイクルに継続しうるようになっていてもよいし、仮停止した演出図柄の出目と関係なく次回の変動サイクルに継続しうるようになっていてもよい。
【0076】
上述した特別図柄による図柄変動ゲームと演出図柄の変動表示との対応性を担保するため、変動パターン処理部160は変動パターンを定める。
より詳細には、変動パターン処理部160は、特別図柄による図柄変動ゲームにて特別図柄が変動する時間を示す変動時間情報を少なくとも含む変動パターンを定め、変動パターンを含む指令を図柄表示制御部150(特別図柄表示制御部151)または演出制御部210に出力する。このとき、変動パターン処理部160は、事前判定部118による判定結果、特に演出内容に関する判定(第二判定)の結果を参照して変動パターンを定めてもよい。
特別図柄表示制御部151は変動パターンに応じて特別図柄による図柄変動ゲームを実行し、また演出制御部210は変動パターンに応じて演出図柄の変動表示を実行することによって、これらの対応性を担保している。
【0077】
なお、上記の説明において、演出制御部210は、演出表示器80(メイン表示部81、上サブ表示部82、左サブ表示部83、右サブ表示部84)の演出表示を制御する旨を説明したが、演出制御部210の制御対象はこれに限られない。その他にも、演出制御部210は、照明装置35による点灯(点滅)演出、またはスピーカ33による音声演出についても制御することができ、これらの演出表示、点灯演出、音声演出等を組み合わせて遊技者の興趣を喚起することができる。
また、演出制御部210は、ボタン37にて受け付けた遊技者の操作に応じて各種演出を切り替えることもできる。
また、演出制御部210は、上サブ表示部82、左サブ表示部83または右サブ表示部84の移動制御を実行することができ、さらに
図4では図示していないが、いわゆる装飾可動体の移動制御を実行することができてもよい。
【0078】
また、上記の説明において、変動パターン処理部160によって定められる変動パターンは変動時間情報を少なくとも含む旨を説明した。この他にも、変動パターンには、リーチ演出をするかバラケ目にするかを示す情報やリーチ演出の種別を示す情報等が含まれてもよい。
【0079】
<各種処理の処理手順について>
次に、上記で説明した各種処理の処理手順について、主に
図6から
図9を用いて説明する。
【0080】
図6は、入球時処理の処理手順を示すフローチャートである。
図7は、入球時における保留表示処理の処理手順を示すフローチャートである。
図8は、図柄変動開始処理の処理手順を示すフローチャートである。
図9は、図柄変動時における保留表示処理の処理手順を示すフローチャートである。
なお、これらのフローチャートで図示される処理手順は、本発明の処理手順やその実行タイミングを限定するものではない。このため、本発明に関する処理を実施するときには、その複数の処理手順は内容的に支障のない範囲で変更することができ、また複数の処理が実行される期間の一部または全部が互いに重複していてもよい。
また、
図7から
図10で図示される各処理は、本発明の説明に必要な主たる処理であって、パチンコ遊技機10によって実行される全ての処理を示すものではない。
【0081】
まず、
図6を用いて、入球時処理について説明する。ここで入球時処理とは、第1始動口58または第2始動口59に対して遊技球が入球した後に実行される一連の処理である。
第1始動口58または第2始動口59への入球が検知されるまで(ステップS102のNO)、ステップS104以降の処理は行われないまま待機となる。
また、第1始動口58または第2始動口59への入球が検知されたとしても(ステップS102のYES)、特図保留制御部115による保留数が上限に達していれば(ステップS104のYES)、ステップS106以降の処理は行われないまま待機となる。
【0082】
第1始動口58または第2始動口59への入球が検知されて(ステップS102のYES)、かつ特図保留制御部115による保留数が上限に達していないとき(ステップS104のNO)、特図保留制御部115による保留数が加算される(ステップS106)。また、特図保留制御部115によって乱数M1または乱数M2が取得されて、専用の記憶領域に保留記憶される(ステップS108)。
すなわち、ステップS102の肯定とステップS104の否定とが、上記の始動条件の成立を意味する。
【0083】
次に、ステップS108において乱数M1または乱数M2が保留されたことを契機として、事前判定部118によって事前判定処理(ステップS110)が行われる。
事前判定処理が実行されるとき、事前判定部118は、保留記憶された乱数M1または乱数M2に起因して大当り遊技に当選するか否かおよびその乱数に対して保留変化演出を行うか否かを判定し、その判定結果を示す事前判定情報を生成する。
事前判定部118は、上述の第一判定、第二判定または第三判定に用いられる判定テーブルを有しており、当該判定テーブルに基づいて各判定処理を行う。なお、第一判定に用いられる判定テーブルには、当否抽選部131に用いられる抽選テーブルに格納されている当選値の少なくとも一部が格納されており、判定対象の乱数M1または乱数M2が当該判定テーブルに格納されている当選値と一致するか否かによって第一判定を実行することができる。
なお、ステップS110の処理は、毎回の図柄変動ゲームにおいて実行されなくてもよい。換言すれば、ステップS110の処理は、所定の条件に合致する場合に実行されるのであってもよい。
【0084】
ステップS102からステップS110までの一連の処理結果を制御情報として含むコマンドが、情報伝送部110から演出制御部210に対して出力されて(ステップS112)、その入球時処理は終了となる。
ステップS112にて出力されるコマンドには、例えば、ステップS110における事前判定部118の判定結果を示す事前判定情報が含まれる。
【0085】
次に、
図7を用いて、入球時における保留表示処理の処理手順について説明する。演出制御部210が、ステップS112において出力されたコマンドを入力した場合であって(ステップS402)、入力されたコマンドに含まれる事前判定情報が保留変化演出を行う旨の判定結果を示している場合(ステップS404のYES)、その保留変化演出が行われる乱数M1または乱数M2に対応している保留表示の変化に関する判定を行う(ステップS406)。
また、入力されたコマンドに含まれる事前判定情報が保留変化演出を行わない旨の判定結果を示している場合(ステップS404のNO)、ステップS406の処理は行われないまま待機となる。
【0086】
