特許第6312773号(P6312773)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6312773
(24)【登録日】2018年3月30日
(45)【発行日】2018年4月18日
(54)【発明の名称】荷積みシステム
(51)【国際特許分類】
   B25J 15/00 20060101AFI20180409BHJP
【FI】
   B25J15/00 D
【請求項の数】2
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-207744(P2016-207744)
(22)【出願日】2016年10月24日
【審査請求日】2017年9月4日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】390032274
【氏名又は名称】オムニヨシダ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】特許業務法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山田 猛
【審査官】 貞光 大樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開平7−148687(JP,A)
【文献】 特開平6−171762(JP,A)
【文献】 特開平11−320470(JP,A)
【文献】 実開昭60−190589(JP,U)
【文献】 特開2001−198871(JP,A)
【文献】 特開平6−320464(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 1/00 − 21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アームの先端部にロボットハンドが取り付けられたロボットと、前記ロボットの側から見て複数個の荷が横並びの状態で並ぶ待機位置に前記荷を導くローラコンベヤと、前記待機位置に配備され前記ローラコンベヤ上に支持された複数個の荷を押し上げてローラコンベヤと荷の底面との間に隙間を形成する押上機構とを含み、
前記ロボットのロボットハンドは、前記横並びの複数個の荷に対応させて横並びに配置される複数個のつかみ部と、1のつかみ部およびそのつかみ部に対して接近、離間可能に設けられる他のつかみ部を支持する支持機構部と、少なくとも前記の他のつかみ部を移動させ各つかみ部の配列間隔を前記横並びの複数個の荷の配列間隔に対応させることが可能な駆動機構とを備え、前記の各つかみ部は、前板部および底板部を有し、前記底板部の下面には、荷に向けて突出させる進退動作が可能であり前記隙間より荷の直下へ進入可能である板状のフォークと、前記フォークを水平姿勢を保ったまま前記底板部の下方の引っ込んだ位置と前記荷の直下との間を進退動作させる往復動機構とが設けられ、前記前板部の前面には、突出した前記フォークと上下に対向させる上下変位が可能な押さえ具と、前記押さえ具を上下各方向へ変位させる変位機構とが設けられてなる荷積みシステム。
【請求項2】
前記複数個のつかみ部は、前記支持機構部に固定される第1のつかみ部と、第1のつかみ部を挟む両側位置に第1のつかみ部に対して接近、離間可能に設けられる第2、第3の各つかみ部とで構成される請求項1に記載の荷積みシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、荷積みシステムに関し、この発明は特に、ロボットハンドにより横並びの複数個の荷を個別かつ同時につかんで台車やパレットなどに組み付けることが可能な荷積みシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のロボットハンドは、荷をつかむためのつかみ部を有しており、前記つかみ部として、荷の下面を支持するフォークと、荷の上面を押さえ込むプッシャーとを備えたものがある。コンベヤにより搬送されてくる荷は、つかみ部のフォークとプッシャーとの間で把持された後、ロボットがロボットハンドを旋回させることにより台車やパレットなどへの荷積み位置へ導かれる。荷積み位置では、プッシャーを上方へ変位させ、フォークを後退させることで、荷が降ろされる(例えば特許文献1の従来の技術の欄参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−320470号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記のロボットハンドにより、例えば台車上に複数個の荷を整列した状態で積み付けるには、コンベヤにより搬送されてくる荷をつかみ部により1個ずつつかみ、台車上に左右、前後に位置を順次ずらせつつ積み付ける必要があるため、作業効率が悪く、荷積みに時間がかかるという問題がある。
