【実施例】
【0013】
(パチンコ機10について)
図1に示すように、実施例に係るパチンコ機10は、前後に開口する矩形枠状に形成されて遊技店の図示しない設置枠台に縦置き姿勢で設置される固定枠としての外枠11の開口前面側に、遊技盤20を着脱可能に保持する本体枠としての中枠12が、開閉および着脱可能に組み付けられている。そして、
図2に示すように、遊技盤20の裏側に、所定条件の成立(後述する第1始動入賞装置30の始動入賞口または第2始動入賞装置の始動入賞口へのパチンコ球(遊技球)の入賞)を契機として演出用の図柄(以下飾図という)を変動表示させて図柄変動演出を行う演出実行手段としての図柄表示装置45が、着脱可能に配設されている。また、中枠12の前面側には、遊技盤20を透視保護するガラス板や透明な合成樹脂材により形成された透視保護板19(
図1参照)で前後に開口する窓口13aを覆うよう構成された装飾枠としての前枠13が開閉可能に組み付けられると共に、該前枠13の下部前側に、パチンコ球を貯留する上球皿14および下球皿15が組み付けられており、前枠13の開閉に合わせて上球皿14および下球皿15も一体的に開閉するよう構成される。
【0014】
また、
図1に示すように、前枠13の右下方位置には、中枠12に配設された球発射装置(図示せず)および該前枠13の裏側に配設された球送り装置(図示せず)を作動する操作操作ハンドル16が設けられており、該操作操作ハンドル16の操作レバーの回転操作により、球送り装置および球発射装置が連動して作動することで、上球皿14に貯留されたパチンコ球が所定間隔で1球ずつ遊技盤20に向けて連続的に発射されるようになっている。
【0015】
(遊技盤20)
遊技盤20は、透明な合成樹脂材により形成された略矩形状の板部材であって、
図2に示すように、中枠12に設けた遊技盤保持部(図示せず)の内縁形状に整合する外縁形成された略矩形の平板状に形成され、その前側には遊技領域21が設けられると共に、その後側には設置部材(遊技機構成部材)40(
図3参照)が配設されている。遊技盤20の前側には、左下部から右上部にかけて円弧状に延在する外レール22と、この外レール22の内側に右下部から左上部にかけて並べて配置された内レール23と、外レール22の右上部から内レール23の右下部までの間の右方へ凹む湾曲形状に構成された盤面飾り部材24等が配設されており、両レール22,23および盤面飾り部材24で囲まれた内側が遊技領域21として構成されている。また、遊技領域21の最下方に、遊技領域21を流下したパチンコ球を遊技盤20の裏側へ排出するアウト口25が形成されている。これにより、前枠13の上球皿14から中枠12に配設された球発射装置へ案内されて、該球発射装置から発射されたパチンコ球は、外レール22と内レール23との間を通って遊技領域21の左上部に打ち出された後に該遊技領域21内を流下し、該パチンコ球の一部が後述する始動入賞装置(入賞装置)30、特別入賞装置32または普通入賞部材33の入賞口等に入賞し、これらに入賞しないパチンコ球は、アウト口25から遊技盤20の裏側へ排出されるようになっている。
【0016】
遊技盤20には、前後に貫通する複数の装着口が開設されており、該装着口には、各種の遊技盤設置部品(具体的には枠状装飾体26、第1始動入賞装置30、特別入賞装置32、ゲート部34、普通入賞部材33等が各装着口に対し前側から取り付けられる。すなわち、遊技盤20の略中央において前後に開口する大きな装着口には、
図2に示すように、前後に開口した演出窓口26aが形成されたセンター役とも称される枠状装飾体26が配設されており、該演出窓口26a内が演出領域とされている。枠状装飾体26は、複数の装飾部材を環状に連結してユニット化されており、設置部材40の後側に着脱可能に配設された図柄表示装置45の表示部45aで演出表示される遊技内容に合わせた所定の装飾等が施されている。そして、枠状装飾体26の演出窓口26aには、設置部材40に配設された図柄表示装置45の表示部45aや、該設置部材40の前側に配設される後述の可動演出装置50や、その他の演出装置および装飾部品等が臨むようになっている。
【0017】
図2示すように、枠状装飾体26の演出窓口26aに臨む下側部分に、パチンコ球が転動可能なステージ部27が左右に延在して設けられていると共に、該ステージ部27の後側に、透明な部材から形成された透明保護部材28が配設されている。この透明保護部材28は、枠状装飾体26の左部に形成された球通入口29からステージ部27へ導入されて該ステージ部27を左右に転動するパチンコ球が、該ステージ部27の後方へ落下するのを防止する。なお、透明保護部材28は、図柄表示装置45の表示部45aの下部と前後に重なっているが、透明な部材であるから該表示部45aの透視を阻害するものではない。
【0018】
遊技盤20の遊技領域21内における下方に形成された装着口には、
図2に示すように、遊技領域21における枠状装飾体26の左右中央下部に第1始動入賞装置30が配設されている。遊技領域21において、枠状装飾体26の右側には、装飾部材37に隠れて第2始動入賞装置(図示せず)が配設されている。また、遊技盤20の遊技領域21内において、第1始動入賞装置30が配設される装着口の右斜め上方に形成された装着口には、特別入賞装置32が配設されている。更に、遊技盤20の遊技領域21内において、第1始動入賞装置30が配設される装着口の左側に形成された装着口には、普通入賞部材33が配設されている。そして、遊技盤20の遊技領域21内には、多数の遊技釘35が打設されると共に、回転案内部材36およびゲート部34等が配設されている。なお、装着口の形成数は、遊技盤20に取り付けられる各種遊技盤設置部品の個数や配設位置等により必要に応じて適宜変更される。
【0019】
(始動入賞装置30)
第1始動入賞装置30は、始動入賞口が遊技領域21内で常に上方へ開口する常時開放タイプの入賞口とされ、遊技領域21を流下するパチンコ球が常時一定の確率で入賞可能に構成されている。そして、第1始動入賞装置30は、
図3に示すように、始動入賞口30aに入賞したパチンコ球を振り分ける振分け手段31が内部に配設されると共に、第1球通出路(球通出部)30bおよび第2球通出路(球通出部)30cが形成されており、始動入賞口30aに入賞したパチンコ球は、振分け手段31により第1球通出路30bおよび第2球通出路30cへ交互に振り分けられるようになっている。そして、第1球通出路30bおよび第2球通出路30cの球出口は、後述する可動演出装置50に設けられた第1球案内路(球案内路)195および第2球案内路(球案内路)196(
図3、
図4参照)の球入口に夫々整合している。一方、図示しない第2始動入賞装置は、該遊技領域21に開口する始動入賞口を開閉自在に閉成する開閉部材を備えており、駆動手段の駆動に伴って開閉部材が閉鎖する閉鎖位置と開放する開放位置とに変位して、該開閉部材が開放位置に変位した際に始動入賞口が開口するよう構成されている。
【0020】
すなわち、第1始動入賞装置30は、遊技領域21を流下するパチンコ球が常時一定の確率で入賞可能に構成され、第2始動入賞装置は、遊技領域21に配設されたゲート部34をパチンコ球が通過したことを条件として実施される普図当り判定(普図当り抽選)の結果に応じて開閉部材が開閉することで、パチンコ球の入賞確率を可変し得るよう構成されている。そして、第1始動入賞装置30および第2始動入賞装置は、始動入賞口に入賞したパチンコ球を検出する始動入賞センサが配設されており、該始動入賞センサによる球検出信号が、中枠12の裏側に配設された主制御装置(図示せず)入力される。そして、各始動入賞センサによるパチンコ球の検出(すなわち第1始動入賞装置30または第2始動入賞装置へのパチンコ球の入賞)を契機として、所定数のパチンコ球が賞球として払い出されるようになっている。また、始動入賞センサによるパチンコ球の検出を契機として、図柄表示装置45の表示部45aにおいて図柄変動演出が行われる。なお、第1始動入賞装置30に入賞したパチンコ球を検出する始動入賞センサは、後述するように可動演出装置50に配設されている。
【0021】
(特別入賞装置32)
第1始動入賞装置30の右斜め上方に配設された特別入賞装置32は、横長に開口する特別入賞口を開閉する開閉部材32aを備えており、駆動手段の駆動に伴って板状の開閉部材32aが前後方向へ回動することで特別入賞口を開閉するようになっている。また、特別入賞装置32には、特別入賞口に入賞したパチンコ球を検出する特別入賞検出手段としての特別入賞センサ(図示せず)が設けられて、該特別入賞センサはメイン制御基板に配線接続されており、該特別入賞センサからメイン制御基板への入賞検出信号の入力に伴って所定数(実施例では15個)の賞球が払い出されるようになっている。ここで、特別入賞装置32の駆動手段は、第1始動入賞装置30または第2始動入賞装置へのパチンコ球の入賞を契機として各特別入賞装置32の特別入賞口を開放する当り遊技(大当り遊技)が付与される場合に、当りの種類に応じた所定の開閉条件に従ってメイン制御基板によって駆動制御され、開閉部材32aが回動することで特別入賞口に対して多数のパチンコ球が入賞可能となる。
【0022】
(設置部材40)
設置部材40は、
図3に示す如く、遊技盤20の外郭形状より僅かに小さい形状に形成された略矩形状の設置壁部41と、該設置壁部41の外周縁部から前方に突出する外周壁部42とを備えて、設置壁部41から前方に開口した箱状に形成されている。そして、設置部材40は、外周壁部42の開口前端部を遊技盤20の後面に当接させた状態で、当該遊技盤20に設置部材40がネジ止め固定される。設置部材40における設置壁部41の前側には、遊技盤20の後面との間に空間が画成され、該空間には、実施例の可動演出装置50や、その他の演出装置および装飾部材等(図示せず)が配設される。設置壁部41は、その後面に図柄表示装置45が着脱自在に取り付けられると共に、枠状装飾体26の演出窓口26aと前後に整列する位置に、略矩形状の表示開口43が前後に開口するよう開設される。表示開口43には、設置壁部41の後面に取り付けた図柄表示装置45の表示部45aが後方から臨むようになり、表示開口43および演出窓口26aを介して図柄表示装置45の表示部45aが遊技盤20の前側に臨むようになっている。設置壁部41は、中央に開口する表示開口43の左方に位置する左板部、表示開口43の右方に位置する右板部、表示開口43の上方に位置する上板部および下方に位置する下板部41aから構成されている。設置壁部41における下板部41aの前側に、実施例の可動演出装置50が取り付けられている。そして、設置壁部41の下板部41aに取り付けられた可動演出装置50は、
図2に示すように、遊技領域21および枠状装飾体26の演出窓口26aから視認可能となっている。
【0023】
(図柄表示装置45)
図柄表示装置45は、各種図柄を表示可能な表示部45aをなす液晶パネルが収容ケースに収容されたユニット部材であって、該収容ケースの後面には、該図柄表示装置45の表示部45aの表示制御を行う表示制御装置(図示せず)と、当該パチンコ機10の遊技演出を制御する演出制御基板が収容された演出制御装置(図示せず)が配設されている。図柄表示装置45の表示部45aには、飾図を変動表示可能な図柄列が複数列(例えば3列)設定されており、第1始動入賞装置30または第2始動入賞装置へのパチンコ球の入賞を契機として、各図柄列の飾図が変動開始されると共に背景画像等が表示され、選択された図柄変動演出(リーチ演出や外れ演出等)を行った後に、予め決定された最終停止図柄を、入賞ライン上に停止表示するようになっている。なお実施例では、図柄表示装置45として、表示部45aが液晶パネルである液晶表示装置が採用されるが、これに限られるものではなく、ドラム式の図柄表示装置やドットマトリックス式の図柄表示装置等の各種図柄を停止および変動表示可能な従来公知の各種の表示装置も採用可能である。
