特許第6313655号(P6313655)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6313655ノズル付ワイパアーム及び車両用ワイパ装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6313655
(24)【登録日】2018年3月30日
(45)【発行日】2018年4月18日
(54)【発明の名称】ノズル付ワイパアーム及び車両用ワイパ装置
(51)【国際特許分類】
   B60S 1/46 20060101AFI20180409BHJP
【FI】
   B60S1/46 C
【請求項の数】5
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2014-105488(P2014-105488)
(22)【出願日】2014年5月21日
(65)【公開番号】特開2015-217923(P2015-217923A)
(43)【公開日】2015年12月7日
【審査請求日】2017年3月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000101352
【氏名又は名称】アスモ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(74)【代理人】
【識別番号】100099025
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 浩志
(72)【発明者】
【氏名】内野 義友輝
【審査官】 神田 泰貴
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭60−011862(JP,U)
【文献】 実開平03−013256(JP,U)
【文献】 米国特許第5074471(US,A)
【文献】 特表平05−508597(JP,A)
【文献】 米国特許第5291627(US,A)
【文献】 特表平08−511750(JP,A)
【文献】 特表平10−502313(JP,A)
【文献】 特開2003−025968(JP,A)
【文献】 特開2003−276572(JP,A)
【文献】 特開2007−112392(JP,A)
【文献】 特開2007−125946(JP,A)
【文献】 特開2012−158263(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/144547(WO,A1)
【文献】 特開2014−080167(JP,A)
【文献】 特開2015−085725(JP,A)
【文献】 特開2015−089706(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60S 1/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ピボット軸の軸回りに往復回動されるワイパアームと、
前記ワイパアームに設けられ、前記ワイパアームの幅方向一方側に配置されたノズル本体部と、前記ノズル本体部から前記ワイパアームの幅方向他方側へ延出され且つ洗浄液を供給するホースが接続されるノズル接続部と、を有するウォッシャノズルと、
前記ワイパアームの幅方向一方側の側壁部に形成され、前記ノズル接続部が挿通される挿通部と、
前記幅方向一方側の側壁部に形成されると共に、前記挿通部に対して前記ワイパアームの長手方向一方側に配置され、前記ウォッシャノズルが係合される被係合部と、
前記ノズル接続部に設けられ、前記ノズル接続部を前記挿通部に挿通した状態で前記ウォッシャノズルを前記ワイパアームの長手方向一方側へスライドさせることで前記被係合部と係合される係合部と、
を備えたノズル付ワイパアーム。
【請求項2】
前記係合部が前記被係合部に係合された状態において前記ノズル本体部が前記挿通部を前記ワイパアームの幅方向一方側から覆う請求項1に記載のノズル付ワイパアーム。
【請求項3】
前記ウォッシャノズルには、前記ノズル本体部と前記ノズル接続部との間において、前記ワイパアームの長手方向一方側へ開放されたスリットが形成されており、
前記係合部が前記被係合部に係合された状態において前記挿通部の縁部が前記スリット内に配置された請求項1又は請求項2に記載のノズル付ワイパアーム。
【請求項4】
前記係合部は、前記ノズル接続部の先端側から前記ノズル接続部の基端側へ延びる板状に形成されると共に、板厚方向に弾性変形可能に構成されており、
前記係合部が弾性変形した状態で前記係合部が前記被係合部に係合される請求項1〜請求項3の何れか1項に記載のノズル付ワイパアーム。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載のノズル付ワイパアームと、
前記ワイパアームの先端部に取付けられ、車両のウィンドシールドガラスを往復払拭するワイパブレードと、
を備え、
前記ウォッシャノズルの前記ノズル本体部は、前記ワイパブレードの前記ワイパアームへの取付け状態において、前記ワイパブレードの長手直交方向一方側に配置されることを特徴とする車両用ワイパ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗浄液を噴射するノズルをワイパアームに備えたノズル付ワイパアームと該ノズル付ワイパアームを備えた車両用ワイパ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1に記載された車両用ワイパ装置では、ワイパアームにウォッシャノズルが組付けられたノズル付ワイパアームを備えたものが知られている。具体的には、ワイパアームの側壁部に凹部が形成されており、ウォッシャノズルには、当該凹部に嵌合される凸部が形成されている。また、ウォッシャノズルには、ワイパアームの頂壁部を押圧する一対の押圧片が形成されている。