(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記高速駆動用ターミナル及び前記低速駆動用ターミナルと前記中継ターミナルとの間をそれぞれ接続する前記サージ吸収素子は、逆バイアス方向に接続されたダイオードで構成され、
前記中継ターミナルと前記アースターミナルとの間を接続する前記サージ吸収素子は、順バイアス方向に接続されたツェナーダイオードで構成された請求項1〜請求項3の何れか1項に記載のワイパモータ。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を用いて本実施の形態に係るワイパモータ20について説明する。
図2に示されるように、ワイパモータ20は、車両(自動車)の車両用ワイパ装置10の駆動源として用いられている。車両用ワイパ装置10は、ワイパアーム12と、ワイパアーム12の先端部に連結されたワイパブレード14と、を備えている。また、ワイパアーム12の基端部が、車両に設けられたピボット軸16に固定されており、ピボット軸16は、リンク機構18を介してワイパモータ20に連結されている。そして、ワイパモータ20が駆動することで、ワイパアーム12(ワイパブレード14)がピボット軸16の軸回りに往復回動(
図2の矢印参照)して、車両のウィンドシールドガラスWSがワイパブレード14によって払拭されるようになっている。一方、ワイパモータ20が停止することで、ワイパアーム12(ワイパブレード14)が停止位置(
図2の1点鎖線を参照)に停止するようになっている。
【0019】
図3及び
図4に示されるように、ワイパモータ20は、所謂ブラシ付直流モータとして構成されたモータ本体22と、モータ本体22の回転を減速するための減速機構40と、減速機構40を収容するハウジング50と、を含んで構成されている。以下、それぞれの構成について説明する。
【0020】
図3に示されるように、モータ本体22は、略有底円筒状のモータヨーク24を備えている。このモータヨーク24の内周面には、複数の永久磁石(図示省略)が固定されており、永久磁石はモータヨーク24の周方向に沿って交互に磁極が異なるように配置されている。
【0021】
モータヨーク24内には、永久磁石の内側において、アーマチャ26が回転自在に収容されている。このアーマチャ26は回転軸28を含んで構成されており、回転軸28は、略丸棒状に形成されて、モータヨーク24と同軸上に配置されている。そして、回転軸28の軸方向一端部(
図3の矢印A方向側端部)が、軸受(図示省略)を介してモータヨーク24の底部に回転自在に支持されている。一方、回転軸28の軸方向他端部(
図3の矢印B方向側端部)は、後述するハウジング50内に配置されると共に、ハウジング50を構成するギヤハウジング52(
図4参照)に回転自在に支持されている。また、回転軸28の軸方向他端側の部分には、減速機構40を構成するウォーム42が一体に形成されている。
【0022】
また、モータ本体22はブラシホルダ装置30を備えている。ブラシホルダ装置30は、略環状に形成されて、回転軸28の軸方向中間部において、回転軸28の径方向外側に配置されている。さらに、ブラシホルダ装置30は、高速用ブラシ32(
図11参照)、低速用ブラシ34(
図11参照)、及び共通ブラシ36(
図11参照)を備えており、これらのブラシはアーマチャ26の整流子(図示省略)に摺接可能に当接されている。
【0023】
ハウジング50は、略箱形状に形成されると共に、モータヨーク24に対して回転軸28の軸方向他方側(モータヨーク24の開口部側、つまり、
図3の矢印B方向側)に配置されている。
図4に示されるように、このハウジング50は、上下方向(
図4の矢印C方向及び矢印D方向)に分割されるように構成されている。すなわち、ハウジング50は、ハウジング50の下方側(
図4の矢印D方向側)の部分を構成する「ハウジング本体」としてのギヤハウジング52と、ハウジング50の上方側(
図4の矢印C方向側)の部分を構成する「ハウジングカバー」としてのカバープレート60と、を有している。
【0024】
ギヤハウジング52は、アルミニウム(又はアルミニウム合金)によるダイカスト成形等で製作されると共に、全体として回転軸28の直交方向で上方側へ開口された略箱形状に形成されている。
図3に示されるように、ギヤハウジング52には、前述したモータ本体22のブラシホルダ装置30を収容支持するためのホルダ収容部54が一体に形成されている。ホルダ収容部54は、前述したモータヨーク24の開口部と対向する位置に配置されると共に、回転軸28の軸方向一方側(
図3の矢印A方向側)へ開放された略有底円筒状に形成されている。そして、ホルダ収容部54は、モータヨーク24の開口部に固定されており、これにより、モータヨーク24の開口部が閉塞されている。さらに、ホルダ収容部54の底壁には、図示しない挿通孔が回転軸28の軸方向に貫通形成されており、この挿通孔内にホルダ収容部54側(モータヨーク24側)から回転軸28が挿通されている(
