特許第6313048号(P6313048)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6313048計測ユニットおよびそれを備えた流量計測装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6313048
(24)【登録日】2018年3月30日
(45)【発行日】2018年4月18日
(54)【発明の名称】計測ユニットおよびそれを備えた流量計測装置
(51)【国際特許分類】
   G01F 1/66 20060101AFI20180409BHJP
【FI】
   G01F1/66 101
【請求項の数】7
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2014-2177(P2014-2177)
(22)【出願日】2014年1月9日
(65)【公開番号】特開2015-129723(P2015-129723A)
(43)【公開日】2015年7月16日
【審査請求日】2016年12月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005821
【氏名又は名称】パナソニック株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000116633
【氏名又は名称】愛知時計電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】特許業務法人 有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 真人
(72)【発明者】
【氏名】中林 裕治
(72)【発明者】
【氏名】足立 明久
(72)【発明者】
【氏名】永原 英知
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 葵
(72)【発明者】
【氏名】服部 浩
(72)【発明者】
【氏名】高鍬 光臣
【審査官】 岡田 卓弥
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−253791(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第2594907(EP,A1)
【文献】 特開2012−103087(JP,A)
【文献】 特開2010−117199(JP,A)
【文献】 特開2006−53067(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01F 1/00− 9/02
G01F15/00−15/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状の計測流路部を流れる流体の流量を計測する流量計測装置に用いられる計測ユニットであって、
互いに超音波を送受信する一対の超音波送受波器と、
前記超音波送受波器に電気的に接続されている基板と、
前記基板を支持する基板保持部、一対の前記超音波送受波器を互いに相対位置が固定されるように支持するセンサ保持部、および、前記計測流路部を係止するための係止部、を有する保持部材と、を備え
前記計測流路部は、流入管部、中間流路部および流出管部から形成された流体流路の管路である流体流路部の前記中間流路部に収納され、かつ、内部が前記流体流路部と連通しており、
一対の前記超音波送受波器は、前記流体流路部の外壁と前記計測流路部の外壁との間に配置されている、計測ユニット。
【請求項2】
前記保持部材は、前記計測流路部の第1側板に沿った第1側部、前記計測流路部の第2側板に沿った第2側部、および、前記第1側部および前記第2側部の少なくともいずれか一方の側部から外方へ突き出した一対の設置部を有しており、
前記側部と前記設置部との間に前記超音波送受波器が配されている、請求項に記載の計測ユニット。
【請求項3】
前記保持部材は、前記計測流路部の天板に沿い、かつ、前記第1側部および前記第2側部に対して垂直な天部を有しており、
前記天部に前記基板が固定されている、請求項に記載の計測ユニット。
【請求項4】
前記天部と前記設置部との間が開口している、請求項に記載の計測ユニット。
【請求項5】
一対の前記超音波送受波器が互いに前記計測流路部を挟んで対向して配置されている、請求項1〜のいずれか一項に記載の計測ユニット。
【請求項6】
前記保持部材に固定されている反射部をさらに備え、
一対の前記超音波送受波器が前記反射部との間に前記計測流路部を挟んで配置されている、請求項1〜のいずれか一項に記載の計測ユニット。
【請求項7】
請求項1〜のいずれかの計測ユニットと、
前記計測流路部と、を備えている、流量計測装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、計測ユニットおよびそれを備えた流量計測装置に関し、特に、流体流路部に収納され、かつ、内部が流体流路部と連通する筒状の計測流路部において、流体流路部を流れる流体の流量を計測する流量計測装置、およびそれに用いられる計測ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の流量計測装置として、流体流路部に収納されている計測流路部を用いた流量計測装置が知られている。たとえば、特許文献1に示す流量計測装置では、ゴムバンドを巻き付けた計測流路部をガス流路部に収容し、計測流路部の側面に2つの流速センサを配置している。このゴムバンドによりガス流路部の内面と計測流路部の外面との間の隙間を塞ぎ、ガス流路部のガスを計測流路部に導いて、計測流路部を流れるガスの流量を流速センサで計測している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−283565号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のような従来の流量計測装置では、流速センサが流量を計測する電気回路と離れて配置されているため、流速センサと電気回路とを接続するリード線の長さ寸法が大きくなる。この結果、リード線に外部ノイズが侵入する可能性が高まり、ノイズによる計測精度の低下を招いてしまう。
