(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6313449
(24)【登録日】2018年3月30日
(45)【発行日】2018年4月18日
(54)【発明の名称】アンテナシステム
(51)【国際特許分類】
H01Q 1/12 20060101AFI20180409BHJP
H01Q 3/08 20060101ALI20180409BHJP
【FI】
H01Q1/12 E
H01Q3/08
【請求項の数】13
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-537408(P2016-537408)
(86)(22)【出願日】2014年8月14日
(65)【公表番号】特表2016-532387(P2016-532387A)
(43)【公表日】2016年10月13日
(86)【国際出願番号】IB2014063919
(87)【国際公開番号】WO2015028913
(87)【国際公開日】20150305
【審査請求日】2016年4月21日
(31)【優先権主張番号】13306188.7
(32)【優先日】2013年8月30日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】515353143
【氏名又は名称】アルカテル−ルーセント シャンハイ ベル カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100106183
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 弘司
(74)【代理人】
【識別番号】100114915
【弁理士】
【氏名又は名称】三村 治彦
(74)【代理人】
【識別番号】100120363
【弁理士】
【氏名又は名称】久保田 智樹
(74)【代理人】
【識別番号】100125139
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 洋
(72)【発明者】
【氏名】チャアウ,デニス
(72)【発明者】
【氏名】ヴァネッティ,ロイク
【審査官】
西村 純
(56)【参考文献】
【文献】
特開2004−032118(JP,A)
【文献】
実開昭62−084207(JP,U)
【文献】
特開平05−343912(JP,A)
【文献】
特開平03−270404(JP,A)
【文献】
特開2002−111360(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2006/0158384(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 1/00−25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンテナシステムであって、
−少なくとも1つのアンテナ及び少なくとも1つの無線接続ボックスを含み、第1の軸X−X´に沿って設けられた、第1のモジュールと、
−第2の軸Y−Y´に沿って設けられ、第3の軸Z−Z´に沿って配置されたマウントへ前記アンテナシステムの固定及び位置決めをするように構成され、該第3の軸Z−Z´に関して第1の回転をするように構成された、第2の設置モジュールと、
−前記第1のモジュールと前記第2の設置モジュールの間の接続を確保する境界部と、
を備え、
前記境界部と前記第1のモジュールとの間の接続が、前記第1の軸X−X´に関する該第1のモジュールの第2の回転を可能とし、
前記境界部と前記第2の設置モジュールとの間の接続が、前記第2の軸Y−Y´に関する該境界部及び前記第1のモジュールの第3の回転を可能とし、
前記第1の回転、前記第2の回転、及び前記第3の回転によって、前記アンテナの整合を可能にする、
アンテナシステム。
【請求項2】
前記境界部が、前記第1のモジュールの接触面に強固に接続可能な第1のプレート及び前記第2の設置モジュールの接触面に強固に接続可能な第2のプレートを備える、請求項1に記載のアンテナシステム。
【請求項3】
前記境界部が、前記第1のRFモジュール又は前記第2の設置モジュールとの一体部品で形成された、請求項1に記載のアンテナシステム。
【請求項4】