図1参照)。
【0025】
また、
図4に示されるように、ギヤハウジング52内には、前述した回転軸28のウォーム42、及び減速機構40を構成する略円盤状のウォームホイール44が収容されている。ウォームホイール44は、上下方向を軸方向として配置されており、ウォームホイール44の外周部には、回転軸28のウォーム42と噛合されるギヤ歯が形成されている。また、ウォームホイール44の軸心部には、略円柱状の出力軸46が設けられており、出力軸46はウォームホイール44から下方側へ突出されている。この出力軸46は、ギヤハウジング52の底壁に形成された略円筒形状の筒部52A内に同軸上に配置されて、筒部52Aに回転自在に支持されている。そして、
図2に示されるように、出力軸46は、前述したピボット軸16にリンク機構18を介して駆動連結されている。これにより、回転軸28が回転されることで、出力軸46が、減速して回転すると共に、ワイパアーム12の駆動力を出力し、車両用ワイパ装置10が作動するようになっている。
【0026】
図4に示されるように、カバープレート60は、絶縁性を有する樹脂材料で製作されると共に、ギヤハウジング52に対して上方側に配置されている。また、カバープレート60は、ギヤハウジング52側(下方側)へギヤハウジング52の形状に対応して開口された略直方体箱状に形成されて、ギヤハウジング52の開口部を閉塞している。具体的には、
図1、
図5、及び
図9に示されるように、カバープレート60は、底壁60Aと、底壁60Aの外周部から下方側へ突出された側壁60Bと、を含んで構成されている。また、カバープレート60の開口部には、フランジ部60Cが一体に形成されている。このフランジ部60Cは、カバープレート60の開口部からカバープレート60の外側へ突出されて、図示しないネジ等の締結部材によってギヤハウジング52の開口部に締結固定されている。また、カバープレート60のフランジ部60Cには、ギヤハウジング52の開口端面が突合せられて対向する部位にシール溝62が形成されており、シール溝62内には、ハウジング50内への浸水を防止するシール材が塗布されている。
【0027】
カバープレート60の底壁60Aには、略円筒形状の支軸64が一体に形成されており、支軸64は、底壁60Aから下方側へ突出されると共に、出力軸46と同軸上に配置されている。この支軸64には、略円盤状のカムプレート48(
図1及び
図9参照)が回転可能に支持されており、カムプレート48は、前述したウォームホイール44と一体回転可能に構成されている。また、カムプレート48の上面(底壁60A側の面)には、所定のパターンを成す可動接点が形成されている。
【0028】
また、カバープレート60におけるモータ本体22とは反対側の側壁60Bには、コネクタ部66が一体に形成されている。このコネクタ部66は、出力軸46と直交する方向を軸方向とする有底の略台形筒状(
図7参照)に形成されて、カバープレート60から突出されている。具体的には、コネクタ部66は、カバープレート60の開口側から見て、支軸64に対して回転軸28の軸線AL1側へオフセットして配置されている。また、コネクタ部66の軸線AL2が、回転軸28の軸線AL1に対して支軸64側へ傾斜されている(すなわち、出力軸46の軸方向から見て軸線AL2と軸線AL1とが交差している)。
【0029】
また、
図6に示されるように、カバープレート60には、モータ本体22の回転軸28を高速回転させるための「駆動用ターミナル」としての高速駆動用ターミナル70と、回転軸28を低速回転させるための「駆動用ターミナル」としての低速駆動用ターミナル80と、アース接続された(接地された)「駆動用ターミナル」としてのアースターミナル90と、が設けられている。さらに、カバープレート60には、後述するカム用第1ターミナル100と、カム用第2ターミナル110と、サージ吸収用の中継ターミナル120(
図8参照)と、が設けられている。そして、これらターミナルは、導電性を有する金属の板材により製作されている。また、これらターミナルは、インサート成形等によってカバープレート60の底壁60Aに一体に埋設されており、これらターミナルの一部が底壁60Aから露出されている(
図1、
図5、及び
図9参照)。以下、上記各ターミナルについて説明する。
【0030】
高速駆動用ターミナル70は略長尺板状に形成されている。具体的には、高速駆動用ターミナル70は、高速駆動用ターミナル70の一端部を構成する第1ピン部70Aと、高速駆動用ターミナル70の他端部を構成するモータ接続部70Bと、第1ピン部70A及びモータ接続部70Bを連結する「第1延在部」としての第1リード部70C及び第2リード部70Dと、を含んで構成されている。
【0031】
図7に示されるように、第1ピン部70Aは、コネクタ部66内に配置されると共に、上下方向を板厚方向としてコネクタ部66の底壁からコネクタ部66の開口側へ突出されている。また、第1ピン部70Aは、コネクタ部66の開口側から見て、コネクタ部66の中央部に対してコネクタ部66の幅方向一方側(
