(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
請求項1または2に記載のアンバイポーラ垂直電界効果トランジスタにおいて、前記半導体チャネル層が、前記半導体チャネル層を通って延在し、前記ソース層及び前記ドレイン層の双方と接触して前記半導体チャネル層内に高いキャリア移動度のチャネルを形成する単一結晶粒を具えていることを特徴とするトランジスタ。
請求項1または2に記載のアンバイポーラ垂直電界効果トランジスタにおいて、前記半導体チャネル層が、他の結晶粒と相互接続し、前記半導体チャネル層を通って延在して前記ソース層と前記ドレイン層を接続する高いキャリア移動度のチャネルを形成する結晶粒を具えていることを特徴とするトランジスタ。
請求項3または4に記載のアンバイポーラ垂直電界効果トランジスタにおいて、前記半導体チャネル層が、複数の結晶化p型半導体を具えていることを特徴とするトランジスタ。
請求項3または4に記載のアンバイポーラ垂直電界効果トランジスタにおいて、前記半導体チャネル層が、複数の結晶化n型半導体を具えていることを特徴とするトランジスタ。
請求項3または4に記載のアンバイポーラ垂直電界効果トランジスタにおいて、前記半導体チャネル層が、前記半導体チャネル層の形態を変化させる非晶質材料を具えていることを特徴とするトランジスタ。
請求項1乃至4の何れか一項に記載のアンバイポーラ垂直電界効果トランジスタにおいて、前記半導体チャネル層が、pチャネル有機半導体とnチャネル有機半導体の混合物を具えており、前記pチャネル有機半導体が、前記ソース層の材料のフェルミ準位下2eV内であるHOMO準位を有し、前記nチャネル有機半導体が、前記ソース層の材料のフェルミ準位超2eV内であるLUMO準位を有していることを特徴するトランジスタ。
請求項8に記載のアンバイポーラ垂直電界効果トランジスタにおいて、前記半導体チャネル層が、離散領域を形成する、前記pチャネル有機半導体及び前記nチャネル有機半導体を有する相分離構造を具えていることを特徴とするトランジスタ。
請求項9に記載のアンバイポーラ垂直電界効果トランジスタにおいて、前記pチャネル有機半導体の離散領域が、前記ソース層と前記ドレイン層の間の正孔輸送に対して移動度が高い経路を形成することを特徴とするトランジスタ。
請求項9に記載のアンバイポーラ垂直電界効果トランジスタにおいて、前記nチャネル有機半導体の離散領域が、前記ソース層と前記ドレイン層の間の電子輸送に対して移動度が高い経路を形成することを特徴とするトランジスタ。
請求項1乃至4の何れか一項に記載のアンバイポーラ垂直電界効果トランジスタにおいて、前記半導体チャネル層が、前記ソース層からの正孔注入を受容可能なHOMO準位と、同一の前記ソース層からの電子注入を受容可能なLUMO準位とを有するバンドギャップが狭い有機半導体を具えていることを特徴とするトランジスタ。
請求項8または12に記載のアンバイポーラ垂直電界効果トランジスタにおいて、前記ドレイン層と前記半導体チャネル層との間にショットキー障壁を形成して、前記ドレイン層から前記チャネル層への正孔及び電子双方の注入を防ぐことを特徴とするトランジスタ。
請求項1乃至4の何れか一項に記載のアンバイポーラ垂直電界効果トランジスタにおいて、前記半導体チャネル層が、溶液から処理された無機半導体物質を具えていることを特徴とするトランジスタ。
請求項1乃至4の何れか一項に記載のアンバイポーラ垂直電界効果トランジスタにおいて、前記半導体チャネル層が、ゾルゲル処理によって形成された半導体物質を具えていることを特徴とするトランジスタ。
請求項1または2に記載のアンバイポーラ垂直電界効果トランジスタにおいて、前記半導体チャネル層が前記ソース層と前記ドレイン層の間に延在する複数のキャリア経路を含む相分離構造を具えており、各経路がpチャネル有機半導体またはnチャネル有機半導体を具えていることを特徴とするトランジスタ。
請求項17に記載のインバータにおいて、前記2つのアンバイポーラ垂直電界効果トランジスタが、前記半導体チャネル層への正孔及び電子双方の注入に対して非注入のドレイン層を具えていることを特徴とするインバータ。
請求項17に記載のインバータにおいて、前記2つのアンバイポーラ垂直電界効果トランジスタの第1のトランジスタが前記半導体チャネル層への正孔注入に対して非注入のドレイン層を具え、前記2つのアンバイポーラ垂直電界効果トランジスタの第2のトランジスタが、前記半導体チャネル層への電子注入に対して非注入のドレイン層を具えていることを特徴とするインバータ。
請求項17に記載のインバータにおいて、前記2つのアンバイポーラ垂直電界効果トランジスタが、前記正孔及び電子の移動度の差異を補償するためにサイズが異なる活性領域を具えていることを特徴とするインバータ。
請求項17に記載のインバータにおいて、前記ゲート層及び前記誘電層が、前記2つのアンバイポーラ垂直電界効果トランジスタに共通していることを特徴とするインバータ。
【発明を実施するための形態】
【0003】
本書には、アンバイポーラのカーボンナノチューブが使用可能なVFETといった、アンバイポーラ垂直電界効果トランジスタ(VFET)に関連する様々な実施形態が開示されている。図面に示すような実施形態の説明について詳細に述べる。同一符号は、複数の図面を通じて同一の部分を示している。
【0004】
相補型回路では、pチャネルトランジスタとnチャネルトランジスタの双方が使用される。しかしながら、適切な接触およびチャネルドーパントを簡単に実施して1つの半導体(例えば、シリコン)にpチャネルトランジスタ及びnチャネルトランジスタを実現するシリコンベースのICとは異なり、pチャネル及びnチャネルの有機薄膜トランジスタ(OTFT)には専用の半導体材料が必要とされる。適切な規模のICに個々のnチャネル及びpチャネルの有機トランジスタを統合することは未だに困難である。別々に規定されるpチャネル及びnチャネルの活性領域を実現するために有機体をパターニングすることは、装置の製造を実質的に複雑化させてしまう。これは、1のマスキングステップで堆積することができるチャネルを有するという利点があるアンバイポーラ有機トランジスタを用いることで、回避することができる。
【0005】
ゲート電圧によって制御して、pチャネル及びnチャネルの活性領域の双方をアンバイポーラ有機トランジスタに形成することができる。単にアンバイポーラ有機トランジスタを用いて相補型回路を製造することができるため、製造の複雑さを著しく低減させることができる。最高被占分子軌道(HOMO)準位と最低空分子軌道(LUMO)準位がその金属の仕事関数の約0.8eV内となる低バンドギャップの有機半導体を用いて、アンバイポーラOTFTの同一の金属電極から電子及び正孔の双方を効果的に注入することができる。代替的な実施例では、2つの有機半導体を組み合わせることによって(同一金属から)電子及び正孔の双方を効果的に注入することもでき、これは必ずしも低バンドギャップを有している必要はない。材料を適切に選択することにより、一方のHOMO準位と他方のLUMO準位が、その金属の仕事関数の約0.8eV内となるようにすることができる。
【0006】
様々な方法で2つの材料を組み合わせて、チャネル層を形成することができる。例えば、2つの別個の有機半導体を二重層(一方が他方の上部となる)として別々に堆積させてもよい。実際に、これは、蒸発可能な小分子有機半導体を別個に連続的に蒸気蒸着することによって実行することができ、優れた性能で動作するデバイスを生じさせる。しかしながら、インクジェット印刷やロール・ツー・ロール式の製造のような低コストの製造方法による利益を得るために、有機電子デバイスには溶液ベースの処理が望ましい。ポリマ、及び幾つかの小分子または修飾された小分子は溶液処理することができるが、直交溶媒(すなわち、第2の層の溶媒は第1の層を溶かしてはならない)を必要とし、使用できる材料が大幅に制限されるため、二重層の堆積は複雑である。他の例では、2つの有機半導体を、同一の溶媒に共にブレンドすることによって組み合わせることができる。次いで、このブレンドを1つのチャネル層として堆積することができる。
【0007】
