特許第6313058号(P6313058)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6313058
(24)【登録日】2018年3月30日
(45)【発行日】2018年4月18日
(54)【発明の名称】コンベヤライン
(51)【国際特許分類】
   B65G 21/14 20060101AFI20180409BHJP
   B65G 47/52 20060101ALI20180409BHJP
【FI】
   B65G21/14 C
   B65G47/52 A
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-22042(P2014-22042)
(22)【出願日】2014年2月7日
(65)【公開番号】特開2015-147660(P2015-147660A)
(43)【公開日】2015年8月20日
【審査請求日】2016年11月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001834
【氏名又は名称】三機工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000512
【氏名又は名称】特許業務法人山田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】菱沼 信也
【審査官】 岡崎 克彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−254085(JP,A)
【文献】 特開2005−263360(JP,A)
【文献】 特開昭58−006817(JP,A)
【文献】 特開平05−058442(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 21/14
B65G 47/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
防火シャッターの昇降用空間を確保するように離間して配置される上流側コンベヤ及び下流側コンベヤと、前記上流側コンベヤ及び前記下流側コンベヤの間に架け渡されて前記上流側コンベヤから搬送されてきた荷物を前記下流側コンベヤへ導く接続部材と、前記接続部材を前記防火シャッターの降下時に退避させる退避機構と、を備えたコンベヤラインにおいて、
前記退避機構は、
前記接続部材を、前記上流側コンベヤから流されてきた荷物を前記下流側コンベヤへ下部を支持しながら受け渡す搬送レベルに位置する搬送位置と、前記防火シャッターの降下から傾いて避けて前記昇降用空間を確保する退避位置と、をとるように支持される揺動部材と、
前記揺動部材を支持するよう前記上流側コンベヤと前記下流側コンベヤとのうちいずれか一方のフレームの頭尾部下方に固定される回転軸と、
流体がシリンダに供給されると流体圧によって内部に配された弾性部材に抗してロッドが伸び、流体が放出されると前記弾性部材によってロッドが縮む、シリンダ端を前記上流側コンベヤと前記下流側コンベヤとのうち先で選択した一方のフレームに回動自在に軸支されロッド端を前記揺動部材の上方に回動自在に軸支されるロッド式シリンダと、
通電時に流体を前記シリンダに供給する供給流路に切り替え、非通電時に前記ロッド式シリンダの流体を排出する排出流路に切り替える切り替え手段と、を備え、
前記退避位置では搬送レベルよりも上方に位置し、前記搬送位置では前記回転軸が設けられていない上流側コンベヤ又は下流側コンベヤの頭尾部フレームに前記接続部材の端部が載置されるよう構成され、
前記切り替え手段に通電されると前記ロッド式シリンダに流体が供給されて前記ロッドが伸びて前記接続部材を搬送位置に移動させ、前記切り替え手段に通電されなくなると前記ロッド式シリンダから流体が排出されるとともに前記弾性部材によって前記ロッドが縮んで前記接続部材を退避位置に移動させることを特徴とするコンベヤライン。
【請求項2】
前記ロッド式シリンダは、シリンダ端を回動自在に軸支させる前記上流側コンベヤ又は前記下流側コンベヤのフレームの幅方向の片側に設置されていることを特徴とする請求項1に記載のコンベヤライン。
【請求項3】
前記ロッド式シリンダは、シリンダ端を回動自在に軸支させる前記上流側コンベヤ又は前記下流側コンベヤのフレームの幅方向の両側にそれぞれ設置されていることを特徴とする請求項1に記載のコンベヤライン。
【請求項4】