図7の矢印E方向側)にずれて配置されている。
【0032】
図6に示されるように、第1リード部70Cは、上下方向から見て、コネクタ部66の幅方向(
図6の矢印E方向及び矢印F方向)を板厚方向として配置されると共に、コネクタ部66の軸線AL2と平行に延在されている。そして、第1リード部70Cの一端部が、第1ピン部70Aの基端部に結合されている。第2リード部70Dは、上下方向から見て、回転軸28の軸線AL1に対して直交する方向を板厚方向として配置されると共に、軸線AL1と平行に延在されている。そして、第2リード部70Dの一端部が第2リード部70Dの他端部に結合されている。なお、第1リード部70C及び第2リード部70Dは、カバープレート60の底壁60A内に埋設されている(
図1、
図5、及び
図9参照)。
【0033】
モータ接続部70Bは、第2リード部70Dの他端部に形成されると共に、第2リード部70Dから下方側へ延出されて、カバープレート60の底壁60Aからカバープレート60の開口側へ突出されている(
図5参照)。そして、モータ接続部70Bにモータ本体22のモータ端子(不図示)が接続されることで、ブラシホルダ装置30に設けられた高速用ブラシ32(
図11参照)にモータ接続部70Bが接続されるようになっている。
【0034】
また、第1リード部70Cには、2箇所の素子接続部72A,72Bが一体に形成されると共に、第2リード部70Dには、1箇所の素子接続部72Cが一体に形成されている。素子接続部72A〜72Cは、高速駆動用ターミナル70の長手方向に間隔を空けて配置されている。また、
図5に示されるように、素子接続部72A〜72Cは、略矩形板状に形成されると共に、第1リード部70C(第2リード部70D)から下方側へ延出されて、カバープレート60の底壁60Aからカバープレート60の開口側へ突出されている。さらに、素子接続部72A〜72Cの先端部には、幅方向中間部において、下方側へ開放されたスリット74A〜74Cが出力軸46の軸方向に沿ってそれぞれ形成されている。そして、素子接続部72A,72Cが、本発明の「雑音防止素子用接続部」とされている。
【0035】
図6に示されるように、低速駆動用ターミナル80は、高速駆動用ターミナル70と略同様に構成されている。具体的には、低速駆動用ターミナル80は、低速駆動用ターミナル80の一端部を構成する第2ピン部80Aと、低速駆動用ターミナル80の他端部を構成するモータ接続部80Bと、第2ピン部80A及びモータ接続部80Bを連結する「第2延在部」としての第1リード部80C及び第2リード部80Dと、を含んで構成されている。
【0036】
図7に示されるように、第2ピン部80Aは、コネクタ部66内に配置されると共に、上下方向を板厚方向にしてコネクタ部66の底壁からコネクタ部66の開口側へ突出されている。また、第2ピン部80Aは、コネクタ部66の開口側から見て、第1ピン部70Aに対して上方側(
図7矢印C方向側)で且つコネクタ部66の幅方向内側に配置されている。
【0037】
図6に示されるように、低速駆動用ターミナル80の第1リード部80C及び第2リード部80Dは、高速駆動用ターミナル70の第1リード部70C及び第2リード部70Dに対してコネクタ部66の幅方向他方側(
図6の矢印F方向側)に配置されると共に、第1リード部70C及び第2リード部70Dに沿うように配置されている。また、第2リード部80Dの中間部には、クランク部80Eが形成されており、第2リード部80Dが、高速駆動用ターミナル70の第2リード部70Dから離間する方向へ屈曲されている。
【0038】
低速駆動用ターミナル80のモータ接続部80Bは、第2リード部80Dの他端部に形成されると共に、第2リード部80Dから下方側へ延出されて、カバープレート60の底壁60Aからカバープレート60の開口側へ突出されている(
図5参照)。また、上下方向から見て、モータ接続部80Bが、高速駆動用ターミナル70のモータ接続部70Bと平行に配置されている。そして、モータ接続部80Bにモータ本体22の別のモータ端子(モータ接続部70Bが接続されるモータ端子とは別のモータ端子(不図示))が接続されることで、ブラシホルダ装置30に設けられた低速用ブラシ34(
図11参照)にモータ接続部80Bが接続されるようになっている。
【0039】
また、低速駆動用ターミナル80の第1リード部80Cには、2箇所の素子接続部82A,82Bが一体に形成されると共に、低速駆動用ターミナル80の第2リード部80Dには、1箇所の素子接続部82Cが一体に形成されている。そして、