このような有機半導体のブレンドをトランジスタのチャネル材料として使用する場合、ゲート制御された両極性伝導を確認することができるが、最適な半導体ブレンドの装置であっても、純粋なp型又はn型の半導体チャネルの材料から作製された装置よりも2乃至3桁低い移動度を呈していた。例えば、n型材料としてポリ{[N、N0−ビス(2−オクチルドデシル)−ナフタレン−1,4,5,8−ビス(ジカルボキシイミド)−2,6−ジイル]−alt−5,50−(2,20−ビチオフェン)}(P(NDI2OD−T2))を、p型材料としてレジオレギュラーポリ(3−ヘキシルチオフェン)(rr−P3HT)を有するアンバイポーラのポリマブレンドトランジスタが、2010年にK.Szendrei等によって実証された(J Mater Chem、第20、1317−1321(2010))。この装置は、電子に対して4×10
−3cm
2V
−1s
−1の移動度を、正孔に対して2×10
−3cm
2V
−1s
−1の移動度を達成し、これらはポリマブレンドトランジスタについて現在までに報告された中で最も高い。しかしながら、純粋なP(NDI2OD−T2)装置による0.45cm
2V
−1s
−1の移動度、及び純粋なrr−P3HT装置による0.1cm
2V
−1s
−1の移動度と比較すると未だに非常に低い。材料がブレンドされた装置に見られる移動度が低い理由は、従来の横方向チャネル型トランジスタの構造における、10−100μm離れたソース電極−ドレイン電極にわたってp型及びn型材料の純粋なパーコレーティング領域がないことにある。一方の電極から他方の電極まで、チャネル層の始めから終わりまで純粋なp型又はn型のパーコレーティング経路を延在させることにより、装置の性能を単一材料の装置の性能に非常に近いレベルまで向上させることができる。
【0008】
図1を参照すると、CMOSインバータ回路100の一例が図示されている。このインバータ回路100は、その入力電圧106の反対の論理レベルである電圧103を出力する。したがって、V
ddにおける入力電圧106が接地レベルにおける出力電圧103を返し、接地レベルにおける入力電圧106がV
ddにおける出力電圧103を返す。
図1の例のようなデジタルインバータは、全てのデジタル電子技術の基礎である。
図1に示す従来のCMOSインバータ100は、各トランジスタ109及び112が単極であるという性質によりリーク電流の問題を有していない。CMOSインバータ100の入力電圧106としてV
ddが適用されると、pチャネルトランジスタ109がオンとなり、nチャネルトランジスタ112がオフとなって、接地レベルにおいて出力電圧103が得られる。入力電圧106が接地されると、nチャネルトランジスタ112がオンとなり、pチャネルトランジスタ109がオフとなって、V
ddの出力電圧103が得られる。双方の論理状態において、トランジスタ109/112の一方はオフとなり、その結果、定常状態でCMOSインバータ100を通って電流が流れるのを防ぐ。
【0009】
対照的に、2つのアンバイポーラ横方向チャネルOTFTから構築されたデジタル論理インバータは、いずれのトランジスタも完全にスイッチオフすることができず、絶え間なくリーク電流が装置を通過することとなるため、過剰なエネルギを消費する。
図2Aに示すように、V
inが接地されると、トランジスタ203のソース電極がV
ddに接続されるため、所望により、トランジスタ203のチャネルにわたって誘導される十分な正孔209が生じ、トランジスタ203にわたるインピーダンスは小さくなる。トランジスタ206のソース電極が接地されると、その領域付近には殆ど電荷が生じない。しかしながら、トランジスタ206のチャネルにわたって、電位が徐々に増加し、トランジスタ206のドレイン電極に向かうチャネルに沿って誘導されたより多くの正孔212を連続的に生じさせる。よって、トランジスタ206は部分的にオンとなる。トランジスタ206のインピーダンスはそれでもトランジスタ203のインピーダンスより大きく、V
ddとほぼ等しい高い出力電圧(V
out)を引き起こす。しかし、トランジスタ206は完全にオフにならないため、定電流がインバータを通って流れる。同様に、
図2Bに示すように、入力電圧(V
in)がV
ddに設定されると、トランジスタ206は完全にオンになるが、トランジスタ203も部分的にオンとなり、インバータ回路を通って流れる定電流が生じる。
【0010】
絶え間ないリーク電流は、カーボンナノチューブベースの垂直電界効果トランジスタ(CN−VFET)を使用することで回避することができる。一実施形態では、CN−VFETトランジスタは、底層から上方へと連続的に列挙された以下の構造要素、すなわち、導電性のゲート電極と;電気絶縁性のゲート誘電層と;ゲート誘電面にわたって交差して互いに接続されたナノチューブの電気的に相互接続されたランダムネットワークを形成するような数密度を有し、ゲート誘電面上にその側部が位置するナノチューブの層であって、上から見ると、ナノチューブネットワークの層は下層の誘電面を露出させるほど十分に薄い(例えば、下層の誘電面の大部分は少なくともナノチューブによって覆われている)、ナノチューブの層と;ナノチューブと、近接して位置しているナノチューブ間の露出した誘電層との領域の双方を被覆する半導体チャネル層と;最後に、電導性の頂部電極層とを含む。ナノチューブネットワークの層はナノチューブソース電極、または単にソース電極と称され、頂部電極層はドレイン電極と称される。ナノチューブネットワークの層の片端(例えば、ナノチューブネットワークの層の小部分の上側又は下側)に沿って配置することができる金属ソース接触パッドを介して、ナノチューブ層に電気的接触させることができる。ゲート電極は、ゲート電極とソース電極間にゲート電圧(V
G)をもたらす電圧源を通る場合を除いて、ナノチューブソース電極とソース接触パッドからゲート誘電層によって電気的に絶縁されている。チャネル層によって電気的に分離したドレイン電極とナノチューブソース電極は、ソース電極とドレイン電極の間に電圧(V
SD)を印加する別電源に接続される。
【0011】
CN−VFETのトランジスタでは、下層のカーボンナノチューブ(CNT)ソース電極からキャリアが注入され、薄膜チャネルを通って垂直に通過し、頂部ドレイン電極によって収集される。ソースランダムネットワークにおけるカーボンナノチューブと有機半導体との間の注入障壁を調整することによって、ゲートはソース−ドレイン電流を制御する。pチャネルのCN−VFETでは、CNTのフェルミ準位から有機半導体のHOMOへと正孔が注入され、nチャネルのCN−VFETでは、CNTのフェルミ準位から有機半導体のLUMO準位へと電子が注入される。ゲート領域は、ソースランダムネットワークにおけるCNTのフェルミ準位位置を調整し、CNTと有機半導体の間の注入障壁を制御する。ゲート領域がソース−ドレイン電流を確実にオン及びオフできるようにするために、pチャネルに利用する有機半導体のHOMO準位とnチャネルに利用する有機半導体のLUMO準位は、CNTのフェルミ準位近傍、例えば0.8eV内とすべきである。
【0012】
横方向チャネルの有機半導体ブレンドトランジスタの場合、移動度が低い理由はおそらく、ソース電極とドレイン電極の間の2つの材料の相分離領域が非パーコレーティングの性質であることである。
図3を参照すると、横方向チャネルの有機半導体ブレンドトランジスタ300が図示されている。図示のように、明確にパターン化された領域303および306が、ソースとドレインの間のチャネル309に2つの相分離要素を示している。離散領域303/306間の各界面における接触障壁、及びソースからドレインまでのチャネルの長さ312にわたって延在する純粋な領域の(ある場合には)パーコレーティング経路が殆どないことにより、チャネルを通って流れる電流は大幅に制限される。従来の横方向チャネルのOTFTにおける数万ミクロンの長いチャネル長312は、オン状態での電流が非常に小さいという特に厳しい課題を作り出す。
【0013】
対照的に、CN−VFETを使用することによって、各材料成分の位相の単結晶粒がナノチューブソース電極から覆っているドレイン電極まで延在することができるようにチャネル長を短くすることができ、これにより、材料の高い移動度が得られる。