【0005】
また、2つの超音波送受波器のそれぞれを配置すると、この相対位置の誤差により流量計測装置の測定精度が低下してしまう。
【0006】
本発明はこのような課題を解決するためになされたものであり、計測精度の向上を図った計測ユニットおよびそれを備えた流量計測装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のある態様に係る計測ユニットは、筒状の計測流路部を流れる流体の流量を計測する流量計測装置に用いられる計測ユニットであって、互いに超音波を送受信する一対の超音波送受波器と、前記超音波送受波器に電気的に接続されている基板と、前記基板を支持する基板保持部、一対の前記超音波送受波器を互いに相対位置が固定されるように支持するセンサ保持部、および、前記計測流路部を係止するための係止部、を有する保持部材と、を備えている。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、以上に説明した構成を有し、計測精度の向上を図った計測ユニットおよびそれを備えた流量計測装置を提供することができるという効果を奏する。
【0009】
本発明の上記目的、他の目的、特徴、及び利点は、添付図面参照の下、以下の好適な実施態様の詳細な説明から明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施の形態1に係る流量計測装置を備えたガスメータを示す図である。
図2図1の流量計測装置および中間流路部を示す分解斜視図である。
図3図2の流量計測装置を中間流路部に収納した状態を示す斜視図である。
図4】本発明の実施の形態2に係る流量計測装置を中間流路部に収納した状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
第1の本発明に係る計測ユニットは、筒状の計測流路部を流れる流体の流量を計測する流量計測装置に用いられる計測ユニットであって、互いに超音波を送受信する一対の超音波送受波器と、前記超音波送受波器に電気的に接続されている基板と、前記基板を支持する基板保持部、一対の前記超音波送受波器を互いに相対位置が固定されるように支持するセンサ保持部、および、前記計測流路部を係止するための係止部、を有する保持部材と、を備えている
第2の本発明に係る計測ユニットは、第1の発明において、前記基板に搭載された計測回路をさらに備え、前記計測回路は、一対の前記超音波送受波器の間を前記超音波が伝搬する時間を計測する伝搬時間計測部と、前記伝搬時間計測部により計測された時間に基づいて前記流体の流量を算出する演算部と、を有していてもよい。
【0012】
第3の本発明に係る計測ユニットでは、第1または第2の発明において、前記計測流路部は、流体流路部に収納され、かつ、内部が前記流体流路部と連通しており、一対の前記超音波送受波器は、前記流体流路部の外壁と前記計測流路部の外壁との間に配置されていてもよい。
【0013】
第4の本発明に係る計測ユニットでは、第1〜第3のいずれか1つの発明において、前記保持部材は、前記計測流路部の第1側板に沿った第1側部、前記計測流路部の第2側板に沿った第2側部、および、前記第1側部および前記第2側部の少なくともいずれか一方の側部から外方へ突き出した一対の設置部を有しており、前記側部と前記設置部との間に前記超音波送受波器が配されていてもよい。
【0014】
第5の本発明に係る計測ユニットでは、第4の発明において、前記保持部材は、前記計測流路部の天板に沿い、かつ、前記第1側部および前記第2側部に対して垂直な天部を有しており、前記天部に前記基板が固定されていてもよい。
【0015】
第6の本発明に係る計測ユニットでは、第5の発明において、前記天部と前記設置部との間が開口していてもよい。
【0016】
第7の本発明に係る計測ユニットでは、第1〜第6のいずれか1つの発明において、一対の前記超音波送受波器が互いに前記計測流路部を挟んで対向して配置されていてもよい。
【0017】
第8の本発明に係る計測ユニットは、第1〜第6のいずれか1つの発明において、前記保持部材に固定されている反射部をさらに備え、一対の前記超音波送受波器が前記反射部との間に前記計測流路部を挟んで配置されていてもよい。
【0018】
第9の本発明に係る流量計測装置は、第1〜第8のいずれか1つの発明の計測ユニットと、前記計測流路部と、を備えている。
【0019】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら具体的に説明する。なお、以下では全ての図面を通じて同一又は相当する要素には同一の参照符号を付して、その重複する説明を省略する。
【0020】
(実施の形態1)
(ガスメータの構成)
図1は、実施の形態1に係る流量計測装置10を備えたガスメータ12を概略的に示す図である。なお、以下、流体の一例としてガスについて説明するが、空気などの他の気体や、水などの液体を流体として用いることができる。ガス以外の流体の流量を計測する流量計測装置は、ガスの流量を計測する流量計測装置10と同様であるため、その説明を省略する。
【0021】
