(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記山折り線又は前記谷折り線は、前記本体部の長尺方向の中心線に対して、一つおきに同じ角度で形成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のシート状部材。
前記給水部は複数形成され、各給水部は、前記放出部より狭い所定巾で同じ形状をしており、前記複数の給水部を重ねたときに同じ形状になるように形成されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のシート状部材。
前記給水部を構成する巾方向外側に向けて延出した突起部には、本体部の長尺方向と同様方向に広がった巾広部を有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のシート状部材。
前記山折り線と前記谷折り線によって、前記シート状部材が、以下の(1)〜(5)の領域が形成されていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載のシート状部材。
(1)前記本体部の長尺方向に対して斜め方向に形成されたカット線或いは第1折り線と、カット線或いは第1折り線に対して、所定間隔をおいて、角度を異にする谷折り又は山折りの第2折り線によって区切られて形成された第1領域。
(2)前記第1領域に連続して、前記第2折り線と所定間隔をおいて、前記第2折り線に対して角度を異にする山折り又は谷折りの第3折り線によって区切られて形成された第2領域。
(3)前記第2領域に連続して、前記第3折り線と所定間隔をおいて、前記第3折り線に対して角度を異にする谷折り又は山折りの第4折り線によって区切られて形成された第3領域。
(4)前記第2領域と前記第3領域を順次繰り返す繰り返し領域。
(5)前記本体部の長尺方向の中心線に対して前記第1領域と対称となるように形成された第4領域。
前記拘束部材は、中心に前記給水部の突起部を挿入可能な開口部が形成された所定形状領域を多数長尺方向に形成して構成され、所定形状領域と隣接する所定形状領域との間には折り曲げ線である山折り線と谷折り線が交互に形成され、所定形状領域は開口部を合わせて蛇腹状に形成してなることを特徴とする請求項8又は9に記載の自然蒸発式加湿器。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1で示す技術では、
図23で示すような比較的低い容器であれば、シート状部材(不織布)の吸い上げ限界高さに対して、放出部の高さを充分に取ることが可能で、かつ、
図22で示すシート状部材の展開図の折り目を増し、充分な放出の為の表面積を確保することが可能である。
【0006】
しかし、水を蓄える容器として、
図23で示す容器であれば、放出部の高さを充分に取れるが、ペットボトル等の比較的高さがある容器に使用する場合、給水部を大きく取ると、放出部が大きく取れないだけでなく、特許文献1の構成では、吸い上げ限界高さに制限されて、放出部の高さを充分に取れないことになり、加湿量も少なくなってしまうため、水を蓄える容器が浅いものに利用が限定され、容器のデザインに高さ方向の制限があるという課題があった。
【0007】
換言すると、一般に、給水性のあるシート状部材において、毛細管現象を利用して水を吸い上げようとした場合、水面より上方に行くにしたがって水の上昇速度は遅くなる。実使用範囲としては、水面より200mm(吸い上げ高さ限界)程度に抑えることになる。このため、ペットボトル等の比較的高さのある容器に対しては、吸い上げ高さの限界があるので、シート状部材の放出部の高さを抑えなければならないという制限がある。シート状部材の給水部の高さを大きくすると、給水部に多くの部分を取られるために、放出部の高さが小さくなり、放出時の表面積が不足し、加湿量が少なくなるという課題があった。
【0008】
本発明の目的は、給水部の高さを確保して放出部の高さを抑えつつ、より多くの表面積を確保して加湿量を増加させることが可能なシート状部材及び自然蒸発式加湿器を提供することにある。