【0005】
とりわけ、荷の形態が、図11に示すように、縦方向の幅(以下「縦幅」という。)xと横方向の幅(以下「横幅」という。)yが異なる直方体であり、図12に示すように、前後両端にストッパー11a,11bを有する台車11上に複数個の荷1を、図中、矢印で示す方向から向きを設定しつつ整然と積み付けるような場合、作業効率が一層低下する。なお、図11に示す荷1は、段ボール箱に6本のペットボトルが装填されたものであり、縦幅xがペットボトル2本分の長さに、横幅yがペットボトル3本分の長さに、それぞれ対応させてある。
【0006】
この発明は、上記の問題に着目してなされたもので、横並びの複数個の荷を個別かつ同時につかめる構成のロボットハンドを用いることにより、荷の形態を問わず、効率良く整然と荷積みすることができる荷積みシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明による荷積みシステムは、アームの先端部にロボットハンドが取り付けられたロボットと、前記ロボットの側から見て複数個の荷が横並びの状態で並ぶ待機位置に前記荷を導くローラコンベヤと、前記待機位置に配備され前記ローラコンベヤ上に支持された複数個の荷を押し上げてローラコンベヤと荷の底面との間に隙間を形成する押上機構とを含む。前記ロボットのロボットハンドは、前記横並びの複数個の荷に対応させて横並びに配置される複数個のつかみ部と、1のつかみ部およびそのつかみ部に対して接近、離間可能に設けられる他のつかみ部を支持する支持機構部と、少なくとも前記の他のつかみ部を移動させ各つかみ部の配列間隔を前記横並びの複数個の荷の配列間隔に対応させることが可能な駆動機構とを備える。前記の各つかみ部は、前板部および底板部を有し、前記底板部の下面には、荷に向けて突出させる進退動作が可能であり前記隙間より荷の直下へ進入可能である板状のフォークと、前記フォークを水平姿勢を保ったまま前記底板部の下方の引っ込んだ位置と前記荷の直下との間を進退動作させる往復動機構とが設けられ、前記前板部の前面には、突出した前記フォークと上下に対向させる上下変位が可能な押さえ具と、前記押さえ具を上下各方向へ変位させる変位機構とが設けられている。
【0008】
上記した構成の荷積みシステムによると、ロボットハンドの駆動機構を駆動してつかみ部を移動させると、つかみ部同士が接近または離間するので、つかみ部の配列間隔を自在に設定できる。横並びの状態にある複数個の荷をパレットや台車に積み付けるには、つかみ部の配列間隔を荷の配列間隔に対応させることにより各つかみ部によって横並びの複数個の荷を個別かつ同時に上下から挟持することができ、一度に複数個の荷を配列状態を保ったまま積み付けることが可能である。
また、上記のつかみ部によると、往復動機構によりフォークを前進させて荷の下面を支持した後、変位機構により押さえ具を荷に向けて変位させることにより、荷はフォークと押さえ具との間で挟持される。ロボットハンドを台車などへの荷積み位置へ導くとき、ロボットが旋回してロボットハンドを振り回しても、荷は上下から安定して挟持されているので、遠心力によって荷が振り落とされることはない。
【0009】
この発明の好ましい実施態様においては、前記複数個のつかみ部は、前記支持機構部に固定される第1のつかみ部と、第1のつかみ部を挟む両側位置に第1のつかみ部に対して接近、離間可能に設けられる第2、第3の各つかみ部とで構成されている。
【0010】
この実施態様によると、第2、第3の各つかみ部を移動させて第1のつかみ部に接近または離間させることにより第1のつかみ部と第2のつかみ部との配列間隔と、第1のつかみ部と第3のつかみ部との配列間隔とを、それぞれ自在に設定できる。
【発明の効果】
【0013】