ガスメータ12は、図1に示すように、略直方体形状であって、その正面には、たとえば、表示部14が設けられている。ガスメータ12は内部空間を有し、内部空間に制御回路16および流体流路部18が設けられている。制御回路16は、たとえば、計測されたガスの流量の情報を無線通信により送信するための無線通信用の集積回路(図示せず)、各部品を制御する集積回路(図示せず)、および、情報を記憶するメモリ(図示せず)を含んでいる。流体流路部18は、流体流路を形成する管路であって、流入管部20、中間流路部22および流出管部24を有している。なお、ガスは、流入管部20から中間流路部22を通り流出管部24へ流れるため、このガスの流れに沿って相対的に上流側および下流側と称する。
【0022】
流入管部20は柱形状の内部空間(流入路)を含み、流出管部24は柱形状の内部空間(流出路)を含んでいる。流入管部20の流入路および流出管部24の流出路は、ガスメータ12の本体の内部空間において互いに平行に延びている。流入管部20の上流側端および流出管部24の下流側端は、筒形状であって、本体から上方に突出している。流入管部20は、その上流側端が、ガス供給元に繋がるガス配管(図示せず)に接続され、下流側端が中間流路部22の流入口に接続されている。流出管部24は、その下流側端が、ガス消費者に繋がるガス配管(図示せず)に接続され、上流側端が中間流路部22の流出口に接続されている。この流入管部20の下流側端と中間流路部22との間の隙間、および、流出管部24の上流側端と中間流路部22との間の隙間は充填材58により塞がれている。
【0023】
中間流路部22は、たとえば、アルミなどの金属で形成されている。中間流路部22は、天面が開口した容器状であって、内部空間(中間流路)を有している。この開口のうち中間流路部22の上流壁22aなどにより囲まれた領域(流入口)は流入管部20の下流側端の開口と対向している。また、開口のうち中間流路部22の下流壁22bなどにより囲まれた領域(流出口)は流出管部24の上流側端の開口と対向している。これにより、中間流路部22の中間流路、流入管部20の流入路、および流出管部24の流出路は、互いに通じて流体流路を構成している。中間流路部22の中間流路(流体流路)に流量計測装置10の計測流路部26が収納されている。
【0024】
計測流路部26は、両端が開口した中空部材であって、その内部空間が計測流路として用いられる。計測流路部26は、本実施の形態では断面が長方形状の筒状部材で構成されている。計測流路部26の長さ寸法は中間流路部22の長さ寸法より小さい。このため、計測流路部26の上流端と中間流路部22の上流壁22aとの間、および、計測流路部26の下流端と中間流路部22の下流壁22bとの間に隙間がそれぞれ設けられている。この隙間を介して計測流路部26の計測流路は中間流路部22の流体流路と連通している。
【0025】
計測流路部26の内部には、複数(この実施の形態では、5枚)の整流板28が配置されている。整流板28は、計測流路部26の天板26aおよび底板26bに対してそれぞれ平行に、計測流路部26の軸に沿って延びている。この整流板28によって計測流路部26の計測流路は平行に仕切られている。
【0026】
計測流路部26の天板26aの外面には、2つの第1リブ30a、30bが、計測流路部26の軸に沿った計測流路のガスの通流方向(以下、「左右方向」)に間隔を開けて設けられている。また、計測流路部26の底板26bの外面には、2つの第2リブ32a、32bが左右方向に間隔を開けて設けられている。2つの第1リブ30a、30bのうち上流側にある第1リブ(上流側第1リブ)30aと、2つの第2リブ32a、32bのうち上流側にある第2リブ(上流側第2リブ)32aとの間にも、左右方向に間隙が設けられている。また、下流側にある第1リブ(下流側第1リブ)30bと下流側にある第2リブ(下流側第2リブ)32bとの間にも、左右方向に間隙が設けられている。これらの間隙に環状のシーリング材34a、34bが配置されている。
【0027】
一対のシーリング材34a、34bは、左右方向に間隔を開けて計測流路部26に取り付けられている。計測流路部26の上流端側のシーリング材(上流側シーリング材)34a、は、上流側第1リブ30aと上流側第2リブ32aとの間の間隙に配されている。計測流路部26の下流端側のシーリング材(下流側シーリング材)34bは、下流側第1リブ30bと下流側第2リブ32bとの間の間隙に配されている。
【0028】
シーリング材34a、34bは、計測流路部26の軸に対して垂直な方向に計測流路部26の周囲に巻き付けられ、計測流路部26の外周部分を周回して設けられている。シーリング材34a、34bの厚み寸法は、流体流路部18の内面と計測流路部26の外面との間の隙間寸法以上に設定されている。この隙間としては、たとえば、計測流路部26の天板26aとこれに対向する流入管部20の下流側端との間の隙間、計測流路部26の天板26aとこれに対向する流出管部24の上流側端との間の隙間、および、中間流路部22の底部22eと計測流路部26の底板26bとの間の隙間が挙げられる。
【0029】
このシーリング材34a、34bによって、流体流路部18の内面と計測流路部26の外面との間の隙間が塞がれ、ガスの通流を遮断している。このため、流体流路部18の流体流路と計測流路部26の計測流路とは気密性を保持した状態で連結され、流体流路を流れるガスは計測流路を通る。すなわち、流入管部20を通じて流れてきたガスは、計測流路部26の外方を通って流出管部24へ向かうことなく、全て計測流路部26内を通って流出管部24へ流れ出る。
【0030】
保持部材70、および、これに取り付けられた基板36は、一対のシーリング材34a、34bの間において計測流路部26の天板26aの外面上に配されている。一対のシーリング材34a、34bの間では、天板26aが中間流路部22の開口から露出しており、ここに保持部材70および基板36が配されている。この露出範囲ではシーリング材34a、34bによって流体流路部18と計測流路部26との隙間が塞がれている。よって、流体流路部18の流体流路のガスが、天板26aの外面上においてシーリング材34aを超えて基板36上を流れることはない。
