【実施例1】
【0013】
本発明の実施例1を
図1乃至
図3によって説明する。
【0014】
1は、本発明の撹拌装置を示し、2は、該撹拌装置1の可撓性撹拌容器であり、該可撓性撹拌容器2は、薬液や培養液などの被撹拌物(内容物)を収納する容器であって、例えば、全体或いは少なくとも一部において可撓性(弾性も含む)のある合成樹脂製(プラスチック製、エラストマー製)からなる使い捨てバッグなどからなる。
【0015】
なお、該可撓性撹拌容器2は、後述するように、駆動軸3に従って該可撓性撹拌容器2の壁を上下動等の往復運動させた場合であっても、十分撓み、かつ、耐久性のあるものである。
【0016】
3は、駆動軸であり、該駆動軸3は、前記可撓性撹拌容器2の天井壁2aを貫通すると共に、該駆動軸3が貫通する前記可撓性撹拌容器2の貫通孔4の縁部において気密に固定されている。これにより、該可撓性撹拌容器2は、完全に密閉状態となる。
【0017】
なお、前記駆動軸3に、前記可撓性撹拌容器2の内外を連通する貫通孔を設け、即ち、例えば、前記駆動軸3を、上端を閉口し、下端が開口したパイプ状とすると共に、前記可撓性撹拌容器2外から突出した該駆動軸2の側面部分に、前記駆動軸3のパイプ孔3a内に連通した供給口部5を設け、容器外部から内部に酸素などの気体の供給を行えるようにしてもよい。
【0018】
6は、撹拌翼であり、該撹拌翼6は、前記撹拌容器2内の駆動軸3に1段、又は2段以上設けられ、該撹拌翼6の形状は、例えば、円形、楕円形、長円形など様々な形状がある。
【0019】
なお、該駆動軸3に該撹拌翼6を固定する位置は、特に制限はない。
【0020】
また、該撹拌翼6は、折り畳んで収納可能できるようにしてもよく、保管コストを下げることもできる。
【0021】
7は、上下駆動モータなどの往復駆動装置を示し、該往復駆動装置7のモータ軸7aは、前記撹拌容器2外に突出した前記駆動軸3の上端部に、締結手段8により連結されている。そして、該往復駆動装置7により、前記駆動軸3の撹拌翼6が、例えば上下動に往復移動される。
【0022】
そして、該往復駆動装置7は、例えば、床9に載置した固定台10の支柱11の上端に横設した固定部材12に固定されている。
【0023】
なお、13は、前記固定部材12に前記モータ軸7aを上下動自在に支持する、前記モータ軸7aと前記固定部材12との間に設けられたスラストベアリングである。
【0024】
14は、前記可撓性撹拌容器2の収納容器などの固定手段であり、該固定手段14は、例えば上部が開口した有底筒体であり、例えば、前記床9に載置した台15上に固定される。
【0025】
なお、前記固定手段14は、前記収納容器以外に、前記可撓性撹拌容器2を所望の形状に維持して固定できるものであればよい。また、前記可撓性撹拌容器2が、自立して前記台15上に載置できる場合には、前記固定手段14を省略してもよい。
【0026】
16は、前記撹拌容器2のダメージ防止用板を示し、該ダメージ防止用板16は、その中央部において、前記撹拌容器2外の駆動軸3を貫通して固定されている。また、該ダメージ防止用板16は、例えば、円形状、楕円形状、矩形状等の平板、又は 円形状、楕円形状、矩形状の、下方に突出する凸状又は下方が凹む凹状に湾曲した板などから形成され、特に、中心から半径方向外方に向かって同心円状に湾曲した下方に突出する凸状の円形状の板であるのが好ましい。
【0027】
なお、前記ダメージ防止用板16以外に、前記可撓性容器に当接する面が、平面、又は凹状、凸状に湾曲した湾曲面に形成されたダメージ防止用部材であってもよい。なお、該平面又は湾曲面は、前記ダメージ防止用板16と同様に形成されたものがある。
【0028】
また、前記ダメージ防止用部材の材質は、特に限定はなく、例えば、弾性部材がある。
【0029】
また、該ダメージ防止用板16を前記撹拌容器2内の駆動軸3に固定しても良い。
【0030】
また、撹拌容器2外の駆動軸3に固定すると共に、該ダメージ防止用板16を駆動軸3に、前記撹拌容器2の前記天井壁2aと当接する位置に固定するのが好ましい。また、前記可撓性撹拌容器2内を陽圧(大気圧以上)にするのが好ましい。
【0031】
次に、本発明の撹拌装置の作動及びその効果について説明する。
【0032】
駆動軸3が固定された、被撹拌物を収納した可撓性撹拌容器2を収納容器などの固定手段14に収納する。なお、該固定手段14が収納容器である場合には、該収納容器内に前記可撓性撹拌容器2を挿入することにより、前記可撓性撹拌容器2は、その被撹拌物の重さにより変形して、該収納容器内に嵌合して、固定されるようになる。
【0033】
なお、上記可撓性撹拌容器2内の上部は気体で満たされ、この気体は陽圧(大気圧以上)となるようにするのが好ましい。
【0034】
そして、前記駆動軸3の上端を、前記往復駆動装置7のモータ軸7aに締結手段8を介して連結する。
【0035】
そして、前記往復駆動装置7を駆動することにより、上記撹拌翼6が前記被撹拌物内で上下動など往復動し、該被撹拌物が撹拌される。また、上下撹拌方式を採用することにより、撹拌性能を上げることができる。
【0036】
この際、
図2及び
図3に示すように、前記可撓性撹拌容器2の天井壁2aが上下に撓むので、上記駆動軸3が上下動等の往復移動ができるようになる。
【0037】
そして、完全密閉で摺動部のない雰囲気にて良好な流動作用を得られるようになる。
【0038】
また、上記ダメージ防止用板16がない場合には、上記駆動軸3が往復動する際、この駆動軸3が固定された前記可撓性撹拌容器2の天井壁2aの貫通孔4の縁部分のみに応力が集中するため、可撓性容器のように材質が弱いもの場合には、耐久性に問題が生ずる場合がある。
【0039】
そこで、本発明においては、ダメージ防止用板16を設けるとともに、前記撹拌容器2内を陽圧とし、前記駆動軸3が下方に移動する場合には、前記天井壁2aを該ダメージ防止用板16の下面で押圧するようにして、天井壁2aの一部に応力を集中させないようにし、また、前記駆動軸3が上方に移動する場合は、撹拌容器2内の陽圧により天井面2aが上方に押し上げられるようにして、上記天井壁2aの一部に応力が集中しないようにし、可撓性の容器であっても、その破損を防止でき、耐久性を上げることができるようになる。
【0040】
また、駆動軸3は回転するものではないので、該駆動軸3に添加物供給手段を容易に設けることができ、前記撹拌容器2内に酸素などの気体や液体、又は固体などの添加物を供給できるようになる。
【0041】
また、本願発明は、回転軸を用いないことから、その取付公差の制約がなく、従って、前記可撓性撹拌容器2を往復動駆動装置に容易に脱着である。
【0042】
なお、前記実施例においては、駆動軸3を垂設し、上下方向に移動する例を示したが、駆動軸3を横設し、横方向に移動するなど、駆動軸を任意の方向に向け、該任意の方向に往復移動するようにしてもよい。