(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0024】
添付図面を参照して、本発明の実施の形態に係る航空機について説明する。
【0025】
1.航空機の構成
図1は、本実施の形態に係る航空機1を模式的に示す上面図である。まず、座標系の定義を行う。+X方向は、航空機1の進行方向(飛行方向)であり、前方を意味する。一方、−X方向は、後方を意味する。Y方向は、航空機1の左側面方向であり、X方向と直交している。Z方向は、X方向及びY方向と直交する方向である。+Z方向は上方を意味し、−Z方向は下方を意味する。典型的には、XY面は水平面であり、+Z方向は鉛直上向き方向である。
【0026】
図1に示されるように、航空機1は、胴体2、尾翼3、及び一対の主翼である右主翼10R、左主翼10Lを備えている。尾翼3は、胴体2の後方部に取り付けられている。尾翼3は、水平尾翼としての機能を担う主尾翼部分4と、垂直尾翼5とを含む。右主翼10R及び左主翼10Lは、胴体2の右側面及び左側面に、それぞれ取り付けられている。より詳細には、後に説明されるように、右主翼10Rの翼根部11R及び左主翼10Lの翼根部11Lは、胴体2に対して上下方向に回動自在であるように、胴体2に取り付けられている。
【0027】
右主翼10Rは、骨組みとして右主桁20Rを備えている。左主翼10Lは、骨組みとして左主桁20Lを備えている。これらの右主桁20R及び左主桁20Lは、胴体2の肩部(胴体2への取り付け部)から外側(胴体2から遠ざかる方向)に延伸するように設けられている。
【0028】
右主翼10Rの翼根部11R、より詳細には、右主桁20Rの根元部は、胴体2の肩部に設けられた右アクチュエータ120Rに接続されている。前記右アクチュエータ120Rは、胴体2の肩部を回転中心として、また、X軸に概ね平行な第1回転軸21R(
図2Bを参照。)を中心として、右主桁20Rを上下方向に回転移動させる。
【0029】
左主翼10Lの翼根部11L、より詳細には、左主桁20Lの根元部は、胴体2の肩部に設けられた左アクチュエータ120Lに接続されている。前記左アクチュエータ120Lは、胴体2の肩部を回転中心として、また、X軸に概ね平行な第2回転軸21L(
図2Bを参照。)を中心として、左主桁20Lを上下方向に回転移動させる。
【0030】
(右主桁20Rの可動範囲)
次に、
図2A、及び、
図2Bを参照して、右主桁20Rの可動範囲について説明する。
【0031】
右主桁20Rは、胴体2の肩部を回転中心として、また、X軸に概ね平行な第1回転軸21Rを中心として、回転移動する。その回転角、すなわち、右主翼回転角を「第1回転角θ
R」と定義する。なお、簡略化のため、「第1回転角θ
R」のことを「回転角θ
R」と記載する。右主桁20Rが+Z方向(上方向)に向けて回転するにつれて、回転角θ
Rは大きくなる。逆に、右主桁20Rが−Z方向(下方向)に向けて回転するにつれて、回転角θ
Rは小さくなる。
【0032】
回転角θ
Rの可動範囲は予め決められており、可動範囲の下限及び上限はそれぞれθL
R及びθH
Rである。つまり、回転角θ
Rは、下限角度θL
Rと上限角度θH
Rとで規定される可動範囲内で変動する。回転角θ
Rが下限角度θL
Rであるとき、右主桁20Rは最も下方(−Z方向側)に位置する。一方、回転角θ
Rが上限角度θH
Rであるとき、右主桁20Rは最も上方(+Z方向側)に位置する。ここでは、便宜上、下限角度θL
Rである時の回転角θ
Rを0度と定義する。なお、どの位置を、回転角θ
Rが0度となる位置と定義するかは、本質的な技術的事項ではない。
【0033】
右主桁20Rの回転角θ
Rを変動させるのは、上述の右アクチュエータ120Rである。右アクチュエータ120Rは、右主桁20Rを上下方向に回転移動させ、回転角θ
Rを可動範囲内で変動させる。ここで、右アクチュエータ120Rは、
図3に例示されるように、右主桁20Rに直接作用して、右主桁20Rを上下方向に回転移動させるモータ(例えば、サーボモータ)であってもよい。代替的に、右アクチュエータ120Rは、
図4A、
図4Bに例示されるように、ロッドの伸縮によって、右主桁20Rを上下方向に回転移動させるリニアアクチュエータであってもよい。代替的に、右アクチュエータ120Rは、
図5A、
図5Bに例示されるように、モータにより回転板を回転させ、当該回転板の回転を右主桁20Rの回転移動に変換する機構であってもよい。すなわち、右アクチュエータ120Rとして、具体的にどのような構成を採用するかは、任意である。なお、上記
図3、
図4A、
図4B、
図5A、
図5Bにおける「主桁」は、実際には、左主桁を表現したものである。よって、上記
図3、
図4A、
図4B、
図5A、
図5Bにおける「主桁」を、右主桁として考える場合には、
図3、
図4A、
図4B、
図5A、
図5Bのアクチュエータの図はそのままとして、座標系(X軸座標)を反転したものに置換するか、あるいは、座標系(X軸座標)はそのままとして、アクチュエータの図を左右反転させる必要がある。
【0034】
図3は、本発明の実施の形態に係る航空機の主桁(主翼)を回転移動させるアクチュエータの第1の例を示す正面図である。第1の例では、アクチュエータはサーボモータである。サーボモータの出力軸である回転軸が主桁の根元部に連結されている。サーボモータの駆動により、主桁が回転移動する。
【0035】
図4A、及び、
図4Bは、本発明の実施の形態に係る航空機の主翼を回転移動させるアクチュエータの第2の例を示す正面図である。そして、
図4Aは、主翼が下がった位置にある状態における正面図である。また、
図4Bは、主翼が水平位置にある状態における正面図である。第2の例では、アクチュエータはリニアアクチュエータである。主桁の根元部は、回転軸に回転可能に連結されている。また、主桁の根元部には、胴体内方に向かって延長部が設けられている。当該延長部の先端とリニアアクチュエータのロッドとは、ピボットを介して連結されている。リニアアクチュエータのロッドを伸縮させることで、主桁は、回転軸を中心に回転移動する。
【0036】
図5A、及び、
図5Bは、本発明の実施の形態に係る航空機の主翼を回転移動させるアクチュエータの第3の例を示す正面図である。そして、
図5Aは、主翼が下がった位置にある状態における正面図である。また、
図5Bは、主翼が水平位置にある状態における正面図である。第3の例では、アクチュエータは、回転板の回転を主桁の回転移動に変換する機構である。主桁の根元部は、回転軸に回転可能に連結されている。また、主桁の根元部には、胴体内方に向かって延長部が設けられている。延長部には、延長部受入れ部材が、延長部の軸方向に相対スライド自在に設けられている。前記延長部受入れ部材は、固定軸受入れ部材に対して、枢軸まわりに回転自在に連結されている。前記固定軸受入れ部材は、胴体に固定された固定軸に対して、上下方向にスライド自在に設けられている。また、前記固定軸受入れ部材には、ピボットを介してシャフトの一端が連結されている。前記シャフトの他端は、ピボットを介して、回転板の外周部に連結されている。前記回転板の中心は、モータ回転軸に連結されている。上記構成により、モータの駆動により回転板は回転する。回転板の回転は、シャフトを介して、固定軸受入れ部材の上下移動に変換される。固定軸受入れ部材の上下移動により、固定軸受入れ部材に回転自在に連結された延長部受入れ部材も上下動する。延長部受入れ部材の上下移動により、主桁は、回転軸を中心に回転移動する。