図5にも示されるように、素子接続部82A〜82Cは、高速駆動用ターミナル70の各素子接続部72A〜72Cに対して、低速駆動用ターミナル80の他端側にずれて配置されている。また、素子接続部82A〜82Cは、素子接続部72A〜72Cと同様に、略矩形板状に形成されて、第1リード部80C(第2リード部80D)から下方側へ延出されて、カバープレート60の底壁60Aからカバープレート60の開口側へ突出されている。さらに、素子接続部82A〜82Cには、幅方向中間部において、下方側へ開放されたスリット84A〜84Cがそれぞれ出力軸46の軸方向に沿って形成されている。そして、素子接続部82B,82Cが、本発明の「雑音防止素子用接続部」とされている。
【0040】
図6及び
図8に示されるように、アースターミナル90は、上下方向から見て略L字形状に形成されている。具体的には、アースターミナル90は、アースターミナル90の長手方向中間部を構成する第3ピン部90Aと、アースターミナル90の一端部を構成する接地部90Bと、アースターミナル90の他端部を構成する素子接続部90Cと、を含んで構成されている。また、アースターミナル90は、第3ピン部90A及び接地部90Bを連結する第1リード部90Dと、第3ピン部90A及び素子接続部90Cを連結する「第3延在部」としての第2リード部90Eと、を含んで構成されている。
【0041】
図7に示されるように、第3ピン部90Aは、コネクタ部66内に配置されると共に、上下方向を板厚方向としてコネクタ部66の底壁からコネクタ部66の開口側へ突出されている。また、コネクタ部66の開口側から見て、第3ピン部90Aは、コネクタ部66の幅方向において第2ピン部80Aと左右対称の位置に配置されている。
【0042】
図8に示されるように、第1リード部90Dは、第3ピン部90Aの基端部からコネクタ部66の幅方向他方側(
図8の矢印F方向側)へ延びると共に、先端部において下方側(
図8の矢印D方向側)へ屈曲されている。なお、第1リード部90Dは、カバープレート60の底壁60A及び側壁60Bに埋設されている。接地部90Bは、板厚方向を上下方向として第1リード部90Dの先端部から突出されると共に、カバープレート60のフランジ部60Cに埋設されている(
図1参照)。そして、接地部90Bには、バーリング加工によって形成された孔部90Baが貫通形成されている。この孔部90Ba内には、カバープレート60をギヤハウジング52に締結固定するためのネジ(図示省略)が挿入されており、このネジを介して接地部90Bがグランド接地されている。
【0043】
図6に示されるように、第2リード部90Eは、コネクタ部66の幅方向を板厚方向にして低速駆動用ターミナル80の第1リード部80Cに対してコネクタ部66の幅方向他方側に配置されると共に、第1リード部80Cと平行に延在されている。そして、第2リード部90Eの一端部が第3ピン部90Aの基端部に結合されている。また、第1リード部70C、第1リード部80C、及び第2リード部90Eは、コネクタ部66の幅方向に所定間隔毎に離間して配置されている。
【0044】
図5に示されるように、素子接続部90Cは、第2リード部90Eの他端部に形成されると共に、第2リード部90Eから下方側へ延出されて、カバープレート60の底壁60Aからカバープレート60の開口側へ突出されている。また、素子接続部90Cは、コネクタ部66の幅方向から見て、低速駆動用ターミナル80の素子接続部82Aと高速駆動用ターミナル70の素子接続部72Bとの間に配置されている。
【0045】
図8に示されるように、素子接続部90Cには、幅方向中央部において、下方側へ開放された第1スリット92が出力軸46の軸方向に沿って形成されている。また、素子接続部90Cには、第1スリット92の幅方向外側の位置において、下方側へ開放された一対の第2スリット94A,94Bが出力軸46の軸方向に沿って形成されている。そして、第1スリット92のスリット深さが、第2スリット94A,94Bのスリット深さに比べて深く設定されている。そして、素子接続部90C(第2スリット94A,94B)が本発明の「雑音防止素子用接続部」とされている。
【0046】
また、第1リード部90Dの長手方向中間部には、下方側へ屈曲されたカム接続部96が形成されており、カム接続部96の先端部が、カバープレート60の底壁60Aからカバープレート60の開口側へ突出されている(
図1及び
図9参照)。そして、
図1及び
図9に示されるように、カム接続部96には、略矩形板状の第1固定接点98の一端部が接続されている。この第1固定接点98は、導電性を有すると共に弾性変形可能に構成された金属の板材により製作されている。そして、第1固定接点98が弾性変形した状態で、第1固定接点98の他端部がカムプレート48の可動接点に接触されている。これにより、第1固定接点98を介してカムプレート48の可動接点とアースターミナル90が接続されている。
【0047】
図6に示されるように、カム用第1ターミナル100は、カム用第1ターミナル100の一端部を構成する第4ピン部100Aと、カム用第1ターミナル100の他端部を構成するカム接続部100Bと、第4ピン部100Aとカム接続部100Bとを連結するリード部100Cと、を含んで構成されている。
【0048】
