特許第6312918号(P6312918)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6312918
(24)【登録日】2018年3月30日
(45)【発行日】2018年4月18日
(54)【発明の名称】導電率センサー向けの駆動回路
(51)【国際特許分類】
   G01N 27/06 20060101AFI20180409BHJP
   H03M 1/12 20060101ALI20180409BHJP
   H03K 17/78 20060101ALI20180409BHJP
   G01R 27/22 20060101ALI20180409BHJP
【FI】
   G01N27/06 B
   H03M1/12 A
   H03K17/78 E
   G01R27/22
【請求項の数】20
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-501070(P2017-501070)
(86)(22)【出願日】2015年3月16日
(65)【公表番号】特表2017-513022(P2017-513022A)
(43)【公表日】2017年5月25日
(86)【国際出願番号】US2015020742
(87)【国際公開番号】WO2015142728
(87)【国際公開日】20150924
【審査請求日】2016年9月16日
(31)【優先権主張番号】61/954,134
(32)【優先日】2014年3月17日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516280635
【氏名又は名称】アトラス サイエンティフィック リミティッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】110001357
【氏名又は名称】特許業務法人つばさ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】エフレム プレス
(72)【発明者】
【氏名】ジョン リンドグレーン
(72)【発明者】
【氏名】ジョーダン プレス
【審査官】 小澤 瞬
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2014/0015551(US,A1)
【文献】 特開2012−143070(JP,A)
【文献】 特開2000−308253(JP,A)
【文献】 特開2006−137280(JP,A)
【文献】 特開2011−133253(JP,A)
【文献】 実開昭59−006782(JP,U)
【文献】 特開平07−055744(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 27/00−27/10
27/14−27/24
G01R 27/00−27/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの相反する駆動信号を生成するように構成されたパルス幅変調ユニットと、
前記2つの相反する駆動信号を受け取ると共に、少なくとも2つのH−ブリッジ出力信号を生成するように構成されたH−ブリッジと、
シャント抵抗器に並列接続された第1の入力部を含み、前記第1の入力部のうちの1つが、生成された少なくとも2つのH−ブリッジ出力信号のうちの1つの出力信号を受け取るように構成された第1の差動アンプと、
センサーが取り付けられる一対の端子に並列接続された第2の入力部を含み、前記第2の入力部のうちの1つと前記一対の端子とが、生成された少なくとも2つのH−ブリッジ出力信号のうちの他の出力信号を受け取るように構成された第2の差動アンプと、
前記第1の差動アンプから第1の電流としての第1の出力信号を、前記第2の差動アンプから第2の電流としての第2の出力信号を、それぞれ受け取るように構成されたアナログデジタル変換器(ADC)と
を備えた
流体導電率センサー向けの駆動回路。
【請求項2】
更に、前記パルス幅変調ユニットおよび前記ADCのうちの少なくとも1つを制御するように構成されたプロセッサを備えた
請求項1に記載の流体導電率センサー向けの駆動回路。
【請求項3】
更に、前記センサーの動作を制御するように構成された入力/出力ユニットを備えた
請求項1に記載の流体導電率センサー向けの駆動回路。
【請求項4】
更に、前記駆動回路の動作状態を示すように構成された1つ以上のインジケータを備えた
請求項1に記載の流体導電率センサー向けの駆動回路。
【請求項5】
前記ADCは、前記第1および第2の出力信号のそれぞれに基づくサンプリング信号を交互に受け取るように構成された
請求項1に記載の流体導電率センサー向けの駆動回路。
【請求項6】
ロセッサは、受け取ったサンプリング信号の少なくとも一部に基づいて流体導電率を決定するように構成された
請求項5に記載の流体導電率センサー向けの駆動回路。
【請求項7】
更に、前記駆動回路から離れた回路へ前記流体導電率を伝達するように構成されたトランシーバを備えた