【0024】
(主制御装置)
実施例のパチンコ機10の遊技を総合的に制御する主制御装置の主制御基板は、設置部材40における設置壁部41の下板部の後側(図柄表示装置45の配設位置の下側)に、基板ケースに収容されて配設されている。主制御基板は、制御動作を所定の手順で実行することができるメイン制御CPU、メイン制御CPUの制御プログラムを格納するメイン制御ROMおよび必要なデータの書き込みおよび読み出しができるメイン制御RAMを備えている。
【0025】
主制御基板は、大当り判定用乱数、大当り図柄用乱数、変動パターン振分用乱数、普図当り判定用乱数等の各種乱数の値を所定の周期毎に更新し、更新後の値をメイン制御RAMの設定領域に記憶(設定)することで更新前の値を書き換えており、乱数更新処理(乱数生成処理)を実行するようになっている。例えば、主制御基板では、第1始動入賞装置30または第2始動入賞装置の始動入賞センサから検出信号が入力されると、メイン制御CPUがメイン制御ROMから大当り判定用乱数を取得し、この大当り判定用乱数とメイン制御ROMに記憶されている大当り判定値とを比較し、大当りとするか否かの大当り判定(大当り抽選)を行う。また主制御基板では、大当り判定の結果が肯定の場合には、変動パターンテーブルから大当り演出用の変動パターンを決定する。これに対して、大当り判定の結果が否定の場合には、変動パターンテーブルからはずれ演出用の変動パターンを決定する。大当り演出用およびはずれ演出用の変動パターンの決定は、大当り判定と同様に、メイン制御CPUがメイン制御ROMから取得した乱数により行う。なお、変動パターンテーブルから決定される大当り演出およびはずれ演出の変動パターンは、少なくとも図柄変動ゲームの変動時間および演出内容を特定するものである。そして、パチンコ機10では、主制御基板の大当り判定の結果に応じて出力された演出制御基板の制御信号に基づいて、図柄表示装置45に所定の演出表示を行わせると共に、主制御基板の制御により出力された球払出しに係る制御信号に基づいて、図示しない球払出装置によって所定数の賞球が上球皿14へ払い出される。
【0026】
(演出制御装置)
演出制御装置の演出制御基板には、演出制御CPUが備えられると共に、該演出制御CPUには、演出制御ROMおよび演出制御RAMが接続されている。また、演出制御CPUは、実行可否判定用乱数や動作演出パターン抽選用乱数等の各種乱数の値を所定の周期毎に更新し、更新後の値を演出制御RAMの設定領域に記憶(設定)して更新前の値を書き換えている。更に、演出制御ROMには、図柄表示装置45の表示部45aにおける演出内容を制御する表示制御基板、前枠13等に配設されたランプ装置を制御するランプ制御基板を制御するプログラムや、外枠11等に配設されたスピーカを制御する音制御基板等を制御するプログラムや、実施例の可動演出装置50およびその他の演出装置を作動制御するプログラム等が記憶されている。
【0027】
演出制御CPUは、各種制御コマンドを入力すると、演出制御プログラムに基づき各種制御を実行する。例えば、演出制御基板では、主制御基板のメイン制御CPUから変動パターン指定コマンドが入力されると、演出制御CPUが演出制御ROMから実行可否判定用乱数を取得し、この実行可否判定用乱数と演出制御ROMに記憶されている実行可否判定値とを比較し、実施例の可動演出装置50の可動体演出を実行するか否かの実行可否判定を行う。そして、演出制御基板は、実行可否判定の結果が肯定の場合において、可動演出装置50を動作させる。
【0028】
(可動演出装置50)
次に、可動演出装置50につき、図面を引用して説明する。なお、以下の説明において、可動演出装置50の「前」、「後」、「左」、「右」とは、特に断りのない限り、設置部材40の設置壁部41に取り付けた可動演出装置50をパチンコ機10の前側から見た状態で指称する。
【0029】
可動演出装置50は、
図4〜
図6に示すように、設置部材40における設置壁部41の下板部41aに取り付けられるベース体51と、作動手段75の作動に伴って待機位置および該待機位置から離れた動作位置の間を往復移動可能な移動体52と、移動体52の前側に配設されて該移動体52と連係し、該移動体52の往復移動に伴って第1初期姿勢および第1動作姿勢の間で姿勢変位可能な第1可動体(可動体)53と、この第1可動体53に連係し、該移動体52の姿勢変位に伴って第2初期姿勢および第2動作姿勢の間で姿勢変位可能な第2可動体54とを備えている。第1可動体53は、移動体52の前側に横並びに配設された一対からなり、第2可動体54は、夫々の第1可動体53,53に個別に連係された一対からなっている。また、移動体52と各第1可動体53,53とは、該移動体52に設けられた移動ガイドレール(第1連係手段、第1ガイド部)100および該第1可動体53に設けられた可動ガイドローラ(第1連係手段、第2ガイド部)127により連係されていると共に、第1可動体53と第2可動体54とは、該第1可動体53に設けられた第1ギア(第2連係手段)129および該第2可動体54に設けられた第2ギア(第2連係手段)147により連係されている。また、実施例の可動演出装置50では、第1可動体53に設けられた第1ギア129に連結された付勢手段57を備え、第1ギア129を介して第1可動体53を第1動作姿勢に向けて付勢すると共に、第1ギア129に噛み合う第2ギア147を介して第2可動体54を第2動作姿勢に向けて付勢するよう構成されている。
【0030】
(ベース体51)
ベース体51は、
図5〜
図7および
図14〜
図16に示すように、設置部材40の設置壁部41における下板部41aにネジにより固定される第1ベース部材(ベース部材)60と、第1ベース部材60の後側に組み付けられる第2ベース部材61とから構成されている。ベース体51は、第1ベース部材60と第2ベース部材61とを前後に組み付けることで横長の板状に構成され、縦幅および横幅が設置壁部41の下板部41aと略同じサイズに構成されている。
【0031】
(第1ベース部材60)
第1ベース部材60は、
図5、
図14および
図15に示すように、作動機構配設部62、移動体配設部63、第1可動体配設部64、第2可動体配設部65が設けられており、全体が一体に成形された部材である。実施例では、合成樹脂製の一体成形部材である。第1ベース部材60は、各配設部62,63,54,65の部材設置面が必要に応じて前後に凹凸していると共に開口が形成されている。また、第1ベース部材60は、その後面から後方へ突出するリブが、外縁や開口縁に沿って延設されており、撓み変形や捻れ変形が発現され難く構成されている(
図16参照)。
【0032】
(第2ベース部材61)
第2ベース部材61には、
図5、
図14および
図15に示すように、当該可動演出装置50を構成する回転部材を回転可能に支持する複数の支持軸66〜69が、該第2ベース部材61の前面から前方へ突出した状態で固定されている。ここで、第1支持軸66は後述するカムギア79を回転可能に支持し、第2支持軸67は作動レバー76を回転可能に支持し、左右に離間して配設される一対の第3支持軸68,68は、一対の第1可動体53,53を夫々回転可能に支持し、左右に離間して配設される一対の第4支持軸69,69は、一対の第2可動体54,54を夫々回転可能に支持するものである。第1〜第4の支持軸66,67,68,69は、第2ベース部材61に対してカシメ付けにより基部が固定され、第1ベース部材60に形成された各開口を介して該第1ベース部材60の前方へ延出している。
【0033】
(作動機構58)
作動機構58は、前述した移動体52を、待機位置(
図7、
図11参照)および該待機位置から上方に離れた動作位置(
図5、
図6、
図8、
図13参照)の間を昇降移動させ得るよう構成されている。作動機構58は、
図5、
図11および
図14に示すように、作動手段としての第1作動モータ75と、該第1作動モータ75に連係されると共に移動体52に連係する作動レバー76とを備えており、該第1作動モータ75の正逆回転に伴って作動レバー76が往復回転することで、移動体52を待機位置および動作位置の間で昇降移動させるよう構成されている。また、作動機構58は、第1作動モータ75の駆動軸に固定された駆動ギア77連係する連係ギア78と、該連係ギア78に連係すると共に作動レバー76に連係するカムギア79とを備えている。実施例では、3つの連係ギア78が直列状に配設されて、駆動ギア77と噛み合う第1連係ギア78aとカムギア79と噛み合う第3連係ギア78cとの夫々に第2連係ギア78bが噛み合うように構成されている。
【0034】
作動機構58を構成する第1作動モータ75、各連係ギア78,78,78および作動レバー76は、
図5および
図14に示すように、第1ベース部材60の下部左側に設けられた作動機構配設部62に、左側から第1作動モータ75、第1連係ギア78a、第2連係ギア78b、第3連係ギア78c、カムギア79および作動レバー76の順に配設される。第1作動モータ75は、作動機構配設部62における前方に突出した部分に駆動軸を後方に向けた姿勢で固定され、駆動ギア77は該突出部分の後側に延出した駆動軸に固定されている。また、作動機構配設部62の前側には、第1作動モータ75および作動レバー76の間において前方に露出する各連係ギア78a,78b,78cを覆うカバー部材80が配設される(
図14参照)。
【0035】
(カムギア79)
カムギア79は、
図5、
図11および
図14に示すように、前述した第1支持軸66に回転自在に支持され、第3連係ギア78と噛み合うギア部79aと、該ギア部79aの前面に形成された円板部79bから前方へ突出した支軸に回転自在に配設された連係手段としてのギアガイドローラ81とを備えている。ギアガイドローラ81は、カムギア79の円板部79bにおける回転中心から半径方向へ離間した位置に回転自在に設けられ、第3連係ギア78の回転に伴って円板部79bが回転することで、
図11に示す位置および
図13に示す位置の間を下方に凸となる円弧状に移動するようになっている。このギアガイドローラ81は、作動レバー76に設けられた第1レバー連係部としてのレバー連係孔88に連係される(
図4参照)。
【0036】
(作動レバー76)
作動レバー76は、
図11〜
図14に示すように、カムギア79の上方に位置する前述した第2支持軸67が挿通する軸支持孔85を備え、該第2支持軸67を中心として往復回転自在に支持されている。作動レバー76は、カムギア79の前側に位置する基部86と、該基部86から側方(実施例では左方)へ延出するレバー部87とを備えており、該レバー部87の先端部が上下方向に移動するように往復回転するようになっている。基部86に扇形の板状に形成され、該基部86には、前述したギアガイドローラ81が連係するレバー連係孔88が設けられている。実施例のレバー連係孔88は、カムギア79の回転に伴って円弧状に往復移動するギアガイドローラ81が嵌合して、該ギアガイドローラ81が移動可能に係合する長孔に形成されている。これにより、カムギア79が回転してギアガイドローラ81が円弧状に往復移動することで、レバー部87の先端部が上下方向に移動する動作が作動レバー76に生起される。また、
図11〜
図14に示すように、レバー部87の先端部には、移動体52に設けられた連係手段としての移動連係孔99に連係する連係手段としてのレバーガイドローラ89が、支軸に回転自在に配設されている。
【0037】
従って、実施例の作動機構58は、第1作動モータ75の作動により、作動レバー76が、
図12に示す位置を通過して
図11に示す下位置および
図13に示す上位置の間を往復移動するようになり、これに伴ってレバーガイドローラ89が、右方に凸となる円弧状に移動しながら昇降移動するようになる。なお、第2支持軸67には捻りバネ90が配設されており(