前記境界部が2つの部分で形成され、第1の部分が前記第1のモジュールと一体部品で形成され、第2の部分が前記第2の設置モジュールとの一体部品で形成された、請求項3に記載のアンテナシステム。
【請求項5】
前記第1のモジュールの前記軸X−X´と前記第2の設置モジュールの前記軸Y−Y´とが同一である、請求項1から4のいずれか一項に記載のアンテナシステム。
【請求項6】
前記第1のモジュールの前記軸X−X´と前記第2の設置モジュールの前記軸Y−Y´が非ゼロの角度をなす、請求項1から4のいずれか一項に記載のアンテナシステム。
【請求項7】
前記第1のモジュールの前記軸X−X´と前記第2の設置モジュールの前記軸Y−Y´が45°の角度βをなす、請求項6に記載のアンテナシステム。
【請求項8】
前記第1のモジュールの前記軸X−X´と前記第2の設置モジュールの前記軸Y−Y´が90°の角度αをなす、請求項6に記載のアンテナシステム。
【請求項9】
前記第2の設置モジュールが、前記アンテナシステムを前記マウントに固定可能であり、
前記マウントが、管形状又は平坦形状を有する、
請求項1から8のいずれか一項に記載のアンテナシステム。
【請求項10】
前記第2の設置モジュールの前記第2の軸Y−Y´が前記マウントの前記第3の軸Z−Z´に略垂直であり、該マウントが管形状を有する、請求項9に記載のアンテナシステム。
【請求項11】
前記第1のモジュールが、
−ともに組付け可能な前方部分及び後方部分を備えたカバーと、
−前記アンテナに向く開口と、
−前記開口に配置されたレードームと、
を備え、
前記少なくとも1つの無線接続ボックスは、前記アンテナの後方に固定されている、
請求項1から10のいずれか一項に記載のアンテナシステム。
【請求項12】
前記第1のモジュールが少なくとも部分的に円筒形状を有する、請求項1から11のいずれか一項に記載のアンテナシステム。
【請求項13】
前記第1のモジュールのカバーが概ね滑らかな球形状を有する、請求項1から12のいずれか一項に記載のアンテナシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンテナシステムの分野に関し、特に、アンテナ及びそれをマウントに組み付けるための装置を備えたシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
いわゆるLTE標準(「Long−Term Evolution」)を用いた新たな世代の携帯電話ネットワークの展開、交換されるデータの量及び対応する通信トラフィックの規模の増加、更には新興国(中国、インド)へのユーザのコミュニティの拡張は、データを送信するネットワーク容量の増加を必要とする。さらに、旧来的な周波数帯(主に10〜40GHzの領域)は混雑しており、都会のネットワークでの益々増加するユーザ密度によって、都市の生活空間にアンテナが直接設置される小さなセルの必要性が増している。
【0003】
これらの変化の全ては、それらに増加する新たな要件をもたらす。より高い周波数帯(56〜90GHz)の使用は、アンテナの中心動作周波数の割合として表現される帯域(GHz)をより多く提供する。これは、帯域容量の要求を満たすのに役立つ。これらの高い周波数では空気/水での吸収レベルが高いため、それらは、より小さいセルの要求に対応する短距離接続に適している。セルのサイズが小さいことによって、ゲインの劣化を良好なものとすることもでき、したがって、より小型のアンテナ開口の使用が可能となる。住宅エリアにおける一般の人々及びアンテナ設備の所有者の間での許容性を向上するために、景色を全体として損なわない独立した低体積の解決手段を持つことが重要である。ネットワークオペレータは、この要望を、いわゆる「ローフォームファクタ」アンテナ要件への要求に、それらが範囲を制限するにつれて同調させ、又はアンテナとは完全に異なって見える機器への要求に同調させてきた。
【0004】
より小型のアンテナがあれば機器のコストが低減し、結果として、アンテナを設置することによって表されるコストファクタが、設置期間を短縮及び最適化したいと思うオペレータの注意をより惹くことになる。結論として、容易な設置を可能とするとともに客観的及び主観的に目立たないような、高い無線周波数で動作するローフォームファクタのアンテナが現在不可欠となっている。
【0005】