ステップS406において判定される内容には、例えば、対象となる保留表示を変化させる図柄変動ゲーム、保留表示期間の最初における当該保留表示の色彩、保留表示期間内に変化する回数、保留表示期間の最後(当該保留表示に対応する乱数に起因する図柄変動ゲームの直前)における当該保留表示の色彩等が含まれてもよい。
なお、ここで挙げた判定内容は一例であり、ステップS406において事前判定情報(事前判定部118による判定結果)に基づいて設定される内容は適宜変更してもよい。
【0087】
次に、ステップS406で設定された色彩(保留表示期間の最初における保留表示の色彩)の保留表示を、演出制御部210はメイン表示領域81aに追加する(ステップS408)。
【0088】
次に、
図8を用いて、図柄変動開始処理の処理手順について説明する。ここで図柄開始処理とは、特別図柄による図柄変動ゲームを開始させる際に行われる一連の処理である。
まず、特図抽選制御部130は、変動開始条件が成立しているか否かを判定する(ステップS202)。ここで変動開始条件とは、(i)ステップS202の判定時において特別図柄による図柄変動ゲームが実行されていないこと、(ii)ステップS202の判定時において大当り遊技が実行されていないこと、(iii)ステップS202の判定時において保留記憶が1個以上存在すること等が挙げられる。
ステップS202の判定が否定されるとき(ステップS202のNO)、ステップS204以降の処理は実行されずに、その開始処理は終了となる。
【0089】
ステップS202の判定が肯定されるとき(ステップS202のYES)、当否抽選部131は、特図保留制御部115に保留されている乱数M1または乱数M2を読み出す(ステップS204)。
ステップS204において、当否抽選部131は、特図保留制御部115に保留記憶されている順番で乱数M1または乱数M2を読み出してもよいし、一方を他方に優先して読み出してもよい。
【0090】
ステップS204で乱数が読み出されることを契機として各判定処理が実行される(ステップS206)。
ここでステップS206に含まれる処理としては、具体的には、上述した当否抽選部131による当否抽選や特図選択部132による特別図柄の選択が少なくとも含まれる。また、(i)変短状態が付与されているか否か、(ii)演出図柄をリーチ目で停止させるか否か、(iii)特定の演出を行うか否か等の判定処理が、ステップS206の処理に含まれてもよい。さらに、ここで特定の演出を行うか否かの判定の一部として、リーチ演出又は擬似連演出などを行うか否かの判定が含まれてもよい。
そして、変動パターン処理部160は、ステップS206の処理結果を用いて変動パターンを決定する(ステップS208)。
【0091】
ステップS202からステップS208までの一連の処理結果を制御情報として含むコマンドが、情報伝送部110から演出制御部210に対して出力されて(ステップS210)、その図柄変動開始処理は終了となる。
ステップS210において出力されるコマンドには、例えば、ステップS206で実行された判定の処理結果を示す情報やステップS208で決定された変動パターンを示す情報、またはこれらに関連して実行される演出に用いられる情報等が含まれてもよい。
【0092】
次に、
図9を用いて、図柄変動時における擬似遊技球演出表示処理について説明する。演出制御部210に、ステップS210において出力されたコマンドが入力された場合(ステップS502)、演出制御部210は、擬似遊技球演出表示(後述)を実行するか否かと実行する場合における擬似遊技球演出表示の種類とを入力されたコマンドの内容に応じて決定し(ステップS504)、ステップS504にて決定した演出を実行する(決定した表示演出を演出表示器80に行わせる)(ステップS506)。
ここで、ステップS504では、演出制御部210は、保留変化演出、リーチ演出、擬似連演出などの演出を実行するか否か、またはそれら演出の具体的な内容も決定する。
ステップS506で実行する演出は、後述する擬似遊技球演出表示を含むものであっても良いし、含まないものであっても良い。
また、擬似遊技球表示演出を含む演出としては、擬似遊技球表示演出に続いて、保留変化演出、擬似連演出、リーチ演出などが行われる演出や、リーチ演出又は擬似連演出が行われている期間中に擬似遊技球表示演出が行われる演出などが挙げられる。
【0093】
<擬似遊技球251を用いた演出表示(擬似遊技球演出表示)について>
次に、
図10から
図19を用いて、演出表示器80において擬似遊技球251の表示を伴って行われる演出表示(擬似遊技球演出表示)の例を説明する。
図10は左サブ表示部83において行われる演出表示の説明図である。
図11〜
図13はメイン表示部81において行われる演出表示の説明図である。
図14〜
図19は右サブ表示部84において行われる演出表示の説明図である。
擬似遊技球演出表示は、当該擬似遊技球演出表示を実行することが演出制御部210によって決定された場合に、演出制御部210の制御下で、演出表示器80において行われる。
【0094】
本実施形態に係るパチンコ遊技機10は、画像を表示する表示手段(演出表示器80)と、表示手段の表示動作を制御する表示制御部と、を備えている。
ここで、表示制御部は、例えば、演出制御部210により構成されていても良いし、主制御部100と演出制御部210とにより構成されていても良い。ただし、以下の説明は、表示制御部が演出制御部210により構成されているものとして行う。
表示手段は、それぞれが移動表示される特定領域(例えば擬似入球装置270の擬似入賞穴272(
図14))及び非特定領域(例えば擬似ハズレ穴273(
図14))を表示する特定演出表示領域(例えば、右サブ表示部84の右サブ表示領域84a(
図2、
図14))と、擬似遊技球251が出現する出現演出表示(
図10)を行う出現演出表示領域(例えば、左サブ表示部83の左サブ表示領域83a(
図2、
図10))と、出現した擬似遊技球251が特定演出表示領域に向けて移動する移動演出表示(
図11、
図12)を行う移動演出表示領域(例えば、メイン表示部81のメイン表示領域81a(
図2、
図11))と、を含んでいる。
表示制御部は、出現演出表示を行わせる前から、特定演出表示領域に特定領域及び非特定領域を表示させて特定領域及び非特定領域の移動表示を開始させる(
図17)。
そして、擬似遊技球251が出現する場合には、表示制御部は、出現演出表示(
図10)と、移動演出表示(
図11、
図12)と、特定演出表示領域に移動した擬似遊技球251が特定領域に入球するか否かの特定演出表示(
図14、
図15、
図16)と、移動演出表示の実行前又は実行中に特定演出表示領域における特定領域及び非特定領域の表示位置又は移動速度を補正する補正表示(
図17、
図18、
図19)と、を表示手段に実行させることが可能である。
