(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6312812
(24)【登録日】2018年3月30日
(45)【発行日】2018年4月18日
(54)【発明の名称】光学流体処理装置
(51)【国際特許分類】
C02F 1/32 20060101AFI20180409BHJP
【FI】
C02F1/32
【請求項の数】15
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-514319(P2016-514319)
(86)(22)【出願日】2014年5月5日
(65)【公表番号】特表2016-523696(P2016-523696A)
(43)【公表日】2016年8月12日
(86)【国際出願番号】EP2014059028
(87)【国際公開番号】WO2014187657
(87)【国際公開日】20141127
【審査請求日】2017年4月28日
(31)【優先権主張番号】13168493.8
(32)【優先日】2013年5月21日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】516043960
【氏名又は名称】フィリップス ライティング ホールディング ビー ヴィ
(74)【代理人】
【識別番号】110001690
【氏名又は名称】特許業務法人M&Sパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】グリューエル ゲオルグ
(72)【発明者】
【氏名】サンガメシュヴァラン サンディープ
【審査官】
菊地 寛
(56)【参考文献】
【文献】
特開2013−059742(JP,A)
【文献】
特表2006−501059(JP,A)
【文献】
特表2010−509019(JP,A)
【文献】
特表2011−522697(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 1/32
A61L 9/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体通路の少なくとも一部であって流体入口開口と流体出口開口との間で主な流体の流れ方向に延在するアパーチャを備える、ディスク形状のホルダと、
前記主な流体の流れ方向に延在する、少なくとも流体入口と流体出口とを備えた一体の流体容器であって、前記ホルダが前記流体入口と前記流体出口との間で当該流体容器内に取り付けられる、当該流体容器と、
動作中、前記流体通路内にUV放射を照射するランプ装置であって、当該ランプ装置の最大寸法は前記アパーチャ内の前記主な流体の流れ方向と略垂直である、当該ランプ装置と、
を含む、光学流体処理装置。
【請求項2】
前記流体容器は円筒状である、請求項1に記載の光学流体処理装置。
【請求項3】
前記アパーチャは前記ホルダのディスク形状の2つの外面の間で略垂直に延在する、請求項1又は2に記載の光学流体処理装置。
【請求項4】
ディスク形状の前記ホルダは、少なくとも前記ランプ装置に電力供給するためのバッテリと電子機器とを収容するための複数の区画を含む、請求項1乃至3の何れか一項に記載の光学流体処理装置。
【請求項5】
前記流体容器は、前記流体入口及び前記流体出口において、着脱可能なカバーを含む、請求項1乃至4の何れか一項に記載の光学流体処理装置。
【請求項6】
前記流体入口開口及び前記流体出口開口のうちの1つの前に、前記流体入口開口及び前記流体出口開口のうちの当該1つから所定の距離で配置される、少なくともスクリーンを含む、請求項1乃至5の何れか一項に記載の光学流体処理装置。
【請求項7】
1つのスクリーンは前記流体入口開口に対向し、1つのスクリーンは前記流体出口開口に対向する、少なくとも2つのスクリーンを含む、請求項6に記載の光学流体処理装置。
【請求項8】
前記スクリーンは、前記ランプ装置によって照射される光への目の直接曝露に対して遮蔽する、請求項6又は7に記載の光学流体処理装置。
【請求項9】