図7に示されるように、第4ピン部100Aは、コネクタ部66内に配置されると共に、上下方向を板厚方向にしてコネクタ部66の底壁からコネクタ部66の開口側へ突出されている。また、コネクタ部66の開口側から見て、第4ピン部100Aは、コネクタ部66の幅方向において第1ピン部70Aと左右対称の位置に配置されている。
【0049】
図6に示されるように、リード部100Cは、上下方向から見て略クランク状に屈曲されており、リード部100Cの一端部が第4ピン部100Aの基端部に結合されている。そして、リード部100Cがカバープレート60の底壁60Aに埋設されている。
【0050】
カム接続部100Bは、リード部100Cの他端部に形成されると共に、リード部100Cから下方側へ延出されて、カム接続部100Bの先端部が、カバープレート60の底壁60Aからカバープレート60の開口側へ突出されている。また、
図1及び
図9に示されるように、カム接続部100Bは、アースターミナル90のカム接続部96の近傍に配置されている。さらに、カム接続部100Bには、略矩形板状の第2固定接点102の一端部が接続されている。第2固定接点102は第1固定接点98と同様に構成されており、第2固定接点102を介してカムプレート48の可動接点とカム用第1ターミナル100とが接続されている。
【0051】
図6に示されるように、カム用第2ターミナル110は、カム用第2ターミナル110の一端部を構成する第5ピン部110Aと、カム用第2ターミナル110の他端部を構成するカム接続部110Bと、第5ピン部110Aとカム接続部110Bとを連結するリード部110Cと、を含んで構成されている。
【0052】
図7に示されるように、第5ピン部110Aは、コネクタ部66内に配置されると共に、上下方向を板厚方向にしてコネクタ部66の底壁からコネクタ部66の開口側へ突出されている。また、コネクタ部66の開口側から見て、第5ピン部110Aは、コネクタ部66の幅方向中央部に配置されると共に、第1ピン部70Aと第4ピン部100Aとの間に配置されている。
【0053】
図6に示されるように、リード部110Cは上下方向から見て略クランク状に屈曲されており、リード部110Cの一端部が第5ピン部110Aの基端部に結合されている。そして、リード部110Cがカバープレート60の底壁60Aに埋設されている。
【0054】
カム接続部110Bは、リード部110Cの他端部に形成されると共に、リード部110Cから下方側へ延出されて、カム接続部110Bの先端部がカバープレート60の底壁60Aからカバープレート60の開口側へ突出されている。また、
図1及び
図9に示されるように、カム接続部110Bは、カム用第1ターミナル100のカム接続部100Bの近傍に配置されている。さらに、カム接続部110Bには、略矩形板状の第3固定接点112の一端部が接続されている。この第3固定接点112は第1固定接点98と同様に構成されており、第3固定接点112を介してカムプレート48の可動接点とカム用第2ターミナル110とが接続されている。
【0055】
そして、コネクタ部66に外部コネクタ150(
図3参照)が装着されて、外部コネクタ150の各端子と、コネクタ部66の各ピン部とが電気的に接続されるようになっている。
【0056】
図8に示されるように、中継ターミナル120は、コネクタ部66の幅方向(
図8の矢印E方向及び矢印F方向)を板厚方向とした略E字形板状に形成されると共に、アースターミナル90の素子接続部90Cに対してコネクタ部66の幅方向他方側に配置されている。具体的には、
図6に示されるように、高速駆動用ターミナル70の第1リード部70C、低速駆動用ターミナル80の第1リード部80C、アースターミナル90の第2リード部90E、及び中継ターミナル120が、コネクタ部66の幅方向に並んで配置されている。また、第1リード部70C、第1リード部80C、第2リード部90E、及び中継ターミナル120が、コネクタ部66の軸線AL2方向においてコネクタ部66(
図1参照)とオーバーラップして配置されている。すなわち、コネクタ部66の幅方向における第1リード部70Cから中継ターミナル120までの寸法W1(
図6参照)が、コネクタ部66の幅方向の寸法W2(
図1参照)よりも小さく設定されている。そして、中継ターミナル120と第2リード部90Eとの間の間隔が、第2リード部90Eと第1リード部80Cとの間隔よりも大きく設定されており、カバープレート60における中継ターミナル120とアースターミナル90の第2リード部90Eとの間の部分が、素子収容部68(
図1及び
図5参照)とされている。
【0057】
また、
図8に示されるように、中継ターミナル120の先端部(下端部)には、幅方向中央部において、下方側へ開放された第1スリット122が出力軸46の軸方向に沿って形成されており、第1スリット122は、コネクタ部66の幅方向において、アースターミナル90の第1スリット92と対向して配置されている。そして、第1スリット122の底部と第1スリット92の底部とが上下方向において同じ位置になるように設定されている。