請求項6に記載の流体導電率センサー向けの駆動回路。
【請求項8】
2つの相反する駆動信号を生成するように構成されたパルス幅変調ユニットと、
前記2つの相反する駆動信号を受け取ると共に、少なくとも2つのH−ブリッジ出力信号を生成するように構成されたH−ブリッジと、
シャント抵抗器に並列接続された第1の入力部を含み、前記第1の入力部のうちの1つが、生成された少なくとも2つのH−ブリッジ出力信号のうちの1つの出力信号に結合された第1の差動アンプと、
センサーが取り付けられる一対の端子に並列接続された第2の入力部を含み、前記第2の入力部のうちの1つと前記一対の端子とが、生成された少なくとも2つのH−ブリッジ出力信号のうちの他の出力信号から得られた信号を受け取るように構成された第2の差動アンプと、
前記第1の差動アンプから得られる第1の電流としての第1の出力信号に基づくサンプリング信号と、前記第2の差動アンプから得られる第2の電流としての第2の出力信号に基づくサンプリング信号とを交互に受け取るように構成されたアナログデジタル変換器(ADC)と
を備えた
流体導電率センサー向けの駆動回路。
【請求項9】
更に、前記センサーの動作を制御するように構成された入力/出力ユニットを備えた
請求項8に記載の流体導電率センサー向けの駆動回路。
【請求項10】
前記パルス幅変調ユニット、前記H−ブリッジ、前記第1の差動アンプおよび前記第2の差動アンプのうちの少なくとも2つは、共通の筐体内に収容されている
請求項8に記載の流体導電率センサー向けの駆動回路。
【請求項11】
更に、受け取ったサンプリング信号の少なくとも一部に基づいて流体導電率を決定するように構成されたプロセッサを備えた
請求項8に記載の流体導電率センサー向けの駆動回路。
【請求項12】
更に、前記駆動回路から離れた回路へ前記流体導電率を伝達するように構成されたトランシーバを備えた
請求項11に記載の流体導電率センサー向けの駆動回路。
【請求項13】
前記プロセッサは、前記パルス幅変調ユニットおよび前記ADCのうちの少なくとも1つを制御するように構成された
請求項11に記載の流体導電率センサー向けの駆動回路。
【請求項14】
更に、前記駆動回路の動作状態を示すように構成された1つ以上のインジケータを備えた
請求項8に記載の流体導電率センサー向けの駆動回路。
【請求項15】
2つの相反する駆動信号を生成するように構成されたパルス幅変調ユニットと、
前記2つの相反する駆動信号を受け取ると共に、少なくとも2つのH−ブリッジ出力信号を生成するように構成されたH−ブリッジと、
シャント抵抗器に並列接続された第1の入力部を含み、前記第1の入力部のうちの1つが、生成された少なくとも2つのH−ブリッジ出力信号のうちの1つの出力信号に結合された第1の差動アンプと、
センサーが取り付けられる一対の端子に並列接続された第2の入力部を含み、前記第2の入力部のうちの1つと前記一対の端子とが、生成された少なくとも2つのH−ブリッジ出力信号のうちの他の出力信号から得られた信号を受け取るように構成された第2の差動アンプと、
前記第1の差動アンプから得られる第1の電流としての第1の出力信号に基づくサンプリング信号と、前記第2の差動アンプから得られる第2の電流としての第2の出力信号に基づくサンプリング信号とを交互に受け取るように構成されたアナログデジタル変換器(ADC)と、
受け取ったサンプリング信号の少なくとも一部に基づいて流体導電率を決定するように構成されたプロセッサと
を備えた
流体導電率センサー向けの駆動回路。
【請求項16】
前記パルス幅変調ユニット、前記H−ブリッジ、前記第1の差動アンプおよび前記第2の差動アンプのうちの少なくとも2つは、共通の筐体内に収容されている
請求項15に記載の流体導電率センサー向けの駆動回路。
【請求項17】
更に、前記駆動回路から離れた回路へ前記流体導電率を伝達するように構成されたトランシーバを備えた
請求項15に記載の流体導電率センサー向けの駆動回路。
【請求項18】
更に、前記センサーの動作を制御するように構成された入力/出力ユニットを備えた
請求項15に記載の流体導電率センサー向けの駆動回路。
【請求項19】
前記H−ブリッジは、更に、前記入力/出力ユニットへのタイミング情報を伝達するように構成されている
請求項18に記載の流体導電率センサー向けの駆動回路。
【請求項20】
前記入力/出力ユニットは、前記タイミング情報を用いて、前記センサーからの1つ以上の信号のサンプリングを制御する
請求項19に記載の流体導電率センサー向けの駆動回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2014年3月17日に出願されたアメリカ合衆国優先権出願US61/954134「電気伝導率モジュール」の利益を主張し、その全ての内容を参照によって援用する。
【0002】
本開示の実施形態は、流体導電率センサーに関し、より詳細には、流体導電率センサー向けの駆動回路に関する。
【背景技術】
【0003】