図4は、CNソース408とドレイン412の間に垂直方向に延在する相分離415及び418を有するCN−VFETを表した図である。チャネル層410は薄いため、アンバイポーラCN−VFET400のチャネル層410にわたって、相分離膜が単結晶経路415/418を提供し、高いチャネル移動度を実現することができる。CNソース408とドレイン412の間の垂直方向の経路415/418は、2つの構成要素の横方向の相分離が生じる膜で充足する。相分離は、多くの有機ブレンドにおいて見ることができる。オン状態で低いチャネル抵抗が得られると、アンバイポーラCN−VFETに基づくデジタルインバータに高い動作速度と優れた耐ノイズ性をもたらすことができる。
【0014】
アンバイポーラCN−VFETはさらに、ダイオード型の整流作用を呈する。これは、2つのアンバイポーラCN−VFETを含むデジタルインバータの性能に有利となる。横方向チャネルのOTFTインバータと比較して、ダイオード型の作用は、アンバイポーラCN−VFETのインバータを通るリーク電流を著しく低減させる。
【0015】
ここで
図5A及び5Bを見てみると、本開示の様々な実施形態によるアンバイポーラCN−VFET500の二次元断面図(厚みの縮尺率は一定ではない)が図示されている。アンバイポーラCN−VFET500は、絶縁基板501上に堆積されたゲート電極502と、ゲート電極502と接触している誘電層504と、誘電層504の少なくとも一部分の上に形成されたソース電極508とを具えている。
図5A及び5Bの例では、ソース電極508は薄いナノチューブネットワークを有している。予め堆積された、あるいは後に堆積された金属接触パッド511を介して、ソース電極508に電気的接触させることができる。
図5は、予め堆積された接触パッド511を示している。さらに、半導体チャネル層510がソース電極508の上部に堆積され、ドレイン電極512がその半導体チャネル層510の上部に堆積されている。幾つかの実施形態では、誘電表面処理層を誘電層504とソース電極508の間に形成することができる。
図5Bは、誘電表面処理層506を含むアンバイポーラCN−VFET500の一例を示している。
【0016】
図5A及び5Bを参照すると、ゲート電極502は導電性または半導電性の材料を含んでいる。例えば、幾つかの実施形態では、ゲート電極502は縮退的にドープされたp型又はn型のSi基板であり、その場合、基板層501及びゲート電極502はゲート電極502として作用する1つの層となる。他の実施形態では、ゲート電極502は、例えば、Al、Au、Ag、Pd、Pt、Ta、W、Cr、Mo、Cu、Zn、Mg、Cd、Sb、Ti、Sn、Sr、及びBi等の金属、例えば、酸化錫、酸化インジウム、錫がドープされた酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化カドミウム、マグネシウムがドープされた酸化インジウム、ガリウムがドープされた酸化インジウム、CdSb
2O
6、それらの混合物、及び例えば、Al、Au、Ag、Pd、Pt、Ta、W、Cr、Mo、Cu、Zn、Mg、Cd、Sb、Ti、Sn、Sr、Bi、それらの化合物の群からなる金属の何れかでドープしたそれらの混合物等の透明導電性酸化物、および/または様々な他の金属または混合物の1以上を含み、それらは絶縁基板501上に堆積される。
【0017】
ゲート電極502上に形成された誘電層504は、例えば、酸化シリコン、窒化ケイ素、SiO
xN
y、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、酸化タンタル、酸化チタン、酸化ランタン、酸化ジルコニウム、酸化イットリウム、アルミニウム−チタニウム酸化物、それらの堆積物または混合物等の誘電材料、および/または、限定ではないが、ベンゾシクロブテン(BCB)または他の混合物といったスピンオンポリマ誘電体を含む様々な他の誘電材料の1以上を含む。
【0018】
図5Bに示すように、誘電層504上に誘電表面処理層506を形成してもよい。幾つかの実施形態では、誘電表面処理層506は、1nm未満から約1μmまでの範囲の厚さを有する。誘電表面処理層506の効果は、誘電表面の電荷トラップ密度を低減させうることにある。幾つかの実施形態では、CNTソース電極508が誘電表面処理層506で被覆された誘電層504と接触している場合、誘電表面処理層506は、誘電層504とCNTランダムネットワークのソース電極508におけるCNTとの間の界面における電荷トラップ密度を低減させる効果を有する。幾つかの実施形態では、半導体チャネル層510が誘電表面処理層506で被覆された誘電層504と接触している場合、誘電表面処理層は、誘電層504と半導体チャネル層510との間の界面における電荷トラップ密度を低減させる効果を有する。偶発的に接触して重なるナノチューブ間に開放空間が存在する場合、CNTランダムネットワークのソース電極508は薄網であるため、半導体チャネル層510と、誘電層504または誘電表面処理層506で被覆された誘電層504との間の直接的な接触が、誘電層504の一部で可能となる。
【0019】
幾つかの実施例では、誘電表面処理層506は自己組織化した単一層であってもよい。例えば、n−オクタデシルトリクロロシラン(OTS)を、(例えば、SiO
2とすることができる)誘電層504上の誘電表面処理層506として用いてもよい。
【0020】
幾つかの実施形態では、誘電表面処理層506は、よく組織化された分子の複数の層を含みうる。例えば、誘電表面処理層506は、架橋結合したスピンオン式低誘電率ポリマであるベンゾシクロブテン(BCB)を含んでもよい。BCBは、誘電層504(例えば、SiO
2またはAl
2O
3あってもよい)上にスピンオンされ、誘電表面処理層506を形成するようにアニールされる。
【0021】
上述したように、ソース電極508は、誘電層504上または誘電表面処理層506上に形成される。幾つかの実施形態では、ソース電極508は薄いが、個別化された、および/または束になったナノチューブの電気的にパーコレーティングした層であり、これは主にSWNTであり、幾つかの実施形態では、実質的にSWNTから構成されることが好ましい。本書に使用された「薄い(dilute)」とは、ナノチューブによって実質的に被覆されない誘電層504の領域を有するナノチューブ膜であって、その上側又は下側の何れを横断する層と関連付けられた他のナノチューブを有さない、認識できる長さのナノチューブ及び薄いナノチューブの束が存在していることを意味する。
【0022】
さらに、「パーコレーティング(percolating)」とは、ソース電極508の一端から他端まで電気的な連続性を提供するのに十分なナノチューブの密度(すなわち、単位面積当たりのナノチューブ)を有するナノチューブ層を意味する。パーコレーティングナノチューブ膜またはネットワークは、様々な適切な方法の1以上によって、誘電層504(または誘電表面処理層506)上に直接的に成長または堆積させることができる。幾つかの実施形態では、ナノチューブのソース電極508は、ナノチューブ層の1以上のエッジに電気的接触をもたらす金属接触パッド511によって電気的に接触している。金属化処理は、ソース電極508を構成するナノチューブとの抵抗接点を形成する。例えば、金属接触パッド511を形成するために金を利用することができる。
【0023】
代替的な実施形態では、カーボンナノチューブというよりも、伝導性のまたはドープされた半導体ナノワイヤの薄いネットワークを、誘電層504または誘電表面処理層506と直接接触するソース電極508用の薄いパーコレーティング膜として利用することができる。このようなナノワイヤの例は、例えば、銀ナノワイヤ及びシリコンナノワイヤを含む。他の実施例では、グラフェンの層を使用してもよい。グラフェン層は、誘電層504の表面(または、誘電表面処理層506)へと下方に延在する一定間隔または不規則に分布した一群の孔を有するようにエッチングすることができる。グラフェン層中の孔により、半導体チャネル層510はグラフェン及び誘電表面層504(または、誘電表面処理層506)の双方に接触することが可能となる。
【0024】
ここで
図5Cを参照すると、本開示の様々な実施形態による他のアンバイポーラCN−VFET520の二次元断面図(厚みの縮尺率は一定ではない)が図示されている。このアンバイポーラCN−VFET520は、絶縁基板501上に堆積されたドレイン電極512と、ドレイン電極512の上部に堆積された半導体チャネル層510を具えている。ソース電極508は、半導体チャネル層510の少なくとも一部分の上に形成されている。ソース電極508は、薄いナノチューブネットワークを含みうる。予め堆積された、あるいは後に堆積された金属接触パッド511を介して、ソース電極508を電気接触させることができる。