前記接続部材は、前記搬送位置では上部を受け渡される荷物の下部をすべり支持する板状になっていることを特徴とする請求項1乃至請求項のいずれか1項に記載のコンベヤライン。
【請求項5】
前記接続部材には、開口が形成され、前記接続部材の開口からその頂部が露出するように前記接続部材の裏面側に駆動ローラが配設されることを特徴とする請求項1乃至請求項のいずれか1項に記載のコンベヤライン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防火シャッターを備えた通路に設置され、火災時に防火シャッターがライン上に降下されるコンベヤラインに関する。
【背景技術】
【0002】
工場や、物流集配センター等の流通荷捌き施設など、コンベヤラインが設置される施設は、防火区画設備として火災時に防火区画を通路部に形成する防火シャッターを備えて、火災の延焼を防止する建築物になっていることがある。この施設での搬送設備であるコンベヤラインの規模により、防火区画を貫通してコンベヤラインが延長設置されている場合が多い。防火戸である防火シャッターは、人が行き来する避難路に設置され、火災発生時に閉鎖することによって、火災の際に火炎の伝播を最低限に留めることが行われている。ところが、防火シャッターで仕切られる通常開口となっている区画位置には、設置のしやすさから、及び作業員やメンテナンス人員の導線から、コンベヤラインも通過させることがしばしば行われる。防火シャッターは、防災盤からの防災信号を受信するか、又は手動操作によってロックが解除され自重によって降下して通路を閉鎖するようになっている場合が多い。
【0003】
この防火シャッターは、避難しようとする人を挟み込んでかえって火災被害を拡大しないように、降下時に防火シャッターの下端に障害物センサーが幅方向にわたって配置されている。そして、防火シャッターは、障害物センサーに障害物が接触すると降下が一旦停止され、障害物がなくなると再び降下するようになっている。
【0004】
このような防火シャッターを備えた通路に設置されるコンベヤラインは、防火シャッターの降下を妨げないように、ラインの一部を防火シャッターから退避させる退避機構を有していなければならない。この退避機構は、従来、防火シャッターの下端が退避機構の操作レバーに当接するか、又は防災盤からの防災信号を受信することで作動するようになっている。
【0005】
防火シャッターの下端が退避機構の操作レバーに当接することで、退避機構が作動する技術としては、例えば、先行技術文献1に記載の技術(以下、従来技術と称する)がある。従来技術のコンベヤラインは、防火シャッターの降下位置に、二つの上流側及び下流側ローラコンベヤを離間して配置することで防火シャッターの昇降用空間を形成し、この二つの上流側及び下流側ローラコンベヤ間には、ローラコンベヤ間の荷物が、沈み込まずに慣性力で搬送できる、上流側ローラコンベヤの尾部ローラと下流側ローラコンベヤの頭部ローラとの中間位置に通常時支持される被搬送物中継用ローラを備えて荷物を搬送している。
【0006】
そして、この被搬送物中継用ローラは、退避機構によって、火災時に防火シャッターの降下から退避する退避位置をとることができる。具体的には、退避機構は、防火シャッターの降下による操作レバーの押し下げによって、駆動ローラの固定が解除され、自重によって搬送位置から退避位置に揺動するようになっている。
【0007】
ここで、従来技術の防火シャッターは、その下端における幅方向のうち下降時に操作レバーと当接する位置に作用板が取り付けられている。この作用板は、障害物センサーと操作レバーとの当接を防止しながら操作レバーを防火シャッターの下降に伴い押し下げることができる。
【0008】
以上に説明した従来技術のコンベヤラインによれば、火災時に防火シャッターが降下すると、防火シャッターの下端に取り付けられた作用板が障害物センサーを作動させることなく操作レバーを押し下げて退避機構を作動させ、退避機構が被搬送物中継用ローラを搬送位置から防火シャッターの降下から避けた退避位置へ移動させる。このようにして従来技術のコンベヤラインは、火災時に防火シャッターの降下を妨げないようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2007−254085号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、従来技術のコンベヤラインは、防火シャッターの下端に取り付けられた作用板が障害物センサーを作動させることなく操作レバーを押し下げて退避機構を作動させる都合上、操作レバーと作用板との間に人がいた場合に、防火シャッターの降下が停止することなく、人を挟み込んでしまうおそれがあった。そこで、防火シャッターの下端によって退避機構を作動させる方式ではなく、防災盤からの防災信号によって退避機構を作動させる方式を採用することが一案として考えられる。