【0037】
(左主桁20Lの可動範囲)
次に、
図2A、
図2Bを参照して、左主桁20Lの可動範囲について説明する。
【0038】
左主桁20Lは、胴体2の肩部を回転中心として、また、X軸に概ね平行な第2回転軸21Lを中心として、回転移動する。その回転角、すなわち、左主翼回転角を「第2回転角θ
L」と定義する。なお、簡略化のため、「第2回転角θ
L」のことを「回転角θ
L」と記載する。左主桁20Lが+Z方向(上方向)に向けて回転するにつれて、回転角θ
Lは大きくなる。逆に、左主桁20Lが−Z方向(下方向)に向けて回転するにつれて、回転角θ
Lは小さくなる。
【0039】
回転角θ
Lの可動範囲は予め決められており、可動範囲の下限及び上限はそれぞれθL
L及びθH
Lである。つまり、回転角θ
Lは、下限角度θL
Lと上限角度θH
Lとで規定される可動範囲内で変動する。回転角θ
Lが下限角度θL
Lであるとき、左主桁20Lは最も下方(−Z方向側)に位置する。一方、回転角θ
Lが上限角度θH
Lであるとき、左主桁20Lは最も上方(+Z方向側)に位置する。ここでは、便宜上、下限角度θL
Lである時の回転角θ
Lを0度と定義する。なお、どの位置を、回転角θ
Lが0度となる位置と定義するかは、本質的な技術的事項ではない。
【0040】
左主桁20Lの回転角θ
Lを変動させるのは、上述の左アクチュエータ120Lである。左アクチュエータ120Lは、左主桁20Lを上下方向に回転移動させ、回転角θ
Lを可動範囲内で変動させる。ここで、左アクチュエータ120Lは、左主桁20Lに直接作用して、左主桁20Lを上下方向に回転移動させるモータ(例えば、サーボモータ)であってもよい。代替的に、左アクチュエータ120Lは、ロッドの伸縮によって、左主桁20Lを上下方向に回転移動させるリニアアクチュエータであってもよい。代替的に、左アクチュエータ120Lは、モータにより回転板を回転させ、当該回転板の回転を左主桁20Lの回転移動に変換する機構であってもよい。すなわち、左アクチュエータ120Lとして、具体的にどのような構成を採用するかは、任意である。
【0042】
(右主翼10R及び左主翼10Lの基準位置)
続いて、右主翼10R及び左主翼10Lの基準位置について説明する。
図6A及び
図6Bは、本発明の実施の形態に係る航空機を模式的に示す上面図及び正面図であり、右主翼10R及び左主翼10Lが基準位置にある場合の上面図及び正面図である。
【0043】
右主翼10R及び左主翼10Lの基準位置は、航空機1が、滑空して直進する際の右主翼10R及び左主翼10Lの位置である。
図6Bに示すように、右主翼10Rが基準位置にある時の右主桁20R(右主翼10R)の回転角θ
Rは、回転角θ
STDである。また、左主翼10Lが基準位置にある時の左主桁20L(左主翼10L)の回転角θ
Lは、前記回転角θ
STDと等しい。以下において、右主翼10Rが基準位置にある時の右主桁20R(右主翼10R)の回転角、及び、左主翼10Lが基準位置にある時の左主桁20L(左主翼10L)の回転角のことを、「基準回転角θ
STD」という。
【0044】
2.制御システム
本実施の形態に係る航空機1は、右主翼10R及び左主翼10Lの回転移動動作を制御するための制御システム100を搭載している。
図7は、その制御システム100の機能構成を示す機能ブロック図である。制御システム100は、制御装置110、右アクチュエータ120R、角度センサ140R、左アクチュエータ120L、及び、角度センサ140Lを備えている。
【0045】
右アクチュエータ120Rは、上述の通り、右主桁20R(右主翼10R)を動かす機械機構である。右アクチュエータ120Rは、右主桁20Rを上下方向に回転移動させる。
【0046】
角度センサ140Rは、右アクチュエータ120Rに設けられており、右主桁20Rの回転角θ
Rを測定する。前記角度センサ140Rは、右主桁20Rの回転角θ
Rを直接測定するものであってもよい。代替的に、前記角度センサ140Rは、右アクチュエータ120Rの駆動により胴体2との相対位置が変化するいずれかの部材の位置変化を測定して、右主桁20Rの回転角θ
Rを間接的に求めるものであってもよい。そして、角度センサ140Rは、測定した回転角θ
Rを示す回転角データDA
Rを、リアルタイムに制御装置110に送る。
【0047】
左アクチュエータ120Lは、上述の通り、左主桁20L(左主翼10L)を動かす機械機構である。左アクチュエータ120Lは、左主桁20Lを上下方向に回転移動させる。
【0048】
角度センサ140Lは、左アクチュエータ120Lに設けられており、左主桁20Lの回転角θ
Lを測定する。前記角度センサ140Lは、左主桁20Lの回転角θ
Lを直接測定するものであってもよい。代替的に、前記角度センサ140Lは、左アクチュエータ120Lの駆動により胴体2との相対位置が変化するいずれかの部材の位置変化を測定して、左主桁20Lの回転角θ
Lを間接的に求めるものであってもよい。そして、角度センサ140Lは、測定した回転角θ
Lを示す回転角データDA
Lを、リアルタイムに制御装置110に送る。
【0049】
制御装置110は、胴体2の内部に搭載されたコンピュータである。この制御装置110は、右アクチュエータ120R及び左アクチュエータ120Lを制御することにより、右主翼10R(右主桁20R)及び左主翼10L(左主桁20L)の回転移動動作を制御する。より詳細には、制御装置110は、航空機1に設けられたソナー、カメラ、速度センサ、加速度センサ、GPS等の位置センサ、ジャイロセンサ等のセンサ150(又はセンサ群)からの入力信号SIG
S、航空機1の外部の遠隔操作装置160からの入力信号SIG
C、及び、上記の回転角データDA
L及びDL
Rを受け取る。そして、制御装置110は、入力信号SIG
S、SIG
C、及び、回転角データDA
L、DL
Rに基づいて、右アクチュエータ120R及び左アクチュエータ120Lを制御し、右主翼10R(右主桁20R)及び左主翼10L(左主桁20L)を回転移動させる。ここで、遠隔操作装置160からの入力信号SIG
Cは、例えば、観察目標地点の位置を指示する信号、又は、帰還命令信号等である。
【0050】
3.制御例
(制御モードの変更)
図8を用いて、制御モードの変更フローについて説明する。ステップ1(S1)で、航空機1の電源がONとされる。ステップ2(S2)で、初期セットアップが行われる。初期セットアップには、例えば、制御装置110の初期化(BIT)が含まれる。また、初期セットアップには、右主翼10R及び左主翼10Lを回転移動させて、右主翼10R(右主桁20R)の回転角θ
R及び左主翼10L(左主桁20L)の回転角θ
Lを、初期設定角とすることが含まれる。例えば、回転角θ
R及び回転角θ
Lの初期設定角を、基準回転角θ
STDとしてもよい。代替的に、回転角θ
R及び回転角θ
Lの初期設定角を下限角度θL
R及び下限角度θL
Lとしてもよい。次に、ステップ3(S3)で、制御モードの選択が行われる。制御モードの選択は、センサ150(又はセンサ群)からの入力信号SIG
S、及び/又は、遠隔操作装置160からの入力信号SIG
Cに基づいて行われる。
【0051】