この発明によれば、横並びの複数個の荷を整列状態のまま一度に荷積みできるので、作業効率が大幅に高められる。また、つかみ部の配列間隔を荷の配列間隔に対応させることができるので、荷の形態を問わず荷積みが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】ロボットによる荷積みシステムの概略を示す平面図である。
図2】この発明に係るロボットハンドが取り付けられたロボットの側面図である。
図3】この発明の一実施例であるロボットハンドの背面図である。
図4-1】この発明の一実施例であるロボットハンドにより荷の側面が横並びに連なった3個の荷をつかんだ状態を示す平面図である。
図4-2】この発明の一実施例であるロボットハンドにより荷の前後面が横並びに連なった3個の荷をつかんだ状態を示す平面図である。
図5】この発明の一実施例であるロボットハンドの側面図である。
図6】支持機構部の構成を示す斜視図である。
図7】フォークの形状と押上機構との関係を示す平面図である。
図8】フォークとローラコンベヤと押上機構との関係を示す斜視図である。
図9】台車上への荷積み作業の手順を示す平面図である。
図10】台車上への荷積み状態の他の形態を示す平面図である。
図11】荷の形態を示す斜視図である。
図12図11に示す荷が台車上に積み付けられた状態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は、工場や倉庫などに導入される荷積みシステムの概要を示している。図示の荷積みシステムは、ロボット2により台車11上に複数個の荷1を決められた整列状態で積み付けるものである。床面上の適所にはロボット2が設置され、ロボット2の周辺に、台車11上に積み付ける荷1をローラコンベヤ12,13により次々に導いて整列状態で待機させる第1,第2の各待機位置A,Bと、荷1が積み付けられる台車11を次々に導いて待機させる第3の待機位置Cとが設定されている。第1,第2の各待機位置A,Bは、ロボット2を中心として90度離れた位置にある。傾斜コンベヤ14から搬送されてくる荷1は振分機構19により直交する2方向へ振り分けられ、各ローラコンベヤ12,13の終端の第1,第2の各待機位置A,Bまで導かれて一列に整列した状態で定位する。
【0016】
第1、第2の各待機位置A,Bには、詳細は後述するが、各ローラコンベヤ12,13上に支持された3個の荷1を個別に押し上げる押上機構17(図7および図8に示す)が配備されており、これらの押上機構17による各荷1の押上動作によってローラコンベヤ12,13と荷1の底面との間に後述するフォーク60の進入が可能な隙間をそれぞれ形成する。
【0017】
荷1は、前記した図11に示されており、横幅yが縦幅xより大きく、高さzが横幅yより大きな直方体であり、横幅yの面(以下「前後面1a」という。)を前後に向けて荷1が傾斜コンベヤ14により次々に搬送されてくる。第1の待機位置Aでは、整列する各荷1は縦幅xの面(以下「側面1b」という。)がロボット2の方向を向いており、前後面1aが隣の荷1の前後面1aと向き合う。第2の待機位置Bでは、各荷1は前後面1aがロボット2の方向を向いており、側面1bが隣の荷1の側面1bと向き合う。第1、第2の各待機位置A,Bでは、ロボット2の側から見て複数個の荷1が横並びの状態で並んでおり、この実施例では、ロボットハンド3が3個の荷1を個別かつ同時に整列状態のままつかんで台車11上に積み付ける。
【0018】
第3の待機位置Cは、第1の待機位置Aと直角をなす位置、第2の待機位置Bとは対向する位置であり、複数台の台車11が図示しない台車送り機構により第3の待機位置Cに順次送られてきて定位する。第3の待機位置Cにおいて台車11上に所定個数の荷1が決められた配列で積み付けられたとき、その台車11は第3の待機位置Cから送り出され、第3の待機位置Cには空の台車11が導かれて定位する。なお、図示例の荷積みシステムは、台車11上に複数個の荷1を積み付けるものであるが、この荷積みシステムはパレット上に複数個の荷1を積み付ける場合にも適用することが可能である。また、図1には、図12に示す荷積み状態の台車11が示されているが、台車11に積み付けられる荷1の個数や配列はこれに限られるものではない。
【0019】