【0011】
ところが、防災盤からの防災信号を受信して作動させる方式は、例えば、大地震によって火災と停電が同時に発生した場合、防火シャッターを手動で降下させても、防災盤から退避機構へ防災信号が届かないか、あるいは防災信号が非常電源から供給されて活きていても退避機構のアクチュエータの電源が無くなるために退避機構が作動せず、通路を閉鎖できないおそれがあった。
【0012】
そこで、本発明は、防災盤から防災信号を受信して退避機構を作動させる方式において、停電によって防災盤から防災信号が受信できない場合でも、退避機構が作動するコンベヤラインを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、防火シャッターの昇降用空間を確保するように離間して配置される上流側コンベヤ及び下流側コンベヤと、前記上流側コンベヤ及び前記下流側コンベヤの間に架け渡されて前記上流側コンベヤから搬送されてきた荷物を前記下流側コンベヤへ導く接続部材と、前記接続部材を前記防火シャッターの降下時に退避させる退避機構と、を備えたコンベヤラインにおいて、前記退避機構は、前記接続部材を、前記上流側コンベヤから流されてきた荷物を前記下流側コンベヤへ下部を支持しながら受け渡す搬送レベルに位置する搬送位置と、前記防火シャッターの降下から傾いて避けて前記昇降用空間を確保する退避位置と、をとるように支持される揺動部材と、前記揺動部材を支持するよう前記上流側コンベヤと前記下流側コンベヤとのうちいずれか一方のフレームの頭尾部下方に固定される回転軸と、流体がシリンダに供給されると流体圧によって内部に配された弾性部材に抗してロッドが伸び、流体が放出されると前記弾性部材によってロッドが縮む、シリンダ端を前記上流側コンベヤと前記下流側コンベヤとのうち先で選択した一方のフレームに回動自在に軸支されロッド端を前記揺動部材の上方に回動自在に軸支されるロッド式シリンダと、通電時に流体を前記シリンダに供給する供給流路に切り替え、非通電時に前記ロッド式シリンダの流体を排出する排出流路に切り替える切り替え手段と、を備え、前記退避位置では搬送レベルよりも上方に位置し、前記搬送位置では前記回転軸が設けられていない上流側コンベヤ又は下流側コンベヤの頭尾部フレームに前記接続部材の端部が載置されるよう構成され、前記切り替え手段に通電されると前記ロッド式シリンダに流体が供給されて前記ロッドが伸びて前記接続部材を搬送位置に移動させ、前記切り替え手段に通電されなくなると前記ロッド式シリンダから流体が排出されるとともに前記弾性部材によって前記ロッドが縮んで前記接続部材を退避位置に移動させることを特徴としている。
【0015】
前記ロッド式シリンダは、シリンダ端を回動自在に軸支させる前記上流側コンベヤ又は前記下流側コンベヤのフレームの幅方向の片側に設置されていても良い。
【0016】
前記ロッド式シリンダは、シリンダ端を回動自在に軸支させる前記上流側コンベヤ又は前記下流側コンベヤのフレームの幅方向の両側にそれぞれ設置されていても良い。
【0017】
前記接続部材は、前記搬送位置では上部を受け渡される荷物の下部をすべり支持する板状になっているようにしても良い。
【0018】
前記接続部材には、開口が形成され、前記接続部材の開口からその頂部が露出するように前記接続部材の裏面側に駆動ローラが配設されるようにしても良い。
【発明の効果】
【0019】
本発明のコンベヤラインによれば、停電によって防災盤から防災信号が受信できない場合でも退避機構が作動する。また、停電が復旧した際には、防火シャッターが上昇した状態で退避機構が搬送位置へ自動復旧し、すぐにコンベヤラインの稼動が開始できる。さらに、非停電時に防災盤から防災信号を受信した場合も、同じ退避機構がきちんと作動する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】(A)は、本発明の実施例におけるコンベヤラインの平面図である。(B)は、本発明の実施例におけるコンベヤラインの側面図である。
図2】本発明の実施例におけるコンベヤラインにおいて、退避機構を作動させ防火シャッターを降下させた様子を示す側面図である。
図3】(A)は、平常時の電磁弁を示す回路図である。(B)は、非常時の電磁弁を示す回路図である。