現在の無線リンクシステムは一般的に、塔又はマスト構造物に固定されるマウントによって支持される送信アンテナ(ディッシュ、クラムシェル、パッチ、ホーンなどのような様々な技術的種類のものとなり得る)及びアンテナの後部に直接搭載されることが多い無線ボックスで構成され、これも結果的にアンテナのマウントによって支持される。このアセンブリ装置は、所定数の取付け要素、ネジ、ナット及び他の固定用要素で構成される。しかし、そのようなシステムは多数の欠点を有する:
・アンテナは、このようにはっきりと視認可能及び識別可能なままである
・そのようなアンテナシステムの組付け及び設置は、設置者によって扱われなくてはならない多数の部品のために比較的長時間を要する
・システムの技術的配置によっては、設置工程において2本より多い手が必要となる可能性がある
・システムは、アンテナが水平面(アジマス)及び垂直面(ティルト)の双方において調整されることを可能としない
・システムは見栄えの良いものではなく、アセンブリ装置及び無線ボックスから分離したアンテナを備える構造体は風圧抵抗に対して全く最適化されない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
従来技術の欠点をなくすために、好適な外観及び小さい体積で、設置が迅速かつ容易となるアンテナシステムが提案される。
【0007】
本発明の主題は、
−無線周波数機能を確保し、少なくとも1つのアンテナ及び少なくとも1つの無線接続ボックスを含む第1のモジュールと、
−マウントへのアンテナシステムの固定及び位置決めを確保する第2の設置モジュールと、
−第1のモジュールと第2のモジュールの間の接続を確保し、アンテナを整列させるように第1のモジュールと第2のモジュールの間の回転接合を可能とする境界部と
を備えたアンテナシステムである。
【0008】
第1の形態によると、境界部は、第1のモジュールの接触面に強固に接続可能な第1のプレート及び第2のモジュールの接触面に強固に接続可能な第2のプレートを備える。
【0009】
第2の形態によると、境界部は、第1のモジュール又は第2のモジュールとの一体部品で形成され得る。一変形例によると、境界部は2つの部分で形成されていてもよく、第1の部分は第1のモジュールとの一体部品で形成され、第2の部分は第2のモジュールとの一体部品で形成される。
【0010】
第1の構成によると、第1のモジュールの軸と第2のモジュールの軸とは同一である。
【0011】
第2の構成によると、第1のモジュールの軸と第2のモジュールの軸は非ゼロの角度をなす。
【0012】
第1の変形例によると、第1のモジュールの軸X−X´と第2のモジュールの軸Y−Y´は45°の角度βをなす。
【0013】
第2の変形例によると、第1のモジュールの軸と第2のモジュールの軸は略垂直であり、第1のモジュールの軸X−X´と第2のモジュールの軸Y−Y´は90°の角度αをなす。
【0014】
他の形態によると、第2のモジュールは、アンテナシステムを管状又は平坦マウントに固定可能である。好ましくは、第2のモジュールの軸Y−Y´は、管状マウントの軸Z−Z´に略垂直である。
【0015】
提案される解決手段は、予期される機能:無線電波を送受信してアンテナの動作を確保すること、アンテナを水平(アジマス)平面及び垂直(ティルト)平面において正確に調整すること並びにアンテナシステムをマウントに固定すること、の全てを提供する小型アンテナシステムである。
【0016】
一実施形態によると、第1のモジュールは、
−ともに組付け可能な前方部分及び後方部分を備えたカバーと、
−少なくとも1つのアンテナと、
−アンテナの後方に固定された少なくとも1つの接続ボックスと、
−アンテナに向く開口と、
−開口に配置されたレードームと
を備える。
【0017】
一実施形態によると、第1のモジュールは少なくとも部分的に円筒形状を有する。
【0018】
一実施形態によると、アンテナシステムは概ね滑らかな球形状を有する。
【0019】
アンテナシステムの概形は、多数の有利な効果を有する見栄えの良い解決手段である。方向にかかわらず平坦面がない略球形状によって、風圧負荷、更には特に寒冷地においてアンテナシステムに氷又は雪が堆積するリスクが減少する。このアンテナシステムはまた、それが非常に少ない部品しか備えないため、組付け及び調整の容易化が可能となる。最後に、設計は、組付けの選択肢の観点において大幅な柔軟性を与え、特に、それは任意のマウント、特に円筒状の又は平坦なマウントにも設置されることができ、それによりアンテナシステムを全ての環境に適合させることが可能となる。