例えば、速度センサ、加速度センサ、GPS等の位置センサ、ジャイロセンサ等のセンサ150(又はセンサ群)からの入力信号SIG
Sに基づいて、制御装置110は、航空機1の位置、速度、姿勢角等を推定する。また、制御装置110は、ソナー、カメラ、GPS等の位置センサ、ジャイロセンサ等のセンサ150(又はセンサ群)からの入力信号SIGsに基づいて、障害物の位置又は障害物までの距離等を推定する。そして、制御装置110は、航空機1の位置、速度、姿勢角、障害物の位置又は障害物までの距離、及び/又は、入力信号SIG
C等に基づいて、どの制御モードを選択するかを決定する。
【0052】
制御モードには、例えば、滑空モード(モード0)、第1はばたきモード(モード1)、第2はばたきモード(モード2)がある。ここで、「はばたき」は、右主翼10R、及び/又は、左主翼10Lを、第1回転軸21R、及び/又は、第2回転軸21Lを中心に往復回転運動させることを意味する。
【0053】
ステップ3で、モード0が選択された場合、ステップ4(S4)に進み、制御装置110は、滑空モードを実行する。滑空モードは、省電力又は外乱対処モードである。滑空モードでは、はばたきを停止し風に乗る、あるいは、機体姿勢角が安定するまで待つ等を実施する。
【0054】
ステップ4(S4)は、例えば、設定期間(予め設定された期間又は制御装置110がその都度設定する期間)実行されて、ステップ3(S3)に戻る。代替的に、ステップ4(S4)は、速度センサ、加速度センサ、ジャイロセンサ等のセンサ150(又はセンサ群)からの信号に基づいて、制御装置110が、航空機1の姿勢が安定したと判断するまでの期間実行されて、その後、ステップ3(S3)に戻る。
【0055】
ステップ3で、モード1が選択された場合、ステップ5(S5)に進み、制御装置110は、第1はばたきモードを実行する。第1はばたきモードは、通常飛しょうモードである。通常飛しょうモードでは、直進時には、航空機1は、はばたいて飛しょうする。また、旋回時には、一旦はばたきを停止し、旋回したい方向の主翼を下げる、又は、旋回したい方向の主翼とは逆の主翼を上げる等を実施する。旋回したい方向の主翼を下げることは、例えば、当該主翼の回転角が基準回転角θ
STDよりも小さくなるように、当該主翼の回転角を制御することである。また、旋回したい方向の主翼とは逆の主翼を上げることは、例えば、当該逆の主翼の回転角が基準回転角θ
STDよりも大きくなるように、当該主翼の回転角を制御することである。なお、旋回時には、一旦はばたきを停止し、旋回したい方向の主翼を下げるとともに、旋回したい方向の主翼とは逆の主翼を上げることを実施してもよい。
【0056】
ステップ5(S5)は、例えば、設定期間(予め設定された期間又は制御装置110がその都度設定する期間)実行されて、ステップ3(S3)に戻る。なお、ステップ5(S5)は、速度センサ、加速度センサ、ジャイロセンサ等のセンサ150(又はセンサ群)からの信号に基づいて、制御装置110が、航空機1の姿勢が不安定になったと判断した場合に、ステップ3(S3)に戻るようにされてもよい。
【0057】
ステップ3で、モード2が選択された場合、ステップ6(S6)に進み、制御装置110は、第2はばたきモードを実行する。第2はばたきモードは、高速旋回モードである。高速旋回モードは、速やかに、障害物を避ける必要がある場合等に実行される。高速旋回モードでは、直進時には、航空機1は、はばたいて飛しょうする。また、旋回時には、一旦はばたきを停止し、旋回したい方向とは逆の主翼をはばたく等を実施する。
【0058】
ステップ6(S6)は、例えば、設定期間(予め設定された期間又は制御装置110がその都度設定する期間)実行されて、ステップ3(S3)に戻る。なお、ステップ6(S6)は、速度センサ、加速度センサ、ジャイロセンサ等のセンサ150(又はセンサ群)からの信号に基づいて、制御装置110が、航空機1の姿勢が不安定になったと判断した場合に、ステップ3(S3)に戻るようにされてもよい。
【0059】
(A:滑空モード)
次に、
図9、並びに、
図6A及び
図6Bを用いて、滑空モード(モード0)について、より詳細に説明する。ステップ3(S3)で、滑空モードが選択されると、ステップ40(S40)に進む。ステップ40(S40)では、制御装置110は、回転角θ
Rが基準回転角θ
STDと等しくなるように、右アクチュエータ120Rを制御する。また、制御装置110は、回転角θ
Lが基準回転角θ
STDと等しくなるように、左アクチュエータ120Lを制御する。当該制御によって、右主翼10R及び左主翼10Lは、
図6Bに示す基準位置に移動する。当該ステップ40(S40)は、航空機1の姿勢を安定化させるためのステップである。なお、航空機1の姿勢が安定している場合等には、当該ステップ40(S40)は省略してもよい。
【0060】
続いて、ステップ41(S41)に進み、制御装置110は、旋回指令の有無及び旋回の方向を決定する。旋回指令は、例えば、航空機1の進行方向に障害物が存在する時に発出される。あるいは、旋回指令は、例えば、航空機1の進行方向と、目標方向(航空機1の現在位置と目標位置とを結ぶ方向)とに大きなずれが存在する時に発出される。障害物の検出は、例えば、ソナー、又は、カメラ(ステレオカメラを含む)によって行われる。また、航空機1の進行方向と、目標方向とのずれの検出は、例えば、速度センサ、加速度センサ、GPS等の位置センサ、ジャイロセンサ等のセンサ群からの信号に基づいて、制御装置110が演算を行うことによって行われる。
【0061】
(A−1:滑空モードの「旋回指令なし」)
ステップ41(S41)において、「旋回指令なし」と決定された場合、ステップ42(S42)に進む。ステップ42(S42)では、制御装置110は、回転角θ
Rが基準回転角θ
STDと等しくなるように、右アクチュエータ120Rを制御する。また、制御装置110は、回転角θ
Lが基準回転角θ
STDと等しくなるように、左アクチュエータ120Lを制御する。当該制御によって、右主翼10R及び左主翼10Lは、
図6Bに示す基準位置に移動する。ステップ42(S42)の完了後、ステップ41(S41)に戻る。
【0062】
(A−2:滑空モードの「右旋回」)
ステップ41(S41)において、「右旋回」と決定された場合、ステップ43(S43)に進む。ステップ43(S43)では、制御装置110は、右主翼10Rの回転角θ
Rと左主翼10Lの回転角θ
Lとが異なる角度となるように制御する。換言すれば、ステップ43(S43)では、制御装置110は、右主翼10Rと左主翼10Lとが、胴体2の長手方向の鉛直中央断面(
図6A及び
図6Bに示される断面Sが、鉛直中央断面である。)に対して非対称となるように、回転角θ
R及び回転角θ
Lを制御する。
【0063】
以下に、上記非対称制御の具体例について説明する。
右主翼10Rに関し、制御装置110は、回転角θ
Rが基準回転角θ
STDと等しくなるように、右アクチュエータ120Rを制御する。当該制御により、右主翼10Rは
図6Bに示す基準位置に移動する。あるいは、制御装置110は、回転角θ
Rが基準回転角θ
STDよりも小さな設定回転角(予め設定された回転角、又は、制御装置110がその都度設定する回転角)と等しくなるように、右アクチュエータ120Rを制御してもよい。この場合、右主翼10Rは
図6Bに示す基準位置よりも下がった位置に移動する。