そして、ウォッシャノズルをワイパアームに組付けるときには、ワイパアームの下方側からウォッシャノズルをワイパアームの内側へ挿入して、凹部と凸部とを嵌合させる。このとき、一対の押圧片がワイパアームの頂壁に当接されて弾性変形する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−25968号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記ノズル付ワイパアームにおいて、仮に凹部と凸部との嵌合状態が解除された場合には、ウォッシャノズルがワイパアームに対してワイパアームの下方側へ移動することで、ウォッシャノズルがワイパアームから離脱する可能性がある。このため、凹部と凸部との嵌合状態が仮に解除された場合でも、ウォッシャノズルをワイパアームから離脱し難くすることが望ましい。
【0005】
また、ワイパアームにウォッシャノズルを組付ける形態では、ウォッシャノズルの配置スペース等に制限があるため、ウォッシャノズルの大型化を抑制することが望ましい。
【0006】
本発明は、上記事実を考慮し、ウォッシャノズルの大型化を抑制し且つウォッシャノズルをワイパアームから離脱し難くすることができるノズル付ワイパアーム及び車両用ワイパ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のノズル付ワイパアームは、ピボット軸の軸回りに往復回動されるワイパアームと、前記ワイパアームに設けられ、前記ワイパアームの幅方向一方側に配置されたノズル本体部と、前記ノズル本体部から前記ワイパアームの幅方向他方側へ延出され且つ洗浄液を供給するホースが接続されるノズル接続部と、を有するウォッシャノズルと、前記ワイパアームの幅方向一方側の側壁部に形成され、前記ノズル接続部が挿通される挿通部と、前記幅方向一方側の側壁部に形成されると共に、前記挿通部に対して前記ワイパアームの長手方向一方側に配置され、前記ウォッシャノズルが係合される被係合部と、前記ノズル接続部に設けられ、前記ノズル接続部を前記挿通部に挿通した状態で前記ウォッシャノズルを前記ワイパアームの長手方向一方側へスライドさせることで前記被係合部と係合される係合部と、を備えている。
【0008】
上記構成のノズル付ワイパアームによれば、ピボット軸の軸回りに往復回動されるワイパアームにウォッシャノズルが設けられている。このウォッシャノズルはノズル本体部及びノズル接続部を有している。そして、ノズル本体部がワイパアームの幅方向一方側に配置されている。一方、ノズル接続部はノズル本体部からワイパアームの幅方向他方側へ延出されており、ノズル接続部には、洗浄液を供給するホースが接続される。
【0009】
また、ワイパアームの幅方向一方側の側壁部には、挿通部が形成されており、挿通部にノズル接続部が挿通されている。これにより、ノズル接続部をワイパアームの内側に配置することができる。また、上記一方側の側壁部には、挿通部に対してワイパアームの長手方向一方側の位置において被係合部が形成されており、被係合部にウォッシャノズルが係合されるようになっている。
【0010】
ここで、ノズル接続部に係合部が設けられており、ノズル接続部を挿通部に挿通した状態でウォッシャノズルをワイパアームの長手方向一方側へスライドさせることで、係合部が被係合部に係合される。すなわち、ワイパアームの幅方向一方側からノズル接続部を側壁部の挿通部に挿通させて、次いでウォッシャノズルをワイパアームの長手方向一方側へスライドさせることで、ウォッシャノズルがワイパアームに組付けられる。このため、ウォッシャノズルをワイパアームに組付けるときの組付方向を異なる2方向(2アクション)にすることができる。これにより、仮に係合部と被係合部との係合状態が解除された場合でも、ウォッシャノズルがワイパアームから離脱するには、ウォッシャノズルを上記2方向とは逆の方向へ移動させる必要がある。したがって、仮に係合部と被係合部との係合状態が解除された場合でも、ウォッシャノズルをワイパアームから離脱し難くすることができる。
【0011】
また、上述したように、係合部はノズル接続部に設けられている。このため、例えば係合部をノズル本体部に別途設ける場合と比べて、係合部を効率よく配置することができる。その結果、ウォッシャノズルの大型化を抑制することができる。
【0012】
また、本発明のノズル付ワイパアームは、上記構成に加えて、前記係合部が前記被係合部に係合された状態において前記ノズル本体部が前記挿通部を前記ワイパアームの幅方向一方側から覆っている。
【0013】
上記構成のノズル付ワイパアームによれば、ウォッシャノズルがワイパアームに組付けられた状態で挿通部がノズル本体部によって覆われている。このため、ワイパアームの意匠性を損なうことなくウォッシャノズルをワイパアームに組付けることができる。
【0014】
また、本発明のノズル付ワイパアームは、上記構成に加えて、前記ウォッシャノズルには、前記ノズル本体部と前記ノズル接続部との間において、前記ワイパアームの長手方向一方側へ開放されたスリットが形成されており、前記係合部が前記被係合部に係合された状態において前記挿通部の縁部が前記スリット内に配置されている。
【0015】
上記構成のノズル付ワイパアームによれば、ウォッシャノズルのワイパアームへの組付状態において側壁部をノズル本体部及びノズル接続部によって挟み込むように構成できる。これにより、ワイパアームの幅方向におけるウォッシャノズルのワイパアームに対する相対移動を制限することができ、ウォッシャノズルの組付強度を高くすることができる。
【0016】
また、本発明のノズル付ワイパアームは、上記構成に加えて、前記係合部は、前記ノズル接続部の先端側から前記ノズル接続部の基端側へ延びる板状に形成されると共に、板厚方向に弾性変形可能に構成されており、前記係合部が弾性変形した状態で前記係合部と前記被係合部とが係合されている。
【0017】