前記スクリーンは、前記流体入口開口及び前記流体出口開口を通る流量を制限する、請求項6乃至8の何れか一項に記載の光学流体処理装置。
【請求項10】
前記スクリーンは、前記ホルダに取り外し可能に接続される、請求項6乃至9の何れか一項に記載の光学流体処理装置。
【請求項11】
前記ホルダは、前記スクリーンを前記ホルダに接続することによって解除可能な安全ロックを含み、当該安全ロックを解除することによってのみ前記ランプ装置が動作され得る、請求項6乃至10の何れか一項に記載の光学流体処理装置。
【請求項12】
前記ランプ装置は、前記ホルダに取り外し可能に接続される、請求項1乃至11の何れか一項に記載の光学流体処理装置。
【請求項13】
前記ランプ装置は、UV放射を照射するための誘電体バリア放電ランプ及び/又はUV‐LEDを含む、請求項1乃至12の何れか一項に記載の光学流体処理装置。
【請求項14】
前記ランプ装置は、好ましくは前記アパーチャの壁、前記スクリーンの主表面、及び前記ホルダの外面からなるグループのうちの少なくとも1つの構成要素に設けられる、UV放射を照射するためのUV‐LEDを含む、請求項1乃至13の何れか一項に記載の光学流体処理装置。
【請求項15】
前記流体容器はボトルの形状に形成される、請求項1乃至14の何れか一項に記載の光学流体処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、
a)流体通路の少なくとも一部であって流体入口開口と流体出口開口との間で主な流体の流れ方向に延在するアパーチャを備える、ホルダと、b)少なくとも流体入口と流体出口とを備え、主な流体の流れ方向に延在する流体容器であって、ホルダが流体入口と流体出口との間で流体容器内に取り付けられる、流体容器と、c)動作中、流体通路内にUV放射を照射するランプ装置とを含む、光学流体処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
こうした光学流体処理装置は、公開特許文献の国際特許公開2012/066440A1号公報から知られている。より詳細には、この文献は、流体コンパートメントと、流体リザーバの上部に配置される処理コンパートメントと、を含む流体リザーバを含む、光学流体処理装置を開示する。処理コンパートメントは、ダクトを有する誘電体バリア放電(DBD)ランプを収容する。流体コンパートメントの排出開口は、ダクトが流体コンパートメントと流体連結するようにダクトの入口開口に隣接する。ユーザが流体リザーバから流体を注ぐために流体リザーバを持つときに、流体リザーバは傾斜され、流体が流体コンパートメントからダクトを通って流体差しの排出開口へと流れ、流体リザーバから出る。流体リザーバが傾斜されると、DBDランプは動作可能となるように起動され、これによりダクト内を流れる流体の処理のための光が発生される。こうした光学流体処理装置は、水の処理のために用いられている。
【0003】
照射は、比較的小さい直径を有するダクトの内部に向けられる。その結果、最小限の消毒性能を達成するために比較的長いダクトが必要とされ、これにより光学流体処理装置を、比較的小さい流体リザーバ内で用いられるのにあまり適切でないものにする。既知の光学流体処理装置の別の欠点は、エンドユーザにとってダクトの壁の(無機物、金属、バイオフィルム等の)汚れを視覚的に検出するのが困難なことであり、これは高価な検出手段を必要とするか、又はしばらく後に、システムを安全でないものにする恐れがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術の上述の欠点及び他の欠点に鑑み、本発明の一般的な目的は、比較的コンパクトなホルダを有し、安全且つ単純な態様での、飲料水等の流体の浄化のための光学流体処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の態様によると、本発明は、
ランプ装置の最大寸法(ディメンジョン)がアパーチャ内の主な流体の流れ方向と略垂直である、
光学流体処理装置を提供する。
【0006】
