(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6313263
(24)【登録日】2018年3月30日
(45)【発行日】2018年4月18日
(54)【発明の名称】光通信装置および光ファイバーケーブル固定方法
(51)【国際特許分類】
G02B 6/46 20060101AFI20180409BHJP
【FI】
G02B6/46 321
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-125701(P2015-125701)
(22)【出願日】2015年6月23日
(65)【公開番号】特開2017-9828(P2017-9828A)
(43)【公開日】2017年1月12日
【審査請求日】2016年10月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000227205
【氏名又は名称】NECプラットフォームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【弁理士】
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100124154
【弁理士】
【氏名又は名称】下坂 直樹
(72)【発明者】
【氏名】山田 浩靖
【審査官】
野口 晃一
(56)【参考文献】
【文献】
特開2008−129491(JP,A)
【文献】
特開2009−069494(JP,A)
【文献】
特開2007−128051(JP,A)
【文献】
特開2008−292512(JP,A)
【文献】
特開2000−287334(JP,A)
【文献】
特開平08−182151(JP,A)
【文献】
実開昭49−102999(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/00
6/02
6/245− 6/25
6/46 − 6/54
H02G 3/08 − 3/20
15/00 −15/196
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カバー部と接する面にレールを有する筐体と、
光ファイバーケーブルが接続されたコネクタと光通信装置から前記光ファイバーケーブルが外に現れる出口との間において、前記筐体に一体成形され弾性を有する把持部と、
前記レールに従って、前記光ファイバーケーブルに平行な方向にスライドし前記筐体に嵌合したときに前記把持部に当接する位置に突起を、前記レールに嵌合する位置にフックを有し、嵌合したときには前記光ファイバーケーブルと前記コネクタの接続部分を覆う前記カバー部と
を備え、
前記把持部は、前記突起部に当接されることで前記光ファイバーケーブルを挟持する
光通信装置。
【請求項2】
前記把持部は、板状の突起である
請求項1に記載の光通信装置。
【請求項3】
前記把持部は、複数個で、かつ、それらは、複数の前記突起により当接されたときに、前記光ファイバーケーブルを挟む位置にある
請求項1または請求項2に記載の光通信装置。
【請求項4】
筐体がカバー部と接する面に有するレールに従って、前記カバー部を光ファイバーケーブルに平行な方向にスライドして、前記カバー部が前記レールに嵌合する位置に有するフックにより、前記筐体に嵌合したときに、
光ファイバーケーブルが接続されたコネクタと光通信装置から前記光ファイバーケーブルが外に現れる出口との間において、前記筐体に一体成形され弾性を有する把持部と前記カバー部が有する突起とが当接することにより、前記光ファイバーケーブルを挟持する
光ファイバーケーブル固定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光通信機器および光ファイバーケーブルの固定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、光ファイバーケーブルは、光通信装置の筐体に固定するための専用の部品を用いることにより、筐体に設置されている。そのため、その部品のコストがかかるとともに、その部品を設置する為のスペースが必要である。
【0003】
図11は、一般的な光通信装置900を示す斜視図である。光ファイバーケーブル32は、光通信装置900に内蔵されたコネクタに接続されている。そして、
図11に示すように、光ファイバーケーブル32は、別部品90を使用して、筐体901に固定されている。
【0004】
ここで、関連技術としては、例えば以下の特許文献がある。
【0005】
特許文献1は、光ファイバーケーブルを挟持する一対の挟持片と、光ファイバーケーブルを湾曲させる押圧片とにより、光ファイバーケーブルを固定する筐体を開示している。
【0006】
特許文献2は、光ファイバーケーブルを把持する把持部材を備えるガイド部を光ファイバーケーブルと直交する方向に上方からカバー部で覆う光ファイバーケーブル固定構造を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−151994号公報
【特許文献2】特許第4733620号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に記載されている技術は、固定蓋を固定台に固定する際に、光ファイバーケーブルに対して直交する方向に力が加わるため、過度の力が加わり光ファイバーケーブルを破損させる虞がある。
【0009】
特許文献2に記載されている技術は、筐体にカバー本体を固定する際に、爪部材が光ファイバーケーブル側に倒れ込むため、必要以上に光ファイバーケーブルの保持力が上がり、光ファイバーケーブルを破損する虞がある。
【0010】
さらに、特許文献1に提案されている技術は、筐体の光ファイバーケーブルを固定する面に平行で、光ファイバーケーブルと直交する方向に、その蓋と、光ファイバーケーブルとコネクタの接続部分とを、カバーにより覆っており、必要とされる部品が多くなっている。