上記構成のノズル付ワイパアームによれば、係合部が弾性変形した状態で係合部と被係合部とが係合されているため、ウォッシャノズルの組付状態におけるウォッシャノズルのがたつきを抑制することができる。また、係合部自体が弾性変形するため、仮にノズル接続部に被係合部と係合する部分を形成してノズル接続部自体が弾性変形する場合と比べて、ノズル接続部に作用する応力を低減することができる。これにより、ノズル接続部に係合部を設けた場合でも、ノズル接続部の変形等を抑制又は防止することができる。
【0018】
また、本発明の車両用ワイパ装置は、上記記載のノズル付ワイパアームと、前記ワイパアームの先端部に取付けられ、車両のウィンドシールドガラスを往復払拭するワイパブレードと、を備え、前記ウォッシャノズルの前記ノズル本体部は、前記ワイパブレードの前記ワイパアームへの取付け状態において、前記ワイパブレードの長手直交方向一方側に配置されることを特徴とする。
【0019】
上記構成の車両用ワイパ装置によれば、上記記載のノズル付ワイパアームの作用効果と同様の作用効果を奏することができる車両用ワイパ装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本実施の形態に係るノズル付ワイパアームにおけるワイパアームの先端部にメインノズルが組付けられた状態を示すアーム下方側から見た斜視図である。
図2図1に示されるノズル付ワイパアームを適用した車両用ワイパ装置の全体を示す被払拭面の外側から見た平面図である。
図3図2に示される車両用ワイパ装置のノズル付ワイパアームをアーム上方側から見た斜視図である。
図4図2に示される車両用ワイパ装置のノズル付ワイパアームをアーム下方側から見た斜視図である。
図5図4に示されるアーム本体部の先端部を示すアーム下方側から見た斜視図である。
図6図3に示されるワイパアームの先端部を拡大して示す斜視図である。
図7図6に示されるメインノズルを示す側面図である。
図8図6に示されるメインノズルをアーム上方側から見た斜視図である。
図9図6に示されるメインノズルをアーム先端下方側から見た斜視図である。
図10図6に示されるメインノズルをアーム下方側から見た斜視図である。
図11図6に示されるメインノズルの内部を示す側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を用いて本実施の形態に係るノズル付ワイパアーム11を適用した車両用ワイパ装置10について説明する。図2に示されるように、車両用ワイパ装置10は、洗浄液を噴射するメインノズル40及びサブノズル100を有するノズル付ワイパアーム11と、車両(自動車)のウィンドシールドガラスWGの被払拭面Sを払拭するワイパブレード30と、を含んで構成されている。
【0022】
(ノズル付ワイパアーム11について)
図3及び図4に示されるように、ノズル付ワイパアーム11は、略長尺状に形成されたワイパアーム12と、ワイパアーム12の先端部に設けられた「ウォッシャノズル」としてのメインノズル40と、ワイパアーム12の長手方向中間部に設けられたサブノズル100と、を含んで構成されている。ワイパアーム12は、長尺状に形成されたアーム本体部14を備えており、アーム本体部14はウィンドシールドガラスWG(図3及び図4では不図示)の厚さ方向(被払拭面Sに対して直交する方向)においてウィンドシールドガラスWGと対向して配置されている。そして、以下の説明では、ワイパアーム12の長手方向一方側(図3に示される矢印C方向側)をアーム基端側と称し、ワイパアーム12の長手方向他方側(図3に示される矢印D方向側)をアーム先端側と称する。また、アーム本体部14に対してウィンドシールドガラスWG側(図3に示される矢印E方向側)をアーム下方側と称し、アーム本体部14に対してウィンドシールドガラスWGとは反対側(図3に示される矢印F方向側)をアーム上方側と称する。
【0023】
アーム本体部14は、その長手方向から見てアーム下方側へ開放された断面略U字状(開断面構造)に形成されている。具体的には、アーム本体部14は、頂壁部14Aと、頂壁部14Aの幅方向両端からそれぞれアーム下方側へ延設された互いに離間対向する一対の側壁部14B,14C(図4参照)と、を備えている。そして、アーム本体部14は、図示しない裏面カバーによってアーム下方側から塞がれている。
【0024】
また、アーム本体部14のアーム基端側には、アーム上方側へ開放された略有底円筒状の固定部16が形成されている。固定部16の底部の軸芯部には、円形の貫通孔16Aが同軸状に形成されている。そして、貫通孔16A内へピボット軸26(図2参照)の先端部がアーム下方側から挿通されて固定されることにより、ワイパアーム12の基端部がピボット軸26に固定されている。このピボット軸26は、車両のフレーム等に固定されたピボットホルダ(図示省略)に回動自在に支持されると共に、リンク機構を介してワイパモータ(図示省略)に連結されている。
【0025】
そして、ワイパモータの駆動力によってピボット軸26が往復回動することで、ワイパアーム12が、停止位置(図2の実線図示位置)と反転位置(図2の一点鎖線図示位置)との間を往復回動するようになっている。なお、ワイパアーム12が、停止位置から反転位置へ向かう方向(図2の矢印A方向)が回動方向一方側(往復回動の往動側)とされており、反転位置から停止位置へ向かう方向(図2の矢印B方向)が回動方向他方側(往復回動の復動側)とされている。そして、ワイパアーム12に対して回動方向一方側がワイパアーム12の幅方向一方側と一致し、ワイパアーム12に対して回動方向他方側がワイパアーム12の幅方向他方側と一致している。
【0026】
また、アーム本体部14の先端側には、クランク状に屈曲された横曲げ部18が形成されており、アーム本体部14の先端部がその基端部に対して回動方向一方側へオフセットしている。そして、アーム本体部14における横曲げ部18よりも先端側の部分がアーム側連結部20とされており、アーム側連結部20がワイパアーム12の先端部に対応している。