主な流体の流れ方向において、例えば細長いランプ装置の寸法は、当該細長いランプ装置と平行に延びる方向での当該ランプ装置の寸法と比べて比較的小さい。また、この態様では、主な流体の流れ方向において、ホルダも比較的小さいサイズを有する。細長いランプ装置は、アパーチャの中心に配置され、流体は、ランプ装置の長手の2側面に沿って流れることができる。更に、ユーザは、ランプ装置をホルダから取り外すためにランプ装置を掴むことができるように、ランプ装置の長手の両側面にユーザの指を置くことができ、したがってランプ装置は容易に交換され又は清掃され得る。
【0007】
また、ホルダを好ましくは一体の流体容器内に取り付けることも有利である。ユーザは、流体入口を通じて、水等の流体で容器を満たすことができる。水は、ホルダのアパーチャ内の流体通路を通って、且つランプ装置に沿って流れる。スイッチをオンにされると、ランプ装置によって照射される光が水を浄化する。浄化された水は、流体出口を通って容器から出る。流体容器は、好ましくは円筒形状にデザインされる。
【0008】
更なる態様によると、本発明は、ホルダがディスク形状であり、アパーチャがホルダのディスク形状の2つの外面の間で略垂直に延在する、光学流体処理装置を提供する。
【0009】
こうしたディスク形状のホルダは、比較的コンパクトで携帯可能である。
【0010】
更なる態様によると、本発明は、ディスク形状のホルダが、少なくともランプ装置に電力供給するためのバッテリと電子機器とを収容するための複数の区画を含む、光学流体処理装置を提供する。
【0011】
バッテリによってランプ装置を電力供給することにより、光学流体処理装置は携帯可能であり、任意の場所で用いられ得る。ランプ装置を動作させるのに必要とされる電子機器は、ランプ装置を駆動するための駆動電子機器、高圧トランス、流体の存在を感知するためのセンサ、及び/又はUV放射の量を感知するためのセンサを含む。好ましくは、素子は各々別個の区画内に格納され、各区画は、当該区画内に配置される素子を他の素子の影響に対して保護し、遮蔽する。
【0012】
別個の区画の利点は、区画内に配置される電子機器の製造、及びメンテナンス又は修理のために比較的低コストであることである。
【0013】
更なる態様によると、本発明は、流体容器が流体入口及び流体出口において、着脱可能なカバーを含む、光学流体処理装置を提供する。
【0014】
こうした容器は、例えばプラスチックボトルであってよく、ディスク形状のホルダは、全ての水が流体入口から流体通路を通って流体出口へと流れなければならないように、封止された態様で取り付けられる。着脱可能なカバーは、ユーザが水を飲みたい場合にいつでも容器を満たし、カバーを閉じ、及びカバーを開けることを可能にする。ユーザが水を飲む前に、水はランプ装置によって照射される光によって浄化される。光透過性材料のボトルは、ユーザがボトル内に残った水の量を容易に見ることができるという利点を有する。
【0015】
更なる態様によると、本発明は、流体入口開口及び流体出口開口のうちの1つの前に、当該流体入口開口及び流体出口開口のうちの1つから所定の距離で配置される少なくともスクリーンを含む、光学流体処理装置を提供する。
【0016】
スクリーンは、流体入口開口の前、流体出口開口の前、又は流体入口開口の前及び流体出口開口の前に配置される。
【0017】
スクリーンは、個々に又は同時に付与され得る複数の機能を有する。
【0018】
スクリーンの第1の機能は、人が流体通路の外から光学流体処理装置を見たときに、スクリーンが、ランプ装置によって照射される光への目の直接曝露に対して遮蔽することである。ランプ装置が例えばDBDランプであるとき、DBDランプによってUV光が照射される。スクリーンは、人がUV光を直接覗き込むことができるのを単純な態様で防止する。これは、容器がPE、PP、又はPET等の光透過性材料で作られている場合に特に関連する。
【0019】
スクリーンの第2の機能は、流体入口開口及び流体出口開口を通る流体の流量を制限することである。
【0020】