【0031】
(流量計測装置の構成)
図2は、流量計測装置10および中間流路部22を示す分解斜視図である。この図2を参照して、流量計測装置10の構成について更に詳細に説明する。図2に示すように、流量計測装置10は、計測流路部26、計測ユニット35およびシーリング材34a、34bを備えている。計測ユニット35は、保持部材70、基板36および一対の超音波送受波器38を含んでいる。
【0032】
計測流路部26は筒状の外壁を有し、この外壁は天板26a、天板26aに対向する底板26b、ならびに、これらに垂直な第1側板26cおよび第2側板26dにより構成されている。天板26aに設けられた一対の第1リブ30a、30bおよび底板26bに設けられた一対の第2リブ32a、32bは、前後方向にそれぞれ平行に延びている。また、天板26aに凸部31が設けられている。凸部31は、下流側第1リブ30bに対して垂直に延び、その下流端は下流側第1リブ30bの中央に接続している。なお、前後方向は、左右方向および側板26c、26dに対して垂直な方向である。
【0033】
上流側第1リブ30aと上流側第2リブ32aとの間の間隙において、計測流路部26の各側板26c、26dに上下方向に延びる溝(上流側溝)40aが設けられている。また、下流側第1リブ30bと下流側第2リブ32bとの間の間隙においても、計測流路部26の各側板26c、26dに上下方向に延びる溝(下流側溝)40bが設けられている。これらの溝40a、40bの幅寸法はシーリング材34a、34bの幅寸法と等しく設定されている。なお、上下方向は、左右方向および前後方向に対して垂直な方向である。
【0034】
シーリング材34a、34bは、たとえば、弾性を有する環状部材であり、オーリングなどが用いられる。なお、シーリング材34a、34bは、流体流路部18の外壁と計測流路部26の外壁との間を充填するものであればよく、オーリングに限らない。たとえば、シーリング材34a、34bとして、オーリング以外の定形シーリング材、および、ペースト状の不定形シーリング材などを用いることもできる。
【0035】
計測流路部26の各側板26c、26dに開口部42a、42bが設けられている。一方の開口部(上流側開口部)42aは上流側溝40aより下流側に配され、かつ、下流側溝40bよりも上流側溝40aの近くに位置している。一点破線で示す他方の開口部(下流側開口部)42bは下流側溝40bより上流側に配され、かつ、上流側溝40aよりも下流側溝40bの近くに位置している。開口部42a、42bは、側板26c、26dを貫通しており、超音波透過膜44で覆われている。この超音波透過膜44は、超音波を透過させ、ガスの通過を抑制する膜であって、たとえば、メッシュなどが用いられる。ただし、開口部42a、42bは超音波透過膜44で覆われていなくてもよい。
【0036】
保持部材70は、基板36および超音波送受波器38を計測流路部26に取り付ける部材であり、取り付け部72および一対の設置部74a、74bを有している。取り付け部72は、計測流路部26を係止するための係止部であって、たとえば、第1側部72a、第2側部72b、および、側部72a、72bの間に配置されている天部72cを有している。天部72cおよび側部72a、72bのそれぞれは四角形状の平板であって、側部72a、72bは天部72cの各側端から天部72cに対して垂直に延びている。この天部72cおよび側部72a、72bにより、取り付け部72は、断面が四角形の直方体形状の内部空間を有し、かつ、底面および左右方向の両端が開口した形状に形成されている。
【0037】
天部72cは基板36を支持する基板保持部であって、天部72cの外面に突起46が設けられている。突起46は、保持部材70に対する基板36の位置決め部として用いられる。この実施の形態では、3つの円柱状の突起46が、天部72cから突き出ており、一対の第1リブ30a、30bの間に配置されている。
【0038】
天部72cの長さ寸法は一対の第1リブ30a、30b間の間隔寸法と等しく設定されている。天部72cの一端(下流端)に切欠き73が設けられており、切欠き73は、天部72cの下流端から下流端に垂直に延びている。切欠き73は、計測流路部26の凸部31が嵌る寸法に設定されている。第1側部72aと第2側部72bとの内面間の間隔寸法は、計測流路部26の側板26c、26dの外面間の間隔寸法とほぼ等しく設定されている。
【0039】
側部72a、72bの左右方向の寸法は、天部72cの左右方向の寸法と等しいまたはそれより小さく設定されている。側部72a、72bの上下方向の寸法は計測流路部26の上下方向の寸法と等しいまたはそれより小さく設定されている。各側部72a、72bに孔(出入り口)78a、78bが開口している。一方の出入り口(上流側出入り口)78aは天部72cの他端(上流端)の近傍に配され、他方の出入り口(下流側出入り口)78bは天部72cの下流端の近傍に配置されている。
【0040】
設置部74a、74bは、一対の超音波送受波器38を互いに相対位置が固定されるように支持するセンサ保持部である。設置部74a、74bは、側部72a、72bの出入り口78a、78bを囲むように設けられており、たとえば、設置面部75および接続部76を有している。一方の設置部(上流側設置部)74aの設置面部75は天部72cの上流端側に配され、他方の設置部(下流側設置部)74bの設置面部75は天部72cの下流端側に配されている。
【0041】