ロボット2は、図2に示すように、多関節型の産業用ロボットであり、複数本のアーム20が複数個の関節部を介して連結されている。この発明に係るロボットハンド3は、先端位置のアーム20の先端部に取り付けられている。この実施例のロボットハンド3は、図3および図4に示されるように、3個の荷1を個別かつ同時につかむことができる3個のつかみ部4A,4B,4Cが横並びに配列されたものであるが、この発明は、この実施態様に限定されるものではなく、2個のつかみ部が横並びに配列されたもの、4個以上のつかみ部が横並びに配列されたものであってもよい。また、荷1をつかむに際して、3個のつかみ部4A,4B,4Cのうち、1個または2個のつかみ部だけを作動状態とすることができる。
【0020】
さらに、この実施例では、3個のつかみ部4A,4B,4Cのうち、中央の第1のつかみ部4Aは固定され、第1のつかみ部4Aを挟む両側位置の第2,第3の各つかみ部4B,4Cは移動可能であって第1のつかみ部4Aに対して接近または離間可能となっているが、この発明はこの実施態様に限定されるものではなく、例えば、3個すべてのつかみ部4A,4B,4Cが移動可能であってもよい。なお、図4−1は、荷1の側面1bが横並びに連なったものを把持した状態を、図4−2は、荷1の前後面1aが横並びに連なったものを把持した状態を、それぞれ示している。
【0021】
この実施例のロボットハンド3は、図3図6に示されるように、上記した3個のつかみ部4A,4B,4Cと、第1のつかみ部4Aおよび第1のつかみ部4Aに対して接近、離間可能に設けられる第2,第3の各つかみ部4B,4Cを支持する支持機構部5と、第2,第3の各つかみ部4B,4Cを移動させる駆動機構50とを備えている。
【0022】
支持機構部5は、平面形状が長方矩形状の水平なフレーム52と、フレーム52の上面の長さ中央部に取り付けられるアーム取付板53と、フレーム52の下面に取り付けられた一対のスペーサ57と第2、第3の各つかみ部4B,4Cの上板部45との間に設けられる一対のガイド機構51,51とを備えている。アーム取付板53の上面中央部にはロボット2のアーム20の先端が接続される接続部56が設けられている。また、フレーム52の下面の長さ中央部のアーム取付板53の下方位置には第1のつかみ部4Aが固定されている。
【0023】
対をなす各ガイド機構51は、図6に示されるように、トラックレール54と、トラックレール54に対して相対移動が可能な2個のスライダ55を含むもので、例えば、「リニアウェイ」(登録商標;日本トムソン株式会社製)などを用いて構成される。図示例では、2個のスライダ55は第2,第3の各つかみ部4B,4Cの上板部45にそれぞれ間隔をあけて装着され、トラックレール54はフレーム52の下面にスペーサ57を介して装着されている。トラックレール54と各スライダ55とは互いに摺動自由に咬み合っており、これにより、第2,第3の各つかみ部4B,4Cは支持機構部5に移動可能に支持される。
【0024】
第2,第3の各つかみ部4B,4Cは、この実施例では、駆動機構50を構成するエアシリンダ50a,50aによって個別に駆動される。各エアシリンダ50aは、フレーム52の下面の中央部に装着されたスペーサ58の下面に支持されており、一方のエアシリンダ50aのロッド50bは第2のつかみ部4Bに(図3参照)、他方のエアシリンダ50aのロッド50bは第3のつかみ部4Cに(図5参照)、それぞれ接続されている。
【0025】
3個の各つかみ部4A,4B,4Cは、側板部41,41、前板部42、底板部44、上板部45により構成され、前板部42の前面側に荷1を上下から挟持する把持機構6が設けられている。各側板部41は、軽量化のための板面が刳り抜かれて開口しており、側板部41および前板部42は上方へ突出する突壁部41a,42aを備えている。
【0026】
底板部44の下面には、荷1に向けて突出させる進退動作が可能な板状のフォーク60と、フォーク60を進退動作させる往復動機構61と、フォーク60を前後方向へ摺動自由に案内する一対のガイド機構62とが配備されている。この実施例では、ガイド機構62として前記した「リニアウェイ」(登録商標;日本トムソン株式会社製)を用いて構成されており、トラックレール63と、トラックレール63に対して相対移動が可能な2個のスライダ64とを含んでいる。
【0027】
また、往復動機構61にはロッドレスシリンダ65が用いられており、底板部44の下面の中央部にロッドレスシリンダ65のシリンダチューブ66が架設されている。シリンダチューブ66にはスライダ67がシリンダチューブ66の軸方向へスライド可能に外装されており、このスライダ67およびガイド機構62のスライダ64に取り付けられたフォーク60がシリンダチューブ66に沿って水平姿勢を保ったまま往復動するようになっている。