スクリーンと開口との間の通路のサイズは、スクリーンのサイズ、及びスクリーンと開口との間の距離によって決定される。スクリーンと開口との間の通路のサイズは、当該通路のサイズが開口自体のサイズよりも小さくなるような寸法とされ、これにより開口を通る流量が低減される。この態様で、例えばUV光の流体への最低量を保証することができるように、流体通路へと流れる流体の量は、ランプ装置によって照射される光の量に対して容易に調整され得る。更に、このスクリーンと開口との間の通路の低減されたサイズのために、望ましくない比較的大きな物体が流体通路内に入ることも防止される。
【0021】
スクリーンがホルダに取り外し可能に接続される場合、スクリーンの第3の機能は、スクリーンの取外し後に、流体入口開口及び/又は流体出口開口を通じたランプ装置へのアクセスを可能にすることである。この態様で、ランプ装置及びアパーチャは、容易に清掃され、検査され得る。
【0022】
ホルダに取り外し可能に接続されるスクリーンの第4の機能は、スクリーンをホルダに接続することによって、ホルダの安全ロックが解除され、安全ロックを解除することによってのみランプ装置が動作され得ることである。スクリーンがホルダ上の定位置にあり、開口に対向している場合のみ、ランプ装置はスイッチをオンにされ得る。この態様では、人がランプ装置によって照射される光を直接覗き込むことをスクリーンが単純な態様で防止し、且つ、スクリーンが、開口を通る流量を、例えば所望の最低UV量に対する所望の流量に制限することが保証される。
【0023】
更なる態様によると、本発明は、ランプ装置がホルダに取り外し可能に接続される、光学流体処理装置を提供する。
【0024】
ランプ装置が壊れた場合、又はランプ装置の寿命のためにランプ装置から照射される光の量が所定の閾値を下回って低減した場合には、スクリーンの取外し後に、ランプ装置はホルダから取り外され、交換され得る。
【0025】
本発明による光学流体処理装置の実施形態は、ランプ装置が、UV放射を照射するためのUV‐LEDを含むことを特徴とする。小さいサイズのUV‐LEDは、光学流体処理装置内の様々な位置でのUV‐LEDの収容を可能にし、好ましくはUV‐LEDは、アパーチャの壁、スクリーン(又は複数のスクリーン)の主表面、及びホルダの外面からなるグループのうちの少なくとも1つの構成要素に設けられる。スクリーン(又は複数のスクリーン)におけるUV‐LEDの収容は、スクリーンの単純な交換又はスクリーンの一時的な取外しによって、UV‐LEDの容易な交換又は清掃を可能にする。好ましくは、UV‐LEDは、容易な清掃を可能にするために、UV‐LEDが壁、外面、及び/又はスクリーンと同一平面にあるような態様で、当該壁、外面、及び/又はスクリーンに組み込まれる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
本発明のこれらの態様及び他の態様は、本発明の現在好ましい実施形態を示す添付の図面を参照して、より詳細に説明される。
【0027】
【
図1】本発明による光学流体処理装置の実施形態の斜視図を示す。
【
図2A】
図1に示される光学流体処理装置のホルダの上方断面図を示す。
【
図2B】
図1に示される光学流体処理装置のホルダの側方断面図を示す。
【
図3】本発明による光学流体処理装置の第2の実施形態の側方断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1乃至
図2Bは、本発明による光学流体処理装置1の様々な図を示す。光学流体処理装置1は、長手方向P1に延在する円筒状流体容器2を含む。円筒状流体容器2は、流体入口3及び流体出口4を備える。流体入口3及び流体出口4は各々、着脱可能なカバー5、6を含む。円筒状流体容器2はボトルの形状を有し、流体入口3から流体出口4に近い位置までの流体容器2の直径D1は比較的大きく、流体出口4の近くで、流体容器2の断面は、かなり小さい直径D2まで徐々に減少される。この態様で、円筒状流体容器2は、比較的大きな流体入口3を通じて水等の流体で容易に満たされることができると同時に、流体出口4の比較的小さい直径のために、カバー6の取外し後、水は比較的ゆっくり、且つ比較的少量で流体出口4から流れ出る。容器は、好ましくはPE、PP、又はPET等の光透過性であるプラスチック材料で作製される。