【0095】
ここで、本実施形態では、擬似遊技球251が遊技球(パチンコ球)を模したものである例を説明するが、本発明はこの例に限らず、擬似遊技球251は、例えば、ルーレット或いはその他の遊技で用いられる球などの球状の物体全般を模した画像であっても良い。
本実施形態の場合、特定領域(擬似入賞穴272)及び非特定領域(擬似ハズレ穴273)の移動表示としては、例えば、特定領域及び非特定領域が回転移動する表示を例示する。ただし、本発明は、この例に限らず、特定領域及び非特定領域が回転移動以外の態様(例えば直線的な往復移動など)で移動しても良い。
また、本実施形態の場合では、特定領域(擬似入賞穴272)及び非特定領域(擬似ハズレ穴273)が擬似入球装置270に形成されている例を説明するが、本発明において、特定演出表示領域に擬似入球装置270を表示することは必ずしも必要ではない。
また、出現した擬似遊技球251が特定演出表示領域に向けて移動する移動演出表示とは、時系列的に徐々に又は段階的に、擬似遊技球251の表示位置が特定演出表示領域に近づくような演出表示を意味する。なお、移動演出表示を行う期間中には、擬似遊技球251と特定演出表示領域との距離が不変の期間が含まれていても良いし、当該距離が一時的に拡大する期間が含まれていても良い。すなわち、擬似遊技球251と特定演出表示領域との距離が拡大する期間が、移動演出表示を行う期間に含まれていたとしても、移動演出表示の開始時と比べて、当該移動演出表示の終了時には、擬似遊技球251と特定演出表示領域との距離が短くなっていれば良い。
また、擬似遊技球251が特定領域に入球するか否かの特定演出表示とは、擬似遊技球251が特定領域に入球する場合と入球しない場合とが選択的に発生しうる演出表示を意味する。すなわち、演出制御部210は、例えば、擬似遊技球251が特定領域に入球する表示パターン(以下、入球パターン)の映像データ(以下、入球パターンデータ)と、擬似遊技球251が特定領域に入球しない表示パターン(以下、非入球パターン)の映像データ(以下、非入球パターンデータ)と、をそれぞれ予め記憶保持している。そして、演出制御部210は、入球パターンでの特定演出表示を演出表示器80に行わせることを決定した場合には、入球パターンでの特定演出表示を演出表示器80に行わせ、したがって、擬似遊技球251が特定領域に入球したかのような表示が行われる。その一方で、演出制御部210は、非入球パターンでの特定演出表示を演出表示器80に行わせることを決定した場合には、非入球パターンでの特定演出表示を演出表示器80に行わせ、したがって、擬似遊技球251が特定領域に入球しなかったかのような表示が行われる。
【0096】
本実施形態の場合、擬似遊技球演出表示は、擬似入球装置270の表示を伴って行われる。
図17に示すように、擬似入球装置270は、右サブ表示領域84aに表示される画像であり、例えば、回転表示される円形の回転体271と、擬似遊技球251を回転体271に向けて誘導する誘導壁275と、回転体271の周囲に配置されている回転体枠276と、を備えている。擬似入球装置270は、例えば、いわゆるクルーンである。
なお、誘導壁275の表示は必ずしも必要ではない。
【0097】
回転体271は、例えば、当該回転体271の中心の周りに等角度間隔で配置された擬似入賞穴272と、擬似ハズレ穴273と、ダミー擬似ハズレ穴274と、を有している。
なお、擬似入賞穴272と、擬似ハズレ穴273及びダミー擬似ハズレ穴274とは、互いに異なる表示色に設定されていることが好ましく、これにより、遊技者が擬似入賞穴272と、それ以外の穴(擬似ハズレ穴273及びダミー擬似ハズレ穴274)とを識別しやすくなる。
回転体271は、当該回転体271の中心を回転中心として一方向(例えば時計回り)に回転するように表示される。ここで、回転体271の回転速度は、例えば、通常時(例えば、補正表示が行われる期間を除く期間)には、一定速度となっている。
【0098】
誘導壁275は、例えば、回転体枠276と一続きの壁状に形成されており、回転体枠276を基準としてメイン表示領域81a側(
図14〜
図19において左側)に配置されている。誘導壁275は、擬似遊技球251を回転体271に向けて誘導する誘導路を形成している。
図14から
図16に示すように、擬似遊技球251が誘導壁275により囲まれた誘導路を右方に移動して、擬似入賞穴272又は擬似ハズレ穴273に入球するような演出表示が行われるようになっている。
本実施形態の場合、例えば、ダミー擬似ハズレ穴274には擬似遊技球251が入球しないようになっている。
【0099】
一連の擬似遊技球演出表示は、出現演出表示と、移動演出表示と、特定演出表示と、補正表示と、を含みうる。
出現演出表示は、例えば、左サブ表示部83の表示画面である左サブ表示領域83aにおいて擬似遊技球251が出現する演出表示である(
図10)。
また、移動演出表示は、例えば、メイン表示部81の表示画面であるメイン表示領域81aにおいて、擬似遊技球251が右サブ表示領域84aに向けて移動する演出表示である(
図11、
図12)。
また、特定演出表示は、例えば、右サブ表示部84の表示画面である右サブ表示領域84aに移動した擬似遊技球251が、擬似入球装置270の擬似入賞穴272に入球するか否かの演出表示である(
図14、
図15、
図16)。
また、補正表示は、移動演出表示の実行前又は実行中に、右サブ表示領域84aにおける擬似入賞穴272及び擬似ハズレ穴273の表示位置又は移動速度を補正する演出表示である(
図17、
図18、
図19)。
【0100】
なお、一連の擬似遊技球演出表示が行われる期間(以下、擬似遊技球演出表示期間)は、演出図柄の変動表示が開始されてから停止するまでの期間(以下、演出図柄変動表示期間)の少なくとも一部と重複するようになっていても良いし、演出図柄変動表示期間とは異なる(重複しない)期間となるようになっていても良い。前者の場合、擬似遊技球演出表示期間が、単一の演出図柄変動表示期間に収まるようになっていても良いし、擬似遊技球演出表示期間の開始タイミングが単一の演出図柄変動表示期間の開始タイミングよりも前となるようになっていても良いし、擬似遊技球演出表示期間の終了タイミングが単一の演出図柄変動表示期間の終了タイミングよりも後となるようになっていても良い。したがって、擬似遊技球演出表示期間は、複数の演出図柄変動表示期間に亘るようになっていても良い。或いは、単一の演出図柄変動表示期間内に、複数の擬似遊技球演出表示期間が収まるようになっていても良い。
【0101】
<出現演出表示>
一連の擬似遊技球演出表示は、先ず、
図10に示すように左サブ表示領域83aに擬似遊技球251が出現する出現演出表示が行われることによって開始される。