【0058】
さらに、中継ターミナル120には、第1スリット122の幅方向外側の位置において、下方側へ開放された一対の第2スリット124A,124Bが形成されている。この第2スリット124Aは、
図5に示されるように、コネクタ部66の幅方向において低速駆動用ターミナル80のスリット84Aと対向して配置されており、第2スリット124Bは、コネクタ部66の幅方向において高速駆動用ターミナル70のスリット74Bと対向して配置されている。そして、第2スリット124A,124Bの底部とスリット84A及びスリット74Bの底部とが上下方向において同じ位置になるように設定されている。
【0059】
一方、ワイパモータ20は、「サージ吸収素子」としてのダイオード130,132及びツェナーダイオード134(
図1参照)と、「雑音防止素子」としてのコンデンサ140,142,144(
図9参照)と、チョークコイルL1、L2(
図11参照)を備えている。
【0060】
図1及び
図10に示されるように、ダイオード130は、高速駆動用ターミナル70の素子接続部72Bと中継ターミナル120とを接続している。具体的には、ダイオード130の本体部が、カバープレート60の素子収容部68内に配置されており、ダイオード130のカソード端子が高速駆動用ターミナル70のスリット74B内に挿入され、ダイオード130のアノード端子が中継ターミナル120の第2スリット124B内に挿入されている。つまり、ダイオード130が逆バイアス方向(ダイオードのアノード側を負電圧側、カソード側を正電圧側)に接続されている。
【0061】
ダイオード132は、低速駆動用ターミナル80の素子接続部82Aと中継ターミナル120とを接続している。具体的には、ダイオード132の本体部が、カバープレート60の素子収容部68内に配置されており、ダイオード132のカソード端子が低速駆動用ターミナル80のスリット84A内に挿入され、ダイオード132のアノード端子が中継ターミナル120の第2スリット124A内に挿入されている。これにより、ダイオード132が逆バイアス方向(ダイオードのアノード側を負電圧側、カソード側を正電圧側)に接続されており、ダイオード130とダイオード132とが並列に接続されている。
【0062】
ツェナーダイオード134は、中継ターミナル120と、アースターミナル90の素子接続部90Cと、を接続している。具体的には、ツェナーダイオード134の本体部がカバープレート60の素子収容部68内に配置されており、ツェナーダイオード134のアノード端子が中継ターミナル120の第1スリット122内に挿入され、ツェナーダイオード134のカソード端子がアースターミナル90の第1スリット92内に挿入されている。これにより、ツェナーダイオード134が順バイアス方向(ツェナーダイオードのアノード側を正電圧側、カソード側を負電圧側)に接続されている。ここで、ワイパモータ20を停止させるためワイパスイッチSWをOFF操作した場合に、モータ本体22のモータ端子(不図示)に負のサージ電圧が発生する。このとき、アースターミナル90からツェナーダイオード134を経由して中継ターミナル120へサージ電流が流れ、さらにサージ電流がダイオード130又はダイオード132を経由して高速駆動用ターミナル70及び低速駆動用ターミナル80へと流れるように構成されている。
【0063】
一方、
図9及び
図10に示されるように、コンデンサ140は、高速駆動用ターミナル70の素子接続部72Aとアースターミナル90の素子接続部90Cとを接続している。具体的には、コンデンサ140の本体部が、カバープレート60の素子収容部68内においてダイオード130及びツェナーダイオード134の本体部に対してカバープレート60の開口側に配置されている。また、コンデンサ140の一方の端子が高速駆動用ターミナル70のスリット74A内に挿入され、コンデンサ140の他方の端子がアースターミナル90の第2スリット94A内に挿入されている。
【0064】
コンデンサ142は、低速駆動用ターミナル80の素子接続部82Bとアースターミナル90の素子接続部90Cとを接続している。具体的には、コンデンサ142の本体部が、カバープレート60の素子収容部68内においてダイオード132及びツェナーダイオード134の本体部に対してカバープレート60の開口側に配置されている。また、コンデンサ142の一方の端子が低速駆動用ターミナル80のスリット84B内に挿入され、コンデンサ142の他方の端子がアースターミナル90の第2スリット94B内に挿入されている。これにより、カバープレート60の素子収容部68において、コンデンサ140及びコンデンサ142と、ダイオード130,132、ツェナーダイオード134と、が上下方向に積上げ状態で(重なるように)配置されている。
【0065】