【0029】
流体入口3と流体出口4との間で、ディスク形状のホルダ7が円筒状流体容器2内に着脱可能に取り付けられる。ディスク形状のホルダ7は、ホルダ7が円筒状流体容器2内へと挿入され、円筒状流体容器2の内部を流体入口3の近くに位置する上部8と、流体出口4の近くに位置する下部9とに分けることができるように、直径D1とほぼ同一の直径D3を有する。
【0030】
ディスク形状のホルダ7は、円筒状流体容器2内へと挿入され、封止、ねじ若しくはピン、又は他の固定機構によって、所定の位置で静止するようにされ得る。更に、ディスク形状のホルダ7は、清掃、交換、メンテナンス等のために、円筒状流体容器2から完全に容易に取り外され得る。
【0031】
図2A及び
図2Bに見られるように、ディスク形状のホルダ7は、ホルダ7の中心に配置される長方形のアパーチャ10を備え、アパーチャ10は、ホルダの2つの平行なディスク形状の外面11、12の間で、長手方向P1と平行に延びる主な流体の流れ方向に延在する。細長い管状ランプ装置13がアパーチャ10内に配置され、アパーチャ10を境界付ける壁14内に着脱可能に接続される。細長い管状ランプ装置13は、長手方向P1と垂直な方向P2に延在する。ランプ装置13は、好ましくはDBDランプ装置である。ランプ装置13の直径D4は例えば約2センチメートルであり、アパーチャ10を境界付け、壁14と垂直に延在する長手壁15と管状ランプ装置13との間の距離Bは約0.2〜4センチメートル、最も好ましくは0.2〜1センチメートルである。アパーチャ10を境界付け、壁14と平行に延在する壁16とランプ装置13の末端との間の距離Cは約1〜3センチメートルである。ランプの長さは3〜15センチメートル、好ましくは7〜10センチメートルである。容器の内径D3は8〜20センチメートル、好ましくは8〜15センチメートルである。アパーチャ10を境界付ける壁14、15、16とランプ装置13との間の空間は、流体入口開口18と流体出口開口19との間で主な流体の流れ方向P1に延在する流体通路17を形成する。
【0032】
ホルダ7は、当該ホルダ7の外周に沿って円筒状流体容器2に封止され、したがって上部8から下部9へと流れる全ての流体は、流体通路17を通って流れる必要がある。
【0033】
ホルダ7は、ディスク形状の外面11と12との間に配置され、各々が4つの壁14、15、16のうちの1つに隣接して配置される、4つの区画20、21、22、23を含む。区画20は高圧トランスを収容し、区画21は電子機器を収容し、区画22はバッテリを収容し、区画23は情報を感知し電子機器にフィードバックするための電子機器を収容する。4つの区画に配置される素子は、互いに電気的に接続される。高圧トランスのための区画20は、流体容器2内の流体と接触する金属接地電極を含み、また、ランプの中央の高圧電極と接触する高圧電極を含む。高圧電極は、少なくとも1つのOリングとの組合せにおいて、ランプ装置13によって流体に対して封止される。バッテリのための区画22は、充電式バッテリが用いられる場合には充電ユニットへの接続のための封止された入力と、バッテリの交換のための封止されたカバーとを含む。
【0034】
光学流体処理装置1は、流体入口開口18及び流体出口開口19の前に、当該流体入口開口18及び流体出口開口19から所定の距離Eでそれぞれ配置される、幅Wを有する2つの長方形のスクリーン24、25を含む。幅Wは、アパーチャ10の全幅D4+2Bよりも大きい。Wのための上限は、ホルダの直径D3によって与えられる。下方の直径は、安全な使用を保証するために、ランプ装置13がユーザによって見られないという要件によって決定される。
【0035】
また、スクリーン24、25の横寸法も、ランプ装置13がユーザにとって見えないことを保証しなければならない。
【0036】