【0064】
左主翼10Lに関し、制御装置110は、制御状態を解除する(制御フリーとする)。制御状態が解除されることによって、左主翼10Lは、揚力により、自動的に上限位置(回転角θ
L=上限角度θH
Lとなる位置)に回転移動する。代替的に、制御装置110は、回転角θ
Lが基準回転角θ
STDよりも大きな設定回転角(予め設定された回転角、又は、制御装置110がその都度設定する回転角)と等しくなるように、左アクチュエータ120Lを制御してもよい。なお、制御状態を解除する方が、省電力の観点からは好ましい。
【0065】
代替的に、右主翼10R及び左主翼10Lに関し、制御装置110は、回転角θ
Rが基準回転角θ
STDよりも小さな設定回転角(予め設定された回転角、又は、制御装置110がその都度設定する回転角)と等しくなるように、右アクチュエータ120Rを制御するとともに、回転角θ
Lが基準回転角θ
STDと等しくなるように、左アクチュエータ120Lを制御してもよい。
【0066】
ステップ43(S43)の完了後、ステップ41(S41)に戻る。
【0067】
滑空モードにおける「右旋回」時の両主翼の動きをまとめると、以下の(1)、(2)、(3)又は(4)のとおりである。
(1)右主翼10Rよりも左主翼10Lを上方に上げる。
より具体的には、
(2)右主翼10Rは基準位置とし、左主翼10Lを基準位置よりも上方に上げる。
(3)右主翼10Rを基準位置よりも下方に下げ、左主翼10Lを基準位置よりも上方に上げる。
(4)右主翼10Rを基準位置よりも下方に下げ、左主翼10Lは基準位置とする。
【0068】
上記(1)、(2)、(3)又は(4)によって、航空機1は、右主翼10Rを下げる方向にロール運動し、その結果、右旋回が実現される。なお、上記(1)、(2)、(3)又は(4)のみでは、右旋回が滑らかに行えない場合には、後に説明されるように、尾翼により旋回を補助してもよい。
【0069】
(A−3:滑空モードの「左旋回」)
ステップ41(S41)において、「左旋回」と決定された場合、ステップ44(S44)に進む。ステップ44(S44)では、制御装置110は、右主翼10Rの回転角θ
Rと左主翼10Lの回転角θ
Lとが異なる角度となるように制御する。換言すれば、ステップ44(S44)では、制御装置110は、右主翼10Rと左主翼10Lとが、胴体2の長手方向の鉛直中央断面(
図6A及び
図6Bに示される断面Sが、鉛直中央断面である。)に対して非対称となるように、回転角θ
R及び回転角θ
Lを制御する。
【0070】
以下に、上記非対称制御の具体例について説明する。
右主翼10Rに関し、制御装置110は、制御状態を解除する(制御フリーとする)。制御状態が解除されることによって、右主翼10Rは、揚力により、自動的に上限位置(回転角θ
R=上限角度θH
Rとなる位置)に回転移動する。代替的に、制御装置110は、回転角θ
Rが基準回転角θ
STDよりも大きな設定回転角(予め設定された回転角、又は、制御装置110がその都度設定する回転角)と等しくなるように、右アクチュエータ120Rを制御してもよい。なお、制御状態を解除する方が、省電力の観点からは好ましい。
【0071】
左主翼10Lに関し、制御装置110は、回転角θ
Lが基準回転角θ
STDと等しくなるように、左アクチュエータ120Lを制御する。当該制御により、左主翼10Lは
図6Bに示す基準位置に移動する。あるいは、制御装置110は、回転角θ
Lが基準回転角θ
STDよりも小さな設定回転角(予め設定された回転角、又は、制御装置110がその都度設定する回転角)と等しくなるように、左アクチュエータ120Lを制御してもよい。この場合、左主翼10Lは
図6Bに示す基準位置よりも下がった位置に移動する。
【0072】
代替的に、右主翼10R及び左主翼10Lに関し、制御装置110は、回転角θ
Rが基準回転角θ
STDと等しくなるように、右アクチュエータ120Rを制御するとともに、回転角θ
Lが基準回転角θ
STDよりも小さな設定回転角(予め設定された回転角、又は、制御装置110がその都度設定する回転角)と等しくなるように、左アクチュエータ120Lを制御してもよい。
【0073】
ステップ44(S44)の完了後、ステップ41(S41)に戻る。
【0074】
滑空モードにおける「左旋回」時の両主翼の動きをまとめると、以下の(5)、(6)、(7)又は(8)のとおりである。
(5)右主翼10Rを左主翼10Lよりも上方に上げる。
より具体的には、
(6)右主翼10Rを基準位置よりも上方に上げ、左主翼10Lは基準位置とする。(
図2Bの状態)
(7)右主翼10Rを基準位置よりも上方に上げ、左主翼10Lを基準位置よりも下方に下げる。
(8)右主翼10Rは基準位置とし、左主翼10Lを基準位置よりも下方に下げる。
【0075】
上記(5)、(6)、(7)又は(8)によって、航空機1は、右主翼10Rを上げる方向にロール運動し、その結果、左旋回が実現される。なお、上記(5)、(6)、(7)又は(8)のみでは、左旋回が滑らかに行えない場合には、後に説明されるように、尾翼により旋回を補助してもよい。
【0076】
滑空モードは、例えば、設定期間(予め設定された期間又は制御装置110がその都度設定する期間)実行されて、ステップ3(S3)に戻る。代替的に、滑空モードは、速度センサ、加速度センサ、ジャイロセンサ等のセンサ150(又はセンサ群)からの信号に基づいて、制御装置110が、航空機1の姿勢が安定したと判断するまでの期間実行されて、その後、ステップ3(S3)に戻る。
【0077】
上記滑空モードは、鳥がはばたきを停止して滑空する動作を模して、航空機1を制御するものである。よって、優れた擬態性を奏する。また、上記滑空モードでは、はばたき動作が行われないため、航空機1の姿勢の安定性が高く、環境適応性に優れる。さらに、上記滑空モードでは、旋回が、面積の大きな主翼の回転移動によって行われるため、主翼の一部(エルロン等)の移動により旋回を行う場合や、尾翼の移動により旋回を行う場合と比べて、旋回性能すなわち機動性が高い。
【0078】
(B:第1はばたきモード)
次に、
図10、並びに、
図6A及び
図6Bを用いて、第1はばたきモード(モード1)について、より詳細に説明する。ステップ3(S3)で、第1はばたきモードが選択されると、ステップ50(S50)に進む。ステップ50(S50)では、制御装置110は、回転角θ
Rが基準回転角θ
STDと等しくなるように、右アクチュエータ120Rを制御する。また、制御装置110は、回転角θ
Lが基準回転角θ
STDと等しくなるように、左アクチュエータ120Lを制御する。当該制御によって、右主翼10R及び左主翼10Lは、
図6Bに示す基準位置に移動する。当該ステップ50(S50)は、航空機1の姿勢を安定化させるためのステップである。なお、航空機1の姿勢が安定している場合等には、当該ステップ50(S50)は省略してもよい。
【0079】
続いて、ステップ51(S51)に進み、制御装置110は、旋回指令の有無及び旋回の方向を決定する。旋回指令は、例えば、航空機1の進行方向に障害物が存在する時に発出される。あるいは、旋回指令は、例えば、航空機1の進行方向と、目標方向(航空機1の現在位置と目標位置とを結ぶ方向)とに大きなずれが存在する時に発出される。障害物の検出は、例えば、ソナー、又は、カメラ(ステレオカメラを含む)によって行われる。また、航空機1の進行方向と、目標方向とのずれの検出は、例えば、速度センサ、加速度センサ、GPS等の位置センサ、ジャイロセンサ等のセンサ群からの信号に基づいて、制御装置110が演算を行うことによって行われる。