流体(特に水溶液)中において、その流体の電気伝導率を検出するためのハイエンドのセンサーがこれまでにも存在する。しかしながら、このようなデバイス、特に、センサーによる最終決定が引き続き用いられているロボティクスまたは他の組み込みシステムのデバイスでは、数々の困難に悩まされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
水溶液の導電率を測定する際に遭遇する1つの困難性は、センサーの電極に悪影響(「ファウリング」と呼ばれる)を及ぼす可能性があることである。これは、電流がセンサーの電極を通過する際に起こり、またアノードとカソードの両方に集まるイオンを生じさせる。これらのイオンが十分に集まると、検査での流体の導電率において、イオンの相互作用に起因して測定量が変わる。
【0005】
水溶液の導電率を測定する既存の手法は、一般に、単一の電極を通じて変化する電圧を利用するものである。この電圧変化(一般には、固定の正電圧(+X(V))から負電圧(−X(V)))は、電極におけるイオンを引き寄せる力を反転させる。このようにして、ファウリングが防止される。しかしながら、この手法では、大きな電圧範囲を要する。一般に、これらの電圧値は、電圧インバータにより得られる。電圧インバータは、駆動回路のエネルギー使用、複雑さ(例えば、負電圧の調整を要する)、およびサイズを増大させると共に、駆動回路におけるノイズを増加させる。
【0006】
また、既存の手法は、現存のマイクロコントローラを十分に利用するものはない。一般に、相当な量の駆動回路が、測定および結果の判断に用いられている。例えば、オペアンプのパラメータ(入力バイアス電流、オフセット電圧等)を補っている。これは、結果的に、電力消費を増大させ、感度および精度を低下させる。
【0007】
最後に、既存の手法では、一般に、ロボティクスまたは他の組み込みシステムへの融合が難しい方法で情報が提供される。例えば、導電率センサーの出力は、4〜20mA電流ループ(即ち、アナログ)として、またはデジタルディスプレイを介して、表すことができる。これらはいずれも、現存のシステムの大規模なアレイへ組み込むことが、不可能ではないにしても、困難である。尚、現存のシステムでは、他のマイクロコントローラ、コンピュータ・モニタリング・システム、データロガー等のデジタル出力が期待される。
【0008】
したがって、測定結果を得るためのより簡易な手法を可能とし、必要電力を削減し、感度および精度を向上させ、かつ、転送により離れたシステムによって利用可能なデジタル形式で情報を提示する、流体導電率センサー向けの駆動回路を提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の実施の形態は、流体導電率センサー向けの駆動回路を備える。この駆動回路は、パルス幅変調ユニット、H−ブリッジ、第1および第2の差動アンプ、およびアナログデジタル変換器(ADC:analog-to-digital converter)を有する。パルス幅変調ユニットは、2つの相反する駆動信号を生成するように構成されている。H−ブリッジは、それらの2つの駆動信号を受け取り、少なくとも2つのH−ブリッジ出力信号を生成するように構成されている。第1の差動アンプは、シャント抵抗器に並列接続された第1の入力部を含む。第1の入力部のうちの1つに、生成された少なくとも2つのHブリッジ出力信号のうちの1つが供給される。第2の差動アンプは、それぞれにセンサーが取り付けられた一対の端子に並列接続された第2の入力部を含む。第2の入力部のうちの1つの入力部と、一対の端子とは、生成された少なくとも2つのHブリッジ出力信号のうちのその他の出力信号に基づく信号を受け取るように構成されている。アナログデジタル変換器(ADC)は、第1の差動アンプからの第1の電流としての第1の出力信号と、第2の差動アンプからの第2の電流としての第2の出力信号とを受け取るように構成されている。
【図面の簡単な説明】
【0010】
以下、本発明の好ましい実施形態について詳細に説明する。また、添付の図面と共に読むことでより良く理解されるであろう。説明のために、現在において好ましいとされる実施形態を図中に示している。但し、本開示が、図示されたレイアウトや手段そのものに限定されるものではないことは理解されるべきである。
【0011】
図1】本発明の一の好ましい実施の形態に係る駆動回路の回路図である。
図2図1の駆動回路用のヘッダーピンの配置を表す回路図である。
図3】流体導電率センサーの駆動方法の一実施形態の方法を表す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下の説明では、便宜上用いられる用語があるが、これに限定される訳ではない。「右」,「左」,「下」および「上」という単語は、参照される図において、方向を示している。「内側」という単語は、デバイスおよびその示された部分の幾何学的中心へ向かう方向を示し、「外側」という単語は、デバイスおよびその示された部分の幾何学的中心から離れる方向を示している。これらの用語は、上記単語を含むと共に、その派生語および類義語を含むものである。また、特許請求の範囲と、明細書中の対応する部分において用いられた「1つ」(英語の“a”または“an”)という単語は、「少なくとも1つ」を意味している。