スクリーン24、25は、ホルダ7の孔27内に配置される3個又は4個のピン26によって、ディスク形状の外面11、12から距離Eで保たれる。ピン26は、スクリーン24、25を定位置に保ち、スクリーン24、25のホルダ7までの一定の距離Eを保証する。距離Eは0.1〜1センチメートルである。ホルダ7は、区画21内に配置され、スクリーン24、25のピン26を孔27へと挿入することによって解除される安全ロックを含み、安全ロックを解除した後にだけランプ装置13が動作され得る。スクリーン24、25のサイズ及び距離Eは、流体通路17の外から見て、スクリーン24、25が、ランプ装置13によって照射される光への目の直接曝露に対して遮蔽するようにされる。更に、スクリーン24、25は、スクリーン24、25とホルダ7との間の距離Eとの組合せにおいて、流体入口開口18及び流体出口開口19を通る流量をそれぞれ制限する。
【0037】
好ましくは、ホルダ7は、例えば水といった流体が流体通路17内に存在するか、又は流体通路17を通って流れ始めたことを感知するためのセンサを含む。センサが作動されるとすぐに、ランプ装置13はスイッチをオンにされる。ランプ装置13の金属接地電極はランプ装置13と接触している水によって形成されるので、ランプ装置13の内部の放電は、表面積の濡れた部分がホルダ7の接地電極と接触していることを条件に、当該濡れた部分にわたって点火される。
【0038】
例えば水の消毒及び/又は浄化のために、光学流体処理装置1を動作させるために、カバー5が取り外された後、流体入口3を通って水が挿入される。水は、スクリーン24に向かう主な流体の流れ方向に流れ、スクリーン24によって、スクリーン24の周り及びスクリーン24とディスク形状の外面11との間の開口28内に流れるように強いられる。次いで、水は流体通路17を通って流れ、ランプ装置13によって照射される光にさらされ、これにより流体は消毒され、及び/又は浄化される。次いで、消毒された及び/又は浄化された水は、流体通路17から出て、スクリーン25とディスク形状の外面12との間の開口29を介して、下部9内へと流れる。こうした実施形態では、流体通路17は、アパーチャ10及び開口28、29によって形成されているとみなされる。カバー6の取外し後、水は下部9から流体出口4を通って光学流体処理装置1から流れ出る。
【0039】
距離B、C及びEは、流体がランプ装置13によって照射される光に十分長く曝露されるような速度で当該流体が流体通路17を通って流れるように決定され、これにより流体は十分に消毒され、及び/又は浄化される。ランプ装置13はDBDランプを含む。ランプ装置13によって照射される光は、100〜280ナノメートルの波長を有する紫外線C波(UVC)である。付与されるべき典型的なUVC量は、20〜60mJ/cm
2、好ましくは40mJ/cm
2である。B、C、及びEの正確な値は、ランプ電力、ランプ装置13のランプ形状、及び流体のUV透過率に依存する。スクリーン24、25は、ホルダ7までの距離Eを介してだけでなく、開口28、29が部分的に閉鎖されるような態様でスクリーン24、25を形成することによっても、流体の流れを制限するために用いられ得る。
【0040】
また、ホルダ7が流体容器内に封止されず、ホルダ7の直径は容器の寸法よりも小さいということも可能である。この場合、流体容器2は、貯められた水の完全な照射を、乱流の動きによる混合によって達成するために、上下逆さにされる必要がある。
【0041】
代替として、ホルダ7は液体リザーバの上部に設置され、重力の影響下で、水等の液体を通ってゆっくり下方に動いてもよい。この動きの間、ランプ装置13に沿って通過する液体は照射され、消毒される。このデザインでは、ホルダの体積当たりの平均重量は、処理されるべき液体の重量よりも1〜10%大きくなるように、好ましくは液体の比重よりも1〜10%大きくなるように調節される。
【0042】
汚れ検出は、単純に遮蔽スクリーン24、25のうちの1つを取り外し、ランプ装置13の清潔さの状態を視覚的に確認することによって容易に達成され得る。視認可能なフィルム形成の場合、ユーザはランプ装置13を取り出して、(クエン酸、酢酸、エマルジョン内の研磨粉末等の)標準的な家庭用洗浄剤を用いてランプ装置13を清掃し、ランプ装置13を元の定位置に戻すことができる。
【0043】