図11〜
図14参照)、該捻りバネ90の一方脚部が第1ベース部材60のベース保持部70(
図5参照)に係止すると共に、他方脚部が作動レバー76のバネ係止部71(
図11参照)に係止している。これにより、作動レバー76は、捻りバネ90の付勢により、下位置から上位置に向けて常に付勢された状態となっている。
【0038】
(移動体52)
移動体52は、
図11〜
図16に示すように、複数の開口を有する枠体状に形成され、昇降移動手段に支持された状態で、ベース体51に対して前述した待機位置および動作位置の間を昇降移動するようになっている。ここで実施例では、昇降移動手段として、スライドレール95と、第1ベース部材60に設けられたガイドレール96に案内される移動ガイドローラ97とを備えている。スライドレール95と移動ガイドローラ97とは、移動体52の後側において左右に離間して設けられている。
【0039】
スライドレール95は、
図11〜
図14に示すように、ベース体51の第1ベース部材60および移動体52に対してスライド方向が上下方向となる向きで取り付けられる。スライドレール95は、第1ベース部材60の移動体配設部63に固定される固定レール部材95aと、該固定レール部材95aに対して往復移動可能に配設されたスライダ(図示せず)を介して固定レール部材95aに対して往復移動可能に配設される移動レール部材95bとを備え、該移動レール部材95bが移動体52の後面に固定されている。移動レール部材95bは、固定レール部材95aと前後に整合した重なり位置(
図11参照)と、スライダの移動に伴って固定レール部材95aから上方へ延出した延出位置(
図13参照)との間を昇降移動するようになっている。
【0040】
(ガイドレール96および移動ガイドローラ97)
ガイドレール96は、
図14〜
図16に示すように、第1ベース部材60に、移動体52の昇降移動量に合わせた長さで上下方向に延在した状態で形成され、移動ガイドローラ97が転動可能に係合している。すなわち、移動体52の待機位置において移動ガイドローラ97がガイドレール96の下端に位置し、移動体52の動作位置において移動ガイドローラ97がガイドレール96の上端に位置するようになっている。
【0041】
(移動連係孔99)
移動体52には、
図11〜
図16に示すように、前述した作動レバー76に設けられたレバーガイドローラ89が連係する移動連係孔99が設けられている。移動連係孔99は、ガイドローラであるレバーガイドローラ89が係合すると共に移動可能に構成された前後に開口する長孔であり、長手が左右方向となるように形成されている。これにより、移動連係孔99にレバーガイドローラ89が係合した状態で、作動レバー76が下位置にある場合に移動体52は待機位置に保持され、作動レバー76が下位置から上位置に向けて姿勢変位するのに伴って移動体52は待機位置から動作位置に向けて上昇移動し、作動レバー76が上位置に到達すると移動体52が動作位置まで上昇して停止するように構成されている。
【0042】
(移動ガイドレール100)
移動体52には、
図11〜
図16に示すように、各第1可動体53,53に設けられた可動ガイドローラ(第1連係手段、第2ガイド部)127が個別に連係する移動ガイドレール(第1連係手段、第1ガイド部)100,100が設けられている。各移動ガイドレール100,100は、可動ガイドローラ127が係合すると共に移動可能に構成された前後に開口する長孔であり、長手が上下方向となるように形成されている。ここで、移動体52の左部に設けられた左の移動ガイドレール100は、左の第1可動体53を回転自在に支持する左の第3支持軸68の右側に位置しており、上下方向に延在する上下延在部101と、該上下延在部101の下縁から下方にいくにつれて右方へ斜めに延在する傾斜延在部102とを備えている。一方、移動体52の右部に設けられた右の移動ガイドレール100は、右の第1可動体53を回転自在に支持する右の第3支持軸68の左側に位置しており、上下方向に延在する上下延在部101と、該上下延在部101の下縁から下方にいくにつれて左方へ斜めに延在する傾斜延在部102とを備えている。
【0043】
(装飾板104)
図5および
図14に示すように、移動体52の前側に、装飾板104が配設されている。装飾板104は、移動体52の前側下部を覆う形状に形成されると共に透光性を有し、前面にはメッキや印刷による所要のデザインが施されている。また、装飾板104の後側には、複数のLED105aが実装されたLED実装面を前側に向けた状態で移動照明基板105が配設されると共に、該装飾板104と移動照明基板105との間に光拡散部材106が配設されている。これにより、LED105aからの光が光拡散部材106で拡散されて装飾板104の後面に照射されることで、該装飾板104が明輝するよう構成されている。
【0044】
(回転演出ユニット110)
図4〜
図8および
図11〜
図14に示すように、移動体52の前側に、回転演出体(演出体)111を備えた回転演出ユニット110が配設されている。この回転演出ユニット110は、移動体52の前側上部に固定されるユニットベース112と、該ユニットベース112の前側に配設され、該ユニットベース112に前後方向へ軸心が延在するように配設された回転シャフト113の前端部に配設された前述の回転演出体111と、ユニットベース112の後側に配設され、前記回転シャフト113を回転させる第2作動モータ(第2の作動手段)114とを備えている。第2作動モータ114の駆動軸には駆動ギア115が固定されると共に、回転シャフト113の後端には、該駆動ギア115に噛み合う従動ギア116が配設されており、該駆動軸の回転が回転シャフト113に伝達されて回転演出体111が回転するようになっている。回転演出体111は、ユニットベース112の前側を覆う円形状に形成されると共に透光性を有し、前面にはメッキや印刷により所要のデザインが施されている。
【0045】
そして、
図8および
図14に示すように、ユニットベース112の前側と回転演出体111との間に、複数のLED117aが実装されたLED実装面を前側に向けた状態で回転照明基板117が配設されると共に、該回転照明基板117と回転演出体111との間に光拡散部材118が配設されている。これにより、LED117aからの光が光拡散部材118で拡散されて回転演出体111の後面に照射されることで、該回転演出体111が明輝するよう構成されている。
【0046】
(第1可動体53)
図4(b)および
図5に示すように、移動体52の前側において並んで配設された一対の第1可動体53,53は、前側の第1可動装飾部材121のデザインや色彩に僅かな差異があると共に左右対称形状であるが、基本的な構造は同じである。そこで、以下では、左の第1可動体53に基づいて説明し、右の第1可動体53については、左の第1可動体53と同一部位、部材は同じ符号を付して説明は省略する。
【0047】
左の第1可動体53は、
図15および
図17に示すように、第1可動ベース120と、該第1可動ベース120の前側に組み付けられる第1可動装飾部材121とを備えると共に、第1可動ベース120と第1可動装飾部材121とを組み付けることで画成された空間内に第1可動照明基板(電気部品)122および第1可動レンズ部材123を収容して構成されている。実施例の第1可動体53は、
図11に示す第1初期姿勢において、移動体52に近接した右側縁の上下長が、該移動体52と反対側の左側縁の上下長よりも長く、上縁が左にいくにつれて下方傾斜すると共に下縁が左にいくにつれて上方傾斜する縦長の略台形形状に形成されている。第1可動体53の第1可動ベース120は、該第1可動ベース120に設けられた軸支持部125(
図17参照)によりベース体51の第1ベース部材60に配設された前述の第3支持軸68に支持されると共に、該第1可動ベース120に配設された可動ガイドローラ127(
図16参照)が移動体52の移動ガイドレール100に係合されることで、姿勢が規定されるようになっている。そして、移動体52が待機位置にある場合に第1初期姿勢に保持され(
図11参照)、移動体52が待機位置から動作位置に移動する過程で第1初期姿勢から第1動作姿勢に姿勢変位し、移動体52が動作位置にある場合に第1動作姿勢に保持されるようになっている(
図13参照)。
【0048】
(第1可動ベース120)
第1可動ベース120は、
図11および
図17に示すように、第1可動体53の第1初期姿勢において、移動体52に近接した右側縁の上下長が、該移動体52と反対側の左側縁の上下長よりも長く、上縁が左にいくにつれて下方傾斜すると共に下縁が左にいくにつれて上方傾斜する縦長の略台形板状に構成されている。そして、第1可動ベース120は、移動体52側と反対側の左上部に、後方へ凹んだ段差部124が設けられ、該段差部124には、前後方向に貫通する軸支持孔126が形成された軸支持部125が設けられている。この軸支持孔126は、ベース体51の第2ベース部材61に設けられた第3支持軸68が挿通して摺接するようになっており(
図15参照)、軸支持部125により第1可動ベース120が第3支持軸68に回転可能に支持されるようになっている。なお、軸支持孔126に挿通した第3支持軸68の先端は、軸支持部125から前方へ突出するようになっており、第3支持軸68の該突出部分は、後述する第1中継基板165を収容する第1基板ケース166(
図15、
図19参照)に設けられた第1軸保持部167で保持されるようになっている。
【0049】
(可動ガイドローラ127)
第1可動ベース120には、
図11〜
図13および
図17に示すように、移動体52の移動ガイドレール(第1連係手段、第1ガイド部)100に移動可能に係合する可動ガイドローラ(第1連係手段、第2ガイド部)127が設けられている。可動ガイドローラ127は、第1可動ベース120における移動体52側である右端縁における上下略中央部から後方へ延出した支軸128(
図16、
図17参照)に回転自在に配設されたガイドローラである。この可動ガイドローラ127は、長孔に形成された前述の移動ガイドレール100に係合すると共に、該移動体52の昇降移動に伴って該移動ガイドレール100に沿って相対的に移動するようになっている。ここで、可動ガイドローラ127の配設位置は、
図11に示すように、第3支持軸68(軸支持孔126)の右斜め下方(
図11〜
図13では左斜め下方)に離間して位置しており、該可動ガイドローラ127は、第1可動体53が第3支持軸68を中心として往復回転する際に円弧状に移動するようになる。すなわち、左の第1可動体53における可動ガイドローラ127は、該第1可動体53が第1初期姿勢から正面視において左回転する際に、可動ガイドローラ127が第3支持軸68を中心として円弧状に移動しつつ移動体52の中央に近づくように移動するようになる(右の第1可動体53における可動ガイドローラ127は、該右の第1可動体53が第1初期姿勢から正面視において右回転する際に、可動ガイドローラ127が第3支持軸68を中心として円弧状に移動しつつ移動体52の中央に近づくように移動するようになる)。
【0050】
そして、左の第1可動体53は、可動ガイドローラ127が左の移動ガイドレール100における上下延在部101に位置している場合は第1初期姿勢に保持されるようになっている(
図11、
図12参照)。そして、左の第1可動体53は、移動体52の上昇移動に伴って可動ガイドローラ127が左の移動ガイドレール100における傾斜延在部102に相対的に移動すると、移動体52の上昇移動に伴って該傾斜延在部102が該移動体52の中央方向へ相対的に変位することで可動ガイドローラ127が該移動体52の中央方向へ押され、これに伴って第1初期姿勢から第1動作姿勢に向けて回転変位するようになる。そして、左の第1可動体53は、第3支持軸68より下側部分が移動体52の中央方向(実施例では右方向)へ変位すると共に、該第3支持軸68より上側部分が移動体52から離れる方向(実施例では左方向)へ変位するようになり、第1動作姿勢では、上方にいくにつれて移動体52から離間する左方向へ傾斜した姿勢となるようになっている(