また本発明の他の目的は、水を蓄える容器の高さを高くでき、水の容量を増加させて、長期間に渡って加湿することが可能にできるシート状部材及び自然蒸発式加湿器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題は、本発明に係るシート状部材によれば、毛細管現象により水を吸い上げ可能な毛細管構造を有し、自然蒸発式加湿器に用いられるシート状部材であって、前記シート状部材は、所定巾を有する長尺状の本体部を放出部とし、前記本体部の巾方向で所定間隔ごとに巾方向外側に向けて交互に延出した突起部を給水部とし、前記本体部の長尺方向に、所定間隔で交互に形成された折り線を有し、前記折り線は、前記本体部の巾方向の所定範囲に所定長さで折り曲げるための山折り線と谷折り線であり、前記山折り線と前記谷折り線は所定長さで角度が異なって交互に形成されていること、により解決される。
本発明は、本体部の長尺方向に、所定間隔で交互に形成された折り線を有し、前記折り線は、前記本体部の巾方向の所定範囲に所定長さで折り曲げるための山折り線と谷折り線で構成されているので、折り線に沿って本体部を折り曲げることにより、放出部(加湿部)が形成できるが、このとき、山折り線と谷折り線は所定長さで角度が異なって交互に形成されているので、折り曲げると、円環の螺旋状に折り曲げることになる。
【0010】
また、前記山折り線と前記谷折り線の延長方向で外周端部側には切り込み部が形成されていると、好適である。
このように、山折り線と谷折り線の延長方向で外周端部側に切り込み部を形成することにより、折り曲げるときに切り込み部により、外周端部側が広がり、容易に円環の螺旋状に折り曲げることができる。
【0011】
このとき、前記切り込み部は、前記折り線に連続された直線状或いは曲線状の切り込みとなっていると、好適である。
このように、切り込み部が、前記折り線に連続された直線状或いは曲線状の切り込みにすると、折り曲げた時に、重なりができずに、曲線と直線によって、バリエーションに富んだ花びらなどの形状にすることが可能となり、デザイン性に優れたものとなる。
【0012】
また、前記山折り線又は前記谷折り線は、前記本体部の長尺方向の中心線に対して、一つおきに同じ角度で形成されていると、好適である。
このように、一つおきに同じ角度で形成されているので、折り曲げるときに、規則的な折り曲げが可能となり、放出部が一定の規則に基づいた形状として形成することが可能となる。
【0013】
さらに、前記給水部は複数形成され、各給水部は、前記放出部より狭い所定巾で同じ形状をしており、前記複数の給水部を重ねたときに同じ形状になるように形成されていると、好適である。
このように、折り曲げて給水部を重ねるようにできるので、給水部が同じ形状で重ねることができて、放出部を支える給水部に強度を確保できるとともに、折り曲げるときに、給水部を目安として重ねるようにして円環の螺旋状に折り曲げることが容易となる。
【0014】
さらにまた、前記給水部を構成する巾方向外側に向けて延出した突起部には、本体部の長尺方向と同様方向に広がった巾広部を有するように構成すると、好適である。
このように突起部に、本体部の長尺方向と同様方向に広がった巾広部を有するように構成すると、給水部を容器、特に口の小さな容器に入れたときに、容器内部で広がり、容器の口の付け根に引っ掛かり抜け止めとなる。
【0015】
また、より具体的には、シート状部材は、前記山折り線と前記谷折り線によって、前記シート状部材が、以下の(1)〜(5)の領域が形成されているように構成するとよい。
(1)前記本体部の長尺方向に対して斜め方向に形成されたカット線或いは第1折り線と、カット線或いは第1折り線に対して、所定間隔をおいて、角度を異にする谷折り又は山折りの第2折り線によって区切られて形成された第1領域。
(2)前記第1領域に連続して、前記第2折り線と所定間隔をおいて、前記第2折り線に対して角度を異にする山折り又は谷折りの第3折り線によって区切られて形成された第2領域。
(3)前記第2領域に連続して、前記第3折り線と所定間隔をおいて、前記第3折り線に対して角度を異にする谷折り又は山折りの第4折り線によって区切られて形成された第3領域。
(4)前記第2領域と前記第3領域を順次繰り返す繰り返し領域。
(5)前記本体部の長尺方向の中心線に対して前記第1領域と対称となるように形成された第4領域。
このように、本体部を第1領域から第4領域に区切られた各領域とし、各領域を単位として折り曲げることにより、本体部を円環の螺旋状に折り曲げることが、より可能となる。また各領域に、円環の螺旋状に折り曲げることを確保して、領域の大きさを変化させることが可能となり、よりバラエティに富んだ放出部を構成することが可能となる。
【0016】