これらの上流側設置部74aの設置面部75および下流側設置部74bの設置面部75は互いに平行に対向している。設置面部75の一端および接続部76の一端はそれぞれ側部72a、72bに接合され、設置面部75の他端および接続部76の他端どうしが接合されている。これにより、設置部74a、74bは、側部72a、72bからV字状に突き出しており、側部72a、72bとの間に三角柱状の内部空間(設置空間)を形成している。
【0042】
また、設置部74a、74bと天部72cとの間(設置部74a、74bの上部)が開口しており、設置面部75、接続部76および天部72cとに囲まれた天面側開口80が形成されている。設置空間は、天面側開口80から外部に通じ、出入り口78a、78bから取り付け部72の内部空間に通じている。接続部76の設置面部75の近傍、および、側部72a、72bの設置面部75の近傍にそれぞれ溝(設置溝)77が設けられている。この一対の設置溝77の間の寸法は、超音波送受波器38の放射面に平行な幅寸法に等しく、設置溝77の形状は超音波送受波器38の端面形状に沿って形成されている。
【0043】
基板36は、薄い板状体であって、四角形状を有している。基板36の前後方向の寸法は保持部材70の天部72cの前後方向の寸法とほぼ同じに設定されている。また、基板36の左右方向の寸法は上流側第1リブ30aと凸部31との間の寸法より小さく設定されている。基板36の表面に、電子部品や回路素子などの部品が搭載されている。この部品としては、ガスメータ12(図1)の制御回路16(図1)と接続するための端子48、および、超音波送受波器38の計測機能を有する集積回路(計測回路)50が挙げられる。
【0044】
計測回路50は伝搬時間計測部および演算部を有している。伝搬時間計測部は、一対の超音波送受波器38の間を超音波が伝搬する時間を計測する。演算部は、伝搬時間計測部により計測された時間に基づいてガスの流量を算出する。伝搬時間計測部および演算部は、たとえば、計測回路50に格納されたプログラムによって実現される。なお、計測回路は、伝搬時間計測部および演算部の各機能を備える1つの回路、または、搬時間計測部の機能および演算部の機能を個別に備える2つの回路で構成されてもよい。
【0045】
基板36には、たとえば、3つの孔(固定孔)52が開口しており、これらの固定孔52は基板36を保持部材70の取り付け部72に固定するために用いられる。固定孔52の内径寸法は計測流路部26の突起46の外形寸法より大きく、固定孔52に突起46が挿入され得る。固定孔52に突起46を嵌めることにより、基板36が取り付け部72内に収まるように配置される。
【0046】
超音波送受波器38は、圧電体(図示せず)、音響整合体(図示せず)および端子(図示せず)を備えている。圧電体は、電圧が印可されることによって厚み方向に伸縮し、それにより電気振動を機械振動に変換する素子である。
【0047】
音響整合体は、圧電体で発生した機械振動を超音波としてガスに放射する放射面を有している。音響整合体は、放射面から超音波を放射するために、圧電体の音響インピーダンスと、ガスの音響インピーダンスとを整合する素子である。圧電体に繋がる端子にリードピン56が接続されている。このリードピン56と基板36上の配線とがはんだ付けされることにより、超音波送受波器38が基板36に電気的に接続されている。なお、リードピン56に代えてリード線などにより、超音波送受波器38と基板36とが電気的に接続されてもよい。
【0048】
中間流路部22は天面が開口した略直方体形状の外壁を有しており、この外壁は、ガスの通流方向に対向配置された上流壁22aおよび下流壁22bと、ガスの通流方向に直交する方向に対向配置された一対の側壁22c、22dと、底部22eとで構成されている。上流壁22a、下流壁22bおよび側壁22c、22dの各開口側の端に充填材58が設けられており、充填材58は中間流路部22の開口周囲を連続的に囲んでいる。
【0049】
側壁22c、22dには、その一部が外側に突き出した拡張部60a、60bが設けられている。拡張部60a、60bは三角柱形状の内部空間(拡張空間)を形成し、この拡張空間によって中間流路部22の略直方体形状の流体流路の一部が拡がっている。側壁22cの拡張部(上流側拡張部)60aは上流側第1リブ30aより下流側に設けられ、側壁22dの拡張部(下流側拡張部)60bよりは下流側第1リブ30bより上流側に設けられている。拡張部60a、60bは、その拡張空間に保持部材70の設置部74a、74bが納まるように形成されている。
【0050】
中間流路部22において、上流側拡張部60aの上流側に窪み部(上流側窪み部)62aが設けられ、下流側拡張部60bの下流側に窪み部(下流側窪み部)62bが設けられている。これらの窪み部62a、62bにより中間流路部22の流体流路の幅が狭くなっており、この幅寸法はシーリング材34a、34bを嵌めた計測流路部26の幅寸法とほぼ同じに設定されている。また、上流側窪み部62aと下流側窪み部62bとの間の寸法は、上流側溝40aと下流側溝40bとの間の寸法と同じに設定されている。なお、充填材58が窪み部62a、62b上に設けられていてもよい。
【0051】
(流量計測装置の組み立て)
図3は、計測ユニット35を備えた流量計測装置10を中間流路部22に収納した状態を示す図である。以下、図1図3を参照して、流量計測装置10の組み立てについて説明する。ただし、計測ユニット35および流量計測装置10を組み立てる順序は下記の順に限定されない。
【0052】
図2に示すように、まず、超音波送受波器38を保持部材70に設置する。この際、超音波送受波器38の端部が設置溝77に嵌るようにして、天面側開口80から設置部74a、74bの設置空間に超音波送受波器38を挿入する。これにより、超音波送受波器38の放射面が出入り口78a、78bを向いて、超音波送受波器38が保持部材70の所定位置に所定角度で固定される。