【0028】
フォーク60は、図7に示すように、つかみ部4A,4B,4Cの幅に応じた幅の基部68と、基部68より突出する二股部69とを備えている。第1、第2の各待機位置A,Bにおいて、荷1は、ローラコンベヤ12,13上に定位しているが、この状態では、荷1の下面にフォーク60を進入させることができない。ローラコンベヤ12,13の下方には、図7および図8に示すように、9個の突軸部18を有する押上機構17が昇降動作が可能に配備されており、この押上機構17の突軸部18をローラコンベヤ12,13のローラ間の隙間より上方へ突出させて荷1を押し上げることにより突軸部18,18間の隙間より荷1の直下までフォーク60の二股部69を進入させることを可能としている。
【0029】
各つかみ部4A,4B,4Cの前板部42の突壁部42aにはブラケット72を介して変位機構70を構成するエアシリンダ71が下向きに取り付けられ、そのエアシリンダ71のロッドの先端に水平板状の押さえ具7が装着されている。この押さえ具7は、突出したフォーク60と対向する上方位置に配置されるもので、エアシリンダ71により上下動が可能であり、フォーク60との間で荷1を上下から挟持するものである。
上記したフォーク60、往復動機構61、変位機構70、および押さえ具7により荷1を把持するための把持機構6が構成されている。
【0030】
上記した構成のロボットハンド3によれば、第2、第3の各つかみ部4B,4Cについて、駆動機構50のエアシリンダ50a,50aを駆動して第2、第3の各つかみ部4B,4Cを第1のつかみ部4Aに向けて移動させて第1のつかみ部4Aに接近させると、第1のつかみ部4Aと第2のつかみ部4Bとの配列間隔および第1のつかみ部4Aと第3のつかみ部4Cとの配列間隔がそれぞれ狭められる。
【0031】
一方、つかみ部4B,4Cを第1のつかみ部4Aと反対方向へて移動させて第1のつかみ部4Aから離間させると、第1のつかみ部4Aと第2のつかみ部4Bとの配列間隔および第1のつかみ部4Aと第3のつかみ部4Cとの配列間隔がそれぞれ広げられる。
したがって、第2、第3の各つかみ部4B,4Cを移動させて第1のつかみ部4Aに接近または離間させることで、第1のつかみ部4Aと第2のつかみ部4Bと第3のつかみ部4Cとの配列間隔を荷1の配列間隔に応じて自在に設定できる。
【0032】
いま、例えば、第1の待機位置Aまたは第2の待機位置Bにおいて横並びの状態にある3個の荷1を第3の待機位置Cの台車11上に整列状態のまま一度に積み付けるには、ロボット2を旋回動作させてロボットハンド3を第1の待機位置Aまたは第2の待機位置Bに導く。次に、駆動機構50を駆動して第1〜第3の各つかみ部4A,4B,4Cの配列間隔を荷1の配列間隔に対応させた後、各つかみ部4A,4B,4Cの把持機構6を作動させて横並びの3個の荷1を個別かつ同時に挟持する。次に、ロボット2を旋回動作させてロボットハンド3を第3の待機位置Bに導いた後、3個の荷1を横並びの配列状態のまま台車11上に積み付ける。
【0033】
第1、第2の待機位置A,Bにおいて、把持機構6により荷1を把持するには、往復動機構61のロッドレスシリンダ65を動作させてフォーク60を前進させるが、その前進動作に先立ち、図8に示すように、押上機構17を動作させて荷1をローラコンベヤ12または13の上方へ押し上げる。これにより押上機構17の突軸部18,18間の隙間より荷1の直下までフォーク60の二股部69を進入させることができる。フォーク60を前進させて荷1の下面を支持した後、変位機構70により押さえ具7を荷1に向けて変位させることで、荷1はフォーク60と押さえ具7との間で挟持される。ロボットハンド3を第3の待機位置Cへ導く際に、ロボット2が旋回動作してロボットハンド3が振り回されても、荷1はフォーク60と押さえ具7との間で上下から安定して挟持されているので、遠心力によって荷1が振り落とされることはない。
【0034】
図9は、台車11上への荷積み作業の手順を示している。図1において、まず、ロボットハンド3を第1の待機位置Aに向け、側面1bが横並びに連なった3個の荷1を第1〜第3の各つかみ部4A〜4Cにより個別かつ同時に把持し、90度旋回して整列状態のまま台車11上に一度に積み付ける(図9(1)参照)。
【0035】