【0013】
図面を参照すると、至る所において数字等が要素等を示している。図1には、本開示の好ましい実施形態に係る導電率センサー(図示せず)と共に用いられる駆動回路10が示されている。駆動回路10は、一対の駆動出力部12a,12bを含むパルス幅変調(PWM)ユニット12を有する。PWMユニット12は、第1の駆動信号と、この第1の駆動信号と相補する(即ち、相反する)第2の駆動信号とを生成する。第1および第2の駆動信号はそれぞれ、駆動出力部12a,12bから出力される。第1および第2の駆動信号はそれぞれ、好ましくは、約4kHzの範囲内の周波数と、50%のデューティ・サイクルとを示す。但し、これらの周波数、デューティ・サイクルあるいは他の特性は、要望に応じて変化してもよい。
【0014】
PWMユニット12の駆動出力部12a,12bは、好ましくは、H−ブリッジ14の対応する入力部14a,14bに接続されている。H−ブリッジ14は、更に、2つの出力部14c,14dと、2つのフィードバック・チャンネル14e,14fとを有する。フィードバック・チャンネル14e,14fは、H−ブリッジのタイミングに関する情報を、入力/出力(I/O)ユニット16に戻すものである。H−ブリッジ14は、導電率センサーに供給された信号の極性を交互に反転させるために用いられる。I/Oユニット16は、以下により詳細に説明するように、H−ブリッジ14のタイミングを用いて、導電率センサーから供給される信号のサンプリングを調整する。
【0015】
H−ブリッジ14の一方の出力部14cは、第1の差動アンプ18に直接に接続されている。第1の差動アンプ18は、シャント抵抗器20に跨るように、即ちシャント抵抗器と並列に接続された入力部を含む。シャント抵抗器20は、好ましくは、約100(Ω)の範囲で抵抗値を有する。但し、本発明を逸脱しない範囲で、他の抵抗値が用いられてもよい。差動アンプ18もまた、イネーブル入力信号18aとして、PWMユニット12によって出力された信号を受け取る。差動アンプ18は、シャント抵抗器20を通る電流を出力する。この電流は、アナログデジタル変換器(ADC)22の入力部22aにフィードバックされる。シャント抵抗器20の固定抵抗と、シャント抵抗器20を通る電流とを知ることにより、供給された電圧を決定することができる。
【0016】
H−ブリッジ14の他方の出力部14dは、第2の差動アンプ24に結合している。第2の差動アンプ24は、一対の端子26a,26bに跨って、即ち並列に接続された入力部を含む。一対の端子26a,26bには、導電率センサーが接続される。端子26a,26bは、ポスト、ソケットまたは同軸レセプタクル等のタイプの電気コネクタを構成してもよい。トランジスタ28は、端子26a,26bに跨って、即ち並列に接続されており、導電率センサーの動作を制御するためのゲート信号として、I/Oユニット16からの出力信号を受け取るものである。本明細書に記載された本開示の実施の形態においては、トランジスタ28およびトランジスタ28に接続された出力部が、I/Oユニット16から取り外されてもよいことは、当該分野における通常の知識の1つであることが理解できるだろう。
【0017】
差動アンプ24もまた、イネーブル入力信号24aとして、PWMユニット12によって出力された信号を受け取る。差動アンプ24は、端子26a,26bを通じて導電率センサーを通る電流を出力する。電流の測定値は、ADC22のもう一方の入力部22bにフィードバックされる。この導電率センサーを通る電流と、シャント抵抗器20における測定値から既に決定されている供給電圧とを用いて、導電率センサーによって対象とされた流体の抵抗値を決定することができる。流体の導電率は、算出された抵抗値の逆数により決定される。
【0018】
PWMユニット12、I/Oユニット16およびADC22は、好ましくは、中央制御ユニット(CPU)30の一部であるか、または少なくともCPU30によって制御されるものである。CPU30は、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、またはASIC(Application Specific Integrated Circuit)等である。例えば、PWMユニット12、I/Oユニット16およびADC22のうちの1つ以上は、上述した入力部および出力部がCPU30のピン形状(図示せず)を成すように、CPU30内に存在していてもよい。また、PWMユニット12、I/Oユニット16およびADC22のうちの1つ以上は、CPU30の外部に配置された回路であってもよく、トレース、ワイヤー等の電気コネクタ(図示せず)を介してCPU30に接続されていてもよい。CPU30は、例えば、PWMユニット12、I/Oユニット16およびADC22のための、出力パワー、設定およびパラメータを制御すると共に、通信を容易にすることができる。