図5は、予め堆積された接触パッド511を図示している。
図5Cの例では、誘電表面処理層506がソース電極508及び半導体チャネル層510の上部に堆積されている。誘電層504は誘電表面処理層506上に形成され、ゲート電極502が誘電層504上に堆積されている。
【0025】
図5A−5Cの装置配置は、透明トランジスタとして利用することができる。ゲート電極502としてシリコンバックゲートというよりはむしろ、ゲート電極502は、例えば、酸化インジウム錫、薄いSWNT、またはグラフェン膜といった光学的に透明な導電性材料とすることができる。次いで、透明なゲート電極502を光透過性の誘電層504で被覆し、薄いパーコレーティングナノチューブのソース電極508で被覆し、既に記載したような残りの装置の層で被覆することができる。ドレイン電極512用に、例えば、薄いナノチューブ、グラフェン膜、透明導電性酸化物の層、または誘電体−金属−誘電体の透明導体といった透明導電性材料を使用することもできる記載された装置配置は、柔軟な誘電層504と共に柔軟な絶縁基板501上に構成されたソース層に使用されるSWNT膜、ドレイン層、およびゲート層を必要とするフレキシブルトランジスタの製造に適している。
【0026】
半導体チャネル層510の1又は複数の材料は、アンバイポーラCN−VFET500が必ずアンバイポーラ特性を有するように適宜選択される。幾つかの実施形態では、1種類以上のpチャネル半導体物質と1種類のnチャネル半導体物質が、共に半導体チャネル層510を形成する。ナノチューブのソース電極層508の仕事関数が約−5.0eVであると仮定すると、想定されるpチャネル材料は、約−5.0eV乃至約−7.0eVの範囲またはフェルミ準位下約2eV内のHOMO準位または価電子帯端エネルギを有する半導体物質を含む。想定されるnチャネル材料は、約−3.0eV乃至約−5.0eVの範囲またはフェルミ準位超約2eV内のLUMO準位または伝導帯端エネルギを有する半導体物質を含む。他の実施形態では、例えば、グラフェン、シリコン、または金属ナノワイヤ、等の他の物質をソース電極層に使用してもよい。ソース電極層に使用される材料の仕事関数に応じて、この材料の対応する仕事関数に合致するようにエネルギ範囲はシフトすることができる。これらの実施形態では、ソース電極508とドレイン電極512の間のpチャネル半導体によって形成された半導体チャネル層510内に延びる連続した経路によってpチャネル輸送が可能となり、ソース電極508とドレイン電極512の間のnチャネル半導体によって形成された半導体チャネル層510内に延びる連続した経路によってnチャネル輸送が可能となる。
【0027】
幾つかの実施形態では、pチャネル半導体物質及びnチャネル半導体物質は双方とも、共通の溶媒によって溶液処理が可能である。これらの実施形態では、共通の溶媒で共に溶解する前に2つの半導体物質を固体状で混合する、あるいは、第1の半導体物質を共通の溶媒で溶解し、次いで第2の半導体物質を溶液内に加えて2つの半導体物質の溶液を形成することができる。スピンコーティング、インクジェット印刷、蒸気ジェット印刷、ドロップキャスト、または他の手段といった溶液処理法を利用して、半導体チャネル層510を形成することができる。
【0028】
幾つかの実施形態では、薄いパーコレーティングナノチューブのソース電極508で被覆された誘電層504上に前駆体の溶液またはコロイドを堆積するゾルゲル法によって、半導体チャネル層510を形成することができる。堆積された薄膜は次いで乾燥工程を経て、所望の化学成分および物理的構造を得る。乾燥工程の後、高温での焼きなまし又は焼結工程を実施し、半導体チャネル層510の微小構造を更に調整して、大きな結晶粒または高伝導性の垂直電流経路を形成することができる。無機半導体の多く、特に、限定ではないが、酸化亜鉛(ZnO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)、インジウム、ガリウム及び亜鉛を含む酸化物(IGZO)、スズ酸亜鉛(ZTO)、インジウムスズ酸亜鉛(IZTO)を含む金属酸化物の半導体は、ゾルゲル工程によって形成することができる。
【0029】
幾つかの実施形態では、pチャネル半導体物質及びnチャネル半導体物質の双方は、共通の溶媒によって溶液処理することができない。第1の半導体物質が溶媒によって溶液処理が可能であって、第2の半導体物質が有効な厚みを形成するために溶媒によって溶液処理することができなくともよく、あるいは半導体物質の双方とも、有効な厚みを形成するために溶媒によって溶液処理することができなくともよい。これらの実施形態では、材料が二重層構造を形成するか、熱共蒸着のような同時堆積法によって2つの材料の混合物を実現するように、2つの材料を適切な方法によって連続的に堆積することができる。
【0030】
半導体チャネル層510が1種類以上のpチャネル半導体物質及び1種類以上のnチャネル半導体物質の混合物またはブレンドを含む場合、異なる構成要素に応じて、半導体チャネル層510は非結晶質または多結晶質、あるいは非結晶質相と多結晶質相の混合とすることができる。幾つかの場合では、これらの材料は個々のHOMO準位及びLUMO準位を保持するように、乾燥中に相分離する傾向がある。半導体チャネル層510は、半導体チャネル層510の形態、機械的な性質、および/または電子的な性質を変化させる1以上の非晶質材料を含みうる。短いチャネル長によるCN−VFET構造は、相分離した半導体チャネル層510の性質の十分な利点を得ることができる。各材料成分の位相の単結晶粒がナノチューブソース電極から覆っているドレイン電極まで全体に延在するように、ソース電極508とドレイン電極512の間のチャネル長を短くすることができ、これにより、材料の高い移動度が得られる。
図4に図示されているように、この基準は2つの構成要素の相分離が生じる膜で充足しうる。
【0031】
幾つかの実施形態では、共通の溶液からのpチャネル半導体及びnチャネル半導体のスピンコートブレンドを乾燥している間等、層が堆積されるときに、半導体チャネル層510の相分離が自然に発生する。優れたデバイス特性を実現するために、特定の高温でのアニール、あるいは特定の溶媒または溶液の蒸気に曝露するといった、半導体チャネル層510の堆積後処理を利用して、半導体チャネル層形態の向上を実現することができる。
【0032】
代替的な実施形態では、単一のバンドギャップが狭い半導体を用いて半導体チャネル層510を形成し、CN−VFET500に両極性伝導を得ることができる。ナノチューブのソース電極層108の仕事関数が約−5.0eVと仮定すると、単一要素である半導体チャネル層510に使用できる材料は、約−5.0eV乃至約−6.5eVの範囲またはフェルミ準位下約2eV内のHOMO準位または価電子帯端エネルギと、約−3.5eV乃至約−5.0eVの範囲またはフェルミ準位超約2eV内のLUMO準位または伝導帯端エネルギの双方を有する半導体物質を含む。これらの実施形態では、単一要素である半導体チャネル層510が、pチャネル輸送とnチャネル輸送の双方を負う。
【0033】
ドレイン電極512は、半導体チャネル層510上に形成される。幾つかの実施形態では、ドレイン電極512は半導体チャネル層510の頂部上に直接堆積された薄い金属被覆を含む。ドレイン電極512が半導体チャネル層510への正電荷(正孔)注入及び負電荷(電子)注入の双方に対する注入障壁を形成するような仕事関数を有するように、ドレイン電極の材料を選択してもよい。ドレイン電極512と半導体チャネル層510の間の注入障壁は確実に、正孔又は電子の何れもドレイン電極512から半導体チャネル層510へと注入されないようにすることができる。他方、半導体チャネル層510とドレイン電極512の間には正孔及び電子双方に対する大きな取り出し障壁がないため、適切なドレイン電圧およびゲート電圧状態の下では、ソース電極508から注入された正孔又は電子は半導体チャネル層510を横切って、ドレイン電極512によって抽出または収集されうる。これは、非注入ドレインとブレンドされた半導体チャネル層510を有するpチャネル及びnチャネルそれぞれの材料との間、または非注入ドレインとバンドギャップが狭い半導体チャネル層510(例えば、単一要素の半導体チャネル層510)の間の、ドレイン電極512に形成されたショットキーダイオードとして理解することができ、