なお、出現演出表示の開始時(擬似遊技球251の出現時)には、左サブ表示部83に所定の動作(例えば左サブ表示部83が揺れ動くなど)を行わせるとともに、スピーカ33から所定の効果音を出力させても良い。
【0102】
ここで、出現演出表示の実行前には、予め、右サブ表示領域84aにおいて擬似入賞穴272及び擬似ハズレ穴273を備える回転体271を含む擬似入球装置270の表示が開始され、且つ、回転体271の回転表示が開始されるようになっている(
図17参照)。
すなわち、演出制御部210は、出現演出表示を演出表示器80(左サブ表示部83)に行わせる前から、右サブ表示領域84aに特定領域及び非特定領域を表示させて特定領域及び非特定領域の移動表示を開始させる。
一例として、パチンコ遊技機10の稼働中、且つ、後述する補正表示の実行期間を除く期間においては、回転体271を含む擬似入球装置270が右サブ表示領域84aに常時表示され、回転体271が、常時、回転表示されていても良い。ただし、大当り遊技中などの所定の期間においては、回転体271を含む擬似入球装置270が一時的に非表示となるようになっていても良い。
【0103】
左サブ表示領域83aにおいては、例えば、出現した擬似遊技球251が、遊技釘(不図示)の間を転動してメイン表示領域81a側に向かい、左サブ表示領域83aにおけるメイン表示領域81a側(右側)の端部から、左サブ表示領域83aの外方に出る(消失する)かのような演出表示が行われる。
以上により、一連の擬似遊技球演出表示における出現演出表示は完了する。
なお、出現演出表示が行われている期間中(ただし、補正表示が行われる期間を除く)にも、擬似入賞穴272及び擬似ハズレ穴273を含む回転体271は一定の回転速度で回転している。
【0104】
ここで、一連の擬似遊技球演出表示としては、左サブ表示領域83aで行われる出現演出表示に続いて移動演出表示が行われる場合と、出現演出表示が行われた後、移動演出表示(及び特定演出表示)が行われずに終了する場合とがある。
後者の一例としては、例えば、左サブ表示領域83aに出現した擬似遊技球251が、メイン表示領域81a側とは異なる方向(例えば下方又は左方)に向かい、左サブ表示領域83aの外方に出る(消失する)かのような演出表示を挙げることができる。
【0105】
<移動演出表示>
一連の擬似遊技球演出表示においては、上記の出現演出表示に続いて、メイン表示領域81aにおいて、擬似遊技球251が右サブ表示領域84aに向けて(つまり右向きに)移動する移動演出表示が実行されうる(
図11、
図12)。
一例として、メイン表示領域81aには、擬似遊技球251を誘導する擬似遊技球誘導レール261が、左右方向(つまり左サブ表示領域83a側から右サブ表示領域84a側に向かう方向)に延在する配置で表示される。
移動演出表示の開始時には、例えば、メイン表示領域81aにおける左サブ表示領域83a側の端部(つまり左端部)に擬似遊技球251が出現する。
ここで、移動演出表示の開始時には、擬似遊技球251の一部分(例えば右半分)がメイン表示領域81aに表示され、且つ、擬似遊技球251の残りの部分(例えば左半分)が左サブ表示領域83aに表示されるようになっていても良い。すなわち、擬似遊技球251が複数の表示装置間(ここでは左サブ表示部83とメイン表示部81との間)で受け渡される際には、擬似遊技球251が複数の表示装置間にまたがって表示されるようになっていても良い。
メイン表示領域81aに擬似遊技球251が出現したあとは、引き続き、当該出現した擬似遊技球251が擬似遊技球誘導レール261に沿って右向きに転動して移動するような演出表示が行われる。
メイン表示領域81aにおいては、例えば、擬似遊技球誘導レール261に沿って右サブ表示領域84a側に移動した擬似遊技球251が、メイン表示領域81aにおける右サブ表示領域84a側(右側)の端部から、メイン表示領域81aの外方に出る(消失する)かのような演出表示が行われる。
以上により、一連の擬似遊技球演出表示における移動演出表示は完了する。
なお、移動演出表示が行われている期間中(ただし、補正表示が行われる期間を除く)にも、擬似入賞穴272及び擬似ハズレ穴273を含む回転体271は一定の回転速度で回転している。
【0106】
ここで、一連の擬似遊技球演出表示としては、メイン表示領域81aで行われる移動演出表示に続いて特定演出表示が行われる場合と、移動演出表示が行われた後、特定演出表示が行われずに終了する場合とがある。
後者の一例としては、例えば、メイン表示領域81aに移動した擬似遊技球251が、メイン表示領域81a側に移動する途中で、メイン表示領域81a側とは異なる方向(例えば下方)に向かい、メイン表示領域81aの外方に出る(消失する)かのような演出表示を挙げることができる。
一例として、
図13に示すように、擬似遊技球誘導レール261に分断部261aが形成されており(擬似遊技球誘導レール261が部分的に途切れており)、この分断部261aから擬似遊技球251が下方に落下してメイン表示領域81aの下方に消失するかのような演出表示を行うことができる。
このように、演出制御部210は、移動演出表示の途中で、擬似遊技球251が特定演出表示領域(右サブ表示領域84a)とは異なる方向に移動して、擬似遊技球251が消失する演出表示を実行させることが可能であっても良い。
このため、遊技者としては、出現した擬似遊技球251が移動演出表示領域(メイン表示領域81a)を通って無事に特定演出表示領域(右サブ表示領域84a)に移動する(到達する)かどうかが興味の対象となる。このため、擬似遊技球251が無事に特定演出表示領域に到達できるかどうかに関し、ハラハラドキドキ感が得られ、遊技の興趣が高まる。
【0107】
<特定演出表示>
一連の擬似遊技球演出表示においては、上記の移動演出表示に続いて、右サブ表示領域84aにおいて、擬似遊技球251が擬似入賞穴272に入球するか否かの特定演出表示が実行されうる(
図14、
図15、
図16)。
特定演出表示の開始時には、例えば、右サブ表示領域84aにおけるメイン表示領域81a側の端部(つまり左端部)に擬似遊技球251が出現するようになっている(
図14)。
ここで、特定演出表示の開始時には、例えば、
図14に示すように擬似遊技球251の一部分(例えば右半分)が右サブ表示領域84aに表示され、且つ、擬似遊技球251の残りの部分(例えば左半分)が
図12に示すようにメイン表示領域81aに表示されるようになっていても良い。すなわち、擬似遊技球251が複数の表示装置間(ここではメイン表示部81と右サブ表示部84との間)で受け渡される際には、擬似遊技球251が複数の表示装置間にまたがって表示されるようになっていても良い。