【0020】
本発明の他の特徴及び有利な効果は、当然に非限定的な例として与えられる一実施形態及び添付図面の以降の説明を読めば明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】
図1は、アンテナシステムの一実施形態を示す。
【
図3】
図3aから3dは、
図1のアンテナシステムのための無線接続ボックス及びレードームを示す。
【
図4】
図4は、アンテナシステムを管状マウントに組み付けるための第2のモジュールの第1の実施形態の模式的な上面図を示す。
【
図5】
図5a、5b及び5cは、第1のモジュール及び第2のモジュールが整列された場合のアンテナシステムにおける境界部の第1の実施形態を示す。
【
図6】
図6a及び6bは、第1のモジュール及び第2のモジュールが整列された場合に管状マウントに組み付けられたアンテナシステムの構成の側面図及び斜視図をそれぞれ示す。
【
図7】
図7は、第1のモジュール及び第2のモジュールが整列されていない場合の境界部の第2の実施形態を示す。
【
図8】
図8a及び8bは、第1のモジュール及び第2のモジュールが整列されていない場合に平坦マウントに組み付けられたアンテナシステムの構成の側面図及び斜視図をそれぞれ示す。
【
図9】
図9a及び9bは、管状マウントに組み付けられたアンテナシステムの複数の構成の斜視図を示す。
【
図10】
図10は、アンテナシステムを平坦マウントに組み付けるための第2のモジュールの第2の実施形態の模式的な断面図を示す。
【
図11】
図11は、平坦マウントに組み付けられたアンテナシステムの構成の斜視図を示す。
【
図12】
図12a及び12bは、平坦マウントに組み付けられたアンテナシステムの他の構成の正面図及び斜視図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1に示す実施形態では、アンテナシステム1は、一端に、特に無線電波を送信する機能を確保するための第1のモジュール2を、他端に、マウントへのアンテナシステムの組付けを可能とするための第2のモジュール3を備える。第1のRFモジュール2は、第1のRFモジュール2と第2のアセンブリモジュール3の間の回転接合を確保する境界部4によって第2のアセンブリモジュール3に接続される。
【0023】
第1のRFモジュール2は、その機能を満足するために、少なくとも1つのアンテナ及びその動作に必要な無線接続ボックスを含まなくてはならない。この場合、レードーム6に覆われたアンテナ5及び無線接続ボックス7は、第1のRFモジュール2の2部品カバー8a及び8bの内部に配置される。広帯域のコンセプトにおいて、カバー8a及び8bの材質を選択だけすることの代わりに、特定周波数のレードーム6が使用される。
【0024】
このアンテナシステムは、広範なアンテナ技術に適用され得る。ここで、アンテナ5はネットワークアンテナを示す長方形ブロックの形態で図示されているが、ディッシュ若しくはオフセット反射アンテナ、又はモジュール内に配置されるホーンアンテナのような単純な直接給電アンテナを用いることも可能である。
【0025】
第1のRFモジュール2のカバーの後方部分8a及び前方部分8bが接合され、ストッパ又はフラップ9を用いて強固に接続される。2つの部分8a及び8bが接合されると、第1のモジュール2のカバー8a及び8bは略円筒形となり、アンテナを向いて配置される円形開口10を備える。
【0026】
アンテナシステムは、全てのタイプのマウントに固定され得る。ここで、第2のアセンブリモジュール3は、例えば、マストなどの管状マウント12の周囲に締められる雄フランジ11a及び雌フランジ11bを備える。2つのフランジ11a及び11bは、管状マウント12の周囲に接合され、例えばボルト13によって強固に接続される。
【0027】