図6に示す回路モデルで表すことができる。
【0034】
幾つかの実施形態では、ドレイン電極512が半導体チャネル層510への正電荷(正孔)のみに対する大きな注入障壁を形成するような仕事関数を有するように、ドレイン電極512の材料を選択してもよい。それらの実施形態では、半導体チャネル層510とドレイン電極512の間の電子取り出し障壁を最小限に維持することができ、アンバイポーラCN−VFET500におけるpチャネル電流の制御を低減させて、アンバイポーラCN−VFET500のnチャネル輸送についてオン状態の高い電流が生じる。特定のドレイン材料を選択することによって、ドレイン層512と半導体チャネル層510の間の中間層を利用することによって、および/または半導体チャネル層510の界面ドーピングによって、ドレイン電極512は、半導体チャネル層510への正孔のみに対する注入障壁を形成することができる。
【0035】
幾つかの実施形態では、ドレイン電極512が半導体チャネル層510への負電荷(電子)のみに対する大きな注入障壁を形成するような仕事関数を有するように、ドレイン電極512の材料を選択してもよい。それらの実施形態では、半導体チャネル層510とドレイン電極512の間の正孔取り出し障壁を最小限に維持することができ、アンバイポーラCN−VFET500におけるnチャネル電流の制御を低減させて、アンバイポーラCN−VFET500のpチャネル輸送についてオン状態の高い電流が生じる。特定のドレイン材料を選択することによって、ドレイン層512と半導体チャネル層510の間の中間層を利用することによって、および/または半導体チャネル層510の界面ドーピングによって、ドレイン電極512は、半導体チャネル層510への電子のみに対する注入障壁を形成することができる。
【0036】
幾つかの実施形態では、(
図6に示すような)内蔵型ショットキーダイオードを形成するドレイン電極材料を含むアンバイポーラCN−VFET500は、n型およびp型チャネルの双方に関する出力曲線についてダイオード型のアンバイポーラ輸送特性を呈する。このような装置の一例は、薄いCNTランダムネットワークのソース電極508、TFBとP(NDI2OD−T2))のブレンドの溶液をスピンコーティングすることによって堆積したpチャネル有機半導体のTFB(ポリ(9、9−ジオクチル−フルオレン−co−N−(4−ブチルフェニル)−ジフェニルアミン))とnチャネル有機半導体のPolyera ActivInkのN2200(P(NDI2OD−T2))の混合物(またはブレンド)を含む半導体チャネル層510、および熱蒸着されたAuドレイン電極512から製造されたアンバイポーラCN−VFET500である。
図7は、この装置の出力曲線のプロットである。この例では、Au頂部ドレイン電極512が約−5.1eVの仕事関数を有しており、正孔に対する注入障壁がAuとTFB(約−5.4eVのHOMO準位を有する)の間に、電子に対する注入障壁がAuと(P(NDI2OD−T2))(約−4.0eVのLUMO準位を有する)の間に形成される。リーク電流が小さいため、アンバイポーラCN−VFETベースのインバータにおける消費電力は最小限となる。
【0037】
内蔵ショットキーダイオードを形成するドレイン電極材料を含む装置の他の例が、薄いCNTランダムネットワークのソース電極508、TFBとPCBMブレンドの溶液をスピンコーティングすることによって堆積したpチャネル有機半導体のTFBとnチャネル有機半導体[6、6]−フェニル−C61−酪酸メチルエステル(PCBM)の混合物を含む半導体チャネル層510、および熱蒸着されたAuドレイン電極512から製造されたアンバイポーラCN−VFET500である。
図8は、この装置の出力曲線のプロットである。この実施形態では、Au頂部ドレイン電極512が約−5.1eVの仕事関数を有しており、正孔に対する注入障壁がAuとTFB(約−5.4eVのHOMO準位を有する)の間に、電子に対する注入障壁がAuとPCBM(約−3.75eVから約−4.3eVまでのLUMO準位を有する)の間に形成される。
【0038】
図7及び8の2つの装置に関する出力曲線は、金のドレイン電極512と、正孔と電子の双方を輸送するためのpチャネル及びnチャネルそれぞれの材料の間に形成されたショットキーダイオードを実験的に明示したものである。
図9A及び9Bは、どのようにダイオードの動作が生じるかを概略的に表わしている。
図9Bに示すように、頂部Auドレイン電極512からTFBのHOMOへの正孔注入に対して有効な障壁(逆方向バイアス)がある。加えて、
図9Aに示すように、PCBMまたはP(NDI2OD−T2)のLUMOへの電子注入に対して有効な障壁(逆方向バイアス)がある。ソース電極508のCNTと有機半導体の間の注入障壁とは異なり、頂部Auドレイン電極512と2つの半導体の間の注入障壁はゲート電界による影響を受けない。この障壁によって、正孔と電子の何れもドレイン電極512から注入することはできないが、正孔及び電子の双方とも、(ゲート及びドレインの極性に応じて)半導体物質の一方または他方からドレイン電極512へと通過することができる。その結果、2つの場合で電流方向を切り替えて、正のゲートと正のドレイン同時の場合、あるいは負のゲートと負のドレイン同時の場合についてのみ高い電流が流れる。このバイアス動作は、以下に記載するように、アンバイポーラCN−VFET500にデバイス利用のアンバイポーラ横方向チャネルのトランジスタに優る重要な利点をもたらす。
【0039】
2つのアンバイポーラ横方向チャネルの有機トランジスタ(
図2Aおよび2B)で構成されたデジタル論理インバータは、いずれのトランジスタも完全にスイッチがオフされ得ないため、装置を通過するリーク電流が常に存在し、余分なエネルギを消費してしまう。他方、アンバイポーラCN−VFET500のダイオード型特性により、アンバイポーラCN−VFETベースのインバータのリーク電流は非常に小さくなりうる。
【0040】
デジタルインバータは、2つのアンバイポーラCN−VFETを接続することで製造することができる。幾つかの実施形態では、2つのアンバイポーラCN−VFETが背中合わせに接続される。
図10は、本開示の様々な実施形態によるCN−VFETベースのデジタルインバータの一例の断面図(厚みの縮尺率は一定ではない)を示している。デジタルインバータ1000は、絶縁基板1001上に堆積されたゲート電極1002と、ゲート電極1002と接触している誘電層1004と、誘電層1004と接触している誘電表面処理層1006と、誘電層1004を被覆している誘電表面処理層1006の少なくとも一部分の上に形成された2つの別個のソース電極1008a及び1008bを具えている。ソース電極1008a及び1008bの双方とも、薄いナノチューブネットワークを含んでいる。予め堆積された、あるいは後に堆積された金属接触パッド1011a及び1011bそれぞれを介して、ソース電極1008a及び1008bを電気接触させることができる。
図10は、予め堆積された接触パッド1011を図示している。さらに、半導体チャネル層1010がソース電極1008a及び1008bの双方の上部に堆積され、ドレイン電極1012が半導体チャネル層1010の上部に堆積されている。
【0041】
第1のソース電極1008aと頂部ドレイン電極1012の重複領域が第1のアンバイポーラCN−VFETの活性領域を形成し、第2のソース電極1008bと頂部ドレイン電極1012の間の重複領域が第2のアンバイポーラCN−VFETの活性領域を形成する。これらのアンバイポーラCN−VFETの双方は、同一のゲート電極1002を共有している。(アンバイポーラCN−VFETのオフ状態での電流と比較して)著しい電流が、CN−VFETベースのインバータ1000の動作電圧範囲がV
in及びV