右サブ表示領域84aに擬似遊技球251が出現したあとは、引き続き、当該出現した擬似遊技球251が誘導壁275で囲まれた通路を通って右方に移動する結果、
図15に示すように擬似入賞穴272に擬似遊技球251が入球したかのような演出表示が行われたり、
図16に示すように擬似ハズレ穴273に擬似遊技球251が入球したかのような演出表示が行われたりする。或いは、擬似遊技球251が擬似入賞穴272と擬似ハズレ穴273とのいずれにも入球せずに擬似入球装置270からこぼれ落ちたかのような演出表示が行われても良い。
なお、特定演出表示が行われている期間中にも、擬似入賞穴272及び擬似ハズレ穴273を含む回転体271は一定の回転速度で回転している。
【0108】
このように、擬似遊技球251を出現及び移動させて、擬似遊技球251が擬似入賞穴272に入球するか否かの特定演出表示を行うことにより、遊技の興趣を一層高めることができる。
【0109】
<補正表示>
ここで、
図14に示すように、特定演出表示の開始時における擬似入賞穴272及び擬似ハズレ穴273の位置は、見た目上、擬似遊技球251が擬似入賞穴272と擬似ハズレ穴273とのいずれに入球するかが分からない(分かりにくい)ような位置となっていることが、遊技の興趣を高める上で好ましい。
具体的には、例えば、特定演出表示の開始時において、擬似遊技球251と擬似入賞穴272との距離が擬似遊技球251と擬似ハズレ穴273との距離と同等であったり、或いは、誘導壁275で囲まれた誘導路が、擬似入賞穴272と擬似ハズレ穴273との双方に対して連通している状態となっていたりすることが好ましい。
【0110】
そこで、本実施形態では、以下に説明するように、右サブ表示領域84aにおける擬似入賞穴272及び擬似ハズレ穴273の表示位置を補正する補正表示を、擬似遊技球251が右サブ表示領域84aに到達する以前(つまり移動演出表示の実行前又は実行中)に実行可能となっている。
これにより、例えば、
図14に示すように、特定演出表示の開始時における擬似入賞穴272及び擬似ハズレ穴273の位置が、擬似遊技球251が擬似入賞穴272と擬似ハズレ穴273とのいずれに入球するかが分からない(分かりにくい)ような位置となるように、擬似入賞穴272及び擬似ハズレ穴273の表示位置の調節を行うことができる。
【0111】
より具体的には、例えば、擬似遊技球251が左サブ表示領域83aに出現してから右サブ表示領域84aに到達するまでの所要時間は、一定(例えば5秒間)となっている。このため、左サブ表示領域83aにおける擬似遊技球251の出現タイミングによっては、そのまま擬似遊技球251を右サブ表示領域84aまで移動させたのでは、特定演出表示の開始時における擬似入賞穴272及び擬似ハズレ穴273の位置が
図14の位置とはならない場合がある。
このため、擬似遊技球251が右サブ表示領域84aに到達したときにおける擬似入賞穴272及び擬似ハズレ穴273の位置が適切な位置となるように、擬似遊技球251が右サブ表示領域84aに到達する前に予め、回転体271の回転位相の調節が行われる。
【0112】
一例として、左サブ表示領域83aでの擬似遊技球251の出現時において、擬似入賞穴272及び擬似ハズレ穴273が
図17に示す位置に表示されており、仮にこの後で補正表示が行われないまま擬似遊技球251が右サブ表示領域84aに到達すると、当該到達時における擬似入賞穴272及び擬似ハズレ穴273の位置が
図14の位置とはならない場合を考える。
この場合、左サブ表示領域83aに擬似遊技球251が出現した際、
図18に示すように回転体271を一時的に非表示にした後、
図19に示すように、
図17に示す回転位相とは異なる回転位相で回転体271を出現させる。そして、引き続き回転体271を一定速度で時計回りに回転させる。その結果、擬似遊技球251が右サブ表示領域84aに到達したときおける擬似入賞穴272及び擬似ハズレ穴273の位置が
図14の位置となるように調節される。
すなわち、演出制御部210は、例えば、特定領域及び非特定領域の表示位置が不連続に変化する補正表示を演出表示器80(右サブ表示部84)に実行させ、当該補正表示後の特定領域及び非特定領域の表示位置から引き続き所定の移動速度(上記一定速度)で特定領域及び非特定領域が移動する表示を表示手段に実行させる。
【0113】
また、他の一例として、左サブ表示領域83aに擬似遊技球251が出現した際に、一時的に回転体271の回転速度を速めることによって、擬似遊技球251が右サブ表示領域84aに到達したときにおける擬似入賞穴272及び擬似ハズレ穴273の位置が
図14の位置となるような調節を行っても良い。
すなわち、演出制御部210は、例えば、特定領域及び非特定領域が所定の移動速度(上記一定速度)よりも高速で移動する補正表示を表示手段に実行させても良い。
【0114】
なお、他の一例として、左サブ表示領域83aに擬似遊技球251が出現した際に、一時的に回転体271の回転速度を遅くすることによって、擬似遊技球251が右サブ表示領域84aに到達したときにおける擬似入賞穴272及び擬似ハズレ穴273の位置が
図14の位置となるような調節を行っても良い。
或いは、他の一例として、左サブ表示領域83aに擬似遊技球251が出現した際に、一時的に回転体271の回転方向を逆方向(移動方向を逆方向)に変化させることによって、擬似遊技球251が右サブ表示領域84aに到達したときにおける擬似入賞穴272及び擬似ハズレ穴273の位置が
図14の位置となるような調節を行っても良い。
【0115】
なお、左サブ表示領域83aにおける擬似遊技球251の出現時における回転体271の回転位相(擬似入賞穴272及び擬似ハズレ穴273の表示位置)にかかわらず、左サブ表示領域83aにおける擬似遊技球251の出現時には、毎回、同様の補正表示が行われるようになっていることが好ましい。このようにすれば、左サブ表示領域83aにおける擬似遊技球251の出現時における回転体271の回転位相(擬似入賞穴272及び擬似ハズレ穴273の表示位置)を判定する必要が無く、演出制御部210の処理負担を抑制できる。
ただし、擬似遊技球251の出現時における回転体271の回転位相(擬似入賞穴272及び擬似ハズレ穴273の表示位置)に応じて、補正表示の要否を判定し、必要と判定された場合に補正表示を行うようにしても良い。このようにすれば、必要の無い補正表示を省略することができ、より違和感の少ない演出表示を実行することができる。
【0116】
<擬似遊技球251の表示態様の例について>
擬似遊技球251の色(表示色)は、一種類(毎回同じ)であっても良いし、複数種類の色のうち選択された色の擬似遊技球251が表示されるようになっていても良い。