【0080】
(B−1:第1はばたきモードの「旋回指令なし」)
ステップ51(S51)において、「旋回指令なし」と決定された場合、ステップ52(S52)に進む。ステップ52(S52)では、制御装置110は、設定周波数(予め設定された周波数、又は、制御装置110がその都度設定する周波数)で、右主翼10R及び左主翼10Lを、回転軸(21R)及び回転軸(21L)まわりに、往復回転運動させる。右主翼10Rの往復は、
図6Bに示す下限角度θL
Rと上限角度θH
Rとの間で行われる。左主翼10Lの往復は、
図6Bに示す下限角度θL
Lと上限角度θH
Lとの間で行われる。また、制御装置110は、右主翼10Rの回転角θ
Rと左主翼10Lの回転角θ
Lとが互いに等しくなるように、右アクチュエータ110R及び左アクチュエータ110Lを同期制御する。
【0081】
ステップ52(S52)の完了後、ステップ51(S51)に戻る。
【0082】
(B−2:第1はばたきモードの「右旋回」)
ステップ51(S51)において、「右旋回」と決定された場合、ステップ53(S53)に進む。ステップ53(S53)は、前述のステップ43(S43)と同様である。
【0083】
すなわち、ステップ53(S53)では、制御装置110は、右主翼10Rの回転角θ
Rと左主翼10Lの回転角θ
Lとが異なる角度となるように制御する。換言すれば、ステップ53(S53)では、制御装置110は、右主翼10Rと左主翼10Lとが、胴体2の長手方向の鉛直中央断面(
図6A及び
図6Bに示される断面Sが、鉛直中央断面である。)に対して、非対称となるように、回転角θ
R及び回転角θ
Lを制御する。
【0084】
以下に、上記非対称制御の具体例について説明する。
右主翼10Rに関し、制御装置110は、回転角θ
Rが基準回転角θ
STDと等しくなるように、右アクチュエータ120Rを制御する。当該制御により、右主翼10Rは
図6Bに示す基準位置に移動する。あるいは、制御装置110は、回転角θ
Rが基準回転角θ
STDよりも小さな設定回転角(予め設定された回転角、又は、制御装置110がその都度設定する回転角)と等しくなるように、右アクチュエータ120Rを制御してもよい。この場合、右主翼10Rは
図6Bに示す基準位置よりも下がった位置に移動する。
【0085】
左主翼10Lに関し、制御装置110は、制御状態を解除する(制御フリーとする)。制御状態が解除されることによって、左主翼10Lは、揚力により、自動的に上限位置(回転角θ
L=上限角度θH
Lとなる位置)に回転移動する。代替的に、制御装置110は、回転角θ
Lが基準回転角θ
STDよりも大きな設定回転角(予め設定された回転角、又は、制御装置110がその都度設定する回転角)と等しくなるように、左アクチュエータ120Lを制御してもよい。なお、制御状態を解除する方が、省電力の観点からは好ましい。
【0086】
代替的に、右主翼10R及び左主翼10Lに関し、制御装置110は、回転角θ
Rが基準回転角θ
STDよりも小さな設定回転角(予め設定された回転角、又は、制御装置110がその都度設定する回転角)と等しくなるように、右アクチュエータ120Rを制御するとともに、回転角θ
Lが基準回転角θ
STDと等しくなるように、左アクチュエータ120Lを制御してもよい。
【0087】
ステップ53(S53)の完了後、ステップ51(S51)に戻る。
【0088】
第1はばたきモードにおける「右旋回」時の両主翼の動きをまとめると、以下の(9)、(10)、(11)又は(12)のとおりである。
(9)右主翼10Rよりも左主翼10Lを上方に上げる。
より具体的には、
(10)右主翼10Rは基準位置とし、左主翼10Lを基準位置よりも上方に上げる。
(11)右主翼10Rを基準位置よりも下方に下げ、左主翼10Lを基準位置よりも上方に上げる。
(12)右主翼10Rを基準位置よりも下方に下げ、左主翼10Lは基準位置とする。
【0089】
上記(9)、(10)、(11)又は(12)によって、航空機1は、右主翼10Rを下げる方向にロール運動し、その結果、右旋回が実現される。なお、上記(9)、(10)、(11)又は(12)のみでは、右旋回が滑らかに行えない場合には、後に説明されるように、尾翼により旋回を補助してもよい。
【0090】
(B−3:第1はばたきモードの「左旋回」)
ステップ51(S51)において、「左旋回」と決定された場合、ステップ54(S54)に進む。ステップ54(S54)は、前述のステップ44(S44)と同様である。
【0091】
すなわち、ステップ54(S54)では、制御装置110は、右主翼10Rの回転角θ
Rと左主翼10Lの回転角θ
Lとが異なる角度となるように制御する。換言すれば、ステップ54(S54)では、制御装置110は、右主翼10Rと左主翼10Lとが、胴体2の長手方向の鉛直中央断面(
図6A及び
図6Bに示される断面Sが、鉛直中央断面である。)に対して、非対称となるように、回転角θ
R及び回転角θ
Lを制御する。
【0092】
以下に、上記非対称制御の具体例について説明する。
右主翼10Rに関し、制御装置110は、制御状態を解除する(制御フリーとする)。制御状態が解除されることによって、右主翼10Rは、揚力により、自動的に上限位置(回転角θ
R=上限角度θH
Rとなる位置)に回転移動する。代替的に、制御装置110は、回転角θ
Rが基準回転角θ
STDよりも大きな設定回転角(予め設定された回転角、又は、制御装置110がその都度設定する回転角)と等しくなるように、右アクチュエータ120Rを制御してもよい。なお、制御状態を解除する方が、省電力の観点からは好ましい。
【0093】
左主翼10Lに関し、制御装置110は、回転角θ
Lが基準回転角θ
STDと等しくなるように、左アクチュエータ120Lを制御する。当該制御により、左主翼10Lは
図6Bに示す基準位置に移動する。あるいは、制御装置110は、回転角θ
Lが基準回転角θ
STDよりも小さな設定回転角(予め設定された回転角、又は、制御装置110がその都度設定する回転角)と等しくなるように、左アクチュエータ120Lを制御してもよい。この場合、左主翼10Lは
図6Bに示す基準位置よりも下がった位置に移動する。
【0094】
代替的に、右主翼10R及び左主翼10Lに関し、制御装置110は、回転角θ
Rが基準回転角θ
STDと等しくなるように、右アクチュエータ120Rを制御するとともに、回転角θ
Lが基準回転角θ
STDよりも小さな設定回転角(予め設定された回転角、又は、制御装置110がその都度設定する回転角)と等しくなるように、左アクチュエータ120Lを制御してもよい。
【0095】
ステップ54(S54)の完了後、ステップ51(S51)に戻る。
【0096】
滑空モードにおける「左旋回」時の両主翼の動きをまとめると、以下の(13)、(14)、(15)又は(16)のとおりである。
(13)右主翼10Rを左主翼10Lよりも上方に上げる。
より具体的には、
(14)右主翼10Rを基準位置よりも上方に上げ、左主翼10Lは基準位置とする。(
図2Bの状態)
(15)右主翼10Rを基準位置よりも上方に上げ、左主翼10Lを基準位置よりも下方に下げる。