ddの下で、ゲート電界または他の電界によって作り出される半導体チャネル層1010の内側の半導体バルクまたは蓄積層あるいは反転層によって伝達され、半導体チャネル層1010を通って横方向に、2つのソース電極1008の一方から他の電極1008へと通過しないように、そして、このような電流はデバイス性能に悪影響をもたらすリーク電流と考えられるため、2つのソース電極1008a及び1008bは距離1015によって物理的に分離されるべきである。
【0042】
幾つかの実施形態では、第1のソース電極1008aと頂部ドレイン電極1012の間の重複領域1018(すなわち、第1のアンバイポーラCN−VFETの活性領域)が第2のソース電極1008bと頂部ドレイン電極1012の間の重複領域1021(すなわち、第2のアンバイポーラCN−VFETの活性領域)と異なっており、半導体チャネル層1010において異なるキャリア(すなわち、電子及び正孔)の移動度の差異を補償するようにすることができる。
【0043】
幾つかの実施形態では、半導体チャネル層1010における正孔および/または電子の移動度が十分に高く、2つのソース電極1008a及び1008bを分離する適当な距離が2つのソース電極1008の間のリーク電流を低くするのに十分ではない場合、あるいは2つのソース電極1008a及び1008bの分離距離を低減させることによりCN−VFETベースのインバータの接地面積を縮小させる努力が必要な場合、2つの別々の半導体チャネル層1010a及び1010bを堆積することによって、あるいは半導体チャネル層1010を堆積した後に半導体チャネル層1010を独立した層1010a及び1010に分離することができる方法によって、半導体チャネル層1010を分離してもよい。
図11A及び11Bは、別個の半導体チャネル層1010a及び1010bを有するCN−VFETベースのデジタルインバータの例を図示している。
図11Aの例のように、2つのCN−VFETで頂部ドレイン層1012を共有してもよい。
図11Bの例では、別個のドレイン層1012a及び1012bが半導体チャネル層1010a及び1010bそれぞれの上に堆積され、周辺連結具を介して電気的に接続されている。
【0044】
CN−VFETベースのインバータの動作手順を
図10に関して以下に記載する。右側のCN−VFETのソース電極1008bは接触パッド1011bを介してV
ddに接続され、左側のCN−VFETのソース電極1008aは接触パッド1011aを介して接地されている。ゲート1002が接地されると、CNTソース電極1008bと半導体チャネル1010の間の正孔注入障壁が右側のCN−VFETに対して低くなり、右側のCN−VFETをソース1008bからドレイン1012に移動する正孔に対する低インピーダンスの経路とする。一方、左側のCN−VFETについて、ゲート1002が接地されたソース電極1008aと同じ電位となり、電子注入障壁は高いままであるため、左側のCN−VFETを電子に対する高インピーダンスの経路とする。インバータ1000のいずれのCN−VFETについても、半導体−ドレイン接触を示す内蔵型ショットキーダイオードのため、電子又は正孔の何れもドレイン電極1012から半導体層1010へと注入することはできず、CN−VFETを通る電流はソース注入によって完全に決定されることに留意されたい。他方、内蔵型ショットキーダイオードは、半導体層1010からドレイン電極1012へと正孔又は電子を容易に通過させる。その結果、右側のCN−VFETの低インピーダンスと左側のCN−VFETの高インピーダンスは、V
ddに非常に近い出力電圧を生成する。一方、内蔵型ショットキーダイオードは、両方のCN−VFETの直列チャネルを通るリーク電流を最小限にする。同様に、V
ddの入力電圧がゲート1002に印加されると、右側のCN−VFETがオフになり、左側のCN−VFETがオンになって、出力端子において接地レベルに近い出力電圧(V
out)となる。ここでも、インバータを通るリーク電流は最小となる。
【0045】
幾つかの実施形態では、一方のCN−VFET(CN−VFET1)が正孔のみに対して非注入のドレイン電極を特徴とし、他方のCN−VFET(CN−VFET2)が電子のみに対して非注入のドレイン電極を特徴とする2つのアンバイポーラCN−VFETを有するように、インバータを形成することができる。この場合、CN−VFET1はnチャネル動作に対して最適化することができ、CN−VFET2はpチャネル動作に対して最適化することができる。この場合、CN−VFET1とCN−VFET2に接続する極性が重要である。接地とV
ddの電荷レベル間では、CN−VFET1のソース電極は電荷の低い側に接続すべきであり、CN−VFET2のソース電極は電荷の高い側に接続すべきである。
【0046】
図11A−11Dを参照すると、TFB:P(NDI2OD−T2)のアンバイポーラCN−VFETに基づくインバータの出力特性を示している。
図12AはV
dd及びV
inが正である第1象限の特性を示しており、
図12BはV
dd及びV
inが負である第3象限の特性を示している。両方の場合のリーク電流が、
図12C及び12Dにそれぞれプロットされている。
図12C及び12Dに見られるように、リーク電流は低く、これにより、静的電力消費は最小限となる。理想的なインバータは、2つの状態の間の遷移部で無限のゲインを有する(すなわち、dV
out/dV
in=∞)。対照的に、現実の理想的ではないインバータは有限のゲインを有する。しかしながら、インバータを有用にするためには少なくとも1を超えるゲインが必要とされ、装置に優れたノイズ除去をもたらすには大きなゲインが好ましい。
図13A及び13Bのプロットは、第1及び第3象限それぞれにおける、異なるV
ddレベルで動作しているインバータのゲインである。見てわかるように、5ボルトを超えるV
ddレベルでインバータは有用となりうる。
【0047】
図14を見てみると、本開示の様々な実施形態によるアンバイポーラCN−VFETベースのデジタルインバータ1000(
図10、及び11A−11B)の製造の一例を示すフローチャート1400を図示している。1403に始まり、ゲート電極1002が、例えば基板1001上に形成される。次いで、1406において、誘電層1004がゲート電極1002上に形成される。1409において、誘電表面処理層1006を誘電層1004上に形成することができる。幾つかの実施形態では、誘電表面処理層1006は、デジタルインバータ1000に含まれなくともよい。1412では、ソース電極1008が誘電表面処理層1006(または誘電層1004)上に形成される。それぞれのソース電極1008は、少なくとも1つのカーボンナノチューブを含みうる。著しいリーク電流がソース電極1008間を確実に流れないないようにするため、ソース電極1008間には適切な距離が保たれる。ソース電極1008の形状および相対位置は、フォトリソグラフィ及びその後のエッチング工程によって規定することができる。
【0048】
1415において、ソース電極1008それぞれの一部に接触パッド1011を形成することができる。幾つかの実施例では、ソース電極1008が接触パッド1011上に形成される前に、接触パッド1011を誘電層1004または誘電表面処理層1006上に形成してもよい。1418では、ソース電極1008それぞれの少なくとも一部を覆うように1以上の半導体チャネル層1010を形成することができる。
図10に示すように1つの半導体チャネル層1010を用いてもよく、
図11Aおよび11Bに示すように個々の半導体チャネル層1010を使用してもよい。(複数の)半導体チャネル層1010の厚さ(すなわち、CN−VFETのチャネル長)は、スピンコーティング、熱蒸着、および/または、その他の様々な薄膜形成法の1以上といった、半導体材料を堆積するための方法の処理パラメータによって決定される。1421では、1以上のドレイン電極1012が半導体チャネル層1010上に形成される。ソース電極1008とドレイン電極1012の間に延びる半導体チャネル層1010の相分離経路が電流の流れを可能にする。
【0049】
図14のフローチャートは、
図10及び11A−11BのアンバイポーラCN−VFETベースのデジタルインバータ1000を形成する、想定される実施例の機能および動作を示している。幾つかの代替的な実施例では、ブロックに記載された機能は、
図14に記載されたものと異なる順番でも生じることにも留意されたい。例えば、