【0053】
次に、保持部材70の突起46を基板36の固定孔52に挿入しながら、基板36を保持部材70の天部72c上に取り付ける。これにより、基板36が保持部材70の所定位置に配置される。そして、超音波送受波器38のリードピン56を基板36の配線にはんだ付けして、超音波送受波器38を基板36に電気的に接続する。
【0054】
そして、計測流路部26の溝40a、40bにシーリング材34a、34bを嵌め、保持部材70を計測流路部26に取り付ける。この際、天部72cの上流端を上流側第1リブ30aに当て、天部72cの下流端を下流側第1リブ30bに当て、切欠き73に凸部31を嵌める。これにより、天部72cが天板26aに沿い、第1側部72aが第1側板26cに沿い、第2側部72bが第2側板26dに沿う。このため、保持部材70と、これに取り付けられた基板36および超音波送受波器38とが計測流路部26の所定の位置に固定される。
【0055】
すなわち、保持部材70は、その上流側出入り口78aが計測流路部26の上流側開口部42aに対応し、下流側出入り口78bが下流側開口部42bに対応するように配置される。また、超音波送受波器38は、その放射面から放射される超音波の経路が各開口部42a、42bを通り計測流路部26の軸に対して所定の角度で傾斜するように配置される。これにより、一対の超音波送受波器38は、超音波を互いに送受信するように配置される。また、基板36は、一対のシーリング材34a、34bの間に配置される。
【0056】
続いて、シーリング材34a、34bが中間流路部22の各窪み部62a、62bに対応するように、計測流路部26を中間流路部22に収容する。これにより、図3に示すように、シーリング材34a、34bは、計測流路部26の外面および中間流路部22の内面に密着して、計測流路部26の側板26c、26dと中間流路部22の窪み部62a、62bとの間の隙間、および、計測流路部26の底板26b(図2)と中間流路部22の底部22e(図2)との間の隙間を塞ぐ。このシーリング材34a、34bにより、計測流路部26の天板26a側を除き、計測流路部26と中間流路部22との間は、3つの空間に気密的に仕切られる。
【0057】
具体的には、1つ目は、上流側窪み部62aと上流壁22aとの間の流体流路(上流側中間流路)である。2つ目は、下流側窪み部62bと下流壁22bとの間の流体流路(下流側中間流路)である。3つ目は、上流側窪み部62aと下流側窪み部62bとの間の流体流路(中央中間流路)である。この中央中間流路はシーリング材34a、34bによって上流側中間流路および下流側中間流路から遮断されている。
【0058】
また、計測流路部26の上流端と中間流路部22の上流壁22aとの間、および、計測流路部26の下流端と中間流路部22の下流壁22bとの間には、それぞれ間隔が設けられている。これにより、上流側中間流路は、計測流路部26の上流端の開口を介して計測流路部26の計測流路と通じている。下流側中間流路は、計測流路部26の下流端の開口を介して計測流路部26の計測流路と通じている。
【0059】
また、保持部材70の設置部74a、74bは拡張部60a、60bの拡張空間に収まる。基板36は中間流路部22の中央中間流路に配置される。
【0060】
続いて、図1に示すように、計測流路部26が収納された中間流路部22をガスメータ12の内部空間に収納する。この際、計測流路部26のシーリング材34a、34bおよび中間流路部22の充填材58が流入管部20の下流側端および流出管部24の上流側端とそれぞれ密着するように、中間流路部22を配置する。これにより、流入管部20の流入路と中間流路部22の上流側中間流路とが連結し、流出管部24の流出路と中間流路部22の下流側中間流路とが連結する。さらに、上流側中間流路および下流側中間流路は計測流路と通じているため、流入路、上流側中間流路、計測流路、下流側中間流路、および、流出路がこの順で連結されて1本のU字状の流路を形成する。
【0061】
この際、基板36は、流入管部20および流出管部24の間において計測流路部26の外面に配置されているため、ガスメータ12の内部空間に現れている。よって、基板36上の端子48を制御回路16にリード線などにより接続して、流量計測装置10をガスメータ12に組み込む。
【0062】
(流量計測装置の動作)
流体流路を流れるガスの流量を測定する際、ガス配管を流入管部20および流出管部24のそれぞれに接続する。これにより、ガスは、ガス配管から供給されて、流入管部20の流入路を流れ、中間流路部22の上流側中間流路に流入する。そして、ガスは、上流側中間流路から計測流路部26の上流端の開口を介して計測流路を流れ込み、計測流路を通り、計測流路部26の下流端の開口を介して下流側中間流路へ流れる。さらに、ガスは下流側中間流路から流出管部24の流出路に入り、ガス配管へ流れていく。
【0063】
このガスが計測流路を流れている状態において、たとえば、計測回路50が上流側の超音波送受波器38に電気信号を送ると、この超音波送受波器38は電気信号を超音波に変換して放射面から放射する。これにより、超音波は上流側開口部42aを通過して計測流路に入り、計測流路を斜めに横断して、下流側開口部42bから抜け、下流側の超音波送受波器38に達する。下流側の超音波送受波器38は、超音波を受け、これを電気振動に変換して計測回路50に出力する。
【0064】
計測回路50では、伝搬時間計測部が、上流側の超音波送受波器38へ電気信号を出力した時刻と、下流側の超音波送受波器38から電気信号が入力された時刻との差に基づいて、超音波の伝搬時間を求める。また同様にして、下流側の超音波送受波器38から超音波を放射し、上流側の超音波送受波器38が超音波を受ける。そして、伝搬時間計測部は、この超音波の伝搬時間を求める。最後に、演算部は、伝搬時間計測部が求めた伝搬時間に基づいてガスの流量を算出して、計測回路50はガスの流量を制御回路16に出力する。制御回路16は、取得したガスの流量に関する情報をメモリに記憶したり、表示部14に表示したり、無線回路及びアンテナを用いて外部へ送信したりする。