(16)右主翼10Rは基準位置とし、左主翼10Lを基準位置よりも下方に下げる。
【0097】
上記(13)、(14)、(15)又は(16)によって、航空機1は、右主翼10Rを上げる方向にロール運動し、その結果、左旋回が実現される。なお、上記(13)、(14)、(15)又は(16)のみでは、左旋回が滑らかに行えない場合には、後に説明されるように、尾翼により旋回を補助してもよい。
【0098】
第1はばたきモードは、例えば、設定期間(予め設定された期間又は制御装置110がその都度設定する期間)実行されて、ステップ3(S3)に戻る。なお、第1はばたきモードは、速度センサ、加速度センサ、ジャイロセンサ等のセンサ150(又はセンサ群)からの信号に基づいて、制御装置110が、航空機1の姿勢が不安定になったと判断した場合に、ステップ3(S3)に戻るようにされてもよい。
【0099】
上記第1はばたきモードは、鳥のはばたき動作を模して、航空機1を制御するものである。よって、優れた擬態性を奏する。また、上記第1はばたきモードでは、はばたきモードの初期段階で、一旦、右主翼10Rと左主翼10Lとを基準位置に戻すステップを実行可能であるため、航空機1の安定性すなわち環境適応性が向上する。また、上記第1はばたきモードでは、旋回が、面積の大きな主翼の回転移動によって行われるため、主翼の一部(エルロン等)の移動により旋回を行う場合や、尾翼の移動により旋回を行う場合と比べて、旋回性能すなわち機動性が高い。
【0100】
(C:第2はばたきモード)
次に、
図11、並びに、
図6A及び
図6Bを用いて、第2はばたきモード(モード2)について、より詳細に説明する。ステップ3(S3)で、第2はばたきモードが選択されると、ステップ60(S60)に進む。ステップ60(S60)では、制御装置110は、回転角θ
Rが基準回転角θ
STDと等しくなるように、右アクチュエータ120Rを制御する。また、制御装置110は、回転角θ
Lが基準回転角θ
STDと等しくなるように、左アクチュエータ120Lを制御する。当該制御によって、右主翼10R及び左主翼10Lは、
図6Bに示す基準位置に移動する。当該ステップ60(S60)は、航空機1の姿勢を安定化させるためのステップである。なお、航空機1の姿勢が安定している場合等には、当該ステップ60(S60)は省略してもよい。
【0101】
続いて、ステップ61(S61)に進み、制御装置110は、旋回指令の有無及び旋回の方向を決定する。旋回指令は、例えば、航空機1の進行方向に障害物が存在する時に発出される。あるいは、旋回指令は、例えば、航空機1の進行方向と、目標方向(航空機1の現在位置と目標位置とを結ぶ方向)とに大きなずれが存在する時に発出される。障害物の検出は、例えば、ソナー、又は、カメラ(ステレオカメラを含む)によって行われる。また、航空機1の進行方向と、目標方向とのずれの検出は、例えば、速度センサ、加速度センサ、GPS等の位置センサ、ジャイロセンサ等のセンサ群からの信号に基づいて、制御装置110が演算を行うことによって行われる。
【0102】
(C−1:第2はばたきモードの「旋回指令なし」)
ステップ61(S61)において、「旋回指令なし」と決定された場合、ステップ62(S62)に進む。ステップ62(S62)では、制御装置110は、設定周波数(予め設定された周波数、又は、制御装置110がその都度設定する周波数)で、右主翼10R及び左主翼10Lを、回転軸(21R)及び回転軸(21L)まわりに、往復回転運動させる。右主翼10Rの往復は、
図6Bに示す下限角度θL
Rと上限角度θH
Rとの間で行われる。左主翼10Lの往復は、
図6Bに示す下限角度θL
Lと上限角度θH
Lとの間で行われる。また、制御装置110は、右主翼10Rの回転角θ
Rと左主翼10Lの回転角θ
Lとが互いに等しくなるように、右アクチュエータ110R及び左アクチュエータ110Lを同期制御する。
【0103】
ステップ62(S62)の完了後、ステップ61(S61)に戻る。
【0104】
(C−2:第2はばたきモードの「右旋回」)
ステップ61(S61)において、「右旋回」と決定された場合、ステップ63(S63)に進む。ステップ63(S63)では、制御装置110は、右主翼10Rの回転角θ
Rと左主翼10Lの回転角θ
Lとが異なる角度となるように制御する。換言すれば、ステップ63(S63)では、制御装置110は、右主翼10Rと左主翼10Lとが、胴体2の長手方向の鉛直中央断面(
図6A及び
図6Bに示される断面Sが、鉛直中央断面である。)に対して、非対称となるように、回転角θ
R及び回転角θ
Lを制御する。
【0105】
より具体的には、制御装置110は、右主翼10Rを
図6Bに示す基準位置又は設定位置(予め設定された位置、又は、制御装置110がその都度設定する位置)で静止(固定)させる。また、制御装置110は、左主翼10Lに、はばたき運動をさせる。
【0106】
すなわち、右主翼10Rに関し、制御装置110は、回転角θ
Rが基準回転角θ
STDと等しくなるように、右アクチュエータ120Rを制御する。当該制御により、右主翼10Rは
図6Bに示す基準位置に移動する。あるいは、制御装置110は、回転角θ
Rが基準回転角θ
STDよりも小さな設定回転角(予め設定された回転角、又は、制御装置110がその都度設定する回転角)と等しくなるように、右アクチュエータ120Rを制御してもよい。この場合、右主翼10Rは
図6Bに示す基準位置よりも下がった位置に移動する。
【0107】
左主翼10Lに関し、制御装置110は、設定周波数(予め設定された周波数、又は、制御装置110がその都度設定する周波数)で、左主翼10Lを、回転軸(21L)まわりに、往復回転運動させる。左主翼10Lの往復回転運動は、例えば、下限角度θL
Lと上限角度θH
Lとの間で行われる。
【0108】
ステップ63(S63)の完了後、ステップ61(S61)に戻る。
【0109】
第2はばたきモードにおける「右旋回」時の両主翼の動きをまとめると、以下の(17)、(18)又は(19)のとおりである。
(17)右主翼10Rは静止させ、左主翼10Lをはばたき動作させる。
より具体的には、
(18)右主翼10Rは基準位置とし、左主翼10Lをはばたき動作させる。
(19)右主翼10Rを基準位置よりも下方に下げ、左主翼10Lをはばたき動作させる。
【0110】
上記(17)、(18)又は(19)によって、航空機1は、右主翼10Rを下げる方向にロール運動し、その結果、右旋回が実現される。なお、上記(17)、(18)又は(19)のみでは、右旋回が滑らかに行えない場合には、後に説明されるように、尾翼により旋回を補助してもよい。
【0111】
(C−3:第2はばたきモードの「左旋回」)
ステップ61(S61)において、「左旋回」と決定された場合、ステップ64(S64)に進む。ステップ64(S64)では、制御装置110は、右主翼10Rの回転角θ
Rと左主翼10Lの回転角θ
Lとが異なる角度となるように制御する。換言すれば、ステップ64(S64)では、制御装置110は、右主翼10Rと左主翼10Lとが、胴体2の長手方向の鉛直中央断面(
図6A及び
図6Bに示される断面Sが、鉛直中央断面である。)に対して、非対称となるように、回転角θ
R及び回転角θ
Lを制御する。
【0112】
より具体的には、制御装置110は、制御装置110は、右主翼10Rに、はばたき運動をさせる。また、制御装置110は、左主翼10Lを