【0027】
図5に示されるように、アーム側連結部20における側壁部14B,14Cには、後述するクリップ36を固定するための固定溝20Aが形成されており、固定溝20Aはワイパアーム12の先端側へ開放されている。また、図6に示されるように、アーム側連結部20における頂壁部14Aには、後述するクリップ36を固定するための略矩形状の固定孔20Bが貫通形成されている。
【0028】
さらに、図5に示されるように、アーム側連結部20における幅方向一方側の側壁部14Bには、後述するメインノズル40のノズル接続部44が挿通される「挿通部」としての挿通孔22が貫通形成されており、挿通孔22は略矩形状に形成されている。また、側壁部14Bには、挿通孔22に対してアーム基端側の位置において、後述するメインノズル40の係合フック48が係合される「被係合部」としての係合孔24が貫通形成されており、係合孔24はアーム上下方向を長手方向とする略矩形状に形成されている。
【0029】
(ワイパブレード30について)
図4に示されるように、ワイパブレード30は、ワイパアーム12の長手方向に沿うように略長尺状に形成されている。そして、ワイパブレード30の長手方向中央部が、後述する連結レバー34を介してワイパアーム12のアーム側連結部20に連結されている。これにより、アーム上下方向から見て、ワイパブレード30が、ワイパアーム12(のアーム側連結部20を除く部分)に対して、回動方向一方側に配置されている。
【0030】
ワイパブレード30は、略長尺状に形成されたゴム製のブレードラバー32を備えている。ブレードラバー32は、その上部側に配置された略矩形断面状の基部32Aと、この基部32Aから首部を介して連結された略三角形断面状の払拭部32Bとによって構成されている。払拭部32Bの先端部(下端部)には、ウィンドシールドガラスWGの被払拭面Sに接触して払拭するリップが形成されている。また、基部32Aの上面には、バネ板材によって構成された略長尺板状のバッキング(図示省略)が配置されている。そして、ブレードラバー32の基部32A及びバッキングが、長尺状に形成されかつ断面形状が略C字状とされた保持ケース(図示省略)によって覆われた状態で保持されている。
【0031】
図6に示されるように、ワイパブレード30の長手方向中央部には、連結レバー34が設けられている。連結レバー34は、略ブロック状に形成されて、上記保持ケースとワイパブレード30の長手方向に並んで配置されている。この連結レバー34の下部には、ウィンドシールドガラスWG側の部分において、図示しない長手レール状の保持爪が形成されている。そして、ワイパブレード30の長手方向中央部の位置において、バッキングと連結レバー34との長手方向の相対移動が阻止されており、ブレードラバー32の基部32A及びバッキングが連結レバー34内に収容された状態で保持爪によって保持されている。
【0032】
連結レバー34におけるワイパアーム12の基端側(図6の矢印C方向側)の部分には、クリップ36が設けられている。このクリップ36はアーム下方側へ開放された断面略U字形状に形成されて、連結レバー34の基端側の部分をアーム上方側から覆っている。また、クリップ36の先端部は、ワイパアーム12の幅方向(図6の矢印A方向及び矢印B方向)を軸方向にして連結レバー34に回動可能に支持されている。
【0033】
クリップ36は、前述したアーム側連結部20の内側に配置されて、アーム側連結部20に固定されている。具体的には、アーム側連結部20の固定溝20Aと嵌合される一対の嵌合突起36Aがクリップ36に形成されており、これにより、クリップ36はワイパブレード30に対してワイパアーム12とアーム上下方向に一体的に回動する。さらに、クリップ36には、アーム側連結部20の固定孔20Bと嵌合されるロック部36Bが形成されている。このロック部36Bは、アーム上下方向に弾性変位可能に構成されており、ロック部36Bの嵌合凸部がアーム側連結部20の固定孔20B内に嵌合されている。これにより、ワイパブレード30のワイパアーム12に対するワイパアーム12の長手方向の相対移動が制限されている。このように、ワイパブレード30は、複数のレバーをトーナメント状に連結したレバーアッセンブリを有しない、所謂レバーレスタイプのワイパブレードとして構成されている。
【0034】
また、図6に示されるように、ワイパブレード30の上部には、フィン38が設けられており、フィン38は、上述した保持ケースに一体に形成されている。このフィン38の上面は、ワイパブレード30の長手方向から見て、ワイパブレード30の幅方向他方側から幅方向一方側へ向かうに従いアーム上方側へ傾斜して形成されている。これにより、車両の走行中に生じる走行風をフィン38が受けて、ワイパブレード30をウィンドシールドガラスWG側へ押圧するように構成されている。
【0035】
(メインノズル40について)
図6に示されるように、メインノズル40は、ワイパアーム12(アーム本体部14)の先端部に設けられると共に、クリップ36に対してアーム基端側に配置されている。メインノズル40は樹脂材により製作されている。また、メインノズル40はノズル本体部42を備えており、ノズル本体部42はワイパアーム12(アーム本体部14)の幅方向外側に配置されている。具体的には、ノズル本体部42は、アーム本体部14の幅方向一方側の側壁部14Bの外側面に当接されて、取付状態で側壁部14Bの挿通孔22をワイパアーム12の幅方向一方側から覆っている。これにより、ノズル本体部42はワイパブレード30(のフィン38)に対してワイパアーム12の幅方向一方側に配置されている。また、ノズル本体部42は、ワイパアーム12の長手方向に延びる略直方体状に形成されている。具体的には、図7図10に示されるように、ノズル本体部42は、アーム上下方向においてウィンドシールドガラスWGと対向して配置された下面42Aを有している。また、ノズル本体部42の外側面42Bは、アーム上方側へ向かうに従いアーム本体部14側へ若干傾斜されている。