図4】(A)は、本発明の他の実施例におけるコンベヤラインの平面図である。(B)は、本発明の他の実施例におけるコンベヤラインの側面図である。
図5】本発明の他の実施例におけるコンベヤラインにおいて、退避機構を作動させ防火シャッターを降下させた様子を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を実施するための形態の例(以下、実施例と称する)を、図1図3を参照しながら説明する。図1(A)は、本発明の実施例におけるコンベヤライン1の平面図である。図1(B)は、本発明の実施例におけるコンベヤライン1の側面図である。図2は、本発明の実施例におけるコンベヤライン1において、退避機構を作動させ防火シャッター2を降下させた様子を示す側面図である。
【0022】
図1に示すとおり、本発明の実施例におけるコンベヤライン1は、防火シャッター2を挟んで防火シャッター2の昇降用区間以上の空間を形成するように位置する、コンベヤライン1の上流側を構成する上流側のコンベヤ3A(上流側コンベヤ)と、下流側を構成する下流側のコンベヤ3B(下流側コンベヤ)と、上流側のコンベヤ3Aと下流側のコンベヤ3Bの間を接続する接続板4(接続部材)と、防火シャッター2の降下時に接続板4を退避させる退避機構と、を備えている。
【0023】
上流側のコンベヤ3A、下流側のコンベヤ3Bは、例えば、荷物を搬送するベルトコンベヤである。これは駆動されるキャリアローラで搬送面を形成する駆動ローラコンベヤであっても良い。以下、ベルトコンベヤで説明する。このベルトコンベヤは、例えば、上流側のコンベヤ3Aを例に、無端状の帯状部材であるベルト6を、破線で図示する尾部ローラ、図示しない駆動部にあるスナップローラ、ドライブプーリ、図示しないフレームのもう片端に位置する頭部ローラに架け回し、駆動部にあるモータからの動力によってドライブプーリを回転させることでベルト6を駆動し回転させている。そして、上流側のコンベヤ3Aと下流側のコンベヤ3Bは、防火シャッター2の昇降用空間を確保するように防火シャッター2の降下位置を挟んで昇降用区間以上の空間を形成するよう互いに離間して配置されている。
【0024】
接続板4は、上流側のコンベヤ3Aと下流側のコンベヤ3Bの各々フレームの幅方向両側部に架け渡されて、上流側のコンベヤ3Aから搬送されてきた荷物を下流側のコンベヤ3Bへ荷物下部を支持しながら受け渡す板である。この接続板4は、平面視するとI形の細長い板であり、その長手方向の両端部4aが上流側のコンベヤ3Aと下流側のコンベヤ3Bのフレーム14上に搬送位置で架け渡される。この接続板4は、搬送位置では上部を受け渡される荷物の下部をすべり支持する。接続板4の両端部4aの間における上流側と下流側には、長手方向に沿って上流側のコンベヤ3Aから送られてきた荷物を円滑に下流側のコンベヤ3Bに流すための斜面部材7が取り付けられている。この斜面部材7の端は、ベルト6の搬送面レベルよりも下方に位置するようになっている。
【0025】
退避機構は、揺動部材8と、回転軸15と、ロッド式シリンダ10(シリンダ)と、エアコンプレッサ11と、電磁弁12(切り替え手段)と、消音器13と、を備えている。
【0026】
揺動部材8は、基端側が下流側のコンベヤ3Bのフレーム14の頭部側下方に固定された支持部材15aに支持される回転軸15に対して揺動可能に取り付けられ、先端側に接続板4が固定される。ここで、回転軸15は、下流側のコンベヤ3Bのフレーム14の尾部下方に位置する。そして、揺動部材8は、接続板4を下流側のコンベヤ3Bに対して揺動可能に支持する。これによって、接続板4は、上流側のコンベヤ3Aから流されてきた荷物を下流側のコンベヤ3Bへ下部を支持しながら受け渡す搬送レベルに位置する搬送位置(図1(B)参照)と、防火シャッター2の降下から傾いて避けて昇降用空間を確保する退避位置(図2参照)と、をとることができる。搬送位置では、上流側のコンベヤ3Aの頭部フレームに接続板4の端部が載置される。
【0027】
エアコンプレッサ11は、空気を圧縮して供給する装置であり、消音器13は例えば迷路式のサイレンサーである。
【0028】
ロッド式シリンダ10は、シリンダ16に空気(流体)が供給されると空気圧(流体圧)によって内部に配されたスプリング17(弾性部材、図3参照)に抗してロッド18がシリンダ16から伸長し、空気がシリンダ16から外部へ放出されるとスプリング17によってロッド18がシリンダ16に戻される押し型の単動型エアシリンダである。