【0065】
(作用、効果)
上記構成によれば、基板36の保持部材および超音波送受波器38の保持部材を1つの保持部材70が兼用しているため、流量計測装置10の小型化およびコスト削減が図られる。また、基板36および超音波送受波器38が保持部材70に設置されているため、これらの間の距離の短縮化が図られる。よって、この間におけるノイズの発生を低減して、流量計測装置10の計測精度を向上することができる。
【0066】
さらに、保持部材70に天面側開口80を設けているため、天面側開口80から設置部74a、74bの設置空間に超音波送受波器38を容易に挿入することができる。また、保持部材70に設置溝77を設けることにより、超音波送受波器38を保持部材70に容易に取り付けることができ、作業性に優れる。しかも、保持部材70に取り付けられた一対の超音波送受波器38は、所定の離隔距離および所定の向きになっている。このため、超音波送受波器38を保持部材70に取り付ける際に、超音波送受波器38の位置および向きを調整する必要がなく、作業性の向上がさらに図られる。しかも、一対の超音波送受波器38の相対位置の誤差が抑制され、誤差による流量計測装置10の測定精度の低下を抑制することができる。
【0067】
また、保持部材70、基板36および超音波送受波器38を予め一体的にユニット化している。このため、この計測ユニット35、または、計測ユニット35を計測流路部26に装着した流量計測装置10の品質検査する際に、計測ユニット35または流量計測装置10をそれぞれ単独で検査することができる。この結果、品質検査に適した環境で計測ユニット35または流量計測装置10の検査することができ、検査の精度向上および簡素化が図られる。さらに、計測ユニット35または流量計測装置10をガスメータ12に組み込む前にこれらを検査し、不良品を早期に発見することができる。
【0068】
さらに、一対のシーリング材34a、34bの間に基板36を配置している。よって、基板36やこれに搭載された計測回路50上にガスがほとんど流れることがなく、ガスの流れによる不具合の発生を抑制することができる。
【0069】
また、流入管部20と流出管部24との間において中間流路部22の開口から基板36がガスメータ12の内部空間に露出している。このため、基板36とガスメータ12内の制御回路16を容易に接続することができる。
【0070】
さらに、金属製の中間流路部22により外部からの振動を遮断しているため、外部振動によるノイズで流量計測装置10の計測精度が低下することを抑制することができる。
【0071】
(実施の形態2)
図4は、実施の形態2に係る計測ユニット35を備えた流量計測装置10を中間流路部22に収納した状態を示す図である。図4に示すように、実施の形態2に係る流量計測装置10では、一対の超音波送受波器38が反射面64aとの間に計測流路部26を挟むようにして配置されている。
【0072】
中間流路部22の一方の側壁22dに2つの拡張部60a、60bが間隔を開けて並んで設けられている。これらの拡張部60a、60bは、上流側窪み部62aと下流側窪み部62bとの間に配置されている。
【0073】
計測流路部26の第2側板26dに上流側開口部42aおよび下流側開口部42bが左右方向に間隔を開けて並んで設けられている。第1側板26cに1つの開口部(中間開口部)42cが設けられている。この中間開口部42cは上流側開口部42aと下流側開口部42bとの間に配されている。
【0074】
保持部材70では、その第2側部72bに上流側出入り口78aおよび下流側出入り口78bが開口し、第1側部72aに穴(中間口)が設けられている。上流側設置部74aは上流側出入り口78aを囲むように第2側部72bに設けられ、下流側設置部74bは下流側出入り口78bを囲むように第2側部72bに設けられている。中間口は、上流側出入り口78aと下流側出入り口78bとの間に配置されている。中間口は、第1側部72aを貫通してもよいし、第1側部72aの内面から窪んでいてもよい。中間口に反射部64が固定されており、反射部64の反射面64aが第1側部72aの内面側に配されている。
【0075】
上記流量計測装置10を組み立てる際、超音波送受波器38および基板36を保持部材70に取り付け、超音波送受波器38のリードピン56を基板36の配線にはんだ付けする。また、計測流路部26にシーリング材34a、34bおよび保持部材70を取り付ける。これにより、保持部材70は、上流側出入り口78aが上流側開口部42aに対応し、下流側出入り口78bが下流側開口部42bに対応し、中間口が中間開口部42cに対応するように配置される。各超音波送受波器38は、反射面64aとの間に計測流路部26を挟み、超音波の経路が各口78a、78b、78cを通り計測流路部26の軸に対して所定の成す角で傾斜するように配置される。反射部64は、上流側の超音波送受波器38の超音波経路と下流側の超音波送受波器38の超音波経路との交点に位置するように配置される。
【0076】
続いて、シーリング材34a、34bが窪み部62a、62bに対応するように、計測流路部26を中間流路部22に収容する。これにより、保持部材70の設置部74a、74bは拡張部60a、60bで囲まれた拡張空間に収まり、設置部74a、74bに固定されている超音波送受波器38が拡張空間に配され、設置部74a、74bに固定されている反射部64は、計測流路部26の第1側板26cと中間流路部22の側壁22cとの間に配される。最後に、計測流路部26が収納された中間流路部22をガスメータ12の内部空間に収納して、基板36上の端子48を制御回路16にリード線などにより接続して、流量計測装置10をガスメータ12に組み込む。