図14に連続して図示された2つのブロックは、実際には実質的に同時に実行されてもよく、あるいは、これらのブロックは時として、生じる機能に応じて、逆の順序で実行されてもよい。
【0050】
ある実施形態は、とりわけ、ゲート層と;電気的にパーコレーティングして、パーフォレートされたソース層と;ゲート層とソース層の間に配置された誘電層と;ドレイン層と;ソース層とドレイン層の間に配置され、ソース層の少なくとも一部分および誘電層の少なくとも一部分と接触する半導体チャネル層であって、ソース層と半導体チャネル層がゲート電圧を調整可能な電荷注入障壁を形成する、半導体チャネル層と、を具えるアンバイポーラ垂直電界効果トランジスタを含んでいる。他の実施形態は、ゲート層と;誘電表面処理層と;ゲート層と誘電表面処理層の間に配置された誘電層と;電気的にパーコレーティングして、パーフォレートされたソース層であって、誘電表面処理層がソース層と誘電層の間に配置されたソース層と;ドレイン層と;ソース層とドレイン層の間に配置され、ソース層の少なくとも一部分および誘電表面処理層の少なくとも一部分と接触する半導体チャネル層であって、ソース層と半導体チャネル層がゲート電圧を調整可能な電荷注入障壁を形成する半導体チャネル層と、を具えるアンバイポーラ垂直電界効果トランジスタを含んでいる。
【0051】
半導体チャネル層は、半導体チャネル層を通って延在し、ソース層及びドレイン層の双方と接触して半導体チャネル層内に高いキャリア移動度のチャネルを形成する単一の結晶粒を具えうる。半導体チャネル層は、他の結晶粒と相互接続し、半導体チャネル層を通って延在して記ソース層とドレイン層を接続する高いキャリア移動度のチャネルを形成する結晶粒を具えうる。半導体チャネル層は、複数の結晶化p型半導体、複数の結晶化n型半導体、および/または半導体チャネル層の形態を変化させる非晶質材料を具えうる。
【0052】
半導体チャネル層はpチャネル有機半導体とnチャネル有機半導体の混合物を具えてもよく、pチャネル有機半導体はソース層の材料のフェルミ準位下2eV内のHOMO準位を有し、nチャネル有機半導体はソース層の材料のフェルミ準位超2eV内のLUMO準位を有する。半導体チャネル層は、離散領域を形成するpチャネル有機半導体とnチャネル有機半導体を有する相分離構造を具えうる。pチャネル有機半導体の離散領域は、ソース層とドレイン層との間で正孔を輸送するための移動度が高い経路を形成することができる。nチャネル有機半導体の離散領域は、ソース層とドレイン層との間で電子を輸送するための移動度が高い経路を形成することができる。
【0053】
半導体チャネル層は、ソース層からの正孔注入を受容可能なHOMO準位と、同一のソース層からの電子注入を受容可能なLUMO準位とを有する、バンドギャップが狭い有機半導体を具えうる。ゲート層は高濃度にドープされたp型シリコンを含んでもよく、半導体チャネル層は、ポリ(9、9−ジオクチル−フルオレン−co−N−(4−ブチルフェニル)−ジフェニルアミン)(TFB)と[6、6]−フェニル−C61−酪酸メチルエステル(PCBM)の混合物を含んでもよい。他の実施形態では、半導体チャネル層は、例えば、1、3、5−トリアリルベンゼン中核を有する化合物、縮合複素環芳香族化合物、大環状分子、N、N、N’、N’−テトラアリールベンジジン、オリゴアリーレンビニレン、オリゴフルオレン、オリゴチオフェン及びそれらの類似化合物、フェニレン−チエニレンオリゴマー、多環芳香族化合物、スピロ化合物、テトラチアフルバレンの派生物、又はトリス(オリゴアリーレニル)アミンといったp型小分子有機半導体を含みうる。幾つかの実施形態では、半導体チャネル層は、例えば、フラーレンベースの化合物、フッ素化材料、及び類似化合物、またはナフタリンおよびペリレンベースの化合物といったn型小分子有機半導体を含みうる。他の実施形態では、半導体チャネル層は、p型ポリマの有機半導体、n型ポリマの有機半導体、またはアンバイポーラ有機半導体を含みうる。
【0054】
p型小分子有機半導体は:a)例えば、1、3、5−トリス(5”−デシル−2、2’:5’、2”−ターチエン−5−イル)ベンゼン等の1、3、5−トリアリルベンゼン中核を有する化合物;b)例えば、ビス(ジチエノチオフェン)(BDT)、2、6−ジフェニルジチエノ[3、2−b:2’、3’−d]チオフェン(DPh−DTT)、5、5’−ビス−ビフェニル−ジチエノ[3、2−b:2’、3’−d]チオフェン(BPDTT)、2、5−ビス(4−ビフェニルイル)−チエノ[3、2−b]チオフェン(BPTT)、2、5−ビス−(9H−フルオレン−2−イル)−チエノ[3、2−b]チオフェン(BFTT)、ジナフト[2、3−b:2’、3’−f]チエノ[3、2−b]チオフェン(DNTT)、ジアントラ[2、3−b:2’、3’−f]チエノ[3、2−b]チオフェン(DATT)、2、7−ジフェニル[1]ベンゾチエノ[3、2−b][1]ベンゾチオフェン(DPh−BTBT)、2、7−ジオクチル[1]ベンゾチエノ[3、2−b][1]ベンゾチオフェン(C8−BTBT)、ジベンゾ[d、d’]チエノ[3、2−b;4、5−b’]ジチオフェン(DBTDT)、ジチエノ[2、3−d:2’、3’−d’]チエノ[3、2−b:4、5−b’]ジチオフェン(ペンタチエノアセン、PTA)、ベンゾ環付加ペンタチエノアセン(f−B5TB)、及びビス(ベンゾ[4、5]−チエノ)[2、3−b:3’、2’−d]チオフェン等の縮合複素環芳香族化合物;c)例えば、酸化チタンフタロシアニン(TiOPc)、及びPt(II)オクタエチルポルフィン(PtOEP)等の大環状分子;d)例えば、N、N’−ビス(ナフタリン−1−イル)−N、N’−ビス(フェニル)−ベンジジン(NPB)、及びN、N’−ビス(3−メチルフェニル)−N、N’−ビス(フェニル)−ベンジジン(TPD)等のN、N、N’、N’−テトラアリールベンジジン;e)オリゴチエニレンビニレン、及び1、4−ビス(ビニレン−(N−ヘキシル−2−カルバゾール))フェニレン(CPC)、N−メチル−2、7−ビス(ビニレン−(7−ヘキシル−N−メチル−2−カルバゾール))カルバゾール(RCCCR)等のオリゴアリーレンビニレン;f)例えば、F(MB)10F(EH)2、F(Pr)5F(MB)2等のオリゴフルオレン;g)例えば、5、5’’’’’−ジヘキシル−2、2’:5’、2’’:5’’、2’’’:5’’’、2’’’’:5’’’’、2’’’’’−セキシチオフェン、5、5’−ビス−(7−シクロヘキシル−9H−フルオリン−2−イル)−2、2’−ビチオフェン(CHFTTF)、5、5’’’−ジシクロヘキシル−[2、2’;5’、2’’;5’’、2’’’]クォーター−チオフェン(CH4T)、p−キンキフェニル(p−5P)、及びp−セキシフェニル(p−6P)等のオリゴチオフェン及びそれらの類似化合物;h)例えば、5、5’−ジ(ビフェニル−4−イル)−2、2’−ビチオフェン(BP2T)、5、5’−ジ(9H−フルオリン−2−イル)−2、2’−ビチオフェン(FTTF)、5、5’−ビス(7−ヘキシル−9H−フルオリン−2−イル)−2、2’−ビチオフェン(DH−FTTF)、α、ω−ビス(ビフェニル−4−イル)−テルチオフェン(BP3T)、及び5、5’−ビス(7−ドデシル−9H−フルオリン−2−イル)−2、2’−ビチオフェン(Ddodec−FTTF)等のフェニレン−チエニレンオリゴマー;i)例えば、6、13−ビス(トリイソプロピルシリルエチニル)ペンタセン(TIPS−ペンタセン)、アントラ[2、3−b:6、7−b’]ジチオフェン(ADT)、5、12−ジフェニルテトラセン(DPT)、ペンタセン、6、13−ジフェニルペンタセン、及び6、13−ジクロロペンタセン(DCP)、5、6、11、12−テトラフェニルテトラセン(ルブレン)等の多環芳香族化合物;j)例えば、2、2’、7、7’−テトラキス(N、N−ジフェニルアミノ)−9、9−スピロビフルオレン(スピロ−TAD)、及び2、2’、7、7’−テトラキス[N−ナフタレニル(フェニル)−アミノ]−9、9−スピロビフルオレン(スピロ−2NPB)等のスピロ化合物;k)例えば、テトラメチルテトラセレナフルバレン(TMTSF)、ジチオフェン−テトラチアフルバレン(DT−TTF)、及びジベンゾ−テトラチアフルバレン(DB−TTF)等のテトラチアフルバレンの派生物;および、l)例えば、トリス(4−(チオフェン−2−イル)フェニル)アミン(TTPA)、トリス(4−(5−フェニルチオフェン−2−イル)フェニル)アミン(TPTPA)、トリス(9、9−ジメチルフルオレン−2−イル)アミン(TFlA)、トリス[4−(2−セレニル)フェニル]アミン(TSePA)、及び9、9−ビス[4−(N、N−ビス−ナフタリン−2−yl−アミノ)フェニル]−9H−フルオレン(NPAPF)等のトリス(オリゴアリーレニル)アミンを含みうるが、これらに限定はされない。