前記課題は、本発明に係る自然蒸発式加湿器によれば、毛細管現象により水を吸い上げ可能な毛細管構造からなるシート状部材を用いた自然蒸発式加湿器であって、前記請求項1乃至7のいずれか1項に記載のシート状部材を折り線で折り曲げて形成された放出部及び給水部と、前記給水部となる突起部を束ねて拘束部材で係止し、前記放出部が、前記給水部を基準として展開するように構成した、ことにより解決される。
このように、請求項1乃至7のいずれか1項に記載のシート状部材を折り線で折り曲げて形成された放出部及び給水部としているので、請求項1乃至7の作用効果を利用できると共に、円環の螺旋状に折り曲げた放出部を、給水部となる突起部を束ねて拘束部材で係止しているので、給水部が一か所で重なり螺旋状に折り曲げられた放出部を支持する強度を確保できる。同時に円環の螺旋状に折り曲げられた放出部が全体として大きく広がるように構成することができ、加湿を十分に確保することが可能となる。特に、コップの自然蒸発量に比して、自然蒸発量は約10倍の放出量(加湿量)が可能となる。
【0017】
このとき、毛細管現象により水を吸い上げ可能な毛細管構造からなるシート状部材を用いた自然蒸発式加湿器であって、前記請求項1乃至7のいずれか1項に記載のシート状部材を折り線で折り曲げて形成された放出部及び給水部と、前記給水部を束ねて拘束部材で係止すると共に、前記給水部となる突起部に連続して長尺な給水部材を係合させ、前記放出部が、前記給水部を基準として展開するように構成すると、好適である。
このように、給水部となる突起部に連続して長尺な給水部材を係合させているので、より水を蓄える容器がより高さ(水面から深い)がある容器にも、十分取り付けることが可能であり、吸い上げ部と放出部とが別パーツとなり、様々な色の組み合わせが可能となり、バラエティに富んだ加湿のために容器を適用することが可能となる。
【0018】
前記拘束部材は、中心に前記給水部の突起部を挿入可能な開口部が形成された所定形状領域を多数長尺方向に形成して構成され、所定形状領域と隣接する所定形状領域との間には折り曲げ線である山折り線と谷折り線が交互に形成され、所定形状領域は開口部を合わせて蛇腹状に形成すると、好適である。
このように、蛇腹状の拘束部材が放出部の左右ブレを軽減すると共に、この蛇腹状の拘束部材が軽減スプリングのような働きをして、ボトルの口部分の高さが異なる場合でも上下ブレを軽減することができる。これにより、水を入れた状態でボトルを左右にシェイクしても水がこぼれないだけでなく、ボトルが不意に倒れたときもこぼれる量を抑えることが可能となる。
【0019】
また、前記開口部が複数形成された所定形状領域は、開口部が形成された部分の外形の大きさが異なるように構成するとよい。
このように外形を異ならしめることにより、拘束部材の形状が変化し、デザイン性に富んだものとすることができる。
【0020】
また、前記長尺な給水部材には、巾広方向に拡張する抜け止め部が形成されていると好適である。このように抜け止め部が形成されていると、ボトル内部でこの抜け止め部が広がり、ボルトの口部分の付け根に引っ掛かるので、シート状部材が抜け出るのを防止することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、シート状部材の放出部の高さを抑えつつ、より多くの表面積を確保して加湿量を増加させることが可能となった。言い換えると、水を蓄える容器の高さを高くでき、水の容量が増加するため、長期間に渡って加湿することが可能となった。
このため、専用の容器ではないペットボトル等(使用済みの容器)、口元の細い容器に差して使用する加湿器であって、居室、寝室、オフィス、社内等のスペースにて使用可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下に説明する部材、材料、配置などは、本発明の説明のために用いたものであり、本発明の趣旨に反しない限り適宜変更できることは勿論である。
【0024】
図1は、シート状部材Sの実施態様を説明する模式図であり、
図2は、シート状部材Sの実施態様を説明する説明図である。
本発明のシート状部材Sは、自然蒸発式加湿器に用いられるもので、毛細管現象により水を吸い上げ可能な毛細管構造を有した一枚の長尺体から形成されている。
本実施形態では、シート状部材Sは、毛細管構造を有したもので、基本的にポリエステル系の不織布からなるものであるが、不織布に限らず、例えば、紙、織布であってもよいが、後述する折り線によって折り曲げたときに、下端部(後述の給水部Kもしくは放出部(加湿部)Hの給水部Kの近傍)を支持した状態で、自立可能な硬さを有するものである必要があるため、折り曲げることが可能な所定の厚さ、硬さなどを備えている必要がある。