【0036】
さらに、ノズル本体部42のアーム基端側の部分は、アーム本体部14側に一段凹んだ凹み部43が形成されており、凹み部43は、側面視(ワイパアーム12の幅方向一方側から見て)で略逆三角形状に形成されると共に、アーム上方側且つアーム基端側に開放されている。そして、凹み部43における外側面42Bと接続された部分が傾斜面42Cとされている。この傾斜面42Cは、側面視でアーム基端側へ向かうに従いアーム下方側へ傾斜されている。また、アーム上方側から見て、傾斜面42Cの幅寸法がアーム先端側へ向かうに従い小さくなるように設定されており、傾斜面42Cにおけるアーム先端側の端部が頂点をなすように傾斜面42Cが略三角形状に形成されている。また、側面視で傾斜面42Cと下面42Aとが交差しており、ノズル本体部42のアーム下方側且つアーム基端側の部分が略楔形状に形成されている(図7参照)。さらに、ノズル本体部42におけるアーム先端側の側面が側面42Dとされている。
【0037】
また、メインノズル40はノズル接続部44を備えており、ノズル接続部44は、略筒状に形成されて、ノズル本体部42からワイパアーム12の幅方向内側(詳しくはワイパアーム12の幅方向他方側)へ突出されている。具体的には、ノズル接続部44は、アーム下方側から見て、ワイパアーム12の幅方向内側へ向かうに従いアーム基端側へ傾斜されている。そして、ノズル接続部44は、側壁部14Bの挿通孔22内を挿通して、アーム本体部14の内側に配置されると共に、ワイパアーム12の横曲げ部18に沿うようにノズル本体部42から延びている(図1及び図6参照)。
【0038】
また、ノズル接続部44の基端側の部分が接続本体部45とされており、ノズル接続部44の軸方向から見た接続本体部45の外形が略矩形状を成している。具体的には、接続本体部45の上面45A(図1参照)及び下面45B(図10参照)がアーム上下方向に対して直交する方向に沿って配置されている。そして、接続本体部45の上下寸法(上面45Aと下面45Bとの間の距離)が、側壁部14Bにおける挿通孔22の上下寸法に比べて僅かに小さく設定されて、アーム上下方向において、接続本体部45の上面45Aと挿通孔22の上側の内周面とが対向して配置されると共に、接続本体部45の下面45Bと挿通孔22の下側の内周面とが対向して配置されている(図1参照)。これにより、アーム上下方向におけるメインノズル40のワイパアーム12に対する相対移動が制限されている。
【0039】
さらに、図8及び図10に示されるように、メインノズル40には、接続本体部45の基端部とノズル本体部42との間において、スリット46が形成されており、スリット46は、アーム基端側へ開放されると共に、アーム上下方向に貫通されている。また、スリット46の幅寸法は、側壁部14Bの板厚寸法に比べて僅かに大きく設定されており、側壁部14Bにおける挿通孔22の縁部がスリット46内に配置される。これにより、側壁部14Bがノズル接続部44とノズル本体部42とによって挟み込まれて、ワイパアーム12の幅方向におけるメインノズル40のワイパアーム12に対する相対移動が制限される(図1参照)。
【0040】
また、接続本体部45の先端部には、横曲げ部18の側壁部14Bと対向する部分において、「係合部」としての係合フック48が一体に形成されている。この係合フック48は、接続本体部45の先端部から一旦アーム本体部14の側壁部14B側へ延びると共に、板厚方向を側壁部14Bの板厚方向と略一致するようにして、接続本体部45の基端側へ屈曲されている。
【0041】
さらに、係合フック48の先端部には、屈曲部48Aが形成されており、屈曲部48Aはアーム先端側へ屈曲されている。さらに、屈曲部48Aの先端部には、フック部48Bが形成されており、フック部48Bはノズル本体部42側(ワイパアームの幅方向一方側)へ屈曲されている。そして、図1に示されるように、係合フック48は、側壁部14Bの板厚方向に弾性変形可能に構成されており、係合フック48が弾性変形した状態でフック部48Bがアーム本体部14の係合孔24内に挿入されている。具体的には、屈曲部48Aが側壁部14Bの内側面に当接されて、係合フック48の先端部が側壁部14Bによってワイパアームの幅方向他方側へ押圧されている。これにより、ワイパアーム12の長手方向において係合フック48と係合孔24とが係合して、ワイパアーム12の長手方向におけるメインノズル40のワイパアーム12に対する相対移動が制限されている。
【0042】
一方、図11に示されるように、ノズル本体部42の内部には、略中央部において、分岐部80が形成されており、分岐部80はノズル接続部44の流路に連通されている。また、ノズル本体部42の内部には、3箇所の第1ノズル部50、第2ノズル部60、及び第3ノズル部70が形成されており、これら第1ノズル部50、第2ノズル部60、及び第3ノズル部70は分岐部80にそれぞれ連通している。これにより、ノズル接続部44に供給された洗浄液が、第1ノズル部50、第2ノズル部60、及び第3ノズル部70を介してノズル本体部42から噴射されるようになっている。以下、具体的に説明する。
【0043】
第1ノズル部50は第1流路52を有しており、第1流路52はノズル本体部42の傾斜面42Cに対してアーム先端側に配置されている。換言すると、傾斜面42Cが第1ノズル部50に対してアーム基端側に配置されている。この第1流路52は、断面円形状に形成されて、ノズル本体部42の長手方向断面の側断面視(図11)で分岐部80からウィンドシールドガラスWG側(ノズル本体部42の下面42A側)へ直線状に延出されている。具体的には、第1流路52は、側断面視でアーム下方側(ウィンドシールドガラスWG側)へ向かうに従いアーム基端側へ傾斜して形成されている。
【0044】