次に、第1の待機位置Aにおいて、1個の荷1を端部位置の第2のつかみ部4Bにより把持し、90度旋回してこれを台車11上に積み付ける(図9(2)参照)。このとき,第1、第3の各つかみ部4A,4Cのフォーク60は引っ込んだ状態になっている。また、第1のつかみ部4Aと第3のつかみ部4Cとの間の隙間が拡げられており、第3のつかみ部4Cはストッパー11bに衝突しない。
【0036】
次に、第1の待機位置Aにおいて、側面1bが横並びに連なる3個の荷1を第1〜第3の各つかみ部4A〜4Cにより個別かつ同時に把持し、90度旋回して整列状態のまま台車11上に一度に積み付けた後(図9(3)参照)、第1の待機位置Aにある1個の荷1を第2のつかみ部4Bにより把持し、90度旋回して台車11上に積み付ける(図9(4)参照)。
【0037】
次に、ロボットハンド3を第2の待機位置Bへ導き、1個の荷1を第2のつかみ部4Bによって把持し、180度旋回してこれを台車11上に積み付ける(図9(5)参照)。このとき,第1、第3の各つかみ部4A,4Cのフォーク60は引っ込んだ状態になっている。また、第2のつかみ部4Bと第1のつかみ部4Aとの間の隙間が拡げられており、第1のつかみ部4Aはストッパー11bに衝突しない。同様に、第2の待機位置Bにおいて、1個の荷1を第2のつかみ部4Bにより把持し、180度旋回してこれを台車11上に積み付け、その積み付け動作を2度繰り返す(図9(6)(7)参照)。以上のことから、7回の荷積み動作により合計11個の荷1を台車11上に積み付けることができる。
【0038】
図10は、台車11上への荷積み状態の他の具体例を示している。図10(1)の荷積み状態を実現するには、ロボットハンド3を第2の待機位置Bへ導き、前後面1aが横並びに連なる3個の荷1を第1〜第3のつかみ部4A〜4Cにより個別かつ同時に把持し、180度旋回して整列状態のまま台車11上に一度に積み付け、これを2度繰り返した後、次に、ロボットハンド3を第1の待機位置Aへ導き、1個の荷1を第2のつかみ部4Bにより把持し、90度旋回してこれを台車11上に積み付ける。以上のことから、3回の荷積み動作により合計7個の荷1を台車11上に積み付けることができる。
【0039】
次に、図10(2)の荷積み状態を実現するには、ロボットハンド3を第1の待機位置Aへ導き、側面1bが横並びに連なる2個の荷1を第1、第2の各つかみ部4A,4Bにより個別かつ同時に把持し、90度旋回して整列状態のまま台車11上に一度に積み付け、これを2度繰り返した後、次に、ロボットハンド3を第2の待機位置Bへ導き、前後面1aが横並びに連なる2個の荷1を第1、第2の各つかみ部4A,4Bにより個別かつ同時に把持し、180度旋回して整列状態のまま台車11上に一度に積み付け、これを3度繰り返す。以上のことから、5回の荷積み動作により合計10個の荷1を台車11上に積み付けることができる。
【0040】
上記した実施例によれば、3個のつかみ部4A〜4Cの全部または一部を作動させ、また、3個のつかみ部4A,4B,4Cの配列間隔を調整することにより、複数個の荷1を種々の荷積み態様で台車11上に積み付けることが可能である。なお、荷積みの態様は図示のものに限られないことはもちろんである。
【符号の説明】
【0041】
1 荷
2 ロボット
3 ロボットハンド
4A,4B,4C つかみ部
5 支持機構部
6 把持機構
7 押さえ具
20 アーム
50 駆動機構
60 フォーク
61 往復動機構
70 変位機構
【要約】
【課題】横並びの複数個の荷を個別かつ同時につかめる構成とすることにより、荷の形態を問わず、効率良く整然と荷積みすることができるロボットハンドを提供する。
【解決手段】ロボットのアームの先端に取り付けられる荷積みのためのロボットハンドであって、横並びの複数個の荷1に対応させて横並びに配置される複数個のつかみ部4A,4B,4Cと、第1のつかみ部4Aおよび第1のつかみ部4Aに対して接近、離間可能に設けられる第2,第3の各つかみ部4B,4Cを支持する支持機構部5と、第2、第3の各つかみ部4B,4Cを移動させる駆動機構50とを備えている。各つかみ部4A,4B,4Cは、荷1を上下から挟持する把持機構6をそれぞれ備えている。
【選択図】図3
図1
図2
図3
図4-1】
図4-2】
図5
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図10
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図12