【0011】
また、
図11に示した光通信機器は、固定するための専用部品にコストがかかっており、それを低減することが望まれている。
【0012】
一方、コネクタと光ファイバーケーブルとの接続部をカバー等で覆うことは、例えば、接続部にほこりが入るのを防いだり、コネクタを直接見てしまい目を傷めてしまうことを防ぐために必要である。
【0013】
そこで、本発明は、光ファイバーケーブルを光通信装置に固定するために必要なコストをより低減しつつ、光ファイバーケーブルとコネクタの接続部分を露出させない光通信装置の提供を主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記の目的を達成すべく、本発明の一態様に係る光通信装置は、以下の構成を備える。
【0015】
即ち、本発明の一態様に係る光通信装置は、
カバー部と接する面にレールを有する筐体と、
光ファイバーケーブルが接続されたコネクタと、光通信装置から前記光ファイバーケーブルが外に現れる出口との間に前記筐体に一体成形され弾性を有する把持部と、
前記レールに従って、前記光ファイバーケーブルに平行な方向にスライドし前記筐体に嵌合したときに前記把持部に当接する位置に突起を、前記レールに嵌合する位置にフックを有し、嵌合したときには前記光ファイバーケーブルと前記コネクタの接続部分を覆う前記カバー部とを
含む。
【0016】
同目的を達成する本発明の一態様に係る光ファイバーケーブル固定方法は、
筐体がカバー部と接する面に有するレールに従って、前記カバー部を光ファイバーケーブルに平行な方向にスライドして、前記カバー部が前記レールに嵌合する位置に有するフックにより、前記筐体に嵌合したときに、
光ファイバーケーブルが接続されたコネクタと、光通信装置から前記光ファイバーケーブルが外に現れる出口との間に前記筐体に一体成形され弾性を有する把持部と、前記カバー部が有する突起とが当接することにより、前記光ファイバーケーブルを挟持する。
【発明の効果】
【0017】
上記の本発明によれば、光ファイバーケーブルを光通信装置に固定するために必要なコストをより低減しつつ、光ファイバーケーブルとコネクタの接続部分を露出させない光通信装置等を提供することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係る光通信装置におけるカバー部を取り外した状態の分解斜視図である。
【
図2】本発明の第1の実施形態に係る光通信装置におけるカバー部を取り付けた状態の透視斜視図である。
【
図3】本発明の第1の実施形態に係る光通信装置を出口の方向から見たときの断面図である。
【
図4】本発明の第1の実施形態に係る光通信装置を出口を右に向けて側面方向から見たときの断面図である。
【
図5】本発明の第2の実施形態に係る光通信装置におけるカバー部を取り外した状態の分解斜視図である。
【
図6】本発明の第2の実施形態に係る光通信装置の板状突起を説明する図である。
【
図7】本発明の第2の実施形態に係る光通信装置におけるカバー部を嵌合する前の状態を説明する図である。
【
図8】本発明の第2の実施形態に係る光通信装置におけるカバー部を嵌合した状態を説明する図である。
【
図9】本発明の第2の実施形態に係る光通信装置におけるカバー部を嵌合したときの板状突起と突起の状態を説明する図である。
【
図10】本発明の第2の実施形態に係る光通信装置の板状突起の変形例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
次に、本発明を実施する形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0020】
<第1の実施形態>
図2は、本発明の第1の実施形態に係る光通信装置100におけるカバー部を取り付けた状態の透視斜視図である。
【0021】
光通信装置100は、筐体101と、カバー部102とを含む。
【0022】
筐体101は、コネクタ41を有する電気基板40を内蔵する。コネクタ41は、光ファイバーケーブル32に接続される。コネクタ41に接続した光ファイバーケーブル32は、出口5から光通信装置100の外に現れる。
【0023】
カバー部102は、光ファイバーケーブル32がコネクタ41と接続される部分を光通信装置100の外観に露出するのを防ぐ。
【0024】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る光通信装置100におけるカバー部を取り外した状態の分解斜視図である。
【0025】
筐体101は、電気基板40に取り付けられたコネクタ41と、コネクタ41に接続された光ファイバーケーブル32が光通信機器100から外に現れる出口5との間に、筐体101に一体成形された把持部112を有している。そして、その把持部112は、弾性を有している。
【0026】
また、筐体101は、カバー部102と接する面に5つのレール21と、受け口部23とを有している。レール21は、カバー部102を光ファイバーケーブル32に平行な方向にコネクタ41に向けてスライドして筐体101に嵌合させる。レールの形状と個数は、
図1、
図2に限定されない。
【0027】
カバー部102は、内面に5つのフック22と、突起部24と、突起114とを備える。フック22は、スライドした際に筐体101のレール21を上下方向から挟持しながら嵌合する。突起114は、筐体101とカバー部102とがスライドして嵌合することにより、筐体101の把持部112に当接する。これにより、把持部112は、光ファイバーケーブル32を挟持する。さらに、突起部24は、筐体101の受け口部23と嵌合する。
【0028】
図3は、本発明の第1の実施形態に係る光通信装置100を出口5の方向から見たときの断面図である。
図4は、本発明の第1の実施形態に係る光通信装置100を出口を右に向けて側面方向から見たときの断面図である。筐体101と嵌合させるためにカバー部102をスライドする前には、突起114は、筐体101の把持部112と接触しない。しかし、突起114は、スライドすることにより