不織布の場合は、例えば、抗菌、抗カビ性能を有するもので構成されているが、例えば、金属微粒子等の無機系、特に光触媒を構成するチタンなどを含むように加工したり、有機系の抗菌・抗カビ剤等が含有された素材により形成されている。
また、シート状部材Sとしては、縦横の細かな格子状の肉厚部と、格子の間となる肉厚部より薄い肉薄部とから構成してもよい。このように構成されると、表面に凹凸のある形状となり、表面積が増加し、蒸発率を高め、水の放出量を多くでき、加湿量を高めることができる。また。肉薄部により体積当たりの蒸発率を高めることができ、かつ、格子状の肉厚部により、シート状部材Sを全体として、薄くしても、表面の凹凸が強度を増加させて、上述のように自立可能な硬さを確保することができる。
さらに、シート状部材Sは、ピンク、ブルー、グリーン、その他の色を一色或いは多色用いたり、内部側の色を薄くして外周側の色を濃くしたグラデーションにしたり、自然の雰囲気を醸し出したり、逆に人工的なデザインとしたり、バリエーションに富んだものとすることができ、このシート状部材Sを用いた自然蒸発式加湿器は、使用者の好みやTPOに合わせたものを提供することが可能である。
本実施形態のシート状部材Sは、放出部Hと、給水部Kと、折り線Oと、から構成されている。
本実施形態の放出部Hは、所定巾を有する長尺状の本体部であり、給水部Kは、放出部Hとしての本体部の巾方向で所定間隔ごとに巾方向外側に向けて交互に延出した突起部である。
【0025】
折り線Oは、本体部Hの長尺方向に、所定間隔で交互に形成されている。この折り線Oは、本体部の巾方向の所定範囲に所定長さで折り曲げるための谷折り線O1と山折り線O2が形成されている。
谷折り線O1と山折り線O2は、本体部の巾の中央から両側へ所定長さで角度が異なって交互に形成されている。ここで、折り線Oは、放出部Hの外周側の側縁(外縁)までは至っておらず、折り線Oの外縁側は切れていない状態となっている。また、折り線Oは、折り曲げ易く形成されており、折り線Oを薄肉で形成したり、一つのスリット状の切れ目にしたり、一つの線(曲線)上に一列に形成された複数のスリットにしたり、ミシン目で形成したり、溝や小孔を連続させたものなど各種の手段で構成することが可能である。
【0026】
そして、谷折り線O1と山折り線O2の延長方向で外周端部側には、切り込み部Cが形成されている。この切り込み部Cは、折り線O(O1,O2)に連続された直線状或いは曲線状の切り込みとなっている。この切り込み部Cがあるために、重なりを防止すると共に、外周部が折り曲げを阻止せずに、容易に折り曲げることが可能となる。また、切込み部Cの形状或いは外周側の形状によって、花の形状など、デザイン的な装飾を施すことが可能となる。
なお、本実施形態では、シート状部材Sの外周端部側に切り込み部Cが形成されているが、シート状部材Sの外周端部側には切り込み部Cを形成しない構成であっても構わない。
【0027】
本実施形態の谷折り線O1又は山折り線O2は、本体部Hの長尺方向の中心線に対して、一つおきに同じ角度で形成されている。本実施形態では、谷折り線O1と谷折り線O1、山折り線O2と山折り線O2は、それぞれ所定間隔を置いて同じ角度で形成され、それぞれ平行四辺形に形成されている。
【0028】
より、具体的には、シート状部材Sの本体部Hが、谷折り線O1と山折り線O2によって区切られた領域として、4種類の領域(第1領域10、第2領域20、第3領域30、第4領域40)で形成されている。つまり、
図1及び
図2で示すように、本体部Hは、次のように形成されている。
【0029】
(1)第1領域10は、本体部の長尺方向に対して斜め方向にカットされた端部線(隣接する領域のある場合には山折り又は谷折りの第1折り線となる)と、この端部線(第1折り線)O2に対して、所定間隔をおいて、角度を異にする谷折り又は山折りの第2折り線O2によって区切られて形成されている。具体的には、第1領域10はカットされた端部線1(第1折り線O2)と第2折り線2,21(谷折り線O1)によって、区切られている。なお、第1領域10には、後述する給水部Kとなる突起部が形成されている。
【0030】
(2)第2領域20は、第1領域10に連続して、第2折り線2,21(O1)と所定間隔をおいて、第2折り線2,21(O1)に対して角度を異にする山折り又は谷折りの第3折り線22,31(O2)によって区切られて形成されている。本実施形態では、第3折り線22,31(O2)は山折り線となっている。
【0031】