【0055】
p型ポリマ有機半導体は、ポリ[(9、9−ジ−n−オクチルフルオレニル−2、7−ジイル)−alt−2、2’−ビチオフェン−5、5’−ジイル)](F8T2);ポリ[ビス(3−ドデシル−2−チエニル)−2、2’−ジチオフェン−5、5’−ジイル](PQT−12);ポリ[2、5−ビス(3−ドデシルチオフェン−2−イル)チエノ[3、2−b]チオフェン](PBTTT−12);PBTTT−14、PBTTT−16;ポリ[(5、6−ジヒドロ−5−オクチル−4、6−ジオキソ−4H−チエノ[3、4−C]ピロール−1、3−ジイル){4、8−ビス[(2−ブチルオクチル)オキシ]ベンゾ[1、2−b:4、5−b’]ジチオフェン−2、6−ジイル}](PBDTBO−TPDO);ポリ[N−9’−ヘプタデカニル−2、7−カルバゾール−alt−5、5−(4’、7’−ジ−2−チエニル−2’、1’、3’−ベンゾチアジアゾール)];ポリ[[9−(1−オクチルノニル)−9H−カルバゾール−2、7−ジイル]−2、5−チオフェンジイル−2、1、3−ベンゾチアジアゾール−4、7−ジイル−2、5−チオフェンジイル](PCDTBT);ポリ[ビス(4−フェニル)(2、4、6−トリメチルフェニル)アミン](PTAA);ポリ[(9、9−ジオクチルフルオレニル−2、7−ジイル)−co−ビチオフェン];ポリ(3−ドデシルチオフェン−2、5−ジイル);ポリ[2−メトキシ−5−(3’、7’−ジメチルオクチルオキシ)−1、4−フェニレンビニレン];ポリ[(9、9−ジオクチルフルオレニル−2、7−ジイル)−co−(4、4’−(N−(4−sec−ブチルフェニル)ジフェニルアミン)](TFB);及びポリ[N、N’−ビス(4−ブチルフェニル)−N、N’−ビス(フェニル)−ベンジジン](ポリ−TPD)を含みうるが、これらに限定はされない。
【0056】
n型小分子有機半導体は:a)例えば、フラーレン−C60、フラーレン−C70、フラーレン−C84、(6、6)−フェニル−C61酪酸メチルエステル(PCBM)、インデン−C60ビス付加体(ICBA)、及びC60、N、N、N−トリメチル−1−(2、3、4−トリス(2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ)フェニル)メタンアミニウムモノ付加体(PrC60MA)といったフラーレンベースの化合物;b)例えば、銅(II)1、2、3、4、8、9、10、11、15、16、17、18、22、23、24、25−ヘキサデカフルオロ−29H、31H−フタロシアニン(F16CuPc)、5、5’−ビス((5−ペルフルオロヘキシル)チオフェン−2−イル)−2、2’−ビチオフェン(DFH−4T)、ペルフルオロペンタセン、及び2、7−[ビス−(5−ペルフルオロヘキシルカルボニルチエン−2−イル)]−4H−シクロペンタ[2、1−b:3、4−b’]−ジチオフェン−4−オン(DFHCO−4TCO)といったフッ素化材料および類似化合物;及び、c)例えば、ビスベンゾイミダゾ[2、1−a:1’、2−b’]アントラ[2、1、9−def:6、5、10−d’e’f’]ジイソキノリン−10、21−ジオン(PTCBI)、3、4、9、10−ペリレンテトラカルボン酸ジイミド(PTCDI)、1、4、5、8−ナフタレンテトラカルボキシジアンヒドリド(NTDA)、N、N’−ビス[2−(2、4−ジクロロ−フェニル)−エチル]−3、4、9、10−ペリレンジカルボキシイミド(2、4ClPEPTC)、N、N’−ジオクチル−3、4、9、10−ペリレンジカルボキシイミド(PTCDI−C8)、及びジインデノ[1、2、3−cd;1’、2’、3’−lm]ペリレン(DIP)等のナフタリン及びペリレンベースの化合物を含みうるが、これらに限定はされない。
【0057】
N型ポリマ有機半導体は:(ベンズイミダゾベンゾフェナントロリン);ポリ(2、5−ジ(3、7−ジメチルオクチルオキシ)シアノテレフタリリデン);ポリ(5−(3、7−ジメチルオクチルオキシ)−2−メトキシ−シアノテレフタリリデン);及びポリ{[N、N’−ビス(2−オクチルドデシル)−ナフタリン−1、4、5、8−ビス(ジカルボキシイミド)−2、6−ジイル]−alt−5、5’−(2、2’−ビチオフェン )}(P(NDI2OD−T2)を含みうるが、これらに限定はされない。
【0058】
アンバイポーラ電荷輸送有機半導体は:9−(1、3−ジチオール−2−イリデン)チオキサンテン−C60diad;オリゴチオフェン/フラーレントライアド(2:16T−2C60);ポリ(3、9−ジ−tert−ブチルインデノ[1、2−b]フルオレン)(PIF);及び燕尾形のクアテリレンテトラカルボキシジイミド(SWQDI)を含みうるが、これらに限定はされない。正孔及び電子双方の効率的な注入を実現することができる特定の状況下で、p型またはn型の種類に関して前述した材料をアンバイポーラ電荷輸送材料として利用してもよい。
【0059】
アンバイポーラ垂直電界効果トランジスタでは、ショットキー障壁をドレイン層と半導体チャネル層の間に形成し、ドレイン層からチャネル層への正孔及び電子双方の注入を防ぐことができる。ゲート層を基板上に形成してもよい。ドレイン層を基板上に形成してもよい。半導体チャネル層はソース層とドレイン層の間に延びる複数のキャリア経路を含む相分離構造を具えてもよく、それぞれの経路はpチャネル有機半導体又はnチャネル有機半導体を具えている。
【0060】
インバータは、背中合わせに接続された2つのアンバイポーラ垂直電界効果トランジスタを具えうる。2つのアンバイポーラ垂直電界効果トランジスタは、半導体チャネル層への正孔及び電子双方の注入に対して非注入のドレイン層を具えうる。2つのアンバイポーラ垂直電界効果トランジスタの第1のトランジスタは、半導体チャネル層への正孔注入に対して非注入のドレイン層を具え、2つのアンバイポーラ垂直電界効果トランジスタの第2のトランジスタは、半導体チャネル層への電子注入に対して非注入のドレイン層を具えうる。2つのアンバイポーラ垂直電界効果トランジスタは、大きさが異なる活性領域を具えて、正孔及び電子の移動度の差異を補償するようにすることができる。ゲート層及び誘電層は2つのアンバイポーラ垂直電界効果トランジスタに共通していてもよい。半導体層は2つのアンバイポーラ垂直電界効果トランジスタに共通していてもよい。2つのアンバイポーラ垂直電界効果トランジスタは別個の半導体層を有してもよい。ドレイン層は2つのアンバイポーラ垂直電界効果トランジスタに共通していてもよい。誘電表面処理層は2つのアンバイポーラ垂直電界効果トランジスタに共通していてもよい。
【0061】
本開示の上記実施形態は単に、本開示の原理を明確に理解するために示された想定される実施例にすぎないことを強調すべきである。本開示の概念および原理から実質的に逸脱することなく、上記実施形態に多くの変更および改変をすることができる。このような改変および変更は全て、本書の本開示の範囲内に含まれ、かつ以下の特許請求の範囲によって保護されることを意図している。
【0062】
比、濃度、量、及び他の数値データは、本書では範囲形式で表現されていることに留意されたい。このような範囲形式は便宜上および簡潔にするために使用されたものであり、したがって、範囲限度として明示された数値だけでなく、個々の数値及びサブレンジがそれぞれ明示されたかのような範囲内に含まれる全ての個々の数値またはサブレンジを含むものとして、柔軟に解釈すべきことを理解されたい。例示するために、「約0.1%乃至約5%」の濃度範囲は、約0.1重量%乃至約5重量%の明示された濃度だけではなく、示された範囲内の個々の濃度(例えば、1%、2%、3%、及び4%)、およびサブレンジ(例えば、0.5%、1.1%、2.2%、3.3%、及び4.4%)を含むものとして解釈すべきである。用語「約」は、数値の有効数字に応じた従来の丸めを含みうる。さらに、「約‘x’乃至‘y’」という表現は、「約‘x’乃至約‘y’」を含む。