図4(a)、
図5参照)。一方、左の第1可動体53と左右対称構造をなす右の第2可動体54は、左の第1可動体53と左右対称の動作をすることで、第1動作姿勢では、上方にいくにつれて移動体52から離間する右方向へ傾斜した姿勢となるようになっている(
図4(a)、
図5参照)。
【0051】
(第1ギア129)
第1可動ベース120には、
図10〜
図14に示すように、第2可動体54に設けられた第2ギア(第2連係手段)147に連係する第1ギア(第2連係手段)129が設けられている。第1ギア129は、第1可動ベース120における段差部124に設けられている。実施例の第1ギア129は、軸支持部125の外側に、軸支持孔126を中心とする円弧状の歯部を備えた扇形に形成されている。
【0052】
第1可動装飾部材121は、
図17に示すように、前壁部130および周壁部131からなり、後方へ開口している。前壁部130は、第1可動ベース120の全体を覆い得ると共に、下部の移動体52側は、該移動体52側へ湾曲すると共に延出した形状に構成されている。これにより、左右の第1可動体53,53が夫々の第1動作姿勢となった際に、左の第1可動体53における第1可動装飾部材121の下部および右の第1可動体53における第1可動装飾部材121の下部が当接するよう構成されている(
図4(a)、
図5参照)。そして、前壁部130は、透明または半透明な透光部131aおよびメッキや塗装が施された非透光部131bとを備えている。また、第1可動体53の第1動作姿勢時に、周壁部131における上周壁131aが、第2動作姿勢の第2可動体54における周壁部149の横周壁149aと、前後方向において一致するようになっている(
図4(b)、
図13参照)。
【0053】
第1可動照明基板(電気部品)122は、
図17に示すように、第1可動ベース120の正面から見た輪郭形状より一回り小さい輪郭形状に形成されている。第1可動照明基板122は、複数のLED122aが実装されたLED実装面を前側に向けた状態で第1可動ベース120に固定される。また、第1可動レンズ部材123は、第1可動装飾部材121の前壁部130の裏側形状に合致する形状に形成されている。これにより、第1可動体53,53は、LED122aからの光が第1可動レンズ部材123を透過することで、第1可動装飾部材121における透光部130aが明輝するようになっている。
【0054】
(第1配線保持部132)
各第1可動体53,53の第1可動ベース120には、
図11、
図17および
図21に示すように、当該第1可動体53に配設された電気部品としての第1可動照明基板122に接続された第1配線W1を保持する第1配線保持部132が設けられている。ここで、実施例では、第1配線W1として複数の導線を横並びに纏めたフレキシブルケーブルが採用されている。従って、フレキシブルケーブルからなる第1配線W1を保持可能な第1配線保持部132は、第1可動ベース120における段差部124において、該段差部124をなす壁部124aおよび該壁部124aと軸支持部125との間に設けられた隔壁132aにより形成され、該壁部124aと隔壁132aとの間に第1配線W1を挟み込んで保持するよう構成されている。すなわち、第1配線保持部132は、第1可動ベース120の前側および段差部124の側方へ夫々開放した隙間であり、第1可動ベース120の前側から段差部124の壁部124aに沿って配設された第1配線W1を、第1配線保持部132に対して折り曲げた状態で差し込み、段差部124の側方へ延出させるようになっている。これにより第1配線W1は、第1可動ベース120の後側方に延出して、中継基板(左の第1可動体53は第1中継基板165に接続され、右の第1可動体53は第2中継基板170)に接続可能となる。そして、第1配線保持部132は、前述した隔壁132aにより、保持した第1配線W1が軸支持部125および第1ギア129側へ移動することを規制し得るようになっており、当該第1配線W1が軸支持部125や第1ギア129に接触することや引っ掛かることを防止し得るようになっている。
【0055】
(第2可動体54)
図4(b)および
図5に示すように、各第1可動体53,53の上方において並んで配設された一対の第2可動体54,54は、第2可動装飾部材141のデザインや色彩に僅かな差異があると共に左右対称形状であるが、基本的な構造は同じである。そこで、左の第2可動体54に基づいて説明し、右の第2可動体54については、左の第2可動体54と同一部位、部材は同じ符号を付して説明は省略する。
【0056】
左の第2可動体54は、
図11および
図18に示すように、第2可動ベース140と、該第2可動ベース140の前側に組み付けられる第2可動装飾部材141とを備えると共に、第2可動ベース140と第2可動装飾部材141とを組み付けることで画成された空間内に第2可動照明基板142および第2可動レンズ部材143を収容して構成されている。実施例の第2可動体54は、
図11に示す第2初期姿勢において、下縁の左右長が上縁の左右長よりも長く、左側縁が上にいくにつれて右方へ傾斜すると共に右縁が上にいくにつれて左方へ傾斜する横長の略台形形状に形成されている。第2可動体54の第2可動ベース140は、該第2可動ベース140に設けられた軸支持孔146(
図18参照)によりベース体51の第2ベース部材61に配設された前述の第4支持軸69に支持されると共に、該第2可動ベース140に配設された第2ギア147(
図11参照)が第1可動体53の第1ギア129に連係されることで、姿勢が規定されるようになっている。そして、第1可動体53が第1初期姿勢にある場合に第2初期姿勢に保持され(
図11参照)、第1可動体53が第1初期姿勢から第1動作姿勢に移動する過程で第1初期姿勢から第2動作姿勢に姿勢変位し、第1可動体53が第1動作姿勢にある場合に第2動作姿勢に保持されるようになっている(
図13参照)。
【0057】
(第2可動ベース140)
第1可動ベース140は、
図11および
図18に示すように、第2可動体54の第2初期姿勢において、上縁の上下長が下縁の上下長よりも長く、左縁が上にいくにつれて右方へ傾斜すると共に右縁が上にいくにつれて左方へ傾斜する横長の略台形板状に構成されている。そして、第2可動ベース140は、第1可動体53側の右下部から右下方へ延出したアーム部144が設けられ、該アーム部144の先端部には、前後方向に貫通する軸支持孔146が形成された軸支持部145が設けられている。この軸支持孔146は、ベース体51の第2ベース部材61に設けられた第4支持軸69が摺接するように挿通しており(
図15参照)、軸支持部145により第2可動ベース140が第4支持軸69に回転可能に支持されるようになっている。なお、軸支持孔146に挿通した第4支持軸69の先端は、軸支持部145から前方へ突出しており、第4支持軸69の該突出部分は、後述する第1中継基板165を収容する第1基板ケース166(
図19参照)に設けられた第2軸保持部168で保持されるようになっている。
【0058】
(第2ギア147)
第2可動ベース140には、
図11〜
図13および
図18に示すように、第1可動体53に設けられた第1ギア(第2連係手段)129に連係する第2ギア(第2連係手段)147が設けられている。第2ギア147は、第2可動ベース140におけるアーム部144の先端部に設けられた第2ギアである。実施例の第2ギア147は、軸支持孔146の外側に、軸挿通孔146を中心とする円弧状の歯部を備えた扇形に形成されており、第1ギア129と常に噛み合った状態に設けられている。すなわち、第1可動体53が第3支持軸68を中心として第1初期姿勢および第1移動姿勢の間を往復回転変位する際に、第1ギア129と第2ギア147とが常に噛み合っていることで、該第1可動体53の往復回転変位に連動して第2可動体54が第2初期姿勢および第2動作姿勢の間を往復回転変位するようになっている。
【0059】
第2可動装飾部材141は、
図18に示すように、前壁部148および周壁部149からなり、後方へ開口しており、前壁部148は第2可動ベース140の全体を覆い得る形状に構成されている。前壁部148は、透明または半透明な透光部148aおよびメッキや塗装が施された非透光部148bとを備えている。そして、左の第2可動体54は、第2動作姿勢となった際に、第1動作姿勢となった左の第1可動体53の上部に前方から見て整合すると共に、右の第2可動体54は、第2動作姿勢となった際に、第1動作姿勢となった右の第1可動体53の上部に前方から見て整合するようになっている(
図4(b)、
図13参照)。すなわち、第2可動体54の第2動作姿勢時に、周壁部149における横周壁149aが、第1動作姿勢の第1可動体53における周壁部131の上周壁131aと、前後方向において一致するようになっている。
【0060】
第2可動照明基板142は、
図18に示すように、第2可動ベース140の正面から見た輪郭形状より一回り小さい輪郭形状に形成されている。第2可動照明基板142は、複数のLED142aが実装されたLED実装面を前側に向けた状態で第2可動ベース140に固定される。また、第2可動レンズ部材143は、第2可動装飾部材141の前壁部148の裏側形状に合致する形状に形成されている。これにより、第2可動体54,54は、LED142aからの光が第2可動レンズ部材143を透過することで、第2可動装飾部材141における透光部148aが明輝するようになっている。
【0061】
(第2配線保持部150)
第2可動体54の第2可動ベース140には、
図11および
図18に示すように、当該第2可動体54に配設された電気部品としての第2可動照明基板142に接続された第2配線W2を保持する第2配線保持部150が設けられている。ここで、実施例では、第2配線W2としてフレキシブルケーブルが採用されており、第2配線保持部150は、アーム部144の側縁部に設けられた複数の保持片150aから構成されている。すなわち、第2配線保持部150は、第2可動ベース140の前側に沿って配設された第2配線W2を、第2配線保持部150の各保持片150aに差し込むことでアーム部144の側縁に沿って配線される。これにより第2配線W2は、第2可動ベース140の下方へ延出して、中継基板(左の第2可動体54は第1中継基板165に接続され、右の第2可動体54は第2中継基板170)に接続可能となる。そして、第2配線保持部150は、前述した保持片150aにより、保持した第2配線W2が軸支持部145および第2ギア147側へ移動することを規制し得るようになっており、当該第2配線W2が軸支持部145や第2ギア147に接触することや引っ掛かることを防止し得るようになっている。
【0062】
実施例の可動演出装置50は、
図5および
図13に示すように、第1動作姿勢になった左の第1可動体53および第2動作姿勢になった左の第2可動体54が、夫々の周壁部131,149における上周壁131aおよび横周壁149aが前後方向で一致することで、互いに連なって上方に向かうにつれて左方へ変位する左上がりに傾斜した状態となる。また、第1動作姿勢になった右の第1可動体53および第2動作姿勢になった右の第2可動体54が、夫々の周壁部131,149における上周壁131aおよび横周壁149aが前後方向で一致することで、互いに連なって上方に向かうにつれて右方へ変位する右上がりに傾斜した状態となる。すなわち、互いに連なった一方の第1可動体53および一方の第2可動体54と、互いに連なった他方の第1可動体53および他方の第2可動体54とが、上方に向かうにつれて互いに離間するよう傾斜して単一の意匠を形成するよう構成されている。