(3)第3領域30は、第2領域20に連続して、第3折り線22,31(O2)と所定間隔をおいて、第3折り線22,31(O2)に対して角度を異にする谷折り又は山折りの第4折り線32,21(O1)によって区切られて形成されている。本実施形態では、第4折り線32,21(O1)は谷折り線となっている。
【0032】
本実施形態では、1番目の領域〜5番目の領域まで、1番目が第1領域10、2番目が第2領域20、3番目が第3領域30、4番目が第2領域20、5番目が第3領域30と順に形成され、6番目の領域として第4領域40が形成されている。具体的には、第4領域40は、谷折り線32,41(O1)と所定間隔をおいて、山折り線42(O2)で区切られた領域となっている。この第4領域40は、本体部Hの長尺方向の中心線に対して第1領域10と対称となるように形成されている。つまり給水部Kは、第1領域10と第4領域40では、180°対向して形成されている。
【0033】
そして、第1領域10、第2領域20、第3領域30、第2領域20と第3領域30を順次繰り返す領域、第4領域40の順に区切られ、1番目の領域〜6番目の領域を複数回繰り返しで形成されている。そして、本実施形態では、6つの領域で180°回転させているために、O2で示される折り線(斜めの折り線)は、45°より大きな角度で形成されており、これによって、展開したときの隣接する領域との距離や密度を調整することが可能となる。なお、斜めの折り線は、折り曲げる領域の数を180°で除した角度より大きな角度とするとよい。
また、各領域において、領域を規定するのは、所定間隔をおいて形成された折り線であるため、外周側の形状は同一の領域であっても、全く同一である必要がなく、花びらの形状の変形をもたらすように、変形させて形成してもよい。このため
図1の模式図では同一の直線としているが、
図2以降の実施形態では、外周側の形状が異なる部分が存在するのは勿論である。
【0034】
本実施形態では、第1領域10と第4領域40に、給水部Kである突起部がそれぞれ一つ形成されており、第1領域10と第4領域40に合わせて複数形成されている。本実施形態の各給水部Kは、放出部Hより狭い所定巾で同じ形状をしている。そして、複数の給水部Kを重ねたときに同じ形状になるように形成されている。
【0035】
具体的には、
図1及び
図2で示すように、給水部Kは、第1領域10、第4領域40において、突起部として形成されており、本体部Hの巾方向で、第1領域10と第4領域40では、巾方向外側(
図1及び
図2で示すように互いに反対側)に向けて交互に延出した突起部として形成されている。この給水部Kは、放出部Hと連続して形成された支柱部3と、この支柱部3と連続した係止部4が形成され、この係止部4と支柱部3との境の部分には、本体部である放出部Hの長尺方向と同様方向に広がった巾広部5が形成されている。この巾広部5と放出部Hとの間に、後述する拘束部材であるリング部材50を配置するように構成される。
【0036】
次に、上記構成からなる毛細管現象により水を吸い上げ可能な毛細管構造からなるシート状部材Sを用いた自然蒸発式加湿器100について説明する。
先ず、
図2で示すシート状部材Sは、第1領域10、第2領域20、第3領域30、第2領域20と第3領域30を順次繰り返す領域、第4領域40の順に区切られ、1番目の領域〜6番目の領域を複数回繰り返しで形成されているが、それぞれの領域を区切って形成されている折り線に沿って折り曲げて形成する。この折り曲げ方を
図3−1及び
図3−2に基づいて説明する。
【0037】
図3−1及び
図3−2の(a)〜(j)は、折り方の手順を示す説明図である。なお、ここでは、それぞれ説明の便宜上、シート状部材Sを部分的に表している。
(a)は折り曲げる前のシート状部材Sの状態を示すもので、この状態から、谷折り線2,21(O1)に沿って第1領域を折り曲げる(b)。次に、山折り線22,31(O2)に沿って第2領域20を折り曲げる(c)。次に谷折り線32,21(O1)に沿って第3領域30を折り曲げる(d)。以後、前述の領域を、山折り線に沿って折り曲げ(e)、谷折り線に沿って折り曲げ(f)、山折り線に沿って折り曲げ(g)、谷折り線に沿って折り曲げ(h)、山折り線に沿って折り曲げ(i)、谷折り線に沿って折り曲げる(j)。このようにして、(j)の折り曲げにおいて、第1領域10の給水部Kが反対側の第4領域40の給水部Kと重なるように、折り曲げる。これにより、複数の領域を折り曲げながら180°回転させるようにして、円環の螺旋状になるように折り曲げる。そして、この折り曲げを複数回繰り返すことによって、