第1のRFモジュール2の軸X−X´及び第2のアセンブリモジュール3の軸Y−Y´は、ここでは同一である。2つのモジュール2及び3を接続してそれらが相互に回転できるように平坦な境界部4が第1のRFモジュール2の接触面14と第2のアセンブリモジュール3の接触面15との間に配置され、それにより第1のRFモジュール2がその軸X−X´に関して回転することが可能となり、第2のアセンブリモジュール3がその軸Y−Y´に関して回転することが可能となる。境界部4は、この場合のように、第1のRFモジュール2又は第2のアセンブリモジュール3との一体部品で形成され得る。モジュール2及び3は2つの部分からなるので、当然に、この場合には境界部4も2つの部分となる。中心合せロッド16は、モジュール2及び3を相互に正しく位置決めすることを可能とする。第1のRFモジュール2及び第2のアセンブリモジュール3は、接続されると、形状が連続的に調和して均質で継目がなく、無線周波及び組付けの両機能を備える小型アンテナシステム1を形成する。問題となる方向にかかわらず平坦面がないアンテナシステム1の滑らかな球形状は、特に風圧負荷を軽減することによって環境的制限に関するアンテナシステム1の機械的挙動を向上させる。アンテナシステム1の形状、特に第1のRFモジュール2のカバー8a及び8bの形状は、ポリマーから成型によって生産されるように適合されるが、他の材料も使用され得る。
【0028】
図2は、円筒中心合せロッド16を用いた第1のRFモジュール2及び第2のアセンブリモジュール3の結合をより具体的に示し、中心合せロッド16は、境界部4の中心における貫通孔18を通り、モジュール2及び3の接触面14及び15の各々の中心に形成されたハウジング17に嵌合する。境界部4は、第1のRFモジュール2又は第2のアセンブリモジュール3のいずれかとの一体部品で形成され得る。境界部4はまた、2つの部分として生産され、第1の部分が第1のRFモジュール2と一体部品であり、第2の部分が第2のアセンブリモジュール3との一体部品であり、2つのモジュール2及び3の間の接続は境界部4の2つの部分を結合することによって行われる。
【0029】
図3aは、カバーの後方部分8bが除去された第1のRFモジュール2の断面図を示す。無線接続ボックス7は、クライアントによって規定されるリンクに応じた固定手段21によってアンテナ5の後方に固定される。最も一般的に使用される固定手段21はネジである。無線接続ボックス7は、カバーの後方部分8bによって環境的な制限から保護される。
【0030】
図3b、3c及び3dに図示されるレードーム6は、第1のRFモジュール2の内部に配設されたアンテナを保護するために円形開口10に配置される。レードーム6は、固い可逆固定手段30を備える。レードーム6を固定するための異なる方法が検討されてもよい。これらの固定手段30は、円形開口10の縁若しくは円形開口10の縁の内部に形成された適切なハウジングと噛み合うような4分の1回転ネジ又は種々のフック形状31、32、33及び34を採り得るクリップなど、様々なタイプのものとなり得る。レードーム6を変更するのが容易となるような態様で固定手段30が選択され、それにより、アンテナシステム1がどのように生産されるかについて大きな柔軟性が得られる。
【0031】
このようなアンテナシステムは、種々のタイプのマウントに固定され得る。
図4では、アンテナシステムが、雄フランジ42及び雌フランジ43を備えた第2のアセンブリモジュール41によって管状マウント40に固定される。雌フランジ43は、マウント40の周囲に配置される鍔を形成するように、それが雄フランジ42に接合することを可能とする形状を有する。フランジ42及び43の間のリンクは、例えばネジなどの固定手段によって行われ、これにより、管状マウントに圧力をかけることによってシステムを適所に保持することが可能となる。
【0032】
図5a、5b及び5cは、第1のRFモジュール2の軸X−X´及び第2のアセンブリモジュール3の軸Y−Y´が同一である場合における
図1の境界部4の一実施形態を示す。
【0033】
第1のRFモジュール2及び第2のアセンブリモジュール3を接続するために、境界部4は、第1のRFモジュール2の接触面14と強固に接続される第1のプレート50、及び第2のアセンブリモジュール3の接触面15と強固に接続される第2のプレート51を備える。境界部4によって、第1のRFモジュール2と第2のアセンブリモジュール3の間の回転接合が可能となる。境界部4は、ここでは略円形である。
【0034】
ここで、管状マウント12に組み付けられる場合のアンテナシステム1の模式的な正面図及び斜視図を示す