【0063】
(可動体の付勢構造について)
実施例の可動演出装置50は、
図11〜
図13に示すように、第1作動モータ75(作動手段)の作動下に移動体52が待機位置から動作位置へ移動する際に、第1動作姿勢への第1可動体53の姿勢変位および第2動作姿勢への第2可動体54の姿勢変位を付勢手段57で補助するよう構成されている。ここで、実施例では、付勢手段57が、第2連係手段56に連結され、該第2連係手段56を介して第1可動体53を第1動作姿勢に向け付勢すると共に第2可動体54を第2動作姿勢に向け付勢するよう構成されている。具体的には、付勢手段57は、第1可動体53に設けられた第1ギア129および該第1ギア129と噛み合った状態で第2可動体54に設けられた第2ギア147の何れか連結されて、当該連係されたギアを付勢するコイルバネが採用されており、左の第1可動体53および左の第2可動体54を1つのコイルバネ57で付勢すると共に、右の第1可動体53および右の第2可動体54を1つのコイルバネ57で付勢するよう構成されている。
【0064】
(コイルバネ57)
コイルバネ57は、
図6、
図7および
図16に示すように、一方の端部155が第2連係手段における第1ギア129に掛止されると共に、他方の端部156がベース体51の第1ベース部材60に掛止されている。すなわち、各第1ギア129には、コイルバネ57の一方の端部155が掛止される鉤状の連係掛止片157が設けられていると共に、第1ベース部材60には、当該コイルバネ57の他方の端部156が掛止される鉤状のベース掛止片158が設けられている。各コイルバネ57,57は、一方の端部155が連係掛止片157に掛止されると共に、他方の端部156がベース掛止片158に掛止されることで、常に引張られる引張りタイプのバネである。そして、連係掛止片157およびベース掛止片158に架設されたコイルバネ57は、第1可動体53および第2可動体54が夫々の初期姿勢において最大伸張長さとなり(
図11参照)、第1可動体53および第2可動体54が夫々の動作姿勢において最小伸張長さとなる(
図13参照)よう構成されている。
【0065】
(バネ配設部160)
図6および
図7に示すように、コイルバネ57は、第1ギア129および第2ギア147よりも後側に配設されている。すなわち、コイルバネ57は、第1可動体53および第2可動体54よりも後側に配設されている。ここで、第1ギア129および第2ギア147は、ベース体51の第1ベース部材60の前面に対して、僅かな隙間をもって配設されている。従って、ベース体51には、コイルバネ57を配設するためのバネ配設部160が形成されている。バネ配設部160は、第1ベース部材60および第2ベース部材61の夫々に、コイルバネ57の全長よりも長い縦長の開口部を開口形成することで、ベース体51の前後に開口した縦長の開口部である。そして、ベース掛止片158は、バネ配設部160における下端に設けられている(
図7参照)。また、連係掛止片157は、第1ギア129の後面から後方へ突出するように形成されていると共に、第1可動体53をベース体51に配設した状態において、バネ配設部160の上端側に延出した状態となっている(
図7参照)。従って、連係掛止片157に一方の端部155が掛止されると共にベース掛止片158に他方の端部156が掛止されたコイルバネ57は、バネ配設部160内において上下方向に長手が向いた垂直姿勢で収容されている(
図7参照)。なお、第1ベース部材60には、バネ配設部160に対応する前側に、前方へ膨出した段部131が形成されており(
図14、
図17参照)、バネ配設部160内に配設されたコイルバネ57がベース体51の前面へ突出しないよう構成されている(
図7参照)。
【0066】
(第1ギアに対するコイルバネの掛止位置について)
図10に実線で示すように、第1ギア129の後面に配設された連係掛止片157は、第1可動体53の第1初期姿勢において、該第1可動体53の姿勢変位の中心(回転中心)である第3支持軸68および第2可動体54の姿勢変位の中心(回転中心)である第4支持軸69の軸心を結ぶ軸心間ラインLよりも上方に位置するようになっている(以降「第1掛止位置」と云う)。一方、
図10に2点鎖線で示すように、連係掛止片157は、第1可動体53の第1動作姿勢において、前述した軸心間ラインLよりも下方に位置するようになっている(以降「第2掛止位置」と云う)。すなわち、連係掛止片157は、第1可動体53が第1初期姿勢および第2初期姿勢の間の姿勢変位に伴って、第1掛止位置および第2掛止位置の間を、第2ギア147側へ凸となる円弧状に移動するようになっている。
【0067】
ここで、
図10に示すように、連係掛止片157の第1掛止位置および第2掛止位置は、軸心間ラインLを中心とした上下対称になる位置となっている。そして、第1掛止位置および第2掛止位置における連係掛止片157の移動経路は、該連係掛止片157が移動する円周ラインR上において、第1可動体53の第1初期姿勢および第1動作姿勢の姿勢変位に対する第1ギア129の回転変位において、該連係掛止片157の左右方向の移動量が最も小さく、上下方向の移動量が最も大きくなる領域である。すなわち、連係掛止片157の主たる移動方向は上下方向となり、バネ配設部160に配設されたコイルバネ57の伸縮方向と略同じ方向となっていることから、第1可動体53の姿勢変位に対するコイルバネ57の伸縮変形が効率よく発現されて、該第1可動体53および第2可動体54の円滑な姿勢変位が実現されるようになっている。そして、第1可動体53が第1初期姿勢になると共に第2可動体54が第2初期姿勢となった際にも、コイルバネ57による付勢力が発現していることで、該第1可動体53および第2可動体54を夫々の第1動作姿勢および第2動作姿勢に向けて付勢することが可能となっている。
【0068】
また、第1掛止位置および第2掛止位置の間においては、第1ギア129の回転変位に対する連係掛止片157の上下方向の移動量は、軸心間ラインL上において最大となり、第1掛止位置および第2掛止位置の近傍においては軸心間ラインL上での移動量よりも小さくなるが、移動量の変化は僅かである。すなわち、第1掛止位置および第2掛止位置の間における連係掛止片157の上下移動量は略一定であると見なすことができる。従って、第1可動体53および第2可動体54の夫々の初期姿勢および動作姿勢の間の姿勢変位と、コイルバネ57の伸縮変形とが略比例する関係となっている。これにより、第1可動体53および第2可動体54が夫々の初期位置にある場合には、コイルバネ57の付勢力が最も大きくなっていることから、該第1可動体53および第2可動体54の夫々の初期位置からの動作開始が適切に保持されるようになる。そして、第1可動体53および第2可動体54が夫々の動作位置に近づくにつれてコイルバネ57の付勢力が徐々に小さくなっていくことから、該第1可動体53および第2可動体54が夫々の動作姿勢に唐突に姿勢変位して、第1可動体53および第2可動体54が衝撃することによる破損や異音の発生が防止されるようになっている。更に、第1可動体53および第2可動体54が夫々の動作姿勢となった状態でもコイルバネ57にテンションが掛かっているので、該第1可動体53および第2可動体54が夫々の動作姿勢に付勢保持されるようになっている。
【0069】
また、コイルバネ57は、
図10に示すように、第1掛止位置および第2掛止位置の中間位置、すなわち前述した軸心間ラインLにおいて、連係掛止片157が移動する円周ラインRに対する接線方向に、該コイルバネ57の長手方向が一致または略一致するようにバネ配設部160に配設されている。すなわち、第1可動体53の回転中心(第1ギア129の回転中心)である第3支持軸68および第2可動体54の回転中心(第2ギア147の回転中心)である第4支持軸69は、ベース体51に対して略同一高さ位置に配設されており、前述した軸心間ラインLは略水平に延在しており、コイルバネ57は、前述したように、長手が上下方向(垂直方向)となるようにバネ配設部160に配設されている。従って、コイルバネ57の付勢力が第1ギア129を回転させるための力に効率よく変換される構成となっている。
【0070】
前述したように、第2連係手段である第1ギア129に、他方の端部156がベース体51側に掛止されたコイルバネ57の一方の端部155を掛止させたことで、第1ギアである該第1ギア129に回転力が付与されて、第1可動体53が第1動作姿勢に向けて付勢される。一方、第2連係手段である第2ギア147が第1ギアである第1ギア129に常に噛み合う第2ギアであり、第1ギア129に回転力が付与されることで第2ギア147にも同じように回転力が付与されることで、第1可動体53が第1動作姿勢に向けて付勢される。すなわち、実施例では、1つのコイルバネ57により、第2連係手段により互いに連係されている第1可動体53および第2可動体54の両方を夫々の動作姿勢に向けて付勢することが可能である。
【0071】
(第1基板ケース166および第2基板ケース171)
図15に示すように、第1中継基板165を収容した第1基板ケース166および第2中継基板170を収容した第2基板ケース171が、第2ベース部材61に夫々配設されている。第1中継基板165は、
図19に示すように、左の第1可動体53に配設された第1可動照明基板122に接続された第1配線W1が接続される第1コネクタ165aと、左の第2可動体54に配設された第2可動照明基板142に接続された第2配線W2が接続される第2コネクタ165bと、図示省略した演出制御基板からの配線(図示せず)が接続される第3コネクタ165cとを備え、第1可動照明基板122および第2可動照明基板142と演出制御基板とを電気的に接続する。第2中継基板170は、右の第1可動体53に配設された第1可動照明基板122に接続された第1配線W1と、右の第2可動体54に配設された第2可動照明基板142に接続された第2配線W2と、前述した回転演出ユニット110の回転照明基板117および第2作動モータ114に接続された各配線(図示せず)と、図示省略した演出制御基板からの配線(図示せず)が接続されるようになっている。第1基板ケース166および第2基板ケース171は、基板ベース部材166a,171aと、該基板ベース部材166a,171aに組み付けられるカバー166b,171bとを備えており、第1基板ケース166は、左の第1可動体53および第2可動体54を連係する第2連係手段(第1ギア129および第2ギア147)の側方において第1ベース部材60に固定され、第2基板ケース171は、右の第1可動体53および第2可動体54を連係する第2連係手段(第1ギア129および第2ギア147)の側方において第1ベース部材60に固定されるようになっている。
【0072】
そして、
図19に示すように、第1基板ケース166および第2基板ケース171の基板ベース部材166a,171aには、第1可動体53を支持する第3支持軸68の先端突出部を保持する第1軸保持部167,172と、第2可動体54を支持する第4支持軸69の先端突出部を保持する第2軸保持部168,173とを備えている。すなわち、第1基板ケース166および第2基板ケース171を第1ベース部材60の所定位置に固定する際に、第1軸保持部167,172が第3支持軸68の先端突出部を保持することで、該第3支持軸68から第1可動体53が外れることを防止し得ると共に、第2軸保持部168,173が第4支持軸69の先端突出部を保持することで、該第4支持軸69から第2可動体54が外れることを防止し得るよう構成されている。
【0073】
(装飾ユニット175)
実施例の可動演出装置50は、
図3〜
図5および