後者の場合、出現した擬似遊技球251の色に応じて、擬似遊技球251が右サブ表示領域84aに到達する期待度(或いは擬似入球装置270に到達する期待度)が異なっていたり、擬似遊技球251が擬似入賞穴272に入球する期待度が異なっていたりしても良い。
【0117】
一例として、擬似遊技球251の色が通常の遊技球と同じ銀色(第一の色)の場合には、擬似入賞穴272への入球(
図15)、擬似ハズレ穴273への入球(
図16)、擬似入球装置270からのこぼれ落ち(不図示)、移動演出表示領域での落球(
図13)、又は、出現演出表示領域から移動演出表示領域側とは異なる方向への擬似遊技球251の消失(不図示)のいずれかが実行される。
また、擬似遊技球251が赤色(第二の色)の場合には、擬似遊技球251が右サブ表示領域84aまで到達することが画定し、擬似入賞穴272への入球(
図15)、擬似ハズレ穴273への入球(
図16)、又は、擬似入球装置270からのこぼれ落ち(不図示)のいずれかが実行される。
また、擬似遊技球251が金色(第三の色)の場合には、擬似遊技球251が擬似入賞穴272に入球することが画定し、擬似入賞穴272への入球(
図15)が実行される。
このようにすることにより、遊技者としては、どの色の擬似遊技球251が出現するのかが興味の対象となり、遊技の興趣が高まる。
【0118】
なお、出現した擬似遊技球251の色が、擬似遊技球演出表示の途中(例えば、左サブ表示領域83aでの出現演出表示の途中、又は、メイン表示領域81aでの移動演出表示の途中)で変化(銀色から赤に、或いは、赤から金に昇格するなど)する可能性があっても良く、その場合、擬似遊技球演出表示に対する興趣を更に高めることができる。
【0119】
<擬似遊技球251の入賞による特典について>
本実施形態では、擬似入賞穴272に擬似遊技球251が入球した場合には、所定の割合(0%よりも大きく100%以下の割合)で特定の特典が付与されるようになっている。すなわち、擬似入賞穴272に擬似遊技球251が入球した場合には、特定の特典が付与されうる(実行されうる)。
したがって、擬似入賞穴272に擬似遊技球251が入球するパターンで擬似遊技球演出表示が実行されることは、特定の特典が付与されることの示唆又は報知となる。
【0120】
擬似入賞穴272に擬似遊技球251が入球した場合に付与されうる特典は、擬似遊技球演出表示の他の演出(以下、特典としての演出)、又は、特定の遊技状態とすることができる。換言すれば、擬似入賞穴272に擬似遊技球251が入球することが、特典としての演出の示唆又は報知となっていたり、特定の遊技状態の示唆又は報知となっていたりすることが挙げられる。
【0121】
このうち、特典としての演出としては、一例として、後述するように特定変動表示部280にて行われる変動表示が挙げられる。ただし、この例に限らず、特典としての演出は、リーチ演出、保留変化演出、擬似連演出などであっても良い。
【0122】
また、特定の遊技状態としては、大当り、確変大当り、電サポ付き大当りなどの変短付き大当り等が挙げられる。
ここで、確変大当りとは、大当り終了後に確変状態が付与されることとなる大当りを意味し、変短付き大当りとは、大当り終了後に変短状態が付与されることとなる大当りを意味する。
【0123】
ここで、擬似遊技球演出表示が一の演出図柄変動表示期間に行われる場合であって、リーチ演出が実行される場合に、擬似遊技球演出表示は、リーチ演出の開始前に実行されても良いし、リーチ演出の開始後に実行されても良い。
【0124】
具体的には、例えば、リーチ演出の開始前又は開始後に、出現演出表示領域から移動演出表示領域側とは異なる方向への擬似遊技球251の消失(不図示)、移動演出表示領域での落球(
図13)、擬似入球装置270からのこぼれ落ち(不図示)、擬似ハズレ穴273への入球(
図16)、又は、擬似入賞穴272への入球(
図15)のいずれかのパターンでの擬似遊技球演出表示が実行される。
そして、擬似入賞穴272への入球(
図15)のパターンでの擬似遊技球演出表示が実行された場合には、例えば、保留変化演出(他の図柄変動ゲームに対応する保留表示を変化させるもの)、又は、擬似連演出が実行され、更に、実行中の図柄変動ゲームにおけるリーチ演出が実行される。或いは、保留変化演出又は擬似連演出が実行されることなくリーチ演出が実行される。その後、一の演出図柄変動表示期間が終了し、図柄変動ゲームの結果が大当りとなるか又はハズレとなる。
一方、出現演出表示領域から移動演出表示領域側とは異なる方向への擬似遊技球251の消失(不図示)、移動演出表示領域での落球(
図13)、擬似入球装置270からのこぼれ落ち(不図示)、又は、擬似ハズレ穴273への入球(
図16)のいずれかのパターンでの擬似遊技球演出表示が実行された場合には、その後、リーチ演出が行われることなく、一の演出図柄変動表示期間が終了し、図柄変動ゲームの結果がハズレとなる。
このように、リーチ演出が行われるときと行われないときに、それぞれある確率で擬似遊技球演出表示が行われる。
【0125】
また、擬似入賞穴272への入球(
図15)のパターンでの擬似遊技球演出表示が実行された場合に、保留変化演出又は擬似連演出が実行されても、リーチ演出が実行されることなく、一の演出図柄変動表示期間が終了し、図柄変動ゲームの結果がハズレとなる場合があっても良い。
【0126】
ここで、上述のステップS504では、いずれかの保留玉に対応する事前判定情報が、保留変化演出を行う旨のものであるかを判定し、その判定が肯定される場合には、擬似入賞穴272への入球(
図15)のパターンでの擬似遊技球演出表示と保留変化演出とを含む演出の中から、いずれかの種類の演出を実行することを決定し、ステップS506では、決定した演出を実行する。
【0127】
ここで、擬似入賞穴272への入球(
図15)のパターンでの擬似遊技球演出表示が実行された場合に、擬似連演出が実行されるときの演出の例について、より詳細に説明する。
一般に、擬似連演出は、上述の変動サイクルの継続回数が多くなるほど大当りの期待度が高いことを示唆するようになっている。
このため、例えば、擬似連演出における2回目又は3回目の変動サイクルの実行時(例えば2回目又は3回目の変動サイクルの終了時)に、擬似入賞穴272への入球(
図15)、擬似ハズレ穴273への入球(
図16)又は擬似入球装置270からのこぼれ落ち(不図示)が生じるようなパターンでの演出を行うことが好ましい。そして、擬似入賞穴272への入球(
図15)が生じた場合には、擬似連演出が継続して3回目又は4回目の変動サイクルに移行する一方で、擬似ハズレ穴273への入球(