一方、ノズル本体部42の下面42Aには、第1ノズル部50に対応する位置において、第1凹部56が形成されており、第1凹部56は、アーム下方側へ向けて開口(第1凹部56の開口がアーム基端側に向けて対向しないようにウィンドシールドガラスWGと対向して開口形成)されると共に、第1流路52と連通されている。また、第1凹部56の深さ方向が第1流路52の長手方向と一致しており、第1流路52の長手方向から見た第1凹部56の断面が第1流路52と同心円状を成す円形に形成されている。すなわち、第1流路52の中心線と第1凹部56の中心線とが一致している。そして、第1凹部56の底面56Aに形成された第1流路52の開口部が、第1メインノズル噴射孔54とされており、第1凹部56の内部空間が第1エリア58とされている。
【0045】
また、第1凹部56の底面56Aは、第1流路52の長手方向に対して直交する方向に沿って配置されている。すなわち、側断面視における第1流路52の内周面と底面56Aとの成す角度θ1が90°に設定されており、角度θ1が第1メインノズル噴射孔54の周方向において一定に設定されている。
【0046】
また、第1流路52の長手方向(延在方向)から見た第1凹部56の断面積が、第1凹部56の開口側(ウィンドシールドガラスWG側)へ向かうに従い大きくなるように設定されている。すなわち、第1凹部56がウィンドシールドガラスWG側(ノズル本体部42の下面42A側)へ向かうに従い末広がりに形成されている。
【0047】
第2ノズル部60は第1ノズル部50に対してアーム先端側に配置されている。そして、第2ノズル部60は、第1ノズル部50と同様に構成されている。すなわち、第2ノズル部60は第2流路62を有しており、第2流路62は分岐部80から略アーム下方側(ノズル本体部42の下面42A側)へ直線状に延出されている。具体的には、第2流路62は側断面視で分岐部80からアーム下方側へ向かうに従いアーム先端側へ若干傾斜して形成されている。
【0048】
また、ノズル本体部42の下面42Aには、第2ノズル部60に対応して第2凹部66が形成されており、第2凹部66には、第2流路62が連通されている。この第2凹部66は第1凹部56と同様に構成されている。すなわち、第2凹部66は、第2流路62の長手方向を深さ方向として形成されて、ウィンドシールドガラスWG側へ開口されている。そして、第2凹部66の底面66Aに第2メインノズル噴射孔64が形成されており、第2メインノズル噴射孔64がノズル本体部42の下面42A側へ開口されている。また、第2流路62の長手方向から見た第2凹部66の断面が第2流路62と同心円状を成す円形に形成されている。さらに、第2凹部66の底面66Aが第2流路62の長手方向に対して直交する方向に沿って配置されて、第2流路62の内周面と底面66Aとの成す角度θ2が第2メインノズル噴射孔64の周方向において一定(90°)に設定されている。そして、第2凹部66の内部空間が第2エリア68とされている。
【0049】
第3ノズル部70は第2ノズル部60に対してアーム先端側に配置されている。そして、第3ノズル部70においても第1ノズル部50と同様に構成されている。すなわち、第3ノズル部70は第3流路72を有しており、第3流路72は分岐部80からアーム先端側(ノズル本体部42の側面42D側)へ直線状に延出されている。具体的には、第3流路72は側断面視で分岐部80からアーム先端側へ向かうに従いアーム下方側へ傾斜して形成されている。
【0050】
また、ノズル本体部42の側面42Dには、第3ノズル部70に対応して第3凹部76が形成されており、第3凹部76には、第3流路72が連通されている。この第3凹部76は第1凹部56と同様に構成されている。すなわち、第3凹部76は、第3流路72の長手方向を深さ方向として形成されて、アーム先端側へ開口されている。そして、第3凹部76の底面76Aに第3メインノズル噴射孔74が形成されており、第3メインノズル噴射孔74がノズル本体部42の側面42D側へ開口されている。また、第3流路72の長手方向から見た第3凹部76の断面が第3流路72と同心円状を成す円形に形成されている。さらに、第3凹部76の底面76Aが第3流路72の長手方向に対して直交する方向に沿って配置されて、第3流路72の内周面と底面76Aとの成す角度θ3が第3メインノズル噴射孔74の周方向において一定(90°)に設定されている。そして、第3凹部76の内部空間が第3エリア78とされている。
【0051】
また、図4に示されるように、メインノズル40のノズル接続部44の先端部に「ホース」としての第1メインノズル用ホース90が接続されて、ノズル接続部44が第1メインノズル用ホース90、第1ホースジョイント92、及び第2メインノズル用ホース94を介して車両の第1ウォッシャポンプ(図示省略)に接続されている。これにより、車両のウォッシャタンク(図示省略)から第1ウォッシャポンプによって圧送された洗浄液がメインノズル40のノズル接続部44に供給されるようになっている。
【0052】
そして、ワイパアーム12が回動方向一方側へ回動するときに、ノズル接続部44に供給された洗浄液が、分岐部80を介して第1メインノズル噴射孔54、第2メインノズル噴射孔64、及び第3メインノズル噴射孔74によってウィンドシールドガラスWGへ噴射されるようになっている。具体的には、第1メインノズル噴射孔54から噴射される洗浄液は、第1メインノズル噴射孔54からアーム下方側へ向かうに従いアーム基端側へ噴射されて、第1凹部56内の第1エリア58を通過し、ウィンドシールドガラスWGへ着水するようになっている。また、第2メインノズル噴射孔64から噴射される洗浄液は、第2メインノズル噴射孔64からアーム下方側へ噴射されて、第2凹部66内の第2エリア68を通過し、ウィンドシールドガラスWGへ着水するようになっている。さらに、第3メインノズル噴射孔74から噴射される洗浄液は、第3メインノズル噴射孔74からアーム先端側へ向かうに従いアーム下方側へ噴射されて、第3凹部76内の第3エリア78を通過し、ウィンドシールドガラスWGへ着水するようになっている。