図3および
図4に示すように筐体101の把持部112と接触する。そして、カバー部102が筐体101に嵌合固定される位置において、突起114は、筐体101の把持部112と当接する。そして、
図3に示すようにカバー部102の突起114が当接することにより、弾性を有する把持部112は、変形する。把持部112が変形することにより、筐体101の把持部112と床面115との間隔が狭まる。これにより、それらの間を通している光ファイバーケーブル32は、挟持される。
【0029】
以上、説明したように、第1の実施形態には、光ファイバーケーブルを光通信装置に固定するために必要なコストをより低減しつつ、光ファイバーケーブルとコネクタの接続部分を露出させないという効果がある。
【0030】
その理由は、本実施形態に係る光通信装置100は、筐体101に一体成形された把持部112と、カバー部102の突起114が当接して、光ファイバーケーブル32を挟持するため、光通信装置100に固定する専用の部品を使用する必要がないからである。
【0031】
さらに、
図2に示すように、カバー部102を取り付けた状態の光通信装置100は、コネクタ41と光ファイバーケーブル32の接続部分が露出していない。
【0032】
<第2の実施形態>
次に上述した第1の実施形態に係る光通信装置100を基本とする第2の実施形態について説明する。
【0033】
図5は、本発明の第2の実施形態に係る光通信装置1000におけるカバー部を取り外した状態の分解斜視図である。前述の光通信装置100と同様の部分については、同じ番号を付けることにより、説明を省略する。ただし、
図5に示す構成は、一例であって、本発明は、
図5に示す光通信装置に限定されない。
【0034】
光通信装置1000は、筐体1と、カバー部2とを含む。
【0035】
筐体1は、電気基板40に取り付けられたコネクタ41と、筐体1から光ファイバーケーブル32が光通信装置から外に現れる出口5との間に、
図5に示すように筐体1に一体成形された2枚で一対の板状突起11および12を有している。そして、その板状突起11と12の少なくとも一方は、弾性を有している。
【0036】
図6は、本発明の第2の実施形態に係る光通信装置1000の板状突起を説明する図である。
図6において、板状突起12は、弾性を有している。板状突起12は、第1の実施形態の把持部112の他の一例である。
【0037】
カバー部2は、フック22と、突起13および14とを備える。突起13および14は、第1の実施形態の突起114の他の一例である。突起13および14は、カバー部2がレール21に沿ってスライドして嵌合することにともない、筐体1の2枚の板状突起11および12を挟持する。
【0038】
光通信装置1000に光ファイバーケーブル32を固定する方法について、説明する。
【0039】
光ファイバーケーブル32は、
図2と同様に電気基板40に取り付けられたコネクタ41に接続される。筐体1は、板状突起11、12の間に光ファイバーケーブル32を通す。
【0040】
そして、カバー部2は、出口5の方向から筐体1のレール21に沿って、コネクタ41の方向にスライドすることにより、筐体1に、フック22により嵌合する。
【0041】
図7は、本発明の第2の実施形態に係る光通信装置1000におけるカバー部2を嵌合する前の状態を説明する図である。
図8は、本発明の第2の実施形態に係る光通信装置におけるカバー部2を嵌合した状態を説明する図である。
図9は、本発明の第2の実施形態に係る光通信装置におけるカバー部2を嵌合したときの板状突起11および12と突起13および14の状態を説明する図である。
【0042】
筐体1に嵌合する前の状態では、突起13および14は、
図7に示すように筐体1の2枚の板状突起11、12に接することは無い。しかし、カバー部2を筐体1に嵌合するために出口5の方向からスライドすることにより、板状突起11、12と、突起13および14とは、次第に接触する。そして、
図8に示すように筐体1とカバー部2が嵌合する位置において、突起13および14は、板状突起11および12を当接する。筐体1の板状突起11、12の少なくとも一方は弾性を有している。例えば、板状突起12が弾性を有している場合、板状突起12は、
図9のようにカバー部2の突起14と当接する状態で内側に変形する。これにより、光ファイバーケーブ32は、筐体1の板状突起11および12に挟持される。そして、光通信装置1000は、光ファイバーケーブ32が抜けることを防止できる。
【0043】
図10は、本発明の第2の実施形態に係る光通信装置1000の板状突起の変形例を説明する図である。
図10に示す、2枚の板状突起11Aおよび12は、2枚とも弾性を有する。この場合、カバー部2を嵌合したときに、板状突起11Aおよび12は、光ファイバーケーブ32を挟持するように変形する。これにより、光通信装置1001は、板状突起の一方(板状突起11または12)だけでなく、両方の板状突起(11Aおよび12)が変形して、光ファイバーケーブル32を挟持する。
【0044】
以上、説明したように、第2の実施形態には、光ファイバーケーブルの保持力を調整しやすいという効果がある。
【0045】
その理由は、本実施形態に係る光通信装置1000は、板状突起11および12と、突起13および14との距離やそれぞれの厚さ等により、光ファイバーケーブルの保持力が決定するからである。
【符号の説明】
【0046】
1 筐体
2 カバー部
5 出口
11、11A、12 板状突起
13、14 突起
21 レール
22 フック
23 受け口部
24 突起部
32 光ファイバーケーブル
40 電気基板
41 コネクタ
90 別部品
100 光通信装置
101 筐体
102 カバー部
112 把持部
114 突起
115 床面
900 光通信装置
901 筐体
1000、1001 光通信装置