【0077】
上記流量計測装置10により流体流路を流れるガスの流量を測定する際、たとえば、計測回路50が上流側の超音波送受波器38に電気信号を送ると、超音波送受波器38は電気信号を超音波に変換して放射面から放射する。この超音波は、上流側開口部42aを通過して計測流路に入り、計測流路を斜めに横断して、開口部42cを通過して反射面64aに到達する。そして、超音波は反射面64aで反射して、再び、開口部42cを通過して計測流路に入り、計測流路を斜めに横断して、下流側開口部42bから抜け、下流側の超音波送受波器38に達する。下流側の超音波送受波器38は、超音波を受け、これを電気振動に変換して計測回路50に出力する。
【0078】
計測回路50では、伝搬時間計測部が、上流側の超音波送受波器38へ電気信号を出力した時刻と、下流側の超音波送受波器38から電気信号が入力された時刻との差に基づいて、超音波の伝搬時間を求める。また同様にして、下流側の超音波送受波器38から超音波を放射し、上流側の超音波送受波器38が超音波を受ける。そして、伝搬時間計測部は、この超音波の伝搬時間を求める。最後に、演算部は、伝搬時間計測部が求めた伝搬時間に基づいてガスの流量を算出する。
【0079】
(その他の実施の形態)
上記実施の形態1に係る流量計測装置10では、一対の超音波送受波器38が対向して配置される「Z方式」の構成が採用されている。また、実施の形態2に係る流量計測装置10では、一対の超音波送受波器38の間に1つの反射面64aが配置される「V」方式の構成が採用されている。これに対して、他の方式の構成が採用され得る。たとえば、一対の超音波送受波器38の間に3つの反射面64aが配置される「W」方式の構成が採用され得る。
【0080】
上記全実施の形態に係る流量計測装置10では、基板36が保持部材70の取り付け部72上に収まるように配置されていた。ただし、基板36が中間流路部22内において一対のシーリング材34a、34bの間に収まれば、基板36のサイズおよび配置はこれに限定されない。たとえば、基板36を保持部材70の取り付け部72および設置部74a、74b上に配置してもよい。
【0081】
上記全実施の形態に係る流量計測装置10では、基板36の固定孔52に保持部材70の突起46を挿入することにより、保持部材70に基板36を取り付けていたが、取り付け方法はこれに限定されない。たとえば、ビスやレールなどにより基板36を保持部材70に固定することができる。
【0082】
上記全実施の形態に係る流量計測装置10では、各第1リブ30a、30b、凸部31および切欠き73により、計測流路部26に対して保持部材70の位置決めを行った。しかし、保持部材70の位置決めはこれに限定されない。
【0083】
たとえば、凸部31および切欠き73を設けずに、第1リブ30a、30bだけを保持部材70の位置決めに用いてもよい。
【0084】
また、計測流路部26に突起を設け、保持部材70に穴を設けて、突起および穴を位置決めに用いてもよい。この場合、突起を穴に挿入することにより、保持部材70を計測流路部26の所定の位置に配置することができる。
【0085】
さらに、中間流路部22の拡張部60a、60bおよび保持部材70の設置部74a、74bを保持部材70の位置決めに用いることもできる。この場合、拡張部60a、60bの拡張空間に設置部74a、74bが嵌るように、中間流路部22に収納した計測流路部26に保持部材70を取り付ける。これにより、中間流路部22を介して計測流路部26に対して保持部材70の位置決めをすることができる。
【0086】
上記全実施の形態に係る流量計測装置10では、中間流路部22の天面の全体が開口していた。これに対して、中間流路部22の天面の一部が開口していてもよい。
【0087】
たとえば、中間流路部22の開口を蓋で覆い、この蓋に流入管部20と対向する流入口、および、流出管部24と対向する流出口を設ける。この場合、蓋と、中間流路部22に収納された計測流路部26の天板26aとの間の寸法は、保持部材70の天部72cの厚みと基板36の厚みとの合計寸法より大きく設定される。このため、計測流路部26の天板26a上に保持部材70を介して基板36が固定され、基板36が蓋で覆われる。また、シーリング材34a、34bは蓋と計測流路部26との間の隙間を塞ぎ、一対のシーリング材34a、34bの間に基板36が配置される。このため、基板36上にガスが流れることがシーリング材34a、34bによって防がれ、ガスによって基板36の不具合が発生することは抑制される。
【0088】
なお、上記全実施の形態は、互いに相手を排除しない限り、互いに組み合わせてもよい。
【0089】
上記説明から、当業者にとっては、本発明の多くの改良や他の実施形態が明らかである。従って、上記説明は、例示としてのみ解釈されるべきであり、本発明を実行する最良の態様を当業者に教示する目的で提供されたものである。本発明の精神を逸脱することなく、その構造及び/又は機能の詳細を実質的に変更できる。
【産業上の利用可能性】
【0090】
本発明の計測ユニット35およびそれを備えた流量計測装置10は、計測精度の向上を図った計測ユニットおよびそれを備えた流量計測装置等として有用である。
【符号の説明】
【0091】
10 流量計測装置
18 流体流路部
26 計測流路部
26a 天板
26c 第1側板
26d 第2側板
35 計測ユニット
36 基板
38 超音波送受波器
50 計測回路
64 反射部
70 保持部材
72a 第1側部
72b 第2側部
72c 天部(基板保持部)
74a、74b 設置部(センサ保持部)
80 天面側開口
図1
図2
図3
図4