図16)又は擬似入球装置270からのこぼれ落ち(不図示)が生じた場合には、擬似連演出のさらなる継続が発生することなく当該擬似連演出が終了する。
なお、上述のステップS504で決定される内容には、擬似連演出の継続回数(実行される変動サイクルの回数)や、擬似連演出の具体的な内容が含まれる。
ここで、パチンコ遊技機10の制御部(主制御部100と演出制御部210とのうちの少なくともいずれか一方)は、擬似連演出を実行するか否かと、擬似連演出を実行する場合における擬似連演出の継続回数と、擬似連演出における何回目の変動サイクルの実行前に特定演出表示を完了させるのかと、を決定する。
【0128】
このように、擬似入賞穴272に擬似遊技球251が入球したときに保留変化演出や擬似連演出が実行されうるため、擬似入賞穴272に擬似遊技球251が入球したときには、大当り遊技が付与されるかもしれないという期待感が強まるようにできる。
【0129】
<特定変動表示部280での演出について>
ここで、
図14に等に示されるように、例えば、擬似入球装置270の近傍には、特定変動表示部280が表示されている。特定変動表示部280は、1つ以上の特定変動表示領域281(図示の例では2つの特定変動表示領域281)を含んでいる。
本実施形態の場合、擬似遊技球251が擬似入賞穴272に入球した場合に、特定変動表示領域281において、図示しない複数種類の特定図柄による変動表示が表示されるようになっている(
図15参照)。すなわち、特定図柄が変動表示された後で、いずれかの特定図柄が各特定変動表示領域281に停止表示される。
一例として、単に擬似遊技球251が擬似入賞穴272に入球するだけでは、上記の特定の特典が付与されず、擬似遊技球251が擬似入賞穴272に入球したあとに特定変動表示部280で行われる特定図柄による変動表示の結果(特定変動表示領域281に停止表示される特定図柄の種類(特定変動表示領域281が複数存在する場合は、各特定変動表示領域281に停止表示される特定図柄の組み合わせ))に応じて、特定の特典が付与されるようになっていることが挙げられる。
すなわち、特定変動表示部280で行われる特定図柄による変動表示の結果に応じて、異なる種類の特典(保留変化演出、擬似連演出、リーチ演出、大当り遊技、確変大当り、電サポ付き大当りなどの変短付き大当り等)が付与されるようになっていることが挙げられる。
【0130】
以上のような実施形態によれば、擬似遊技球251を出現及び移動させて、擬似遊技球が特定領域に入球するか否かの特定演出表示を行うことにより、遊技の興趣を一層高めることができる。
そして、擬似遊技球が出現する場合に、特定領域及び非特定領域の表示位置又は移動速度を補正する補正表示を行うことによって、擬似遊技球が特定演出表示領域に到達するときの特定領域及び非特定領域の表示位置が都合の良い位置となるように表示のタイミングを合わせることが容易となる。
したがって、出現表示領域にて出現した擬似遊技球が、移動演出表示領域を通って特定演出表示領域の擬似特定演出に向かい、特定領域に入球するか否かの演出が行われて、擬似遊技球が特定領域に入球する場合に、擬似遊技球が出現表示領域、移動演出表示領域及び特定演出表示領域の特定領域に亘って違和感なくスムーズに移動する表示を行うことができる。
【0131】
また、表示制御部(演出制御部210)は、補正表示の実行前には、特定領域(擬似入賞穴272)及び非特定領域(擬似ハズレ穴273)がそれぞれ所定の移動速度(例えば一定の回転速度)で移動する表示を表示手段(例えば右サブ表示部84)に実行させる。
そして、表示制御部は、移動演出表示の実行前であって擬似遊技球251が出現演出表示領域(左サブ表示部83)に表示されている期間中に、特定領域及び非特定領域の表示位置が不連続に変化する補正表示を表示手段に実行させる。或いは、特定領域及び非特定領域が所定の移動速度よりも高速で移動する補正表示を表示手段に実行させる。
そして、補正表示後の特定領域及び非特定領域の表示位置から引き続き所定の移動速度で特定領域及び非特定領域が移動する表示を表示手段に実行させる。
すなわち、特定領域及び非特定領域の位置を不連続に変化させる補正表示、又は、特定領域及び非特定領域の移動速度を高速にする補正表示を行い、且つ、その補正表示の前後で特定領域及び非特定領域を所定の移動速度で移動させる。
よって、補正表示の前後では特定領域及び非特定領域がそれぞれ所定の移動速度で移動するので、特定領域及び非特定領域の表示の違和感を低減することができる。
なお、表示位置が不連続に変化する補正表示を行う場合には、特定領域及び非特定領域の表示位置の補正を、少ない種類(例えば、1種類にすることも可能)の表示演出の候補映像からの選択によって実現することができる。
一方、特定領域及び非特定領域を所定の移動速度よりも高速で移動する補正表示を行う場合には、補正表示自体も違和感の少ないものとすることができる。
【0132】
なお、上述のように、特定領域(擬似入賞穴272)及び非特定領域(擬似ハズレ穴273)の表示位置を不連続に変化させる際に、特定領域及び非特定領域を一時的に非表示にした後、特定領域及び非特定領域を出現させる。これにより、特定領域及び非特定領域の表示位置が瞬間的に変化することを回避できるため、特定領域及び非特定領域の表示の違和感を更に抑制することができる。
【0133】
また、表示手段(演出表示器80)は、特定演出表示領域(右サブ表示領域84a)を形成する特定演出表示装置(右サブ表示部84)と、出現演出表示領域(左サブ表示領域83a)を形成する出現演出表示装置(左サブ表示部83)と、を(別個に)備えている。
よって、別個の表示装置である特定演出表示装置と出現表示装置とで連携する表示演出を行うこととなるので、表示演出を斬新なものとすることができ、遊技の興趣を高めることができる。
【0134】
また、表示手段(演出表示器80)は、特定演出表示領域(右サブ表示領域84a)を形成する特定演出表示装置(右サブ表示部84)と、移動演出表示領域(メイン表示領域81a)を形成する移動演出表示装置(メイン表示部81)と、を互いに隣接した配置で備えている。
そして、移動演出表示は、擬似遊技球251を移動演出表示領域(メイン表示領域81a)における特定演出表示領域(右サブ表示領域84a)側の端部(例えば右端部)に移動させて消失させる球消失表示を含んでいる。
また、特定演出表示は、擬似遊技球251を特定演出表示領域(右サブ表示領域84a)における移動演出表示領域(メイン表示領域81a)側の端部(例えば左端部)に出現させる第2出現演出表示を含んでいる。
そして、表示制御部(演出制御部210)は、球消失表示と第2出現演出表示とを互いに対応したタイミングで実行させる。