図6a及び6bを検討する。第1のRFモジュール2及び第2のアセンブリモジュール3は、軸X−X´及びY−Y´に共通する軸に沿って整列される。第2のアセンブリモジュール3が固定されたままで、第1のRFモジュール2はその軸X−X´に関して回転60をすることができる。
図6bにおいて、第1のRFモジュール2は第2のアセンブリモジュール3に関して回転されている。この回転60の目的は、円形開口10に配置されたレードーム6の背後でアンテナ5が第1のRFモジュール2内に配置された状態で、アンテナ5を所望の位置に移動させることである。第2のアセンブリモジュール3は、管状マウント12の選択された高さに配置され、締め付けられる前に、管状マウント12の軸Z−Z´に関して回転61をすることができる。このようにして、アンテナシステム1のアジマス及びティルトは、アンテナシステム1が管状マウント12に設置されている間に調整され得る。アンテナシステムの方向決めを容易化するために、アンテナシステムを構成する種々の要素によって共有される適切な形状のツールが開発された。
【0035】
図7は、第1のRFモジュール2の軸X−X´と第2のアセンブリモジュール3の軸Y−Y´とが非ゼロの、ここでは例として約90°である角度αをなす場合の境界部80の他の実施形態を示す。境界部70は硬く、2つのプレート71及び72を備える。プレート71及び72はともに、第1のRFモジュール2の軸X−X´と第2のアセンブリモジュール3の軸Y−Y´がなす角αに等しい角度をなす。モジュール2及び3を予め設定された相対位置に保持するために、プレート71の表面74は第1のRFモジュール2の接触面14に強固に接続可能であり、同様に、プレート72の表面73は第2のアセンブリモジュール3の接触面15に強固に接続可能である。軸X−X´及びY−Y´が約90°の角度αをなすモジュール同士を接続するために境界部がここに記載されるが、その形状は、軸X−X´及びY−Y´が任意の角度αをなすモジュール同士を接続するのに適合するように変形され得る。したがって、境界部70の存在によって、第1のRFモジュール2がその軸X−X´に関して境界部70に対して回転することが可能となり、第2のアセンブリモジュール3がその軸Y−Y´に関して境界部70に対して回転することが可能となる。
【0036】
図8a及び8bでは、アンテナシステム80は、第1のRFモジュール2の軸X−X´に平行な軸Z−Z´を有する管状マウント12に固定される。第1のRFモジュール2及び第2のアセンブリモジュール3は、2つのモジュール2及び3が前述の境界部70によって接続されて第1のRFモジュール2の軸X−X´が第2のアセンブリモジュール3の軸Y−Y´に略垂直となるように配置される。第1のRFモジュール2の接触面14は境界部70の一方のプレート71に強固に接続され、第2のアセンブリモジュール3の接触面15は境界部70の他方のプレート72に強固に接続される。このアンテナシステムの構成は、追加の回転軸をそれに加えることによってより大きな可動性をアンテナシステムに与える強固な接続を必要とする。第1のRFモジュール2の接触面14と境界部70のプレート71との間の接続によって第1のRFモジュール2の軸X−X´に関する回転81が可能となる。第2のアセンブリモジュール3の接触面15と境界部70のプレート72との間の接続によって第2のアセンブリモジュール3の軸Y−Y´に関する回転82が可能となる。締め付ける前に、第2のアセンブリモジュール3によって管状マウント12の軸Z−Z´に関する回転83が可能となる。
【0037】
図9a及び9bに示すように、境界部70による第1のRFモジュール2及び第2のアセンブリモジュール3の相対的回転によって、異なる構成も得られる。
【0038】
図9aでは、アンテナシステム90が、第1のRFモジュール2の軸X−X´に略垂直な軸Z−Z´を有する管状マウント12に固定される。前述の構成と比べて、第2のアセンブリモジュール3は回転され、ここでは第1のRFモジュール2の軸X−X´に対して概ね90°の角度αをなし、これは硬い境界部70によって可能とされている。
【0039】