図8に示すように、第1可動体53の少なくとも一部と前後に重なるように該第1可動体53の前側に配設され、第1可動体53と関連する意匠が形成された装飾ユニット(装飾体)175を備えている。この装飾ユニット175は、遊技盤20に配設された入賞装置(実施例では第1始動入賞装置30)の前述した第1球通出路30bおよび第2球通出路30cに入口部が整合すると共に設置部材40に設けられた球排出部44(
図8参照)に出口部が整合する球案内路195,196を備えており、第1始動入賞装置30から通出されたパチンコ球を、該球案内路195,196を介して遊技盤20の外部へ排出し得るように構成されている。また、装飾ユニット175は、球案内路195,196を通過するパチンコ球を検出可能な始動検出センサ(球検出手段)S1,S2が配設されている。
【0074】
装飾ユニット175は、
図5および
図20に示すように、ベース体51に取り付けられるユニット本体176と、ユニット本体176の前側に組み付けられる装飾部材177とを備えると共に、ユニット本体176および装飾部材177を組み付けることで形成された内部空間に、装飾照明基板(照明手段)178および装飾レンズ部材179が配設されている。そして、前述した球案内路195,196は、前後に並んで配設された装飾ユニット175、装飾レンズ部材179およびユニット本体176に亘って画成されている(
図8参照)。
【0075】
(装飾ユニット配設部72)
図15に示すように、ベース体51には、装飾ユニット175を取り付ける装飾ユニット配設部72が設けられている。装飾ユニット配設部72は、第1ベース部材60の前面下部における移動体配設部63の下方に、前方へ突出して設けられている。装飾ユニット配設部72には、複数(実施例では2つ)の取付ボス73,73が前方へ突出して設けられており、装飾ユニット175が各取付ボス73,73にネジ固定される。そして、装飾ユニット175は、
図8に示すように、第1ベース部材60の前面とユニット本体176の後面との間に、移動体52および各第1可動体53,53の下部が収容可能な空間を画成した状態で該装飾ユニット配設部72に取り付けられるようになっている。
【0076】
(排出領域74)
ここで、装飾ユニット175は、
図8に示すように、第1ベース部材60の前面とユニット本体176の後面との間にパチンコ球の直径以上の間隔おいて装飾ユニット配設部72に取り付けられるように構成されており、第1ベース部材60と装飾ユニット175との間には、パチンコ球の排出が可能な排出領域74が画成されている。すなわち、遊技盤20の枠状装飾体26に設けられたステージ部27に通入したパチンコ球が、演出窓口26aの後方へ飛翔して該遊技盤20と設置部材40との間へ落下して、ベース体51と装飾ユニット175との間に入り込んだ場合に、当該パチンコ球が引っ掛かることなく排出領域74を介して可動演出装置50の外側へ排出されるよう構成されている。
【0077】
(ユニット本体176)
ユニット本体176は、
図20に示すように、装飾ユニット175の外形形状に合わせた外縁形状に形成された基板保持部180を備えると共に、基板保持部180に下方には、第1および第2の球案内路195,196を画成する第1通路形成部181および第2通路形成部182を備えている。基板保持部180には、装飾照明基板178に配設されたコネクタ178bを後側へ露出させる開口180aが形成されると共に、該基板保持部180の後面に、該コネクタ178bに接続される第3配線W3を掛止して保持可能な配線保持片180bが設けられている。また、第1および第2の通路形成部181,182の下方に、第1始動検出センサS1を収容保持する第1センサ保持部183と、第2始動検出センサS2を収容保持する第2センサ保持部184とが、第1および第2通路形成部181,182に連通して形成されていると共に、第1センサ保持部183および第2センサ保持部184の底部には、パチンコ球を通出する第1球出口185および第2球出口186が形成されている。第1センサ保持部183および第2センサ保持部184における上壁の上面183a,184aは、僅かに凸状に湾曲している。ここで、第1通路形成部181および第2通路形成部182は離間して設けられており、左右に離間する両通路形成部181,182の間に第3配線W3を通して収容することが可能となっている。また、第1センサ保持部183および第2センサ保持部184は離間して設けられ、左右に離間する両保持部183,184の間に上下および後方に開口する配線挿通部197が画成されており、前述した第3配線W3を通して収容することが可能となっている。すなわち、コネクタ178bに接続されると共に配線保持部180bに掛止された第3配線W3は、第1経路形成部181および第2経路形成部182の間の隙間に通すと共に配線挿通部197に通して装飾ユニット176の下方へ引き出されるようになっている。更に、第1センサ保持部183の左側部および第2センサ保持部184の右側部には、夫々左右に延出した取付部187,187が設けられている。ユニット本体176は、基板保持部180、第1および第2の通路形成部181,182、第1および第2センサ保持部183,184、取付部187,187が一体に形成された成形部材である。
【0078】
図8、
図9および
図20(b)に示すように、第1球案内路195を画成する第1通路形成部181は、後方にいくにつれて、下方へ変位して凸状に湾曲すると共に左方(
図20(b)では右方)へ湾曲している。すなわち、第1球案内路195は、左の第1通路形成部181により画成される部分において、下方へ湾曲した部分、左方へ湾曲した部分、および下方へ湾曲した部分が連続して延在するように形成されており、該第1球案内路195を通過するパチンコ球の通過方向を順次変更することで、当該パチンコ球を減勢、減速させて第1始動検出センサS1へ案内するよう構成されている。一方、第2球案内路196を画成する第2通路形成部182は、後方にいくにつれて、下方へ変位して凸状に湾曲すると共に右方(
図20(b)では左方)へ湾曲している。すなわち、第2球案内路196は、第2通路形成部182により画成される部分において、下方へ湾曲した部分、右方へ湾曲した部分、および下方へ湾曲した部分が連続して延在するように形成されており、該第2球案内路196を通過するパチンコ球の通過方向を順次変更することで、当該パチンコ球を減勢、減速させて第2始動検出センサS2へ案内するよう構成されている。
【0079】
(装飾部材177)
装飾部材177は、
図20に示すように、前壁部188と、該前壁部188の外縁に沿って延在すると共に後方へ延出する周壁部189とを備えており、左上部が左上方へ鋭角的に突出すると共におよび右上部が右上方へ鋭角的に突出した形状に形成されている。そして、前壁部188の左部分は、第1動作姿勢に姿勢変位した左の第1可動体53における第1可動装飾部材121の前壁部130と連なったように視認される形状に形成されていると共に、該前壁部188の右部分は、第1動作姿勢に姿勢変位した右の第1可動体53における第1可動装飾部材121の前壁部130と連なったように視認される形状に形成されている(
図4(b)参照)。そして、前壁部188の前面には、第1動作姿勢に姿勢変位した各第1可動体53,53における第1可動装飾部材121の前壁部130に形成された意匠に関連する意匠、模様が施されている。すなわち、装飾部材177は、夫々第1動作姿勢に姿勢変位した第1可動体53,53が連なったように視認される意匠、デザインが施されている。ここで、装飾部材177の前壁部188は、透明または半透明に形成された透光部188aと、メッキ、印刷または塗装が施された非透光部188bとを備えており、装飾照明基板178からの光が照射されると透光部188aが明輝するようになっている。そして、前壁部188には、装飾レンズ部材179に設けられた後述の第1球樋部193が挿通する第1挿通孔190と、該装飾レンズ部材179に設けられた後述の第2球樋部194が挿通する第2挿通孔191とが開口形成されている。
【0080】
(装飾照明基板178)
装飾照明基板178は、
図8および
図20に示すように、ユニット本体176の基板保持部180に収容可能な外形形状、サイズに形成され、複数のLED178aが実装されたLED実装面を前側に向けた状態で基板保持部180に固定される。これにより、LED178aからの光が装飾レンズ部材179を透過することで、装飾部材177の前壁部188における透光部188aを明輝するようになっている。
【0081】
(装飾レンズ部材179)
装飾レンズ部材179は、
図8および
図20に示すように、装飾照明基板178の前側に位置するレンズ部179aと、第1センサ保持部183および第2センサ保持部184の前側に位置するセンサ保持板部192とを備えている。また、装飾レンズ部材179には、第1球案内路195を画成する第1球樋部193が、前方に延出すると共に前後に貫通するように設けられると共に、第2球案内路196を画成する第2球樋部194が、前方に延出すると共に前後に貫通するように設けられている。
図8に示すように、第1球樋部193は、装飾部材177に設けた第1挿通孔190に挿通され、前端が第1始動入賞装置30の第1球通出路30bの後端に整合すると共に、後端がユニット本体176に設けた第1通路形成部181の前端に整合するようになっている。また、第2球樋部194は、装飾部材177に設けた第2挿通孔191に挿通され、前端が第1始動入賞装置30の第2球通出路30cの後端に整合すると共に、後端がユニット本体176に設けた第2通路形成部182の前端に整合するようになっている。
【0082】
(第1始動検出センサS1および第2始動検出センサS2)
第1始動検出センサS1および第2始動検出センサS2は、パチンコ球が通過する検出口を備えると共に主制御基板と電気的に接続されており、検出口を通過したパチンコ球を検出することによる検出信号を該主制御基板へ送信するようになっている。そして、第1始動検出センサS1および第2始動検出センサS2がパチンコ球を検出して主制御基板に検出信号が入力されることを、図柄表示装置45の表示部45aでの図柄変動演出の開始条件および賞球の払出条件として設定されている。
【0083】
(第1球案内路195および第2球案内路196)
図8および
図20に示すように、装飾ユニット175に形成された第1球案内路195は、装飾レンズ部材179に設けられた第1球樋部193、ユニット本体176に設けられた第1通路形成部181および第1球出口185が順次連なって形成される。第1球案内路195は、第1球樋部193が前後に延在し、左の第1通路形成部181において下方へ湾曲し、第1始動検出センサS1の検知部から第1球出口185に亘って下方へ延在している。しかも、左の第1通路形成部181においては、下方へ湾曲する部分と、左方へ湾曲する部分と、下方へ湾曲する部分とが連なっている。従って、第1始動入賞装置30の第1球通出路30bから通出されたパチンコ球を、左の第1通路形成部181により形成された各湾曲部で減速、減勢させたもとで第1始動検出センサS1へ通過させることが可能となり、当該パチンコ球を該第1始動検出センサS1で確実に検出させることが可能となっている。同様に、装飾ユニット175に形成された第2球案内路196は、装飾レンズ部材179に設けられた第2球樋部194、ユニット本体176に設けられた第2通路形成部182および第2球出口186が順次連なって形成される。第2球案内路196は、第2球樋部194が前後に延在し、第2通路形成部182において下方へ湾曲し、第1始動検出センサS1の検知部から第2球出口186に亘って下方へ延在している。しかも、第2通路形成部182においては、下方へ湾曲する部分と、右方へ湾曲する部分と、下方へ湾曲する部分とが連なっている。従って、第1始動入賞装置30の第2球通出路30cから通出されたパチンコ球を、第2通路形成部182により形成された各湾曲部で減速、減勢させたもとで第2始動検出センサS2へ通過させることが可能となり、当該パチンコ球を第2始動検出センサS2で確実に検出させることが可能となっている。