【0029】
このロッド式シリンダ10は、下流側のコンベヤ3Bのフレーム14に搬送面上方に突出するように固定されたブラケット状のシリンダ支持部材20に対してシリンダ端を回動自在に軸支して取り付けられ、ロッド端であるロッド18の先端が下流側のコンベヤ3Bのフレーム14下方に位置する回転軸15と接続板4の固定位置との間の揺動部材上方に回動自在に軸支され取り付けられる。
【0030】
続いて、図3を参照しながら電磁弁12について説明する。図3(A)は、平常時の電磁弁12を示す回路図である。図3(B)は、非常時(火災時又は停電時)の電磁弁12を示す回路図である。電磁弁12は、例えば、供給ポート(供給流路21の基端)、シリンダポート(排出流路22の基端または供給流路21の先端)、排出ポート(排出流路22の先端)の三つの配管接続口を有した常時閉の三方向電磁弁である。
【0031】
電磁弁12は、図3(A)に示す通電時に、コイルに通電されて励磁され永久磁石であるプランジャが移動することで、電磁弁バネを圧縮してエアコンプレッサ11からの空気をシリンダ16へ供給する供給流路21に切り替えられ、図3(B)に示す非通電時には、コイルの励磁が消えプランジャが逆に移動することで圧縮された電磁弁バネが復元してシリンダ16の空気を外部へ消音器13を介して排出する排出流路22に切り替えられる。
【0032】
これによって、退避機構は、通電時にはロッド式シリンダ10のシリンダ16に空気が供給され続けることで、内部に配されたスプリング17に抗してロッド18が伸び続けて揺動部材8を押して接続板4を搬送位置にさせ、非通電時にはシリンダ16から空気が抜けるので縮まされていたスプリング17が伸びることにより、ロッド式シリンダ10のロッド18が縮むことで揺動部材8を引っ張って、接続板4を退避位置まで移動させる。
よって、非常時は、スプリング17の延伸する力によって、電力や電気信号不要で機械的に退避機構により接続板4が退避されることとなる。
【0033】
次に、防火シャッター2を備えた通路に設置される本発明のコンベヤライン1の作動を説明する。本発明のコンベヤライン1は、送電されている平常時、退避機構の電磁弁12にも通電され、これによって、図3(a)に示すようにロッド式シリンダ10のロッド18が伸長されて揺動部材8を押すことによって接続板4の両端部4aがフレーム14上に当接することで搬送位置を保持する。従って、本発明のコンベヤライン1は、平常時において、上流側のコンベヤ3Aから流されてきた荷物を下流側のコンベヤ3Bに導くことができる。
【0034】
そして、本発明のコンベヤライン1は、火災が発生し防災盤から防災信号を受信すると、退避機構の電磁弁12への送電が非通電となるように構成されており、電磁弁12が非通電になると、図3(b)に示すようにスプリング17によってロッド式シリンダ10のロッド18が縮小して揺動部材8を引っ張って接続板4を退避位置に移動させる。これによって、本発明のコンベヤライン1は、上流側のコンベヤ3Aと下流側のコンベヤ3Aとの間に防火シャッター2の降下用の空間が形成され、火災時に防火シャッター2の降下を妨げることがない。そして、本発明のコンベヤライン1が設置された通路は、防火シャッター2の降下によって閉鎖される。
【0035】
また、本発明のコンベヤライン1は、停電が発生してコンベヤライン1の制御電源の送電がなくなった場合、退避機構の電磁弁12も必然的に非通電となる。そうすると、図3(b)に示すようにロッド式シリンダ10のロッド18が縮小され、揺動部材8が回転軸15を中心に揺動して接続板4が退避位置に移動させられる。これによって、本発明のコンベヤライン1は、仮に、火災と停電が同時に発生し防災盤から防災信号が受信できなくなっても、防災信号が非常電源で活きていてもコンベヤライン1の制御電源が停電しても、退避機構を作動させて接続板4を退避位置に作動させることができ、通路を防火シャッター2によって閉鎖することができる。
【0036】
また、本発明のコンベヤライン1は、停電から復旧すると、退避機構の電磁弁12に通電されることによって、図3(a)に示すようにロッド式シリンダ10が伸長され、揺動部材8が揺動して接続板4が搬送位置に移動させられる。これによって、コンベヤライン1は、停電から復旧すると、特別な操作なしに上流側のコンベヤ3Aから流されてきた荷物を下流側のコンベヤ3Bに導くことができる。なお、火災が発生している場合は、防災盤から防災信号が送信されるため、依然として接続板4は退避位置をとる。
【0037】