換言すれば、特定演出表示を表示する表示装置と、擬似遊技球が移動する表示装置とが別個の表示装置であり、それら表示装置が互いに隣接して配置されており、且つ、それら表示装置間での擬似遊技球251の移動が連続的に見えるように球の消失と出現のタイミングとを対応させる。
よって、別個の表示装置である特定演出表示装置と移動演出表示装置とで連携する表示演出を行うことにより、表示演出を斬新なものとすることができ、遊技の興趣を高めることができる。
加えて、移動演出表示装置の移動演出表示領域で擬似遊技球251が消失するタイミングと、特定演出表示装置の特定演出表示領域に擬似遊技球251が出現するタイミングとを互いに対応したものとすることができるため、移動演出表示領域から特定演出表示領域への擬似遊技球251の移動を連続的に違和感なく行うことができる。
【0135】
ここまで
図1から
図19を用いて説明される実施形態に即して本発明を説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的が達成される限りにおける種々の変形、改良等の態様も含む。
【0136】
例えば、上記においては、擬似遊技球演出表示が擬似入球装置270の表示を伴う例を説明したが、擬似遊技球演出表示は、少なくとも擬似遊技球251と、特定領域(擬似入賞穴272等)と、非特定領域(擬似ハズレ穴273等)と、を表示することによって行うことができる。
【0137】
また、上記においては、演出表示器80が、出現演出表示領域を形成する出現演出表示装置(例えば左サブ表示部83)と、移動演出表示領域を形成する移動演出表示装置(例えばメイン表示部81)と、を別個に備えている例を説明したが、出現演出表示領域と移動演出表示領域とは、同一の表示装置の表示画面の一部分ずつにより構成されていても良い。
また、上記においては、演出表示器80が、特定演出表示領域を形成する特定演出表示装置(例えば右サブ表示部84)と、出現演出表示領域を形成する出現演出表示装置(例えば左サブ表示部83)と、を別個に備えている例を説明したが、特定演出表示領域と出現演出表示領域とは、同一の表示装置の表示画面の一部分ずつにより構成されていても良い。
また、上記においては、演出表示器80が、特定演出表示領域を形成する特定演出表示装置(例えば右サブ表示部84)と、移動演出表示領域を形成する移動演出表示装置(例えばメイン表示部81)と、を別個に備えている例を説明したが、特定演出表示領域と移動演出表示領域とは、同一の表示装置の表示画面の一部分ずつにより構成されていても良い。
更に、出現演出表示領域、移動演出表示領域及び特定演出表示領域は、同一の表示装置の表示画面の一部分ずつにより構成されていても良い。
【0138】
また、上記においては、特定領域(例えば擬似入賞穴272)の数が1つである例を説明したが、特定領域は複数存在していても良い。
同様に、上記においては、非特定領域(例えば擬似ハズレ穴273)の数が1つである例を説明したが、非特定領域は複数存在していても良い。
また、上記においては、擬似遊技球251が入球しないダミー擬似ハズレ穴274が擬似入球装置270に形成されている例を説明したが、ダミー擬似ハズレ穴274は必ずしも必要ではない。例えば、
図14に等に示す例において、ダミー擬似ハズレ穴274の代わりにもう1つの擬似ハズレ穴273又は擬似入賞穴272が形成されていて、当該もう一つの擬似ハズレ穴273又は擬似入賞穴272に擬似遊技球251が入球しうるようになっていても良い。
【0139】
上記の実施形態は以下の技術思想を包含する。
(1)画像を表示する表示手段と、前記表示手段の表示動作を制御する表示制御部と、を備え、前記表示手段は、それぞれが移動表示される特定領域及び非特定領域を表示する特定演出表示領域と、擬似遊技球が出現する出現演出表示を行う出現演出表示領域と、前記出現した前記擬似遊技球が前記特定演出表示領域に向けて移動する移動演出表示を行う移動演出表示領域と、を含み、前記表示制御部は、前記出現演出表示を行わせる前から、前記特定演出表示領域に前記特定領域及び前記非特定領域を表示させて前記特定領域及び前記非特定領域の前記移動表示を開始させ、前記擬似遊技球が出現する場合には、前記出現演出表示と、前記移動演出表示と、前記特定演出表示領域に移動した前記擬似遊技球が前記特定領域に入球するか否かの特定演出表示と、前記移動演出表示の実行前又は実行中に、前記特定演出表示領域における前記特定領域及び前記非特定領域の表示位置又は移動速度を補正する補正表示と、を前記表示手段に実行させることが可能であるパチンコ遊技機。
(2)前記表示制御部は、前記補正表示の実行前には、前記特定領域及び前記非特定領域がそれぞれ所定の移動速度で移動する表示を前記表示手段に実行させ、前記移動演出表示の実行前であって前記擬似遊技球が前記出現演出表示領域に表示されている期間中に、前記特定領域及び前記非特定領域の表示位置が不連続に変化する前記補正表示を前記表示手段に実行させるか、又は、前記特定領域及び前記非特定領域が前記所定の移動速度よりも高速で移動する前記補正表示を前記表示手段に実行させ、当該補正表示後の前記特定領域及び前記非特定領域の表示位置から引き続き前記所定の移動速度で前記特定領域及び前記非特定領域が移動する表示を前記表示手段に実行させる(1)に記載のパチンコ遊技機。
(3)前記表示手段は、前記特定演出表示領域を形成する特定演出表示装置と、前記出現演出表示領域を形成する出現演出表示装置と、を備えている(1)又は(2)に記載のパチンコ遊技機。
(4)前記表示手段は、前記特定演出表示領域を形成する特定演出表示装置と、前記移動演出表示領域を形成する移動演出表示装置と、を互いに隣接した配置で備え、前記移動演出表示は、前記擬似遊技球を前記移動演出表示領域における前記特定演出表示領域側の端部に移動させて消失させる球消失表示を含み、前記特定演出表示は、前記擬似遊技球を前記特定演出表示領域における前記移動演出表示領域側の端部に出現させる出現演出表示を含み、前記表示制御部は、前記球消失表示と前記出現演出表示とを互いに対応したタイミングで実行させる(1)から(3)のいずれか一項に記載のパチンコ遊技機。
(5)前記表示制御部は、前記特定領域及び前記非特定領域の表示位置が不連続に変化する前記補正表示を前記表示手段に実行させる際には、前記特定領域及び前記非特定領域を一時的に非表示にした後、前記特定領域及び前記非特定領域を前記変化後の前記特定領域及び前記非特定領域の前記表示位置に出現させる(2)に記載のパチンコ遊技機。
(6)前記表示制御部は、前記移動演出表示の代わりに、前記擬似遊技球が前記移動演出表示領域から前記特定演出表示領域とは異なる方向に移動するか又は前記移動演出表示領域にて消失する演出表示を実行させることが可能である(1)から(5)のいずれか一項に記載のパチンコ遊技機。