【0084】
また、
図8、
図9および
図20に示すように、第1ベース部材60と装飾ユニット175の間に画成された排出領域74の底部に、ユニット本体176に形成されて上面が凸状に湾曲した第1通路形成部181および第2通路形成部182が位置している。ここで、第1および第2通路形成部181,182は、前述したように、後方および左右に向けて下方に傾斜しているから、この通路形成部181,182の上面に落下したパチンコ球は、該通路形成部181,182上に留まることなく円滑に排出されるようになる。従って、排出領域74にパチンコ球が留まり、移動体52および各第1可動体53,53が当該パチンコ球と干渉することが防止されるよう構成されている。また、第1および第2通路形成部181,182の間の隙間に前述した第3配線W3を配設することで、両通路形成部181,182の間にパチンコ球が引っ掛かることが防止されるよう構成されている。
【0085】
実施例の可動演出装置50は、遊技盤20の後側に設置部材40を取り付けた状態において、第1始動入賞装置30が遊技盤20の後面から殆ど突出していないことで、装飾ユニット175の前面が該遊技盤20の後面に近接した位置となる。また、装飾ユニット175の直ぐ後側に左右の第1可動体53および第2可動体54が位置していることで、遊技盤20の直後に装飾ユニット175および左右の第1可動体53,53および左右の第2可動体54,54が位置するようになっている。
【0086】
〔実施例の作用〕
次に、前述のように構成された実施例に係るパチンコ機10の作用につき説明する。
【0087】
(初期状態について)
前述のように構成された実施例のパチンコ機10では、例えば演出制御装置の演出制御基板による可動体演出の実行可否判定の結果により、可動演出装置50を作動しないことが決定された場合は、可動演出装置50は、
図2および
図11に示す初期状態に保持される。可動演出装置50が初期状態では、作動機構58の第1作動モータ75および回転演出体111の第2作動モータ114が停止していることで、移動体52が待機位置に停止保持される。そして、移動体52が待機位置に停止していることで、該移動体52に配設された回転演出体111は、枠状装飾体26に設けられた透明保護部材28の後側に位置しており、図柄表示装置45の表示部45aの前側には殆ど突出せず、該表示部45aでの演出表示の妨げにならない。
【0088】
また、
図11に示すように、移動体52が待機位置に停止していることで、左右の第1可動体53,53における可動ガイドローラ127,127は、移動ガイドレール100における上下延在部101の上端に位置することで、長手が上下方向に向いた第1初期姿勢に夫々保持されている。また、各第1可動体53,53が第1初期姿勢に保持されていることで、第1ギア129および第2ギア147の噛み合いにより、左右の第2可動体54,54は長手が左右方向に向いた第2初期姿勢に夫々保持されている。
図2に示すように、第1初期姿勢の第1可動体53および第2初期姿勢の第2可動体54は、互いに離れた位置に停止しており、一体の意匠を形成しない。そして、第1初期姿勢における左右の第1可動体53,53は、
図2に示すように、遊技盤20の前面から視認されるが、図柄表示装置45の表示部45aの前側には殆ど突出せず、該表示部45aでの演出表示の妨げにならない。一方、第2初期姿勢における左右の第2可動体54,54は、
図2に示すように、該第2可動体54,54の前側に配設された装飾部材200により殆ど隠されて前面から視認されず、かつ図柄表示装置45の表示部45aの前側にも殆ど突出せず、該表示部45aでの演出表示の妨げにならない。
【0089】
また、第1可動体53が第1初期姿勢となっていることで、第1ギア129に設けられた連係掛止片157が第1掛止位置で停止しており(
図10、
図11参照)、該連係掛止片157およびベース掛止片158に架設された各コイルバネ57,57は、最大伸張長さに変形した状態で保持されている。
【0090】
(可動体による演出について)
演出制御装置の演出制御基板が、可動体演出の実行可否判定の結果により、可動演出装置50を作動させることを決定した場合には、該演出制御基板は所定の制御態様に基づいて可動演出装置50を動作させる。すなわち、演出制御基板が、第1作動モータ75を作動制御することで作動レバー76が下位置から上位置に向けて動作を開始し、これに伴って移動体52が待機位置から動作位置に向けて上昇移動を開始する。左右の第1可動体53,53における可動ガイドローラ127は、移動ガイドレール100における上下延在部101を相対的に下方へ移動するが、該可動ガイドローラ127が該上下延在部101と傾斜延出部102との境界部に到達するまで(
図4(a)および
図12参照)は、長手が上下方向に向いた第1初期姿勢に夫々保持されている。また、各第1可動体53が第1初期姿勢に保持されていることで、第1ギア129および第2ギア147の噛み合いにより、左右の第2可動体54,54は、長手が左右方向に向いた第2初期姿勢に夫々保持されている。
【0091】
そして、移動体52が
図4(a)および
図12の状態から更に動作位置に向けて上昇移動を続けることで、可動ガイドローラ127が移動ガイドレール100の傾斜延在部102に沿って下方へ相対的に移動するようになり、第1可動体53を支持する第3支持軸68に対する可動ガイドローラ127の位置が徐々に移動体52の中央側へ変位することで、該第1可動体53が第1初期姿勢から第1動作姿勢に向けて回転変位するようになる。また、第3支持軸68を中心とした第1可動体53の回転変位に伴って、第2連係手段における第1ギア129が回転することで、該第1ギア129に噛み合った第2ギア147が第4支持軸69を中心として従動回転するようになり、第2可動体54が第2初期姿勢から第2動作姿勢に向けて回転変位するようになる。そして、移動体52が動作位置まで上昇すると、第1可動体53が第1動作姿勢となると共に、これに連動して第2可動体54が第2動作姿勢となる(
図4(b)、
図13参照)。ここで、第2動作姿勢となった各第2可動体54,54は、装飾部材200,200の上縁や側縁から突出して前側から視認可能となる。
【0092】
ここで、
図4(b)および
図5に示すように、第1動作姿勢に姿勢変位した左の第1可動体53は、上方にいくにつれて移動体52から離間する左上がりに傾斜した姿勢となる。また、第2動作姿勢に姿勢変位した左の第2可動体54は、下方にいくにつれて移動体52に近づくよう右下がりに傾斜した姿勢となり、第1動作姿勢の第1可動体53の上部に連なるようになる。すなわち、第1動作姿勢の左の第1可動体53および第2動作姿勢の左の第2可動体54は、上方にいくにつれて移動体52から離間する左上がりに傾斜した直線状に揃うようになる。一方、第1動作姿勢に姿勢変位した第1可動体53は、上方にいくにつれて移動体52から離間する右上がりに傾斜した姿勢となる。また、第2動作姿勢に姿勢変位した第2可動体54は、下方にいくにつれて移動体52に近づくよう左下がりに傾斜した姿勢となり、第1動作姿勢の第1可動体53の上部に連なるようになる。すなわち、第1動作姿勢の右の第1可動体53および第2動作姿勢の右の第2可動体54は、上方にいくにつれて移動体52から離間する右上がりに傾斜した直線状に揃うようになる。
【0093】
更に、
図4(b)および
図5に示すように、第1動作姿勢となった左の第1可動体53の下部は装飾ユニット175の後方の排出領域74へ移動して該装飾ユニット175と前後に重なっていると共に、第1動作姿勢となった右の第1可動体53の下部は装飾ユニット175の後方の排出領域74に移動して該装飾ユニット175と前後に重なっている。
【0094】
従って、
図4(b)および
図5に示すように、左右の第1可動体53,53が夫々第1動作姿勢となると共に左右の第2可動体54,54が夫々第2動作姿勢となった場合には、該第1可動体53,53、該第2可動体54,54および装飾部材により1つの大きな意匠形状、すなわち前側から見て略「V」字形の意匠形状を形成するようになり、該「V」字形の意匠形状が遊技盤20を介して視認可能となり、迫力がある演出を行うことができる。しかも、第2動作姿勢の各第2可動体54,54は、図柄表示装置45の表示部45aの前方へ突出した状態となると共に、移動体52の装飾ユニット175が前方へ露出すると共に回転演出体111が図柄表示装置45の表示部45aの前方まで上昇することで、更に迫力がある演出が行われるようになる。
【0095】
そして、
図10〜
図13に示すように、実施例の可動演出装置50では、第2連係手段である第1可動体53の第1ギア129とベース体51との間に架設したコイルバネ57により、第1可動体53の第1動作姿勢への姿勢変位および第2可動体54の第2動作姿勢への姿勢変位が補助される。従って、移動体52の上昇移動時においては、第1可動体53が第1動作姿勢に向けて円滑に姿勢変位すると共に、該第1可動体53の姿勢変位に基づいて第2可動体54が第2動作姿勢に向けて円滑に姿勢変位するようになる。そして、第1可動体53および第2可動体54が夫々の動作姿勢に変位してもコイルバネ57により付勢されているので、第1動作姿勢に姿勢変位した第1可動体53および第2動作姿勢に姿勢変位した第2可動体54は、コイルバネ57の付勢により夫々の動作姿勢にがたつきなく保持されるようになる。
【0096】
(回転演出体による演出について)
また、演出制御基板は、適時のタイミングで第2作動モータ114を作動制御することで回転演出体111を回転させる。ここで、第2作動モータ114の作動タイミングは、第1作動モータ75の作動タイミングと同時としたり、移動体52の上昇移動途中に作動開始したり、移動体52が動作位置まで上昇した後に作動開始する等、様々に制御することが可能である。
【0097】
更に、演出制御基板は、移動体52に配設した移動照明基板105、回転演出ユニット110に配設した回転照明基板117、各第1可動体53,53に配設した第1可動照明基板122、各第2可動体54,54に配設した第2可動照明基板142、装飾ユニット175に配設した装飾照明基板178の夫々を、所定のタイミングで作動させることで、可動演出装置50の前面が全体的に明輝するようになり、照明演出によっても迫力のある演出を行うことができる。
【0098】
実施例の可動演出装置50を備えたパチンコ機10によれば、第1可動体53および第2可動体54を連係する第2連係手段をなす第1ギア129および第2ギア147において、該第1ギア129を付勢手段としてのコイルバネ57で付勢するようにしたので、第1作動モータ75による移動体52の上昇移動に伴って第1可動体53を第1動作姿勢へ姿勢変位させる構成であっても、該第1可動体53の第1動作姿勢への姿勢変位および第2可動体54の第2動作姿勢への姿勢変位を適切に同期させることができる。すなわち、第2連係手段における一方の第1ギア129に対して付勢手段であるコイルバネ57が結されることで、該コイルバネ57が連結された第1ギア129が設けられた第1可動体53を第1動作姿勢に向けて付勢し得るので、第1可動体53の第1初期姿勢から第1動作姿勢への姿勢変位が円滑かつ適切になされる。また、コイルバネ57が連結されていない第2ギア147は、コイルバネ57が連係された第1ギア129と噛み合っていることで、第1ギア129に対するコイルバネ57の付勢力が第2ギア147にも付与されるようになり、該第2ギア147が設けられた第2可動体54も動作姿勢に向けて付勢し得るので、第2可動体54の第2初期姿勢から第2動作姿勢への姿勢変位も円滑かつ適切になされる。