図7の(A)で示すように、シート状部材Sは、給水部Kが複数重なりあって、放出部Hが広がるように形成される。
なお、上記のように折り曲げた場合においても、放出部Hの折り線では、折り線を挟むように隣接する領域の面が折り線によって180°折れて互いに当接するような状態とはならず、緩やかに折られた状態で、隣接する領域が離間して展開するように折り曲げるものである。そして、折り線Oに連続された直線状或いは曲線状の切り込みとなっているために、折り線で折り曲げるときは、シート状部材Sが自立できる厚さ或いは硬さを有していても、容易に折り曲げ、畳むことが可能となっている。
【0038】
本実施形態の自然蒸発式加湿器100は、上記のように構成されたシート状部材Sを折り線で折り曲げて、放出部H及び給水部Kが形成されている。一つ置きに平行な折り線Oを交互に折りたたむことにより、連続する概略三角形状の領域を重ねながら、複数の円環を形成するように形状を変更し、水分を放出するための表面積を横長手方向に確保している。このように、1枚のシート状部材Sを蛇腹状に折り畳んで、表面積を大きくし、加湿量を確保している。
【0039】
つまり、交互に設置された2種の並行する折れ線を交互に折ることで円環の螺旋状となり、この円環の蛇腹が形成された領域のうち所定箇所に給水部(突起部)Kを形成して、給水部Kを束ねると、扇状に広がることになり、表面積を大きくし、加湿量を確保することができる。
そして、給水部Kとなる突起部を束ねて拘束部材であるリング部材50で係止し、放出部Hが、給水部Kを基準(中心)として展開するように構成している。
このとき切込み部Cの形状或いは外周側の形状を種々変更することによって、ブーケ状などの花の形状、葉の形状など植物の形状にしたり、幾何学的な形状にしたり、キャラクタの形状にしたり、デザイン的に種々の装飾を施すことが可能となる。
【0040】
図4は、拘束部材の一例であるリング部材50を示すものである。
本実施形態のリング部材50は、給水部Kを拘束する役割を担うと共にこぼれ止め部を構成するものであり、中心に給水部Kの突起部を挿入可能な開口部51が複数形成されており、この開口部51が形成された部分である所定形状領域としての円形領域52,52・・・を多数長尺方向に形成して構成されている。
そして、円形領域52と隣接する円形領域52との間には折り曲げ線53,54(山折り線と谷折り線、谷折り線と山折り線)が交互に形成されている。円形領域52は開口部51を重ね合わせて、
図4で示すように、互いに交互に山折りと谷折りに折られて蛇腹状に形成されている。
【0041】
本実施形態では、開口部51が複数形成された円形領域52は、開口部51は略同じ大きさであるが、所定領域としての円形領域52の外形は大きさが異なる。本実施形態では一方の端部が大きく、他方の端部が小さく、順に大きさを変えて構成されている。
【0042】
また本実施形態のように、
図4で示すように、円形領域52は下に行くほど外径が小さくなることで一部を、水を蓄える容器としてボトル口に入り込ませることが可能となり、恰も軽減スプリングのような役割をして、放出部Hの左右ブレと、ボトルの口部分の高さが異なる場合には上下ブレを軽減することができる。また水を入れた状態でボトルを左右にシェイクしても水がこぼれないようにすることができるだけでなく、ボトルが不意に倒れたときもこぼれる量を抑えることができる。
【0043】
なお、本実施形態では所定形状領域を円形領域としているが、矩形領域、半円状領域、星形領域など、領域を構成する外形については、デザイン性を考慮して、種々選択することが可能である。特にボトル口に入り込ませるために、ボトル口側のみを円形領域にして、その上部側を円形領域以外の形状に構成すると、水漏れを防止しつつ、デザインの自由度を高めることが可能となる。
【0044】
本実施形態では、放出部Hと給水部Kが一体として形成されているが、別体の給水部材60を用いることが可能である。例えば、上記実施形態では、加湿部である放出部Hと突起部の給水部Kが一体となっているが、高さのある容器(深さのある容器)の場合には、上記実施形態では、水面より下に給水部Kを配置することが困難な場合がある。このような場合に、別体となる給水部材60を前述した給水部Kに係合させて、高さのある容器の底側に配置することで、水を吸い上げることが可能となる。
【0045】