以下、本発明を実施するための他の形態の例(以下、他の実施例と略称する)を、図4図5を参照しながら説明する。図4(A)は、本発明の他の実施例におけるコンベヤライン1の平面図である。図4(B)は、本発明の他の実施例におけるコンベヤライン1の側面図である。図5は、本発明の他の実施例におけるコンベヤライン1において、退避機構を作動させ防火シャッター2を降下させた様子を示す側面図である。
【0038】
なお、本発明の他の実施例におけるコンベヤライン1は、接続板24と駆動ローラ25を除き、その基本的構成が上記実施例のコンベヤライン1と同様であるため、上記実施例と同様の構成には同一の符号を付し、上記実施例の説明と重複することになる説明を省略する。
【0039】
接続板24は、平面視すると外形がI形の細長い板で中央部に、長手方向に沿った矩形状の開口24cが形成されている。そして、この接続板24は、両端部24aを除き長手方向に沿って外縁が下方に傾斜して傾斜面24bを形成している。この接続板24は、長手方向の両端部24aが上流側のコンベヤ3Aと下流側のコンベヤ3Bのフレーム14上に架け渡され、そして、傾斜面24bの端は、ベルト6の上面位置よりも下方に位置するように形成されている。
【0040】
駆動ローラ25は、例えば、ローラ25aの内部にモータが内蔵され、出力軸を接続板24から垂下したブラケット部に回転不能に軸支することで、モータステータである筐体となっている外周ローラが回転駆動されるモータローラであり、接続板24の開口24cからローラ25aの頂部が露出するように接続板24の裏面側に配置される。この駆動ローラ25は、上流側のコンベヤ3Aから流されてきた荷物に対して搬送力を与え、下流側のコンベヤ3Bへ搬送する。これによって、他の実施例のコンベヤライン1は、接続板24よりも小さな荷物が送られてきても、接続板24に留まることなく上流側のコンベヤ3Aから下流側のコンベヤ3Bに搬送することができる。
【0041】
また、上記実施例で説明したとおり、他の実施例のコンベヤライン1においても、火災時、停電時といった非常時において、図5に示すように接続板24が退避機構によって退避位置をとるので防火シャッター2の降下を妨げることがない。
【0042】
なお、本発明のコンベヤライン1は、上述の実施例にのみ限定されない。例えば、コンベヤをベルトコンベヤで説明したがこれに限定されず、ローラコンベヤ、チェーンコンベヤ、振動コンベヤであっても良い。
【0043】
また、揺動部材8を下流側のコンベヤ3Bに取り付ける構成で説明したがこれに限定されない。揺動部材8は、上流側のコンベヤ3Aに取り付けて、接続板24が上流側のコンベヤ3Aから下流側のコンベヤ3Bに架け渡される構成であっても良い。
また、ロッド式シリンダ10は、シリンダ端を回動自在に軸支させる上流側のコンベヤ3A又は下流側のコンベヤ3Bのフレームの幅方向の片側に設置されていても良いし、フレームの幅方向の両側にそれぞれ設置されていても良い。
【0044】
また、ロッド式シリンダ10を、押し型の単動型エアシリンダで説明したがこれに限定されない。ロッド式シリンダ10は、例えば、押し型の単動型油圧シリンダであっても良い。この場合は、エアコンプレッサ11が油圧ポンプとなる。
【0045】
また、電磁弁12を常時閉の三方向電磁弁を一つ配設する構成で説明したがこれに限定されない。例えば、エアコンプレッサ11、バネによりコイル非励磁時に閉鎖する二方向電磁弁、バネによりコイル非励磁時に開放する二方向電磁弁、ロッド式シリンダ10を備え、エアコンプレッサ11からのエア供給流路本管にバネによりコイル非励磁時に閉鎖する二方向電磁弁を、そのコイル非励磁時に閉鎖する二方向電磁弁の下流側に分岐チーズを取り分岐管側にバネによりコイル非励磁時に開放する二方向電磁弁を、それぞれ設置する構成でも良い。この場合、バネによりコイル非励磁時に開放する二方向電磁弁の本管に面する側とは異なる分岐管の末端には、消音器13を備えている。
【0046】
本発明のコンベヤライン1は、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更することができる。
【符号の説明】
【0047】
1 コンベヤライン
2 防火シャッター
3A 上流側のコンベヤ
3B 下流側のコンベヤ
4 接続板(接続部材)
10 ロッド式シリンダ
12 電磁弁(切り替え手段)
15 回転軸
16 シリンダ
17 スプリング(弾性部材)
18 ロッド
21 供給流路
22 排出流路
24 接続板(接続部材)
25 駆動ローラ
図1
図2
図3
図4
図5