コンデンサ144は、高速駆動用ターミナル70の素子接続部72Cと低速駆動用ターミナル80の素子接続部82Cとの間を接続している。具体的には、コンデンサ144の本体部が、コンデンサ142の本体部と隣接して配置されており、コンデンサ144の一方の端子が高速駆動用ターミナル70のスリット74C内に挿入され、コンデンサ144の他方の端子が低速駆動用ターミナル80のスリット84C内に挿入されている。これにより、ワイパモータ20の作動時におけるノイズの発生が抑制されるようになっている。
【0066】
次に、ワイパモータ20の電気的配線構造について説明する。
図11に示されるように、ワイパモータ20は、車両用ワイパ装置10を高速で作動させる高速モード及び車両用ワイパ装置10を低速で作動させる低速モードに対応させるために、高速用ブラシ32と、低速用ブラシ34と、及び低速と高速とに共通して使用される共通ブラシ36と、を有している。そして、前述したように、高速用ブラシ32に高速駆動用ターミナル70がモータ端子(不図示)及びチョークコイルL1を介して接続されており、低速用ブラシ34に低速駆動用ターミナル80が別のモータ端子(不図示)及びチョークコイルL2を介して接続されている。また、ワイパモータ20の共通ブラシ36は、サーキットブレーカを介してギヤハウジング52にアース(グランド接地)されている。
【0067】
そして、ワイパモータ20のコネクタ部66に外部コネクタ150が装着されることで、ワイパモータ20が、車両の運転席に設けられたワイパスイッチSW及び車両のバッテリ(電源)Bに接続されている。具体的には、高速駆動用ターミナル70の第1ピン部70A、低速駆動用ターミナル80の第2ピン部80A、カム用第1ターミナル100の第4ピン部100AがワイパスイッチSWに接続されており、カム用第2ターミナル110の第5ピン部110Aが車両のバッテリBに接続されている。
【0068】
さらに、ワイパスイッチSWは、車両用ワイパ装置10を停止させる「OFFポジション」、車両用ワイパ装置10を高速で作動させるための「高速ポジション」、車両用ワイパ装置10を低速で作動させるための「低速ポジション」、の何れかの位置に択一的に切換え可能に構成されている。そして、ワイパスイッチSWが「低速ポジション」に切換えられると、低速駆動用ターミナル80がバッテリBに接続されて、ワイパモータ20の回転軸28が低速で回転される。これにより、車両用ワイパ装置10が低速で作動するようになっている。
【0069】
また、ワイパスイッチSWが「高速ポジション」に切換えられると、高速駆動用ターミナル70がバッテリBに接続されて、ワイパモータ20の回転軸28が高速で回転される。これにより、車両用ワイパ装置10が高速で作動するようになっている。
【0070】
さらに、ワイパスイッチSWが「低速ポジション」又は「高速ポジション」から「OFFポジション」へ切換えられると、低速用ブラシ34又は高速用ブラシ32がそれまで接続されていたバッテリBから切り離されるとともにワイパモータ20の低速用ブラシ34がカム用第1ターミナル100に接続するように構成されている。そして、車両用ワイパ装置10のワイパブレード14が停止位置にあるときにワイパスイッチSWを「OFFポジション」に切換えた場合には、カムプレート48の可動接点を介してカム用第1ターミナル100がアースターミナル90に接続されて、低速用ブラシ34がアース(グランド接地)されるので電源供給が断たれるようになっている(
図11に示される状態を参照)。これにより、ワイパモータ20が停止する。
【0071】
一方、車両用ワイパ装置10のワイパブレード14が停止位置以外にあるときにワイパスイッチSWを「OFFポジション」に切換えた場合には、カム用第1ターミナル100がカムプレート48の可動接点及びカム用第2ターミナル110を介してバッテリBに接続されるようになっている。すなわち、ワイパブレード14が停止位置以外にあるときにワイパスイッチSWが「OFFポジション」に切換えられても、カムプレート48の可動接点を介してワイパモータ20に電流が供給されるようになっている。そして、ワイパブレード14が停止位置に回動されると、カムプレート48の可動接点によってカム用第1ターミナル100がアースターミナル90と接続されて、低速用ブラシ34がアース(グランド接地)されるので電源供給が断たれ、さらに低速用ブラシ34が共通ブラシ36と短絡されて閉回路を形成するので発電ブレーキがかかり、車両用ワイパ装置10が停止するようになっている。
【0072】
次に、本実施の形態の作用及び効果について説明する。
【0073】
上記のように構成されたワイパモータ20では、カバープレート60に高速駆動用ターミナル70、低速駆動用ターミナル80、アースターミナル90が設けられており、高速駆動用ターミナル70の第1ピン部70A、低速駆動用ターミナル80の第2ピン部80A、及びアースターミナル90の第3ピン部90Aがカバープレート60のコネクタ部66内に配置されている。そして、コネクタ部66に外部コネクタ150が装着されることで、モータ本体22に電流が供給される。