【0053】
(サブノズル100について)
図3及び図4に示されるように、サブノズル100はアーム本体部14の長手方向中間部の内側に配置されている。具体的には、サブノズル100は、ワイパブレード30の基端側の端部に対応してアーム本体部14の内側に配置されている。このサブノズル100は、略有底円筒形状に形成されており、サブノズル100はサブノズル接続部101(図3参照)を備えている。また、サブノズル100には、一対のサブノズル噴射孔102A,102B(図4参照)が形成されており、サブノズル噴射孔102A,102Bは、ワイパアーム12の長手方向に並んで配置されると共に、サブノズル接続部に連通されている。
【0054】
また、図4に示されるように、サブノズル100のサブノズル接続部が、第1サブノズル用ホース104、第2ホースジョイント106、及び第2サブノズル用ホース108を介して車両の第2ウォッシャポンプ(図示省略)と接続されている。これにより、車両のウォッシャタンク(図示省略)から第2ウォッシャポンプによって圧送された洗浄液がサブノズル100へ供給されるようになっている。
【0055】
そして、ワイパアーム12が回動方向他方側へ回動するときに、サブノズル100に供給された洗浄液が、一対のサブノズル噴射孔102A,102BによってウィンドシールドガラスWGへ噴射されるようになっている。具体的には、ワイパブレード30の往復回動の復動側(図2の矢印B方向)へ回動されているときに、アーム先端側に配置されたサブノズル噴射孔102Aからアーム先端側へ洗浄液が噴射され、アーム基端側に配置されたサブノズル噴射孔102Bからアーム基端側へ洗浄液が噴射されるようになっている。
【0056】
次に、メインノズル40をワイパアーム12の先端部(アーム本体部14のアーム側連結部20)に組付けるときの組付手順を説明しつつ本実施の形態の作用及び効果について説明する。
【0057】
メインノズル40をワイパアーム12の先端部に組付けるときには、アーム本体部14のアーム側連結部20の幅方向一方側にメインノズル40を配置する。具体的には、アーム本体部14の側壁部14Bに形成された挿通孔22と、メインノズル40のノズル接続部44と、がアーム本体部14の幅方向に対向するように、メインノズル40を配置する。
【0058】
そして、メインノズル40をアーム本体部14の幅方向他方側(図1の矢印B方向側)へ移動させて、ノズル接続部44を挿通孔22内に挿入すると共に、ノズル本体部42を側壁部14Bの外側面に当接させる。この状態でメインノズル40をアーム本体部14の長手方向一方側(図1の矢印C方向側)へスライドさせて、側壁部14Bにおける挿通孔22の縁部をメインノズル40のスリット46内に挿入させる。このとき、ノズル接続部44に一体に形成された係合フック48のフック部48Bが側壁部14Bの内側面に当接して、係合フック48がアーム本体部14の幅方向他方側へ弾性変形する。そして、メインノズル40をアーム本体部14の長手方向一方側へさらにスライドさせることで、係合フック48のフック部48Bが側壁部14Bの係合孔24内に挿入される。これにより、係合フック48と係合孔24とが係合して、メインノズル40がアーム本体部14に組付けられる。また、この状態のときには、係合フック48の屈曲部48Aが側壁部14Bの内側面に当接されて、係合フック48が自身の板厚方向に弾性変形している。
【0059】
このように、ノズル付ワイパアーム11では、側壁部14Bの挿通孔22内にメインノズル40のノズル接続部44を挿通した状態でノズル接続部44(メインノズル40)をワイパアーム12の長手方向一方側へスライドさせることで、メインノズル40の係合フック48が係合孔24に係合される。このため、メインノズル40をワイパアーム12に組付けるときの組付方向を異なる2方向(2アクション)にすることができる。これにより、仮に係合フック48と係合孔24との係合状態が解除された場合でも、メインノズル40がワイパアーム12から離脱するには、メインノズル40をワイパアーム12の長手方向他方側へスライドし、且つメインノズル40をワイパアーム12の幅方向一方側へ移動させる必要がある。このため、仮に係合フック48と係合孔24との係合状態が解除された場合でも、メインノズル40をワイパアーム12から離脱し難くすることができる。また、ノズル接続部44の先端部には第1メインノズル用ホース90が接続されており、しかも、第1メインノズル用ホース90はメインノズル40の組付け時のスライド方向であるワイパアーム12の長手方向一方側から接続されている。そのため、仮に係合フック48と係合孔24との係合状態が解除された場合でも、メインノズル40の長手方向他方側へのスライドが第1メインノズル用ホース90のテンションによって一層抑制され、メインノズル40のワイパアーム12からの離脱に至ることを防止できる。
【0060】
また、係合フック48はノズル接続部44に設けられている。このため、係合フック48をノズル接続部44とは異なる部位に設ける場合(例えば、係合フック48をノズル本体部42に別途設ける場合)と比べて、係合フック48を効率よく配置することができる。その結果、メインノズル40の大型化を抑制することができる。また、係合フック48がノズル接続部44に設けられているので、ノズル本体部42がワイパアーム12の外側に配置されていても挿通孔22を介してノズル接続部44、すなわち係合フック48がワイパアーム12の内側(一対の側壁部14B、14C間)に配置される。このため、係合フック48に直接的な外力(例えば、雪の塊の衝突など)が作用し難くなる。その結果、係合フック48と係合孔24との係合状態の解除が防止される。
【0061】