図6Bに示す基準位置又は設定位置(予め設定された位置、又は、制御装置110がその都度設定する位置)で静止(固定)させる。
【0113】
すなわち、右主翼10Rに関し、制御装置110は、設定周波数(予め設定された周波数、又は、制御装置110がその都度設定する周波数)で、右主翼10Rを、回転軸(21R)まわりに、往復回転運動させる。右主翼10Rの往復回転運動は、例えば、下限角度θL
Rと上限角度θH
Rとの間で行われる。
【0114】
左主翼10Lに関し、制御装置110は、回転角θ
Lが基準回転角θ
STDと等しくなるように、左アクチュエータ120Lを制御する。当該制御により、左主翼は
図6Bに示す基準位置に移動する。あるいは、制御装置110は、回転角θ
Lが基準回転角θ
STDよりも小さな設定回転角(予め設定された回転角、又は、制御装置110がその都度設定する回転角)と等しくなるように、左アクチュエータ120Lを制御してもよい。この場合、左主翼10Lは
図6Bに示す基準位置よりも下がった位置に移動する。
【0115】
ステップ64(S64)の完了後、ステップ61(S61)に戻る。
【0116】
第2はばたきモードにおける「左旋回」時の両主翼の動きをまとめると、以下の(20)、(21)又は(22)のとおりである。
(20)右主翼10Rをはばたき動作させ、左主翼10Lは静止させる。
より具体的には、
(21)右主翼10Rをはばたき動作させ、左主翼10Lを基準位置とする。
(22)右主翼10Rをはばたき動作させ、左主翼10Lを基準位置よりも下方に下げる。
【0117】
上記(20)、(21)又は(22)によって、航空機1は、右主翼10Rを上げる方向にロール運動し、その結果、左旋回が実現される。なお、上記(20)、(21)又は(22)のみでは、左旋回が滑らかに行えない場合には、後に説明されるように、尾翼により旋回を補助してもよい。
【0118】
第2はばたきモードは、例えば、設定期間(予め設定された期間又は制御装置110がその都度設定する期間)実行されて、ステップ3(S3)に戻る。なお、第2はばたきモードは、速度センサ、加速度センサ、ジャイロセンサ等のセンサ150(又はセンサ群)からの信号に基づいて、制御装置110が、航空機1の姿勢が不安定になったと判断した場合に、ステップ3(S3)に戻るようにされてもよい。
【0119】
上記第2はばたきモードは、鳥のはばたき動作を模して、航空機1を制御するものである。よって、優れた擬態性を奏する。また、上記第2はばたきモードでは、はばたきモードの初期段階で、一旦、右主翼10Rと左主翼10Lとを基準位置に戻すステップを実行可能であるため、航空機1の安定性すなわち環境適応性が向上する。また、上記第2はばたきモードでは、旋回が、面積の大きな主翼の往復回転運動によって行われるため、滑空モードにおける旋回及び第1はばたきモードにおける旋回と比較して、小さな旋回半径での旋回が可能となり、旋回性能すなわち機動性が更に向上する。
【0121】
図12A及び
図12Bは、本発明の実施の形態に係る航空機を模式的に示す上面図及び正面図であり、尾翼の制御の第1例を説明するための図である。
図12A、
図12Bでは、右主翼10Rを、回転角θ
Rを上限角度θH
Rと等しくなるまで上方に移動させている。当該移動により、航空機1は、右主翼10Rを上げる方向にロール運動し、その結果、左旋回が実現される。左旋回時には、航空機1の機首が左方向を向くと、旋回を円滑に行うことができる。
【0122】
尾翼の制御の第1例では、航空機1の機首を左方向に向けるため、垂直尾翼5のヨー角(ψ
TAIL)を制御する。すなわち、尾翼3(主尾翼部分4及び垂直尾翼5)を、左主翼10Lに近づく方向にヨー移動させると、垂直尾翼5の周囲を流れる気流によって、航空機1の機首は、左方向を向く。結果として、左旋回を円滑に行うことができる。なお、航空機1を右旋回させるときには、尾翼3(主尾翼部分4及び垂直尾翼5)を、右主翼10Rに近づく方向にヨー移動させればよい。
【0123】
図13A及び
図13Bは、本発明の実施の形態に係る航空機を模式的に示す上面図及び正面図であり、尾翼の制御の第2例を説明するための図である。
図13A、
図13Bでは、右主翼10Rを、回転角θ
Rを上限角度θH
Rと等しくなるまで上方に移動させている。当該移動により、航空機1は、右主翼10Rを上げる方向にロール運動し、その結果、左旋回が実現される。このロール運動を補助すると、旋回を円滑に行うことができる。
【0124】
尾翼の制御の第2例では、航空機1のロール運動を補助するため、主尾翼部分4のロール角(φ
TAIL)を制御する。すなわち、主尾翼部分4の右側を、主尾翼部分4の左側よりも上方となるように、回転移動させる。そして、主尾翼部分4の右側部分の浮力を、主尾翼部分4の左側部分の浮力よりも大きくさせることにより、航空機1のロール運動を補助する。結果として、左旋回を円滑に行うことができる。なお、航空機1を右旋回させるときには、主尾翼部分4の右側を、主尾翼部分4の左側よりも下方となるように、ロール移動させればよい。
【0125】
図14A及び
図14Bは、本発明の実施の形態に係る航空機を模式的に示す上面図及び正面図であり、尾翼の制御の第3例を説明するための図である。
図14A、
図14Bでは、右主翼10Rを、回転角θ
Rを上限角度θH
Rと等しくなるまで上方に移動させている。当該移動により、航空機1は、右主翼10Rを上げる方向にロール運動し、その結果、左旋回が実現される。左旋回時には、主翼における揚力の低下により、航空機1の機首が下がる。当該機首の下げを抑制するために、尾翼の揚力を低下させると、旋回を円滑に行うことができる。
【0126】
尾翼の制御の第3例では、尾翼の揚力を低下させるため、主尾翼部分4のピッチ角(θ
TAIL)を制御する。すなわち、主尾翼部分4の後側を、持ち上げる方向にピッチ移動させると、主尾翼部分4の揚力が低下し、航空機1の機首の下げが抑制される。結果として、左旋回を円滑に行うことができる。なお、航空機1を右旋回させるときについても、左旋回させるときと同様に、主尾翼部分4の後側を、持ち上げる方向にピッチ移動させればよい。
【0127】
以上のとおり、主翼の制御と、尾翼の制御(ヨー制御、ロール制御、ピッチ制御)を組み合わせることにより、旋回性能を更に向上させることができる。
【0128】
<付記>
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のように記載することも可能である。但し、実際には、以下の記載例に限定されない。
【0129】
[付記1]
航空機(1)であって、
胴体(2)と、
翼根部(11R)において前記胴体(2)に対して上下方向に回転自在に取り付けられた右主翼(10R)であって、下限角度(θL
R)から上限角度(θH
R)までの範囲で回転自在な右主翼(10R)と、
翼根部(11L)において前記胴体(2)に対して上下方向に回転自在に取り付けられた左主翼(10L)であって、下限角度(θL
L)から上限角度(θH
L)までの範囲で回転自在な左主翼(10L)と、
前記右主翼(10R)の前記下限角度(θL
R)からの回転角の大きさである右主翼回転角(θ
R)、及び、前記左主翼の前記下限角度(θL
L)からの回転角の大きさである左主翼回転角(θ
L)を制御する制御装置(110)と、