図9bでは、第1のRFモジュール2はその軸X−X´に関して約45°だけ回転されている。第2のアセンブリモジュール3も、管状マウント12の軸Z−Z´がここでは角度βをなすような態様で、その軸Y−Y´に関して回転されており、角度βは、例えば、第1のRFモジュール2の軸X−X´に対して45°に等しい。第1のRFモジュール2の軸X−X´及び第2のアセンブリモジュール3の軸Y−Y´のそれぞれの位置は変更されず、それらは略垂直のままである。上述した構成は、第1及び第2のモジュールの軸に対するそれらの軸のティルトにかかわらず全てのタイプの管状マウントに適し、それによりアンテナシステムの形状の幾何的連続性を維持する。
【0040】
アンテナシステムはまた、
図10に示すように、雄フランジ102及び雌フランジ103を備えた第2のアセンブリモジュール101によって平坦マウント100に固定されることもできる。第2のアセンブリモジュール3の軸Y−Y´は、平坦マウント100の表面104に垂直である。壁プレートともいわれる雌フランジ103は、ドエル又はネジ状ロッドのような従来的手段の補助によって平坦マウント100に付加及び固定される。雄フランジ102は、第2のアセンブリモジュール101を形成するために、雌フランジ103に凹設及び固定される。第2のアセンブリモジュール101は、第1のRFモジュール2に強固に接続されることができる。アンテナシステム1の滑らかな球状の調和した形状は、マウント100によって保護されない全ての平坦面をなくし、これにより環境的制限に対するアンテナシステム1の機械的挙動が向上する。
【0041】
これにより、アンテナシステムは、
図11及び12に示すような幾つかの構成に基づいて、壁などの平坦マウント100に固定されることができる。
【0042】
図11は、それぞれの軸X−X´及びY−Y´が同一である場合の第1のRFモジュール2及び第2のアセンブリモジュール101を示す。この場合、境界部4による第1のRFモジュール2と第2のアセンブリモジュール101の間の接続は、レードーム6の背後に配置されたアンテナ5を所望の方向に向けるために第1のRFモジュール2自体を軸X−X´に関して回転することのみを可能とする。
【0043】
図12a及び12bは、それぞれの軸X−X´及びY−Y´が非ゼロの角度γ、例えば約90°をなす場合の第1のRFモジュール2及び第2のアセンブリモジュール101を示す。そして、アンテナシステムは、アンテナのアジマス指向方向の調整における更なる柔軟性を与えるために、表面が第1のRFモジュールの軸X−X´に平行な壁に固定されることができる。
【0044】
部品数が最少化されたが、このアンテナシステムは、そのモジュール性のために、わずか3つのサブアセンブリ:
・無線ボックス及びアンテナを含む、RF機能に割り当てられる1つのモジュール、
・他のマウントも考えられるが、特に平坦又は管状となり得るマウントへの固定を確実にする1つのアセンブリモジュール、
・2つの機能を有する1つの境界部:第1に、それが、特にこれらの2つのモジュールが同じ軸に沿って整列されない場合に前述の2つのモジュールを接続し、第2に、それによりアンテナの向きが調整可能となる
を用いて様々な組付けの選択肢を提供する。
【0045】
境界部が採用する種々の形状によって、様々な組付けの選択肢が可能となる。アンテナを含む第1のRFモジュールの軸X−X´に対するその向きにかかわらず、アンテナシステムが平坦マウント又は管状マウントのいずれかに固定され得ることを示した。特に、以下の構成:
・アンテナを含むRFモジュールの軸に対して軸が略平行な管状マウントへの組付け、
・アンテナを含むRFモジュールの軸に対して軸が略垂直な管状マウントへの組付け、
・アンテナを含むRFモジュールの軸に対して軸が任意の角度をなす管状マウントへの組付け、
・アンテナを含むRFモジュールの軸に対して軸が略平行な平坦マウントへの組付け、
・アンテナを含むRFモジュールの軸に対して軸が略垂直な平坦マウントへの組付け
が考えられる。
【0046】
アンテナを、その(水平面における角度を調整する)アジマス方向及びその(水平面における角度を調整する)ティルト方向の双方において整合することを可能とする自由度は、設置現場によって必要となる実施構成による。これらの様々な構成は、モジュール間の移動を可能とするとともにアンテナシステムを適所に保持する境界部の可変のプロファイルに起因する第1のRFモジュール及び第2のアセンブリモジュールの接合の柔軟性によって可能となる。
【0047】
当然に、本発明は、記載された実施形態に限定されず、発明の精神から逸脱することなく当業者に利用可能となる多数の変形例も対象とする。