しかも、仮に係合フック48と係合孔24との係合状態が解除されて係合フック48のフック部48Bが側壁部14Bの内側面に乗り上げた場合には、側壁部14Bから係合フック48にワイパアーム12の幅方向他方側への押圧力が作用する。つまり、アーム下方側から見て、ワイパアーム12の長手方向に対して直交する方向(メインノズル40をワイパアーム12へ組付けるときのスライド方向に対して直交する方向)の押圧力がメインノズル40に作用する。このため、仮に係合フック48と係合孔24との係合状態が解除された場合でも、当該押圧力がアーム先端側(すなわち、メインノズル40をワイパアーム12から取り外す方向)に作用しないため、メインノズル40をワイパアーム12から離脱し難くすることができる。
【0062】
さらに、係合フック48が係合孔24に係合された状態(メインノズル40がワイパアーム12に組付けられた状態)において、挿通孔22がノズル本体部42によってワイパアーム12の幅方向一方側から覆われている。このため、ノズル接続部44をワイパアーム12の内側に配置するために、ノズル接続部44が挿通される挿通孔22をアーム本体部14に形成しても、ワイパアーム12の意匠性を損なうことなく、メインノズル40をワイパアーム12に組付けることができる。
【0063】
また、係合フック48が係合孔24に係合された状態(メインノズル40がワイパアーム12に組付けられた状態)において、側壁部14Bにおける挿通孔22の縁部が、メインノズル40のスリット46に配置されている。このため、側壁部14Bをノズル本体部42及びノズル接続部44によって挟み込むように構成できる。これにより、ワイパアーム12の幅方向におけるメインノズル40のワイパアーム12に対する相対移動を制限することができる。また、ワイパアーム12の幅方向におけるメインノズル40の組付強度を高くできる。
【0064】
さらに、係合フック48は、ノズル接続部44の先端側(詳しくは、接続本体部45の先端部)からノズル接続部44の基端側へ延びている。そして、係合フック48が弾性変形した状態で係合フック48と係合孔24とが係合している。このため、メインノズル40がワイパアーム12に組付けられた状態においてメインノズル40のがたつきを防止できる。また、係合フック48自体が弾性変形するため、仮にノズル接続部44にフック部48Bを形成してノズル接続部44が弾性変形する場合と比べて、ノズル接続部44に作用する応力を低減することができる。これにより、ノズル接続部44に係合フック48を設けた場合でも、ノズル接続部44の変形等を抑制又は防止することができる。
【0065】
また、ノズル本体部42はワイパブレード30のフィン38に対してワイパアーム12の幅方向一方側に配置されている。このため、ワイパブレード30が停止位置付近に配置された状態では、ノズル本体部42が、ワイパブレード30のフィン38に対して、車両の走行中に生じる走行風の下流側に配置される。これにより、停止位置において、メインノズル40の第1メインノズル噴射孔54、第2メインノズル噴射孔64、第3メインノズル噴射孔74から噴射される洗浄液が走行風の影響を受けること抑制でき、洗浄液をより確実に所定位置に着水させることができる。すなわち、ワイパブレード30が停止位置付近に配置された状態では、ノズル本体部42に対して走行風の上流側において、上記走行風がフィン38によって上方側へ導かれる。また、ワイパブレード30は、所謂レバーレスタイプのワイパブレードとして構成されているため、レバー式のワイパブレードのように走行風がレバー間を通過してノズル本体部42側へ流れることがなくなる。これにより、停止位置付近において、メインノズル40の第1メインノズル噴射孔54、第2メインノズル噴射孔64、第3メインノズル噴射孔74から噴射される洗浄液が走行風の影響を受けることを抑制でき、洗浄液をより確実に所定位置に着水させることができる。
【0066】
なお、本実施の形態では、側壁部14Bにおける挿通孔22と係合孔24とが別々に形成されているが、挿通孔22と係合孔24とを一体にした1つの孔部として構成してもよい。すなわち、メインノズル40のノズル接続部44が挿通される部分と、メインノズル40の係合フック48が係合される部分と、が当該孔部に形成されていればよい。
【0067】
また、本実施の形態では、側壁部14Bの挿通孔22がワイパアーム12の幅方向から見て略矩形状の孔として構成されているが、挿通孔22をアーム下方側へ開放された切欠状に形成してもよく、その切欠き形状は側面視でL字形状をなしていると好ましい。
【0068】
また、本実施の形態では、メインノズル40の係合フック48と係合される係合孔24が孔として構成されているが、係合フック48と係合される部分の形状はこれに限らない。例えば、例えば、側壁部14Bにワイパアーム12の幅方向内側へ突出する凸部を形成して、当該凸部と係合フック48とが係合するように構成してもよい。
【0069】
また、本実施の形態において、ノズル接続部44に、スリット46を挟んでノズル本体部42と対向するツバ部を形成し、挿通孔22の一部を該ツバ部が通過可能な形状として、ツバ部が挿通孔22を通過した状態でワイパアーム12の長手方向一方側へスライドさせることで、スリット46の周囲をツバ部とノズル本体部42とで側壁部14Bを挟持する構成としても良い。これにより、メインノズル40のワイパアーム12への組付状態(組付姿勢)をより一層安定したものとすることができる。
【符号の説明】
【0070】
10・・・車両用ワイパ装置、11・・・ノズル付ワイパアーム、12・・・ワイパアーム、14B・・・側壁部、22・・・挿通孔(挿通部)、24・・・係合孔(被係合部)、26・・・ピボット軸、40・・・メインノズル(ウォッシャノズル)、42・・・ノズル本体部、44・・・ノズル接続部、46・・・スリット、48・・・係合フック(係合部)、90・・・第1メインノズル用ホース
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11