【0099】
そして、第1ギア129に一方の端部155が掛止されたコイルバネ57は、他方の端部156が第1ベース部材60に形成されたベース掛止片158に掛止されるので、該コイルバネ57の他方の端部156側が第1ベース部材60に安定的に支持されて、第1可動体53の姿勢変位に連動して移動する第1ギア129を安定的に付勢することができる。
【0100】
また、コイルバネ57の一方の端部156は、第1可動体53の第1可動ベース120および第1可動装飾部材121に直接に掛止されていないので、該第1可動ベース120および大1可動装飾部材121がコイルバネ57の付勢力により変形することを防止できる。また、コイルバネ57は、第1ギア129および第2ギア147よりも後側に配設されているので、第1初期姿勢および第1動作姿勢の間を姿勢変位する第1可動体53や第2初期姿勢および第2動作姿勢の間を姿勢変位する第2可動体54と接触することが防止され、該コイルバネ57の付勢不良や、第1可動体53および第2可動体54の動作不良の発生を防止し得る。
【0101】
そして、各第1可動体53,53が夫々の第1動作姿勢となると共に各第2可動体54,54が夫々の第2動作姿勢となった際に、互いに連なった左の第1可動体53および左の第2可動体54と、互いに連なった右の第1可動体53および右の第2可動体54とが、上方に向かうにつれて互いに離間するよう傾斜するようになり、かつ互いに近接した左右の第1可動体53,53の下部が装飾ユニット175と重なって該装飾ユニット175の装飾部材177により連なって見えるようになるので、
図4(b)および
図5に示すように、前方から見て「V字形」をなす一体的な意匠が形成されるようになって。可動演出装置50によって演出効果を高めることができる。
【0102】
そして、移動体52が待機位置および動作位置の間を移動する際に、第1可動体53に設けられた可動ガイドローラ127が、移動体52に設けられた移動ガイドレール100に係合しながら該移動ガイドレール100の上下延在部101および傾斜延在部102に沿って案内されることで、第1初期姿勢および第1動作姿勢の間において第1可動体53の姿勢を適切に規定し得ると共に、該第1可動体53が円滑かつ適切に姿勢変位するようになる。従って、第1可動体53の姿勢変位が適切になされることで、第1ギア129および第2ギア147により連係された第2可動体54も、第2初期姿勢および第2動作姿勢の間で適切に姿勢変位するようになる。
【0103】
そして、実施例の可動演出装置50では、移動体52の前側に配設された回転演出ユニット110の回転演出体111が、該移動体52の昇降移動に連動して昇降移動すると共に、第2作動モータ114の作動により回転するようになっているので、第1可動体53および第2可動体54の姿勢変位に連動して回転演出体111が昇降移動および回転することで、演出効果の更なる向上を図ることができる。
【0104】
また、第1可動体53においては、第1可動照明基板122に接続された第1配線W1が第1配線保持部132に保持されているので、当該第1可動体53が姿勢変位する際に該第1配線W1が軸支持部125に絡まったり第1ギア129および第2ギア147に引っ掛かることがなく、該第1配線W1の損傷や断線を防止し得る。同様に、第2可動体54においては、第2可動照明基板142に接続された第2配線W2が第2配線保持部150に保持されているので、当該第2可動体54が姿勢変位する際に該第2配線W2が軸支持部145に絡まったり第1ギア129および第2ギア147に引っ掛かることがなく、該第2配線W2の損傷や断線を防止し得る。
【0105】
(入賞球の通出案内について)
実施例の可動演出装置50では、
図2および
図8に示すように、遊技盤20の後側に設置部材40を取り付けることで、該遊技盤20の配設した第1始動入賞装置30の後側に装飾ユニット175が対向して、該第1始動入賞装置30の第1通出路30bの出口部に該装飾ユニット175に設けられた第1球案内路195の入口部が整合して、第1通出路30bと第1球案内路195とが連通する一方、該第1始動入賞装置30の第2通出路30cの出口部に該装飾ユニット175に設けられた第2球案内路196の入口部が整合して、第2通出路30cと第2球案内路196とが連通している。これにより、始動入賞口30aに入賞して球振分け手段31により第1通出路30bへ通出されたパチンコ球は第1球案内路195へ案内されて、第1始動検出センサS1で検出された後に球排出部44へ排出される。一方、始動入賞口30aに入賞して球振分け手段31により第2通出路30cへ通出されたパチンコ球は第2球案内路196へ案内されて、第2始動検出センサS2で検出された後に球排出部44へ排出される。従って、該第1始動入賞装置30から通出されたパチンコ球を排出する球排出路部材を第1始動入賞装置30の後側に別途配設する必要がなくなるので、可動演出装置50を第1始動入賞装置30の後側に臨ませることができ、当該可動演出装置50の意匠形状や設置位置の自由度が高められる。また、第1球案内路195を通過するパチンコ球が第1球検出センサS1で適切に検出することができると共に、第2球案内路196を通過するパチンコ球が第2球検出センサS2で適切に検出することができる。
【0106】
そして、第1球案内路195が第1通路形成部181において湾曲しているので、該第1球案内路195を通過するパチンコ球の通過速度を抑えることができ、第1球検出センサS1による該パチンコ球の検出が適切になされると共に、第2球案内路196が第2通路形成部182において湾曲しているので、該第2球案内路196を通過するパチンコ球の通過速度を抑えることができ、第2球検出センサS1による該パチンコ球の検出が適切になされる。
【0107】
(パチンコ球の排出について)
更に、装飾ユニット175とベース体51との間にパチンコ球の直径以上の幅の排出領域74が形成されているので、遊技盤20の遊技領域21から該排出領域74へ落下したパチンコ球が装飾ユニット175とベース体51との間に留まることがなく、パチンコ球との接触による第1可動体53および移動体52の破損や、作動機構58の破損や、第1作動モータ75の故障等を防止し得る。しかも、排出領域74の底部に位置する第1通路形成部181および第2通路形成部182の上面が凸状に湾曲に形成されているので、該排出領域74へ落下したパチンコ球を迅速かつ円滑に排出することができる。更に、
図20(b)に示すように、装飾照明基板178のコネクタ178bに接続されると共に配線保持片180bに掛止した第3配線W3が、第1通路形成部181および第2通路形成部182の間の隙間に通すと共に第1および第2センサ保持部183,184の間の配線挿通部197に通して下方へ引き出すよう構成されているので、第1通路形成部181および第2通路形成部182の間に落下したパチンコ球が両通路形成部181,182の間に入り込んで引っ掛かることを当該第3配線W3により防止し得る。
【0108】
〔変更例〕
本発明に係る遊技機は、実施例に例示の形態に限らず種々の変更が可能である。
(1)付勢手段は、第2可動体に設けられた第2連係手段としての第2ギアを直接に付勢するよう構成してもよい。この場合においても、第2ギアを付勢手段で付勢することで、該第2ギアが設けられた第2可動体を第2初期姿勢から第2動作姿勢に向けて付勢し得ると共に、第2ギアが付勢されることで該第2ギアに噛み合う第1ギアも付勢されるので、該第1ギアが設けられた第1可動体を第1初期姿勢から第1動作姿勢に向けて付勢し得る。
(2)付勢手段は、第2連係手段を付勢し得るものであればコイルバネに限定されず、捻りバネ等の他タイプのバネや、ゴムやウレタン等の弾性体であってもよい。
(3)付勢手段により付勢される第2連係手段は、一方を付勢することで他方も付勢されるものであれば、ギアに限されない。
(4)実施例では、対をなす第1可動体および対をなす第2可動体の2つの可動体が夫々連なると共にように構成したが、対をなす可動体は3つ以上であってもよい。
(5)実施例では、2つの球案内路を設けた装飾ユニットを例示したが、球案内路の形成数は、1つまたは3つ以上設けることも可能である。
(6)実施例では、始動入賞装置から通出されたパチンコ球を案内する球案内路が設けられた装飾ユニットを例示したが、装飾ユニットは、特別入賞装置や普通入賞部材から通出されたパチンコ球を案内するものであってもよい。
(7)実施例では、演出制御基板により可動演出装置を作動制御するようにしたが、主制御基板により可動演出装置を作動制御するようにしてもよい。
(8)実施例では、遊技機としてのパチンコ機を示したが、遊技機はパチンコ機に限られるものではなく、アレンジボール機やスロットマシン等であってもよい。
【0109】
本願には、次のような技術的思想が含まれている。
(付記1)
請求項1〜4の何れか一項の遊技機において、
前記可動演出装置(50)は、
横並びに配設され、作動手段(75)の作動に伴って、上下方向が長手となる第1初期姿勢および上方に向かって互いに離間するよう傾斜した第1動作姿勢の間を姿勢変位可能な一対の第1可動体(53,53)と、
前記第1可動体(53,53)の夫々の上方において横方向に離間して配設され、該第1可動体(53)から離間した第2初期姿勢、および第1動作姿勢となった第1可動体(53)の上部に対して該第1可動体(53)の長手方向に連なる第2動作姿勢の間を姿勢変位可能な一対の第2可動体(54,54)と、
前記第1可動体(53)および第2可動体(54)を連係し、第1可動体(53)の第1初期姿勢および第1動作姿勢の間の姿勢変位に伴って、第2可動体(54)の第2初期姿勢および第2動作姿勢の間の姿勢変位を生起する連係手段(129,147)と、
前記連係手段(129,147)に連結され、該第2連係手段(129,147)を介して前記第1可動体(53)を第1動作姿勢に向け付勢すると共に前記第2可動体(54)を第2動作姿勢に向け付勢する付勢手段(57)とを備え、
前記作動手段(75)の作動下に前記第1可動体(53,53)を前記第1初期姿勢から第1動作姿勢へ移動する際に、第1動作姿勢への前記第1可動体(53)の姿勢変位および第2動作姿勢への前記第2可動体(54)の姿勢変位を前記付勢手段(57)で補助するよう構成されると共に、
互いに連なった一方の第1可動体(53)および第2可動体(54)と、互いに連なった他方の第1可動体(53)および第2可動体(54)とが、上方に向かうにつれて互いに離間するよう傾斜し、
一方の第1可動体(53)および他方の第1可動体(53)における互いに近接した下方部分と前記装飾体(175)が前後に重なり、該装飾体(175)、第1可動体(53)および前記第2可動体(54)により単一の意匠を形成するよう構成される。
付記1に係る発明によれば、作動手段の作動下に第1可動体を第1初期姿勢から第1動作姿勢へ姿勢変位させる際に、該第1可動体の第1動作姿勢への姿勢変位が付勢手段で補助されると共に、第2可動体の第2動作姿勢への姿勢変位が該付勢手段で補助され、付勢手段により第1可動体および第2可動体の両方の姿勢変位を補助し得るので、第1可動体および第2可動体の姿勢変位が円滑かつ適切になされる。そして、作動手段が停止しても、第1可動体および各第2可動体を、付勢手段により第1動作姿勢および第2動作姿勢に保持することができる。また、各第1可動体が第1動作姿勢となると共に各第2可動体が第2動作姿勢となった際に、互いに連なった一方の第1可動体および第2可動体と、互いに連なった他方の第1可動体および第2可動体とが、上方に向かうにつれて互いに離間するよう傾斜するようになり、かつ一方の第1可動体および他方の第1可動体の互いに近接した下方部分に装飾体が重なるので、前方から見てV字形をなす単一の意匠を形成することができる。