【0074】
また、ワイパモータ20のカバープレート60には、雑音防止用のコンデンサ140〜144が設けられている。そして、コンデンサ140が、高速駆動用ターミナル70の素子接続部72Aとアースターミナル90の素子接続部90Cとを接続している。また、コンデンサ142が、低速駆動用ターミナル80の素子接続部82Bとアースターミナル90の素子接続部90Cとを接続している。さらに、コンデンサ144が、高速駆動用ターミナル70の素子接続部72Cと低速駆動用ターミナル80の素子接続部82Cとの間を接続している。これにより、ワイパモータ20の作動時における電気的なノイズを抑制することができる。
【0075】
ここで、ワイパモータ20のカバープレート60には、中継ターミナル120が設けられている。そして、中継ターミナル120は、ダイオード130,132によって高速駆動用ターミナル70、低速駆動用ターミナル80に接続されると共に、ツェナーダイオード134によってアースターミナル90に接続されている。このため、例えば、ワイパモータ20を停止させるためワイパスイッチSWをOFF操作した場合に、モータ本体22のモータ端子(不図示)に負のサージ電圧が発生すると、アースターミナル90からツェナーダイオード134を経由して中継ターミナル120へサージ電流が流れる。さらに、当該サージ電流がダイオード130又はダイオード132を経由して高速駆動用ターミナル70及び低速駆動用ターミナル80へと流れる。
【0076】
このように、カバープレート60に中継ターミナル120を駆動用ターミナルから別途独立して設けることで、雑音防止素子(コンデンサ140〜144)を接続可能とすべく雑音防止素子用接続部がそれぞれ形成された高速駆動用ターミナル70、低速駆動用ターミナル80、アースターミナル90を利用して、ワイパモータ20に対するサージ対策を実現することができる。
【0077】
また、ワイパモータ20では、出力軸46の軸方向から見て(下方側から見て)、中継ターミナル120が、コネクタ部66の軸線AL2に沿って延在されている。そして、出力軸46の軸方向から見て、中継ターミナル120と、高速駆動用ターミナル70の第1リード部70Cと、低速駆動用ターミナル80の第1リード部80Cと、アースターミナル90の第2リード部90Eとが、コネクタ部66の幅方向に並んで配置されている。
【0078】
しかも、出力軸46の軸方向から見て、第1リード部70C、第1リード部80C、第2リード部90E、及び中継ターミナル120が、コネクタ部66の軸線AL2方向において、コネクタ部66とオーバーラップして配置されている。このため、コネクタ部66の幅方向においてワイパモータ20が大型化することを抑制しつつ、ワイパモータ20に対するサージ対策を実現できる。
【0079】
さらに、アースターミナル90の素子接続部90Cには、ツェナーダイオード134のカソード端子が挿入される第1スリット92が出力軸46の軸方向に沿って形成されると共に、コンデンサ140,142の端子が挿入される第2スリット94A,94Bが出力軸46の軸方向に沿って形成されている。そして、第1スリット92のスリット深さが、第2スリット94A,94Bのスリット深さに比べて深く設定されている。このため、ツェナーダイオード134とコンデンサ140,142とを出力軸46の軸方向に重なるように積上げ状態で配置できる。これにより、カバープレート60内のスペースを有効に活用して雑音防止素子(コンデンサ)とサージ吸収素子(ダイオード)とを効率よく配置することができると共に、ワイパモータ20が出力軸46の軸方向に対して直交する方向に大きくなることを抑制できる。
【0080】
また、ダイオード130が、高速駆動用ターミナル70と中継ターミナル120との間を逆バイアス方向に接続しており、ダイオード132が、低速駆動用ターミナル80と中継ターミナル120との間を逆バイアス方向に接続していている。さらに、ツェナーダイオード134が、中継ターミナル120とアースターミナル90との間を順バイアス方向に接続されている。これにより、例えばサージ電圧が印加されたときに、ダイオード130,132及びツェナーダイオード134を介してサージ電流を適切にモータ本体22へ流すことができる。
【0081】
なお、本実施の形態では、ワイパモータ20のカバープレート60には、コンデンサ140〜144を備えているが、モータの仕様等に対応して、コンデンサ140〜144を省略してもよい。
【0082】
また、本実施の形態では、出力軸46の軸方向から見て、コネクタ部66の軸線AL2と、回転軸28の軸線AL1と、が交差して配置されているが、軸線AL2と軸線AL1とが平行になるようにコネクタ部66を配置してもよい。
【0083】
さらに、本実施の形態では、出力軸46の軸方向から見て、中継ターミナル120がコネクタ部66の軸線AL2方向においてコネクタ部66とオーバーラップして配置されているが、例えば、中継ターミナル120を支軸64側へ配置するように設定してもよい。