【0019】
少なくとも、H−ブリッジ14、第1および第2の差動アンプ18,24、シャント抵抗器20および端子26a,26bは、共通の筐体内に収容されている。この筐体(図示せず)はまた、要望に応じて、PWMユニット12、I/Oユニット16、ADC22、および/またはCPU30を含んでいてもよい。
【0020】
導電率センサーから得られた情報は、好ましくは、駆動回路10から外部回路(図示せず)へ、UART(Universal Asynchronous Receiver Transmitter)プロトコル(例えば、RS−232,TTLシリアル,RS−422,RS−485等)またはI2C(Inter-Integrated Circuit)プロトコル等の一般的な手法を用いて送信される。図2に示したように、一対のトランスミッターピン32,レシーバーピン34は、好ましくは、上述のような外部回路と通信可能となるように配置されている。パワーピン36とグラウンドピン38もまた、設けられているとよい。加えて、プローブピン40,42は、導電率センサーを端子26a,26bに接続させるように設けられているとよい。
【0021】
再び図1を参照する。LED50,52,54は、好ましくは、ユーザに対して駆動回路10のステータスを示すために設けられている。例えば、赤色LED50は、エラーインジケータとして設けられている。緑色LED52は、UARTプロトコルに従った通信がなされていることを指し示すように設けられている。同様に、青色LED54は、I2Cプロトコルに従った通信がなされていることを指し示すように設けられている。本実施の形態では、LEDが用いられているが、例えば英数字ディスプレイ(Alphanumeric Display)やオーラルインジケータ等を含む他のタイプのインジケータが用いられてもよい。また、駆動回路10および/または導電率センサーの他の状態が、ユーザに伝達されてもよい。
【0022】
駆動回路10の動作について述べる。初期化の際、PWMユニット12は、駆動信号の生成を開始する。しかしながら、このPWMユニット12の出力部12a,12bと、H−ブリッジ14とは、最初は作動しないことが望ましい。PWMユニット12の出力部12a,12bとH−ブリッジ14とは、読み出しのために作動する。H−ブリッジ14は、常時、端子26a,26bに供給された極性を反転させるように機能する。第1の差動アンプ18および第2の差動アンプ24は、交互に、ADC22へサンプリング信号を出力するように作動する。これにより、シャント抵抗器20と、端子26a,26bとから、交互に電流が読み出される。
【0023】
好ましくは、ADC22は、第1の差動アンプ18および第2の差動アンプ24のそれぞれから、16個のサンプリング信号を受信する。これらのサンプリング信号には、ADC22および/またはCPU30によって、ローパスフィルタおよびオーバーサンプリング等の処理が施される。シャント抵抗器20と導電率センサーとの測定値の平均値が算出され、この平均値が、導電率センサーが浸された流体の導電率を決定するために用いられる。この導電率は、ADC22および/またはCPU30において、導電率センサーのKファクターと組み合わされた導電率によって決定される。また、この導電率は、温度補償式であってもよい。最後に、この導電率が外部回路に発信される。
【0024】
図3は、流体導電率センサーの駆動方法の一実施の形態の方法を示す流れ図である。この方法は、いくつかのステップを含むが、これらのステップは、いずれかの適した順序で行われればよい。ステップ301は、パルス幅変調ユニットによって、2つの相反する駆動信号を生成することを含む。ステップ303は、H−ブリッジによって、上記2つの駆動信号を受け取ることを含む。ステップ305は、H−ブリッジによって、上記2つの駆動信号に応じて少なくとも2つのH−ブリッジ出力信号を生成することを含む。ステップ307は、生成された少なくとも2つのH−ブリッジ出力信号のうちの1つの出力信号を、第1の差動アンプによって、受け取ることを含む。ステップ309は、生成された少なくとも2つのH−ブリッジ出力信号のうちの他の出力信号に基づく信号を、第2の差動アンプによって、受け取ることを含む。ステップ311は、第1および第2の差動アンプのそれぞれから得られた第1および第2の電流としての第1および第2の出力信号を、アナログデジタル変換器によって受け取ることを含む。
【0025】
前述の記載から、本発明の実施の形態は、電気化学センサー向けのセンシング回路を含むものであることが理解され得る。また、上述の実施の形態の広い発明思想を逸脱しない範囲で、これらの実施の形態を変形させ得ることは、当業者によって理解されるであろう。したがって、本発明が特に開示された実施の形態に限定されず、特許請求の範囲の請求項によって定義される本発明の要旨および範囲を逸脱しない変形例を包含することが、理解される。
図1
図2
図3