別個の区画20〜24の代わりに、別体の着脱可能な構成要素のままであるランプ装置13を除き、全ての電子機器を1つの区画内に封入することも可能である。このオプションは、封止の数を低減させるが、しかしながら、システムのメンテナンス性及び電子機器の交換性を犠牲にする。
【0044】
また、UVランプ装置を有するディスク形状のホルダ7が、粒子フィルタ又は活性炭膜等の他の浄化機構を含むディスク形状のホルダ7で補充されることをエンドユーザが望む場合、1つの円筒状流体容器2内で複数のディスク形状のホルダを用いることも可能であり、同様の又は異なる種類のディスク形状のホルダが、所望の順序で垂直に積み重ねられる。
【0045】
UV放射源としてのDBDランプを、発光ダイオード(LED)ランプ又はランプのアレイで置き換えることが可能である。1以上のLED又はDBDランプのLEDとの組合せの場合、LEDは、例えばアパーチャ10を囲んで(部分的に)周縁をなす態様で、アパーチャ10の壁14〜16に沿って設置されるか、例えばアパーチャ10に向いているスクリーン(若しくは複数のスクリーン)24、25の主表面において提供されるLEDのマトリックスとして、スクリーン24、25のうちの少なくとも1つにおいて設置されるか、又はLEDは、例えばスクリーン24、25のうちの対応する1つに直接対向する位置で、ホルダ7の外面11、12のうちの少なくとも1つにおいて提供されてもよい。ユーザが流体通路の外から光学流体処理装置を見たときに、ユーザがランプ装置によって照射される光の直接曝露から保護されるということは、全ての実施形態に当てはまる。LEDのアレイは、動作中、壁14〜16から、及び/又は主表面(若しくは複数の主表面)から、及び/又は外面11、12から、流体通路及び/又は開口(若しくは複数の開口)28、29内にUV放射を照射する単一のランプ装置としてみなされるユニットを形成する。
【0046】
図3に示される光学流体処理装置1の実施形態は、
図2Bに示される光学流体処理装置1と類似するが、この実施形態は、各々がUV‐LEDのアレイを含む3つのランプ装置13a、13b、13cを含む。ランプ装置13a、13bは、アパーチャ10の壁15において周縁をなす態様で互いに平行に配置され、ランプ装置13cは、アパーチャに向いているスクリーン25の主表面31において提供される。また、この実施形態では、ピン26は、例えば区画20〜23内に収容されるバッテリ(
図2A参照)にランプ装置13cを電気的に接続するための、電気的コンタクトとして機能し得る。代替的に又は追加的に、バッテリはスクリーン24、25内に収容されてもよい。
【0047】
処理されるべき流体は、水若しくは他の種類の液体、又は気体である。
【0048】
当業者は、本発明が、好ましい実施形態に決して限定されないことを理解する。当業者によって、特許請求された発明を実施するにあたり、図面、明細書、及び添付の請求項の研究から、開示された実施形態の他のバリエーションが理解され達成されることができる。
【0049】
請求項で、「含む」の文言は他の要素又はステップを除外するものではなく、不定冠詞「a」又は「an」は複数を除外するものではない。特定の手段が、相互に異なる従属請求項に記載されているという単なる事実は、これらの手段の組合せを有利に使用できないことを意味するわけではない。請求項中のいかなる参照符号も、請求項の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【符号の説明】
【0050】
1 光学流体処理装置
2 流体容器
3 流体入口
4 流体出口
5 着脱可能なカバー
6 着脱可能なカバー
7 ホルダ
8 上部
9 下部
10 アパーチャ
11 外面
12 外面
13 ランプ装置
13a、b、c ランプ装置
14 壁
15 壁
16 壁
17 流体通路
18 入口開口
19 出口開口
20 区画
21 区画
22 区画
23 区画
24 スクリーン
25 スクリーン
26 ピン
27 孔
28 開口
29 開口
30 主表面
31 主表面
D1 直径
D2 直径
D3 直径
D4 直径
B 距離
C 距離
E 距離
P1 方向
P2 方向
P3 方向