このように、給水部Kを束ねてリング部材50で係止すると共に、給水部Kとなる突起部に連続して、別体で形成された長尺な給水部材60を係合させ、放出部Hが、給水部Kを基準として展開するように構成している。そして、容器内の水が給水部Kで吸い上げられ放出部Hより水を自然蒸発させる。これにより、長時間、放出部から水分を放出して加湿することが可能となる。
【0046】
図5−1は、別体の給水部材60の展開図であり、
図5−2は、折り曲げられた給水部材60を示すものである。
給水部材60は、所定巾の長尺な支柱部61(下側部61aと上側部61b)と、略真ん中で巾方向に形成された谷折り線66と、谷折り線66の間に形成された開口部63と、下側部61aと上側部61bで所定巾の長尺な支柱部61の外方に向けて形成された巾広部(膨出部)62と、長尺な支柱部61の上側部61bの部分に形成された谷折り部64aと山折り部65aと、それぞれ谷折り部64aと山折り部65aに連続して形成された切欠き線64,65とから構成されている。そして、給水部材60は、谷折り線66で支柱61を折り曲げて、次に谷折り部64aと山折り部65aで折り曲げて形成されている。これにより、
図5−2で示すような給水部材60が形成されている。
【0047】
図6は、
図5−1で示す給水部材60の折り曲げ手順を示すものである。
先ず、給水部材60は、(a)で示す状態から、真ん中の折り線66によって二つに折り曲げられる(b)。次に、谷折り部64aと山折り部65aに沿って、巾広部(膨出部)62,62を交互に折り曲げる(c)。このようにして、
図5−2で示すような給水部材60を形成する。
【0048】
このような長尺な給水部材60には、巾広方向に拡張する巾広部(抜け止め部)62が形成されているため、給水部材60を折り畳んだ状態でボトル内部に挿入すると、ボトル内部で巾広部(抜け止め部)62が広がり、ボトル口の付け根に引っかかることで自然に抜けるのを防止している。
【0049】
図7は、自然蒸発式加湿器100が、シート状部材Sで形成された放出部H及び給水部Kと、別体の給水部材60と、リング部材50により構成されていることを示す説明図である。具体的には、
図7(A)は分解した状態を示す説明図、
図7(B)は組み立てた状態を示す説明図である。
図7に示すように、シート状部材Sで形成された放出部H及び給水部Kは、リング部材50を取付けて、さらにリング部材50と給水部Kとの間に別体の給水部材60を配置して形成されているものである。
【0050】
図8は、
図7で示すようにして構成された自然蒸発式加湿器100を、高さの大きい容器であるペットボトル(破線で示す)などに配置し、容器内の水に自然蒸発式加湿器100の給水部Kを浸した例を示すものである。
これにより毛細管現象で給水部Kから、吸い上げられた水が、放出部Hに行き渡り、放出部Hから水分が気化することにより、加湿することができる。特に、コップの自然蒸発量に比して、自然蒸発量は約10倍の放出量(加湿量)が可能となる。
このように水面から深い(背の高い)容器であっても、別体の給水部材60によって、水分は上昇することができるので給水部Kへの水の供給が確保できる。また、シート状部材Sで形成された放出部H及び給水部Kのうち、放出部Hの高さに制限があっても、シート状部材Sが前述のように折り曲げられて形成されているので、表面積を大きく形成できるので、水の放出量を確保できる。
同時に、口が小さい容器であっても、リング部材50の下側が容器内部に入り込み、容器に入っている水が、こぼれるのを防止する。
【0051】
図9は、自然蒸発式加湿器100を、高さが中ぐらいの容器に取り付けた状態を示すものである。
給水部材60はシート状部材Sと同様な材質(毛細管現象により水を吸い上げ可能な毛細管構造を有する材料)で形成されているので、給水部材60の下側部61aを折り曲げて、配置することができるので、容器としては、高さが大きいものから小さいものまで対応することが可能である。
【0052】
図10及び
図11は他の実施形態を示すものであり、
図10はシート状部材の説明図、
図11は
図10のシート状部材を折り曲げた状態を示す説明図である。
なお、本実施形態において、前記実施形態と同様或いは同一構成には、同一符号を付してその説明を省略する。なお
図11ではリング部材50は省略している。
【0053】
図2で示す前記実施形態と、
図10で示す本実施形態との相違について説明する。前記実施形態では、給水部Kが、放出部Hと連続して形成された支柱部3と、この支柱部3と連続した係止部4とにより形成され、この係止部4と支柱部3との境の部分には、本体部である放出部Hの長尺方向と同様方向に広がった巾広部5が形成されている。一方、本実施形態では、給水部Kの支柱3が、係止部4から更に延長された延長部3aを有して形成されている。なお、折り線O、折り方等を含めて、他の構成は前記実施形態と同様である。