を備え、
前記制御装置(110)は、前記右主翼回転角(θ
R)と、前記左主翼回転角(θ
L)とが異なる角度となるように制御することで、前記航空機(1)を右旋回又は左旋回させる
航空機。
【0130】
[付記2]
付記1に記載の航空機において、
前記右主翼(10R)を回転移動させる右アクチュエータ(120R)と、
前記左主翼(10L)を回転移動させる左アクチュエータ(120L)と、
を更に備え、
前記制御装置(110)は、前記右アクチュエータ(120R)に制御信号を送ることで前記右主翼回転角(θ
R)を制御し、
前記制御装置(110)は、前記左アクチュエータ(120L)に制御信号を送ることで前記左主翼回転角(θ
L)を制御する
航空機。
【0131】
[付記3]
付記1又は付記2に記載の航空機において、
前記制御装置(110)は、前記航空機(1)を右旋回させる際には、前記右主翼回転角(θ
R)を前記左主翼回転角(θ
L)よりも小さな角度となるように制御し、
前記制御装置(110)は、前記航空機(1)を左旋回させる際には、前記左主翼回転角(θ
L)を前記右主翼回転角(θ
R)よりも小さな角度となるように制御する
航空機。
【0132】
[付記4]
付記1乃至付記3のいずれかに記載の航空機において、
前記制御装置(110)は、前記航空機(1)を右旋回させる際には、前記右主翼回転角(θ
R)を、前記航空機(1)を滑空させる際の回転角である基準回転角(θ
STD)となるように制御し、かつ、前記左主翼回転角(θ
L)を、前記基準回転角(θ
STD)よりも大きな角度となるように制御し、
前記制御装置は、前記航空機(1)を左旋回させる際には、前記左主翼回転角(θ
L)を、前記基準回転角(θ
STD)となるように制御し、かつ、前記右主翼回転角(θ
R)を、前記基準回転角(θ
STD)よりも大きな角度となるように制御する
航空機。
【0133】
[付記5]
付記1乃至付記3のいずれかに記載の航空機において、
前記制御装置(110)は、前記航空機(1)を右旋回させる際には、前記左主翼回転角(θ
L)を、前記航空機(1)を滑空させる際の回転角である基準回転角(θ
STD)となるように制御し、かつ、前記右主翼回転角(θ
R)を、前記基準回転角(θ
STD)よりも小さな角度となるように制御し、
前記制御装置(110)は、前記航空機(1)を左旋回させる際には、前記右主翼回転角(θ
R)を、前記基準回転角(θ
STD)となるように制御し、かつ、前記左主翼回転角(θ
L)を、前記基準回転角(θ
STD)よりも小さな角度となるように制御する
航空機。
【0134】
[付記6]
付記1乃至付記3のいずれかに記載の航空機において、
前記制御装置(110)は、前記航空機(1)を右旋回させる際には、前記左主翼回転角(θ
L)を、前記航空機(1)を滑空させる際の回転角である基準回転角(θ
STD)よりも大きな角度となるように制御し、かつ、前記右主翼回転角(θ
R)を、前記基準回転角(θ
STD)よりも小さな角度となるように制御し、
前記制御装置(110)は、前記航空機(1)を左旋回させる際には、前記右主翼回転角(θ
R)を、基準回転角(θ
STD)よりも大きな角度となるように制御し、かつ、前記左主翼回転角(θ
L)を、前記基準回転角(θ
STD)よりも小さな角度となるように制御する
航空機。
【0135】
[付記7]
付記1乃至付記3のいずれかに記載の航空機において、
前記制御装置(110)は、前記航空機(1)を右旋回させる際には、前記左主翼(10L)に対する制御を解除することで、前記左主翼(10L)に作用する揚力によって前記左主翼(10L)を前記上限角度(θH
L)まで回転させ、
前記制御装置(110)は、前記航空機(1)を左旋回させる際には、前記右主翼(10R)に対する制御を解除することで、前記右主翼(10R)に作用する揚力によって前記右主翼(10R)を前記上限角度(θH
R)まで回転させる
航空機。
【0136】
[付記8]
付記1又は付記2に記載の航空機において、
前記制御装置(110)は、前記右主翼回転角(θ
R)及び前記左主翼回転角(θ
L)のうちの一方を固定し、前記右主翼回転角(θ
R)及び前記左主翼回転角(θ
L)のうちの他方を周期的に変動するように制御することで、回転角を固定した主翼の方向に前記航空機(1)を旋回させる
航空機。
【0137】
[付記9]
付記1乃至付記8のいずれかに記載の航空機において、
尾翼(3)を更に備え、前記尾翼(3)のヨー角(ψ
TAIL)、前記尾翼(3)のロール角(φ
TAIL)、及び、前記尾翼(3)のピッチ角(θ
TAIL)の少なくとも1つを制御することで、前記右旋回又は左旋回を補助する
航空機。
【0138】
[付記10]
付記1乃至付記9のいずれかに記載の航空機(1)において、
前記制御装置(110)は、前記右主翼回転角(θ
R)と前記左主翼回転角(θ
L)とを一致させた状態で前記右主翼(10R)と前記左主翼(10L)とを往復回転運動させる、はばたきモードを実行可能である
航空機。
【0139】
[付記11]
付記1乃至付記10のいずれかに記載の航空機において、
前記航空機(1)は、無人航空機である
航空機。
【0140】
[付記12]
航空機(1)であって、
胴体(2)と、
右主翼(10R)と、
左主翼(10L)と、
制御装置(110)と、
を備え、
前記右主翼(10R)の翼根部(11R)は、前記胴体(2)に上下方向に回転自在に取り付けられ、
前記左主翼(10L)の翼根部(11L)は、前記胴体(2)に上下方向に回転自在に取り付けられ、
前記制御装置(110)は、前記右主翼(10R)及び前記左主翼(10L)を静止させて前記航空機(1)を直進させることを含む滑空モードと、前記右主翼(10R)及び前記左主翼(10L)を上下方向に往復回転移動させることを含むはばたきモードとを実行可能である
航空機。
【0141】
[付記13]
付記12に記載の航空機において、
前記滑空モードにおいて、前記制御装置(110)は、前記航空機(1)の旋回方向とは逆の主翼を、旋回方向の主翼よりも上方に回転移動させるように、前記右主翼(10R)の上下方向の回転角、及び、前記左主翼(10L)の上下方向の回転角を制御して、航空機(1)を旋回させる
航空機。
【0142】
[付記14]
付記12に記載の航空機において、
前記はばたきモードにおいて、前記制御装置(110)は、前記航空機(1)の旋回方向とは逆の主翼を、旋回方向の主翼よりも上方に回転移動させるように、前記右主翼(10R)の上下方向の回転角、及び、前記左主翼(10L)の上下方向の回転角を制御して、航空機(1)を旋回させる
航空機。
【0143】
[付記15]
付記12に記載の航空機において、
前記はばたきモードにおいて、前記制御装置(110)は、前記航空機(1)の旋回方向とは逆の主翼を上下方向に往復回転移動させ、かつ、旋回方向の主翼を固定させるように、前記右主翼(10R)の上下方向の回転角、及び、前記左主翼(10L)の上下方向の回転角を制御して、航空機(1)を旋回させる
航空機。
【0144】
本発明は上記各実施の形態に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、各実施の形態は適宜変形又は変更され得ることは明らかである。また、実施の形態の各例で用いられる種々の技術は、技術的矛盾が生じない限り、相互に適用可能である。