【0054】
このように形成されると、
図11で示すように、給水部Kに延長部3aが形成されているために、前記実施形態のように、別体の給水部材60を用いなくても、高さの大きい容器にも対応することが可能となる。
【0055】
また、
図12及び
図13は、さらに他の実施形態を示すものである。具体的には、
図12は、拘束部材の他の形態であるカバー部材70を示すものであり、
図13は、自然蒸発式加湿器100が、シート状部材Sで形成された放出部H及び給水部Kと、別体の給水部材60と、カバー部材70により構成されていることを示す説明図である。
【0056】
図12に示すように、本実施形態のカバー部材70は、リング部材50と同様、給水部Kを拘束する役割を担うと共に、こぼれ止め部を構成するものであり、略中心に給水部Kの突起部を挿入可能な開口部71が形成されており、この開口部71を三方から取り囲むように形成された3つの片72a,72b,72cを連結した本体部72により構成されている。
片72aと隣接する他の片72b,72cとの間には折り曲げ線73(山折り線又は谷折り線)が形成されている。カバー部材70は、本体部72をその折り曲げ線73に沿って、片72a,72b,72cが互いに重なるように折り曲げることによって形成される。
また、片72bと片72cとが重複する箇所には、本体部72を折り曲げた状態の形状を保持するための固定手段が形成されている。具体的には、片72bにはその外周端の一部に突出した差込部74が形成され、片72cには折り曲げ線73に沿って折り曲げたときに片72bの差込部74に対応する位置にスリット75が形成されている。これにより、本体部72を折り曲げ線73に沿って折り曲げたときに、差込部74をスリット75に挿入することにより片72bと片72cとが固定され、カバー部材70の形状が保持される。
【0057】
なお、本実施形態では、本体部72は3つの片から構成されているが、これに限定されるものではない。また、形状も、機能及びデザイン性を考慮して、種々選択することが可能である。
例えば、
図13に示すように、自然蒸発式加湿器100が一輪の花の形状をイメージしたものである場合、カバー部材70は萼を模した形状とすることができる。このとき、放出部Hが花冠の形状を示し、カバー部材70が萼の形状を示し、給水部材60の支柱部61が茎の形状を示し、給水部材60の巾広部62が葉の形状を示すので、自然蒸発式加湿器100全体としての視覚性、デザイン性が向上する。
【0058】
また、前記実施形態と同様、水を蓄える容器としてボトル口に入り込ませことにより、ボトル口にて放出部(加湿部)Hを支持する役割を担うので、放出部(加湿部)Hの左右ブレと、ボトルの口部分の高さが異なる場合には上下ブレを軽減することができる。また、カバー部材70は、恰もボトルの蓋のような役割もするので、水を入れた状態でボトルを左右にシェイクしても水がこぼれないようにすることができるだけでなく、ボトルが不意に倒れたときもこぼれる量を抑えることができる。
【0059】
図14乃至
図21は、本発明に係る自然蒸発式加湿器100のバリエーションを示す斜視図である。
図14乃至
図21で示す自然蒸発式加湿器100は、各種の容器に対応することができるものである。
以上のように、本発明のシート状部材及び自然蒸発式加湿器は、ペットボトルなどの空き容器を再利用することができ、電源などが不要で、環境にやさしくエコに特化した加湿器となり、折り畳んで、図示しないチャック袋に入れておけば、折り畳んだシート状部材(自然蒸発式加湿器)が湿った状態であっても、持ち運びが可能である。また、アートカッティングデザインなどでシート状部材をデザインすると、より使用場所に適した飾りとして役割を奏することができる。
【0060】
本発明の自然蒸発式加湿器は、水の放出量が多く、長時間放出できるので、打ち水のような潤いのリラクゼーションを長時間確保でき、のど、肌、ドライアイなどに自然(ナチュラル)な潤いを演出することができる。また本発明の自然蒸発式加湿器は、ペットボトルや空き瓶などの空き容器に入れて、オフィス・自宅・移動中・旅行中など場所を選ばすに使用することが可能である。特に本発明の自然蒸発式加湿器は、ドリンクホルダーなどを容器として使用することが可能であるので、車などの移動手段の中での加湿としても最適である。